• 検索結果がありません。

陰極線を発生させるためのクルックス管を黒 いカートン紙できちんと包んで行われていた 同時に発生する可視光線が漏れないようにす るためである それにもかかわらず 実験室 に置いてあった蛍光物質 シアン化白金バリウ ム が発光したのがレントゲンの注意をひい た 1895年x線発見のきっかけである 2

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "陰極線を発生させるためのクルックス管を黒 いカートン紙できちんと包んで行われていた 同時に発生する可視光線が漏れないようにす るためである それにもかかわらず 実験室 に置いてあった蛍光物質 シアン化白金バリウ ム が発光したのがレントゲンの注意をひい た 1895年x線発見のきっかけである 2"

Copied!
35
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 東京大学大学院新領域創成科学研究科� 第2回��市民講座�

生物のもつ放射線防護のしくみ�

先端生命科学専攻�� 三谷�啓志� 平成23年 5月15日�

(2)

陰極線を発生させるためのクルックス管を黒 いカートン紙できちんと包んで行われていた。 同時に発生する可視光線が漏れないようにす るためである。それにもかかわらず、実験室 に置いてあった蛍光物質(シアン化白金バリウ ム)が発光したのがレントゲンの注意をひい た。1895年x線発見のきっかけである。

(3)

レントゲンにも放射線の危険性は想定外

?

「眼の網膜はエックス線を感じない。我々の経験によれば、 眼の中の媒質はエックス線に関して充分に透明であるに 違いないが、眼を放電管に近づけても何も見えない。」 「ウュルツブルク物理学医学会報、1895年第9号」� ベクレル(1896年ウランの放出する放射線(アルファ線) が写真乾板を露光させることを発見)やキュリー夫妻 (1898年にラジウムを発見)とは異なり、レントゲンは 1897年第3報を発表した前後から研究生活から身を引 き、放射線障害に苦しむことはなかった。�

(4)

放射線の生物障害発見の歴史

(外部被曝)

放射線による皮膚障害(1900年代)

放射線を取り扱う職業(X線技師)に

血液障害特に白血病が多発 (1910年

代)

(5)

放射線の生物障害発見の歴史

(内部被曝による発がん)

夜光時計文字盤工場での夜光塗料(ラジウムを

含む)取扱者の骨炎・骨肉腫が多発�(1920年

代)

鉱山労働者のラドンガスによる肺ガン多発�(19

30年以降)

放射性トリウムを含むX線造影剤(トロトラスト)

による肝ガンの多発(1940年代)

(6)

原子爆弾�(1945年�広島・長崎)

X線による突然変異の研究(1946年)

ビキニ環礁水爆実験�第五福竜丸の被曝事故

(1954年)

スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)

チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)

東海村JCO臨界事故(1999年)

(7)

放射線影響のイメージ

•  原爆症

•  発がん

•  不妊

•  先天性異常

•  治療不能

•  少量でも危険

•  大量でも無自覚

(8)

(電離)放射線は物質にエネルギーを与えて 電離を生じるものの総称
 放射線
   エネルギーの流れ
   (光子線、粒子線)
 放射能
   放射線を出す能力
   放射性物質が放射能を持っている


(9)

同じ物理エネルギーが生体に与えられたとしても放射線の 人体影響は以下の要因で大きく異なる 放射線の実体は様々 放射線の種類と放射線のエネルギー 放射性物質の気体・液体・固体�化学形の違い� 放射線曝露条件で影響の程度が変化する 短期間で現れる影響と長期間後に現れる影響 放射線源が体外に有るか体内にあるか 全身が均一に被曝するか局所的に被曝するか 一度に被曝するか徐々に被曝するか 放射線を受ける人体の状態でも影響の程度が変化する 成人と小児と乳児と胎児 個人差

(10)

電離放射線の線量単位はなぜ多い?
 放射線エネルギーの基本単位: eV 吸収線量: Gy どれだけのエネルギーが物質に吸収されたかを示す量  外部被曝モニタ−で算出  1 Gy = 1 J/Kg 線量当量: Sv(放射線防護のための単位 外部測定値から算出) 臓器・組織の平均吸収線量にもとづく  吸収線量×線質係数×修正係数。線質係数はβ線、γ線、X線を1、中性子 線はエネルギーにより5~20、α線は20 修正係数は通常は1である 実効線量: Sv(局所被曝を考慮した放射線防護のための単位)  E = Σ WT
Σ WR DTR    WT: 部分被曝の補正係数    WR: 線質の違いの補正係数 X線やガンマ線の全身被曝では 1 Gy は約1 Sv

(11)

ベクレル: Bq�

吸収線量: Gy�

線量当量:Sv

線質係数が必要�

放射線�

お金にたとえると�

実効線量: Sv

線質係数と部分被曝 の補正係数が必要�

硬貨や紙幣の枚数�

金額�

円換算の金額

為替レートが必要�

定価で買えるもの

価格表が必要�

(12)

放射線の使用に関わる制限規制(職業人の被曝に

関して)

1928年�国際X線ラジウム防護委員会発足�

(International X−ray and Radium Protection Committee IXRP) 耐容線量:人が少しも障害を受けずに長期間にわたり耐え うるX線量 として 1/100皮膚紅斑線量/月=約720mSv/年程度)� 1934年�耐容線量の値を 1日当り0.2R(X線で約2mSv/日=720mSv/年相当)�

(13)

1950年�「国際放射線防護委員会International

Commission on Radiological Protection, ICRP」へと改 称�

最大許容線量=0.3R/週=162mSv/年�

1977年�「社会的・経済的要因を考慮にいれながら合

理的に達成できる限り低く(As Low As Reasonably

Achievable;ALARA)」

被ばく線量を制限�50mSv/年�

1990年�「死亡による時間損失」「平均余命の損失」 「死亡確率の発現年齢分布」などを放射線リスクによ る損害として考慮に�20mSv/年(生涯線量は1.0Sv)�

(14)
(15)

高線量放射線影響のしきい値について�

放射線による被曝は、障害の種類によって異な

るが、皮膚の紅斑、脱毛、不妊などの影響は、

一定の潜伏期があり、ある放射線量以下では

発症しない。

この障害が起きる境目の線量をしきい値という。

(16)

放射線の生物影響の基本的過程�(その1)

�これらの傷害は、機能を持つ細胞の元となる細

胞(幹細胞)が減少または、死滅することで組織

の機能を維持できなくなることが原因

特定の線量を越えなければ発症しないため

確定的影響と呼ばれる

(17)

機能細胞の元になる

細胞。 自分自身が増

える複製能力と、分

化細胞を生産する能

力を備えている。通

常組織の特定の場所

に存在して一定の早

さで分裂を繰り返す

幹細胞とは �

(18)

腸死

•  被曝線量

10∼100Gy(X線 /γ線等)

で出

•  急激かつ重篤な放射線宿酔症状(悪心、

嘔吐等

)

•  3∼10日以内

に死亡

•  死因・・・

小腸粘膜の剥離

による脱水死

(19)

造血

(骨髄)死

•  被曝線量

3∼8Gy

で出現

•  数日で白血球、血小板が減少(リンパ球減少

の閾値は

0.25Gy

)      

→悪寒・疲労感・皮下出血・口腔内潰瘍出現

•  感染や出血が起こって

照射後

7日から60日

頃にかけて死亡

(20)

急性障害:生殖腺

男性不妊

0.15Gy以上

一時的不妊

3.5-6 Gy以上

永久不妊

女性不妊

0.65-1.5Gy以上

一時的不妊

2.5-6 Gy以上

永久不妊

(21)

急性被曝影響の程度は

幹細胞の放射線感受性

幹細胞の位置と数

幹細胞からの分化過程

組織機能不全が生体に及ぼす結果

に依存する

急性被曝影響を回避するためには、

○幹細胞が死なないようにする

○幹細胞を移植する 

(22)

放射線の生物影響の本質(その2)

���

発がんや遺伝的影響

は、生存している細胞の

突然変異の頻度が上昇することで生じる

突然変異が成立することはきわめて稀で変異し

た細胞は少ないので通常問題にならないが、そ

の細胞が過剰増殖したり、生殖細胞に生じると

重篤な影響が生じる� �

(23)

確率的影響

 

線量が増加するにつれて、発生確率が比例

的に増加すると考える。

 

線量によらず症状の重篤度は変化しない。

 

しかし、しきい値が有る

���とする考えもある。�

響�

?�

(24)

放影研における原爆被爆者の疫学調査から明らかになった放射 線の長期的な健康影響は、 1シーベルト(1,000ミリシーベルトあるいは100万マイクロシーベル ト)の放射線被曝により、平均してがんの確率が約1.5倍に増加 がんのリスクは被曝線量に直線的で閾値がないという考え(国際 放射線防護委員会などの考え)で計算すると、100�ミリシーベルト では約1.05倍、10ミリシーベルトでは約1.005倍と予想されます。た だし統計学的には、約150ミリシーベルト以下では、がんの頻度に おける増加は確認されていません。 放射線影響研究所のホームページより http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf

(25)
(26)
(27)

がんは遺伝子の病気 がんは細胞が異常に増加することによって起きる 細胞の増加はアクセルとブレーキによって制御
 発がんは突然変異から
 がん細胞の増殖
 アクセルの踏みすぎ
 ブレーキが利かない
 がん遺伝子
 がん抑制遺伝子
 突然変異の積み重ねでがんが進行する→年齢とともに急増

(28)

どの程度の低線量でも発がんのリスクが増えるかを解 明することは困難 人の個人差や放射線の被曝条件でどれだけ異なるか を解明することも困難� 理由 放射線で生じたがんとその他の要因で生じたがんは区 別できない。 放射線で誘発されたがんが治りにくいとい うことはない。 急性影響のないような低線量での放射線発がんは、集 団での発症頻度の上昇として捉えるしかないが、放射 線に被曝していなくてもがんは多く発症する 免疫能の低下の関与も考えられる

(29)

DNAの構造

デオキシリボースとリン酸 エステルの骨格�

(30)
(31)

生命の進化と突然変異の発生を防ぐ仕組みの発達 ● 地球の起源(46億年前) ● 生命(遺伝情報=DNA)の誕生(40億年前)  ⇒DNAを

複製や転写

する際の障害を回避する仕組み が必要 ● 原核生物(細菌の仲間)の誕生(35億年前)  ⇒

太陽光紫外線

によるDNA損傷を修復する仕組みが 必要 ● 酸素を発生する光合成生物の発生(27億年前)  ⇒地球上に酸素が増加 ● 酸素を利用する生物の発生(>20億年前)  ⇒

活性酸素

による生体高分子の傷害を防ぐ仕組みが

(32)
(33)
(34)

端的に言えば、

低線量被曝をした人々の健康への影

響を直接検出し、定量化することは難しく、たいてい

は不可能なのだ

。低線量被曝に関連した長期的健

康被害の中で、最も心配されているのは、がんであ

る。しかしながら、どのような集団でも約40%の人が

いつかはがんになることを考えると、被曝した人々の

集団が非常に大きく、個人の被曝線量が比較的よく

わかっていないかぎり、被曝に関連した発がん率の

わずかな上昇を評価することは、かなり不確実であ

る。

Nature 201145

(35)

そこで、

集団研究を補完するアプローチ、すなわち、

低線量放射線ががんを引き起こす基礎的機構を、遺

伝子、染色体、細胞、さらには器官のレベルで研究

することが必要になる。この機構は非常に複雑であ

るため、研究はなかなか進展しない。

しかしながら、長い目で見れば、発がん機構の解明

から集団研究の結果を検討することは、極低線量被

曝が健康に及ぼす影響について必要な情報を得る

ために、最良の、そしておそらく唯一の方法なのであ

る。

Nature 201145 David J. Brenner�

参照

関連したドキュメント

て当期の損金の額に算入することができるか否かなどが争われた事件におい

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

 今日のセミナーは、人生の最終ステージまで芸術の力 でイキイキと生き抜くことができる社会をどのようにつ

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

自分ではおかしいと思って も、「自分の体は汚れてい るのではないか」「ひどい ことを周りの人にしたので

を負担すべきものとされている。 しかしこの態度は,ストラスプール協定が 採用しなかったところである。