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有田焼振興協同組合の事業活動

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Academic year: 2022

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(1)国̲̲̲ 大有 田焼振興協 同組合 の設立 とその背景 山 田雄 久 ・筒 井 孝 司 ・吉 田忠 彦 ・東 郷. 寛. は じめ に 1大. 有田焼振興協同組合設立の経緯. 2組. 合設 立 当 初 に あ げ られ た 有 田焼 産 地 の 問 題 点. 3組. 合設 立 当 初 に お け る有 田焼 産 地 の 取 り組 み. 4大. 有田焼振興協同組合の事業活動. は. 21世 紀 の デ フ レ経 済,さ. じ. め. に. ら に は海 外 の 金 融 危 機 の 時 代 を 迎 え,大 都 市 にお け る消 費 低 迷. や海 外 か ら流 入 す る格 安 商 品 との競 合 に直 面 す る伝 統 産 業 地 域 で は,グ ロー バ ル 社 会 に対 応 した新 しい産 地 の ブ ラ ン ド戦 略 の 再 構 築 が 重 要 な 課 題 とな って い る。 産 地 の 製 造 業 者 を は じめ と して,近 年 商社 や 組 合 を 通 じた 業 界 再 編 の 動 きが 急 速 に活 発 化 す る状 況 に あ る。 本 研 究 で は,日 本 の 代 表 的 伝 統 産 業 の 一 つ で あ る陶 磁 器 業 の 事 例 か ら,ア ジ ア地 域 で の 製 造 部 門拡 充 を は か りつ つ も,国 内 産地 にお け る新 商 品 の 開 発 や 新 た な 産 地 ブ ラ ン ドの 創 出,さ らに は工 場 生 産 に お け る貴 重 な 人 材 とな る経 営 者 や 技 術 者,デ ザ イ ナ ー な どの 人 材 ・ 後継 者 の育 成 に力 を 入 れ て い る現 状 につ いて 多 角 的 に検 証 作 業 を 進 めた く考 え る。 それ ら の作 業 の前 提 と して,こ れ まで 産地 の 中 心 的 な 業 界 組 織 と して 機 能 して きた 組 合 や,産 地 にお け る リー デ ィ ン グ ・カ ンパ ニ ー の 役 割 につ いて 再 検 討 す る こ と に よ って,現 在 の 伝 統 産 業 が か か え る様 々な 課 題 を 克 服 す る うえ で の 貴 重 な 手 掛 か りが 得 られ る もの と大 い に期 待 され よ う。 日本 の 陶磁 器 業 で は,他 の 伝 統 産 業 と同 じ く事 業 後 継 者 の 不 足 や 技 術 継 承 の 問 題 を か か え,日 本 の主 要 陶磁 器 産 地 で あ る瀬 戸 ・東 濃 地 方 を は じめ と して,有. 田 ・波 佐 見 ・京 都 ・. 九 谷 な どの主 要産 地 で も,グ ロー バ ル 経 済 の 波 を 受 けて 工 場 を 海 外 へ 移 転 させ る企 業 が 続 出 して い る。 そ れ らの 陶磁 器 産地 の 中 で も,戦 後 に割 烹 食 器 や 日用 食 器 の 分 野 で 急 速 に需 要 を 開拓 して きた 佐 賀 県 有 田町 ・長 崎 県 波 佐 見 地 方 で は,陶 磁 器 業 者 が 家 族 経 営 を基 礎 に 据 え て事 業 存 続 の た め に幾 多 もの 方 策 を 打 ち出 す こ と に よ り,今 後 予 想 され る新 たな 局 面 一709(1107)一.

(2) 第59巻. 第2号. に対 応 す るた め の 強 力 な 組 織 を 構 築 しつ つ あ る と考 え られ る。 本 稿 で は,高 度 経 済 成長 の 時 代 に都 市 市 場 向 け商 品 の 開 発 に成 功 しな が ら販 路 を拡 張 し て来 た 有 田焼 を 取 り上 げ,と. りわ け佐 賀 県 内 の 生 産 地 を 中心 に,隣 接 す る長 崎 県 地 方 と の. 連 携 を通 じて オ イ ル シ ョッ ク に よ る景 気 低 迷 を 克 服 した 過 程 が,今. 日の 有 田焼 の 産 地 組 織. の形 成 に大 きな影 響 を与 え た との 認 識 か ら,佐 賀 県 や 有 田町 の 支 援 に よ って 誕 生 した大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 役 割 につ い て 検 証 を 加 え た く考 え る。 設 立 当 初 の 資 料 を 参 考 にす る こ とで,(1)組. 合 設 立 に至 る経 緯,(2)組. 合 設 立 当 初 の 有 田焼 産 地 の 問 題 点,さ ら には(3). 組合 設 立 当初 の 有 田焼 産地 にお け る取 り組 み の 内 容 につ いて,事 実 関 係 の 確 認 作 業 を 目的 と しつ つ 明 らか に した く考 え る(1)。 組 合 設 立 当 時 に 産 地 が 抱 え て い た 問題 や,今 後 の有 田 焼 につ い て期 待 され る方 向 性 に関 して 分 析 を 試 み る こ とで,有. 田焼 の あ るべ き姿 を再 考 す. る機 会 とな れ ば幸 い で あ る。. 1大. 有 田焼振興協同組合設立の経緯. 1960年 代 の 有 田焼 産地 は,350年 の伝 統 の重 み と優 秀 な技 術 の存 続 もあ って,機 械 化 に よ る新 生 産 方 法 の採 用 とそ れ に伴 う大量 生 産 化 にふ み きれ な い と い う ジ レンマ に陥 って い た。 しか し,そ の 後,機 械 化 が 可 能 な工 程 と手 作 業 に よ るそ れ を 上 手 に組 み 合 わ せ る こ と に よ って,有. 田 焼 産 地 は 質 量 両 面 に お い て 急 激 な成 長 と変 化 を 遂 げ る こ と とな っ た。 下 平 尾. (1978,251‑252頁)は,こ. う した 急激 な成 長 要 因 を 以 下 の よ う に整理 して い る。 まず(産 地. の)内 部 的 要 因 と して,1)生. 産 技 術 の変 化(特. 発 達,4)新. 極 的 な 販 売 努 力 を 挙 げ,次 に外 部 的 に有 利 な要 因 と して,1). 製 品 の開 発,5)積. 所 得 水準 の上 昇,2)消. 費 者 の急 増,3)新. に焼 成 窯),2)生. 産 力 の増 大,3)分. 業の. た な 消 費 分 野 の 拡 大 を 指 摘 して い る。. しか し,そ の一 方 で,昭 和48年 の オ イ ル シ ョ ック に端 を 発 す る構 造 的 ・景 気 循 環 的 不 況 に よ り,販 売不 振,在 庫 の 増 加,金 融 難 が 表 面 化 し,さ ら に過 当 競 争 の 台 頭 に よ る経 営 難 が一 般 化 して お り,下 平 尾(前 掲 書,253,285頁)は,こ. の よ うな 問 題 は個 々の 企 業 単 位 で. は解 決 で き る もの で は な く,し た が って,産 地 ぐるみ あ る い は組 織 と して の 取 り組 み が 必 要 で あ る と論 じて い る。具 体 的 に は,1)産 金 融 の トー タル 費 用 の 引 き下 げ),2)過 4)技 術 者 養 成 と後 継 者 の育 成,5)原. 地 ぐるみ に よ る総 コ ス トの 低 減 化(生 産,販 売,. 当 競 争 の 排 除,3)新. 製 品 の 開 発 と新 技 術 の研 究,. 料 公 害 対 策 な どを 指 摘 し,そ の 上 で,個. 々の 企 業 の. (1)オ イ ル シ ョ ック以 降 の有 田焼 産 地 に お け る経 営 課 題 に つ い て は,佐 賀 県 ・有 田町 ・大 有 田焼 振 興 協 同 組 合(1981)「 有 田 焼 産 地 景 況 調 査 報 告 書 」,下 平 尾 勲(1978)『 現 代 伝統 産 業 の研 究:最 近 の 有 田焼 の経 済 構 造 分 析 』 新 評 論 を 参 照 。 710(1108).

(3) 大有 田焼振興協同組合の設立 とその背景(山 田 ・筒井 ・吉 田 ・東郷) エ ゴ,組 合 の エ ゴを捨 て て 産地 ぐるみ の 体 制 を 樹 立 す る必 要 性 を 説 いて い る。 つ ま り,上 記 の 問題 の解 決 には産 業 全 体 に よ る有 田焼 産 地 の 産 業 構 造 の 転 換 が 必 要 と され て い たの で あ る。 さ らに,下 平 尾 は,産 業 構 造 転 換 の推 進 に つ て,「 自治 体 に全 面 的 に依 存 す る ので は な く,業 界 人 自 らが 行 うべ き で あ る」(前 掲 書,285頁)と. 力 説 し,窯 元 や 商 社 と い っ た業. 種 ご と に結 成 され た業 界 団 体 の 機 能 的 連 関 を 担 う組 織 の 必 要 性 を 強 調 して い る。. 上 記 の 問題 意 識 が 高 ま りつ つ あ った 有 田焼 生 産 地 で は,1976年. に有 田の 情 報 発 信 の 拠 点. づ くり と して の 「陶磁 器 総 合 会 館 建 設 構 想(仮 称)」 が 打 ち上 げ られ た。 当構 想 協 議 会 議 長 で あ った岩 尾 新一 氏(有. 田商工 会 議 所 会 頭)は,1976年. に 「有 田焼 知 識 集 約 化 事 業 の 促 進. につ い て」 と題 し,「有 田焼 産 地 の未 来 像 につ い て の一 試 案 」 と して 知 識 集 約 化 事 業 の 視 点 か ら,上 記 の 下平 尾 構想 に基 づ き,(1)販 発 お よび生 産 技 術 の 向上 に焦 点 を 当 て,有. 売 力 や(2)消. 費 者 の需 要 動 向,(3)商. 品開. 田焼 産 地 の 発 展 を もた らす べ き数 々の 試 案 を 提. 出 した。. 図1佐. 賀 県 陶 磁 器(有 田 焼)の 月 別 生 産 高 の 推 移. 〔 出 所〕 佐 賀 県 中 小 企 業 団 体 中 央 会 ・肥 前 陶 磁 器 商 工 協 同組 合,「 「有 田 焼 」 の 現 状 と問 題 点 一昭 和 51年 度 組 合 等 直 面 問題 調 査 研 究 事 業 報 告 書 一」1977年,7頁. 一711(1109)一. 。.

(4) 第59巻. 表1大. 第2号. 有田焼振興協 同組合発足前の動 き. 産地 ぐ るみ で の 産 業 振興 対策 の た め,陶 磁 器 総 合 会 館 建 設(仮 称)に つ いて. 1972年10月. の協 議 会 が 発 足。 1973年6月. 有田焼会館 建設 促進 委員 会設 立. 1974年10月. 大有 田焼 振興会 発足. 1976年1月. 有田焼会館建設 促進 委員会を有田焼開発促進委員会 と改称 9月. 有田焼会館 建設 検討 委員 会発 足(於 有田焼直売会館). 10月. 有田焼会館 建設 特別委員 会発足(臨 時町議会). 11月. 肥前 陶磁器 商工 協同組合 参加 が決定. 12月. 有田焼卸商業協 同組合(現 佐 賀県陶磁器卸商業協同組合) 参加 が決定. 1979年1月. 有田焼直 売協同組合 ・佐賀県陶磁器工業協同組合の参加が決定 5月. 4組 合 を設 立 組 合発 起人 と して,大 有 田 焼 振 興 協 同 組 合 が 設 立. 〔 出 所 〕 大 有 田焼 振 興 協 同 組合 「大 有 田焼 振 興 協 同組 合 の設 立 経 緯 績 」2002年,1頁. 当 時 の 有 田焼 産地 にお け る新 動 向 と して,有 の実 施,さ. 趣 旨及 び23年 間 の主 な 事 業 実. 。. 田焼 卸 売 団 地 の 完 成 と ドレスデ ン里 帰 り展. ら には三 越 にお け る大 有 田焼 展 の 取 り組 み を 指 摘 し,産 地 の 生 産 能 力 拡 大 に応. じた販 売 力 の創 出 に努 力 を 傾 けな が ら,産 地 全 体 の技 術 力 や組 織 力 を強 化 して い く こ とが, オ イ ル シ ョ ック以 降 の 有 田焼 産 地 の発 展 に と って重 要 な 課 題 とな る こ とを指 摘 して い た(2)。 有 田焼360年 の伝 統 を受 け継 ぎ,発 展 させ る た め の施 設 と して,有 田焼 開 発 セ ンタ ーの 設 置 や,各 組合 の共 通事 業 を 推 進 す る こ とを 目的 とす る有 田焼 会 館 の 建 設 が 急 務 で あ る と考 え た。 岩 尾 磁 器工 業 ㈱ 社 長 の 岩 尾 新 一 氏 は,有 田町(現 有 田町 は,2006年3月1日 田 町 と合併 して誕 生)の 部 助教 授(後. に 旧西 有. 町 長 で あ った 青 木 類 次 氏 と相 談 の うえ,下 平 尾 勲 佐 賀 大 学 経 済 学. に福 島 大 学教 授)に 同 構 想 へ の 参 画 を 要 請 した 。 この 要 請 を 受 諾 した下 平 尾. 氏 は,研 究 活 動 を通 じた 産地 の 産 業 構 造 分 析 や そ れ に基 づ く問 題 点 の 指 摘 の み な らず,シ ン ク タ ン ク的 な 役 割 を も担 う こ と にな った 。 そ して,こ の よ うな 動 きの 成 果 が,有. 田焼 産. 業 を 支 え る4つ の 業 界 団体,つ ま り佐 賀 県 陶磁 器 工 業 協 同組 合,肥 前 陶 磁 器 商 工 協 同組 合, 有 田焼 直 売協 同 組合,有. 田焼 卸 商 業 協 同 組 合(現 佐 賀 県 陶 磁 器 卸 商 業 協 同組 合)が 発 足 母. 体 とな った,昭 和54年5月29日 の大 有 田焼 振 興 協 同組 合 発 足 に帰 結 した の で あ る。 1979年 に大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 が 発 足 した 際 に は,(1)有. 田の 中央 部 に大 有 田焼 会 館 を. 建設 して情 報 シス テ ム の整 備 と利 用 を 促 進 し,大 有 田 焼 展 を は じめ と した 催 事 ・宣 伝 事 業 ・ 業 界 の 中枢 管 理 機 能 を 担 う こ とで,(2)「. 知 識 集 約 化 」 事 業 と して 佐 賀 県 が 定 め る特 産 地. (2)岩 尾 新 一(1976)(有 田焼 開 発 促 進 委 員 会 会 長)「 有 田 焼 知 識 集 約 化 事 業 の 促 進 につ いて 一 有 田 焼 産 地 の 未 来像 に つ い て の一 試 案一 」 を 参 照 712(1110).

(5) 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 設 立 とそ の 背 景(山. 田 ・筒 井 ・吉 川 ・東 郷). 振興 ビ ジ ョンの 方 針 を 受 けた 伊 万里 ・有 田焼 の振 興 事 業 を実 施 し,(3)有. 田焼 に関 す る統. 計 資料 の整 備 と活 用 に よ って デ ー タ中 心 の 合 理 的 経 営 を 推 進 す るな ど,将 来 の 有 田焼 に と って必 須 とな る課題 と 目標 が か か げ られ た 。 組 合 の 関 係 者 に配 布 され た 「大 有 田焼 振 興 協 同 組合 の発 足 にあ た って」 と題 す る リー フ レ ッ ト(3)に は,「 産 地 ぐるみ 態 勢 の推 進 に必 要 と され る組織(業 識 者,国. 種 別 代 表者 に よ る構 造 改 善 委 員 会 の よ うな 機 関)を. 県機 関 の職 員 等 を 含 む 有 田焼 産 地 振 興 審 議 会(仮 称)等. は じめ,組 合 員 外 の 有. との 体 系 を 整 え て ゆ く」. 必 要 が あ る こ とを 強調 して い た。 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 設 立 の 経 緯 と して,有. 田における. 陶磁 器 業 者 の 有 田焼 産地 発 展 に対 す る願 いを 実 現 す るべ く,以 下 の 文 章 にみ られ る よ う な 構想 に基 づ き,活 動 が本 格 的 に ス ター トした 。 「今 度 の大 有 田焼 振 興 協 同組 合 の設 立 とそ の運 営 は,昭 和43年 度 以 降 継 続 して 有 田焼 産 地 並 び に消 費地 の 構 造分 析 と改 善 に必 要 な 対 策 の 提 言 を 続 け,今 後 の 産 地 防 衛 と振 興 策 につ い て 指導 を続 けて こ られ た 福 島 大 学 下 平 尾 勲 教 授 の 数 年 来 の 呼 びか け に対 して 産 地 業 者 が 具 体 的 にそ の必 要性 を認 め,将 来 の た め に 自己 の 出 資 負 担 を 覚 悟 しな が ら産 地 ぐるみ 態 勢 で そ の 中核 機 関 とな る大 有 田焼 会 館 建 設 に踏 み き った こ と は,巻 頭 にか か げた よ うな 産 地 間 競 争 激 化 の 時 に,誠 に望 ま しい 対 策 と して これ を 受 け と り,議 会 に大 有 田焼 会 館 特 別 委 員 会 を設 置 して 問 題 点 の整 理 調 査 を 行 な い,去. 有 田焼 開発 促進委 員会. る昭 和54年3月. 町 議 会 で,会 館 設 置 後12年. 総務 委員会. 有 田焼会館 建設検 討委 員会. 開発 委員会. 会局 合務 連事. 流通 委員会. 佐 賀県 陶磁器工 業(協). 考 察保 護委員会. 肥前陶磁 器商 工(協) 有 田焼直売(協). 企画 委員会. 有 田焼 卸商 業(協). 統 計調査 委員会. 有 田陶錦付(協). 広報 委員会. 有田陶磁 器生 地(協). 資料 委員会. 有 田商 工会議 所. 環 境保 全委員会. その他. 中 小 企業 者. 専門委員会. 特許 委員会. 労務 委員会 福 利厚 生委員会 建設 委員会 財務 委員会. 図2有. 田焼開発促進委員会の組織図. 〔 出所 〕 有 田焼 開発 促 進委 員 会 「第 一 回 有 田 焼 会 館 建 設 検 討 委 員 会 資 料 」1978年 。. (3)大 有 田焼 振 興 協 同組 合(1979)(理 事 長 杉 本 覚 二,副 理 事 長 山本 義 幸 ・山 口秀 市 ・中 島政 司)「 大 有 田焼 振 興 協 同 組合 の発 足 に あ た って」。 713(1111).

(6) 第59巻. 間 に5億8千750万 000万. 第2号. 円 を 限 度 とす る運 営 費 の 援 助 を 決 定 しま した 。 これ は最 高1年 間6. 近 い 補 助 金 を交 付 す る こ と に対 す る並 々な らぬ 業 界 の 団 結 へ の 期 待 と産 地 振 興 策. を 企 図 す る活 動 の 成 果 を 希 む 一 心 が この よ うな 決 意 を 呼 び込 ん だ の で あ ります 。」 長 年 にわ た る有 田焼 産地 の 診 断 結 果 と,業 界 に よ る有 田焼 発 展 へ の た ゆ まぬ 努 力 に よ っ て,大 有 田焼 会 館 の 建設 が 実現 し,そ して 産 地 の 中核 的 組 織 とな る大 有 田焼 振 興 協 同組 合 が誕 生 した。. 2設. 立当初 にあげ られ た有 田焼産地 の問題点. 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 は,当 時 の 有 田焼 産 地 の さ ま ざ まな 問 題 点 を 克 服 す る こ と を 目指 して設 立 され た。 長 い 伝統 を 誇 る有 田焼 は,そ の 歴 史 と伝 統 ゆ え の 強 み を 持 つ と 同時 に, そ う した歴 史 的 な 経緯 が 産 業 と して の 進 歩 の 足 か せ にな って い る こ と も あ った 。 有 田焼 の歴 史 は1616年 に まで 遡 り,朝 鮮 陶 工 李 参 平 が 有 田町 泉 山で 良 質 の 白磁 鉱 を 発 見 し,わ が 国最 初 の 白磁 器焼 成 に成 功 した こ と に始 ま る と され て い る。 そ の 後,有. 田焼 は伊. 万 里 港 か ら積 み 出 され て い た こ とか ら,「伊 万 里 焼 」の 名 で 国 内外 に広 く知 られ る よ う に な る。1653年 か らは,長 崎 の オ ラ ンダ 商 館 を 通 じて ヨー ロ ッパ に も数 多 く輸 出 され る よ う に な り,後 には そ の 製造 技 法 が 当 時 の ヨー ロ ッパ の 陶 磁 器 産 地(ド. イ ツの マ イセ ン窯,フ. ラ. ンス の シ ャ ンテ ィー 窯 や セ ー ブル 窯,イ ギ リスの チ ェル シー 窯 な ど)に 大 きな 影 響 を与 え た。 そ の 後,有. 田焼 は わ が 国 を 代 表 す る陶 磁 器 産 地 と して 発 展 して い く中で,有. 田で は柿. 右 衛 門様 式,古 伊万 里 様 式,鍋 島 様 式 と呼 ば れ る独 特 の 伝 統 技 法 を 確 立 させ て い く。 有 田 は柿 右 衛 門 に代 表 され る よ うな 世 界 的 な 名 声 を 博 す る伝 統 的 な 美 術 品 を 生 み 出す と 同 時 に,他 方 にお い て は,常 して きた。 実 際,有. に新 しい 分 野 へ の 挑 戦 を 試 み な が ら焼 き物 の 産 地 と して 発 展. 田で は 明 治 初 期 よ り他 産 地 に先 駆 けて,い. ち早 く碍 子 の 生 産 に着 手 し. て い る。 また,建 築 用 タイ ル や 化 学工 業 用 陶 磁 器 な どの 生 産 を は じめ,最 近 で はニ ュー セ ラ ミッ クス に よ る新製 品 の 開 発 もす す め られ,ニ. ュー セ ラ ミ ック ス ・フ ァ イ ンセ ラ ミ ック. ス の製 造 ノ ウハ ウを現 在 の 陶 磁 器 製 品 の 高 品 質 化 に応 用 す る研 究 も あわ せ て 進 め られ て い る(4)Q 有 田 で は,江 戸 時 代 か ら一一 貫 して 製 造 ・販 売 の 完 全 分 業 体 制 が 敷 か れ て いた 。 販 売 会 社 に よ る独 自の販 売 ル ー トを 持 つ 一 部 大 手 企 業(岩 尾 磁 器 ・香 蘭 社 ・深 川 製 磁 な ど)を 除 け. (4)有 田焼 に お け る産 業 用 陶磁 器 の生 産 に 関 して は,山 田雄 久(2008)『 香 蘭社130年 香蘭 社 を参 照。 714(1112). 史」 株式 会社.

(7) 大有 田焼振興協同組合の設立 とその背景(山 田 ・筒井 ・吉 川 ・東郷) ば,そ. う した歴 史 の 流 れ を 受 けて,現 在 で も,産 地 卸 売 業 社(約50〜60社)と. 者(約200社)が,個. 々 に製 造 業 者(約200社)と. 産地直売業. 複 数 契 約 して 販 売 す る シ ス テ ムが と られ. て い る。 長 い歴 史 の 中 で 形 成 され た地 域 内 で の 分 業 体 制 は,生 産 効 率 を 高 め,各 生 産 プ ロセ スで の専 門 的技 術 の 水 準 を 高 め,産 地 と して の 競 争 力 を もた ら した 。 しか し,そ う した高 度 の 分 業 体 制 は,各 事 業者 の 規 模 を 一 定 水 準 に と どめ る こ と に もな った 。 結 果 と して,現 在 で も有 田焼 産 地 にお い て は,従 業 員 数20人 程 度 の 小 規 模 事 業 者 が ほ とん ど(20人 未 満 の 事 業 所 が約90%を. 占め る)と い う状 況 とな って い る。. 個 々の小 規 模 事 業 者 が 独 自 に製 造 ・販 売 を 行 う に は,資 金 力 や 販 売 力 等 の 面 で 限 界 が あ った。 また,零 細事 業 ゆ え にそ こで 働 く人 び との 賃 金 も低 く抑 え られ が ちで あ っ た。 そ し て,そ れ ぞ れ 何 代 に もわ た って そ の事 業 を 営 ん で きた た め に,こ れ まで の や り方 に固 執 し て い た り,近 代 的 な経 営 の知 識 や感 覚 が乏 しい とい う点 につ い て も指 摘 さ れ て い た。一一 方, 個 々の事 業 者 だ けで な く,産 地 全 体 と して も,流 通 機 構 が 複 雑 にな って しま って い る こ と や,有 田焼 全 体 と して の 情 報 発 信 力,情 報 収 集 力,販 売 力 の 不 足 が 指 摘 され る よ う にな っ て い た。 さ ら には経 済 全 般 と して,円 高 基 調 で輸 出 が 伸 び悩 み,重 油 や 陶 石 にみ られ る よ う に, 原 材料 が不 足 した り,著 し く価 格 が 上 昇 した りと,経 営 環 境 は厳 し くな って い っ た。 そ し て何 よ り,日 本 人 の ライ フ ス タイ ル の 欧 米 化 や,核 家 族 化 に よ って,従 来 の 有 田焼 が 市 場 に対 して 持 って い た訴 求 力 が 低 下 す る傾 向 にあ った 。 これ らの 問題 に対 して,そ れ ぞ れ は危 機 感 を 持 って いて も,個 々の 事 業 者 と して は対 処 す る術 が ほ とん どな か った。 有 田焼 と して 全 体 を 引 っ張 る リー ダー が 存 在 せ ず,協. 同組 合. も分 業 の 内 容 を 中心 に7つ もの 組 合 が 並 存 して いた 。 つ ま り事 業 者 の 組 織 化 は,窯 元(製 造),卸 売,直 販 な どの有 田焼 の生 産 の機 能 的分 業 の単 位 ま で に と どま り,産 地 全 体 と して の統 一 的 な 活 動 を 推進 す る主 体 が な か った の で あ る。 また,そ. う した 産 地 の 統 一 的 な 主 体. が 存在 しな い とい う こ とは,国 や 県 の 産 業 振 興 施 策 に対 す る窓 口が な い こ と も意 味 した の で あ る。. 3設. 立 当初 における有 田焼産地 の取 り組 み. 高度 成 長 期 に次 々 と指 摘 され た 有 田焼 にお け る問 題 点 を 克 服 す るた め に も,大 有 田焼 振 興 協 同 組合 を設 立 す る にあ た って 数 々の 提 言 が 行 わ れ た 。1960年 代 の 有 田 は 日本 を代 表 す 715(1113).

(8) 第59巻. 第2号. る和 食 器生 産 地 域 と して の地 位 を確 立 し,百 貨 店 や 商 社 を 通 じた 都 市 部 な ら び に地 方 観 光 地 等 にお け る割 烹料 理 店 向 け販 売 が 重 要 な 位 置 を 占め る よ う にな り,戦 前 期 か ら続 い た有 田 商社 に よ る直 売 活 動 の 役 割 が 一 層 高 ま り,有 田が 業 務 用 食 器 の 一 大 産 地 と化 した(5)。 同 時 に都 市 部 で の所 得 上 昇 に支 え られ て,和 食 器 の 需 要 が 都 市 部 の 一 般 家 庭 を 中心 に増 大 し,陶 器小 売 店 や百 貨 店 で 高 級 陶 磁 器 の 代 表 格 とな った 有 田焼 の 売 り上 げが 拡 大 し続 け た。 和 食器 分 野 にお け る大 量 生 産 体 制 が 整 え られ る につ れ て,こ れ ら有 田焼 販 売 ル ー トの 拡 充 と,一 般 消 費者 を ター ゲ ッ トに した 新 た な 商 品 の 開 発 が,産 地 全 体 の 極 めて 重 要 な 課 題 と して認 識 され た の で あ る。 量 産 技 術 の 発 展 に応 じた 新 た な 上 絵 転 写 や プ リン トな ど の 新 技 法 が導 入 され る一 方,日 本 全 国 にお け る有 田焼 ブ ラ ン ドの 拡 充 と,有 田焼 そ の もの の 内 容 の 深化(製. 品 の 品 質 向 上 と生 活 様 式 の 変 化 に と もな うデ ザ イ ン開 発)が 求 め られ る消. 費者 重視 の 時 代 に突 入 した。 表2有 一. 田 ・波 佐 見 町 の 生 産 設 備(昭 和55年). 一 一 一. 一一 設. ミ 重 ∫ 由 窺 シ ヤットル麻 ト ン ネ ル無. 電. 気 勲. ガ. ス 魚. 真空土繍櫨. 備. 近'代. 型 甑 燥 機. 古数. 台 数. 金. 額 3{浦29. 臼. 2Jl1. 2与 、611. 翁. 4,1ε. 舘. の 他. 合. 額. 16 4 5 44 2a. ク ラ ッ シセ. ル. 金. lo9,Ol4. 計 一一 1256 一. 16. 1,呂72 1且1.9"8 16,14呂. 29. 一 4a56呈. 1呂. 1. 100. 呂. 1. 24. 14. 菖.911. 10野. 馨. 4 1 ?. 1,152 9呂 ε 40. 麗. 4327. 題 一 一 4能. 書 1. 1,25騒. 鼎. 年. 倉 数一一金. 言lo91. 君 5呂 書o 9,619 2 77 一 一 一一 一一. 4,587 2"1152. 設備 貸 与資金 一 一 波 佐 見町(41〜4⑳ 一一. 鵬. そ. ミ. 1. 金. 波佐見町(舗 〜4呂)年. 6 34 9 4. コ ン 吋 ア ー. 資. 有 ヨ一 町(聞 〜47年) 一一. 一. 成 乾. 化. 9血 9呂 詔21. 臥244 1野.曾43. 1. H94,19了. 11 1麗. 呂25 22,775. 14. 9毒 臼. 47. 5,臼64 一. 〔 出 所〕 佐 賀 県 中 小 企 業 団 体 中 央 会 ・肥 前 陶 磁 器 商 工 協 同組 合,「 「有 田 焼 」 の 現 状 と問 題 点 一昭 和 51年. (1)販. 度 組合 等 直 面 問 題 調 査 研 究 事 業 報 告 書 一』1977年,46頁. 。. 売力の強化. 1960年 代 に次 々 と設 置 した 重 油 窯 に続 き,1967年 た 有 田 の 窯焼 メー カー(有. 以 降 ガ ス窯 や 電 気 窯 を 積 極 的 に導 入 し. 田で は歴 史 的 に,窯 元 の 経 営 体 を 窯 焼 と呼 ん で きた)で. は,乾. 燥 機 を 利 用 す るな ど工 場 生 産 設 備 の 拡 充 強 化 に力 を 注 いで 生 産 能 力 の 増 強 に成 功 し,1973 (5)昭 和40年 代 に お け る有 田焼 の生 産 動 向 に つ い て は,高 津 斌 彰(1969)「 地 方 中小 企 業 の 存 立 形 態 とそ の基 盤 」(『経済 地 理 学年 報 」15‑2)を 参 照。 ‑716(1114)一.

(9) 大有 田焼振興協同組合の設立 とその背景(山 田 ・筒井 ・吉 川 ・東郷) 年 には5年 前 と比較 して2倍 以 上 の 生 産 能 力 を 有 す る に至 った(表2参. 照)。有 田焼 は量 産. 技 術 に基 づ くコス トダ ウ ンを 実現 す る こ とで,効 率 的 に一 般 向 け食 器 を 次 々 と生 産 す る こ とが 可能 とな り,よ り安 価 で 日常 生 活 に対 応 した 商 品 の 生 産 へ と シ フ トした の で あ る。 高 度 成 長 期 にお け る有 田焼 の 生 産 体 制 に対 応 しな が ら も,い か に して 有 田焼 を 大 量 に市 場 へ 投 入 し,販 売 す るか とい う新 た な 課 題 に直 面 して いた 。 以 上 の産 地 にお け る動 向 に対 応 して 商 社 に よ る新 た な ル ー ト開 拓 が 進 め られ た が,そ れ は 同 時 に,窯 焼 に よ る都 市 向 け商 品 の 開 発 を 商 社 が 支 援 す る こ と につ な が り,産 地 全 体 と して 有 田焼 の 流 通機 構 を どの よ う に整 備 拡 充 し,柔 軟 か つ 強 力 な 販 売 力 を 強 化 して い くか とい う新 らた な 課題 に も取 り組 む必 要 が 強 ま った 。 有 田焼 卸 商 業 協 同組 合 だ けで な く,有 田焼 直 売 協 同 組 合,佐 賀 県 陶 磁 器工 業 協 同 組 合,肥 前 陶 磁 器 商 工 協 同組 合 の4組 合 が 相 互 に連 携 す る形 で 有 田焼 の販 売 力 全 体 を 強 化 す るた め の 取 り組 み が 進 め られ た 。 流 通 委 員 会 にお い て,株 式 会社 香 蘭社 社 長 の 深 川 正 氏 が 尽 力 し,1979年. に開 始 した 三 越 の 大 有 田焼 展. な どが,そ の 代 表 的事 例 と して 指 摘 で き る。. (2)商. 品企画力の強化. 高度 成 長 期 以 降,都 市部 を 中 心 に,地 方 で も人 々の ライ フ ス タイ ル が 大 き く変 化 しつ つ あ る状 況 の な か で,消 費者 の 趣 味 や 嗜 好 は ます ます 多 様 化 し,陶 磁 器 にお いて も デザ イ ン や形 状 の 面 で,他 の素 材 や フ ァ ッシ ョンの 影 響 を 受 けた 新 しい トレン ドが 生 まれ る よ う に な った。 生 活水 準 の上 昇 に と もな って 一般 消 費 者 が 買 い求 め る商 品 は高 級 志 向 の もの と な り,製 品 の差 別 化 に基 づ い た オ リジナ ル ブ ラ ン ドの 創 出 も,各 メー カー の 戦 略 と して 重 要 な 要素 と して 取 り上 げ られ た。 窯 焼 は商 社 か ら市 場 で の 情 報 を 受 けて 製 品 開 発 を 進 め る よ う にな り,有 田焼 全体 と して も,市 場 動 向 や 一 般 消 費 者 の 需 要 動 向 を 正 確 か つ 迅 速 に と ら え て 商 品 開発 を試 み る こ とが 期 待 され た 。 商 品 開発 を 担 うデ ザ イ ナ ー や 商 社 の ス タ ッフが 担 うべ き役 割 は ます ます 高 ま り,価 格 に よ る差 別化 や 商 品 ライ ンナ ップの 拡 大,新 規 商 品 の 提 案 等,販 売 戦 略 の 側 面 で 不 可 欠 な 取 り組 み と して認 識 され た。 商 品 につ い て は,グ リジナ ル 商 品,あ. ッ ドデ ザ イ ン商 品,あ. る い は作 家 に よ るオ. るい は プ リン ト製 品 との 差 別 化 に よ る手 描 き工 芸 品 と して 識 別 す る た あ. の 商標 を 付与 す る こ とが 求 め られ,こ れ ら販 売 品 に対 す る統 一 的 な 産 地 ブ ラ ン ドが 必 要 と な った。 デ ザ イ ン講 習 会 の 実 施,さ. ら に はデ ザ イ ン会 議 の 開 催 な ど,産 地 ブ ラ ン ドと して. の戦 略 を討 議 す る と同 時 に,各 種 技 法 につ いて の 実 技 研 修 会 や 共 同研 究 開 発 を 進 め る こ と が立 案 され,組 合 設 立 後 に各 種事 業 と して 実 現 した 。 717(1115).

(10) 第59巻. 第2号. 具 体 的 には,「 過 去 の 優 れ た デ ザ イ ンを 基 礎 と した 新 しいデ ザ イ ンの 開 発 」や 「都 会 に お け る住 宅 様 式,家 具,照 明,服 装,家 庭 用 品,雑 貨 品 との 関 係 に よ る研 究 」,そ して 「若 年 女 子 の 色彩 感 覚,行 動,価 値 観 を考 慮 」 し,「形 は まず 機 能 性 が 問 題 で あ り,住 宅 様 式 や 家 庭 用 品,家 具 什器 との 関連 」 に着 目 した 商 品 開 発 が 組 合 事 業 にお いて 重 要 な 課 題 とな りつ つ あ った。 都 市 の生 活 に対 応 して,消 費 者 の 需 要 動 向 はマ イ ホー ム主 義 に代 表 され,単 純 な線 と淡 い色 彩,明. る くて や わ らか い 色,ま. るみ と甘 さを 感 じさせ る形,温 か み の あ る色. 彩 が 求 め られ る よ う にな り,有 田焼 の 高 級 感 に加 え て,機 能 性 や 独 創 性 な どの 新 しい要 素 を加 え る こ とが必 要 との認 識 に到 達 して いた 。 大 有 田焼 振 興 協 同 組合 発 足 当 初 の 有 田町 で は,主 と して 生 産 者 → 産 地 卸 売 業 → 消 費 地 卸 売 業→ 小 売 業→ 消 費者 の ル ー トに よ って 陶 磁 器 が 流 通 し,商 品 情 報 につ いて はそ れ らの 逆 の動 き と して 消 費地 か ら生 産者 に まで 届 くこ と にな るた め,多 段 階 的 な 流 通 プ ロ セ スの 弊 害 と して,消 費者 か らの 情 報 は直 接 生 産 者 に伝 わ らな い点 が ネ ック と され て いた 。 産 地 商 社 や 窯焼,メ. ー カ ー が相 互 に情 報 を 共 有 しな が ら調 査 ・研 究 を 行 い,各 業 者 が 相 互 に交 流. す る こ とで産 地 の 販 売戦 略 を め ぐる協 議 が 可 能 とな り,有 田焼 ブ ラ ン ドの 構築 が 進 む こ と は確 実 な状 況 にあ った。 以 上 の産 地 にお け る販 売 力 ・商 品 企 画 力 の 強 化 を 図 るた あ,オ イ ル シ ョ ック以 降,伝 統 産 業 にお け る人 材育 成 や ニ ュー セ ラ ミ ック ス分 野 にお け る技 術 開 発 な ど,産 地 全 体 と して 取 り組 む べ き課題 につ い て も取 り上 げ られ た 。 組 合 組 織 や 佐 賀 県 関 連 施 設 で み られ た 旧来 か らの人 材 育 成 や 技 術 開 発 に加 え,伝 統 産 業 の 枠 を 超 え て ハ イ テ ク分 野 を 見 据 え たセ ラ ミ ッ ク産 業 と して 発 展 し続 け るた め の戦 略 策 定 を 進 め るべ く,大 有 田焼 振 興 協 同組 合 が 真 っ 向 か ら各 種事 業 に取 り組 む こ と とな った 。. (3)後. 継者の育成. 高度 成 長 期 にお け る工 場 拡 張 を 受 けて 職 工 労 働 者 の 需 要 が 急 速 に拡 大 した た め,近 隣 地 域 か らの 労 働 供給 を通 じて 陶 磁 器 メー カー は従 業 員 の 確 保 を 急 いだ 。 工 場 設 備 の 拡 充 も著 し く,焼 成 につ い て も重 油 窯 か らガ ス窯 へ と変 化 した が,成 形 か ら絵 付 まで の 加 工 作 業 で は人 力 に よ る工 程 も未 だ 多 く残 り,伝 統 産 業 を 維 持 す るた あ に は一 定 の 従 業 員 を 確 保 す る こ とが必 要 で あ った。 また 有 田町 内 の 人 材 が 都 市 部 へ と流 出す る動 きが 高 ま り,従 業 員 の 高齢 化 が進 む と同 時 に,婦 女 子 を 中 心 と した 労 働 力 の 比 重 が 高 ま る傾 向 に あ った 。 と りわ け,ロ ク ロや 手 描 きの 絵 付 け工 程 につ いて は熟 練 した 有 能 な 職 工 に依 存 しな けれ ば な らず,伝 統 工 芸 品 を は じめ とす る高 付 加 価 値 の 陶 磁 器 に関 して は,一 子 相 伝 の 製 造 技 718(1116).

(11) 大有 田焼振興協同組合の設立 とその背景(山 田 ・筒井 ・吉 川 ・東郷) 法 や 窯焼 独 自の製 品 デ ザ イ ン は勿論 の こ と,有 田焼 独 自の 秘 法 とな る 「もの づ く り」 と し て の技 能 を継 承 す る人 材 につ い て も一 定 数 確 保 しな けれ ばな らな か った 。 産 地 全 体 の 問 題 と して経 営者 や 技 術者 を は じめ,伝 統 産 業 の 担 い手 とな る後 継 者 の 育 成 に対 して も,現 状 にお け る問題 把 握 や そ れ ら に対 応 した 改 善 策 につ いて 具 体 的 に議 論 を 交 わ す 段 階 に は至 っ て お らず,有. 田町 にお け る世論 の 高 ま りを 受 け る形 で,佐 賀 県 立 有 田工 業 高 等 学 校 に代 わ. る専 門 教育 機 関 の設 置,さ. ら に は優 秀 な 若 い人 材 を 積 極 的 に登 用 す るた めの 職 場 環 境 の 整. 備 を進 め る必 要性 が 強 く認 識 され た。 この よ うな 伝 統 産 業 地 域 にお け る後 継 者 育 成 の 機 運 が 高 ま る中 で,有 て,1985年. 田の 窯焼 経 営者 や 伝 統 工 芸 士,有. 田焼 作 家 を 育 成 す る専 門 教 育 機 関 と し. に成形 ・装飾 技 法 の 体 系 的 な 教 育 プ ロ グ ラ ムを 提 供 す る佐 賀 県 立 有 田窯 業 大 学. 校 が誕 生 した。. (4)産. 業 構 造 の 高 度 化 と管 理 中枢 部 の 形 成. 1960年 代 にお け る工 場 設 備 の 増 設 は,製 造 業 者 の 生 産 効 率 を 飛 躍 的 に高 め る と 同時 に, 生 産 活 動 で必 要 な 電 力 や石 油 等 の エネ ル ギ ー コス トが経 費 全 体 に 占め る比 重 を増 大 させ た。 石 炭 か ら石 油 へ の転 換 に続 い て,石 油 価 格 の 上 昇 に伴 う諸 費 用 の 増 大 が 商 品 価 格 に影 響 を 与 え る こ と とな り,ア ジア 諸 国 で 作 られ た 製 品 との 価 格 競 争 に さ ら され た 。 日本 経 済 全 体 が オ イ ル シ ョッ ク に伴 う省 エ ネ 技 術 の 開 発 に力 を 注 ぐ中で,有. 田焼 にお いて も産 業 構 造 の. 高度 化 に よ る競 争 力 の 強 化 を 図 り,海 外 諸 国 との 市 場 競 争 に打 ち勝 つ た めの 技 術 力 を備 え る必 要性 にせ ま られ て い た。 有 田焼 は1960年 代 まで鉄 道輸 送 に よ って 全 国 の 都 市 部 へ と大 量 に運 ばれ,都 市 部 消 費 地 の 商社 を通 じて 全 国 各地 の 小 売 店 へ と商 品 が 移 送 され た 。 昭 和40年 代 に は各 地 の 道 路 が 整 備 され,モ ー タ リゼ ー シ ョンの 利 便 性 が 高 ま り,量 高 とな る陶 磁 器 につ いて も,と. りわ け. 都 市 部 の み な らず地 方 へ の 直 接輸 送 が 流 通 コ ス トの 削 減 につ な が り,遠 方 の 観 光 地 や 景 勝 地 に位 置 す る旅 館 で 用 い た 割 烹 食 器 類 も,有 田の 卸 商 社 を 通 じて 直 接 地 方 へ と販 売 す る動 きへ とつ な が った。 有 田焼 の 直 売 が 進 む につ れ て 産 地 卸 商 の 積 極 的 な 活 動 が 目立 つ よ う に な り,1974年. には 有 田焼 卸 団地 が 誕 生 して,都 市 向 け商 品 の 大 量 出荷 だ けで な く,地 方 百. 貨 店 や小 売 店 へ の販 売 につ い て も産地 商 社 が 直 接 担 い,有 田焼 の 流 通 再 編 が 加 速 した と考 え られ る。 大量 生 産 の 時 代 に入 る と,鉛 毒 問 題 や 低 品 位 窯 業 原 料 の 有 効 活 用 へ の 対 処 も求 め られ, 配 合 原料 の 積極 的導 入 が 図 られ る こ と に よ り,単 独 の 窯 焼 メー カー で の 動 き に は限 界 が 生 じ始 め た。 と りわ け有 田町 と隣 接 し,有 田焼 の 陶 磁 器 生 地 の 供 給 地 を 担 った 長 崎 県 波 佐 見 719(1117).

(12) 第59巻. 町 の 陶磁 器産 地 と連携 を進 め る うえ で,有. 第2号. 田焼 の 業 界 全 体 と して の 体 質 改 善 や 新 たな 取 り. 組 み が 重 要 な意 味 を 持 ち始 め た。 小 規 模 窯 焼 に よ る生 産 能 力 の 向 上 を 受 けて,陶 磁 器 の 集 荷 を行 う産 地 商社 の オ ー ガ ナ イ ザ ー 的 機 能 も次 第 に増 大 し,製 造 業 者 と商 社 そ れ ぞれ の 組 合 が 有 す る意 義 も高 ま りを み せ,各 組 合 の 独 自的 機 能 を 尊 重 しつ つ 有 田焼 の 産 地 全 体 が 発 展 して い くた め の 協 働 的事 業 を 推 進 す る組 織 や 団 体 が 必 要 と され た の で あ る。. (5)知. 識集約化事業の推進. 1971年5月. に産 業 構造 審 議 会 が 出 した 中間 答 申 「70年代 の 通 商 産 業 政 策 』 にお いて 「知. 識 集 約 化」 の 提 唱 が な され,大 企 業 の み な らず 中小 企 業 にお いて も 「知 識 集 約 化 」 を 通 じ た産 業 構 造 の 高 度 化 に対 す る問 題 解 決 が 期 待 され た 。「知 識 集 約 化 」 とは,① 新 製 品 や デザ イ ンの 開発,② 技 術 開 発 を 通 じた 高 級 化 ・高 加 工 度 化,③ 省 エ ネ 化 の 推 進,④ 情 報 収 集 に よ る市 場 開発,⑤. 原料 の 有 効 利 用 と新 原 料 開 発,⑥ 研 究 開 発 を 通 じた 知 的 経 営 活 動 の 活 発. 化 等 の取 り組 み を意 味 して い た。. 図3大. 有 田焼 振 興 協 同組 合 の組 織 図 (注)筒 井孝司作成資料。 一720(1118)一.

(13) 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 設 立 とそ の 背 景(山. 大 有 田焼 振興 協 同 組合 の 組 織 図 を 示 した 図3に. 田 ・筒 井 ・吉 川 ・東 郷). あ る よ う に,有 田で も産 地 ぐるみ で 積 極. 的 か つ 計画 的 に推進 す る こ と に よ り,産 地 の 現 状 と問 題 点 を ふ まえ な が ら,そ れ ぞれ の 小 異 を捨 て,産 地 進 展 の た め 結 束 して 長 期 的 視 野 に立 った 具 体 的 対 応 策 の 検 討 を 加 え,伊 万 里 ・有 田焼 産 地 全体 の大 同 につ い た 業 界 と公 共 機 関 の 協 調 体 制 を 整 え る こ とが 求 め られ た の で あ る。 有 田商工 会議 所 会 頭 岩 尾 新 一 氏 が 中心 とな り,有 田焼 会 館 建 設 促 進 委 員 会,そ して 有 田焼 開 発促 進 委 員 会 にお い て,有. 田焼 知 識 集 約 化 事 業 の 必 要 性 が 説 か れ た 。 有 田焼. の業 者 が業 界 全体 の 利益 を 考 え,他 産 地 との競 争 に打 ち勝 ち な が ら消 費 者 の ニ ー ズ に応 え, あ る時 点 で は一 企 業,一 業 種 に と って 不 利 益 が 生 じ,た とえ 都 合 の 悪 い こ とが 起 こ ろ う と も,産 地 全 体 の 浮 揚 を 図 る こ とで,結 果 的 に各 事 業 者 が 適 正 な 利 益 を 享 受 で き る よ うな シ ス テ ム を構 築 す る こ とが 不 可 欠 と考 え た の で あ る。. 4大. 有 田焼振興協同組合の事業活動. 大 有 田焼 会 館 の設 置 に よ って,産 地 ぐるみ の 取 り組 み が 組 合 発 足 当 初 よ り次 々 と試 み ら れ た。 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 を め ぐる業 界 と各 組 合 との 関 係 を 示 した 図3に み られ る よ う に,共 同事 業 を 推進 す るた め の 組 織 と して 組 合 内 に設 置 され た 総 務 委 員 会 を は じめ,開 発 委 員 会 ・流通 委 員 会 ・労務 委 員 会 ・情 報 化 推 進 運 営 委 員 会 が,上 記 に掲 げた よ う な有 田焼 産 地 にお け る産 業 構 造 の 高 度 化 を 実現 す るた め の 諸 活 動 に取 り組 ん だ 。 これ らの 組 合 組 織 は,先 の 図2に 示 した よ うな 有 田焼 開 発 促 進 委 員 会 にお け る専 門 委 員 会 を 発 展 させ た も の で,産 地 全 体 と して の共 同事 業 を 強 力 に推 進 す る上 で の 重 要 な 拠 り所 とな り,業 種 間 の 利 害 や 対立 を超 え て,産 地 の 知 識 集 約 化 を 実 現 す るた め の 新 規 事 業 を 展 開 す る,専 門 家 集 団 の 活動 機 関 と して十 二 分 に機 能 した もの と考 え られ る。 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 を設 置 す る にあ た って,有. 田焼 開 発 促 進 委 員 会 で は産 地 振 興 に必. 要 な事 業 の 計 画 や そ の た め の 情 報 収 集 が 必 要 で あ る こ と,有 田焼 の 流 通 ・生 産 に関 連 す る 小 規 模 事 業 者 を 多 数束 ね る中 心 的 組 織 と して 発 足 す る こ とが 指 摘 され て いた 。 発 足 当初 は 佐 賀 県 陶磁 器 工 業 協 同 組合,有. 田焼 直 売 協 同 組 合,有. 田焼 卸 商 業 協 同組 合,肥 前 陶 磁 器 商. 工 協 同 組合 の4団 体 の メ ンバ ー が 参 加 す る形 を と り,図3に. 明 示 した よ う に,そ の 後 事 業. を続 けて い く中 で,佐 賀 県 陶 磁 器 錦 付 協 同 組 合,伊 万 里 ・吉 田焼 窯 元 協 同組 合,肥 前 陶 土 工 業 協 同 組合 な どの 関 連 団 体 の メ ンバ ー を も巻 き込 み な が ら,有 田焼 に関 わ る全 て の 業 者 が 関 わ る連 合 体 と して 活 動 を 展 開 した こ とが 窺 え る。. 721(1119).

(14) 第59巻 〔 資 料1〕 「1.組. 第2号. 大 有 田焼 振 興 協 同組 合 骨 子(案) 合 の 根拠 法. 中小 企業 協 同 組合 法 2.事. 業協 同組合の名称 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合. 3.事. 業 所 所 在地 有 田 町 中部 丙954番. 4.会. 地(敷 地 面 積 約1170坪). 館 の名称. 大 有 田焼 会 館(建 物 面 積 約413坪) 5.事 ①. 業の内容. 産 地 の 均 衡 あ る発 展 とそ れ に基 づ く関 係 住 民 の 生 活 安 定 に必 要 と され る振 興 策 の 決 定 と実 施. ②. 業 種 間 の意 見調 整. ③. 有 田焼 の輸 出 増進 に必 要 な 計 画 の 実 施. ④. 有 田焼 の広 告 宣 伝,消 費地 で の 催 し物 へ の 協 力. ⑤. 消 費地 にお け る経 済 指 標 の 情 報 収 集 とそ の 周 知,並. び に有 田焼 産 地 の 定 期 的 な 実 態. 調 査 と資料 作 成 ⑥. そ の他 有 田焼 産 地 振 興 に必 要 な事 業 の 計 画 と実 施. 6.設. 立 の 時期 昭和54年3月. 7.組. 末 日 まで 設 立 登 記 完 了. 合員. 地 区 内(有. 田町 ・西 有 田町 並 び に 山内 町)の 小 規 模 事 業 者. ①. 中小 企 業 協 同 組 合 法 に基 い て 設 立 され た 事 業 協 同 組 合. ②. 目的 に賛 同 して 参 加 す る地 区 内 に事 業 所 を 有 す る小 規 模 事 業 者 で,有. 田焼 の 流 通,. 製 造 に関連 す る事 業 者 ③ 8.組. そ の他 理 事 会 又 は 代 表者 会 にお い て 承 認 され た 事 業 者 合設立 の構成員. 佐 賀 県 陶磁 器 工 業(協)有. 田焼 直 売(協)有. 田焼 卸 商 業(協)肥. 前 陶磁 器 商 工(協). を も って設 立 発 足 す る。 発 起 人(案) 有 田焼 産 地 ぐるみ 態勢 の確 立 と推 進 を め ざす 各 関 連 業 種 の 代 表 を も って 積 極 的 参 加 の 意 722(1120).

(15) 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 設 立 とそ の 背 景(山. 田 ・筒 井 ・吉 川 ・東 郷). 思 を 有 す る事 業 者 に よ る。. 役職名. 氏名. 理事 長. 中島政司. 肥 前 陶磁 器 商工 協 同 組 合. 同. 山口秀市. 有 田焼 直 売 協 同 組合. 同. 杉本覚二. 有 田焼 卸 商業 協 同 組 合. 同. 山本義幸. 有 田 陶磁 器 錦 付 協 同 組合. 同. 石丸幸市. 有 田 陶磁 器 生 地 協 同 組 合. 同. 仁戸 田光春. 団体 又 は企 業 名 佐 賀 県 陶磁 器工 業 協 同 組合. 重 要無 形 文 化 財. 酒井 田柿右衛門 今泉今右衛門. 同 岩 尾 磁 器 工 業(株). 社長. 岩尾新一. 深 川 製磁(株). 同. 深川明. (株)香 蘭 社. 同. 深川正. (有)源 右 工 門 窯. 同. 金子源. (株)肥 前 有 田仁 和 窯. 同. 小畑秀広. 西松 浦通 運(株). 同. 金ケ江繁男. ア サ ヒ段 ボ ー ル(株). 同. 田中裕登. 前 田工 芸社(株). 同. 前 田義己. 泉 山精 土(株). 同. 松本康. 横 田 窯業(有). 同. 横 田重己. 岸 川絵 具 店(有). 同. 岸川吉次. 9.出 ①. 資 1事 業所 当 り100分 の25ま で。. ②1口10,000円. と し, 上 記 限 度 額 以 内。. ③. 初年 度 末 は 出 資額 を10,000千 円 を 目標 と し,5年. 以 内 に50,000千 円 を め ざす 。. ④. 出 資 は 申込 書 に よ り, 払 込 み 条 件 等 記 入 の うえ 同 業 種 団 体 を 通 じて 組 合 に 申 出 る。. ⑤. 出 資金 の 徴 収 は, 同業 者 団 体 が 窓 口 とな って 行 う。. 10.賦 課 金 ①. 毎 年 度, 協 同 組合 運 営 に要 す る費 用 の う ち, 使 用 料 また は手 数 料 を も って あて る も の を 除 き賦 課 金 を 課 す る。. 723(1121).

(16) 第59巻. ②. 第2号. 特 定 の事 業 又 は催 し もの に参 加 す る もの に対 して,協. 同組 合 の み の 負 担 を も って 充. て る もの が適 当 で な い もの につ い て は,機 関 協 議 の うえ 特 別 賦 課 金 を 課 す る。 ③. 上 記 ① ② の賦 課 金 は,各 業 種 代 表 に よ る査 定 委 員 会 の 決 定 を も って 各 事 業 者 の 客 観 的 な 能力 差 を 勘案 して 決定 す る。. 但 し,賦 課 金 に限 り当分 は全 体 の 運 営 状 況 にみ あ う費 用 につ いて,均 等 に分 担 す る こ と も考 慮 す る。 11.議 決権 1人1票. とす る。. 12.総 代 会 ①. 有 田焼 に関 連 す る事 業者 の う ち,同. じ業 種 に属 す る もの の 代 表 を 概 ね 次 の 割 合 で 選. 出 し,総 代 会 を 組 織 す る。 ②. 総 代 会 は 総 会 に代 り,組 合 の 解 散,合 併 また は事 業 の 全 部 の 譲 渡,並 必 要 と認 め る事 項 につ い て 議 決 す る。. ③. 業 種 別 に概 ね,次 の とお り とす る。55名 以 上,65名 製造部. 10名. 事 業 協 同 組合 部. 5名. 卸 売部. 10名. 小売部. 10名. 完結 部. 7名. 作 家部. 2名. 加 工 部(錦. 付, 生 地,石. 原材 料 部(絵 具, 窯 材,陶 包 装 資材 部(木. こ う 型, 土,. 鉄 工,築. 燃 料,石. 箱, ダ ン ボ ー ル, 荷 仕,そ. 運輸部. 以内. 炉). 6名. こ う). 5名. の 他 包 装 資 材). 1名. 13.役 員 ①. 理事. 20人 以 上25人. 以内. 但 し員 外 理 事 は2名 以 内. ②. 監事. 3人 以上5人. ③. 役 員 の 任 期 は3年. ④. 役員 は総 代 会 にお い て 選 挙 す る。. ⑤. 理 事 長(1人),. 以内. 但 し員 外 監 事 は1名 以 内. とす る。. 専 務 理 事(1人)は,理. 事 会 で選 任 す る。. 724(1122). 4名. び に理 事 会 で.

(17) 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 設 立 とそ の 背 景(山 14.顧. 田 ・筒 井 ・吉 川 ・東 郷). 問 学 識 経 営 者 の う ち か ら,理. 事 会 の 議 決 を 経 て,理. 組合 設 立 時 の 骨 子 を示 した 〔 資 料1〕. 事 会 が 委 嘱 す る(6)。 」. に よれ ば,組 合 の 設 立 委 員 会 の メ ンバ ー と して 各. 組合 の理 事 長 を は じめ,作 家 グル ー プの 代 表 とな る酒 井 田柿 右 衛 門 ・今 泉 今 右 衛 門,さ. ら. に完結 メー カ ー と して岩 尾 磁 器 ・深 川 製 磁 ・香 蘭 社 ・源 右 衛 門 窯 ・仁 和 窯 の 社 長 が 名 を 連 ね,有 田 町 を 挙 げ て の大 有 田焼 会 館 建 設,大 有 田焼 振 興 協 同組 合 の 設 立 に乗 り出 した 当時 の 有 田 の状 況 を 見 て 取 る こ とが で き る。 また 美 術 陶 磁 器 や 日用 食 器,料 亭 用 割 烹 食 器 に加 え て,工 業 用 陶磁 器 の生 産 にお い て も戦 後 の 有 田 は急 速 な 成 長 を 遂 げ,耐 酸 磁 器 や タ イル な どの建 材 を生 産 す る岩 尾 磁 器 や 代 表 的 碍 子 メー カー の 一 つ で あ る香 蘭 社,そ イ ル生 産 の老 舗 で あ った 有 田 タイ ル も組 合 メ ンバ ー と して の み な らず,有. して 磁 器 タ. 田の リー デ ィ ン. グカ ンパ ニ ー と して 産地 を リー ドす る役 割 を 担 った の で あ る。 この動 きは 有 田商工 会議 所 を 中 心 に活 動 を 展 開 した 大 有 田焼 振 興 会,そ. して そ れ らの 販. 売 力 強化 に対 す る動 きへ とつ な が った 「柿 右 衛 門 」 里 帰 り展 の 活 動 と東 ドイ ツ訪 問 団(香 蘭 社 の 深 川正 氏 が 中 心 とな って 渡 欧 し,海 外 に多 数 残 る有 田焼 を 日本 へ 里 帰 りさせ る プ ロ ジ ェ ク トとな った 「七 人 の 侍 」 の メ ンバ ー た ち)に お け る斬 新 な 試 み の 数 々を 通 じて 実 現 で きた と考 え られ る。 製造 部 門 と販 売 部 門 が 一 致 協 力 す る形 で 有 田焼 の マ ー ケ テ ィ ング ・ ブ ラ ン ドを 高 め る取 り組 み は大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 事 業 へ と受 け継 が れ る形 で 具 体 化 し て行 き,1980年. 〔 資 料2〕. 代 にお け る有 田焼 の 全 盛 期 へ とつ な が った 。. 岩 尾 新 一 「有 田窯 業 圏 の提 唱」. 「有 田 を 中心 とす る 「広 域 窯 業 圏 の 整 備 構 想 」の報 告 会 が最 近 開 か れ た。佐 賀 経 済 調 査 会 へ 依 頼 し,福 島 大 学 の 下平 尾 先 生 に委 嘱 した 報 告 書 の 報 告 会 で あ る。 私 は,現 下 の 経 済状 勢 を 判 断 して 一 応 四 十 八 年 を 以 って 高 度 成 長 時 代 が 終 焉 した もの と 考 え て い る。 日本 及 び 有 田地 区 は この 不 況 ムー ドの 到 来 が 遅 か った と は云 え こ こ両 三 年 に 到 って漸 く顕 著 に基盤 の変 化 が 見 られ,世 界 的 に も 日本 で も有 田焼 で も凡 て の 企 業 も個 人 も業 種 も何 か 新 し く開 発 せ ざ る企 業 は危 機 を 迎 え,販 売 に商 品 開 発 に技 法 技 術 開 発 に成 功 した企 業 は む し ろ飛 躍 的 に急 伸 す るい わ ゆ る格 差 時 代 に入 った 。 公 共 投 資 指 導 型 は行 き詰 ま り民 間 の 活 力 を イ ノベ ー シ ョン に よ り引 き出 す 外 はな い と確 信 す るが,こ の 報 告 を聞 い て この個 々の 民 間 の 力 の 外 に地 方 広 域 の 互 助 啓 発 に よ って 総 合 的 に いわ ゆ る地 方 の 時 代 と (6)有. 田焼 開発 促 進 委 員 会(1979)「. 第2回. 有 田焼 会 館 建 設 検 討 委 員 会 資 料」 を参 照 。 725(1123).

(18) 第59巻. 第2号. して一 つ の 活 力 の 源泉 とな る考 え 方 が あ る事 を 知 ら され た 。 戦 後 の 歴 史 を 十 年 毎 に振 り返 って み る と三 十 年 前 は漸 く敗戦 の 傷 が 癒 え て 食 糧 安 定,鉄,電 ら都 市 中心,サ. 力 の 基 礎 資 材 の 落 ち着 きか. ラ リー マ ン謳 歌 時 代 とな り,三 十 八 年 頃 か ら は 中小 企 業 の 集 団 化 や 新 産 都. 市 の誕 生 に よ り高 度 成長 ム ー ドの 満 喫。更 に十 年 後 四十 八 年 を契 機 と して オ イ ル シ ョ ッ ク, 低 成 長 時代 に突 入。 更 に この 五 十 八 年 に は何 か を 変 化 させ な けれ ば立 ち行 か ぬ 現 在 の 時 代 に入 った訳 で あ るが,こ の 場 合,今 迄 の 行 政 中心 の 広 域 で はな く窯 業 と云 う業 種 を 中心 と した広 域 経 済 圏形 成 の 力 に よ り地 方 の 時 代 の チ ャ ン ピオ ン と して,有. 田が 一 つ の 新 しい活. 力 を実 現 し得 る能 力 と資格 の あ る事 を 指 摘 され 大 変 大 きな 示 唆 を 受 けた 。 先 般 日本 に於 け る伝 統 産 業 観 光 の 町 と して 石 川 県輪 島 と共 に最 有 力 との 太 鼓 判 を 押 され,こ. こ に ま た,新. しい 窯 業 圏 中 心 の 広 域 都 市 形 成 の 第 一一 候 補 と して 挙 げ られ る こ と は大 変 愉 快 で あ る。 私 共 は,こ の地 方 的 実 践 に よ り経 済 振 興 の 活 力 の 掘 り起 こ しに前 進 す べ く,協 力 し推 進 す る こ とを意 識 し努 力 す べ き立 場 に立 って い る様 で あ る。」7. 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 活 動 が軌 道 に乗 った1983年 に は,〔 資 料2〕. に み られ る よ うに,. 組合 創 設 時 の リー ダ ー で あ った 岩 尾 氏 が,企 業 レベ ル で の 新 しい開 発 の 動 きや 経 営 革 新 が 必 要 と され る時 代 に入 った と主 張 して い る。 地 方 で の 広 域 に及 ぶ 相 互 依 存 的 発 展 が 期 待 さ れ る こ とを 指 摘 す る こ とで,「 有 田窯 業 圏 」の形 成 が 陶磁 器 産 地 そ の もの を成 長 ・発 展 させ る とい う ビ ジ ョンを 強 く提 唱 した もの で あ る。 有 田の 長 年 にわ た る業 界 調 査 を 通 じて 有 田 焼 の産 業構 造 を 分析 して きた 下 平 尾 教 授 の ア ドバ イ スを 受 け,有 田で は さ らな る陶 磁 器 産 地 の 発 展 を 目指 して知 識 集 約 化 とい う コ ンセ プ トに基 づ いた 業 界 発 展 の 方 向 性 につ いて, 組 合 の メ ンバ ー で議 論 が交 わ され た。 有 田焼 の 各 組 合 の リー ダー を 中心 と して,有. 田の 歴. 史 的 窯 元 ・窯焼 メー カー で 活 躍 す る中 堅 企 業 家 が 英 知 を 結 集 し,有 田焼 振 興 に向 けて の 大 同 団結 を実 現 した とい え る。 そ の 活 動 の シ ン ボル とな った の が 大 有 田焼 会 館 で あ り,大 有 田焼 振興 協 同 組合 の 多 方 面 にわ た る事 業 に よ って,有. 田焼 独 自の 産 地 構 造 が 新 た に形 成 さ. れ た。 1981年 に大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 が 中 心 とな って 取 りま とめ た 「有 田焼 産 地 景 況 調 査 報 告 書 」 で は,「 大 有 田焼 会 館,伝 産 会 館,窯 業 試 験 場,各 組 合,商 工 会 議 所,行 政 の連 け い に よ る産 地 ぐるみ体 制 の 強 化」 と して,次 の よ う に述 べ て い る。「有 田焼 産 地 は高 度 経 済 成 長 期 か ら産 地 体 制 を 強 化 す るた め に各 種 の 基 盤 整 備,諸 施 設 の 充 実,人 材 の 育 成 の た めの 施 策 を実 行 して きた。 窯 業大 学 を 除 けば,ほ ぼ 出 来 上 が った とみ て よ い。 今 や これ らの 基 盤 (7)岩 尾 磁 器 工 業 ㈱ 社 内用 『藍 」第251号. 。岩 尾 新 一(1988)「 726(1124). 一 道 の灯 」 岩 尾 磁 器 工 業 ㈱ を 参 照 。.

(19) 大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 設 立 とそ の 背 景(山. 田 ・筒 井 ・吉 川 ・東 郷). や施 設 を フル に活用 し,人 材 の育 成,新 商 品,新 技 術 の 開 発,陶 土 の 研 究,販 路 の 拡 張 等 に積極 的 に取 り組 む必 要 が あ ろ う。 食 生 活 の 変 化 に対 応 して の 配 合 陶 土 の 研 究 の 推 進,有 田焼 の 需 要 の 増 大傾 向 にあ る大 都 市 周 辺 お よ び地 方 中核 都 市 で の 積 極 的 な 販 売,新 商 品 開 発 の た め の大 デ モ ン ス トレー シ ョン,企 業 倒 産 を 出 さな いた め の 相 互 協 力 体 制 の 推 進 が 必 要 で あ る。 業 界 ・行政 あ げ て の 消 費地 で の 積 極 的 な 販 売 努 力,各 社 独 自の 商 品 開 発 へ の 積 極 的 な 努力,不. 況 打 開 の た め の 経 営意 識 の 変 革 が 必 要 で あ る。」(8). 大 有 田焼 振興 協 同 組合 の事 業 活 動 は,有 田 にお け る度 重 な る議 論 の 中で 生 み 出 され て き た構 想 を形 に して い くた め の 重 要 な 足 が か りとな った こ と は間 違 いな く,経 済 的 不 況 へ の 具 体 的対 応 策 の 実 行 に加 え,新. しい 消 費 地 の 動 向 に対 応 した 経 営 者 の 意 識 変 革 を 進 め るべ. く,産 地 ぐるみ の 取 り組 み を 進 め る うえ で の 情 報 セ ン ター とな る こ とが 目指 され た。 佐 賀 県,有 田 町,有. 田商工 会議 所,そ. して 窯 元 ・商 社 の 各 組 合 が 連 携 を 図 る こ とで 有 田焼 産 地. の課 題 につ い て認 識 を共 有 し,大 有 田焼 振 興 協 同 組 合 の 事 業 を 通 じて 新 た な 取 り組 み へ の 足 が か りを得 て,各 企 業 が そ れ ぞ れ の戦 略 に基 づ きつ つ 新 た な 事 業 へ と取 り組 む と い う積 極 的 な姿 勢 を読 み 取 る こ とが で き る。 本 稿 の 作 業 を 通 じて,大 有 田焼 振 興 協 同組 合 の 事 業 展 開 か ら有 田焼 産地 の 発 展 過 程 そ の もの に対 す る検 証 を 若 干 な が ら試 み た 。 大 有 田焼 振 興 協 同 組合 の 中核 的事 業 の 内 容 か ら,現 在 の 有 田焼 産 地 が 抱 え る問 題 や 課 題 につ いて 今 後 さ ら に検 討 作 業 を進 め る予定 で あ る(9)。. (8)前 掲 「 有 田焼 産 地 景 況 調 査 報 告 書 」,4頁 。 (9)本 研 究 は,平 成24年 度 科 学 研 究費 助 成 事 業(学 術 研 究 助成 基 金 助 成金)基 盤研 究(C)「 産 業 集 積 地 再 生 に お け るセ クタ ー 連 結 型 企 業 家一 陶 磁 器 産 地 有 田の 事 例 研 究 一 」(研 究 代 表 者:山 田 雄 久,課 題 番号24530438)に よ る研 究 成 果 の 一 部 で あ る。 727(1125).

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小牧市教育委員会 豊明市教育委員会 岩倉市教育委員会 知多市教育委員会 安城市教育委員会 西尾市教育委員会 知立市教育委員会

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24日 札幌市立大学講義 上田会長 26日 打合せ会議 上田会長ほか 28日 総会・学会会場打合せ 事務局 5月9日

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論点 概要 見直しの方向性(案) ご意見等.