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女性短期大学卒業生の職業満足に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)女性短期大学卒業生の職業満足度に関する研究 キャリア形成 短期大学教育 職業観 職業満足度 高等教育. 人間環境学府 邱 戟后. 目次. 第 1 章 課題の設定. 図表一覧. 第 1 節 問題設定 日本の短期大学は、高等教育の積極的な需要に応える形. 第 1 章 課題の設定 第 1 節 問題設定 第 2 節 研究方法. で、特に女子の高等教育機関として発展してきた。しかし、 現在の短期大学は、 「女性の四大志向」 、 「少子化」の影響を うけており、 「日本版コミュニティ・カレッジ」を図り、新. 第 2 章 短期大学の展開 第 1 節 短期大学の発足 第 2 節 高度経済成長と良妻賢母志向 成長期 第 3 節 性格の変化 変質期 第 4 節 コミュニティ・カレッジへ 挑戦期. たな位置づけを摸索している。 他方、1999 年 4 月に「改定男女雇用機会均等法」の施行 により、就職において制度的に男女に等しく門戸を開放し た。こうした環境の中、短期大学の今後の発展は、女性卒. 第 3 章 分析の枠組みと研究方法 第 1 節 本研究で使用したデータ 第 2 節 分析の枠組みとアプローチ方法. 業生が職業社会でどのような活躍をしているのかを把握す ることが重要である。そこで、変革を遂げようとする短期. 第 4 章 短大教育と卒業後の進路 第 1 節 現在の家庭生活、職業生活 第 2 節 短期大学での学習生活 第 3 節 卒業当時の進路状況 第 4 節 生活理念. 大学の教育現状を、 「卒業生の職業満足度」という指標で検 証することが本研究の目的である。. 第 2 節 研究方法 本研究は女性短大卒業生の学習生活、職業生活に対する. 第 5 章 職業志向および職業満足度 第 1 節 職業について総合的満足度 第 2 節 仕事の各側面の重視度と満足度 第 3 節 職業に対する重視度と満足度の不一致 第 4 節 まとめ−職業志向および職業満足の特徴. 自己評価に関する調査を通して、短期大学教育成果の1つ、 「職業満足度」の分析・検証を行っていく。そして、短大の 「コミュニティ・カレッジ」化への 1 つのアプローチとして. 第 6 章 満足度と短大教育の関連性 第 1 節 短大で獲得した能力と職場で必要とされる能力 第 2 節 短大教育の職業満足への影響. 注目されている K 短大のカリキュラム、教育内容・理念に関. 第 7 章 新たな展開を目指す̶ 短大の一事例 第 1 節 沿革と概要 第 2 節 多様な教育プログラム 第 3 節 開放されたカレッジへ. 第 2 章 短期大学の展開. 第8章 まとめと今後の課題 第 1 節 まとめ 第 2 節 今後の課題. ったのかという点を考察する。それにより本研究の研究対. 参考文献 あとがき. 1. 短期大学の発足 成立期(戦後∼1950 年代前半). する事例研究も行う。. 本章は短期大学の制度を発足から追うとともに、短期大 学がいかにして女性向けの大学と呼ばれるようになってい. 象を女性に絞る意義を明確することができる。短期大学の 各発展時期は次のようにまとめることができる。. 1945 年から、高等教育における男女差別は解消され、男. 1.

(2) 女共学が実現した。そのときに短大を卒業した女性は、必. つつある環境の中、どういう職業観を持っているのか、職. ずしも妻としてのみ生きるのではなく、妻以外の生き方の. 場で充実な職業生活を送っているのか、を検討する必要が. 「可能性」を持たせようとしているのであった。この時期. 充分にある。そこで、第 4 章では女性短大卒業生の進路、. には、短期大学女性向けの大学であるという固定観念はま. 職業状況、生活理念について探究する。第 5 章では彼女ら. だ生まれていないのである。. の職業志向および職業満足を分析するうえで、第 6 章で短. 2. 高度経済成長と良妻賢母志向 成長期(1950 年代後半∼. 大教育と職業満足の関連を検討することにする。. 1960 年代前半). したがって、本研究のアプローチ方法を以下のように整. 1950 年代後半から、短大の女性学生数が男性学生数をは. 理することができる。. るかに超えていた。この時期に就職希望者は短大全体の 4 第 1 に、 「職業社会学」の見地からのアプローチである。. 割程度であることによって、短大の学科設置は「家政科」 を中心としていた。そして、1960 年代から、短大は「女性. 尾高(1953)は、 「職業観」として次の 3 つを挙げている。. 向きの大学」 、 「花嫁学校」として認知されるようになった。. 「自分のための職業」 、 「特定の全体者に仕えるための仕事」 、. 3. 性格の変化 変質期(1960 後半∼1980 後半). 「職業そのもののための職業」である。本研究では、尾高. 1960 年代後半に入って、高度経済成長による労働力不足. による「職業観」の捉え方を援用し、女性短大卒業生の職. と女子学生亡国論の影響により、就職を前提として大学・短. 業満足度の背景にどのような「職業観」があるのかをみる. 大へ進学する人が増加した。この流れから、家政科が次第. ことによって、彼女らが職業に求めていることの一端を理. に減少し、教育や人文などに移行していくようになった。. 解できると考える。. 短大は急速に「準専門技術者」養成教育に力をいれ、実務 第 2 に、 「欲求段階説」からのアプローチである。マズロ. 能力の習得がセールス・ポイントになっていった。. ー(1993)の欲求段階説では、人間に 5 段階の欲求があると. 4. コミュニティ・カレッジへ 挑戦期(1990 年代∼現在) 1990 年代以降は、18 歳人口が急減しはじめ、また専門. する。1 段階目から 5 段階目まで、それぞれは「生理的欲. 学校との競争が激化し、短大への新入生が減少しているこ. 求」 、 「安全・安定性欲求」 、 「社会的欲求」 、 「承認の欲求」 、 「自. とが見て取れる。こういう状況の中、短大は欧米諸外国の. 己実現の欲求」である。5 段階はピラミッドのようになって. 影響をうけて、日本版のコミュニティ・カレッジへ展開する. いて、1 段階目の欲求が満たされると、1 段階上の欲求を志. ことを図っている。短大は成人学生をターゲットとして、. すというものである。本研究では、欲求段階説の概念を用. 生涯に渡る高等教育のファースト・ステージとしての役割. いて、女性短大卒業生の職業における階層の満足度を探究. を期待されている。そして、短大はキャリア形成支援教育. する。. を中心に、地域との連携が強く、開放されたカレッジに転 第 3 に、 「若年層のキャリア発達の問題」からのアプロー. 身するようになった。. チである。シャイン(1978)はキャリア発達の各段階におけ 第 3 章 分析の枠組み. る課題を挙げている。本研究は女性短大卒業生をキャリア. 第 1 節 本研究で使用したデータ. 発達の初期段階に位置づける。そして彼女らのキャリア形 成に関する課題を考察する際に、シャインのキャリア形成. 本研究における分析は、 「短期大学卒業生進路・キャリア. 上の課題のどれに近似しているかを参照する。. 形成と短大評価」(2003-2004 短大の将来構想に関する研究 会・短大基準協会調査研究委員会 主査:吉本圭一)のデータ. 第 4 に、 「アクセシビリティ」概念からのアプローチであ. を用いる。. る。 「アクセシビリティ」は「接近可能性」 、 「機会享受可能 第 2 節 分析の枠組みとアプローチ方法. 性」と訳される。つまり重視度と達成度のギャップである。. 現在は、女性=母・妻という従来の良妻賢母の考えが変化. 経済企画庁国民生活局国民生活調査課(1977)はその概念に. しつつある。女性は男性と同等な学歴、職種を目標として、. 基づいて、アクセシビリティ指数を次のようにして測定す. 社会へ進出している。それゆえ、短大の教育を終えて、よ. る。 アクセシビリティ指数=重視度指数×未達成度指数. り上位レベルの高等教育機関へ編入学・進学を希望する卒. 本研究において、 重視度及び満足度は5段階法で測定し、. 業生が増加することが考えられる。他方、彼女らが変化し. 2.

(3) 第 6 章 満足度と短大教育の関連性. 全サンプルを高重視度グループと低重視度グループに分け る。また、高重視度グループを満足度の高低によって 2 つ. 女性短大卒業生が短大教育で身に着けた能力と職場で必. のカテゴリーに分ける。それによって、女性短大卒業生の. 要とされる能力を詳細に比較すると、殆どの項目について、. 職業における重視度と未達成度のギャップを考察する。. 「身についた」と考える者は半数を超えていない。今後の 「問 キャリアにいて特に欠けている技能・能力は「創造性」 、 題解決能力」 、 「仕事への対応性」などの総合能力であるこ. 第 4 章 短大教育と卒業後の進路. とが明らかになった。. 第 4 章以降は質問票調査の結果による統計分析をするこ. そこで、仕事における総合満足度を被説明変数とするこ. とにする。 女性短大卒業の現在就業・就学状況をみると、全体の. とにより重回帰分析を行った。結果として、 「教育系」の卒. 52.4%が正規職業、30.0%がアルバイト・パートタイマー・. 業生は短大で獲得した知識を頻繁に使うほど、職業満足が. 派遣のような非正規職業に就いている。4.5%の人は就学し. 高くなることを明らかにした。全体的には、女性短大卒業. ていることが分かる。. 生に対して、学歴と仕事の対応性が職業満足度に強い影響 を与えている。従事している仕事が学歴にふさわしいほど、. 彼女らが在学中もっとも力を入れたことについては、 「授. 満足度が高い傾向がある。. 業関係の勉強」が 1 位、 「友たちとの交際」が 2 位である。 短大の学習内容・方法については、 「現実の課題に即した学. 第 7 章 新たな展開を目指す̶ 短大の一事例. 習」 、 「授業への出席」 、 「専攻分野の理論や概念の学習」の 3. 短大がコミュニティ・カレッジへ挑戦している現在、多. 項目の平均重視度が高い。 彼女らの卒業当時の進路については、 「卒業後すぐ正規就. 様なカリキュラムの提供を図っている K 短大は、2003 年に 「ライフプランニング総合学科」という新たな学科を設置. 職」は 73.6%、 「卒業後すぐ進学」は 11.3%である。進学率. した。同学科は 200 以上の専門科目を 13 フィールド、35. は、年々増加している傾向があることが明らかになった。. ユニットに分けている。学生は関心分野、取得したい資格. 女性の生き方に関しても、大きな変化が見られる。 「結婚. などをあわせて、特定のユニットの科目を中心に選択する. や出産時に仕事をやめる」という考えは従来多くの女性の. ことができる。 「メニューを定食からバイキングに変えた」. 生き方であったが、現在そのタイプの比率は 11.2%しかす. と K 短大の学長は述べていた。. ぎない。結婚も仕事も両方求めるタイプは 85.8%を占めて いる。. 第 8 章 まとめと今後の課題 第 1 節 まとめ. 第 5 章 職業志向及び職業満足. 短期大学が、90 年代以前には、家庭にはいることを明示. 彼女らの仕事全体の満足度平均値は 3.35(「1」はまった. 的・非明示的に前提にした上での準専門教育・職業教育を. く満足していない, 「5」はとても満足している)である。年. 行ってきた機関であった。しかし、90 年代後半から高等教. 長コーホートは若いコーホートより満足していることが分. 育の拡大、女子学生=母・妻という従来の観念の崩壊によ. かる。. り、短大教育は、花嫁養成型教育、準専門技術者養成教育. また、職業志向に関する 17 項目を因子分析した結果、3. からキャリア形成支援型教育へ変化した。現在の女性は結. 因子を抽出することができる。それぞれは「キャリア志向」. 婚や出産しても仕事を続ける傾向が明らかになった。それ. 因子、 「私生活志向」因子、 「社会的地位志向」因子である。. に、彼女らは短大の教育を終えて、より上位のレベルの教. 彼女らは「私生活志向」の項目を比較的に重視し、若いコ. 育機関へ進学・編入学することが一般的になりつつある。. ーホートは年長コーホートよりその傾向が強い。. そこで、本研究は、1990 年代以降の短大に取り組む環境. 職業志向と満足度のギャップを分析するために、それぞ. の変化に伴う、女性短大卒業生の職業志向と職業満足を時. れの項目について重視しているが、満足していない者の比. 系列的に分析し、短大の教育と卒業生のキャリアの関連を. 率を取り出した。女性短大卒業生に対して、重視と満足の. 考察してきた。そこで、以下のような結論を出すことがで. ギャップが最も大きい項目は「高い収入」( 31. 4%) で、次い. きる。. では「余暇に費やす時間のゆとりがあること」( 28. 4%) であ. 1.女性卒業生の職業志向および職業満足. る。全体的に「キャリア志向」の項目は「社会的地位志向」. a)女性短大卒業生の職業志向を分析した結果、職業志向に. と「私生活志向」の項目よりギャップが小さいことを明確. 関する 17 項目から、3 つの因子を抽出した。 それぞれは、. にした。. 「キャリア志向」、「私生活志向」、「社会的地位志向」. 3.

(4) と名づけることができる。それぞれは尾高があげた職業. さらに、短大はコミュニティ・カレッジへ挑戦していく際、. 観 3 タイプの「職業そのもののための職業」、「自分の. K短大のような新たな履修制度・カリキュラムを取り組んだ. ための職業」、「特定の全体者に仕えるための職業」に. 短期大学の卒業生が、どういう職業生活を送っているのか、. 当てはまる。. 社会でいかに活躍しているのか考査する必要がある。しか. b) 彼女らの職業観には、卒業後年数に問わず、 「私生活志向」. し、今回のデータには、そういうサンプルを含めていない. の傾向がある。その傾向は年長コーホートよりも若いコ. ため、分析はできない。. ーホートの方が強い。女性短大卒業生の職業充実度・満足. 上述の 2 点に基づく、職業満足度と短大教育の有効性を. 度については、約半数が総合的に職業に満足している。. さらに研究していきたい。. また、年長コーホートは若いコーホートより、満足度が 高いことがわかる。. 主要引用文献:. c)職業志向と職業満足の間の一致・不一致に関しては、多く. Lincoln,J.R., & Kalleberg,A. Culture, control, and. の人が、職業を重視しているほど満足していないようで. commitment. A study of work organization and work. ある。特に卒業後 3 年目の女性卒業生は殆どの項目につ. attitudes in the United States and Japan. Cambridge:. いて、卒業後 1 年目また 7 年目の者より不一致の度合い. Cambridge University Press 1990. が大きい。卒業後 7 年目の者は「キャリア志向」側面お. Maslow, Abraham H. (マズロー) 著 小口忠彦監訳 『人. よび「社会的地位志向」側面の項目について卒後 1 年目. 間性の心理学』 、産業能率短期大学出版部 1971. また 3 年目の者より不一致の度合いが大きい。しかしな. 杉村芳美『脱近代の労働観―人間にとって労働とは何か―』. がら、卒業後 1 年目の者は「私生活志向」側面について. ミネルヴァ書房, 1993. 不一致の度合いが比較的大きいことがわかった。. 尾高邦雄『職業社会学』福村書店, 1953 吉本圭一『専門学校の発展と高等教育の多様化』 「高等教育. 2.短大教育と職業満足の関連性. 研究」第 6 集 2003. a)専門知識、教養、創造性を含む多くの知識・技能について、. 舘昭編『短大からコミュニティ・カレッジ』 東信堂 2002. 職場での必要性が高いことに対し、短大卒業時までの教 育は不足していることが明らかになった。とりわけ、短. 主要参考文献:. 大教育は「創造性」や「仕事への対応力」などの総合的. M.Trow(マーチン・トロウ)著、天野郁夫、喜多村和之訳、 『高. な能力の育成に欠けていることがわかる。. 学歴社会の大学―エリートからマスへ―』東京大学出版 社 1998. b) 学科別で、短大教育と職業の対応性を重回帰分析した結 果、 「教育系」の卒業生は短大で獲得した知識を頻繁に使う. 金子元久『短期大学教育と現代女性のキャリア』広島大学 1992. ほど、職業満足が高くなっていくことが明確になった。ま た、すべての専攻の卒業生に対して、学歴と仕事の対応性 が職業満足度に強い影響を与えている。従事している仕事 が学歴にふさわしいほど、満足度が高い傾向がある。 第 2 節 今後の課題 今回の研究は質問表調査から得られたデータをもとに、 女性短大卒業生の職業満足を中心とした量的な研究を行っ てきたが、次の 2 点に関しては検証が不十分であり、今後 の課題としておきたい。 今回の研究で、女性短大卒業生の職業志向性や職業満足 度について、卒業後年数別で、その特徴が異なっているこ とがわかった。しかし、それは、彼女らが受けた短大の教 育内容や方法が異なるのが原因であるのか、または仕事し ている間に職場から何かの影響を受けたのが原因であるの かを明確にすることはできなかった。. 4.

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参照

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