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―回腸嚢炎治療指針改訂について― 

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Academic year: 2021

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平成 28 年度厚生労働科学研究補助金難治性疾患等政策研究事業  難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 

分担研究報告書   

潰瘍性大腸炎、Crohn 病治療指針改訂プロジェクト 

―回腸嚢炎治療指針改訂について― 

 

研究分担者    杉田昭    横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター    センター長     研究分担者    中村志郎  兵庫医科大学炎症性腸疾患学講座内科部門  教授 

 

研究要旨: 

潰瘍性大腸炎に対する手術術式は回腸嚢を作成する回腸嚢肛門吻合術、または回腸嚢肛門管吻合術が標 準術式である。近年、術後合併症としての回腸嚢炎のうち、治療に抵抗性の難治性回腸嚢炎症例の増加 があり、従来の単剤使用(メトロニダゾール、シプロフロキサシン)では効果が十分でない症例や、薬 剤の中止により下痢などの症状の増悪があることから長期の投与を必要とする症例が少なくない。今回 は欧米での治療指針も考慮して、抗菌剤使用について以下のような改訂案を作成した。今後は新しい抗 菌剤やステロイド剤の使用なども検討していく予定である。 

作成した改訂案: 

1.メトロニダゾール(500mg/日)またはシプロフロキサシン(400−600mg/日)の 2 週間投与を行う。効果 が不十分な場合はメトロニダゾールまたはシプロフロキサシン、あるいは 2 剤を使用して 4 週間を目安 として投与する。さらに効果が乏しい場合はほかの抗菌剤の使用を考慮する。難治例のなかには抗菌剤 の長期投与を要する例があるが、副作用の出現に留意し、薬剤の減量を図る。 

   

共同研究者 

福島浩平(東北大学分子病態外科) 

渡邊聡明(東京大学大腸肛門外科) 

池内浩基(兵庫医科大学炎症性腸疾患学講座  外科部門) 

二見喜太郎(福岡大学筑紫病院外科) 

舟山裕士(仙台赤十字病院外科) 

根津理一郎(西宮市立中央病院外科) 

藤井久男(吉田病院)) 

板橋道朗(東京女子医科大学第 2 外科) 

小金井一隆(横浜市民病院炎症性腸疾患科) 

篠崎大(東京医科学研究所腫瘍外科) 

亀山仁史(新潟大学消化器、一般外科) 

中村志郎(兵庫医科大学炎症性腸疾患学講座  内科部門) 

A.  研究目的 

潰瘍性大腸炎、Crohn 病に対する内科、外科治 療指針の改訂は治療指針改訂プロジェクト(責任 者:中村志郎先生)では継続的に改訂が行われて いる。今回は外科治療指針のうち、難治性回腸嚢 炎の頻度が増加していることから、従来の回腸嚢 炎治療指針の改訂を行うこととした。 

 

B.  研究方法 

外科治療指針の改訂案作成は外科プロジェクト 研究のひとつとして行われており、本プロジェク トで改訂案を作成した。       

 

(倫理面への配慮) 

特に必要なし。 

(2)

108 C.  研究成果 

1)従来の回腸嚢炎治療指針 

潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針

(H27 年度改訂版)H28 年 3 月 31 日  回腸嚢炎治療指針(2016 年 1 月改訂) 

1.メトロニダゾール(500ng/日)またはシプロフ ロキサシン(400‑600mg/日)の 2 週間投与を行う。

効果が不十分な場合は 2 剤併用あるいは他の抗菌 剤を用いてもよい。  

2. 抗菌 剤治療 抵抗 例に対 して は可能 であ れば 5‑ASA 注腸/坐剤、ステロイド注腸、ベタメサゾン 坐薬などを加える。脱水を認める症例では補液を 行う。これらの治療により効果が得られないか再 燃寛解を繰り返す場合は、専門家に相談し、治療 を進めることが望ましい。  

3.免疫調節剤、インフリキシマブ、血球成分除去 療法が有効な場合がある。  

4.治療不応例は感染性腸炎合併の可能性を再度 考慮する。  

2)今回作成した作成した改訂案 

従来の治療指針の 1.のみについて以下のよう な改訂案を作成した(2.3.4 は変更なし)。  1.メトロニダゾール(500mg/日)またはシプロフ ロキサシン(400−600mg/日)の 2 週間投与を行う。

効果が不十分な場合はメトロニダゾールまたは シプロフロキサシン、あるいは 2 剤を使用して 4 週間を目安として投与する。さらに効果が乏しい 場合はほかの抗菌剤の使用を考慮する。難治例の なかには抗菌剤の長期投与を要する例があるが、

副作用の出現に留意し、薬剤の減量を図る。 

 

D.  考察 

潰瘍性大腸炎に対する手術術式は回腸嚢を作 成する回腸嚢肛門吻合術、または回腸嚢肛門管吻 合術が標準術式である。近年、術後合併症として の回腸嚢炎のうち、治療に抵抗性の難治性回腸嚢 炎症例の増加があり、従来の単剤使用(メトロニ ダゾール、シプロフロキサシン)では効果が十分 でない症例や、薬剤の中止により下痢などの症状 の増悪があることから長期の投与を必要とする

症例が少なくない。 

欧米では rifaximin, tinidazole などの抗菌剤 や新しいステロイド剤投与が推奨されている。今 回 は本 邦で現 在の 治療指 針に 記載さ れて いる ciprofloxacin や metronidazole の使用法などに ついて改訂案を作成した。 

今後は新しい抗菌剤やステロイド剤の使用な ども検討していく必要がある。 

  E.結論 

潰瘍性大腸炎、Crohn 病治療指針改訂プロジェ クト(責任者:中村志郎先生)で今後も継続的に 治療指針を検討していくことが必要である。 

 

F.健康機関情報    特になし   

G.研究発表    今後予定   

H.知的財産権の出願、登録状況    特になし 

参照

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