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タイ王国における体力測定 一実施マニュアル作成 について (第

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(1)

研 究資料

タイ王国における体力測定

一実施マニュアル作成 について ( 第 2報) 千 葉 義 信

はじめに

日本 の文部科学省 (旧文部省)の体力 ・運動 能力 テス ト (スポー ツテス ト) は、 昭和36年 (1961年) に成立 した 「スポー ツ振興法」 に基 づき、保健体育審議会の答 申を基 に、昭和39年 (1964年) よ り開始 され た。 テス トの内容 は、

体力診断テス ト (反復横 とび、垂直 とび、他)、

運動能力テス ト (50m走、走 り幅 とび、他 :年 齢 、性別 によ り種 目が異 なっていた)、競技種 目別テス ト (持久走、急歩、他)の3部門か ら 構成 されていた。 これ らのテス トは若干の修正、

追加 とともに長 きに渡 り続 け られ、毎年 「体育 の 日」に公表 され、国民の体育 ・運動能力 に対 す る関心 を高めてきた15)。 これ らのテス トは、

高齢者テス トの必要性 、測定上の安全性 、テス ト項 目の妥当性等の再検討がな され、平成 11年 (1999年) よ り 「新体カテス ト」 と改 め られ多 くの研究機 関、教育機 関で実施 され利用 されて いる4) 5)0

一方、諸外国の体力測定に関す る情報 につい て、先進諸国の情報 は比較的容易 に得 ることが できるが、開発途上国のこれ らの情報 を見出す ことは大変困難である。特 に東南アジア諸国に おいては、体格や体力 についての統一資料その ものが存在 しない国 も多い よ うである。開発途 上国の国々では、予防医学の考 え方が十分に広 まっていないことか ら、それに伴 う体育やスポー ツ活動が十分に普及 していないのが実情であ り、

体育科教育の基礎資料 となる対象者 (児童や生 徒)の体格や体力把握の活動が十分 とはいえな い。

東南アジア諸国の体格 ・体力測定に関 して、桜 井20)が、タイ国に関す る 「スポー ツ青少年体力 テ ス ト (運動適性テス ト)」 を紹介 してい る。

内容 は、立ち幅 とび、上体起 こし、腕立て伏臥 腕屈伸 、 シャ トル走、 5分 間走であ り、 「その 結果 を全国 レベルでの検討や標準値の策定な ど は現在までお こなわれていないよ うである」 と 報告 している。著者 らは、タイ国お よびカンボ ジア国において体格や体力測定を実施 して報告 してい る1)A 3) 6)‑12)18)19)0

本報は、著者がタイ国において体力測定 を実 施 した際 に活用 した 「体力測 定実施 マニ ュア ル」13) を改定 して報告 し、今後のタイ国での調 査活動の基礎資料 とす ることを 目的 とした。

測定種 目の決定

基礎運動能力を十分に反映す る種 目とともに、

当該国 (タイ国)では測定機材が不十分である こ とを念頭 に、測定可能 と考 え られ る種 目とし て以下の5種 目を選定 した。その方法は 日本の 文部科学省 「新体カテス ト」の規定に準 じた16)。

① 上体起 こ し (si卜up):筋持久力測定

② 長座体前屈 (sitting‑trunk‑nexion):柔軟性 測定

規定の測定機材 を段ボール紙、または厚紙 にて作成 した。

③ 反復横 とび (side‑step):敏捷性測定

④ 50m走 (50m‑run):走力 ・瞬発力測定

⑤ 立 ち幅 とび (standing‑long‑jump):瞬発力 測定

タイ王国における体力測定 159

(2)

体力測定実施マニュアル アル を示 し、 日本語 を併記 した。 なお、当該国 以下にタイ王国公用語 (タイ語)でのマニ ュ で利用 している物 に 日本語の記載 はない。

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体力測定実施マニュアル

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160国際経営論集 No.37 2009

(Fg1即 &)A,uaum 1Ul剛 1 qwEI勺2 na an 実施定者Aは、仰 向けの姿勢 を とり両腕 を胸 の前 で組む。

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補助者Bは、Aの両膝 を しっか り固定

す る (初期 姿勢)。Aは 「始 め」 の合 図で矢印の 方 向‑上体 を起 こす。

背 中にク ッシ ョン性 の有 るもの (シー ト等) が 有 ることが望ま しい。

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Aは、両肘 が大腿部 に付 くまで上体 を起 こす。A は矢印の方 向‑身体を戻 し、初期姿勢‑戻 る。

この動 きを30秒 間繰 り返 し、 両肘 が大腿部 に付 いた回数 をその記録 とす る。

不備 が無 ければ測定は1回 とす る。

(3)

2.

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測定機材 を段 ボール または厚紙 で作成す る (空 き箱 を利用す ると良い)0

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FlaEJCll一和a凱IL鮎 un由勺山 と細 れJym∩郎 匂 実施者 は、 両足 を箱 の間に入れ 、 測定機材 に 軽 く手 (腕 は肩幅) を添 え、壁 に背 中、腎部 を 密着 させ る。 この時、肘 が曲が っていない こと、

腎部 が壁か ら離れ ないよ うに注意す る。

スケール を準備 し、測定機材 の角 (壁 に近い方) にOcmを合 わせ る。

機材 を矢印の方向にゆっくりと滑 らせ る。

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yhnlううet2円川vyT血かF一号J如 Ry郎 1nafi申 1uJuY‑nl761tjlvbtyI向LJLJL<iJuo.5nvlllは勺0.51vpL'iJuo 測定機材 が移動 した距離 をその記録 とす る。 こ の時 、膝 が 曲が らない こ と、手が機材 か ら離れ ない こ とに注意す る。 2回実施 して良い方 を記 録 とす る。記録 は0.5単位 とす る。 ※0.5の無い者 の (.0)の記入 の必要は無い。

タイ王国における体力測定 161

(4)

3.

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162国際経営論集 No.37 2009

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中央 の ライ ンの両側 に100cm間隔 に2本 ライ ンを 引 く。 実施者 は、 中央 の ライ ンをまたい で立 ち (初期 姿勢)、 「始 め」 の合 図 で、右又 は左 の ライ ンまで ステ ップす る (左右 は どち らか らで も良 い)0

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ライ ンを越 す か触 れ るまで ステ ップ した後 、 中 央 の ライ ンまでステ ップ して戻 る。

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更 に反対 側 の ライ ンを越 す か触 れ るまで ステ ッ プす る。

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中央 の ライ ンにステ ップ して戻 る。 この動 きを2 0秒 間繰 り返 し、それぞれ の ライ ンを通過す るご

とに1回 として、その合計 回数 を記録 とす る。

(例 :右一中央一左一中央 で4回 とな る)

ライ ンを踏 まなか った り越 えなか った時 は回 数 と しない。 不備 が無 けれ ば測定 は1回 とす る。

(5)

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50mの直線走路 を作 る。

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ス ター トの合 図は 「用意」、 「ス ター ト」 の合 図 と同時 に腕 (旗 を利用 して も良い) を下か ら上

‑振 り上げる。

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スター トの合 図か らゴール ライ ン上 に胴 体 が達 す るまでの時間を測定す る。

記録 は1/10秒単位 とす る (1/100秒 を四捨五入)。 不備 がなければ測定は1回 とす る。

タイ王国にお ける体力測定 163

(6)

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164国際経営論集 No.37 2009

YhL ijtl( 糾 Linal勺)fL'iJuJl §1uLGiJuとtJと萌

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踏み切 り線 に 「中央 のマー ク」 を作 る。 ここが基点 (0cm)となる。

マークを身体の中心 として、両足を肩幅程度に広げる。

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両足が踏み切 り線 を越 えない よ うに、前方‑飛ぶ。

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着地時に踏み切 り線 に近い方の瞳 と 「中央マーク」 と を結ぶ距離 をその記録 とす る。

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inぅと16nll爪 ∩絹可の1uJuか 斜 めに着地 した場合 は、 「中央 のマー ク」か らそのま ま (斜 めに)計測 して、その実測値 とす る。

記録 はcm未満 を切 り捨て る。

2回実施 して良い方 を記録 とす る。

(7)

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一後記

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∩廿1 体力測定の実施前 には、準備運動 をお こなって下 さい。終了後の整理運動 も重要です。

体力測定は決 して危 険 な ものではあ りませ んが、実施者 に何 か異常 を見 出 した ときに は、直 ちに中止 して下 さい。 このマ ニュアル が今後 も広 く利用 され体育科教 育のお役 に立て るこ とを願 ってお ります。

RefertoNew PhysicalFitnessTestbyMinistryofEducation,Culture,Sports,Science andTechnology,JAPAN

Aug.2007 Y.C

後記

体力測定実施マニ ュアル作成 の 目的は、 当該 国関係者 に協力 を求 め測定活動 をスムーズに進 めることと、測定現場管理者 (教育関係者 、学 校長等) に対 して測定活動 の内容 と測定活動 が 安全であることを認識 して もらうためであった。

測定 に際 しては、本書 を基 に現地協力者 (教育 関係者及び教員) と実技 を交 え注意事項等 を確 認 した とともに、測定 に関す る倫理的配慮 、安 全 に関す る配慮 について も確認 した。 開発途上 国の国々においては、体格 お よび体力測定に関 す る情報が十分 とは言 い難 く、今後、長期 に渡 り広範 囲で統一 した情報 の収集 が求 め られ るこ ととな る。 そのためには、本 書の よ うなマニュ アル が重要 な役 目を担 うこ ととなる と考 える。

謝辞

当 該 国 で の 活 動 に ご 協 力 を 頂 い て い る Mr.DechaSoontarakom、Mrs.PensriBoonsong、 Mr.SuphatThitimool。翻訳 のお手伝 い を頂 いた Mrs.NarissaiapornDuangkotaに深謝 いた します。

文献

1)千葉 義信 (20077)カ ンボジア王国にお け る体格 ・体力測定 について。 日本運動 ・ス ポー ツ科学学会第14回大会大会号 :140

2) 千葉義信 (2007)タイ王国 ウ ドー ンタニー 県にお ける体格 ・体力測定につ いて‑ 日本 との比較お よび 日常生活 と体力 との関係 ‑。

運動 とスポーツの科学13(1) :113‑1200 3)千葉義信 (2007)タイ王国 ウ ドー ンタニー

県 にお ける体格 ・体力測定 につ いて‑2ケ タイ王国における体力測定 165

(8)

年の調査か ら‑。第11回神奈川体育学会予 稿集 :90

4)千葉義信 ・秋 田昌彦 ・渡連文雄 ほか (2007) 本 学学生 の体 力 と生活習慣‑2006年 度 と 2004年度 を比較 して‑。湘南工科大学紀要 41:147‑151

5)千葉義信 (2008)本学学生の体力 と生活習 慣 一本学の体力評価基準値 の作成 について (第一報) ‑。湘南工科大学紀要42:125‑

132。

6)千葉義信 (2008)タイ王国 ウ ドー ンタニー 県における体格 ・体力測定について‑中学 生 と高校生 との比較か ら‑。湘南工科大学 紀要42:133‑1390

7)千葉義信 (2008)タイ王国 ウ ドー ンタニー 県 における体格 ・体力測定について‑ 2ヶ 年 の継続調査か ら一。静岡英和学院大学紀 要6 :233‑2410

8)千葉義信 (2008)タイ王国 ウ ドー ンタニー 県における体格 ・体力測定について一体格 と体力 との関係 一。神奈川大学経営学部国 際経営論集35:39‑470

9)千葉義信 ・奥 山靖彦 ・鍋谷照ほか (2008) カンボジア王国にお ける体格 ・体力測定 に ついて。神奈川体育学会機関誌体育研究41:

23‑280

10)千葉義信 (2008)カンボジア王国における 体格 ・体力測定 について‑体格 と体力 との 関係 ‑。神奈川大学経営学部 国際経営論集 36:187‑1950

ll)千葉義信 ・鍋谷照 ・奥 山靖彦 (2008)カ ン ボジア王国における体格 ・体力測定につい て‑評価基準値 を求めて‑。 日本運動 ・ス ポー ツ科学学会第15回大会大会号 :150 12)千葉義信 ・鍋谷照 ・奥 山靖彦 (2008)カ ン

ボジア王国における体格 ・体力測定につい て‑体力測定普及‑のアプ ローチ‑。第12 回神奈川体育学会予稿集 :loo

13)千葉義信 (2008)タイ王国 ウ ドー ンタニー 県にお ける体格 ・体力測定について‑実施 マニ ュアル作成 について (第1報) ‑。神 166国際経営論集 No.37 2009

奈川大学経営学部国際経営論集35:85‑920

14)外務省 ホームペー ジ (2008)海外教育諸外 国の学校情報O [2008/07/07]http://www.

mofa.go.jp/mofaj/toko/world̲school/01asia/ infbC10300.html

15)小林寛道 (1997)何故体力テス トが必要な のか ‑過 去 か ら未 来‑ ‑。 体育 の科学47

(ll)。844‑8460

16)文部科学省 (2005)新体カテス ト 有意義 な活用のために (5版) ぎ ょうせ 東京。

pp.56‑750

17)文部科学省 ホームペー ジ (2008)平成17年 度体力 ・運動能力調査報告書。 [2008/07/ 07] http://www.next.go.jp/b̲menu/toukei/ 001/index22.htm

18)鍋谷照、千葉義信 、奥 山靖彦 ほか (2008) カンボジア王国の児童 ・生徒 における体格 測定。 日本発育発達学会第6回大会大会号 : 84.

19) Teru NABETANl・Yoshinobu CHIBA ・ YasuhikoOKUYAMA etal(2008)Differences in physique and physicl nta nessaccording to residence area in Cambodian school children. East Asian Sport and Exercise ScienceSociety.

20)桜井伸二 (1997)アジアの国々の体力テス ト。体育の科学47:874‑8780

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