確率統計レジュメ集(前半)
2012.04.10 版
立命館大学
この講義の目標、進め方
この講義は指定教科書の内容をしっかりと理解することを目的とする.
配布するレジュメは、その理解を助けるための資料である.必ず、教科書に書かれた
基礎的な内容をひとつひとつ理解するように努めること.
レジュメの空欄の箇所は、教科書からそのヒントを見つけることができる.予習時に
教科書を読み、レジュメの空欄を埋める努力をすること.
さらに、理解の確認のために、教科書の演習問題を自力で解き、解答を確認するとよ
い.これらの地道な努力により、真に応用力のある基礎的な実力を身につけることがで
きる.
以上
1
① 統計量の把握(1章)
本日の目標
統計量を扱う方法を知る 事象計算の公式 確率に関する基礎定理 1 確率・統計 2 1.1 度数分布表と累積度数分布表 確率・統計 3 1.2 ヒストグラムと累積度数分布図 確率・統計 ヒストグラム 累積度数分布図 4(演習)度数分布表、ヒストグラム
確率・統計 下記のデータ列が得られた.これを度数分布表、 ヒストグラム、累積度数分布図にしなさい. 1, 3, 4, 3, 2, 2, 5, 6, 4, 1, 1, 1, 2, 3 変数 度数 1 4 2 3 3 3 4 2 5 1 6 1 0 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 6 度数 0 2 4 6 8 10 12 14 16 1 2 3 4 5 6 度数分布表 ヒストグラム 累積度数 分布図 51.3 代表値
算術平均(arithmetical mean) 幾何平均(geometrical mean) 中央値(median) 最頻値(mode) 確率・統計 6偏差(diviation)
基準値x0からの差: x –x0 (基準値は一般的に平均を用いる) 確率・統計7
1.4 散布図
散布度(散布の度合い)を示すもの 分散(variance) 平均からの偏差の2乗平均 σ2= 標準偏差(standard deviation) 分散の平方根 σ= 確率・統計 1 1 8(演習)統計値
確率・統計 下記のデータ列の統計値を求めよ.1, 3, 4, 3, 2, 2, 5, 4
① 平均 ② 分散 ③ 標準偏差 9チェビシェフの不等式
分散の上限を与える式 確率・統計 10 1.5 相関係数 相関図 確率・統計 相関係数 r (-1≦r ≦ 1) = 11相関図サンプル
確率・統計 数学 英語 90 86 66 55 50 44 62 39 44 49 83 64 30 47 95 80 64 41 68 78 31 24 40 27 24 45 41 49 49 43 9 26 35 44 14 41 分散 617 318 標準偏差 25 18 相関係数 0.78 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 20 40 60 80 100 数学 英語 12回帰直線とは
または を最小にする直線 確率・統計13
② 確率の公理(2章前半)
本日の目標
確率の定義
事象 余事象 排反 独立 13 確率・統計 14確率とは?
同様に確からしい 硬貨の表/裏の出る場合 さいころの1,2,3,4,5,6の各々の目が出る場合 確率 起こりうるすべての場合がn通りで、 それぞれの場合は排他的で、同様に確からしいとき、 ある事象Aの起こる場合が a 通りである → 事象Aの起こる確率は Pr{A} a/n である. 確率・統計 15事象に対する諸概念
全事象(前提条件) サイコロを2回投げるときの目の出方. {1,1}, {1,2}, …,{6,6} ---- __36_通り 事象(調べたい条件) 事象A: サイコロを2回投げ合計が10以上である. {4,6}, {5,5}, {5,6}, {6,4},{6,5},{6,6} ---- __6_通り 余事象(全事象からある事象を除外した部分) Aの余事象: サイコロを2回投げ合計が10より小さい. {1,1}, … ---- _____通り 確率・統計 16事象
事象の場合の数 事象=集合 A 事象の場合の数 |A| (集合の要素数) 余事象 全事象I: サイコロの目の出方(すべての場合) 事象A: 合計が10以上となる目の出方 事象A: 合計が10未満となる目の出方 |A|= ? 確率・統計 17事象の合成
ある駐車場に置かれている車の集合を 全体集合とする. 事象A: 車は赤い色である 事象B: 車は日本製である 和事象A∪B: 車は赤色または日本製である 積事象A∩B: 車は赤く、かつ、日本製である 確率・統計 18排反事象
排反(=同時に起きない)
事象A: 目の合計が8以上である. 事象B: 目の合計が8以下である. → 目の合計がちょうど8となる場合はどちらにも 含まれるので、排反ではない. (A∩B≠φ) 事象A: 目の合計が偶数である. 事象B: 目の合計が奇数である. → 事象Aと事象Bは同時に起こりえないので、 排反である.(A∩B=φ) 確率・統計19
独立事象
独立(事象の発生が、他の事象に依存しない) 事象A: 目の合計が10以上である. 事象B: 一方の目は6である. → 事象Aと事象Bは独立か? Pr{B|A} --- 事象Aが起きたときに、事象Bが発生する確率 と Pr{B|A} --- 事象Aが起きなかったときに、事象Bが発生する確率 を比較する. Pr{B|A} = Pr{B|A} --- 等しければ“独立” 確率・統計 20(演習)排反事象と独立事象
確率・統計 事象Aと事象Bが排反であることを式で表現せよ 事象Aと事象Bが独立であることを式で表現せよ 21順列の数
順列(permutation) 異なるn個のものからr個とりだして並べる 場合の数. nP
r = n (n-1) (n-2) ・・・(n-r+1) = n!/(n-r)! 同じものがあるときの、順列の個数の求め方に関し て、テキストを理解せよ.(p.38-39) 確率・統計 22組合せの数
組合せ(combination) 異なるn個のものからr個のとりだしかた. (並びは無視する) nC
r = nP
r / rP
r = 確率・統計 23(演習)
以下の式の意味を説明しなさい. 確率・統計 24 確率・統計25
③ 事象と組合せ(2章後半)
25 確率・統計 26二項定理
確率・統計 27パスカルの3角形
1 a + b a2+ 2ab + b2 a3+ 3a2 b + 3ab2+ b3 a4+ 4a3 b + 6a2 b2+ 4a b3+ b4 (a + b)0 (a + b)1 (a + b)3 (a + b)2 (a + b)4 4C0 4C1 4C2 4C3 4C4 (a + b)n-1 n-1Cr-1an-r br-1+n-1Cran-r-1br ... ... nCran-r br (a + b)n ... ... (r = 1,..., n-1) (r = 0,..., n) 28加法定理
式で表現すると 確率・統計 29乗法定理
式で表現すると (問題) A, Bが独立の場合はどうなるか考えよ. 確率・統計 30独立試行
独立に繰り返される操作を独立試行という. (問題)以下は独立試行か?理由と共に答えよ. (1)コインを投げて表が出るか?裏がでるか? (2)野球のピッチャーがN回投げる球がストライクになるかどうか? 人間の場合?ロボットの場合? 確率・統計31
二項分布
(問題) 10回さいころを投げて、4回 1または2 が出る確率は? 確率・統計 32(演習)多項分布
(問題1)テキストp.47 多項分布の公式が、3項の場合 に成立することを確認せよ. (問題2)テキストp.39 3行目の式を使って、多項分布 の式を証明せよ. 確率・統計 33 相対度数r/nは, 試行回数nを大きくするとどうなるか? アルミ硬貨を投げて、表裏 の出る事象を観測 表の出た回数 r 全試行回数 n としたとき、 確率・統計 34ベルヌーイの大数の法則
“相対度数 r/n はpに限りなく近づく” 確率・統計 35まとめ
以下は、どのような定理か?またそれぞれが成立する 条件は何か?条件が成立しない場合はどのように考え ればよいか? 加法定理 乗法定理 確率・統計 36まとめ
以下の意味するところをまとめよ. 独立試行とは、どのような試行か? 二項分布とはどのような分布か? ベルヌーイの大数の法則と期待値の概念 確率・統計37
④ 確率変数(3章前半)
本日の理解目標
確率変数、二項分布の性質とポアソン 分布. 離散型確率分布 平均値(または期待値) E(X) 分散、標準偏差 チェビシェフの不等式とベルヌーイの大数 の法則の証明 37 確率・統計 38二項分布
確率分布 と 確率変数 確率変数 X 確率分布 X に対する確率の分布 事象Eの起こる確率をp、n回の独立試行を行ったと き、事象EがX回起こる確率は? X= x のとき nCxpxqn-x である.(2章参照) → 二項分布 確率・統計 39二項分布
n→大 p→ 小 確率・統計 40二項分布の特徴
pを小さくすると左に偏る.(図3.2) nを大きくすると対称型に近似する.(図3,3) ポアソン分布 np= m を一定とし、nを大きくしたときの分布. ※ただし、mはある程度小さいという前提. n→∞ としたとき p→ 0 nCxpxqn-x → e–m・mx/x! (二項分布はポアソン分布に近づく) 確率・統計 41(補足)
n→∞ としたとき nCxpxqn-x → e–m・mx/x! となることの証明 (p.186参照しながら各自証明してみよ) 確率・統計 42ポアソン分布とは?
(前提) pがかなり小さい nが大きい np= m がある程度小さい (例)P.57 問題2 n= 400(1ページあたりの字数) p= 500(誤植)/500(ページ)*400(1ページあたりの字数) np= m = 1 → ポアソン分布に従う 確率・統計43
ポアソン分布
確率・統計 0 1 2 3 4 5 6 1 0.367879 0.367879 0.18394 0.061313 0.015328 0.003066 0.000511 2 0.135335 0.270671 0.270671 0.180447 0.090224 0.036089 0.01203 3 0.049787 0.149361 0.224042 0.224042 0.168031 0.100819 0.050409 4 0.018316 0.073263 0.146525 0.195367 0.195367 0.156293 0.104196 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 x Pr(X=x) = e–m・mx/x! x m m 44ポアソン分布(実イメージ)
確率・統計 0 1 2 3 4 5 6 1 0.367879 0.367879 0.18394 0.061313 0.015328 0.003066 0.000511 2 0.135335 0.270671 0.270671 0.180447 0.090224 0.036089 0.01203 3 0.049787 0.149361 0.224042 0.224042 0.168031 0.100819 0.050409 4 0.018316 0.073263 0.146525 0.195367 0.195367 0.156293 0.104196 x m m nが大きい.確率が大きいのは x=m付近 である 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 051015 202530354045505560 65707580859095 10 0 10 5 11 0 11 5 12 0 12 5 13 0 13 5 14 0 14 5 15 0 15 5 16 0 16 5 17 0 17 5 18 0 18 5 19 0 19 5 20 0 20 5 21 0 21 5 22 0 22 5 23 0 23 5 24 0 24 5 25 0 25 5 26 0 26 5 27 0 27 5 28 0 1 2 3 4 Pr(X=x) = e–m・mx/x! 45ポワソン分布の作成例
e–m・mx/x! m x nは大きな数 pは小さな数 m=np 46ポアソン分布
P57 例2 p = 0.01, n = 200, m = np = 2 Pr(X=0) = e–m・m0/0! = 0.135 Pr(X=1) = e–m・m1/1! = 0.271 Pr(X=2) = e–m・m2/2! = 0.271 Pr(X=3) = e–m・m3/3! = 0.180 Pr(X≦3) = 0.857 確率・統計 +) Pr(X≧4) = 1- 0.857 = 0.143 47 P.57 問題2 n= 400(1ページあたりの字数) p= 500(誤植)/500(ページ)*400(1ページあたりの字数) np= m = 1 確率・統計 Pr(X=0) = e–m・m0/0! = Pr(X=1) = e–m・m1/1! = Pr(X=2) = e–m・m2/2! = Pr(X≦2) = +) Pr(X≧3) = 48離散的確率分布
離散的変数 -- とびとびの値をとる変数 (例 整数) 連続的変数 -- 連続した変数(例 実数) → 確率変数Xの 平均値(または期待値) を E(X) で表す. 確率・統計49
二項分布の期待度数
二項分布 Pr{X =x} = nCxpxqn-x E(X) = ∑ ∙ = (※二項定理を使う) ∑ ∙ = ∑ ∙ = ∑ ∙ ⋯ ! = ∑ ⋯ ! = ∑ ⋯ ! = ∑ = 50変数変換
が導かれる. 確率・統計同様に E(X+Y) = E(X) + E(Y) も導ける
51 p.61 の式の証明の説明 確率・統計 52
σ
2の定義をつかって証明せよ
σ2(cX)=c2σ2(X) σ2(X+c)=σ2(X) 確率・統計 53分散と標準偏差
偏差 X-E(X) --- 平均からのずれ 分散 σ2 = E{(X-E(X))2} 偏差の2乗平均 標準偏差 σ 分散の正の平方根 ※ 二項分布の分散は npqに等しい ポアソン分布の分散はm(平均)に等しい (各自、証明してみよ) (公式III) (公式III’) 確率・統計 54まとめ
二項分布 平均=np, 分散=npq ポアソン分布 (二項分布の特殊な例 np=m が一定、 nが大きく,pが小さい場合) 平均=m, 分散=m 平均 E(X)E(X+c) = E(X)+c E(cX)=xE(X) E(X+Y) = E(X) + E(Y)
分散 σ2(X) = E((X-E(X))2)
σ2(cX) =c2σ2(X) σ2(X+c) =σ2(X)
55
⑤ 確率分布(3章中)
本日の理解目標
離散型確率分布(多次元)
平均、分散、標準偏差の考え方と求め方 共分散、相関係数
確率分布
一様分布 55 確率・統計 56複数変数の確率分布(3.3節)
変数の独立の定義(p.64下) 確率変数が独立であるときかつそのときにかぎ り Pr{X=xi, Y=yj}= Pr{X=xi}Pr{Y=yj} が成立する. 平均値(p.65) → 例1をやってみよ 確率・統計 57確率変数の変換(p.66-69)
E(X+Y) = E(X)+E(Y)E(X・Y) = E(X)・E(Y) (X,Yが独立の場合)
確率・統計 58
分散、標準偏差、相関係数
複数変数の場合も、分散と標準偏差に関して、 3.2節と同様の公理が成立する. 共分散(covariance) --- 偏差の積の平均 cov(X,Y) = E{(X-E(X))(Y-E(Y))} 相関係数ρ(X,Y) = cov(X,Y) /σ(X)σ(Y) ※変数同志の影響度合いを見るときに使う. 確率・統計 59 ※変数間の相関係数 0 --- 独立、 1 --- 完全相関 ( な 確率・統計 60 (ヒント)以下の式を使ってやってみよ. cov(X,Y) = E{(X-E(X))(Y-E(Y))} ρ(X,Y) = cov(X,Y) /σ(X)σ(Y) E(X-E(X)) = 0
61 確率・統計 62
まとめ
2個の確率変数の場合、以下の各式をまとめなさい.
平均、分散
共分散
相関係数
E(XY)=E(X)・E(Y)が成立するのはどのような場合 か?成立しない場合は? 確率・統計 63一様分布
連続変数の場合の確率定義 → 変数1個に対する確率は定義できない. 変数の値の範囲に対して定義(ルーレットの例を参 照) 一様分布 この面積が1になる 確率・統計 64一般の分布
この面積が1になる 確率・統計 65正規分布
確率・統計 66標準正規分布
μ = 0 σ = 1N(0,1)
確率・統計67
⑥ 確率分布(3章後半)
本日の理解目標
確率分布
一様分布 正規分布 標準正規分布 67 確率・統計 68p.211 正規分布表の見方(1)
φ(確率) → x 確率 = 0.587 → x ? .58 少数位 .007 .2198 = 0.2198 x 確率・統計 69p.211 正規分布表の見方(2)
φ(確率) → x 確率 = 0.113 → x ? .11 少数位 .003 1.2107 = - 1.2107 Φ<0.5 のときは、x は負の値になる -x 確率・統計 70正規分布の確率の求め方
X = [a, b] の確率 za= (a – μ) / σ zb= (b – μ) / σ を求める. 表4を用いて、φ( za)、φ( zb) を求める Φ(X) = φ( zb) - φ( za) p.81 問題2,3をやってみよ. 確率・統計 71二項分布と正規分布
二項分布のnを十分大きくしていくと 正規分布 N(np, npq) に近づく. 確率・統計 72 連続型確率変数の変換: 離散変数の場合と同様以下の式が成り立つ E(X+c) = E(X)+c E(cX) = c E(X) σ2(X) = E(X2)-(E(X))2E(X・Y) = E(X)・E(Y) (X,Yが独立の場合のみ)
73