• 検索結果がありません。

第 2 章 スパッタ堆積条件と薄膜微細構造 2.1

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "第 2 章 スパッタ堆積条件と薄膜微細構造 2.1"

Copied!
54
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2.1 緒言

第 1 章で述べたように、垂直磁気記録媒体に限らず、記録媒体の磁気特性や記録再生特性は、その 薄膜微細構造に大きく影響される。そのために記録層だけではなく、下地層や軟磁性裏打ち層といった、

媒体を構成する各層の微細構造を制御する必要がある。

本章では、一般に記録媒体を作製する手法として多用され、本研究においても用いているスパッタリング 法により、その成膜条件と作製された薄膜の微細構造並びに磁気特性、記録再生特性との関係を検討し、

プロセス制御による薄膜微細構造制御を試みた結果を述べる(Fig. 2-1)。最初にスパッタ成膜の基本原理 を示し、膜の構造とスパッタ因子の一般的な関係について概説する。その結果に基づき、構造制御の重要 因子として、基板温度、スパッタリングガス圧力、記録層の組成と膜構造との関係を詳細に検討している。さ らにこのようなプロセス検討の結果得られた記録媒体の性能評価のために磁気力顕微鏡(Magnetic Force

Microscope: MFM)を用いた解析を行ない、より高い記録密度を実現する媒体の検証を行なった。

(2)

Fig. 2-1 Contents of the Chapter 2 of “Development of Co-Pt-Cr Thin Films for High Density Perpendicular Magnetic Recording Media by Controlling Film Microstructure.”

Chapter 2

* room temperature

& high gas pressure deposition

* Nb addition & high temperature deposition

Chapter 2

* room temperature

& high gas pressure deposition

* Nb addition & high temperature deposition

Proposals Control factors

P

Ar

T

sub

thickness Process

Sub. material Crystal orientation Structure

composition Material

additives

Performances Crystallography

crystallinity orientation

Granularity

boundary distribution grain size

Magnetic property

M

s

, H

k

, H

c

, α, ...

mag. isolation

* S/N (low noise)

* Thermal stability

* Write-ability

Recording performance Control factors

P

Ar

T

sub

thickness Process

Sub. material Crystal orientation Structure

composition Material

additives Control factors

P

Ar

T

sub

thickness Process

P

Ar

T

sub

thickness Process

Sub. material Crystal orientation Structure

Sub. material Crystal orientation Structure

composition Material

additives composition

Material

additives

Performances Crystallography

crystallinity orientation

Granularity

boundary distribution grain size

Magnetic property

M

s

, H

k

, H

c

, α, ...

mag. isolation

* S/N (low noise)

* Thermal stability

* Write-ability

Recording performance Performances Crystallography

crystallinity orientation Crystallography

crystallinity orientation

Granularity

boundary distribution grain size

Granularity

boundary distribution grain size

Magnetic property

M

s

, H

k

, H

c

, α, ...

mag. isolation Magnetic property

M

s

, H

k

, H

c

, α, ...

mag. isolation

* S/N (low noise)

* Thermal stability

* Write-ability

Recording performance

* S/N (low noise)

* Thermal stability

* Write-ability

Recording performance

(3)

2.2 これまでの関連研究と本章の目的

Co-Cr 系磁気記録媒体は Cr などの非磁性成分の微細偏析による強磁性結晶粒子の磁気的な分離構

造から、広い意味でグラニュラ型媒体とも呼ばれている。このような記録媒体の薄膜微細構造制御に関して 媒体ノイズ低減の観点からマクロな磁気特性を規定し、それを満足するスパッタリング堆積条件をプロセス 条件の面から、また材料選択の面から検討し、実際の記録媒体への応用を目指すことが本章の目的の一 つである。

強磁性結晶粒子の磁気的な分離については、これまで多くの論文が報告されており、スパッタリング条 件によりいかに強磁性結晶粒子を磁気的に分離するかが重要であることが述べられている。これを達成す る手段としては、成膜時に基板温度を印加する[1]ことによりCoに添加したCrなどの非磁性成分の微細偏 析を促進させる[2]ことや、Co-Cr に他の元素を添加する方法[3]などが挙げられる。ここでは上記の手法に 加え、新しいプロセスパラメータとしてスパッタリングガス圧力を構造制御因子として取り上げ研究すること にした。これは記録媒体作製においてはこれまで試みられなかったパラメータ[4]で、従来より2桁以上高い ガス圧力で薄膜作製することで室温作製においても微粒子構造を実現させ、加熱成膜と同等の磁気特性 を得ることを目的としている。

高密度記録パターンの解析に用いた MFM [5]は、走査型プローブ顕微鏡(SPM: Scanning Probe

Microscope[6])の一つの応用として、磁性材料の磁区構造の観察手段として近年盛んに用いられている。

MFM を用いることで磁気的な微細構造を比較的簡便に観察することが可能となった。特に高密度磁気記 録媒体の記録パターンや磁区状態を可視化できるため、媒体の作製プロセスと逆磁区のとの関連を評価 したり[7]、トラックエッジの解析に用いたり[8]するなど磁気記録の中でも様々な面で応用されている。さらに 近年では1200 kFRPI(ビット長で21 nmほど)を越える高い線記録密度の観察例[9]も示され、また10 nmと いう高い空間分解能も得られている[10]。本研究ではMFMを高密度記録パターンの解析[11]に用いること とし、高密度記録パターンの観察やそのノイズ解析を通して、媒体作製プロセスの磁気的構造制御の効果 を確認することも本章の目的としている。

(4)

2.3 成膜条件による微細構造制御-室温・高ガス圧力スパッタ

ここでは、成膜ガス圧力による微細構造制御を行なった検討結果を述べる。前節でも述べたように従来 記録層を堆積する条件としては、成膜時にある程度高い基板温度を印加し、比較的低いガス圧力で堆積 することにより優れた磁気特性を得ていた。これは1.1.2項で述べたように、Co-Cr系の磁気記録材料では、

磁性粒子の磁気的な分離を Cr など非磁性成分の微細偏析によって行なっているためで、上記のような成 膜条件がCrの微細偏析を起こすのに適しているからである。しかし、大量に消費されるHDD媒体の製造 には低温作製できることが生産性とコストダウンに大きく寄与すると予想される。

そこで本節では、低温でも微細粒子構造が得られる条件因子として、スパッタリングガス圧力に着目する ことにした。これは、Thorntonの論文[12]にあるように、スパッタリングガス圧力を高くすることにより薄膜構造 が連続膜から柱状構造に変化することから、この物理的な分離構造(柱状構造)を強磁性結晶粒子の磁気 的な分離構造に利用できないかと考えたのである。実際には Thornton の論文にある成膜ガス圧力よりさら に高いガス圧力まで変化させ、基板温度を室温、すなわち基板加熱せずに記録層の微細構造制御、磁気 特性制御の可能性を検討することにした。

(5)

2.3.1 高ガス圧力スパッタリングの特徴

はじめに、本研究で用いているスパッタリング装置(平行平板型)の DC(直流)カソードにおいてスパッタ リングガス圧力を変化させた時の放電電流-放電電圧特性を測定した。これはスパッタリング成膜の基本 特性の一つであり、ここで示す結果は高ガス圧力スパッタリングの大きな特徴の一つでもある。

ターゲットとして記録層である Co83-Cr17 (wt%)ターゲットを用いた時の、カソードの放電電流と放電電圧 の関係を成膜ガス圧力をパラメータとして、Fig. 2-2 に示す[13]。この時のターゲット-基板間距離は 30 mmとしている。またターゲットは使用初期ではあるが、十分にプリスパッタリングを行なった後の測定である。

したがって、ターゲットのエロージョンはまだほとんど起きていない。なお、本ターゲット表面での漏洩磁場 (水平方向)は最大約300 Oeであった。

同図より Ar ガス圧力が高くなるほど放電開始電圧が低下し、また安定なマグネトロン放電を維持する電 圧(電圧がほぼ飽和する状態)も低下することが分かる。例えば、低ガス圧力である0.1 Paでは、放電開始

電圧が300 V程度で、安定な放電は500 V以上となっている(まだ飽和はしていない)のに対し、50 Pa以上

ではそれぞれ200 V、300 V程度になっており、それぞれ100 V以上もの低下が見られた。

同図にはマグネトロン放電用の永久磁石を取り外した場合(二極直流放電)について、Arガス圧力を100 Pa とした時の放電特性も併せて示している(最も右下にあるデータ)。この場合には、放電開始電圧が 300 V 程度と低ガス圧力でのマグネトロン放電と同程度と高く、電圧を上昇させても放電電流があまり取れない。

例えば、電圧550 Vでも0.25 Aの電流しか得られなかった。また、20 Pa以下のArガス圧力ではこのスパッ タリング装置の電源では放電させることができなかった。

以上より、より高い Ar ガス圧力の放電で永久磁石の磁界によるプラズマ密度が高められたマグネトロン 放電が起きているといえる。またこの放電が低電圧から起きていることは、ターゲット電源にかかる負担も低 減していることを示している。

(6)

Fig. 2-2 Discharge (I-V) characteristics for a Co-Cr target under various Ar gas pressures. Target composition is Co83-Cr17 wt% [13].

(7)

2.3.2 室温・高ガス圧力スパッタリングによる微細構造制御 A. 膜構造-拡張Thorntonモデル

前節の検討を踏まえ、成膜ガス圧力を 0.2 Pa から 100 Paまで、3 桁近く変化させてスパッタリングを行

なった。Fig. 2-3 には、いくつかの成膜ガス圧力で成膜した薄膜の走査型電子顕微鏡(SEM)による微細構

造写真を示す[14]。同図において、1 Pa以下の比較的低ガス圧力での作製では、粒子径が30 nm程度で、

粒界が不明瞭で緻密な膜構造となっている(Fig. 2-3(a), (b))が、10 Pa以上50 Pa程度までの高ガス圧力作 製膜は粒界が明瞭になり、粒子径が大きな柱状構造となっている(Fig. 2-3(c), (d))。これはFig. 1-9に示し たThorntonモデルのZone TからZone 1への膜構造変化に対応していると思われる。さらに高い50 Pa以 上のガス圧力で作製した薄膜では粒子径の微細化が見られ、粒界も明瞭な柱状構造となっている(Fig.

2-3(e), (g))。この微細化についてはThorntonモデルでも予想されていなかった構造変化で、非常に高いス

パッタリングガス圧力によってもたらされた新しい膜構造といえる。

以下に高ガス圧力スパッタリングによる薄膜構造の粒子微細化の原因について考察を加える。

ターゲットからスパッタリングによって飛び出した原子の平均自由工程λ (cm)は、スパッタリングチャンバ 内の圧力をp(Torr)とすると一般に

λ≒10-2/p (式2-1)

で表される[15]。例えばスパッタリング中のガス圧力を上記の微細化に対応するガス圧力である 70 Pa(約

520 mTorr)とすると、ターゲットからスパッタリングされた原子の平均自由工程は上式より約0.02 cmすなわ

ち200 μm程度となる。ターゲット-基板間距離は通常数cmのオーダであることから、このガス圧力での平

均自由工程はこの百分の一以下の小さな値である。したがってこのような高いガス圧力おいてはスパッタ リングによりターゲットから飛来したスパッタリング粒子は、スパッタリングガスであるアルゴン(Ar)など、スパッ タリングチャンバ内のさまざまな粒子と衝突を繰り返し、基板到着時にはその運動エネルギが極端に小さく なっていることが予想される。また、高ガス圧力でのスパッタリングではターゲットから飛び出したスパッタ粒 子が基板への輸送過程でさまざまな角度に散乱されて、一度基板上に形成された粒子の陰には飛来粒子 が到達しにくい、いわゆるシャドウイング効果が起きる。結晶粒子がこのような物理的な分離構造を形成す る理由としては、室温成膜の効果も考えると、基板上での移動度が低下する効果(粒子の運動エネルギの 低下)と、シャドウイング効果が複合したものと考えられる。一方、高ガス圧力下でスパッタされた粒子は、十 分な運動エネルギを持たずに基板に飛来することから、堆積過程においてその粒子が本来有する優先配

(8)

るためには、ヘテロエピタキシャル成長の原理を用い下地にもCo-Cr膜と同じ結晶系(HCP構造)で高結晶 配向の材料を用いることが適当と考えられる。これについては、2.3.3項で詳述する。

以上に対し、低ガス圧力で作製した薄膜は、原子の平均自由工程が大きく、ターゲットからスパッタされ た粒子は十分な運動エネルギを保ったまま基板に到達する。例えば、ガス圧力 0.2 Pa で成膜した場合に 平均自由工程は(式2-1)より6 cm程度であることから、ターゲット-基板距離と同程度以上の大きな値とな る。したがってターゲットからの飛来粒子は、その輸送過程において他の粒子と一度も衝突せず、大きな運 動エネルギが失われることなく基板に達する確率も高く、その結晶成長において選択的な優先成長が起こ り、結晶配向性の優れた薄膜になる。さらに基板温度を高くすることで、この効果が高められる。

(9)

(d)

(e)

(f)

(g)

(a)-(e) 100 nm

(f), (g) 200 nm (a)

(b)

(c)

(d)

(e)

(f)

(g)

(a)-(e) 100 nm

(f), (g) 200 nm (d)

(e)

(f)

(g)

(a)-(e) 100 nm

(f), (g) 200 nm (a)

(b)

(c) (a)

(b)

(c)

Fig. 2-3 SEM images of surface grain structure for Co-Cr films deposited at room temperature with Ar gas pressure of (a) 0.2 Pa, (b) 1 Pa, (c) 10Pa, (d) 50 Pa and (e) 100 Pa. Fractured images are also shown for (f) 50 Pa and (g) 100 Pa [14].

(10)

B. 磁気特性

そこで、本提案の室温・高ガス圧力作製も含め、いくつかの条件で成膜を行ない、高ガス圧力作製の効 果を調べた。その結果をTable 2-1, Fig. 2-4 [16]に示す。ここで、Fig. 2-4(a), (b), (c)はTable 2-1に示すよう に、それぞれ

(a)#1: 従来型の高温・低ガス圧力作製膜 (250 ℃, 0.2 Pa) (b)#2: 比較として室温・低ガス圧力作製 (r.t., 0.2 Pa)

(c)#3: 本研究で検討している室温・高ガス圧力作製膜 (r.t., 70 Pa)

である。また、Hc⊥及びHk⊥は試料振動型磁力計(VSM: Vibrating Sample Magnetometer)を用いて最大印

加磁場13 kOeで測定した。Hk⊥はVSM測定において、面内の初磁化ループと飽和磁化の面積から求め

た。

その結果、数10 Paの高ガス圧力でスパッタリング成膜することで、Co-Cr系媒体の磁気特性(垂直抗磁 力(Hc⊥)及び磁気異方性磁界(Hk⊥))は室温作製にもかかわらず、高温作製と同等程度の値を示す。

Fig. 2-4 の結果は、高ガス圧力スパッタリングによる薄膜の物理的な分離構造が磁気的な分離構造を

伴っている可能性を示唆するものである。ただし、Fig. 2-4(c)に示すように#3 の試料の面内磁化曲線にお いて原点付近には磁化のジャンプが見られる。これは一般にこのジャンプに相当する部分には、結晶配向 性が劣化しているか(1.2.1節およびFig. 1-7(a))、面内容易な成長初期層の存在を示すものと言われている [17]。

このような薄膜の磁化反転機構を解明するために抗磁力(Hc)の印加磁場方向依存性を測定した。ここで、

試料としてはTable 2-1に示す3種類とした。Fig. 2-4(B)にその結果を示す。これによると#2は垂直方向に 磁場を印加した場合に最も小さい Hcとなり、面内方向に磁場を向けていくと次第に大きくなる。これはいわ ゆる磁壁移動型の磁化反転機構である。これに対し、#1(高温・低ガス圧力作製膜)および#3(室温・高ガス 圧力作製膜)では垂直方向に磁場を印加した場合に最も大きい Hcとなり、磁場印加方向が面内方向に傾 くにつれ小さくなってくる。これは垂直磁化容易な薄膜において磁化回転型の磁化反転機構に特有な角 度依存性である[18]。

このことから室温・高ガス圧力作製膜は、少なくとも磁気記録媒体の必要条件である回転型の磁化反転 機構を有していることが明らかになった。

(11)

Table 2-1 Sputtering conditions and film characteristics for Co-Cr films, crystal orientation (Δθ50), perpendicular coercivity (Hc⊥) and magnetic anisotropy(Hk⊥) [16].

(12)

250 ℃ 0.2 Pa

r.t.

0.2 Pa

r.t., 70 Pa

(A) (B)

Fig. 2-4 M-H loops (A) and angular dependence of Hc (B) for Co-Cr films deposited at the conditions listed in Table 2.3.1. ○, ▲ and ■ indicate the samples #1D, #2D and #3D, respectively [16].

(13)

次に、本項で検討している高ガス圧力スパッタリング膜で見られた、上記のように独立した粒子状構造を 有する薄膜の磁気異方性が何に起因するものであるかを確認するために、抗磁力の温度依存性を測定し た[19]。ここで用いた試料は室温・低ガス圧力(0.2 Pa)作製膜(#1)および室温・高ガス圧力(70 Pa)作製膜で

あり、Table 2-2にその成膜条件および磁気特性、結晶配向性を示している。#1の低ガス圧力作製膜はFig.

2-5(A)-(a)に示すように低 Hc⊥であり、VSM で測定した M-H ループは磁壁移動型の形状を示している。こ

れに対し、#2の高ガス圧力作製膜はFig. 2-5(A)-(b)に示すように、#1よりは高いHc⊥を有し、M-Hループも 高温、低ガス圧力作製試料と同様な形状を示している。Fig. 2-5(B)にこれらの試料の異方性磁界(Hk)と飽 和磁化(Ms)の測定温度依存性(いずれも室温での値に対して規格化した後)を示す。なお、Hk については、

面内M-Hループ(初磁化曲線)と飽和磁化との面積から簡易的に求めた。Msに関しては両試料とも同様に、

温度に対して緩やかに減少する傾向が見られるが、Hkに関しては Msより急激に減少していることが分かる。

このことから、両試料とも同様の磁気異方性に起因していることが明らかになった。室温・低ガス圧力作製 膜は、その磁気異方性が結晶磁気異方性によるものであることから、結局本項で検討している室温・高ガス 圧力作製膜の磁気異方性の起源は、その物理的な分離構造という形状から類推されるような形状異方性 ではなく、従来用いている高温・低ガス圧力作製膜と同様の結晶磁気異方性が主要因であることが明らか になった。また、Fig. 2-6に示す異方性磁界(Hk)と抗磁力(Hc)の温度依存性測定では、どちらも温度に対し て同様の変化をすることから、室温・高ガス圧力作製 Co-Cr 膜の垂直磁気異方性が垂直抗磁力を発現す る起源であることが分かる。

(14)

Table 2-2 Deposition conditions and characteristics of Co-Cr films for the origin of magnetic anisotropy [19].

(a)

(b) (a)

(b)

(A) (B)

Fig. 2-5 M-H loops (A) and temperature dependences of Hk and Ms (B) for Co-Cr films deposited at the conditions listed in Table 2-2 [19].

(15)

Fig. 2-6 Temperature dependences of anisotropy field (Hk) and perpendicular coercivity (Hc⊥) for Co-Cr film of #2 in Table 2-2 [19].

(16)

C. 室温・高ガス圧力作製膜の微細構造モデル

このような磁気異方性がどのようにしてもたらされているのかについて、微細構造の観点から検討した

[20]。Fig. 2-7に示すのは、高ガス圧力で作製したCo-Cr膜のオージェ電子分光法を用いた深さ方向分析

の結果である。特徴的な点は酸素(O)元素が Co-Cr膜の膜厚方向すべてにわたって検出されていることで ある。ただしTi下地の直上ではその量が減少している。一方従来の成膜条件である高温・低ガス圧力での 作製試料については、Co-Cr中に酸素が検出されていないことが分かっている(2.3.3項参照)。高ガス圧力 作製試料での酸素についてはX線光電子分光法(XPS)によっても同様な結果が得られており、この場合、

Cr の一部が酸化さていることも分かっている。次に、高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた高分解 能エネルギ分散型X線分光法(HR-EDS)により、微細に組成の分析を行なった。Fig. 2-8にその結果を示 す。この図では、柱状構造が明瞭な粒界によって分離されていることが分かる。図中に示した1~5の5点の 丸印はEDSの測定点を示し、Cr量を図内の表に示してある。なお、分析点の空間分解能は2 nm(ビーム 径と試料のドリフトがそれぞれ1 nm以下)以下と見積もられることから、粒内/粒界の区別は可能である。こ こで使用した Co-Cr スパッタターゲットの組成は 83:17 wt%である。粒内の組成はほぼターゲット組成通り

(Cr: 17-19 wt%)であるが、粒界ではCrが26 wt%と多いことが分かる。また、同時に酸素も粒界から検出さ

れていることから、高ガス圧力作製Co-Cr膜においては、粒界がCr過剰な状態であり、さらにCrの酸化物 で囲まれていることが明らかになった。

これらの結果をまとめると、Fig. 2-9に示すような膜構造モデルを提唱できる[20]。すなわち、本研究で提 案した室温・高ガス圧力作製Co-Cr膜は Ti下地上の成長初期層と柱状構造のCo-Cr 強磁性相の粒子と その周りにある空隙あるいは Cr の酸化物が取り囲むグラニュラ構造を示している。このような構造により磁 気的な分離が促進されることから比較的高い抗磁力を発現したものと考えられる。これは従来の高温・低ガ ス圧力作製 Co-Cr 膜では、Cr などの非磁性成分が粒界に偏析して抗磁力を発現した機構とは全く異なる 新しい現象であることが明らかとなった。ただし、Fig. 1-7やFig. 2-9に示すように、Co-Cr膜には結晶配向 性の劣化した成長初期層が存在することから、下地層ならびに記録層の結晶配向性の向上および成長初 期層の低減により、さらに高性能の記録媒体を作製できる可能性がある。

(17)

Fig. 2-7 Auger depth profile of Co-Cr film deposited at high Ar gas pressure [20].

point 1 2 3 4 5

Cr content 19.1 17.6 18.1 19.0 26.0 (wt%)

point 1 2 3 4 5

Cr content 19.1 17.6 18.1 19.0 26.0 (wt%)

point 1 2 3 4 5

Cr content 19.1 17.6 18.1 19.0 26.0 (wt%)

Fig. 2-8 Cross section TEM image and EDS analysis of Co-Cr film deposited at high Ar gas pressure [20]

(18)

Fig. 2-9 Film structure model of Co-Cr film deposited at high Ar gas pressure [20].

(19)

2.3.3 高ガス圧力スパッタリング膜の磁気的構造解明

そこで、次のような実験を行ない、高ガス圧力でスパッタした記録層の下地層からの成長機構について 考察し、磁気的な構造の解明を試みた。

Co-Cr系記録層は二元合金相図[21]によると500 ℃以下の温度ではCr量15 at%以下であれば、最密

六方(HCP)構造を取る(Fig. 2-10)ので、磁気記録媒体として使用される組成付近では一般に HCP 構造で

成長することになる。Coは<00.1>方向に磁化容易軸を有するため、垂直記録媒体として用いるためには基 板面に平行に HCP(00.1)面が成長する必要がある。より優れた結晶配向性を有する薄膜を得ようとすれば、

下地からのへテロエピタキシャル成長を利用することを考え、下地層に高結晶配向性のHCP構造を有する 材料を用いることが適当と考えられる。Ti 系薄膜が Co-Cr 系垂直記録薄膜の下地層としてこれまで多く用 いられてきたのは、この理由による。

そこで、下地層からのヘテロエピタキシャル成長の効果ならびに下地層による記録層成長制御の可能 性を確認するために、次のような実験を行なった[22]。

すなわち、優れた結晶配向性を有するTi薄膜(室温、0.2 Pa、膜厚100 nm、結晶配向性約5 deg)を下地 として用い、その上にそれほど結晶配向性が良好でない高ガス圧力作製(室温、70 Pa)のCo-Cr 薄膜を形 成することで、良好な下地層の結晶配向がどこまで(どのくらいの厚さまで)記録層の結晶配向性に影響を 及ぼすかを調べた(試料群#2)。すなわち、下地層からのヘテロエピタキシャル成長の効果を調べた。そし てこれとは逆に、結晶配向性が優れている高温・低ガス圧力作製のCo-Cr薄膜(400 ℃、0.2 Pa)に、下地と して結晶系も材料系も異なるCr膜(室温、0.2 Pa、膜厚90 nm)を採用して、Co-Cr本来の結晶配向性が異 なる配向を持つ下地によってどの程度阻害されるかを比較として調べた(試料群#1)。すなわち、Co-Cr 膜 本来有する結晶配向性のホモエピタキシャル成長がどの程度持続するかを調べた。なお、Cr 薄膜は体心

立方(BCC)構造を有し、室温作製ではBCC(110)が優先配向となる。

(20)

Fig. 2-10 Co-Cr binary alloy phase diagram [21].

(21)

A. 膜構造 [22]

料群#1 (Co-Cr(高温・低ガス圧力)/Cr(低温・低ガス圧力)

これらの試料表面および断面はFig. 2-11に示すように、緻密で比較的連続的な構造となっている。また、

このCo-Cr膜の成長初期(Fig. 2-11(a)の30 nm)から200 nm付近までは膜表面が滑らかである。しかしこれ 以上の膜厚領域では粒子成長とともに膜表面の凹凸が大きくなり、膜厚約950 nmでは粒子径が約200 nm と粗大化し凹凸も非常に大きくなる(Fig. 2-11(c), (d))。また、0.2 Paという低いガス圧力での堆積にもかかわ らず、粒界には空隙のようなものも見られる(Fig. 2-11(d))。

試料群#2 (Co-Cr(室温・高ガス圧力)/Ti(低温・低ガス圧力)

これらの試料において、膜厚46 nmの成長初期では膜表面は上記と同様緻密な連続構造になっている

(Fig. 2-12(a))が、膜厚が60 nm以上に成長するに伴って平均粒子径が約20 nm程度で、粒界が非常に明

瞭な柱状構造が現れてくる(Fig. 2-12(b))。さらにこの膜厚前後から表面に亀裂のような空隙構造が見られ るようになり、小さい粒子が合体して大きな粒子になっていく様子が分かる(Fig. 2-12(c), (d))。70 Paというこ れまでにない、高ガス圧力で作製した場合に見られるこれまでにない特徴的な微細構造である。また、60 nm という比較的薄い膜厚においても粒界は極めて明瞭で微細な柱状構造を形成している。このような薄 膜の微細構造は、粒子の孤立性が高く、媒体ノイズが低いことを予想させ、垂直磁気記録媒体として理想 的な膜構造と考えられる。

(22)

Fig. 2-11 SEM images of Co-Cr films with homo-epitaxial growth.

White solid lines in each figure shows 100 nm [22].

(23)

B. 結晶配向 [22]

料群#1 (Co-Cr(高温・低ガス圧力)/Cr(低温・低ガス圧力)

Cr下地層はX線回折で測定したところBCC構造を有し、その結晶配向性(Δθ50)は約10 degと大きく、

配向性は十分ではない。このような下地層の上に結晶配向性の良い条件で Co-Cr を堆積すると(高温・低

ガス圧力)、Fig. 2-13①に示すように膜厚50 nm程度の成長初期においては、下地層の配向性に対応して、

Co-CrもΔθ50で約11 degと結晶配向性の低い状態で成長するが、Co-Crの膜厚の増加とともに結晶配向性

は急激に向上する。また、Fig. 2-14にあるように成長初期にはCo-Cr膜の配向はHCP(00.2)以外に(11.0)

や(10.1)なども含まれ、HCP-c 軸が垂直だけでなく、面内にも配向していることが見られる。さらに膜厚が

200 nm以上に成長すると(00.1)面の配向性が急激に向上することに対応し、これ以外の配向の回折ピーク

はほとんど観察されなくなる。ただし、この(00.1)配向は膜厚が 900 nm になっても保たれており、膜構造で 見られた表面の凹凸や断面での空隙などの変化とは必ずしも対応していない。

したがって、結晶配向性の低い Cr 下地上の Co-Cr 膜は下地の影響を受け成長初期にはランダムな結 晶成長をするが、膜厚約200 nm以上に達すると本来の優先配向であるHCP(00.1)配向となる。

試料群#2 (Co-Cr(室温・高ガス圧力)/Ti(低温・低ガス圧力)

この場合Ti下地層の結晶配向性はΔθ50で約5 degと高配向である。このような高配向下地層の上に本

来 HCP(00.1)面の結晶配向性が良くならない条件(高ガス圧力)で Co-Cr 膜を作製したにもかかわらず、膜

厚の薄い領域ではHCP(00.2)面のΔθ50が下地と同等の約5 degとなり(Fig. 2-13②)、Co-Cr膜はTi下地層 上にヘテロエピタキシャル成長していることが分かる。同図より膜厚 200 nm 程度まではこの成長が続いて いることになる。これ以上の膜厚では、(00.1)面が成長せず、(11.0)面など他の結晶面が成長している。この ことは高ガス圧力作製Co-Crの優先配向がHCP(00.1)ではなく、HCP(11.0)であることを示している。

したがって、結晶配向性の低い条件で成膜しても結晶性の高い下地層の上ではヘテロエピタキシャル 成長により、200 nm程度の膜厚までは高い結晶配向性を保った成長をすることになる。

(24)

Fig. 2-13 Thickness dependence of Co-Cr film crystal orientation deposited with ①homo- and ②hetero-epitaxial growth relationship [22].

(25)

C. 磁気特性 [22]

料群#1 (Co-Cr(高温・低ガス圧力)/Cr(低温・低ガス圧力)

Fig. 2-15①に示すように垂直抗磁力(Hc⊥)はCo-Cr膜厚約300 nm付近で最大値を取り、その前後で減 少する。これは Co-Cr 膜が成長初期においてさまざまな結晶面の成長をしており、HCP(00.1)面の結晶配 向性も良くないためであると考えられる。膜厚約 300 nm 以上では、垂直異方性磁界(Hk)がほぼ一定の値 になっていることから、この付近では(00.1)面配向が優勢になっていることを示している。Hc⊥が300 nm以上 の膜厚で減少しているのは、膜構造の項で示したように粒子径が粗大化していることに対応していると考え られる。

試料群#2 (Co-Cr(室温・高ガス圧力)/Ti(低温・低ガス圧力)

この場合のHkはCo-Cr膜厚約200 nmで最大を示すが(Fig. 2-15②)、それ以上の膜厚では減少してい る。これは厚い膜厚領域でHCP(00.1)配向ではなくなることに対応している。また、膜厚が薄い領域ではHk

の小さい初期成長層に対応してHc⊥の減少も見られる。

(26)

Fig. 2-15 Magnetic characteristics of Co-Cr films with epitaxy [22].

(27)

D. 磁気的な構造の解明 [23]

前項で説明した高ガス圧力スパッタ膜の優れた磁気特性を解明するために、表面分析装置を用いた解 析を行なった。ここで解析に使用した試料は次のTable 2-3に示すTi下地層の上に堆積した、室温・高ガス 圧力作製Co-Cr膜(#1と#2)である。比較として従来法(高温・低ガス圧力)での作製試料も載せてある。#1と

#2の違いはCo-Cr膜の膜厚である。この二つの試料の走査電子顕微鏡像(JEOL製: JSM890)をFig. 2-16 に示す。どちらも高ガス圧力作製特有の明瞭な粒子構造をしていることが分かるが、#1(Co-Cr 膜厚の厚い 試料)の方が、より明瞭な空隙のような構造が見て取れる。このことが Hc⊥の大きな差になって現れていると いえる。

このことを確認するために、オージェ電子分光装置(JEOL 製: JAMP-7100E)の深さ方向プロファイルを 測定した(Fig. 2-17)。高ガス圧力作製の#1と#2ではCo-Cr層内にかなりの量の酸素(O)が検出された(Fig.

2-17(a), (b))。しかしながら、Ti下地層との界面付近ではその量がかなり減少している。一方、高温、低ガス

圧力作製の#3ではCo-Cr層内の酸素はほとんど検出されておらず(Fig. 2-17(c))、むしろTi下地層との界 面付近の酸素量が増加している。したがって酸素含有量が高いという性質は高ガス圧力作製試料が持つ 本来の特性と考えられる。X線光電子分光(XPS, PHI製: 5600MC)測定によれば、Co-Cr膜中のCrは部 分的に酸化されていることが分かっている。酸素の由来については二つの可能性が考えられる。第 1 の可 能性として考えられるのは、これらの試料は保護膜を成膜していないので、媒体作製後に酸素が表面から 混入したというものである。Fig. 2-16に示すより明瞭な粒子構造から#1により多量の酸素が粒界を通して混 入したと考えられる。第 2 の可能性は高ガス圧力でのスパッタリング成膜中に酸素が混入したというもので ある。実際、スパッタリングチャンバ中での成膜直前の四重極質量分析計による残留ガス成分測定では、

H2O(スパッタリング中に解離して水素ガスと酸素ガスとなる)が約70-80 %、窒素が5-10 %、酸素が5-7 %と なっており、残留ガス中の酸素が混入する可能性は十分考えられる。

2.3.2項(Fig. 2-9)より、高ガス圧力で作製したCo-Cr膜では、Co-Cr結晶粒子の表面が酸化物で覆われ

た構造をしていると考えられる。したがって、磁気的な分離構造の促進度合い、すなわち大きなHc⊥をもたら す構造的な要因としては、明瞭な結晶粒界構造と結晶粒界の酸化の両方があいまったものと結論付けら れる。一方従来型の高温・低ガス圧力作製試料においては、Cr の微細偏析が磁気的な分離構造の主要 因であることはこれまで通りである[1]。粒界の酸化についてさらに詳細な検討を行なうために、膜厚の異な

るCr下地上にCo-Cr膜を高ガス圧力で作製して、異なるHc⊥を有する試料についてオージェ分析を行なっ

(28)

下地との界面での酸素量の多寡が磁気的な分離構造の決定に強く関与していることを示す重要な結果で ある。したがって磁気的な分離構造をより促進させるためには、Co-Cr 膜の成長初期から粒界の分離構造 と酸素による粒界の酸化物形成が重要な要因となる。

(29)

Table 2-3 Sputter deposition conditions and magnetic characteristics for Co-Cr and Ti films [23].

Fig. 2-16 SEM images of surface and cross-section of (a) a high coercivity sample (#1 in Table 2-3) and (b) a low coercivity sample (#2 in Table 2-3) [23].

(30)

Fig. 2-17 Auger depth profiles of the sample (a) #1, (b) #2 and (c) #3 listed in Table 2.3.2 [23].

Fig. 2-18 Auger depth profiles of the sample with high and low Hc (Cr underlayer) [23].

(31)

2.3.4 室温・高ガス圧力スパッタ膜の記録再生特性 [16]

これまで述べたような特徴を有する、室温・高ガス圧力作製Co-Cr膜について、特に媒体ノイズの観点か ら記録再生特性評価を試みた。

Fig. 2-18に示すのは、薄膜リングヘッドを用いてTable 2-1にある#1D、#2Dおよび#3Dの3種類の垂直 記録媒体、ならびに市販されている長手媒体のノイズレベルの記録密度依存性である。ここで長手媒体は 記録層が Co-Cr-Ta で、その膜厚、抗磁力(Hc//)、飽和磁化はそれぞれ 67nm、1430 Oe、680 emu/cm3で あった。媒体ノイズは全ノイズからシステムノイズを差し引いた値で示してある。

室温・高ガス圧力作製媒体(#3D)と高温・低ガス圧力作製媒体(#1D)では、ノイズレベルの記録密度依存 性がほとんど見られず、ほぼ一定の値となっている。一方、室温・低ガス圧力作製媒体(#2D)では、記録密 度によるノイズレベルの増加が見られている。さらに長手媒体ではより大きな媒体ノイズの増加が見られる。

媒体ノイズレベルが記録密度により増加するのは、記録の磁化反転部でのノイズ、すなわち転移性ノイ ズであることを示している[24]。したがって、長手媒体と室温・低ガス圧力作製媒体(#2D)では、記録の転移 部分に乱れが生じていることが推測される。また一方、室温・高ガス圧力作製媒体(#3D)ではこの乱れがほ とんどないことが予想される。

このような室温・高ガス圧力作製膜の低ノイズ性の特徴は、本章でこれまでに述べてきたような、この媒 体を構成する磁性粒子の微細化、孤立化の膜構造から達成されたものと理解できる。

(32)

Fig. 2-19 Dependence of medium noise power at wavelength of 7.5 μm on linear recording density [16].

(33)

2.3.5 室温・高ガス圧力スパッタ成膜法のまとめ

以上の検討より、高ガス圧力でスパッタした記録層の成長機構や微細構造制御について以下のことが 明らかになった。

①Co-Cr系の薄膜を結晶配向性良く成長させることで、優れた磁気特性を得ることができる。

②結晶配向性に難がある高ガス圧力スパッタリングによって形成されたCo-Cr薄膜は、下地層に結晶配 向性の優れた薄膜を用いることで、Co-Cr の結晶配向性を向上させることが可能となる。ただしある程 度の膜厚までしか高結晶配向性を維持することができない。この手法を用いて、高ガス圧力作製

Co-Cr薄膜は室温成膜においても、比較的優れた磁気特性を得ることができる。

③高ガス圧力スパッタリングによる Co-Cr 薄膜では、飛来スパッタ粒子の運動エネルギが基板面で極端 に低下することと、シャドウイング効果とによる柱状構造の形成、すなわち物理的な分離構造と、物理 的に孤立した結晶粒の表面に偏析したCrが優先的に酸化することによりCoリッチな強磁性相からな る結晶粒子の磁気的分離が同時に達成されている。

④結晶配向性の高いCo-Cr膜を、その成長初期から物理的な分離構造(結晶粒界の酸化あるいは酸化 物の形成)を促進することにより、さらに優れた磁気特性を得る可能性がある。

⑤室温・高ガス圧力作製媒体は従来の高温・低ガス圧力作製媒体と同様、媒体ノイズが記録密度に依 存しない低ノイズ性を示す。

⑥高温印加を必要としない室温・高ガス圧力作製スパッタリング法は、記録媒体製造において基板の種 類を選択する幅が広がったことを意味し、耐熱性の低いプラスチック基板(PETやPC)などの多様な基 板を使用することが可能になった。それだけ、応用の範囲が広がったことになる。

最近実用化された垂直磁気記録を用いた HDDに使用されているCo-Cr系垂直記録膜においても、酸 化物をコンポジットにしたターゲットを用いたり、酸素ガスを混合した雰囲気中で、比較的高ガス圧力および 室温でのスパッタリング成膜、そして結晶配向性の優れた下地層を使ったプロセスを用いたりしていると言 われており、最近の開発方向を示唆した先行事例と考えられる(第4章参照)。

(34)

2.4 成膜条件による微細構造制御-成膜温度

一般にCo-Cr系記録媒体はCrなどの非磁性成分がCoを主成分とする強磁性結晶粒子の周囲に偏析

し、磁気的な分離構造をしているとされている。理想的な磁気分離構造は Fig. 2-20(a)に示すようになって いると考えられる。この構造において一つ一つの結晶粒子は単磁区粒子となり、膜面垂直方向の M-H ループは矩形を示す。しかしながら、Co-Cr 系垂直磁化膜全体としては膜面内方向に大きな反磁界を受け るために、M-H ループは傾いている(Fig. 2-20(b))。最も大きな反磁界を受ける場合、すなわち各粒子間の 磁気的な結合がなく、それぞれの粒子が磁気的に孤立している場合にループの傾きは1/(4π)となり、このと き媒体ノイズは最も小さくなる[25]。粒子間の磁気的交換結合によって粒子同士が磁気的に結合すると、そ の分反磁界は減少し、M-Hループの傾きは大きくなる。Fig. 2-21に示すのは、さまざまな組成のCo-Cr(二 元)薄膜でのM-Hループの第2象限である[26]。垂直抗磁力(Hc⊥)はCr組成(15-24 at%)によって1500か

ら2500 Oeまで変化している。同図よりM-Hループの傾きはCr量の減少とともに大きくなっていることが分

かる。Cr 量の少ない試料は飽和磁化が大きいことから、その角型比(SQ)は小さい。しかしながら、DC イ レーズノイズ低減の観点から、SQ は大きい方が望ましい(SQ=1)。これは H. Muraoka らが提唱し[27]、N.

Honda らが拡張発展させた逆磁区ノイズ理論[25]から、SQ の小さい垂直記録媒体における低密度領域に

盛り上がりのあるノイズスペクトルは、ビット間に存在する比較的大きな逆磁区がこの媒体のノイズ源である とする理論的考察と実際の記録媒体のMFMパターン観察からも一致するからである。

したがって上記のように考えた場合、Hc⊥が2500 Oeだとすれば、SQ=1の場合、残留磁化(Mr)はMsと等 しくなり、図中点線で示すように約200 emu/cm3になる。一方Hc⊥/Hkは大きい方が望ましいことから、低ノイ ズ媒体の設計指針として次のようなパラメータが求まる。すなわち、

Ms ~ 200 emu/cm3 Hc⊥ ~ 2500 Oe Hc⊥/Hk >1/3 SQ ~ 1

M-Hループの傾きα ~ 1/(4π)

である。ただし、実際には熱的な安定性を考えるとM-Hループの肩は第2象限に入っている方が望ましく、

Hn(核形成磁界)>2 kOeである。また、記録ヘッドの記録能力を考えると、Hs(飽和磁界)<15 kOeが必要とな る。しかし、大まかな議論としてここではこれらの効果は除く。

(35)

Maximum demagnetizing field:

H

dmax

=4πM

s

---> shearing of M-H loop H

d

Magnetically fully isolated grains (a)

(b)

M

r

=M

s

=200 emu/cm

3

H

c⊥

=2500 Oe

SQ = 1 Inclination: α

1/4π

Ideal M-H loop parameters Maximum demagnetizing field:

H

dmax

=4πM

s

---> shearing of M-H loop H

d

Magnetically fully isolated grains (a)

H

d

H

d

H

d

Magnetically fully isolated grains (a)

(b)

M

r

=M

s

=200 emu/cm

3

H

c⊥

=2500 Oe

SQ = 1 Inclination: α

1/4π

Ideal M-H loop parameters M

r

=M

s

=200 emu/cm

3

H

c⊥

=2500 Oe

SQ = 1 Inclination: α

1/4π

Ideal M-H loop parameters

Fig. 2-20 Models of magnetically isolated medium structure (a) and shearing of M-H loop by exchange coupling between grains (b).

(36)

このような設計指針を基に低ノイズ媒体を作製するために、いくつかの組成の Co-Cr-Nb あるいは

Co-Cr-Ta について成膜温度を変えた実験を行なった。その結果、上記のパラメータを満足するのは Fig.

2-22に示すようにCo74-Cr22-Nb4(at%)の媒体のみであった[28]。このとき成膜温度は600℃であった。ただし この媒体ではSQ は1 に達していない。これは、結晶配向性(Δθ50)が 7度前後と十分に優れているわけで はなく、磁化が多少斜め成分を持っていて垂直磁気異方性の分散が大きいことに起因していると考えられ る。成膜温度が低い時には Cr の微細偏析が不十分で、大きな Hc⊥を得ることができないが、温度を高くす ることで、Crの微細偏析が促進され、磁気的な分離構造が顕著になってくる。成膜温度を上げすぎると、各 元素が混合してしまい、優れた磁気特性が得られない。すなわち、基板温度によって薄膜の微細構造の制 御が可能であることを示している。

Fig. 2-22にはこれまでに成膜したさまざまな組成での二元系Co-Cr薄膜(ターゲット組成でCr量が15-24 at%)の実験値の包絡線も示している。二元系 Co-Cr 薄膜試料の実験値はこの線より下に分布しており、上 記の低ノイズ媒体の条件を満足する組成はなかった。また、Fig. 2-23にはHc⊥とHkとの関係を表すグラフも 合わせて示す。Co-Cr-Nb媒体がHc⊥/Hk>1/3 を満足しており、この薄膜では磁気的な分離が進んでいるこ とを示している。

実際に、単層膜媒体とMIG(Metal in gap)ヘッドを用いて記録再生特性を評価した結果、従来から用い られている Ta 添加 Co-Cr 媒体と同等の出力の線記録密度特性と、媒体の低ノイズ特性が示された (Fig.

2-24, [29])。

(37)

Fig. 2-22 Relationship between Ms and Hc for Co-Cr-Nb and Co-Cr-Ta films deposited at various range of deposition temperature [28].

Fig. 2-23 Perpendicular coercivity and anisotropy field for Co-Cr-Nb and Co-Cr-Ta films at

(38)

MIG Head

* Track width: 12 μm

* Gap length: 0.22 μm

* Number of turns 26

* Linear velocity 1.15 m/s

B

B B

B B

B B B B

-95 -90 -85 -80 -75 -70 -65

10 100 1000

Recording density [kFRPI]

CoCrNb/ Ti CoCrTa/ Ti

DC

B B B B B B B BB

B B

B B

B B

B B

BBBB BB

B B B B B B B BBB

BB BB B B

G G G G G

GG G G G

G G

G G

G G

GGGGG GG

GG G G

GGGGGG G G

0.1 1 10 100 1000

1 10 100 1000

Recording density [kFRPI]

G G G

CoCrTa/ Ti

720 kFRPI CoCrNb/ Ti

MIG Head

* Track width: 12 μm

* Gap length: 0.22 μm

* Number of turns 26

* Linear velocity 1.15 m/s

B

B B

B B

B B B B

-95 -90 -85 -80 -75 -70 -65

10 100 1000

Recording density [kFRPI]

CoCrNb/ Ti CoCrTa/ Ti

DC

B B B B B B B BB

B B

B B

B B

B B

BBBB BB

B B B B B B B BBB

BB BB B B

G G G G G

GG G G G

G G

G G

G G

GGGGG GG

GG G G

GGGGGG G G

0.1 1 10 100 1000

1 10 100 1000

Recording density [kFRPI]

G G G

CoCrTa/ Ti

CoCrNb/ Ti

720 kFRPI

Fig. 2-24 Dependence of output signal and noise property on linear recording density for Co-Cr-Nb/Ti and Co-Cr-Ta/Ti media. Head specification is also indicated in this figure [29].

(39)

2.5 磁気力顕微鏡による記録分解能ならびにS/N評価

2.5.1 磁気力顕微鏡による記録信号の解析 [28]

上記の検討を記録特性の面から特徴付けるために、MIGヘッド(GL = 0.15 μm, Tw =6 μm)で書き込んだ 記録パターンを磁気力顕微鏡(MFM: Magnetic Force Microscope)で観察し、その画像を解析することで、

その性能を検証した。

具体的には MFM 像を画像処理し、A. 媒体ノイズの解析、B. 信号品質(S/N)解析および C. 磁気的な クラスタサイズと媒体の分解能の関係を検討した。

A. ノイズ解析

前節で述べた元素添加効果を記録特性の面から特徴付けるために、Table 2-4に示す4種類の媒体に ついて、マージ型MIG/MRヘッド(ヘッドの仕様はTable 2-5による記録再生特性を測定した。媒体としては、

前項で低ノイズ媒体の可能性を示した Co-Cr-Nb膜、比較用として従来から用いられている Co-Cr-Ta膜、

そしてより性能向上(分解能、S/N)のためにPtを添加したCo-Cr-Nb-Pt(以上単層膜媒体)、とこれに極薄軟 磁性裏打ち層を付与した擬似二層膜媒体(Co-Cr-Nb-Pt/Ni-Fe-Nb膜)である[28]。

Fig. 2-25に一例としてCo-Cr-Pt-Nb単層膜媒体(Table 2-4の(c)に相当)の測定結果を示す。媒体ノイズ は線記録密度に依らず、ほぼ一定の値をとることが分かる。

この結果をより詳しく調べるために、Table 2-4 の各媒体に記録パターンを書き込み、それぞれの MFM 観察を行なった[28]。記録周波数はdc残留磁化状態および100 kFRPIから500 kFRPIまでである。

Fig. 2-26には記録周波数100 kFRPIから500 kFRPIのMFM像を示す。これらのMFM像から、すべて の媒体について線記録密度400 kFRPIの記録パターンを確認できる。また、Co-Cr-Pt-Nb媒体については 軟磁性裏打ち等の有無に関わらず、線記録密度500 kFRPIの記録パターンも部分的にではあるが観察で きる。

次に、媒体ノイズと関係していると考えられる磁気的なクラスタサイズを、次のような手法によりそれぞれ のMFM像から求めた[30]。

(1) 記録パターンをMFM観察し(Fig. 2-27(a))、記録部分を抽出する(Fig. 2-27(b))。

(2) 抽出した部分に二次元のフーリエ解析を実施し、記録周波数の成分のみを逆フーリエ変換する(Fig.

2-27(c))。

(40)

る。

上記の作業は記録パターンから、その記録周波数に対応する成分を除くことで、ノイズ成分だけを抽出 しようとするものである。このようにして各媒体、各周波数について磁気的なクラスタサイズを求めた結果を 線記録密度に対して示す(Fig. 2-28)。このグラフには[31]に示されている面内媒体の結果も合わせて載せ ている。

それによると、面内媒体では磁気的なクラスタサイズが記録周波数とともに激しく増加するのに対し、本 検討で作製した単層膜垂直媒体では、記録周波数に対して大きな依存性は見られない。すなわち上で述 べたように実際の磁気ヘッドで記録再生した場合と傾向が一致した。このことは単層膜垂直記録媒体の磁 気的なクラスタサイズは信号記録の影響を受けないことを示している。このことは垂直記録媒体が記録転移 点においてビット間の反磁界が極小になるために、シャープな磁化転移が実現でき、そこでの磁区のクラス タリング(まとまり)が起きないことに対応している。

一般に磁気的なクラスタサイズは媒体ノイズや媒体の記録分解能を決める要因と考えられているので、

磁気的なクラスタサイズの大きさを小さくすることで、媒体ノイズの低減と高分解能化が可能と考えられる。

(41)

Table 2-4 Specification of media for MFM read/write test [28].

Table 2-5 Head specification for MFM read/write test [28].

Fig. 2-25 Read/write property for Co-C-r-Pt-Nb film [28].

(42)

Fig. 2-26 Recorded MFM patterns for various kinds of Co-Cr system media [28].

(100-500 kFRPI)

(43)

(b)

(c)

(d) (a) 10 μm square image

(e) 2d

(d) subtracting (c) from (b) (e) spectrum analysis

peak wavelength

= 2 x magnetic domain size (c) extracting recorded frequency Noise analysis procedures (a) MFM observation (b) extracting recording area

(200 kFRPI)

(44)

Fig. 2-28 Dependence of magnetic cluster size of Co-Cr system media on linear recording density.

■, ●, ▲, ◆ indicate Co-Cr-Nb, Co-Cr-Ta, Co-Cr-Nb-Pt and Co-Cr-Nb-Pt/NiFeNb media, respectively. Longitudinal medium shows different tendency as indicated in □ [28].

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 200 400 600 800 1000 Recording density [kFRPI]

Longitudinal

Ma g n etic cluste r siz e [ μ m]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 200 400 600 800 1000 Recording density [kFRPI]

Longitudinal

Ma g n etic cluste r siz e [ μ m]

(45)

B. 信号品質(S/N比)解析 [28]

次に、上記のMFM像(Fig. 2-26)のFFT解析を用いて信号強度と信号品質(S/N比)を次のような手順で 評価した。

(1) 記録した媒体をMFM観察し、対象とする部分を抽出する。この際、転移線に平行になるように線を 引く(Fig. 2-29(a))。

(2) トラック幅方向に平均化した信号を求める(Fig. 2-29(b))。

(3) 平均波形のパワースペクトルをFFT解析により求める(Fig. 2-29(c))。

(3) 信号強度(S)は、それぞれの記録周波数に対応するスペクトルのピーク強度とする (4) ノイズ(N)は、記録信号を除去したスペクトルを積分することで求める

(5) S/Nを(3)と(4)の比から求める

Fig. 2-30にそれぞれの媒体について上記の手法で求めた信号強度(Fig. 2-30(a))とS/N比(Fig. 2-30(b)) の線記録密度依存性を示す。すべての媒体について信号強度、S/N比とも線記録密度400 kFRPI程度ま で高いレベルであることが分かる。一方、Fig. 2-25 からは MR ヘッドでの再生において、線記録密度 200

kFRPI以上での信号強度の急激な低下が見られている。MFMの探針は分解能の高い再生ヘッドと考える

ことができることから、媒体の微細な磁化の差を反映した小さな磁化のゆらぎも検出できる。このように得ら れた高分解能特性は、垂直媒体が有する高いポテンシャルを示している。

(46)

(a)

0 2 4 6 8 10

4000 -2000 0 2000 4000

-

Amplitude (arbitrary unit)

Down track direction [μm]

(b)

10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 102 103 104 105

Power (arbitrary unit)

S

N

10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 102 103 104 105

Power (arbitrary unit)

S

N

Fig. 2-29 Analysis of signal to noise ratio from obtained MFM recorded pattern.

S/N analysis procedures

(b) averaging an image parallel to track width direction

(c) obtaining spectrum from the waveform and determining S(signal) and N(noise)

(a) MFM observation and extracting recorded area

(white square in the figure)

(47)

(a) (b)

Fig. 2-30 Signal output (a) and signal to noise ratio (b) for various kinds of Co-Cr system media. ■, ●,

▲, ◆ indicate Co-Cr-Nb, Co-Cr-Ta, Co-Cr-Nb-Pt and Co-Cr-Nb-Pt/NiFeNb media, respectively [28].

-20 -15 -10 -5 0 5 10 15

0 200 400 600 800 1000 Recording density [kFRPI]

S/N(M F M) (arbitrary u n it)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

0 200 400 600 800 1000 Recording density [kFRPI]

Si gna l out put (MFM) (arbitra ry uni)

(48)

C. 磁気的なクラスタサイズと媒体の分解能 [28]

Fig. 2-31に示すのは、MFMの記録パターン(Fig. 2-26)において線記録密度300 kFRPIにおけるMFM 像から上記 2.5.1A 項「ノイズ解析」で示した方法で求めた磁気的なクラスタサイズに対して、Fig.2-30(a)の 線記録密度 100 kFRPI の信号強度が半分になる線記録密度(D50)を表したものである。このグラフよりこの 二つのパラメータ(磁気的なクラスタサイズと分解能)がリニアな関係にあることは明らかである。したがって、

このことは磁気的なクラスタサイズにより媒体の分解能が決定されることを示しており、より小さなクラスタサ イズを実現することで、より高い分解能の媒体を得ることができる。

Fig. 2-31 Dependence of recording density at D50 on magnetic cluster size at 300 kFRPI [28].

D

50

(MFM) [ k FR P I]

0 200 400 600 800 1000

0 0.04 0.08 0.12 0.16 Magnetic cluster size

at 300 kFRPI [μm]

D

50

(MFM) [ k FR P I]

0 200 400 600 800 1000

0 0.04 0.08 0.12 0.16 Magnetic cluster size

at 300 kFRPI [μm]

(49)

2.5.2 高記録分解能の検証 [28]

より高い分解能を有すると考えられる Co-Cr-Pt-Nb媒体を用いて、記録再生およびMFM観察を行なっ た。

記録再生ヘッドにはTable 2-4に示したものを用いた。Fig. 2-32にS/N比の線記録密度依存性を示す。

このグラフから媒体のS/N(@80 kFRPI)と分解能(D50)はそれぞれ43 dB、160 kFRPIであることが分かる。ト ラック幅を半分にすることでS/Nが3 dB劣化することを考慮すると、より狭トラック幅(210 nm)のヘッドを使う ことによりS/N比は34 dBとなる。非常に大まかな評価により面記録密度19.3 Gbit/in2を160 kFRPIの媒体 分解能(D50)で達成できることになる。

より高い面記録密度を得るためトラック幅を狭めることも重要である。ここではトラック幅の広いヘッドを用 い、いわゆるオーバーライト記録により、擬似的に高トラック密度を実現し、狭トラック記録の可能性を調べ

た。Fig. 2-33は記録ヘッドを300 nmずつずらしてオーバーライト記録を行なった媒体のMFM像である。

Co-Cr-Pt-Nb媒体において300 kFRPIの線記録密度と300 nmのトラック密度(85 kTPI相当)で記録した像 の結果である。これにより25.5 Gbit/in2(85 kTPI x 300 kFRPI)の面記録密度の記録が可能であると判断でき る。より小さな磁気的クラスタサイズの媒体とより急峻な磁場を出す磁気ヘッドを用いることで、さらに高密度 の記録が可能であるといえる。

(50)

Fig. 2-32 S/N and noise performance for Co-Cr-Nb-Pt/NiFeNb medium, indicating 19.3 Gbit/in2 [28].

Fig. 2-33 High density MFM image for Co-Cr-Nb-Pt/NiFeNb medium, showing 25.5 Gbit/in2 (85 kTPI x x300 kFRPI) [28].

参照

関連したドキュメント

      核面積及ピ細胞鵠核指数    第4目 染色度C淋巴球細胞鶴面鼠        核面積及ビ細胞饅核指数

Chapter 2 introduces the coupling degree model and kernel density analysis to analyze the coupling relationship between the spatial distributions of welfare facilities

The main subject of my analysis is Hikaru Fujiiʼs The Classroom Divided by a Red Line (2021), a work exhibited in this special exhibition.. In Chapter 2, I discuss Hikaru Fujiiʼs

In Chapter 2, a class of penalty functions for solving convex programming problems with general constraint set is

If the interval [0, 1] can be mapped continuously onto the square [0, 1] 2 , then after partitioning [0, 1] into 2 n+m congruent subintervals and [0, 1] 2 into 2 n+m congruent

the log scheme obtained by equipping the diagonal divisor X ⊆ X 2 (which is the restriction of the (1-)morphism M g,[r]+1 → M g,[r]+2 obtained by gluing the tautological family

The trace set is an ambient isotopy invariant for a ribbon 2-knot of 1-fusion... Sumi) The numbers of the irreducible representations to SL(2, 7). (3) The trace sets of the

We begin our proof of Theorem 2 by considering the enumeration of those degree sequences satisfying the criteria 1, 2, and 3a of Theorem 1 above.. of view, this means that the