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年次報告書2000

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(1)

事業」に対して、本行は70億3百万円の円借款供与を行い ました。これは、貧困削減のために設立された国家社会開 発基金(FONCODES)を通じ、1997年度に支援したアマゾ ン地域に続き、山岳地域4県の貧困地域において、住民参 加の下に社会衛生インフラ(簡易上水道整備、簡易トイレ 設置、簡易生活廃水処理施設)整備のための小規模事業 を実施するものです。本事業により、貧困地域の社会衛生 インフラが改善され、当該地域の貧困削減および生活環境 の改善、上下水道整備による子供・女性の水汲み労働の 軽減が期待されます。 地方都市の上下水道インフラの整備・拡張を支援 本行は「地方上下水道整備事業」に対しても、139億1百 万円の円借款を供与しました。ペルーでは1980年代に上 下水道に対する投資がなされなかった結果として、全国平 均の上水道普及率、下水道普及率はともに60%どまりとな っており、特に地方都市での上下水道施設の老朽化、破 損が恒常化しています。本事業は、開発・整備の遅れてい る地方都市の上下水道インフラ整備拡張支援を目的とす るものです。当該地域であるペルーの主要地方都市ピウラ 市とチンボテ市において、飲料水の確保・質の向上、飲料 水生産コストの削減、下水処理能力の向上を促進し、衛生 状態の向上と罹病率の低下を図ります。そのことにより、 両都市における住民定着率の向上、首都リマへの人口流 入回避も期待され、都市一極集中の弊害を防止します。 上下水道関連インフラ整備を支援 今年度、本行はメキシコに対して「バハ・カリフォルニア 州上下水道整備事業」への221億48百万円の円借款を供与 しました。 メキシコは従来から米国との経済関係を重視しており、 米国と隣接する州における開発に力を注いでいますが、 中でも同国北西部に位置するバハ・カリフォルニア州は、 近年最も経済が成長している州です。とりわけマキラド−ラ 指定都市(米国・メキシコ国境地帯に設けられた輸出保税加 工地区)であるティファナ、メヒカリ、エンセナーダへの人口 集中が顕著ですが、こうした人口増加に対して上下水道等 の生活基盤インフラの整備が大幅に立ち遅れており、今後 の経済発展のボトルネックとなることが懸念されていまし た。また、未処理の汚水が隣接する米国のサルトン湖およ びカリフォルニア湾に流入することで周辺環境の悪化を招 いており、米国との二国間問題に発展しています。 本事業により、同州の3大都市であるティファナ、メヒカ リ、エンセナーダにおいて浄水場新設、下水処理場新設、 上下水道管敷設等の上下水道関連インフラ整備を行い、 同都市住民の生活環境改善ならびに米国との二国間環境 問題でもあるサルトン湖およびカリフォルニア湾の水質汚 染改善を支援するものです。

メキシコ

MEXICO

支援業務

1. 調査・評価業務

2. 環境・社会開発

3. 他機関との連携

4. 中堅・中小企業支援

5. 知的支援

6. 研究所活動

7. 情報開示・情報発信

EPS貼込み用 00.10.4 10:32 AM ページ 1

(2)

デシュ「大ファリドプール農村インフラ整備事業」)、3)EIA (環境影響評価報告書)レビュー等環境配慮を強化するため の調査を積極的に実施したこと、環境案件の形成(例:中 国「環境モデル都市事業」)に資する調査を実施するなど環 境への配慮を強化したこと、などが挙げられます。 案件実施支援調査

(Special Assistance for Project Implementation:SAPI )

開発プロジェクトの中には、事業の準備段階で想定して いた前提条件の変化等により、当初の計画通りには進捗 しないことがあります。SAPIは、このような場合に事業の 達成、円滑な実施を図るために、現況を詳細に調査・分 析し、必要な改善・解決策を提案するための調査です。 1999年度は、タイ「小規模企業育成計画等」をはじめ、14 件の調査を実施しました。今年度調査の特色としては、1) 事業の促進を図るため実施機関の事業実施体制整備を図 る調査が増加したこと(例:ベトナム「ハノイ水環境改善事 業(Ⅰ)・(Ⅱ)」)、2)環境・保健衛生に対する住民の意識 改革のための持続的な広報活動の調査のように、社会開 発・住民参加型アプローチを活用した調査を実施したこと (例:インド「ヤムナ川流域諸都市下水道等整備事業」)、な どが挙げられます。 援助効果促進調査

(Special Assistance for Project Sustainability:SAPS )

開発プロジェクトの中には、事業完成後の運営維持管理 の 段 階 に お い て 何らか の 改 善 措 置 が 必 要 となっても、 種々の制約から原因の究明やその結果を踏まえた対応策 がとれない場合があります。SAPSは、このような場合に事 業効果を持続させ、あるいは一層高めていく上で支障とな る問題を調査し、具体的な改善・解決策を提案するため の調査です。 1999年度は、ベトナム「国道5号線改良事業(Ⅰ)・(Ⅱ)・ (Ⅲ)」を含め、7件の調査を実施しました。 調達実施支援調査

(Special Assistance for Procurement Management )

特別円借款が対象とするプロジェクトにおいて、公正・ 透明かつ迅速な調達手続きの実施を図るため、入札書類 の作成、入札評価等を支援するために必要な調査で、 1999年度より実施しています。 1999年度は、フィリピン「ミンダナオコンテナ埠頭建設事 業」におけるコンサルタント選定書類の作成等の支援をは じめ、3件の調査を実施しました。 全体的に、従来の海外経済協力業務の対象セクターは 運輸・エネルギー部門が約50%を占めていましたが、最近 の傾向として貧困や社会開発にも関心が向いてきており、 特に上下水道などの社会基盤セクター、農村灌漑などの 農業セクターに対するシェアも高まってきています。こうし た地域生活に密着した案件および社会開発に関する案件 が増えていることを反映して、SAPROF、 SAPI 、SAPSの いずれもそうした方面の比率が増えているのが今年度の特 徴と言えます。また、環境配慮が非常に大きくクローズア ップされてきており、ほぼ全てのSAPROFに関して環境配 慮の調査事項が含まれています。

案件発掘・形成調査業務

調査・評価業務

1

(1)国際金融等業務

(2)海外経済協力業務

わが国のプラント輸出額(成約ベース)は1999年度で80.4 億ドル、ピークであった1996年度(197.4億ドル)と比較して みると半分以下の水準に落ち込んできています。原因と しては、アジア通貨危機により同地域のプロジェクトの多 くが凍結・延期されたこと、日本および途上国の金融機関 で信用収縮が起き、ファイナンス組成が困難になったこと、 欧米企業等との間での価格面・非価格面での競争力の低 下があります。 個別プロジェクトの初期段階において、フィージビリティ・ スタディ等を実施し、実施主体に対して企画・提案を行っ ていくことは、潜在的な優良案件を発掘するための方策と して非常に有効であり、わが国企業の受注拡大のチャンス に結びつくことが期待されます。しかしながら、これは同 時に、企業にとっては先行開発コストとして多大な負担を 伴うものでもあります。 こうした現状に対し、本行のような公的機関がフィージビ リティ・スタディ等の業務を担い、日本からのプラント輸出 にもつながる優良案件を早期に発掘・形成することの意義 は大きいと考えられます。国際協力銀行法においては、 国際金融等業務の一つとして、出融資・保証業務に関連し て必要な調査を行うこと(調査業務)を新たに定められま したが、日本のプラント輸出関連企業のニーズに対応すべ く、このような調査業務の一環として、本行の発足時であ る1999年10月1日より案件発掘・形成調査業務を制度とし て設け、実施しています。

有償資金協力促進調査

(Special Assistance Facility:SAF)

国際協力銀行では、円借款事業のより効果的・効率的 な実施を図るべく有償資金協力促進調査(SAF)を実施し ています。SAFはプロジェクトサイクル(P10 参照)全体の 中で、円借款事業の案件形成、事業実施支援、完成案件 の事業効果の持続等を目的として、本行が外部のコンサル タント、専門家等を雇用したり、NGOと連携したりして実 施する調査業務です。 調査業務を行う段階、目的ごとに次の4種類があり、今年 度もさまざまな案件について各調査業務が行われました。 案件形成促進調査

(Special Assistance for Project Formation:SAPROF )

開発プロジェクトの形成には、経済、財務、組織開発、環 境、社会配慮等、多様な専門能力が必要ですが、資金や 技術等の制約から途上国自身の力で十分な事業計画の形 成作業を行うことが困難なことがあります。SAPROFは、そ のような場合に、開発途上国から円借款の要請または打診 があった事業について、円借款対象事業として取上げ可能 となるよう、プロジェクト形成を支援するための調査です。 1999年度は、マレーシア「パハン・セランゴール導水事業 E/S」をはじめ、20件の調査を実施しました。今年度の特色 としては、1)事業効果発現のために受益者が事業に参加 することが必要な案件を対象に社会配慮・参加型アプロー チを活用した調査を実施したこと(例:フィリピン「イロコス・ ノルテ灌漑事業(Ⅱ)」)、2)事業の形成から実施段階にか けてNGOとの連携を図る試みを実施したこと(例:バングラ 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 58

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デシュ「大ファリドプール農村インフラ整備事業」)、3)EIA (環境影響評価報告書)レビュー等環境配慮を強化するため の調査を積極的に実施したこと、環境案件の形成(例:中 国「環境モデル都市事業」)に資する調査を実施するなど環 境への配慮を強化したこと、などが挙げられます。 案件実施支援調査

(Special Assistance for Project Implementation:SAPI )

開発プロジェクトの中には、事業の準備段階で想定して いた前提条件の変化等により、当初の計画通りには進捗 しないことがあります。SAPIは、このような場合に事業の 達成、円滑な実施を図るために、現況を詳細に調査・分 析し、必要な改善・解決策を提案するための調査です。 1999年度は、タイ「小規模企業育成計画等」をはじめ、14 件の調査を実施しました。今年度調査の特色としては、1) 事業の促進を図るため実施機関の事業実施体制整備を図 る調査が増加したこと(例:ベトナム「ハノイ水環境改善事 業(Ⅰ)・(Ⅱ)」)、2)環境・保健衛生に対する住民の意識 改革のための持続的な広報活動の調査のように、社会開 発・住民参加型アプローチを活用した調査を実施したこと (例:インド「ヤムナ川流域諸都市下水道等整備事業」)、な どが挙げられます。 援助効果促進調査

(Special Assistance for Project Sustainability:SAPS )

開発プロジェクトの中には、事業完成後の運営維持管理 の 段 階 に お い て 何らか の 改 善 措 置 が 必 要 となっても、 種々の制約から原因の究明やその結果を踏まえた対応策 がとれない場合があります。SAPSは、このような場合に事 業効果を持続させ、あるいは一層高めていく上で支障とな る問題を調査し、具体的な改善・解決策を提案するため の調査です。 1999年度は、ベトナム「国道5号線改良事業(Ⅰ)・(Ⅱ)・ (Ⅲ)」を含め、7件の調査を実施しました。 調達実施支援調査

(Special Assistance for Procurement Management )

特別円借款が対象とするプロジェクトにおいて、公正・ 透明かつ迅速な調達手続きの実施を図るため、入札書類 の作成、入札評価等を支援するために必要な調査で、 1999年度より実施しています。 1999年度は、フィリピン「ミンダナオコンテナ埠頭建設事 業」におけるコンサルタント選定書類の作成等の支援をは じめ、3件の調査を実施しました。 全体的に、従来の海外経済協力業務の対象セクターは 運輸・エネルギー部門が約50%を占めていましたが、最近 の傾向として貧困や社会開発にも関心が向いてきており、 特に上下水道などの社会基盤セクター、農村灌漑などの 農業セクターに対するシェアも高まってきています。こうし た地域生活に密着した案件および社会開発に関する案件 が増えていることを反映して、SAPROF、 SAPI 、SAPSの いずれもそうした方面の比率が増えているのが今年度の特 徴と言えます。また、環境配慮が非常に大きくクローズア ップされてきており、ほぼ全てのSAPROFに関して環境配 慮の調査事項が含まれています。

案件発掘・形成調査業務

調査・評価業務

1

(1)国際金融等業務

(2)海外経済協力業務

わが国のプラント輸出額(成約ベース)は1999年度で80.4 億ドル、ピークであった1996年度(197.4億ドル)と比較して みると半分以下の水準に落ち込んできています。原因と しては、アジア通貨危機により同地域のプロジェクトの多 くが凍結・延期されたこと、日本および途上国の金融機関 で信用収縮が起き、ファイナンス組成が困難になったこと、 欧米企業等との間での価格面・非価格面での競争力の低 下があります。 個別プロジェクトの初期段階において、フィージビリティ・ スタディ等を実施し、実施主体に対して企画・提案を行っ ていくことは、潜在的な優良案件を発掘するための方策と して非常に有効であり、わが国企業の受注拡大のチャンス に結びつくことが期待されます。しかしながら、これは同 時に、企業にとっては先行開発コストとして多大な負担を 伴うものでもあります。 こうした現状に対し、本行のような公的機関がフィージビ リティ・スタディ等の業務を担い、日本からのプラント輸出 にもつながる優良案件を早期に発掘・形成することの意義 は大きいと考えられます。国際協力銀行法においては、 国際金融等業務の一つとして、出融資・保証業務に関連し て必要な調査を行うこと(調査業務)を新たに定められま したが、日本のプラント輸出関連企業のニーズに対応すべ く、このような調査業務の一環として、本行の発足時であ る1999年10月1日より案件発掘・形成調査業務を制度とし て設け、実施しています。

有償資金協力促進調査

(Special Assistance Facility:SAF)

国際協力銀行では、円借款事業のより効果的・効率的 な実施を図るべく有償資金協力促進調査(SAF)を実施し ています。SAFはプロジェクトサイクル(P10 参照)全体の 中で、円借款事業の案件形成、事業実施支援、完成案件 の事業効果の持続等を目的として、本行が外部のコンサル タント、専門家等を雇用したり、NGOと連携したりして実 施する調査業務です。 調査業務を行う段階、目的ごとに次の4種類があり、今年 度もさまざまな案件について各調査業務が行われました。 案件形成促進調査

(Special Assistance for Project Formation:SAPROF )

開発プロジェクトの形成には、経済、財務、組織開発、環 境、社会配慮等、多様な専門能力が必要ですが、資金や 技術等の制約から途上国自身の力で十分な事業計画の形 成作業を行うことが困難なことがあります。SAPROFは、そ のような場合に、開発途上国から円借款の要請または打診 があった事業について、円借款対象事業として取上げ可能 となるよう、プロジェクト形成を支援するための調査です。 1999年度は、マレーシア「パハン・セランゴール導水事業 E/S」をはじめ、20件の調査を実施しました。今年度の特色 としては、1)事業効果発現のために受益者が事業に参加 することが必要な案件を対象に社会配慮・参加型アプロー チを活用した調査を実施したこと(例:フィリピン「イロコス・ ノルテ灌漑事業(Ⅱ)」)、2)事業の形成から実施段階にか けてNGOとの連携を図る試みを実施したこと(例:バングラ 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 58

(4)

環境・社会開発

2

(1) 環境への取組み

環境の保全は世界的に重要な課題であり、本行の業務 遂行にあたっても、自然的環境および社会的環境への配 慮は不可欠の検討課題となっています。 統合により誕生した本行においては、日本輸出入銀行 (輸銀)および海外経済協力基金(OECF)双方の知見の共 有・ノウハウの活用が可能になり、環境配慮に関しても、 より充実した取組みができるシナジー効果が得られること となりました。具体的には、統合された環境社会開発室を 設置し、個々の出融資等の対象プロジェクトにおいて、借 入国(人)またはプロジェクト実施主体による環境配慮が適 切に行われていることを確認するとともに、環境保全/改 善に資する事業(環境案件)の形成等に関し、専門的知見 や情報の提供を通じて、以下のような国際金融等業務お よび海外経済協力業務の両業務部門に対するサポートを 行っています。

環境配慮確認

本行では、プロジェクト実施主体による環境配慮が適切 に行われることを促すとともに、これを適確かつ効率的に 審査・チェックすることを目的として、そのための手続等に 係る指針として業務ごとの環境ガイドラインを定め、これ に基づいて環境配慮確認を行っています。

知的協力・各種調査

開発途上国における環境配慮への取組みをさまざまな 観点から支援することを目的とした知的協力の一環として、 2000年3月中国において「中国環境保全総局との環境に関 する対話」を実施し、本行による国際金融等業務案件の環 境配慮確認を踏まえて中国の環境制度および環境配慮に ついて中国当局に提言を行いました。 さらにフィリピンにおいては、「メトロ・マニラ大気汚染改 善セクター・ローンにかかるセミナー」を行い、わが国にお ける大気汚染対策に係る経験とノウハウを活用できるよ う、知的貢献を図りました。 地球温暖化対策に関しては、本行は個別案件ベースの 支援とともに、温暖化対策優先分野特定のための調査や、 温室効果ガスの削減効果に係る調査を実施しました。ま た、外部有識者による「地球温暖化対策専門委員会」(座 長:茅 陽一〔慶應義塾大学大学院教授〕)を設置し、地 球温暖化対策案件の形成に当たっての基本的な考え方を まとめました。

国際機関・二国間機関・地方自治体・NGO等

との連携

本行は国際金融等業務において、OECD輸出信用・保 証部会にて他の輸出信用機関等と連携しつつ、G8サミッ ト等からの指示を受け、輸出信用の分野での環境配慮の あり方についての議論に積極的に関与しているところで す。海外経済協力業務においては、環境分野において豊 富なノウハウと人材等を有するさまざまな地方自治体、 NGOによる個別案件形成・実施への参加などを通じて、 これら団体との連携を一層推進してきました。また、両業 務において、国際機関等との情報・意見交換を通じた連 携のさらなる強化を図っています。

情報収集

国内外における環境保全、地球環境問題(例えば、地球 温暖化ガス排出削減に関する類似機関の取組み)に係る 有用な情報の収集や活用を行うなど、より効果的・効率的 な環境配慮業務の実施への取組みを行いました。

事後評価業務

事後評価業務とは、円借款の対象となった事業の実施 状況や完成後の運営・管理状況、効果発現などについて、 計画当初との比較を通じて事後的に検証する業務です。 また個別プロジェクトの事後評価に加え、複数の事業が特 定の地域・セクターに与えた経済的・社会的インパクトの 調査も実施しています。 この事後評価による経験と教訓は本行内に蓄積される とともに、円借款の借入人や実施機関にもフィードバックさ れ、今後の開発援助の効果をより高めていくため、有効に 活用されています。さらに評価結果をより一般化し、他 国・他地域への適用の可能性を検討する調査・セミナーも 行っています。 事後評価は通常、本行職員により実施されますが、他 機関との合同・相互評価や有識者による第三者評価等、 多様な視点からの評価を実施することにより客観性がある 評価の一層の向上を図っています。 1999年度の実績としては、第三者評価7件を含み38件 (事業数ベースでは59件)行われました。この詳細につい ては、2000年9月刊行の「円借款案件事後評価報告書」お よびホームページにおいてご覧になれます。 ∼交通安全ルールの普及に向けて∼ 本事業は、首都ハノイからハイフォン市に至る主要幹 線である国道5号線を対象に、既存道路の改修と車線拡 幅を行うもので、これにより同線は片側2車線(一部3車 線)計4車線となり、制限速度80km/hの自動車用道路 として高速道路なみに整備されることとなりました。し かし、ベトナム、特に本事業が実施された同国北部では、 こうした高規格道路は珍しいため、重軽車輌の入り交じ った交通事情や交通安全に係る認識不足を主な原因と して自動車事故が起こりました。 このため、交通計画専門家、交 通安全施設専門家、交通安全教 育・啓 蒙 活 動 の 専 門 家 に よる SAPSが実施されました。同調査 により本行では、同国の交通安 全に係る法制度、教育・啓蒙活 動の実態調査を踏まえて改善策 を提示するとともに、ベトナム語 で4種類のわかりやすいパンフレットを対象者別に作成 し、それを教材に国道5号線沿いの小学校等で交通安全 キャンペーンを開催しました。また施設面でも、歩道橋 の早急な設置、交通量・スピードを測定する装置の充実 等について提言を行いました。本SAPSが契機となり、 その後ベトナム側においても、国道交通安全に関するセ ミナーの実施、国際赤十字社支援による緊急治療ステ ーション設置等、改善に向けた努力が行われています。 ベトナム「国道5号線改良事業(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)」に対するSAPS 交通安全キャンペーンの模様 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 60

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環境・社会開発

2

(1) 環境への取組み

環境の保全は世界的に重要な課題であり、本行の業務 遂行にあたっても、自然的環境および社会的環境への配 慮は不可欠の検討課題となっています。 統合により誕生した本行においては、日本輸出入銀行 (輸銀)および海外経済協力基金(OECF)双方の知見の共 有・ノウハウの活用が可能になり、環境配慮に関しても、 より充実した取組みができるシナジー効果が得られること となりました。具体的には、統合された環境社会開発室を 設置し、個々の出融資等の対象プロジェクトにおいて、借 入国(人)またはプロジェクト実施主体による環境配慮が適 切に行われていることを確認するとともに、環境保全/改 善に資する事業(環境案件)の形成等に関し、専門的知見 や情報の提供を通じて、以下のような国際金融等業務お よび海外経済協力業務の両業務部門に対するサポートを 行っています。

環境配慮確認

本行では、プロジェクト実施主体による環境配慮が適切 に行われることを促すとともに、これを適確かつ効率的に 審査・チェックすることを目的として、そのための手続等に 係る指針として業務ごとの環境ガイドラインを定め、これ に基づいて環境配慮確認を行っています。

知的協力・各種調査

開発途上国における環境配慮への取組みをさまざまな 観点から支援することを目的とした知的協力の一環として、 2000年3月中国において「中国環境保全総局との環境に関 する対話」を実施し、本行による国際金融等業務案件の環 境配慮確認を踏まえて中国の環境制度および環境配慮に ついて中国当局に提言を行いました。 さらにフィリピンにおいては、「メトロ・マニラ大気汚染改 善セクター・ローンにかかるセミナー」を行い、わが国にお ける大気汚染対策に係る経験とノウハウを活用できるよ う、知的貢献を図りました。 地球温暖化対策に関しては、本行は個別案件ベースの 支援とともに、温暖化対策優先分野特定のための調査や、 温室効果ガスの削減効果に係る調査を実施しました。ま た、外部有識者による「地球温暖化対策専門委員会」(座 長:茅 陽一〔慶應義塾大学大学院教授〕)を設置し、地 球温暖化対策案件の形成に当たっての基本的な考え方を まとめました。

国際機関・二国間機関・地方自治体・NGO等

との連携

本行は国際金融等業務において、OECD輸出信用・保 証部会にて他の輸出信用機関等と連携しつつ、G8サミッ ト等からの指示を受け、輸出信用の分野での環境配慮の あり方についての議論に積極的に関与しているところで す。海外経済協力業務においては、環境分野において豊 富なノウハウと人材等を有するさまざまな地方自治体、 NGOによる個別案件形成・実施への参加などを通じて、 これら団体との連携を一層推進してきました。また、両業 務において、国際機関等との情報・意見交換を通じた連 携のさらなる強化を図っています。

情報収集

国内外における環境保全、地球環境問題(例えば、地球 温暖化ガス排出削減に関する類似機関の取組み)に係る 有用な情報の収集や活用を行うなど、より効果的・効率的 な環境配慮業務の実施への取組みを行いました。

事後評価業務

事後評価業務とは、円借款の対象となった事業の実施 状況や完成後の運営・管理状況、効果発現などについて、 計画当初との比較を通じて事後的に検証する業務です。 また個別プロジェクトの事後評価に加え、複数の事業が特 定の地域・セクターに与えた経済的・社会的インパクトの 調査も実施しています。 この事後評価による経験と教訓は本行内に蓄積される とともに、円借款の借入人や実施機関にもフィードバックさ れ、今後の開発援助の効果をより高めていくため、有効に 活用されています。さらに評価結果をより一般化し、他 国・他地域への適用の可能性を検討する調査・セミナーも 行っています。 事後評価は通常、本行職員により実施されますが、他 機関との合同・相互評価や有識者による第三者評価等、 多様な視点からの評価を実施することにより客観性がある 評価の一層の向上を図っています。 1999年度の実績としては、第三者評価7件を含み38件 (事業数ベースでは59件)行われました。この詳細につい ては、2000年9月刊行の「円借款案件事後評価報告書」お よびホームページにおいてご覧になれます。 ∼交通安全ルールの普及に向けて∼ 本事業は、首都ハノイからハイフォン市に至る主要幹 線である国道5号線を対象に、既存道路の改修と車線拡 幅を行うもので、これにより同線は片側2車線(一部3車 線)計4車線となり、制限速度80km/hの自動車用道路 として高速道路なみに整備されることとなりました。し かし、ベトナム、特に本事業が実施された同国北部では、 こうした高規格道路は珍しいため、重軽車輌の入り交じ った交通事情や交通安全に係る認識不足を主な原因と して自動車事故が起こりました。 このため、交通計画専門家、交 通安全施設専門家、交通安全教 育・啓 蒙 活 動 の 専 門 家 に よる SAPSが実施されました。同調査 により本行では、同国の交通安 全に係る法制度、教育・啓蒙活 動の実態調査を踏まえて改善策 を提示するとともに、ベトナム語 で4種類のわかりやすいパンフレットを対象者別に作成 し、それを教材に国道5号線沿いの小学校等で交通安全 キャンペーンを開催しました。また施設面でも、歩道橋 の早急な設置、交通量・スピードを測定する装置の充実 等について提言を行いました。本SAPSが契機となり、 その後ベトナム側においても、国道交通安全に関するセ ミナーの実施、国際赤十字社支援による緊急治療ステ ーション設置等、改善に向けた努力が行われています。 ベトナム「国道5号線改良事業(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)」に対するSAPS 交通安全キャンペーンの模様 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 60

(6)

他機関との連携

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業務の効率・効果の一層の向上および幅広い情報交換 を目的として、次のようにさまざまな機関との連携が行わ れています。日本輸出入銀行と海外経済協力基金が統合 し国際協力銀行となったことにより、旧機関がもっていた ノウハウが結集されたことから、他機関との連携において も連携分野が広がり、中身のより深い議論ができるように なったことは大きなメリットです。

国際機関との連携

国際金融秩序の維持、開発途上国への資金協力、開発 政策実施等において重要な役割を果たしているIMF、世界 銀行、アジア開発銀行、米州開発銀行等の国際機関とは、 協調融資をはじめさまざまな連携を図っています。 本行は、アジア通貨危機やグローバルイシュー等への取 組みにおいても国際機関との連携を図ってきました。日頃 から融資対象プロジェクトや借入国の政治経済情勢につい て情報交換を行うとともに、支援方針についての対話を行 う場として、国際機関と定期協議会も行っています。

輸出信用機関との連携

本行は米国輸出入銀行など多くの輸出信用機関との間 で業務協力協定を締結し、貿易拡大、投資促進、プロジェ クトの協調支援などについて協調融資や情報交換を行い、 これらの機関との協調関係を強化しています。 このような国別の相互協力以外に、OECDなどの国際機 関の枠組みを通じての情報交換や相互協力も活発に行っ ています。前述のOECDの輸出信用・保証部会における 輸出信用と環境の議論はその一例です。 また、アジアにおいては、各国の輸出入銀行間の連携 を図ることを目的として「アジア輸銀会合」が毎年開催 されており、本行もこれに積極的に参加しています。昨 年は、第5回会合が10月にインドネシアで開催されまし た。 さらに、開発途上国における輸出入銀行への協力は本 行として注力しているところであり、最近ではインドネシ ア輸出入銀行設立準備のために専門家を派遣しました。

国際協力事業団(JICA)との連携

有償資金協力を担う本行と、技術協力等を担当してい る国際協力事業団(JICA)は、日本のODAをより効率的、 効果的に実施するため、プロジェクト計画の策定・準備・ 実施、完成後の維持管理等の各段階で連携を図っており、 そのパートナーシップを年々強化しています。本行の支援 が単なる資金協力にとどまらず、より包括的な援助が可能 となることが大きなメリットです。 1999年度の主な実績は次の通りです。 プロジェクト策定・準備段階における連携 本行はJICAが開催している国別・分野別援助研究会に 委員として参加し、援助方針等について積極的に意見交 換を行いました。また、JICAが開発調査を行う際、当該調 査の進捗状況や内容を確認するために設置する作業監理 委員会に本行が必要に応じて参加し意見交換を行う「開 発調査との連携」では、フィリピン、バングラデシュ等の委 員会に参加しました。今年度に円借款契約が結ばれたプ ロジェクト型案件75件のうち、JICAの開発調査が行われた ものは13件(17.3%)でした。 円借款による事業の実施を前提として当該事業の詳細 設計(Detailed Design:D/D)部分をJICAが開発調査の一 環により実施する「連携D/D」としては、スリランカの「コロ ンボ上水道改修事業」、ベトナムの「ホーチミン水環境改善 事業」等の4事業が、今年度は行われました。 プロジェクト実施と監理段階における連携 プロジェクトの円滑な実施や監理のため、JICA専門家と 連携して実施体制の改善や人材の育成を支援する「専門 家派遣との連携」においては、36事業に対して長期・短期 を含めて61名の専門家が派遣され、プロジェクトの実施に 必要な技術指導等を行っています。 さらに、 JICAと連携して開発途上国の開発関係機関等 の円借款関係者を対象としたODAローンセミナーを実施し ています。1998年度に、円借款業務のニーズに応じた個 別テーマに関する研修コース4コース(開発金融、電力設備

(2)社会開発

開発の目的は、バランスのとれた経済成長とそれにより もたらされる便益の公正な分配により、国民の生活を向上 させることです。貧困を解消し、基礎的ニーズを満たすた めには、全体の底上げを図る経済成長戦略が必要ですが、 同時に、取り残された社会的弱者層のために、格差の是 正やソーシャル・セーフティー・ネットの整備が重要です。 こうした考えは、本行が1999年12月に発表した「海外経済 協力業務実施方針」に反映されており、社会開発・貧困削 減への取組みを重要な柱と位置付けています。本行の海 外経済協力業務においては、これまでも社会開発の促進 に取り組んできましたが、近年の社会開発型案件の増加・ 個別案件における社会配慮の必要性の高まりに伴い、統 合を機に環境社会開発室内に社会開発班を設け、海外経 済協力業務について、より充実した社会的側面への配慮 が行える体制を整えました。 社会開発班においては、社会開発の面で、個々の事業 における社会配慮(ジェンダーや貧困層、少数民族への配 慮等)に関する業務、社会開発型案件(小規模灌漑、初 等・中等教育、地方給水等)の促進、社会開発的側面の配 慮に関する普及・啓蒙活動等を行っています。 具体的取組みとしては、円借款の各案件について、貧困 層・少数民族等、社会的弱者やジェンダーへの配慮および 住民参加への適切な配慮等が行われているかに関してチ ェックを行うほか、特に社会配慮が重要な案件については 現地調査を行っています。また、受益者との接点の大きい 社会開発型案件の場合、案件形成など早い段階で実施さ れる有償資金協力促進調査における社会状況調査への支 援も行っています。 近年、ことに重視されているのが貧困削減への取組み です。開発途上国の貧困削減を達成するには、持続的な 経済・社会開発が不可欠であり、本行はこれまでアジアを 中心とする開発途上国の経済・社会開発に必要な基盤整 備のため、円借款を供与してきています。同時に、貧困削 減には貧困層が直接受益する分野への支援も重要である ことから、地方道路、貧困地域電化、マイクロクレジット、 貧困地域初等教育等の事業により直接的な貧困削減も支 援してきています。 こうした業務に加え、今年度は、途上国の実施機関職員 およびコンサルタントを対象に、社会配慮についての具体 的方法や留意点等の情報をまとめた「社会配慮ハンドブッ ク」(英文版)を作成しました。また、国際社会との協調の 一環として、「マニラ社会フォーラム」「マニラ・マイクロファ イナンスワークショップ(東アジア太平洋地域)」等におい て、本行の社会開発に係る取組みを紹介し、国際社会の 幅広い層と協議・意見交換を行ったほか、DACジェンダー 会合・貧困削減非公式ネットワーク会合等、社会開発や貧 困削減に係る国際会議にも積極的に参加しました。 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 62

(7)

他機関との連携

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業務の効率・効果の一層の向上および幅広い情報交換 を目的として、次のようにさまざまな機関との連携が行わ れています。日本輸出入銀行と海外経済協力基金が統合 し国際協力銀行となったことにより、旧機関がもっていた ノウハウが結集されたことから、他機関との連携において も連携分野が広がり、中身のより深い議論ができるように なったことは大きなメリットです。

国際機関との連携

国際金融秩序の維持、開発途上国への資金協力、開発 政策実施等において重要な役割を果たしているIMF、世界 銀行、アジア開発銀行、米州開発銀行等の国際機関とは、 協調融資をはじめさまざまな連携を図っています。 本行は、アジア通貨危機やグローバルイシュー等への取 組みにおいても国際機関との連携を図ってきました。日頃 から融資対象プロジェクトや借入国の政治経済情勢につい て情報交換を行うとともに、支援方針についての対話を行 う場として、国際機関と定期協議会も行っています。

輸出信用機関との連携

本行は米国輸出入銀行など多くの輸出信用機関との間 で業務協力協定を締結し、貿易拡大、投資促進、プロジェ クトの協調支援などについて協調融資や情報交換を行い、 これらの機関との協調関係を強化しています。 このような国別の相互協力以外に、OECDなどの国際機 関の枠組みを通じての情報交換や相互協力も活発に行っ ています。前述のOECDの輸出信用・保証部会における 輸出信用と環境の議論はその一例です。 また、アジアにおいては、各国の輸出入銀行間の連携 を図ることを目的として「アジア輸銀会合」が毎年開催 されており、本行もこれに積極的に参加しています。昨 年は、第5回会合が10月にインドネシアで開催されまし た。 さらに、開発途上国における輸出入銀行への協力は本 行として注力しているところであり、最近ではインドネシ ア輸出入銀行設立準備のために専門家を派遣しました。

国際協力事業団(JICA)との連携

有償資金協力を担う本行と、技術協力等を担当してい る国際協力事業団(JICA)は、日本のODAをより効率的、 効果的に実施するため、プロジェクト計画の策定・準備・ 実施、完成後の維持管理等の各段階で連携を図っており、 そのパートナーシップを年々強化しています。本行の支援 が単なる資金協力にとどまらず、より包括的な援助が可能 となることが大きなメリットです。 1999年度の主な実績は次の通りです。 プロジェクト策定・準備段階における連携 本行はJICAが開催している国別・分野別援助研究会に 委員として参加し、援助方針等について積極的に意見交 換を行いました。また、JICAが開発調査を行う際、当該調 査の進捗状況や内容を確認するために設置する作業監理 委員会に本行が必要に応じて参加し意見交換を行う「開 発調査との連携」では、フィリピン、バングラデシュ等の委 員会に参加しました。今年度に円借款契約が結ばれたプ ロジェクト型案件75件のうち、JICAの開発調査が行われた ものは13件(17.3%)でした。 円借款による事業の実施を前提として当該事業の詳細 設計(Detailed Design:D/D)部分をJICAが開発調査の一 環により実施する「連携D/D」としては、スリランカの「コロ ンボ上水道改修事業」、ベトナムの「ホーチミン水環境改善 事業」等の4事業が、今年度は行われました。 プロジェクト実施と監理段階における連携 プロジェクトの円滑な実施や監理のため、JICA専門家と 連携して実施体制の改善や人材の育成を支援する「専門 家派遣との連携」においては、36事業に対して長期・短期 を含めて61名の専門家が派遣され、プロジェクトの実施に 必要な技術指導等を行っています。 さらに、 JICAと連携して開発途上国の開発関係機関等 の円借款関係者を対象としたODAローンセミナーを実施し ています。1998年度に、円借款業務のニーズに応じた個 別テーマに関する研修コース4コース(開発金融、電力設備

(2)社会開発

開発の目的は、バランスのとれた経済成長とそれにより もたらされる便益の公正な分配により、国民の生活を向上 させることです。貧困を解消し、基礎的ニーズを満たすた めには、全体の底上げを図る経済成長戦略が必要ですが、 同時に、取り残された社会的弱者層のために、格差の是 正やソーシャル・セーフティー・ネットの整備が重要です。 こうした考えは、本行が1999年12月に発表した「海外経済 協力業務実施方針」に反映されており、社会開発・貧困削 減への取組みを重要な柱と位置付けています。本行の海 外経済協力業務においては、これまでも社会開発の促進 に取り組んできましたが、近年の社会開発型案件の増加・ 個別案件における社会配慮の必要性の高まりに伴い、統 合を機に環境社会開発室内に社会開発班を設け、海外経 済協力業務について、より充実した社会的側面への配慮 が行える体制を整えました。 社会開発班においては、社会開発の面で、個々の事業 における社会配慮(ジェンダーや貧困層、少数民族への配 慮等)に関する業務、社会開発型案件(小規模灌漑、初 等・中等教育、地方給水等)の促進、社会開発的側面の配 慮に関する普及・啓蒙活動等を行っています。 具体的取組みとしては、円借款の各案件について、貧困 層・少数民族等、社会的弱者やジェンダーへの配慮および 住民参加への適切な配慮等が行われているかに関してチ ェックを行うほか、特に社会配慮が重要な案件については 現地調査を行っています。また、受益者との接点の大きい 社会開発型案件の場合、案件形成など早い段階で実施さ れる有償資金協力促進調査における社会状況調査への支 援も行っています。 近年、ことに重視されているのが貧困削減への取組み です。開発途上国の貧困削減を達成するには、持続的な 経済・社会開発が不可欠であり、本行はこれまでアジアを 中心とする開発途上国の経済・社会開発に必要な基盤整 備のため、円借款を供与してきています。同時に、貧困削 減には貧困層が直接受益する分野への支援も重要である ことから、地方道路、貧困地域電化、マイクロクレジット、 貧困地域初等教育等の事業により直接的な貧困削減も支 援してきています。 こうした業務に加え、今年度は、途上国の実施機関職員 およびコンサルタントを対象に、社会配慮についての具体 的方法や留意点等の情報をまとめた「社会配慮ハンドブッ ク」(英文版)を作成しました。また、国際社会との協調の 一環として、「マニラ社会フォーラム」「マニラ・マイクロファ イナンスワークショップ(東アジア太平洋地域)」等におい て、本行の社会開発に係る取組みを紹介し、国際社会の 幅広い層と協議・意見交換を行ったほか、DACジェンダー 会合・貧困削減非公式ネットワーク会合等、社会開発や貧 困削減に係る国際会議にも積極的に参加しました。 08/28第5章 4折分 00.10.4 10:36 AM ページ 62

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中堅・中小企業支援

4

昨今経済のグローバル化が急速に進む中で、わが国企 業にとって取引きや経営の国際化は避けて通れない課題 となっています。企業にとっては、海外進出によって国内 拠点を縮小するのではなく、むしろ国内を含めた事業の 拡張を目指すケースの方が多く、実際に本行融資を利用し た投資案件でも、アジア等への進出を機に、現地の欧米 系企業にも品質を認められ販路が拡大した例などがありま す。企業の円滑な国際化のためには、適切な海外情報と 安定的な資金の提供が重要ですが、特にこの点で十分な 組織力を持たない中堅・中小企業のために、本行は次の ようなきめ細かなサービスを提供しています。

中堅・中小企業支援室の設立

本行では、統合を機に、本店の企業金融部の中に「中 堅・中小企業支援室」を設けました。これは、日本輸出入 銀行の海外投資研究所の下にあった「海外投融資相談室」 を改称して融資担当部の下に移設し、中堅・中小企業に密 接かつ機動的な支援ができることを目指したものです。西 日本の企業には、従来どおり大阪支店が中心となり、中 堅・中小企業支援室等とも連携をとりながら、融資や情報 提供などの面で中堅・中小企業の国際化を支援していま す。

資金調達の支援

本行融資においては従来より、中小企業向けに優遇措 置を適用していますが、最近はこれら企業から、国内資産 の担保余力が十分にないことや、アジア通貨危機を教訓 に現地通貨での借入れを増やしたいとの理由で、現地資 産等を担保に現地で資金調達したいとのニーズが増えて きています。このため本行では、途上国の銀行等を経由 して現地プロジェクトに資金を供給するバンクローンを紹 介し、さらに現地の銀行と企業との交渉をサポートするな ど、さまざまな形で企業の資金調達を応援しています。

他機関との連携

本行は国内には東京と大阪の2 拠点しかなく、本行のサ ービスを多くの中堅・中小企業に利用していただくために は、各地の自治体、中小企業支援機関および金融機関等 との連携が不可欠です。特に最近では、海外拠点を縮 小・撤廃した地方銀行等も多く、これら金融機関から、本 行の海外情報や個別投資相談への期待が高まっています。 このため本行では、各地の貿易情報センターや金融機関 等に本行の投資環境資料を無料で提供しているほか、首 都圏や関西地区をはじめ札幌・仙台・名古屋・広島・福岡 等の各地で投資相談室を開催しています。さらに本行は、 富山県(1999年10月:北東アジア経済交流EXPO)、新潟県 (1999年12月:天然ガスセミナー)、大阪府(2000年2月: IBO塾)、北海道(2000年2月:サハリンビジネスセミナー)で 自治体と連携して講演を行ったほか、名古屋、浜松、大阪、 神戸、川崎の各商工会議所において、海外投資環境に関 する講演会を開催しました。 の効率的運用、新規・非年次円借款供与向け円借款手続 きセミナー、公害対策融資)が新設され、1999年度には57 名の研修員がこれらのコースに参加しました。 完成後の事後監理段階における連携 従来から本行ではJICAとも合同で事後評価を行ってき ており、1998∼1999年度にタイ「東部臨海総合開発評価」 を行いました。 また、完成したプロジェクトのうち、その後の事情変更 等から追加的な手当が必要とされるものについて、JICA が無償資金協力を通じた支援を行うスキーム(リハビリ無 償)が1998年度から強化されました。このリハビリ無償と して1999年度は、インドネシアの「グレシック火力発電所 1・2号機建設事業(第2期)」およびシリアの「バニアス火力 発電所増設事業」の2案件が実施されました。 その他の連携 国際金融等業務も含めた本行全体との連携の例としては、 わが国電力業界の海外事業展開の環境整備を念頭に置き、 電力分野におけるわが国としての技術支援の戦略的展開の 方策を、JICAとの間で協議しています。

NGOとの連携

専門性やノウハウを持ち、地域に密着しているNGOと の情報交換は、住民ニーズに基づいた案件の形成および 効果的・効率的実施の観点等から重要です。本行は、海 外経済協力業務を中心にNGOとの連携を推進していま す。 具体的には、本行主催の検討会等においてNGOの参加 を求め、環境・社会開発に係る取組み等について意見交 換を行っています。また、一般的な情報交換や連携以外 に、個別プロジェクトの形成および実施に関しても、有償 資金協力促進調査(SAF)などを通じてNGOの有する知見 の活用を図っています。 1999年度事例としては、まず、フィリピン「農地改革イン フラ支援事業(Ⅱ)」が挙げられます。本事業では、灌漑施 設、道路施設などのインフラ整備に加え、農民を指導し、 農協等の組織を形成することによって農民の自助努力を 支援しています。農地改革コミュニティの組織化に際して は、地元NGOの協力を得て行っています。NGOは全ての 事業対象コミュニティで活動しており、アドバイザーよりさ らに踏み込んだ役割を果たしています。 直接的な貧困削減支援の一環として行われているスリラ ンカ「貧困緩和マイクロファイナンス事業」では、貧困層の 住民に対し、自助努力の支援を目的として、帳簿のつけ方、 返済計画のたて方などについて、NGOが手とり足とりの 指導を続けて行っています。 島が多く、珊瑚礁が残るエリアをたくさん有するフィリピ ンにおける「北部パラワン持続可能型環境保全事業(Ⅰ)」 では、外貨獲得につながる観光と環境保全の両立を考え た時に、例えば地元の人々は漁業で何をしているのか、そ の漁業は観光化によりどのような影響を受けるか、環境保 全を行うとどのような効果があるか等について、NGOの協 力を得てSAFを行いました。

地方自治体との連携

日本の国際協力は、従来、国レベルで実施されてきまし たが、1990年代に入ってからは地方自治体による活動が 活発化しています。多くの地方自治体は都市基盤整備や 公害対策、都市経営などで豊富な経験とノウハウを持って います。本行は、このような地方自治体とも連携しながら 開発途上国への支援に取り組んでいます。また、国際化 を推進する地方自治体の開催する講演会に講師を派遣す るなどの協力も積極的に行っています。 EPS貼込み用 00.10.4 10:48 AM ページ 1

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中堅・中小企業支援

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昨今経済のグローバル化が急速に進む中で、わが国企 業にとって取引きや経営の国際化は避けて通れない課題 となっています。企業にとっては、海外進出によって国内 拠点を縮小するのではなく、むしろ国内を含めた事業の 拡張を目指すケースの方が多く、実際に本行融資を利用し た投資案件でも、アジア等への進出を機に、現地の欧米 系企業にも品質を認められ販路が拡大した例などがありま す。企業の円滑な国際化のためには、適切な海外情報と 安定的な資金の提供が重要ですが、特にこの点で十分な 組織力を持たない中堅・中小企業のために、本行は次の ようなきめ細かなサービスを提供しています。

中堅・中小企業支援室の設立

本行では、統合を機に、本店の企業金融部の中に「中 堅・中小企業支援室」を設けました。これは、日本輸出入 銀行の海外投資研究所の下にあった「海外投融資相談室」 を改称して融資担当部の下に移設し、中堅・中小企業に密 接かつ機動的な支援ができることを目指したものです。西 日本の企業には、従来どおり大阪支店が中心となり、中 堅・中小企業支援室等とも連携をとりながら、融資や情報 提供などの面で中堅・中小企業の国際化を支援していま す。

資金調達の支援

本行融資においては従来より、中小企業向けに優遇措 置を適用していますが、最近はこれら企業から、国内資産 の担保余力が十分にないことや、アジア通貨危機を教訓 に現地通貨での借入れを増やしたいとの理由で、現地資 産等を担保に現地で資金調達したいとのニーズが増えて きています。このため本行では、途上国の銀行等を経由 して現地プロジェクトに資金を供給するバンクローンを紹 介し、さらに現地の銀行と企業との交渉をサポートするな ど、さまざまな形で企業の資金調達を応援しています。

他機関との連携

本行は国内には東京と大阪の2 拠点しかなく、本行のサ ービスを多くの中堅・中小企業に利用していただくために は、各地の自治体、中小企業支援機関および金融機関等 との連携が不可欠です。特に最近では、海外拠点を縮 小・撤廃した地方銀行等も多く、これら金融機関から、本 行の海外情報や個別投資相談への期待が高まっています。 このため本行では、各地の貿易情報センターや金融機関 等に本行の投資環境資料を無料で提供しているほか、首 都圏や関西地区をはじめ札幌・仙台・名古屋・広島・福岡 等の各地で投資相談室を開催しています。さらに本行は、 富山県(1999年10月:北東アジア経済交流EXPO)、新潟県 (1999年12月:天然ガスセミナー)、大阪府(2000年2月: IBO塾)、北海道(2000年2月:サハリンビジネスセミナー)で 自治体と連携して講演を行ったほか、名古屋、浜松、大阪、 神戸、川崎の各商工会議所において、海外投資環境に関 する講演会を開催しました。 の効率的運用、新規・非年次円借款供与向け円借款手続 きセミナー、公害対策融資)が新設され、1999年度には57 名の研修員がこれらのコースに参加しました。 完成後の事後監理段階における連携 従来から本行ではJICAとも合同で事後評価を行ってき ており、1998∼1999年度にタイ「東部臨海総合開発評価」 を行いました。 また、完成したプロジェクトのうち、その後の事情変更 等から追加的な手当が必要とされるものについて、JICA が無償資金協力を通じた支援を行うスキーム(リハビリ無 償)が1998年度から強化されました。このリハビリ無償と して1999年度は、インドネシアの「グレシック火力発電所 1・2号機建設事業(第2期)」およびシリアの「バニアス火力 発電所増設事業」の2案件が実施されました。 その他の連携 国際金融等業務も含めた本行全体との連携の例としては、 わが国電力業界の海外事業展開の環境整備を念頭に置き、 電力分野におけるわが国としての技術支援の戦略的展開の 方策を、JICAとの間で協議しています。

NGOとの連携

専門性やノウハウを持ち、地域に密着しているNGOと の情報交換は、住民ニーズに基づいた案件の形成および 効果的・効率的実施の観点等から重要です。本行は、海 外経済協力業務を中心にNGOとの連携を推進していま す。 具体的には、本行主催の検討会等においてNGOの参加 を求め、環境・社会開発に係る取組み等について意見交 換を行っています。また、一般的な情報交換や連携以外 に、個別プロジェクトの形成および実施に関しても、有償 資金協力促進調査(SAF)などを通じてNGOの有する知見 の活用を図っています。 1999年度事例としては、まず、フィリピン「農地改革イン フラ支援事業(Ⅱ)」が挙げられます。本事業では、灌漑施 設、道路施設などのインフラ整備に加え、農民を指導し、 農協等の組織を形成することによって農民の自助努力を 支援しています。農地改革コミュニティの組織化に際して は、地元NGOの協力を得て行っています。NGOは全ての 事業対象コミュニティで活動しており、アドバイザーよりさ らに踏み込んだ役割を果たしています。 直接的な貧困削減支援の一環として行われているスリラ ンカ「貧困緩和マイクロファイナンス事業」では、貧困層の 住民に対し、自助努力の支援を目的として、帳簿のつけ方、 返済計画のたて方などについて、NGOが手とり足とりの 指導を続けて行っています。 島が多く、珊瑚礁が残るエリアをたくさん有するフィリピ ンにおける「北部パラワン持続可能型環境保全事業(Ⅰ)」 では、外貨獲得につながる観光と環境保全の両立を考え た時に、例えば地元の人々は漁業で何をしているのか、そ の漁業は観光化によりどのような影響を受けるか、環境保 全を行うとどのような効果があるか等について、NGOの協 力を得てSAFを行いました。

地方自治体との連携

日本の国際協力は、従来、国レベルで実施されてきまし たが、1990年代に入ってからは地方自治体による活動が 活発化しています。多くの地方自治体は都市基盤整備や 公害対策、都市経営などで豊富な経験とノウハウを持って います。本行は、このような地方自治体とも連携しながら 開発途上国への支援に取り組んでいます。また、国際化 を推進する地方自治体の開催する講演会に講師を派遣す るなどの協力も積極的に行っています。 EPS貼込み用 00.10.4 10:48 AM ページ 1

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著者 研究支援部研究情報システム課.

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2006 年 6 月号から台湾以外のデータ源をIMF のInternational Financial Statistics に統一しました。ADB のKey Indicators of Developing Asian and Pacific