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『機関千種の実生』

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『機関千種の実生』

著者 山田 和人

雑誌名 同志社国文学

号 89

ページ 69‑95

発行年 2018‑12‑20

権利 同志社大学国文学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2019.0000000483

(2)

資 料 紹 介

﹃ 機 関 千 種 の 実 生

山 田 和 人

書誌 種類

絵本

︵竹 田か らく り絵 画資 料︶ 寸法

縦一 七・ 七糎

横一 二・ 九糎

︒ 冊数

上中 下︑ 三冊

︵一 冊に 合綴

︶︒ 丁数

一五 丁︒ 丁付

柱刻 に﹁ から くり

﹂と あり

︑丁 付を

﹁一

~十 五﹂ まで 記す

︒ 形態

中本

︒袋 綴じ

︒ 題簽

元題 簽︒ 題簽 寸法

︑縦 一四

・三 糎 横七

・〇 糎︒ 中之 巻と 下之 巻の 元題 簽 があ る︵ 後述

︶︒ 刊年

明和 四年

︵一 七五 七︶ 三月

︵後 述︶

︒ 所蔵

東京 都立 中央 図書 館︒ 分類 番号

﹁東 京誌 料

ઇ ઊ ઋ આ

備考

本書 には 次の 印記 があ る︒ 表紙 見返 しに

﹁東 京誌 料/

ઃ ઋ અ ઈ આ

અ ઃ

઄ આ

/東 京都 立日 比谷 図書 館﹂

︒ なお

︑題 簽は 元題 簽で ある が︑ 上中 下三 冊の うち の二 つの 題簽 が 残っ てい る︒ だが

︑上 之巻 に相 当す る表 紙に 貼ら れて いる のは 中之 巻の 題簽 であ り︵ 虫損 して いる が﹁ 中﹂ と読 める

︶︑ 中之 巻に 相当 する 表紙 には 題簽 が欠 落し てい る︒ 下之 巻の 題簽 は所 定の 位置 に貼 られ てい る︒ 現在

︑中 之巻 と下 之巻 の題 簽は 備わ って いる が︑ 上之 巻の 題簽 が失 われ てい るこ とに なる

︒ 刊年 につ いて は︑ 子供 役者 が︑ 明和 四年 閏九 月竹 田近 江大 掾藤 原 清一 の番 付や

︑明 和五 年正 月刊 の役 者評 判記

﹃役 者党 紫選

﹄と 一致 する ので

︑明 和四 年︵ 一七 五七

︶と 推定 され る︒ なお

︑同 年刊 行の

﹃若 楓東 雛形

﹄表 紙見 返し 口上 によ れば 三月 の興 行と わか る︒ 資料 紹介 にあ たっ て︑ 本絵 尽し の画 像を 先に 掲げ

︑後 半に 翻刻 を 資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

六九

(3)

掲載 した

︒絵 尽し の場 合︑ 絵と 本文 を一 体の もの とし て理 解す べき であ るの で︑ 画像 中の 本文 に近 い位 置に 翻刻 本文 を配 置す るこ とに した

︒翻 刻に 際し て︑ 現在 通行 の字 体と した が︑ 一部 旧字 をそ のま ま残 した もの もあ るこ とを 断っ てお きた い︒ 翻刻 の後 に︑ 参考 まで に簡 単な 演目 解説 を記 した

︒ 最後 に︑ 本資 料の 掲載 許可 を認 めて いた だい た東 京都 立中 央図 書 館に 感謝 申し 上げ ます

資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

七〇

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資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

七一

(表紙)

(ઃオ)

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﹃機 関千 種の 実生

七二

(઄オ) (ઃウ)

(અオ) (઄ウ)

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﹃機 関千 種の 実生

七三

(આオ) (અウ)

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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(ઉオ) (ઈウ)

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﹃機 関千 種の 実生

七六

(ઋオ) (ઊウ)

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﹃機 関千 種の 実生

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(表紙)

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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(表紙)

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

八三

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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﹃機 関千 種の 実生

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演目 解説 馬洗 伊達 染手 綱︵ 踊り

︶ まず

︑奴 の大 鳥毛 踊り があ り︑ その 後︑ 大名 行列 の立 道具 で神 馬 を作 り︑ 奴が 舎人 の姿 にな って 段だ らの 手綱 を引 く︒

﹃若 楓東 雛形

﹄ には

︑手 綱に つい て奴 の半 纏の 襟を 解い て手 綱と する とあ る︒ おそ らく それ でよ いの だろ う︒ これ によ って 段だ ら模 様の 手綱 の意 味が はっ きり する

︒ 胎内 十月 図︵ から くり

︶ 妊娠 から 出産 に至 るま で十 月の 間︑ 守護 仏が お守 りく ださ る様 を 仕組 んだ から くり

︒初 月不 動明 王か ら臨 月阿 弥陀 如来 に至 るま で︑ その 間︑ 子宮 に子 種が 宿り 錫杖 の形 とな り︑ 人間 の体 が形 作ら れる まで の胎 内の 様を 表わ す︒ 砂時 計か らく り︒ 時頼 熱田 詣︵ 狂言

︶ 尾張 熱田 の大 宮司 が所 領を 悪七 五郎 むね まさ に横 領さ れて

︑今 は 神社 の鳥 居前 の水 茶屋 の亭 主と なっ てい る︒ 最明 寺入 道︵ 北条 時 頼︶ はし ゆく や入 道︑ びと う入 道と とも に都 の勅 使と 偽り 烏帽 子直 垂姿 とな って

︑熱 田大 宮司 の本 心を 探ろ うと 熱田 詣で をす る︒ しゆ

くや 入道 が水 茶屋 の女 房に 濡れ かか った り︑ 巫女 とな って 舞っ てい る女 房に ちょ っか いを 出し たり する 度に 亭主 が悋 気す る︒ やが て亭 主と 女房 が三 大臣 の前 で舞 の所 作を する 見せ 場と なる

︒大 宮司 は︑ 勅使 にな りす まし た﹁ しゅ くや 入道

﹂と

﹁び とう 入道

﹂の 正体 を見 破り

︑二 人を 懲ら しめ るの を見 て︑ 最明 寺入 道は 水茶 屋の 亭主 が熱 田の 大宮 司で あり

︑女 房が その 妻で ある こと を見 抜き

︑本 領安 堵す る︒ その 後︑ 本領 安堵 の件 で意 趣を 抱く 悪七 五郎 むね まさ が家 来と とも に押 し寄 せる が︑ 逆に 大宮 司に 懲ら しめ られ

︑む ねま さも 棒縛 りに され

︑一 同追 いや られ て幕 とな る︒ 全体 とし て滑 稽を 旨と する 竹田 芝居 の子 供狂 言で ある

︒ 邯鄲 栄花 春︵ 大か らく り︶ 最初 は︑ のぞ きの 箱の 上の 法師 の人 形が 鉦を 打つ と︑ 箱が 開け て 千畳 敷の 座敷 と変 わる

︒の ぞき の箱 の前 にい た左 右の 子供 は日 輪月 輪と 変わ る︒ 千畳 敷の 座敷 の火 燈口 の絹 を巻 き上 げる と︑ 女郎 が炬 燵の 上で 猫を 戯れ つか せて いる

︒ま た︑ 左右 の梯 子を 登り

︑給 仕す る人 形︑ 長廊 下を 掃き そう じす る人 形が それ ぞれ に所 作を する

︒二 階の 障子 を開 ける と︑ 主人 が辺 りを 見回 し︑ 煙草 を吸 う︒ 最後 に︑ 元の のぞ きの 箱に 畳み 返さ れる

︒ 資料

紹介

﹃機 関千 種の 実生

九一

(25)

三筆 松梅 桜︵ 大か らく り︶ 菅丞 相︵ 菅原 道真

︶の 人形 が︑ 額や 机上 の紙 に﹁ 梅﹂

﹁ま つ﹂

﹁桜

﹂の 三文 字を 書く 文字 書き のか らく り︒ ただ 書く ので はな く︑ 左右 の手 で同 時に

﹁ま つ﹂

﹁桜

﹂の 二文 字を 書き

︑そ の後 口に くわ えた 筆で

﹁梅

﹂の 一文 字を 書く

︒菅 丞相 の左 右に 配さ れた 二体 の童 子の 人形 が所 作を する

︒松 童子 の人 形は

︑二 筋の 綱を 逆立 ちで 渡り

︑ その 間片 手ず つ放 して 見せ

︑最 後に 人形 が鉢 植え の松 とな る︒ 梅童 子の 人形 は︑ 台を 離れ て篠 竹に 取り つい て竹 をた ぐっ て渡 り︑ 最後 に人 形が 鉢植 えの 梅に なる

︒ぜ んま いの 細工 物か らく り︒ 恋慕 流恋 歌口

︵お どり

︶ 最初 六人 の虚 無僧 が踊 り︑ 虚無 僧が おさ なご とな り︑ 再び 虚無 僧 とな る︒ 最後 は虚 無僧 の天 蓋か らか ずき が下 がっ て︑ 単︵ ひと え︶ の衣 を纏 った かず き女 とな る︒ この よう に三 態の 姿と なっ て︑ それ ぞれ に踊 る変 化舞 踊︒ 演目 名は 虚無 僧の 尺八 の曲 名に 由来 する

︒ 七曲 神秘 糸︵ 前か らく り︶ 唐土 から 日本 の智 恵を 試す べく 送ら れた 七曲 の通 路に 糸を 通す か らく り︒ 通路 の片 方か ら蟻 に糸 をつ けて 反対 へと 通す

︒織 姫の 人形 が七 曲の 両側 を通 した 糸を 左右 の手 に持 った 糸巻 きで 巻き 取る

︒通

した だけ の糸 がど こま でも 巻き 続け るこ とが でき る不 思議 を見 せる

︒ その 後︑ 人形 は神 鏡と 幣帛 に姿 を変 え︑ 蟻通 明神 と拝 まれ

︑七 曲の 通路 を吊 るす 枠に 紙を 張り 灯明 を照 らす

︒ 生如 来餅 搗縁 起︵ 子供 狂言

︶ 善光 寺縁 起を もと にし た本 田義 光と 阿弥 陀如 来の 話柄 の子 供狂 言 だが

︑詳 細に つい ては 不明

︒ 諫鼓 大平 楽︵ 大か らく り︶ 太平 の御 代を 寿ぐ から くり

︒太 鼓の 上の 鶏が 鳴き 声で 時を 告げ

︑ 撥で 打ち もし ない のに

︑太 鼓が ひと りで に鳴 り︑ 大坂 表の 神事 の太 鼓や 芝居 の櫓 太鼓 など をそ れぞ れに 打ち 分け る︒ 太鼓 の中 に仕 掛け がな いこ とを 見せ るた めに

︑太 鼓の 皮を 開い て中 を改 める

︒そ して

︑ 元に 戻す と︑ 太鼓 が再 び打 ち出 され る︒ 福寿 草笑 顔春 遊︵ 大か らく り︶ 布袋 の人 形を 引き だし て太 鼓を 打た せる

︒六 体の 唐子 の人 形が さ まざ まな 遊び の後

︑肩 車を して 三重 に積 み重 なり

︵二 人の 上に さら に二 人︑ その 肩の 上に 二体 の人 形が 上下 に乗 る︶

︑一 番上 の唐 子人 形が

︑梯 子状 の房 や木 の枝 に取 りつ き︑ 反り 返っ て吊 るし てあ る太

資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

九二

(26)

鼓を 打つ

︒布 袋人 形も 腹を へこ へこ 動か した り︑ さま ざま な身 振り をし て太 鼓を 打つ

︒唐 子人 形の 下か ら亀 が現 れ︑ 唐子 人形 を乗 せた まま 舞台 を走 る︒ 布袋 人形 は後 に宝 船に 変身 する

︒ 住吉 汐干 の白 鷺︵ おど り︶ 最初 は貝 拾い

︵潮 干狩 り︶ の娘 の踊 りか ら︑ 住吉 踊り へと 変身 し︑ 最後 は住 吉踊 りが 白鷺 にな って 虚空 に飛 んで いく 変化 舞踊

︒ 放下 僧五 色歌 車︵ 前か らく り︶ 能﹃ 放下 僧﹄ の切 の小 歌に あわ せて

︑最 初は

︑都 近江 の飾 り物 系 のか らく り台 で︑ 名所

・風 物の 飾り を見 せる

︒次 に︑ 五色 水車 のか らく り台 で︑ 水車 と五 色の から くり を見 せる

︒牛 車の から くり 台で

︑ 牛車 が台 の上 を進 む様 を見 せる

︒そ の後

︑も との 飾り 物系 のか らく り台 で︑ 僧が 茶を 挽く 様を 見せ る︒ 日高 川現 在鱗

︵狂 言︶

﹃日 高川 入相 桜﹄ を素 材と する 狂言

︒詳 細は 不明

︒ 道成 寺俤 桜︵ 大か らく り︶ 最初

︑能

﹃道 成寺

﹄の 白拍 子が 地謡 にあ わせ て拍 子を 踏み

︑そ の

後︑ ツレ 僧が 居眠 りを する 隙に

︑釣 り鐘 を引 き被 き白 拍子 は鐘 のう ちに 飛び 入る

︒祈 りの 段で 引き 上げ られ た鐘 から 蛇体 とな った 白拍 子の 女が 現れ る︒ 女は 撞木 に取 りつ いて 鐘を 突き

︑や がて

︑も う一 つの から くり 台に 設置 され た柳 の枝 をた ぐっ て渡 り︑ そこ で拍 子を 踏む 風 ︒ 流花 車駕

︵踊 り︶ 最初 は︑ 下が り帽 子を 着た 振袖 の女 中が 花桶 を引 き出 し踊 り︑ 次 に皆 が六 尺と 変わ り︑ 花桶 車を 乗物 に仕 立て て踊 る︒ 女中 から 六尺 へと 変わ り︑ 花桶 車が 乗物 に変 化す る変 化舞 踊で ある

︒ 日坂 八丁 鉦︵ 前か らく り︶ 佐夜 ノ中 山の 八挺 鉦の から くり

︒最 初︑ 歌念 仏の 文句 に合 わせ

︑ 三味 線に つれ て八 挺鉦 を叩 いて

︑い ろい ろの 調子 で鉦 の音 を打 ち分 ける

︒鉦 がし だい に手 元へ 上が り撞 木を 高く 構え もす る︒ 昔真 斯猿 島敵 討︵ 狂言

︶ かづ まと だら 介が 春駒 とな って 猿ヶ 島へ やっ てく る︒ 親猿

︑娘 猿 が登 場し

︑娘 猿が かづ まに 恋慕 する 展開 か︒ 絵本 とし ては 他に 例が ない ので

︑詳 細は 不明

︒ 資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

九三

(27)

秘曲 棒晒

︵大 から くり

︶ 大坂 にい た﹁ かし ぼう の一 曲﹂ とい う力 持ち の芸 をか らく りに し たも の︒ から くり 台に 乗っ た力 持ち の人 形が 棒を 持っ てお り︑ その 先端 では 布晒 しの 人形 が両 手に 持っ た長 い布 を勢 いよ く振 る︒ 最初 は︑ 上の 人形 がか らく り台 から 離れ て棒 の先 端で 足を 固定 し︑ 片足 をあ げて 布を 晒す 動作 をす る︒ 下の 力持 ちの 人形 は︑ 足駄 で拍 子を 踏み

︑体 を縮 めて 片手 で棒 の下 を握 って 立ち 上が り︑ 拍子 を踏 んで 布を 晒さ せる

︒次 に︑ 下の 人形 が仰 向け に反 り返 って

︑片 足の 指に 棒の 下端 を固 定し

︑も う一 方の 足で 拍子 を踏 む︒ 下の 人形 は立 ち上 がっ たり

︑座 った りと いう 動作 を行 うが

︑棒 を持 って いな い方 の片 手で 扇を 上下 させ る動 作を する

︒す べて 離れ 物の から くり であ る︒ 融大 臣三 日月 雛形

︵大 から くり

︶ 海女 の人 形が から くり 台か ら前 に設 置さ れて いる 水船 に渡 り︑ 塩 汲み の所 作を して

︑そ の後

︑元 のか らく り台 にも どる

︒海 女が 融の 大臣 の姿 に変 身し て塩 竈の 謡い の切 舞の 所作 する

︒も みじ の枝 から 虹の かけ 橋が 下が り︑ 大臣 はか け橋 に移 り︑ 月に 変化 して 空へ 上っ てい く︒ やが て満 月と なり

︑そ の中 に月 宮殿 が現 れる

︒ま た︑ 宙に 浮か ぶ三 日月 は︑ その 形が 釣針 に変 化す る︒ さら に︑ 三日 月は 弓の 形と なり

︑矢 を放 つと

︑こ ちら の枝 から 鳥が あま た飛 び去 る︒ 後に

三日 月は 船と なり

︑な かか らウ サギ が現 れて 船を 漕ぐ

︒船 は帆 を上 げて 進み

︑や がて 舞台 へ降 りて 楽屋 へ入 る︒ 先の 水船 は︑ あら かじ め︑ なか を改 めて から 水を 入れ てお き︑ 後に その 水船 から 魚が 多く 湧き 出る から くり とな って いる

︒ 業平 姿写 絵︵ おど り︶ 最初 は業 平の 女姿 で踊 り︑ 次に 皆廻 り灯 籠の 内に 入る と相 撲取 り の影 とな り︑ 次に 灯籠 の内 から 八尺 ほど の関 取の 大男 が出 て所 作を する 変化 舞踊

︒ 七化 追分 姿︵ 前か らく り︶ 大津 絵︵ 大津 の追 分︑ 三井 寺周 辺で 参詣 の土 産に 売ら れた 庶民 的 な絵

︶の 人形 の七 変化 のか らく り︒ 藤の 花を 肩に かけ た娘

︑鬼 の念 仏︑ 若衆 の枕 返し

︑座 頭へ と一 体の 人形 が次 々に 変化 して いく

︒次 に奴 の人 形が 酒を のみ 顔を 赤く して 姿を 瓢箪 坊主 に変 える

︒奴 の座 って いた 酒樽 が鯰 とな り︑ 瓢箪 坊主 とと もに 瓢箪 鯰の 絵姿 とな り︑ 鯰が 舞台 を動 き回 り楽 屋へ と入 って いく

︒ 狸都 侍昔 噺︵ 狂言

︶ 親の 敵い わせ 三太 夫を 討ち 取ろ うと する 春木 うこ んと 母ら の物 語

資料 紹介

﹃機 関千 種の 実生

九四

(28)

で︑ す山 みん ぶが 忠臣 とし て仕 える か︑ 絵本 の記 述だ けで は詳 細は 不明 か ︒ いこ 温鶏

︵大 から くり

︶ 鶏が 卵を 温め る仕 草が あり

︑羽 交い の下 から 生き たひ よこ が誕 生 する

︒そ の後

︑ひ よこ を鳥 籠に 入れ て絹 を掛 けて おく と︑ ひよ こが 生き た親 鳥と なっ て鳥 籠か ら飛 び出 すか らく り︒ 鳥籠 に仕 掛け のな いこ とを 示す ため に鳥 籠を 分解 して 見せ る︒ 御伽 傀儡 師︵ 大か らく り︶ 最初 は︑ 歌三 味線 にあ わせ て︑ 傀儡 師︵ 首か ら提 げた 人形 の箱 の 上で 指人 形芝 居を 演じ た大 道芸 人︶ の首 から 提げ た箱 から 登場 した 唐子 の人 形が

︑両 手に チャ ッパ

︵小 さな シン バル

︶を 持っ て踊 り︑ その 後︑ 傀儡 師の 人形 の上 半身 が箱 の中 に畳 み込 まれ

︑場 面が 転換 して

﹁船 弁慶

﹂と なる

︒海 上か ら義 経主 従を 恨み に思 い︑ 薙刀 を振 り回 して 荒れ 狂う 怨霊 平知 盛を 弁慶 が祈 り伏 せる

︒こ の場 面は 謡曲 の文 句を その まま 用い てい る︒ その 後︑ 再び

︑傀 儡師 がも との 姿と なり

︑箱 の中 から 山猫 が登 場し 囃子 に合 わせ て動 作し て︑ 最後 に観 客の 方に 飛び 出し てい く︒

右の 解説 に際 し︑ 参照 した 絵画 資料 の刊 年を 参考 まで に次 に記 す︒ から くり 絵尽 し﹃ 機関 竹の 林﹄ 宝暦 七年

︵一 七五 七︶ 六月 以前

︒ から くり 絵本

﹃竹 田新 から くり

﹄宝 暦八 年︵ 一七 五八

︶正 月︒ から くり 絵本

﹃機 関千 種の 実生

﹄明 和四 年︵ 一七 六七

︶頃

︒ から くり 絵本

﹃若 楓東 雛形

﹄明 和四 年︵ 一七 六七

︶頃

︒ 資料

紹介

﹃機 関千 種の 実生

九五

参照

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