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Microsoft Word 米中東戦略

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2009年7月25日 山口 昇

オバマ政権の軍事戦略:中東を中心に

[要旨:オバマ政権が発足してから半年を経て、その安全保障政策が逐次明らかになりつつ ある。いわゆる宣言政策としては、今後「4年毎の国防見直し(Quadrennial Defense Review: QDR)」、「核政策見直し(Nuclear Posture Review: NPR)」等の公式文書で明 らかにされる予定である。他方、中東政策に関しては、3 月 27 日の大統領スピーチで 「アフガニスタン・パキスタン新戦略」が公表され、また、6 月 4 日のカイロ大学にお けるスピーチでは、イスラム社会との関係に関する包括的な考え方が明らかにされた。 前述の QDR に関連する動きとしては、本年1月に国防省が発表した「4 年毎の任務・役 割に関する報告」に国防戦略上重視すべき点が列挙されている。以下、米国の安全保 障戦略の枠組、オバマ政権の国家安全保障戦略および軍事(作戦)戦略の要点を概観 する。] 1.米国の安全保障に関する戦略の枠組み (1)米国安全保障戦略の枠組み

米国安全保障戦略の枠組み

年 度 予 算 国防長官が4年毎に行う国防計画の 見直し。兵力構成に焦点。過去、97年 5月、01年9月、06年2月に議会報告 QDR(Quadrennial Defense Review) 国家安全保障戦略(National Security Strategy)

国防政策を中心に安全保障政策の基本的な考え 方が記されている報告書。ゴールドウォーター・ニコ ルス法(86年)により、議会への提出が義務化。ブッ シュ大統領は、02年9月、06年3月に議会提出 国家安全保障戦略を米国防省が実施するための 国防長官が示す指針。2008年6月公表

国家防衛戦略(National Defense Strategy)

国家軍事戦略(National Military Strategy) 国家安全保障戦略、国家防衛戦略で示された戦略 指針を各軍種及び統合司令官が実施するため統参 議長が示す軍事的指針。2005年3月公表 (2)冷戦後の戦略報告 ○ 戦略形成の骨格となる報告書 ・ 国家安全保障戦略(NSC):2006 年、2001 年、1998 年、1994 年

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・ 国家防衛戦略(国防省):2008 年、2005 年 ・ 国家軍事戦略(統合参謀本部):2008 年、2005 年 ○ 4年毎の防衛見直し(QDR):2009 年(?)、2006 年、2001 年、1997 年 ※ 4年毎の役割・任務に関する報告(QRM:09.1) ○ 個別案件に関する戦略 アフガン・パキスタン新戦略(09.03)、イラク新戦略(07.1)、イラク国家戦略(05.11)、 地球規模での展開体制見直し(03.11)、テロ対策国家戦略(03.2)、大量破壊兵器対策 国家戦略(03.2)、国土安全保障戦略(02.7)、核態勢見直し(02.1) ○ 安全保障戦略に関する諸提言 ・ 「オバマ政権のアジア太平洋政策」(CNAS 他 09.3)、「イラク新戦略提言」(AEI: 06.12)、アーミティジ・ナイ報告(07.2、00.10)、ラムズフェルド委員会報告(98.7)、 国防委員会報告(NDP:97.12) 2.米国の国家戦略 (1)QDR2006 における問題意識 テロリストの テロリストの 打破 打破 現在の能力 重点をシフト 岐路にある国岐路にある国 の方向付け の方向付け 本土防衛 大量破 大量破 壊兵器 壊兵器 の拡散 の拡散 阻止 阻止 大量破壊兵器等を 大量破壊兵器等を 用いたテロ、ならず 用いたテロ、ならず 者国家による脅威 者国家による脅威 米国の優位性を相殺する 米国の優位性を相殺する 技術・手段を用いた競争 技術・手段を用いた競争 相手による脅威 相手による脅威 通常戦力による紛争 通常戦力による紛争 伝 統 型 混 乱 型 破 滅 型 非正規型 テロなどの非正規 テロなどの非正規 型手段による脅威 型手段による脅威 ・中東(イラク、リビア、 ・中東(イラク、リビア、 イラン) イラン) ・中央アジア ・中央アジア ・中南米(ベネズエラ) ・中南米(ベネズエラ) ・インド、ロシア、中国 ・インド、ロシア、中国 06QDRにおける4つの課題 (2)国防戦略報告(NSS)および4年毎の任務・役割に関する報告(QRM)の要点 ○ 戦略目標: ①本土防衛、②「長期化する戦争」における勝利、③安全保障体制構築、④地域紛 争阻止、⑤国家間戦争での勝利 ○ 主要任務: ①本土防衛および民政支援、②抑止作戦、③大規模戦闘、④非正規戦、⑤安定化・ 復興支援に対する軍事的支援、⑥協力的安全保障に対する軍事的な貢献

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○ 主要能力: ①多様な作戦環境における兵力運用、②指揮統制、③戦場認識、④ネット・セント リック、⑤パートナーシップ構築、⑥防護、⑦兵站、⑧兵力の整備・維持、⑨組織 管理のための人材 (3)アフガン・パキスタン新戦略(09年3月) ○ アフガニスタンとパキスタンの不可分な関係を認識 ○ 目標は、パキスタンとアフガニスタンにおいてアルカイダを阻止・撃破すること ○ イラクからアフガニスタンへの重点移行:「イラクでの戦争を理由としてアフガニ スタンへの資源投入を拒否してはならない」 ○ 軍事・非軍事手段の総合的な適用:各年約15億ドル×5年 ○ 治安兵力(軍:134,000 名)、警察(92,000 名)の整備 ○ アフガニスタンへの米軍増派(17,000 名) 3.軍事(作戦)戦略の特色 (1) ペトレイアス大将による作戦戦略の変革(Clear-Hold-Build) 掃 討 前方作戦基地(FOB) 合同警備所(JSS) 戦闘前哨(COP) 前方作戦基地(FOB) 戦闘前哨(COP) 確 保

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(2) 米陸軍および海兵隊におけるドクトリン開発 ○ FM3-0「作戦」(陸軍新教範) ・ 安定化作戦を主要作戦(攻勢・防勢)と同等に位置づけ ・ 安定した平和→不安定な平和→叛乱→全面戦争の全スペクトラム ・ 作戦のテーマを「平時の軍事的関与」、「限定的介入」、「平和作戦」、「非正規戦」、 「大規模な作戦行動」からを的確に選択 ・ 攻勢・防勢作戦、安定化作戦、民生支援活動の組み合わせで対応 ○ FM3-24/MCWP3-33.5:大学院レベルの叛乱対処マニュアル ・ 留意事項:「(現地における)正統性」「政治的要因の優越」「叛乱勢力を大義名分 と支持勢力から離反させること」「法の支配下での秩序」「長期的なコミットメン ト」など ・ 叛乱対処のパラドクス:「より強固な防護は脆弱性を増す」「より強力な軍事力の 使用は逆効果」「成功によって運用可能な兵力が減少し、より大きなリスクを許 容することが必要になる」「ホスト国が行う最低限の行為は米軍の最良の行為よ りまし」「戦術上の成功はなにも保障しない」 4.まとめ (1) パートナーとの協力(QDR2006) ○ 安定化の対象となる地域の住民、アドホックなコアリション、同盟 ○ 同盟国に関しては、それぞれが持つ独特の特性と能力を最大限駆使 (2) イスラム穏健派の支持獲得 ○ オバマ大統領のカイロ演説(2009 年 6 月) ○ クレピニヴィッチ CSBA 所長:イスラム民主主義国家との協力 ○ ゴー・チョクトン星首相の基調講演(2004 年シャングリラ会議) 「テロリストは、イスラム社会の異常な少数派(Deviant minority)。問題は(宗教 ではなく)彼らの暴力的な性格にある。」→イスラム穏健派の信頼と協力が鍵 (3) 新しい戦略の模索(クレピネヴィッチ CSBA 所長) ○ 現状認識:「資産価値を失いつつある米国の軍事基盤」 ・ 先端軍事技術の拡散:精密誘導技術独占状態の終焉 ・ 新たに台頭する勢力 ・ 唯一の超大国たる能力を支えてきた経済基盤の相対的沈下 ・ 同盟国のリラクタンス ○ 新しい戦略の必要性:現状を直視して戦略を選択することの重要性 ・ 1949年に核兵器独占体制が覆された後に、対ソ「封じ込め」「抑止」を中心 とする冷戦戦略を再構築したのと同様の戦略的熟考が必要 ・ 特にアクセスを妨害される(Anti-Access/Area Denial)環境下での兵力投射能 力を構築することが重要(前方基地の脆弱性緩和)

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参考資料

米国の安全保障政策に関する主要報告書-1

89. 3 「国家安全保障レビュー(NSR)」 ~新たな軍事戦略の見直し指示~ 90. 8 「ベース・フォース(基礎戦力)構想」(大統領承認) 91. 8 「国家安全保障戦略91(NSS91)」 ~ベース・フォース構想の改定: 「封じ込め戦略」を「地域防衛戦略」に転換~ 92. 1 「国家軍事戦略」 「ベース・フォース構想」(定式化) 93. 9 「ボトムアップレビュー(BUR)」 94. 7 「国家安全保障戦略94(NSS94)」 ~関与と拡大の国家安全保障戦略~ 95. 2 「東アジア戦略報告(EASR1)」(ナイ・レポート) 7 「国家軍事戦略(NMS)」 ~柔軟かつ選択的関与の戦略~ 96. 7 「ジョイント・ビジョン2010(JV2010)」(統合参謀本部) 97. 5 「4年ごとの国防計画の見直し(QDR97)」 12 「国防の転換:21世紀の国家安全保障」(国防委員会) ~2正面戦略の見直し、本土防衛体制の強化、軍の変革を提案~ 98. 1 「国家軍事戦略(NMS)」 ~「形成」「対処」「準備」~ 10 「国家安全保障戦略98(NSS98)」 ~「形成」「対処」「準備」に「防御」を追加~ 11 「東アジア戦略報告(EASR2)」 00. 6 「ジョイント・ビジョン2020」 10 「アーミーテージ・ナイ報告」 ~日米同盟の強化を提言~ 01. 9 「QDR01」

02. 1 「核体制の見直し(Nuclear Posture Review)」

7 「国土安全保障戦略(National Strategy for Homeland Security )」 9 「国家安全保障戦略」

12 「大量破壊兵器と闘う国家戦略(National Strategy to Combat WMD)」 03. 2 「テロリズムと闘う国家戦略(National Strategy for Combating Terrorism )」

11 「地球規模での米軍の態勢見直し(Global Posture Review)」開始

05. 3 「国家軍事戦略」 「国家防衛戦略」

11 「イラクにおける勝利のための国家戦略(National Strategy for Victory in Iraq)」

06. 2 「QDR06」

3 「国家安全保障戦略」

07. 1 「イラク新戦略(The New Way Forward in Iraq)」

2 「アーミテージ・ナイ報告2」 08. 6 「国家防衛戦略」 09.1 「4年毎の役割任務見直し(QRM)」 09. 3 「オバマ政権のアジア政策」(CNAS,CAN,INSS,CSIS:P-F, IDA) 09. 3 「アフガニスタン・パキスタン新戦略」(大統領スピーチ)

米国の安全保障政策に関する主要報告書-2

参照

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