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序 文 いま東アジアで最も注目をあびている国がベトナムです ベトナムは1975 年に念願の南北統一を実現しましたが長く続いた戦争で国家は疲弊し 燐国カンボジアの内戦に侵攻 さらに最大の援助国であったソ連邦の崩壊という大事変に遭遇したことで経済は破滅的な状態に陥りました しかし1986 年の国会決議に

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VIETNAM

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2004

更新日:2004/7/1 (ご注意) 当データファイルを無断で転記またはコピーして 配布する行為を禁止します。また当データの扱い によって問題が生じた場合、著者は一切責任を負 えませんのでご承知願います。 なお取材時期の関係で直近の状況が異なる場合が 予想されますのでご容赦お願い致します。 著作者 1

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序 文 いま東アジアで最も注目をあびている国がベトナムです。 ベトナムは1975年に念願の南北統一を実現しましたが長く続いた戦争で 国家は疲弊し、燐国カンボジアの内戦に侵攻、さらに最大の援助国であ ったソ連邦の崩壊という大事変に遭遇したことで経済は破滅的な状態に 陥りました。しかし1986年の国会決議によってドイモイ(刷新)政策を 決定したことから経済は劇的に立ち直り、88年に公布した新外資法は西 側企業を歓迎し優遇措置を盛り込んだことで外国投資が急拡大するに到 りました。1995年 2月にベトナムは米国と関係正常化を果たし同年 7月 にはアセアン(ASEAN) の正式同盟国になりました。日本の企業投資はド イモイ後しばらくはスローでしたが米国がエンバーゴ(禁輸)を解除し たことから堰を切ったように拡大に転じ、97年には7億7,500万ドルで第 一位の投資国になりました。また日本のベトナムに対するODAは世界 一を続けており、ベトナム側も欧米先進国には実施していない短期入国 ビザを日本人には不要としております。 日越の関係は古く中部ホイアンとの貿易の往来は朱印船の名でよく知ら れておりますし後の不幸な大戦でも長きに渡ったフランスの植民地化を 終わらせる契機になったことなどからベトナムはアジアの中でも屈指の 親日国家となっております。 近年中国の経済発展が突出して目立つアジアですがここにきてチャイナ プラス ワンをベトナムに向ける外国投資が増加しております。今後ベ トナムの経済発展が飛躍的に加速することは間違いないと予測されてお りまさにこれからがベトナムはおもしろいと申せます。 本書はベトナムの現況を理解するために各種データを収集したものです。 ベトナムに関心のある方々に少しでもお役に立てればと思っております。 2004 7/1 著作者 2

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(目 次) 一般事情 4 ベトナムの国家組織 5 ベトナムの国家指導人事 6 ベトナムの閣僚人事(写真)--- 7 ベトナムの閣僚一覧--- 8 ベトナムの行政組織図・行政区分地図--- 9 ベトナムの行政区画表--- 10 ベトナム共産党・国防--- 11 ドイモイ 13 ベトナムの産業構造 14 ベトナムの投資環境 17 計画投資省(MPI) - 23 投資案内(在日大使館資料)--- 24 外国投資と申請について 27 外国投資申請承認のプロセス 28 合弁企業の認可フローチャート 29 法規制関連手続き 31 ベトナムの銀行 32 保険会社・税務会計業務会社 36 ベトナム商工会議所 37 駐在事務所 38 事務所の設置(在日大使館資料)--- 40 経済特別区(EPZ・IP) 44 優遇制度(在日大使館資料)--- 45 タントゥアン輸出加工区 50 サイゴンサウス計画 51 ベトナムの貿易統計 52 ベトナムの貿易 2000-2001(ジェトロ資料)--- 53 日本の貿易(在日大使館資料)---55 外国投資認可統計 57 インフラストラクチャ 58 日本の対越ODA 66 ホーチミン市の案内 69 ハノイ市の案内 73 ベトナムの歴史 76 ベトナム戦争 79 ベトナムの社会主義革命 82 (特選資料)ベトナムの概説---84 3

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一 般 事 情

・国 名 ベトナム社会主義共和国 (Socialist Republic of Vietnam) (1976年 7月 2日南北統一国家として成立) ・国 旗 金星紅旗 ・国 歌 「進軍歌」(1946年第1期国会で制定/作詩作曲-1944年 バン カオ) ・面 積 329,566k㎡(九州を除いた日本の面積に相当) 北緯 8.35 ~23.4度 東経 102.8~109.4 度(日本より約3,600Km) ・首 都 ハノイ(行政区:57省・4中央直轄地:ハノイ、ハイフォン、ダナン、ホーチミン) ・人 口 2000年:78,523千人 男49% 女51% 人口増加率1.8% ・民 族 キン族 90% 他(タイ、 クメール、 華人、ムオン 、ヌン等少数民族53) ・公用語 ベトナム語(文字表記はローマ字表記を使用) 人口の 90%が使用 ・宗 教 大乗仏教 80%、カトリック 9% 、他(カオダイ教、オアハオ教など) ・政 体 社会主義共和制 ・政 党 共産党1党のみ(憲法69条にて共産党以外の政党も認められている) ・国 会 (1院制) 450議席(97年選挙) 任期5年 ・教 育 小学校5年、中学校4年、高等学校3年、大学(総合4年、単科3年間) ・非識字率 (2000年度)男性 4% 女性 9% ・兵役制 男子18~27才(但し大学合格者は免除) 期間 2~3 年

・通 貨 ドン(Dong) ハオ(Hao:1/10ドン) 為替:US$1.00 =14,800ドン(2001/7)

紙幣:100 200 500 1000 2000 5000 1万 2万 5万 10万 50万 コイン:5000 200 ・外貨準備 18億米ドル(99年) (経済指標) ・GNP(名目) 30,439百万ドル/1人当り390ドル ・GDP 成長率 6.8% (2001年) 6.7% (2002年目標) 工業生産 10.1% (2001年) 13.9% ・成長率 農水生産 2.7% (2001年) 5.0% サービス 6.1% (2001年) 6.4% ・インフレ率 5%以内 (2001目標) ・電 圧 220V(50HZ) ・天 候 気 温 最暑期 最寒期 年平均 降水量 雨 期 乾 期 年平均 ハノイ 29.2℃ 17.2℃ 23.2℃ ハノイ 1530mm 270mm 1800mm フエ 29.3℃ 20.5℃ 24.9℃ フエ 2320mm 580mm 2900mm ホーチミン 29.7℃ 24.0℃ 27.8℃ ホーチミン 1800mm 200mm 2000mm 南部-熱帯モンスン地帯(年間を通して猛暑が続く) 北部-亜熱帯(四季があり、12~2 月には 6°C のこともある) ・時 差 グリニッジ標準時(GMT) +7時間 日本より2時間遅れ(サマータイムはなし) 4

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●ベトナムの国家組織 ベトナム社会主義共和国の新憲法は1980年12月19日に公布され、ベトナム共産党による 人民統治を確立した。国会はベトナム共産党の指導の元に存在し、共産党の一党政権下に よる1院制で議席数は395(92年改憲) となっている。国会の常設機関として国会常任委員 会(旧国家評議会)があり大統領が行政の指導者となっている。国会議員選挙は中選挙制 で18才以上の国民投票で行われ、被選挙権は21才以上である。92年選挙時点の有権登録者 数は3,752 万人、158 選挙区であった。地方の行政は政府の下に置かれた省・地方委員会 によって行われている。ベトナムの行政管理は96年の第10国会決議でハノイ市、ハイフォ ン市、ダナン市、ホーチミン市の4特別市(直轄地)と57省に区分されている。 司法機関としては中央に最高裁判所、その下に地方人民裁判所と軍事裁判所が置かれ、警 察機関には人民警察院と軍事警察院がある。 (国家組織図) 国 会 共産党 祖 大統領・副大統領 最 最 全国代表大会 国 常任委員会 高 高 戦 人 人 線 国保 民 民 中央委員会 防障 検 裁 政 府 安評 察 判 政治局 全議 院 所 首 相 会 副首相 首相府 人 ・国防省 民 ・公安省 ・国家計画委員会 軍 地 ・外務省 ・国立銀行 方 ・司法省 ・少数民族山岳地域委員会 人 ・財務省 ・共産党中央委員会 民 ・厚生省 ・海外投資委員会 裁 ・工業省 ・人民最高検察院 判 ・建設省 ・人民最高裁判所 所 ・商業省 ・ベトナム総合保険公社 ・水産省 ・ベトナム民間航空局 軍 ・文化/情報省 ・入出国認可局 事 ・教育/訓練省 ・中央郵便局 裁 ・運輸交通省 ・ベトナム石油公社 判 ・計画投資省 ・ベトナム科学院 所 ・保健省 ・ベトナム商工会 ・科学/技術/環境省 そ ・農業農村開発省 の ・労働/戦傷者/社会福祉省 他 支 地方祖国戦線 地方人民評議会 地方人民検察院 部 地方人民委員会 軍事検査院 5

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(ベトナムの国家指導人事)

◎共産党指導部人事(2001年4月7日-22日ベトナム共産党全国代議員大会(第9期) (政治局15人選出)

Nong Duc Manh(総書記)

Tran Duc luong/Phan Van Khai/*Nguyen minh Triet/Nguyen Tan Dung/Le minh Houng Nguyen Phu Trong/*Phan Dien Le/*Le Hong Anh/Truing Tan Sang/Pham Vasn Tra Nguyen Van An/Truong Quang Duoc/*Tran Dinh Hoan/*Nguyen Khoa Diem *新任

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(ベトナムの閣僚人事)

(資)現地紙 Thoi su 2002 sep8

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(写真順の紹介) 第11期国会第1回会議 8/8 2002年批准 (1)(2)(3)(4)

(1) 首 相 Phan Van Khai (2) 副首 相 Nguyen Tan Dung (3) 副首 相 Vu Khoan

(4) 副首 相 Pham Gia Khiem (5) (6) (7) (8) (9) (10) (5) 国防大臣 Pham Van Tra (6) 公安大臣 Le Hong Anh (7) 外務大臣 Nguyen Dy Niem (8) 法務大臣 Uong Chu Luu (9) 財務大臣 Nguyen Shihn Hung (10) 商業大臣 Truong Dinh Tuyen (11) (12) (13) (14) (15) (16)

(11) 労働戦傷者福祉大臣 Nguyen Thi Hang (12) 運輸大臣 Dao Dinh Binh

(13) 建設大臣 Nguyen Hong Quan (14) 水産大臣 Ta Quang Ngoc

(15) 文化情報大臣 Pham Quang Nghi (16) 教育訓練大臣 Nguyen Minh Hien

(17) (18) (19) (20) (21) (22) (17) 農業農村開発大臣 Le Huy Ngo (18) 工業大臣 Hoang Trung Hai (19) 計画投資大臣人 Vo Hong Phuc (20) 厚生大臣 Tran Thi Trung Chien

(21) 体育スポーツ委員会議長 Nguyen Danh Thai (22) 国家監査院長官 Quach Le Thanh

(23) (24) (25) (26) (27) (28) (23) 国家銀行総裁 Le Duc Thuy (24) 政府事務局局長 Doan Manh Giao (25) 内務大臣 Do Quang Trung

(26) 科学技術大臣 Hoang Van Phong (27) 国籍問題委員会議長 Ksor phuoc (28) 天然資源環境大臣 Mai Ai Truc (29) (30) (29) 郵便電信大臣 Do Trung Ta (30) 人口家族児童委員会議長 Le Thi Thu 8

(9)

行政組織図(57省4特別市) (国政レベル) (地方自治レベル) 郡 区 県 町 区 区 省(57) 町 郡 区 区 中央政府 市 ハノイ/ハイフォン 郡 区 ホーチミン/ダナン 都市地区 区 特別市(4) 田園地区 (資料:ベトナム大使館) 町 9

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(ベトナムの行政区画: 57省4中央直轄地) (単)面積:㎢ 人口:千人

NO 省 名 面 積 人 口 省 都 名

51 アンザン An Giang I,440 1,793 ロンスイエン Long Xuyen 10 イエンバイ Yeb Bai 6,630 530 イエンバイ Yeb Bai

7 カオバン Cao Bang 8,420 566 カオバン Cao Bang 38 カンホアン Khanh Hoa 4,160 822 ニアチャン Nha Trang 54 カント- Can Tho 3,020 1,614 カント Can Tho 58 キエンザン Kien Giang 6,360 1,200 ラクザ Rach Gia 19 クワンニン Quang Ninh 5,940 810 ホンガイ Hon Gai 31 クワンビン Quang Binh 7,730 646 ドンハイ Dong Hai 32 クワンチ Quang Tri 4,590 458 ドンハ Dong Ha 34 クワンナム Quang Nam 10,410 1,365 タムキ Tam Ky 35 クアンガイ Quang Ngai 5,850 1,060 クアンガイ Quang Ngai 29 ゲアン Nghe An 16,450 2,420 ビン Vinh

40 コントウム Kon Tum 13,000 230 コントウム Kon Tum 39 ザライ Gia Lai 12,000 654 プレイク Play Cu 14 ソンラ Son La 14,470 682 ソンラ Son La 43 ビンズオン Binh Duong 2,720 646 トウダウモト Thu Dau Mot 44 ビンフォック Binh Phuoc 6,810 532 ドンスアイ Dong Xoai 55 ソクチャン Soc Trang 3,140 1,067 ソクチャン Soc Trang 47 タイニン Tay Ninh 4,030 791 タイニン Tay Ninh 28 タンホア Thanh Hoa 11,140 2,990 タンホア Thanh Hoa 24 タイビン Thai Binh 5,500 1,630 タイビン Thai Binh 41 ダクラク Dak Lak 19,800 947 ブオンマトウオト Buon MaThuot 57 チャビン Tra Vinh 2,360 961 チャビン Tra Vinh 52 ティエンザン Tien Giang 2,380 1,484 ミト My Tho

6 トウエンクワン Tuyen Quang 5,800 564 トウエンクワン Tuyen Quang 33 トウアンティエン フエ Thua Thien Hue 5,010 891 フエ Hue

48 ドンナイ Dong Nai 7,580 2,007 ビエンホア Bien Hoa 50 ドンタップ Dong Thap 3,390 1,337 サデク Sa Dec 27 ニンビン Ninh Binh 1,390 788 ニンビン Ninh Binh 45 ニントウアン Nimh Thuan 3,530 410 ファンラン Phan Rang 5 ハザン Ha Giang 7,830 461 ハザン Ha Giang 17 バックザン Bac Giang 3,820 1,441 バクザン Bac Giang 18 バックニン Bac Ninh 800 922 バクニン Bac Ninh 20 ハタイ Ha Tay 2,170 2,090 ハドン Ha Dong 22 ハイズオン Hai Duong 1,660 1,685 ハイフンオン Hai Duong 23 フンイエン Hung Yen 900 1,076 ハイドン Hung Yen 25 ハナム Ha Nam 830 805 ハナム Ha Nam 26 ナムディン Nam Dimh 1,670 1,898 ナムディン Nam Dimh 30 ハティン Ha Tinh 6,050 1,270 ハティン Ha Tinh 12 バクカン Bac Can 4,800 268 バクカン Bac Can 13 タイグエン Thai Nguyen 3,450 1,019 タイグエン Thai Nguyen 61 バリアブンタウ Ba Ria Vung Tau 2,050 587 ブタウ Vung Tau 15 フウトー Phu Tho 3,470 1,262 ベトチ Viet Tri 16 ビンフック Vinh Phuc 1,370 1,067 ビンイエン Vinh Yen 36 ビンディン Binh Dinh 6,080 1,245 クイニヨン Quy Nhon 56 ビンロン Vinh Long 1,490 957 ビンロン Vinh Long 46 ビントウアン Binh Thuan 7,890 812 ファオンティエト Phan Thiet 37 フーイエン Phu Yen 5,180 658 トウイホア Tuy Hoa

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53 ベンチェ Ben Tre 2,230 1,214 ベンチェ Ben Tre 21 ホアビン Hoa Binh 4,700 670 ホアビン Hoa Binh 59 バクリュウ Bac Lieu 2,490 772 バクリュウ Bac Lieu 60 カマウ Ca Mau 5,200 1,068 カマウ Ca Mau

8 ランソン Lang Son 8.190 611 ランソン Lang Son 9 ライチャウ Lai Chau 17,070 438 ライチャウ Lai Chau 11 ラオカイ Lao Ci 7,500 470 ラオカイ Lao Ci 42 ラムドン Lam Dong 9,930 639 ダラト Dalat 49 ロンアン Long An 4,360 1,121 タンアン Tau An

中央直轄地

1 ハノイ HA Noi 2,140 3,056 ハノイ HA Noi:首都 2 ホーチミン Ho Chi Minh City 2,030 3,934 ホーチミン Ho Chi Minh 3 ハイフォン Hai Phong City 1,500 1,448 ハイフォン Hai Phong 4 ダナン Da Nang City 940 663 ダナン Da Nang

(人口は95年の統計数) 1.ベトナム共産党 1992年 4月15日の臨時国会でベトナム共産党は「マルクスレーニン主義とホーチミン思 想に従ってベトナム国家と社会の指導勢力となる」ことを採択した。ベトナム共産党の組 織は全国級、地方級、基礎級、人民軍内の4組織に大別される。党の全国最高指導機関は 「全国代表大会(党大会)」で5年に1度招集され党大会の閉会期間中は「中央委員会」 がその任に当たり6カ月に1回会議を開く決まりとなっている。中央委員会は全体会議で 書記、政治局、常務委員会(旧書記局)、監査委員会を選出し「政治局」は中央委員会を 代表して委員会の閉会中の党活動を指導する役割を担う。「常務委員会」は党の日常の職 務を扱い党決議の実行を監督する。地方組織は地方行政単位に従う各級からなり5年に1 度「各級代表大会」が招集される。代表大会の閉会期間中は各級大会の選出による「党委 員会」が指導機関の任務を担う。党の基礎級組織は企業、商店、合作社、学校、病院、村 、町、人民軍部隊、その他の単位ごとに設けられて3~4人の党員で党支部を結成してい る。さらに下部組織として31年にホーチミン共産青年同盟(15~18才の青年男女による構 成)が創設されている。共産党党員は91年時点215万人、人口比3.1%となっている。なお 憲法69条で共産党以外の政党も認められている。 2.国 防 ベトナムの軍隊は「ベトナム人民軍」と呼ばれベトナム共産党の直接指導下に置かれて いる。1944年12月22日、北ベトナムのタンチャウでベトナム開放宣伝隊として結成され隊 長は元国防大臣のボーグエンザップ将軍で隊員わずか34人で始まったとされている。解放 宣伝隊は8月革命(1945年)の総蜂起後、衛国団(ベエッオックドアン)となり後にベトナム人民軍 へと成長した。 ベトナム人民軍は大統領が人民軍総司令官となり国防国家安全保障評議会の議長となる。 大統領は安全保障評議員名簿を国会に提出し国会はこれを承認する。戦争時の場合国会は 安全保障評議会に特別の権限を託すことができる。ベトナム人民軍は正規軍、地方軍、予 備軍、その他武装人民公安隊と国境警備隊からなる。さらに準軍事的組織として青年労働 志願隊がある。ベトナムでは義務兵役制が実施されており徴兵年齢は18~27才で服務期間 11

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は2年間となっている。専門技能を軍隊で取得した兵、ならびに海洋軍艦勤務兵は3年の 兵役となる。ただ大学卒に対しては兵役は免除されている。予備兵の年齢は男43才、女40 才までで戦時には国会常任委員会の決定によって婦女子も兵役につく義務が課せられる。 (人民軍の基礎知識) ・基礎勢力 常備軍約45万人 後備軍 数百万 ・編 成 総参謀部・政治総局・国防工業経済総局・兵站総局・技術総局 諜報総局/陸軍・空軍・海軍・防空軍/第1 、2 、3 、4 、5 、7 、9 、首都の8軍区/4個軍団 ・任 務 党とその路線を防衛し革命的武装勢力として党の政策実現の糧となる。 国土を外敵の侵略から防衛する。 戦闘と生産、大衆動員の3つの戦略的任務を果たす。 ・軍事思想 平時では全人民国防体制(戦時では人民戦争布陣) ・軍の発展史 1930年 工農自衛隊 1940年 バクソン遊撃隊、ナムキー蜂起軍 1941年 ベトナム救国遊撃小グループ→救国軍に昇格 1944年 ベトナム解放軍宣伝隊設立 1945年 ベトナム解放軍、同年に衛国団(民主共和国の国軍)として拡大 1950年 衛国団→ベトナム人民軍となる - メ モ - 12

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●ドイモイ(DOI MOI) 現在のベトナム経済はドイモイ政策の上に成り立っている。しかしドイモイ(刷新)の 誕生の背景にはベトナムの置かれたやむにやまれぬ事情があり、社会主義国家(共産党 一党政権)が単純に資本主義的経済を選択したのではないという点をドイモイ政策を見 る上で認識しておかなければならない。 (ドイモイ政策の4大改革) ・社会主義路線の変更 ソ連型官僚社会主義から穏やかな社会主義への転換※ ・市場経済の導入 社会主義的計画経済から資本主義的自由市場経済への転換 ・産業政策の変革 重工業優先から農業・軽工業中心に変更。衣食・消費材の生 産を優先し国内の民営産業を振興、国営企業の整理統合と独 立採算の経営に切り換える。対外的には西側先進技術導入を 目指した優遇措置を法制化して外資企業の誘致を図る ・国際協力の参加 全方位外交への対外姿勢を図りASEAN 加盟等の国際協力・同 調への参加を積極的に進める ※ドイモイ以前のベトナムはソ連(現ロシア)型社会主義の路線を規範としていた (ドイモイ政策の効果・課題) ドイモイによるプラス効果 ・経済の活性化により社会経済危機を克服 ・政治的安定の維持 ・対外関係の発展 ドイモイによるマイナス効果 ・所得格差(貧富)の拡大 ・都市部と農村部の発展度合の格差拡大 ・失業の深刻化 ・有料化に伴う教育、医療の荒廃とサービスの低下 ・拝金主義と汚職の蔓延 当 面 の 課 題 ・工業化、近代化を中心とする市場経済化の促進 ・貧困者への教育、医療費の免除 ・現行格差の是正を柱とした社会、文教政策 ・法治国家の建設 ・党員権限の乱用禁止を含む党の刷新 (資料)全国代表者会議書記長報告(1994.1) 13

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●ベトナムの産業構造 (1) 経 過 ベトナムは1954年のジュネーブ協定後、南北に分断状態となり異なる経済圏に属して別 個の経済運営が図られていた。南部はベトナム共和国として主にアメリカの援助資金によ ってインフラの整備が進められた。サイゴン(現ホーチミン)郊外30kmにあるビエンフォアに南 部最大の工業団地が建設された。一方北部はベトナム民主共和国としてソ連型社会主義経 済を国家建設路線とした重工業優先主義で開発が進められた。1975年サイゴンが陥落して ベトナムは社会主義経済国家として統一された。しかしベトナムは西側諸国の経済制裁や らカンボジア派兵、ソ連邦の崩壊という試練にたたされ、1986年の第6回党大会において ドイモイ(刷新)政策を決議し新たな混合経済(社会主義+資本主義)をスタートさせる に到った。 ドイモイ政策以前の事業形態は唯一国営企業が生産活動を行い中央・地方の政府機関が 一切を管理してそのお目付け役としてユニオン(業界統括組織)が置かれていた。国営企 業には営業責任はなく雇用、資金調達、資材購入の権限もなかった。事業計画は中央政府 が立案して必要に応じた物資、設備が企業に供給されていた。国営企業は利益を政府に上 納し損益となった場合は政府が補填(主に東側援助国)すると言う形態であった。国営企 業は消費者ニーズに気を使う必要はなく作業員の労働意欲を喚起することもなかった。政 府はこうした国営企業の放漫な運営と無秩序に補助金を供給続けた結果、財政負担のより どころであったソ連邦の崩壊を契機に経済は破滅的な様相に陥った。こうした事態を政府 は貨幣増刷によって財政不足を回避する手だてを加えたが、これが逆に超インフレを招き 民衆の我慢は政府批判の罵声に変わりベトナム政府は計画経済の大胆な変革を決断せざる 得ないこととなった。このようにドイモイ政策以前の企業活動は生産から輸出入計画まで 管轄政府が全て決定する計画経済下に置かれその利益上納金とソ連の援助によって国家財 政が支えられていた。非国営企業の集団部門としては小規模工業、手工業、生産者団体が ありいづれも正式に経済活動が認められていたが実態としては目立った活動はなかった。 (国営企業と非国営企業) 中央政府管轄の公団 国営工業企業 ・国営企業 (製造業主体) 地方政府管轄の公団 中央政府管轄の公団 輸出入公団 (輸出入業務) 地方政府管轄の公団 小規模工業 ・非国営企業 手工業 生産者団体 14

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(2) ドイモイ下の企業形態 86年以降ベトナムはドイモイ政策下の経済体制に入り、国政は社会主義を基本とするが 企業運営は国営・民間企業に権限を委ねる体制に改革された。その結果、企業の組織形態 は色々な形が生まれ企業運営の幅が大きく広がった。 (ドイモイによって広がった企業形態) ・共同生産企業 契約を介して資本を出し合い利益を共有する。形態としては国営 と民間の合弁、民間同士の合弁がある。 ・小規模経営(家族事業) 下請や関連会社の機能を持つ事業。 ・生産者組合 特殊な分野の事業(タバコ、コーヒ 等) に見られる企業形態。相互利益保 護(相互の生産技術補助・営業、取引分野の相互抉助)のために設 立される。資本や固定資産の共有はともなわない。 ・外国企業 外資法に基づいて投資する海外企業。 ・委託企業 経営不振で資産凍結となった企業を他の経営者に委託された企業。 通常、民間の投資家が買収する。 ドイモイ政策によってベトナムの企業活動は潜在的な能力が掘り起こされるようになり 勤労意欲が格段に向上した。また西側諸外国との経済関係も強化され生産の増産と消費財 の供給も拡大した。しかし88年に「国営企業条令」が発布されたことから政府の国営企業 に対する財政支援(補助金)が廃止の方向が決まり企業の運営資金は自己資金か銀行の借 入だけに頼ることになった。そこで国営企業は一部の優良企業を除いて資金調達が難しく なり(銀行側は返済計画を基に貸出をする)、政府は経営難の国営企業を支援するには生 産性の低さとすでに国家財政に多大な損失を受けていることから新たな支援は出来ない状 況であった。そこで政府は国営企業のリストラ(整理)と共に恒久的な財源確保の政策と して90年以降全ての企業に対して税金(売上税と利益税)の徴収を法制化し国営企業の上 納金システムを廃止する決定を行った。さらに政府は国営企業内の改革としてそれまで貿 易を独占していた輸出入公団の権益を開放し、各企業が自ら輸出入業務を行えるように規 制緩和を断行した。こうした事業政策の変革はそれまで国営企業を統括していたユニオン の権威を揺るがすこととなり、ユニオン自体が国営企業をまとめて自ら企業経営に乗り出 すという変化をもたらすこととなった。 (ドイモイ改革による国営企業の進捗状況) ・ベトナム企業に多角的経済セクター(分野)が出現しネットワーク化が進んだ。 ・政府の中央集権的な管理は一部の物資を除いてほとんど排除され、セクター間の交 渉による契約関係に移行している。 ・政府は国営企業の上納金制度を改め税制に従って納税する関係にした。事業運営も 企業側に経済計画に沿った事業に許可を与える許可制に移行した。 ・海外取り引きは唯一輸出入公団を通して行われていたが各企業にもその自主権が認 められることになった。 ・国営企業の管轄外の事業参加を認めることになった。その結果、多様な事業運営が 可能となり企業の活性化と販売の向上が見込めるようになった。 15

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(3) 今後の企業動向 ベトナム政府はドイモイ政策の改革を進める中で国営企業の民営化は急がずリストラ等の 断行によって国営企業主導による生産力と国際競争力の強化を図ろうとしている。ここ数 年来不採算企業の閉鎖と合弁統合による再編を進めた結果国営企業の数は90年度 1万社あ ったものが02年には非製造業も含めて5,531社まで減っており最終的には300社程に減らす のが最善としている。また国営企業は旧ソ連、東欧との関係が後退したことによってア ジア、欧州の市場開拓が必要となったがほとんどの企業は自ら海外市場を開拓をする余裕 がないため外国企業の委託加工か合弁化によって新しい設備と技術を導入する方向を探っ ている。政府は国営企業の工業部門の生産シェアーが大きいことから改革の対象を工業部 門に置き外資との合弁を積極的に進めている。幸いドイモイ政策が西側諸国に広く理解さ れ91年以降は外資と国営企業の合弁が急速に拡大しており日本企業もアメリカの経済制裁 がとれてからは自動車、電気といった大型企業の合弁が進みベトナムの産業改革に力をか す形となっている。またベトナム政府は94年 1月に国営企業組織再編の政令を出し分野ご とに統括する総公社の設立を進めている。総公社には傘下企業群を代表する独自の意思決 定機関としての役割を与え国が任命した議長を配した経営委員会が設けられている。公社 の運営は独立採算によって行われ利益を納税することを義務づけており省庁の介入を受け ない反面、政府からの補助金は与えられない。さらにベトナム政府は95年より国営企業の 株式化の試案を進めており98年には 179社の株式転換リストを提示した。ハノイとホーチ ミン市に証券取引所を開設する運びとなり2000年にホ-チミン市に初の証券取引所が開設 した。一方民営企業の動向はドイモイの進展で新規開設が急増しており94年度の統計では 商業部門の売上は 76%が民営企業によって占められた。しかしベトナム産業界に於いて深 刻な問題となっているのが市中に出回る密輸商品の山である。このヤミ流通(中国産のヤ ミ物資は年間5億ドルと推定)はベトナム製品を圧倒しており価格、品質ともに厳しい市 場環境にさらされている。政府は越境品のヤミ流通に厳しい目を向けているが統一前から 南部を中心に大量のヤミ物資が溢れこれが長い間生活を支えてきたこともあって一向に減 る様子がない。この問題は外資企業が正統な取り引きで商品を販売する上に大きな障害と なっておりベトナムの高い関税と相乗して商売を難しくしている。政府は98年に密輸防止 のために納税シールを商品に張る決定をしたが、これが決定的対策になるとは外資企業は たいそう懐疑的である。ASEANに正式加盟を果たしたベトナムは市場の健全化と関税 引き下げが迫られていることから国内産業の技術向上が急務となっている。こうした観点 からもベトナムの国営企業は外国の技術導入を最大の力点としており今後ますます外資と の合弁化を進めて行くものと思われる。政府は特にハイテク分野の外資受け入れに優遇政 策を転換して行くことを提言している。また最近の新たな動向として国営企業自体が本業 外のさまざまな分野に進出して業績を上げ新に獲得した資金で設備投資を行って競争力の 有る製品を販売する自助努力が芽生えてきている。しかし98年に急変したアジア経済の下 落は脆弱なベトナムの産業界に厳しい環境を突きつける形となり今後ベトナム政府がドイ モイ政策の大儀の中で社会主義市場経済を推進する上でどこまで国営企業の改革と民営企 業の規制緩和を進めることが出来るのかが鍵となっている。 (2002年著者論文) 16

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●ベトナムの投資環境 (1) 農産・畜産・森林・水産資源 (農 業) ベトナムの農地は1981年の憲法によって正式に国有化された。農業生産は国営農場、合 作社(生産者組合)、個人農業の 3ツに区分される。1988年 4月の政治局決議によって農 家は生産物を国家に販売する必要がなくなり農民は生産高に応じた農業税を払った後は自 由に販売することができるようになった。土地の提供は共同組合から所帯の人数および耕 作能力を考慮して与えられる。ベトナムの農業は最大の基幹産業であり総生産額の40% 輸 出額の30% を占めており、また人口比率の70% (2,370万人) が農業人で占められている。 (2010年に向けての農業政策) 1.生産形態(合弁・株式・個人企業)を各世帯が選択できるものとし、それにより生 産の活性化を図る。 2.輸出による外貨収入の拡大が狙える作物や家畜及び貴重・希少な産品の開発を集中 的に行う。また農民との土地使用権契約を通じて農地の使用を増大させる。 3.農産品加工を推進するため加工原料の開発に注力し併せて農民の資金力を強化する 4.徴税時期を調整することにより農民が収穫物を急いで売却したり不利な価格で売却 せざるを得ないような事態を防ぐ。また農林水産品の販売先及び地域は生産者の選 択に任せる。 (資)農業農村開発省 主要農産物の生産計画(米除く) 農 産 物 1995年 2000年 農 産 物 1995年 2000年 トウモロコシ 1,450 2,400 ジ ュ ー ト 113 200 サ ツ マ イ モ 960 1,400 茶 280 600 キ ャ ッ サ バ 2,800 5,000 ゴ ム 144 410 野 菜 類 3,500 4,000 コ コ ナ ッ ツ 60 600 大 豆 215 340 バ ナ ナ 2,000 2,000 ピ ー ナ ツ 430 640 パイナップル 720 1,080 砂 糖 き び 13,800 23,000 オ レ ン ジ 176 300 タ バ コ 44 80 (資)農業農村開発省 (単)1000トン 米の生産と輸出量 年号 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 生産 1,922 1,960 2,160 2,280 2,350 2,400 2,800 2,770 3,180 3,200 輸出 162.4 103.2 195.0 170.0 195.0 205.0 310.0 360.0 370.0 400.0 (資)ベトナム統計局 (単)万トン 17

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(ベトナムの農業地帯の特徴) 北 部 山間・内陸 農地面積:123万ha 気 候 湿潤な気候と亜熱帯的冬季が有る。 環 境 土地生産性が低い 農産物 茶、たばこ、桃、梨、プラム、リンゴ、ミカン 北 部 紅河デルタ 農地面積: 80万ha 気 候 湿潤な気候 環 境 ベトナム第2の稲作地帯 農産物 米、野菜、ジュート、プラム、リンゴ、ミカン 中 部 沿岸北部 農地面積: 71万ha 気 候 湿潤な気候とモンスーン型気候 環 境 土地生産性が低い 農産物 米、メイズ、さつまいも、キャッサバ、各種果物 中 部 沿岸南部 農地面積: 54万ha 気 候 湿潤な気候で冬季に季節風が強い 環 境 排水施設の不備が問題 農産物 カシュナッツ、ココナッツ、砂糖キビ 中 部 高 原 農地面積: 44万ha 気 候 熱帯モンスーン型気候 環 境 耕作面積が狭い 農産物 コーヒ、茶、砂糖キビ、 南 部 東北部 農地面積: 80万ha 気 候 熱帯モンスーン型気候 環 境 耕作面積が狭い 農産物 コーヒ、茶、砂糖キビ、大豆、落花生、たばこ 南 部 メコンデルタ 農地面積:246万ha 気 候 熱帯モンスーン型気候 環 境 ベトナム最大の耕作地帯 農産物 米、ココナッツ、ジュート、大豆、胡椒、パイナップル、ドリアン、マンゴー、グアバ 18

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(ベトナムの果物収穫期) 果 物 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月 AVOCABO BANANA DRAGON DURIAN FRAPES FUAVA JACKFRUIT REMON LIME LONGAN LYCHEE MANDARIN MANGO MANGOSTEEN MILKFRUIT ORANGE PAPAYA PINEAPPLE RAMBUTAN SAPODILLA WATERMELON (畜 産) ベトナムの家畜事情は伝統的な粗放飼育がほとんどで民間所有が多い。現在乳牛は4万 頭いるといわれ年産6万トンの牛乳生産が行われている。乳牛の90%は畜産農家で飼育さ れており各世帯別では3-5頭を所有していると言われる。国家牧場は特殊な飼育に限られ ているが、ホルスタイン種の乳牛の大半は国営牧場で飼育されている。牛は40% が中央高 原地と中央沿岸で飼育されている。豚、家禽は紅河デルタ、中間地とメコンデルタで多く 飼育されている。ベトナムの牧畜事業は農業分野の中では効率の低い仕事であると見なさ れている。 (森 林) ベトナムは昔から黒檜、紫檜などの高級材の供給地であった。ベトナムの森林地帯は40 年当初 1,340万ヘクタール (国土の40%)であったが、 その後の乱伐採により91年には 930万ヘク タールに激減している。実際には 720万ヘクタール 足らずで国土全体の22% にまで落ち込んでい るという指摘もある。また森林の縮小は天災の被害が深刻な影響となって表れている。ベ トナム政府は植林と森林保護を重視して木材を原則輸出禁止銘柄に指定した。植林計画で は毎年16万ヘクタール のユーカリと竹を植え2000年までに年20万ヘクタール の植林規模に拡大する 方針である。年間伐採量は 150万立方メートルで 100万立方メートルが製材製品、40万立方メートルが パルプ・支柱、10万立方メートルがその他に消費されている。 19

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林業省の将来計画(2000年) ・森林の占める割合(対国土)を35~40%(現在20~28%)に拡大する ・木材製品の質・量を改善する ・効率的な林業の開発を行う ・多くの雇用機会を創出する ・燃料用木材の植樹を奨励する (水産物) ベトナムの水産業は小規模な沿岸漁業が主体で、海域20海里以内の水深30メートルまでが主 な漁場となっている。ベトナムの沿岸は大陸棚が浅く海が浅いため大型のトロール漁法に 不向きであることから大型投資が行われてこなかった。しかし近年になって沖合操業への 転換が図られようになり大型漁船の建造も始まっている。操業海域も南沙群島周辺、北部 沖合にまで広がるようになってきた。ベトナム周辺の漁業資源は十分な調査は行われてい ないが 2,000種類の魚介類、 650種の海藻類が生息していると推測されており、エビ、イ カをはじめアワビ、サンゴなどの商品価値の高い海産物が豊富に確認されている。近年日 本向けに輸出が拡大しており大きな外貨資源に発展している。一方内陸水域面積は 120万 haあり85年から輸出用エビの養殖が大規模にはじまっている。ベトナムの漁民数は92年統 計で 140万人、水産物取扱い従事者は10万人で労働人口の5.2%となっている。94年統計で は冷凍輸送船が28隻、水産加工工場は 142社あり21社は新鋭の冷凍設備を導入している。 また海産物の輸出は国営の SEAPRODEX社が主体で行っている。 年号 1993 1994 1995 1996 1997 漁獲実績 1000トン 660 713 722 808 818 海面漁獲 1000トン 472 369 333 382 433 内水漁獲 1000トン 188 344 389 426 385 輸出額 100万ドル -- -- 550 670 776 (2) 鉱物資源 ベトナムは1989年に鉱産資源法が閣僚評議会政令として発布された。この法令によって ベトナムの全ての天然資源の探鉱調査開発、生産、資源保護等に関する基本規定が定めら れている。ベトナムの鉱物資源の潜在的能力は莫大な量があると推測されており、開発に よって未確認の鉱物がまだまだ発見される可能性が高い。国連機関の調査ではベトナムは 世界の鉱物資源の豊かな20の国の1に数えらており資源大国として注目されている。 (非・金属鉱物) ベトナム全土から多種の鉄鉱石が発見されている。調査が進むほどに未開発の鉱物が出 土する可能性が高いと言われる。現在鉱物資源を統括して調査・管理する政府機関がない ため埋蔵量の実態は充分解析されていないが全国で15億トンは有ると推定されている。現 在確認されている鉱物と埋蔵量(推定含む)は次の内容となっている。 20

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(ベトナムの鉱物資源と推定埋蔵量) 鉱 物 名 埋 蔵 地 域 埋蔵量 (百万トン) 無(半)煙炭 クアンニン、タイグエン、ノンソン 6,600 れきせい炭 北部、ダ河 25 泥 炭 ハノイ盆地、ナムボウミン 765百万立米 石 油 バクホー、ダイフン 25~40億バレル 黒 鉛 ラオカイ、フンニュオン 28 燐 灰 石 ラオカイ 811 硅 砂 ヴァンハイ、ナムオ、トウイチュウ 530 白 陶 土 タッチアコアン、チュックチョン、タンマイ、ダラット 590 硫 黄 サップライ、ナムドン、ニュイフ ルビー、サファイア ルックイエン、タイチャウ、スアンロオク 鉄 鉱 石 タックイ、クイサ、タイグエン 1,000 マンガン タクタット、ランバイ、イエンク 47 ボーキサイド ハザイ、カオバン、ダックノン、バオロック、フォックロン、コンロン 6,875 鉛、亜鉛 チョデイェン、ガンソン、チュール、チャウトイ 2 銅 シンクイン、ヴァンサイ 1 ニッケル バンフック 0.5 クロム コジン 30 錫 ビアオアック、タムダオ、ダイホップ、ダラット 0.300 タングステン ビアオアック、タムダオ、ダイホップ、ダラット 0.200 チタニュム カイチャム、キアイン、クアンオン、クアンガイ、カットカイン、ハムタン 13 稀土類 ナムセン、ドンパオ、イエンフ 17 金 ナバイ、バクラン、ポソミユ、チャナン、ランネオ、ボク、ランヴァン 0.002 ミネラルウオーター クアンハイ、キムボイ、バンカン、タインタン、リンホア、サオイゲ 864,000リットル/日 アルミニューム 3,500 (資)ベトナム共同研究協議会 (石 油) ベトナムでは有望な海底油田が発見されている。石油・ガスの埋蔵量は300 ~ 400億トン といわれているが実際の規模はわかっていない。ベトナムの原油産出は85年時点でほとん どゼロであったが90年には輸出国にのし上がり現在ではベトナム最大の外貨資源となって いる。本格生産を行っているのはバクホー(Bach Ho) 油田(推定埋蔵量 1.5億バレル )であ るが、ダイフン油田(推定埋蔵量4億バレル )ロン油田(推定埋蔵量6億バレル)でも事業生産 がはじまる。94年には三菱石油がブンタウ沖(RANG-DONG-SUNRISE鉱区) で油田を掘り当て 98年秋より本格生産を開始した。ベトナムでは石油精製施設が不足しているため現在では 原油のまま日本、シンガポールに輸出されている。ベトナムの精油施設はホーチミン市郊 外のカトバイに1ケ所あり精製能力は年間4万トンとされている。ベトナムは石油資源に恵 まれているが石油製品の多くを海外(主にシンガポール)から輸入しているのが現況である。 ベトナム政府は98年にベトナム中部のクアンガイ省ズンクワットに年間 650万トンの原油 処理能力を持つ精油プラントの建設契約をロシアとペトロベトナムの合弁事業として結ん だ。ベトナムの石油開発は統一前75年12月に米国モービル社がバクホー油田を発見したの が最初である。南ベトナム崩壊後、バクホーの開発権は旧ソ連との合弁企業ベトソブペト ロ社(Vietsov Petro-80年創設)に移り今日に至っている。89年にダイフン油田が発見さ れて以降は国際入札となり西側諸国も開発権を獲得している。日系企業も石油開発投資に 21

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は積極的で大手企業が採掘権の獲得にしのぎを削っている。なおベトソブペトロ社は財政 難から当面の開発は困難な状況といわれており94年にはモービル社が復活し生産分与方式 でタインロン(青龍)油田の開発権を獲得した。ベトナムの石油層は南シナ海に広がるた め中国、フィリピン等周辺国と領有権問題が発生しており国際紛争の火種を抱えている ベトナムの原油生産量 生産年度 原油生産量 1992年度 550万トン 1986年度 4万トン 1993年度 630万トン 1987年度 28万トン 1994年度 700万トン 1988年度 68万トン 1995年度 760万トン 1989年度 150万トン 1996年度 880万トン 1990年度 270万トン 1997年度 950万トン 1991年度 396万トン 338万トン輸出 1998年度 1,260万トン

OGC(Vietnam Oil and Gas Corporation) :石油・ガス総局

1977年に創設し、90年重工業省に併合した。本拠地はハノイ、業務は石油・天 然ガスの採掘、開発、精製、輸出入、国内消費についての責任を負う。

OGC(石油・ガス総局)はハノイ市に北部を管轄する「ペトロベトナムⅠ」 とホーチミン市に南部を管轄する「ペトロベトナムⅡ」の事務所を開設している。

(USSR) → (VIETSOVPETRO) ← (MINISTRY OF HEAVY INDUSTRY)

旧ソ連政府 ソ越合弁企業 重工業省

← (VIETNAM OIL & GAS CORPORATION)

石油・ガス総局

PETECHIM PETRO VIETNAM PETROLIMEX KEROSIM

(PSC) (GPTS) (VPI) (OSC) 石油サービス公社 技術的石油サービス会社 ベトナム石油研究所 ベトナム石油研究公社 (資)(財)日本海洋協会(1992) (石 炭) 石炭はフランス植民地時代から採掘されている資源である。特に無煙炭は良質で日本で はホンゲイ炭として良く知られている。無煙炭は現在のところ北部のクアンニン(Quangni nh) 省に集中して発見されている。一方泥炭は南部メコンデルタ地域に多く発見されてい る。石炭の採鉱量は94年度 630万トン(内230 万輸出)を記録し2000年には850 万トンの規模 22

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を予測している。現状では石炭採掘の60% は露天掘りで残りは坑内採鉱となっている。石 炭の国内需要は年間 500~ 600万トンとなっており大半は発電用に使われている。輸出先と しては日本と韓国が独占した形となっている。政府は外資誘致を取りつけて大規模な石炭 鉱床の開発を進める考えである。また95年 1月の政令によってエネルギショー省下の石炭 会社は国家石炭公社(VINACOAL)に統括されることになり新組織の運営が始まっている。 ベトナムの石炭埋蔵量(推測) 無煙炭産地 埋蔵量 瀝青炭産地 埋蔵量 褐炭産地 埋蔵量 クアンユン 6,500 北部各地 16 紅河下流 200,000 タイグエン 90 ダ 河 10 ナドウオン 120 ノンソン 25 ゲ チ ン 3 (資)ベトナム商工会議所 (単) 100万トン (石灰石) (地域別石灰石推定埋蔵量) 北東部 北西部 中北部 南部(メコンデルタ) その他 合 計 40 6 17 30 7 100 (資)日本セメント協会 (単) 100億トン

●計画投資省(MPI) (Ministry of Planning & Investment)

1995年10月の国会決議によって国家計画委員会(SPC)と国家協力投資委員会(SCCI)が統合 され計画投資省(MPI) となりベトナムの投資全般を管理することになった。

(本部所在地)

2 Hoang Van Thu St.Ba Dinh Dist.HANOI ☎8458241 8458261 FAX 84-4-8232499 (南部代表部)

178 Nguyen Dinh Chieu Rd.Dist.3 HCM ☎8226671 FAX 84-4-8291534 (要約)95年11月 1日付政令 第75/CF号 ・外国資本を誘致するためのプロジェクトを検討策定し国内企業による国内投資と海 外投資を含めた全体のバランスを考慮の上で政府に投資条件を提出する。 ・投資に係わる政策及び管理規定などの法令案を策定して政府に提出する。 ・社会経済発展戦略に沿って各分野の投資を促進するため関連省庁との連絡担当の任 に当たる。 ・外国企業のベトナムへの投資及びベトナム企業の海外へに投資に関する審査 ・投資案件に伴う重要問題について関連省庁との調整を計り案件評価の任に当たる。 ・ODA資金を伴う投資案件を管理する。 ・投資認可証を発行する。 ・投資に係わるコンサルテーション事業を管理する。 (資)ベトナム経済動向 23

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(在日大使館資料)2004 7月時点 ◎投資案内 ベトナムは外資導入を促進する政策を堅持しております。 ベトナムの2020年までの長期開発戦略における最優先課題は、外国直接投資(FDI)お よび政府開発援助(ODA)という比較的大規模な海外資本を導入し活用することです。 2001~2005年の間、政府はFDI目標値を新規登録資本150~200億USドル及び実現(支 出)資本110億USドル、同じく海外援助者からの無償ODAを年間約20億USドル 見込み、海外からは総額360~410億USドルと設定しております。これらのFDI やODA水準は年率7%という政府のGDP成長目標率を支える為に必要です。 2001年10月31日まで、ベトナムは1988年に外資導入を開始し、以来延べ3,000プロジェク トの投資公約により385億USドル以上の導入を果たしました。 多くの投資家は、ベトナムの急速に増加している78百万という人口について、非常に大 きな可能性を秘めている実に未開の市場であると気づいていました。 ベトナムの1998年後半におけるアジア太平洋経済協力(APEC)加盟、2006年までのア ジア自由貿易圏(AFTA)への加盟計画、そしてベトナムによる近い将来の世界貿易機 構(WTO)加盟への意向表示は外国投資家に対し更に大きな開放合図となりました。 このことは、比較的低賃金の労働力、天然資源基盤、そして近年の強いマクロ経済効果と あいまって、ベトナムは非常に有望な地域であるとして、アジア、欧州、そしてアメリカ からの海外投資家に勇気を与えています。 海外投資家に対するベトナムの魅力増進への努力として、2000年5月、何ヶ月間にもわた る改訂を経て、国会は1996年外資法(FIL)の大改正を承認しました。 FILは海外投資家に次の4つのモデルを用意しています。 ・合弁会社(JVC) 現在、海外投資家が選択している最も一般的な形態は合弁会社(JVC)です。 JVCは1又はそれ以上の海外投資家と1又はそれ以上のベトナム投資家が設立するもの です。それは他国の「会社」運営と殆ど同様の運営で、分離した法的身分、限定責任及び 独自の経営役員会を持っています。JVC資本は現金、設備、知的所有権、ノウハウなど を含めていかなる形でも出資可能です。 但し、JVCにおける海外投資家は最低30% のJVC法定資本(出資)を負担するという一般的要求があります。 JVCは株式が譲渡可能であるという点で魅力的でもあります。唯一の制限は、投資家が 第三者に売却する前に、株式 購入の先買権を他のジョイントベンチャー構成者に対して与えなければならないというこ とです。 24

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・外資100%企業(EFOC) 外資100%(EFOC)の企業は2番目の選択です。 この形態では、どんなベトナムのパートナーをも交えることなく、投資家はその投資に関 する完全な経営支配ができます。 他の注目すべき面は、EFOCは構造,権利及び義務の面でJVCと殆ど同じであるとい うことです。 ・事業協力契約(BCC) 事業協力契約(BCC)はベトナムで事業を行う上で採用できる一番柔軟な形態であり、 特に、石油、通信及び宣伝分野で一般的です。 更に、事業の調整委員会(JVCにおける経営役員会に対応するもの)の設立方法、その 機能、利益配分方式などでより 柔軟性があり、これらは一般的に契約者にゆだねられています。 BCCは慣習法でいうパートナーシップに似ているところがあります。独立した法人格を生 み出さず、ベトナムでの特定投資事業についての契約的関係が発生するということです。 ・建設-操業-譲渡/建設-譲渡-操業/建設-譲渡 (BOT)事業 政府は道路、港湾、水道及び電力などの事業を含むインフラ開発に海外投資家が積極的参 入することを非常に望んでおります。この結果、建設操業譲渡事業(及びその変形)と呼 ばれる投資方式を作り上げました。これらを総称してしばしばBOT事業と呼ばれていま す。 率直に言って、当該事業の参加者はJVCまたはEFOC形態をとる選択ができる ので、BOT事業は第4番目の事業形態ではありませんが、投資家に適用されるユニーク な優遇制度の為に独立した選択肢として掲げているわけです。 高速道路、橋梁、発電所、水供給事業、港湾及び他の公共事業は全てBOT事業にとって 理想的な候補です。BOT事業は事業期間終了時に政府へ資産を移転しなければならない 一方で、最優遇税制措置の適用を通し、また、ある一定期間当該設備が操業できるとか、 他事業への投資承認が保証されるといった他の数々の制度を通して、投資家は補償以上の ものを得られます。 BOT事業も外国為替適用の政府保証の対象です。 以下の経費はベトナムでの投資をする際に検討しておかなければなりません。 工場賃貸費用 海外投資家は工業区域(IZ)、輸出加工区域(EPZ)で投資事業を実施するために工 場を賃借することができます。 工業区域では、その全てで平方メートルあたり平均で月約1.8USドルから2USドル の賃貸料で利用ができる工場を有 してます。 尚、賃貸料率は賃貸期間、支払条件及び使用地域により各々設定が異なりま 25

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す。投資家と所有者間の合意条件や交渉条件に従い、投資家は事業を立ち上げる為にIZ 及びEPZ外でも工場を賃借することができます。 事務所賃貸料金(都市中心部) 最低料金は平方メートルあたり月10USドルで、平均は平方メートルあたり月16US ドル、そして最高は平方メートルあたり月20USドルです。 通信料金(決定第809/2000/QD-TCBDに準拠) 電話設置費用 短距離、地域内、国際間及びファクシミリは128.57USドル 電話機利用料金は一台あたり月1.92USドル。 通話料金(都市部) 200分まで:1分につき0.86USドル 201分から1,000分まで:1分につき0.57USドル 1,000分超:1分につき0.285USドル 携帯電話設置費用 VMSネットワークの料金は85.64USドル 電話機利用費用:1ヶ月につき 14.3USドル 通話料金 エリア内 : 1分につき0.12USドル エリア外 : 1分につき0.33USドル エリア近傍: 1分につき0.22USドル インターネット接続料金 : VNNネットワーク 設置費用 10.71USドル 月基本料 1ヶ月につき2.14USドル インターネットアクセス料金 午前7時以降から午後7時前まで(土日祝祭休日を除く):1.45USドル/分 午後7時以降~午後12時前まで(土日祝祭休日は午前7時以降~午後7時前まで): 1USドル/分 午前0時以降~午前7時前まで(土日祝祭休日は午後7時以降~午前7時前まで): 0.9USドル/分 注: 上記費用は付加価値税を含んでおりません。割引措置は検討中です。 水道料金 製造業用水道料: 0.28USドル/m3 サービス業用水道料金: 0.464USドル/m3 以上在日大使館資料 26

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(外国投資と申請について) 1.事業協力 ・外国投資家は 2.合弁企業 に従って計画投資省(MPI) と立地予定地の地方人民委員 3.100%外貨 会に事業許可申請書を提出する。 4.BOT/BTO/BT ・1.2の形態の場合、ベトナム側パートナーは民営であれば地方人民委員会の承認を受け た上でMPI の承認と許可証を取得しなければならい。 ・MPI は人民委員会の意見書を受け外資側に申請日より20日以内(従来は3ケ月)に承認 を与え許可証を発行する。 (外資側申請書の部数) 地方人民委員会 2部 計画投資省(MPI) 5部 計画投資省(MPI) 8部 ・投資金額2,000 万米ドル以上の鉱物資源開発、通信、放送、TV放送、出版、海運、 航空、輸送、海港、空港、鉄道、道路建設、医薬品、 毒物、爆破物製造、不動産、金融・銀行、国防、安全 保障、輸出入業、国際観光の各事業 ・投資金額4,000 万米ドル以上の重工業関係事業 ・投資金額3,000 万米ドル以上のその他の業種 ・環境に影響を与えるもの、また大規模な土地を要する事業 (人民委員会の意見書の調査事項) ・開発方針に対する地域および産業分野の妥当性について ・外国およびベトナム企業の合法性、財務、生産、運営能力について ・労働、原材料、電力、用水、輸送その他の重要性の充足度にいて ・合弁企業のベトナム側出資分の評価にいて ・海面使用料に係わる意見書 27

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(外国投資申請・承認のプロセス) 特定の投資は首相の承認が必要 内 閣 ← 中 央 政 府(総務局) 計画投資省(MPI) 監 督 ・プリフィージビリテイの承認 ・フィージビリテイ及び契約の批准 機 ・プロジェクトの評価 ・営業許可/投資許可交付 関 ・MPI への提出 申請手数料は投資額×1/10000 地 方 地方行政区(人民委員会) 監 督 ・プリフィージビリテイの承認 機 ・プロジェクトの評価 関 ・関係評議会/MPIへ提出 パートナが中央 パートナが地方 ・100%外資 ・BOT 契約 政府・民間投資コンサルタント会社 (有料にて投資サービスを提供) ↑ ↑ ベトナム側 → ・合弁企業 ← 外国側 パートナ ・契約に基づく投資事業 投資者 28

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(合弁事業の認可フローチャート) ベトナム側のパートナーの選択 ⇦ 外資側 協同事業形態の選択 パートナーが事前承認を取得 (国家レベルの企業) (県・市レベルの企業) パ 主管省の承認 人民委員会の承認 ト ナ 契約締結・F/S・事業計画・定款作成等 準 備 段 (主管省の承認) (人民委員会の承認) 階 国家計画との整合性確認 地方計画との整合性確認 5日以内 20日以内 計画投資省(MPI)申請受付 → ← A B 3 (諮 問) グ グ (諮 問) ケ 主管省 ル ル 事業開設地の人民委員会 月 | | 以 ※諮問後20日以内に プ 内 意見が出ない時は ↓ 自動承認されたと 計画投資省決定 MPI申請者に通知 見なされる。 → (投 資 認 可) 意見が出た時はMPI ライセンス番号付与 議長が30日以内に → 政府(首相)決定 諮問委員会を招集 し50日以内に首相に報告し裁断を受ける。首相決定後、MPIは7日以内に申請者に結 果を通知する。 ◎Aグループの投資事業(MPIの推薦を経て首相が投資認可を判断する) ・工業団地、輸出加工区、ハイテク団地のインフラ開発及びBOT 、BT、BTO 契約事業 ・文化教養、報道、出版、ラジオ放送、訓練、科学研究、医療 ・投資額 4,000万㌦以上で電力、鉱山、石油、冶金、セメント、化学、港湾、空港、通信 エレクトロニクス、エンジニアリング、トレードセンター、 文化・観光事業、不動産、海上・航空輸送 ・国防、治安事業、保健、財務、会計、監査、検査、希少貴重資源の開発、郵便 ・都市部で5ha 以上、その他地域で50haの領土を使用するプロジェクト ◎Bグループの投資事業(関係官庁の意見を聞いた上で MPI大臣が投資認可を判断) 29

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◎その他の許認可 ・土地使用権: 人民委員会が土地台帳に登記して中央土地管理総局が登記証明を発行 グループA案件は政府が決定/グループB案件は県人民委員会が決定 申請から30日以内に土地使用契約を済ませ、使用権証明書を発給する ・機械、設備の輸入: 事業認可証の内容に基づき申請から30日以内に商業省が輸入ラ イセンスを発行する ・電気、水道、電話の敷設:期間設定はない (参)F/S:フージビリティースターディ(企業化調査)報告書の体系 ・総合的状況:社名、代表者、内容、出資者 ・市場分析:製品の種類、販売地域 ・物質(原料等)購入計画:輸入・国内調達、エネルギーの活用計画 ・工場設置関係:場所、インフラ状況、大きさ、建設期間 ・設備導入関係:国内・海外の調達、価格、投資計画 ・技術導入の有無:技術契約等の値段~内容 ・組織と労務管理:社長・役員の決定、従業員の募集、訓練 ・環境保護の検討:公害発生の有無 ・経済性の検討:年度別損益予測、販売・費用見込、資金作り、投資の効率性、税金 ・紛争解決手段:投資者間、労使間の問題の解決方法 外国投資受託権限委譲の拡大 98年12月1日付で外国投資に関する許認可権(申請受理・審査・認可)が全国地方省市の 人民委員会に拡大する権限委譲が決定された。従来はベトナム投資の認可手続きが中央と 地方の二本立てとなっていたことから時間と事務処理に外資側の不満が大きかった。政府 は外国投資の落ち込みを防止する意味からも地方政府に外資認可権委譲を拡大した。 地方省市人民委員会が認可できる外国人投資の条件 (首相決定第233/1998/QD-ttg) 1.既に認可を得た社会経済発展計画に沿うもの 2.特定プロジェクトを除き投資資金が 500万ドルまでである 3.MPI が期間毎に定めた輸出責任を充足するのもである 4.外資企業及び事業協力契約の外国側当事者はその外貨需要を各自で保証するもので ある 5.設備・機械・技術などが現行規則に準処している。若しそうでない場合には投資認 可証発行に先立って経済部門を所管する省庁からの書面による許可がある 6.環境保護、労働安全及び防火、消防の諸規定を充足する 但し地方政府の外資許認可委任にも限度があり人民委員会の権限を超えるものは申請を受 理することは出来ない。外国人投資法施行規則に係わる布告第12CP号97年 2月18日付第93 条に掲げるグループA(P.189)プロジェクトは中央政府だけに許認可権限が与えられる。 30

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法規制関連手続き 投 会 銀 大 そ 資 社 蔵 の 申 設 他 請 立 行 省 (ケ月) 開始 申 請 1 2 3 許可証 定款登記証明証 創立取締役会 新聞公告 4 議事録送付 口座開 会計制度の届出 社印登録 5 従業員リスト 生産関連手続き 人 事 用 工 機 原 採 地 場 械 材 手 建 設 配 屋 備 料 用 (ケ月) 開始 申 請 業者選定 基本計画 1 設計開始 発 注 許 可 2 3 届出計画 申 請 4 許 可 機械計画提出 採 用 5 6 建設開始 ライセンス 取得 7 輸入手 8 9 10 据付開始 発 注 11 完 成 12 31

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●ベトナムの銀行 ベトナムの金融機関はドイモイによる市場経済導入を契機に改革され88年に国家銀行の機 能(全ての金融機能を一元管理していた)を中央銀行とその監督下に商業機能を持つ4ツ の国営専門銀行に分けて開設することになった。1990年 5月24日以降ベトナムの金融制度 は「銀行、信用共同組合および金融会社に関する条令」によって規制されて金融政策は大 蔵省との協議に基づいて中央銀行が担当することになった。預金金利は中央銀行が固定し 各行とも同率で扱われ貸出金利は中央銀行がレート(最大・最小)を設定し各国営銀行は その範囲内で独自に決定している。91年 6月には外国銀行の支店と合弁銀行の業務を規制 する金融関係法律を発布した。 (ベトナムの金融機関) ・中央銀行(THE STATE BANK OF VIETNAM)

政府の銀行、通貨発行、国債発行、為替管理、政府貸付、金融機関の管理 指導、外国銀行支店の営業認可、金融駐在事務所の認可、総裁は閣僚 ・外国貿易銀行(BANK FOR FOREGIGN TRADE OF VIETNAM)

国 (貿易金融、国内外信用業務)略称:VIETCOMBANK 営 ・農業銀行(VIETNAM BANK FOR AGRICARTURE)

専 (農業・漁業事業への融資、預金業務)略称:AGRI BANK 門 ・投資開発銀行(THE INVESTMENT AND DEVELOPMENT OF VIETNAM)

銀 (投資開発事業への貸付・預金業務)略称:VID 行 ・商工銀行-INDUSTRIAL & COMMERCIAL BANK OF VIETNAM

(国内工業、商業への融資、預金業務)略称:INCOM BANK ・株式銀行 ベトナム輸出入銀行(輸出企業への信用業務) 民 サイゴン信用商業銀行(ホーチミン市チョロン地区の信用業務) 営 ベトナム海事商業銀行、 アジア商業銀行、住宅銀行、メコンデルタ開発など 銀 ・合弁銀行 海事商業銀行(海運、郵便の信用業務) 行 インビナ銀行他(海外の資金調達、預金業務) ・外国銀行支店 インドスエズ、クレデイ・リヨネ 、バンコクバンク、シティーバンク 、東京三菱、富士など そ ・信用組合ー共同組合の組織をとる金融機関 の (組合員の出資した資金で運営、組合員への融資) 他 ・金融会社ー国営企業か株式会社の形態をとっている (資本金や融資から得た資金での融資) (外国貿易銀行:Vitecombank) ベトナム外国貿易銀行は63年 4月に設立され国内、国外の信用関係業務や対外支払いを行 うことを目的としている。新銀行法の公布で外国貿易銀行は外貨関係取引を行う唯一の銀 行ではなくなったがベトナム最大の国際銀行に変わりはない。契約決済の7割以上のシエ アーを持っておりその運用の90% は国営企業の貿易向けとなっている。世界85ケ国の700 以上の銀行とコルレス契約を結んでいる。

(本店) 47-49 Ly Thai to boulevard Hanoi ☎8265501 FAX 84-4-8269067 (ホーチミン) 29 Ben Chuong Cuongt Dist.1 HCMC ☎8297245 FAX 84-8-8297228

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ベトナムの金融市場は93年 7月に銀行間取引市場が開設されて、その時点の取引規模は 4億ドルと言われていた。市中貸出金利は94年 9月から一部自由化されて中央銀行は枠の みを定め市中銀行が金利差をつけて運営することができるようになった。銀行の金融市場 占有率は国営銀行が70% 、外資系支店・合弁銀行が17% 、国内民営銀行が13% となってい る。国営銀行は圧倒的なシエアーを占有しているが外資企業の増加につれて外国銀行及び 合弁銀行の業績が向上している。国内企業も外資銀行に口座を持つところが急増しており 貸出金利が低いことに加え金融知識が豊富で信用度・資金力が国際的に高いことが歓迎さ れている。また国内銀行のように煩雑な書類作成、担保要求、融資金額の制約が少ないこ とも大きな魅力となっている。(1999年当時の貸出年金利:外国銀行7.5% VN銀行外貨 ローン8.5% VN銀行は緊急融資 $3000万以上は不可能) ベトナムの金融環境は依然金とドルが主体となっており金融セクターが十分機能してい ないと言われ公的金融セクターの資金量は42億ドルであるのに対し金・ドルの闇外貨の保 有量は 100億ドルを越えるとされてる。大衆の銀行不信は根強くベトナム戦争末期に南部 で起きた銀行経営者の預金横領をはじめ統一後の国有化と個人資産の接収、預金封鎖など が原因とされている。いづれにしても今後ともベトナムの開発投資資金需要は膨大である ことから銀行は資金を広く呼び込む(資本蓄積)ことが重要である。ベトナム政府は為替 管理に関する政令(94年 8月) を施行して外貨管理を明文化し98年 2月には外国為替管理 の措置(布告第37-QD-TTg 号) を次の通り発表した。 外国為替管理に係わる措置(布告第37-QD-TTg 号) 第1条 外資企業を含む企業、会社、共同事業その他経済組織で物品、サービスの販 売で外貨収入のあるものは全て外貨を与信機関の外国口座に直ちに送金しな ければならない。海外に預金口座開設の許可をもつ経済組織はライセンスに 規定された一定額を保留できるものとする。 第2条 ベトナムの経済組織、行政体、政治・社会組織は外貨預金の口座を1口座の み開設できる。他の口座を開く必要がある場合は国家銀行の許可を要する。 ベトナムの経済組織、行政体、政治・社会組織で他の場所に支店又は下部組 織をもつものは同一金融システムでの支店に別の口座を開ける。当該地の同 一システムのところで開設してもよい国家銀行に登録を要する。 一口座に集中する目的で従前口座を閉じる(又は新口座を開く)場合は1998 年 3月31日までに完了のこと。そして 4月15日までに国家銀行に通知のこと 。外資が特別外貨口座を開く際は外為管理法の規則に従ってすること。 第3条 経済組織は月末残の外貨のうち翌月に必要な合理的外貨を使用してよい。そ して残高は銀行に売却しなければならない。外貨必要額は翌月の総費用から フォーワード契約にて銀行が売却する外貨を差し引いたものをベースとする ことができる。 第4条 ベトナムの行政体、政治・社会組織で外貨収入のあるものは直ちに銀行に売 却しなければならない。本決定第5条(b)に準拠する。 第5条 本決定時の第3、4条の外貨預金残高は次のように処理する。 (a) 第3条の残高は98.3.31 までに合理的な支出に要するものに充当し、残り は銀行に売却する。 33

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(b) 第4条の残高は全額銀行に売却する。 定期的外貨収入のある場合は口座を保つための最低必要額は保持してよい 。本決定の外貨売却は98.2.28 まで完了のこと。 第6条 第3、4、5条の外貨売りは外貨企業の法定資本出額、ODA及び民間借款 から得た外貨は外為管理の規則に準ずる。 第7条 ベトナムの経済組織、行政体、政治・社会組織が将来外貨を必要とする場合 はフォーワード契約をする権利を有す。 本条で銀行に外貨を売却したものは支払いの必要が生じた場合売却額と同類 を銀行から買入れできる。与信機関による外貨売買はスポット、フォワード 、スワップ取引規則により実施する。フォワードとスワップ取引の期間は6 ケ月を超えない。 第8条 与信機関は経済組織、行政体、政治・社会組織の合理的必要外貨を充たす責 任があり、同様に外貨ポジション、ベトナムドン、売買レートに係わる国家 銀行の規則に準じなければならない。 第9条 経済組織、行政体、政治・社会組織は出来るだけ経済的に外貨を支出するこ と。投資・開発、必須原料の輸入及び外貨決済に要する外貨は優遇措置の対 象とする。 第10条 許可なく金及び外貨の売買をすることは全て禁ずる。 第11条 違反行為は軽重に応じて行政処分規定により処理する。重大な違反行為は刑 法に準拠するものとする。 第12条 98.2.16 から発効 第13条 本決定の指導、モニター、活性化、検査は国家銀行の責任とする。 第14条 各省庁、省市の人民委員会議長は本決定実施の責任を有する。 首相 ファン・バン・カイ (注)HCMC: ホーチミン市略 (日系銀行支店)2004 ・東京三菱銀行

58Ton Duc Thang Dist.1 HCMC (8/F LANDMARK) ☎8231560 FAX84-8-8231559

参照

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