自衛隊の将来体制について(1)
平成21年4月24日
防 衛 省
目
次
目
次
安 全 保 障 戦 略 の イ メ ー ジ の 一 例
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
1
「 統 合 的 安 全 保 障 戦 略 」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2
現 大 綱 ( 1 6 大 綱 ) に お け る 我 が 国 の 安 全 保 障 の 基 本 方 針
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
3
1 6 大 綱 ま で の 防 衛 力 の 役 割 の 変 化
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
4
現 大 綱 ( 1 6 大 綱 ) に お け る 防 衛 力 の 役 割
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5
自 衛 隊 の 体 制 の 考 え 方 と 任 務 の 変 化
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
6
自 衛 隊 の 体 制 の 変 化
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
7
戦 略 環 境 と 我 が 国 の 特 性 及 び そ の 課 題
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
8
( 参 考 )
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
1 1
安全保障戦略のイメージの一例
安全保障環境
我が国の特性
安全保障戦略
防衛戦略
防衛力の役割
経済の役割
外交の役割
地理的特性
経済的特性
歴史的経験
周辺安全保障環境
グローバルトレンド
他
国益
・
国家戦略
○安全保障戦略の策定
世界情勢の変化、新たな脅威や多様な事態を考慮した上で、我が国全体として、安全保障
の目標と手段を明示し、今後の方策の優先順位を示した戦略を策定する。この戦略の下で、
防衛計画の大綱が改定され、自衛隊の海外任務の在り方や、有事・緊急事態における自衛隊
の運用をめぐる基本的な方針が策定されねばならない。
防衛省改革会議「報告書」(20.7)より1
「統合的安全保障戦略」:
「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書(16.10)より
統合的安全保障戦略
○
21世紀の複雑な安全保障環境の下で、日本の安全保障を確保するためには、
推進すべき2つの目標
3つのアプローチ
を組み合わせて実現する「統合的安全保障戦略」が必要
① 日本防衛
②
国際的安全保障環境の改善
a
日本自身の努力
b
同盟国との協力
c
国際社会との協力
安全保障戦略における統合性の確保
○
2つの目標の達成に3つのアプローチを組み合わせる安全保障戦略の実践に当たっては、以下のような統合性
を確保することが必要
・
関係省庁の力の結集及び自治体や国民の協力
各構成要素が特定の組織に対応するわけでなく、それぞれの構成要素において、関係省庁の力を結集すること
が必要であり、地方自治体や国民の協力も求めなければならない。
・
6つの活動領域の密接な関連
各構成要素は、独立に存在するものではなく、日本防衛のための自助努力と国際的安全保障環境改善のための
国際社会との協力は、密接に関連する。
・
統合的な意思決定の仕組み
内閣総理大臣のリーダーシップの下、6つの活動領域全てについて日常的に留意・観察し、適切な政策方針を
策定する意思決定の中枢的機能が存在しなければならない。
2
【我が国の安全保障上の課題】
我が国としては、新たな脅威や多様な事態に対応することが求められている
【我が国の特性(安全保障上の考慮要素)】 【安全保障の基本方針】 【我が国自身の努力】(基本的な考え方)(国としての統合的な対応)(我が国の防衛力) 【同盟国との協力】(日米安全保障体制) 【国際社会との協力】○
国際的な安全保障環境を改善し、我が国の繁栄の確保に資するため、
政府開発援助(ODA)の戦略的な活用を含め外交活動を積極的に推
進
○
国際社会の平和と安定は、我が国の平和と安全に密接に関わる問題
であるとの認識の下、国際平和協力活動を外交と一体の物として主体
的・積極的に実施
○
21世紀の新たな諸課題に国際社会が有効に対処するため、国連の
機構を実効性と信頼性を高める形での改革に、我が国としても積極的
に取り組む
○
アジア太平洋地域においては、ARF等の多国間の取組や、テロ対
策・海賊対策等共通の課題に対する多国間の努力を引き続き推進し、
米国との協力と相まって、この地域における安定した安全保障環境の
構築に向け、適切な役割を果たす
○ 我が国の安全保障の目標 ① 我が国への脅威の防止と排除 ② 国際的な安全保障環境の改善 ○ 達成の手段 ・我が国自身の努力 ・同盟国との協力 ・国際社会との協力 を統合的に組み合わせ目標を達成 ○ 憲法の下、基本方針を堅持 ・専守防衛に徹する ・軍事大国とならない ・文民統制の確保 ・非核三原則を守る ・節度ある防衛力の整備現大綱(16大綱)における我が国の安全保障の基本方針
3
16大綱までの防衛力の役割の変化
防衛力の構想(我が国の防衛)
51大綱
我が国の防衛
大規模災害等各種事態へ
の対応
07大綱
より安定した安全保障環
境構築への貢献
国際的な安全保障環境の改善
のための主体的・積極的な取組
16大綱
新たな脅威や多様な事態
への実効的な対応
本格的な侵略事態への備
え
3つの役割及び5つの事態への対応について、優先順位は必ずしも明確ではない
。
4
・「基盤的防衛力構想」の有効な部
分は継承
・「本格的な侵略事態への備え」に
ついては、最も基盤的な部分を確保
・下記のようにミッションを具体化
・本来任務化をにらんで、より積極
的な位置づけ
現大綱(16大綱)における防衛力の役割
○
即応性・機動性を備えた部隊を地理的特性等に応じて編成・配置し、新たな脅威や多様な事態
新たな脅威や多様な事態に実効的に対応
○
事態が発生した場合は、迅速・適切に行動し、警察等と円滑・緊密に協力し、切れ目のない対応に努める
①
弾道ミサイル攻撃への対応
②
ゲリラや特殊部隊による攻撃等への対応
③
島嶼部に対する侵略への対応
④
周辺海空域の警戒監視及び領空侵犯対処や武装工作船等への対応
⑤
大規模・特殊災害等への対応
○
我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下していると判断されるため、本格的な侵略事態に備えた装備・
要員について抜本的な見直しを行い、縮減を図る
○
同時に、防衛力の本来の役割が本格的な侵略事態への対処であり、その整備が短期間になし得ないことに鑑み、最も
基盤的な部分を確保
○
国際平和協力活動に適切に取り組むため、教育訓練体制、所要の部隊の待機態勢、輸送能力等を整備
○
自衛隊の任務における同活動の適切な位置付けを含め所要の体制を整備
○
安全保障対話・防衛交流の推進、軍備管理・軍縮分野の諸活動への協力
1 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応
2 本格的な侵略事態への備え
3 国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取組
(参考)
5
07大綱
○人員・装備規模のコンパクト化
○機能の充実と質的な向上
○適切な弾力性の確保
任務
国土防衛 治安維持 災害派遣 国際緊急援助活動 PKO・人道支援 拡大 日米物品役務相互提供協定(ACSA) 在外邦人等輸送 周辺事態安全確保法 警護出動 テロ特措法に基づく活動 災害派遣の権限強化(自主派遣、警察・消防官との同等の権限) (米軍基地等) 国民保護法 (避難誘導等) 凍結解除 情報収集、テロ・ゲリラへの対応権限 弾道ミサイル対処 イラク特措法に 基づく活動 国際平和協力活動等 の本来任務化自衛隊の体制の考え方と任務の変化
51大綱
○各種の機能の保持
○十分な警戒態勢
○円滑なエクスパンド
16大綱
○本格侵略に備えた装備・要員
の縮減
○即応性、機動性、柔軟性、多目
的性の保持
51大綱
07大綱
16大綱
6
自衛隊の体制の変化
陸
自
海
自
空
自
・編成定数
15.5万人
常備自衛官定員 14.8万人 即応予備自衛官員数 0.7万人・戦車
約600両
・主要特科装備
約600門/両
・編成定数
16.0万人
常備自衛官定員 14.5万人 即応予備自衛官員数 1.5万人・戦車
約900両
・主要特科装備
約900門/両
・護衛艦
47隻
・潜水艦16隻
・作戦用航空機
約150機
・護衛艦約50隻
・潜水艦16隻
・作戦用航空機約170機
・作戦用航空機
約350機
・うち戦闘機
約260機
・作戦用航空機
約400機
・うち戦闘機
約300機
07大綱
16大綱
弾道ミサイル防衛にも使用
し得る主要装備・基幹部隊
イージス搭載護衛艦
4隻
地対空誘導弾部隊
3個群
航空警戒管制部隊
7個群、4個隊
17中期防(H17~H21)完成時勢力
・編成定数
16.0万人
常備自衛官定員 15.2万人 即応予備自衛官員数 0.8万人・戦車
約800両
・主要特科装備
約800門/両
・護衛艦47隻
・潜水艦16隻
・作戦用航空機約160機
・作戦用航空機
約340機
・うち戦闘機
約260機
イージス搭載護衛艦
4隻
地対空誘導弾部隊
3個群
航空警戒管制部隊
7個群、4個隊
7
戦略環境と我が国の特性及びその課題①
グローバルトレンド
○
グローバリゼーション
→
進行する見込み
○
エネルギー、資源、食糧等の需給ギャップ
→
拡大するおそれ
○
米国の影響力の変化を受けた新たな国際秩序
→
協調的となるか、競合的となるか。
○
テロや海賊行為、大量破壊兵器等の拡散、地域紛争
→
継続するおそれ
○
自然災害・感染症
→
深刻化するおそれ
○
中国やインドといった大国の国力が向上し、
米国の影響力が変化
していく中で、我が国にとって望
ましい国際秩序の構築。
○
グローバリゼーションの進行等に伴い、
遠隔地の地域紛争等の不安定化等が我が国の安全保障に影
響
を与え得る中で、我が国の安全を担保するための方策。
○
気候変動の進行や資源・エネルギー等の需給ギャップ拡大
が安全保障に影響を与え得ることへの対
処。
○
大規模な自然災害や感染症の拡大
が、国家の統治能力を低下させ不安定化につながり得ることへの
対応。
○
テロや海賊といった非国家主体からの脅威
に対し、国際社会では各国が対処の努力を続けている中
で、我が国が果たすべき役割。
課題
8
周辺安全保障環境
○
米国との二国間の同盟・友好関係による安定の維持。
○
強力な多国間協力の枠組みは未形成なるも、地域の協力・連携はゆるやかに進展。
○
政治・軍事・経済のいずれにおいても存在感を増す中国。
○
回復基調にある国力に応じた軍事力の近代化を推進するロシア。
○
深刻な経済困難にかかわらず軍事面に資源を重点配分する北朝鮮。
○
中国やロシアといった
周辺国の軍事力の近代化や活動の活発化
が我が国の安全保障に与える影響
の評価と対応。
○
北朝鮮の
弾道ミサイルや大量破壊兵器、特殊部隊
への対処。
○
領土問題や統一問題が依然として未解決
のまま存在することへの対応。
○
東アジア地域における
安全保障協力の推進
。
課題
戦略環境と我が国の特性及びその課題②
9
我が国の特性
○
縦深性に乏しく、情報通信等のインフラに依存する脆弱な都市化が進行。災害の多発。
○
経済力は相対的に低下する見込み。エネルギー・食糧等の高い海外依存率。
○
国際協力等による国際社会からの高い評価。近隣諸国とは歴史問題等が継続。
○
第二次大戦の経験による抑制的な防衛政策。米軍に依存する抑止力等あり。
○
我が国の
経済力が相対的に低下
する中で、
国際社会における影響力を確保
し、
安全保障を全うし
ていく方策
。
○
食糧やエネルギーの多くを
海上輸送に依存する我が国として、海上交通の安定を確保
するための
方法。
○
安全保障問題に取り組むにあたっての
日米同盟の位置づけ、役割、米国の影響力の変化
の考え方。
○
安全保障問題が多様化し、外交、防衛当局のみでは問題に対処することが出来ない状況がある中、
政府全体で効果的に施策を連携
させるための方策。
課題
戦略環境と我が国の特性及びその課題③
10
諸外国における軍事力の意義・役割の趨勢
【参考】大綱の記述
¾
国際社会における軍事力の役割は多様化しており、武力紛争の抑止・対処に加え、紛争の予防から復興支援に至る
まで多様な場面で積極的に活用されている。
¾
国際社会における軍事力の役割は多様化しており、武力紛争の抑止・対処に加え、紛争の予防から復興支援に至る
まで多様な場面で積極的に活用されている。
・ 今後の防衛力については、・・・「基盤的防衛力構想」の有効な部分は継承しつつ、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応し得る ものとする必要がある。また、・・・国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動・・・に主体的かつ積極的に 取り組み得るものとする必要がある。このように防衛力の果すべき役割が多様化している・・・ ・ 防衛力の本来の役割が本格的な侵略事態への対処であり・・・ ○ グローバリゼーション・相互依存関係の深化 ○ 大量破壊兵器等の拡散 ○ 非国家主体によるテロ・各種不法行為の発生 ○ 未解決の民族・宗教・領土問題の残存 ○ 新興大国の台頭、米国の影響力の相対的低下 ○ 自然災害の頻発、規模拡大 ○ 気候変動、資源・食糧問題、破綻国家、活発化す る過激主義等の新たな問題の登場 ○ 軍事科学技術の発展、産業化・情報化の進展 主要国間で軍事力の行使による問題解決は一層困難化 一方、軍事力が行使された事例は後を絶たず、「量と質」の 圧倒的優位により彼我の人的・物的被害を極小化しつつ、一定 の目的の達成を図る傾向。 従来非軍事的とされてきた分野(紛争予防、海賊対処、拡散 対抗、災害救助等)における軍事力の活用場面が増大し、かか る場面で国際協力・連携も進展 外交や警察・司法等と連携した総合的対応の必要性増大 適切な軍事力の保持は対外政策の支えとなり得る軍事力の意義・役割に影響を与える要素
軍事力の意義・役割に影響を与える要素
軍事力の意義・役割への影響
軍事力の意義・役割への影響
11
(参考)
1.全般
○2006年3月16日発表
2.主要内容
(注)○米国の政策:
各国の
民主化の支援
、
圧政の終焉
という最終目標の実現。
○人間の尊厳追求の擁護:
圧政の終焉と民主主義の推進に向けた国際的取組みの主
導により、世界中に自由を拡大
○テロリズム打破等のための取組:
短期的にはテロリストの殺害・拘束等の軍事作戦を
実施、長期的には
思想上の闘い(battle of ideas)での勝利が必要
。
短期的な対策としては、①テロ攻撃の未然防止、②ならず者国家及
びテロリストによる大量破壊兵器の入手阻止、③ならず者国家による
テロ・グループの支援・聖域提供の阻止、④攻撃拠点となり得る特定
国家に対するテロリストによるコントロール阻止。
○地域紛争緩和のための協調:
①紛争の未然防止、②紛争介入、③紛争後の安定化・
復興、④大量殺戮に対する取組、を実施。
○大量破壊兵器による脅迫の防止:
①核拡散:核分裂物資の管理に重点、②生物兵器
による攻撃の探知等に重点、③化学兵器の取得を目論むテロリスト
の特定等、④行動の必要性(拡散への対処は、主要な同盟国との協
調に基づく外交が望ましいものの、
必要に応じて、攻撃発生前に実力
行使することは排除されず
。
○主要な国家との協調行動:
主要国の政策形成に影響力を及ぼすとともに、好ましくな
い状況へのヘッジも不可欠。
必要に応じて単独で行動することも必要であるが、
同盟国等との協
力なしで実現できる重要なことはほとんどない
と認識。
中国は、責任ある利害関係者(responsible stakeholder)として行動し
なくてはならない
。
○国家安全保障組織の変革
○グローバル化に伴う課題への対応:
貿易、投資、情報等の流れは、安全保障を変化。
感染症、麻薬不法取引、人身売買、環境破壊、大規模災害といった課
題を放置すれば、安全保障にも悪影響のおそれ。
2006年国家安全保障戦略(NSS)の概要
2006年国家安全保障戦略(NSS)の概要
(注)構 成 1 国家安全保障戦略の概観 2 人間の尊厳の追求の擁護 3 グローバル・テロリズムを打破するための 取組 4 地域紛争緩和のための協調 5 大量破壊兵器による脅迫の防止 6 グローバルな経済成長という新時代の開始 7 社会の開放と民主主義のインフラ構築によ る開発の環の拡大 8 主要な国家との協調行動 9 21世紀の課題等に対処するための国家安 全保障組織の変革 10 グローバル化に伴う課題への対応12
(参考)
2008年国家防衛戦略(NDS)の概要
2008年国家防衛戦略(NDS)の概要
(注2) 構成(目次) 1戦略環境 2戦略枠組み ・目 標 :本土防衛、長い戦争の勝利、 安全保障の促進、紛争の抑止、 国家の戦争の勝利 ・目標達成:主要国の選択肢形成、敵の WMD取得等の防止、同盟 及びパートナーシップの強化 拡大、米国の戦略的関与の 確保等、努力の統一 3国防省の能力及び手段 4 リスク・マネージメント 5 結 論 国家安全保障戦略(06年) 国家防衛戦略(08年) 国家軍事戦略 (策定中) QDR (06年) 10年 改訂予定 (注1)米国の国防戦略体系1 全 般
○ 2008年7月31日、米国防省は国家防衛戦略を公表。国家防衛戦略の公表は2回目
(前回:
05年3月)
○ 国家防衛戦略は、国家安全保障戦略(06年発表)の目標と米国防省の活動・任務をつなぐ
ものとして、米国防長官が示すもの
(注1)。
○ 06QDRのコンセプトを反映し、イラクやアフガンでの教訓を取り入れたもの。
非正規戦と通
常戦対処能力のバランス
を図ることを重視
2 主要内容
(注2)○ 戦略環境:見通しうる将来、
過激主義との世界的な闘い
により定義。他の脅威としては、①
非正規的挑戦、②ならず者国家(北朝鮮、イラン)による核兵器の追求、③他国(中国、ロシ
ア)の軍事力増強
○ 目標:①本土防衛、②過激主義者との「長い戦争(The Long War)」での勝利、③安
全保障の促進(中露の協力関係の構築)、④紛争の抑止、⑤戦争における勝利(ならず者国
家への対応)
○ 目標達成の方策
・主要国(中国、ロシア及びインド)の選択肢を形成 ・敵対者による大量破壊兵器の取得・使用を防止 ・同盟及びパートナーシップの強化拡大 ・戦略的アクセスの確保と行動の自由を保持 ・現在及び将来の課題には軍だけでの対応困難。国防省の文官、軍需産業、その他の関係省庁、州政府 及 び国際社会による「新たな統合」が必要3
05NDSとの主要な相違
○ 戦略環境:4つの脅威(伝統・非正規・混乱・破滅型)→当面の脅威として、過激主義との闘い
を中心に位置づけ
○ 軍事力のみならず、
ソフトパワーの活用
により対応
○ 中国・ロシアへの言及:隆興する国家に対する複合的な対応の必要性
○ 新たなリスク・課題への対応のため
「新たな統合」が必要
13
(参考)
○ 主導原則
①根本的価値(人権、法の支配等)に基づいたアプローチ
②危険、目標、能力に対する冷静な判断
③課題に対する迅速な対応
④海外:国連、EU、NATO等の枠組みを通じた多角的アプローチ
⑤国内:政府機関を超えた広範なパートナーシップ・アプローチ
⑥政府内:より統合されたアプローチ
⑦強力で、均衡が取れ、柔軟な能力の維持
⑧安全保障強化のための投資、学習、改善の継続
「英国の国家安全保障戦略
- 相互依存世界における安全保障-」
英国国家安全保障戦略(2008)の概要
英国国家安全保障戦略(2008)の概要
○
安全保障上の課題
①と②は相互に依存
①脅威と危険
テロ、大量破壊兵器、国境を越えた組織犯罪、地球規模の不安定・紛争・破綻国家・脆弱国家、市
民社会における緊急事態、国家主導の脅威
②不安定要因
ルールに基づく国際システムへの挑戦、気候変動、エネルギー獲得競争、貧困・格差・統治不全、
グローバル化
14
(参考)
主要国における軍事力の意義・役割①
米 英 仏
National Defense Strategy(2008) (National Military Strategy (2004))
Delivering Security in a Changing World (2003) National Security Strategy of the UK(2008)
White Paper on Defence and national Security(2008)
【任務(National Military Objectives; NMS04)】
○米国の防護(前方における脅威への対処、 本土防衛、米国への戦略的接近経路の防護、 対テロリズム環境の醸成) ○紛争と奇襲の防止(前方展開、安全保障環 境の促進、侵略の抑止、奇襲の防止) ○敵性勢力に対する勝利(敵性勢力の迅速な 打破、決定的な勝利、安定化作戦) 【軍事的任務(Military Tasks)】 ○常続戦略任務(戦略情報、核抑止、地理・ 気象) ○常続国内任務(民生支援、北アイルランド 当局支援、領海・領空警備、儀典・要人輸 送) ○常続海外任務(海外領土防衛、キプロス基 地防衛、防衛外交・同盟・広範な国益支援) ○臨時海外作戦(人道支援・災害救援、在外 国民避難、平和維持、平和執行、戦力投射、 集中的介入、計画的介入)
【国防の5大戦略(Five Strategic Functions)】
○情勢認識・予測(組織改革、人的資源の充 実、技術分野への投資) ○予防(省庁横断監視・早期警戒態勢確立、 防衛・安保協力の再検討、軍備管理・拡散対 抗・大規模災害対策等) ○核抑止(核戦略・核戦力) ○国民及び国土の防護(核・生物・化学兵器 対応能力強化、サイバー攻撃対策、弾道ミサ イル防護、警報・情報提供等) ○国外における介入(海外派遣能力の確立) 【5つの主たる目標(five key objectives)】
○本土防衛(能動的多層防衛、大規模自然・ 人為的災害等の緊急事態における民生支援 等) ○「長い戦争」での勝利(暴力的過激主義と の闘い) ○安全保障の促進(広範なパートナーの能力 の構築) ○紛争の抑止(国際安全保障への広範な挑戦 に対抗する軍事力誇示に基盤を置く)
○国家の戦争(our nation’s war)に勝利(通 常型、非正規型、直接または非直接型という 複合能力を使って敵を打倒する準備、最新の 通常戦力の維持) 【目標(Defence Aim)】 ○対テロリズムを含め、英国民及び海外領土 への安全の提供並びに国際的平和と安定を強 化するための力の行使 【安全保障上の課題(Security Challenge)】
(National Security Strategy of the UK) ○脅威と危険-テロ、大量破壊兵器、国境を 越えた組織犯罪、地球規模の不安定・紛争・ 破綻国家・脆弱国家、市民社会における緊急 事態、国家主導の脅威 ○不安定要因-ルールに基づく国際システム への挑戦、気候変動、エネルギー獲得競争、 貧困・格差・統治不全、グローバル化 【国家安全保障戦略の目的】 ○国民と国土の防衛 ○欧州及び国際安全保障への貢献 ○仏国民と州を結束させる共和国の価値(自 由、尊厳、連帯及び正義を含む民主主義の原 則)の防衛
15
(参考)
主要国における軍事力の意義・役割②
独 加 豪
White Paper 2006 on German Security Policy and the Future of the Bundeswehr
CANADA FIRST Defence Strategy(2008) Defence 2000-Our Future Defence force
(Australia’s National Security- A Defence Update 2007)
【ドイツ軍の任務(Bundeswehr tasks)】 ○国際テロとの闘いを含む国際紛争の予防と 危機管理(予見しうる将来において最も発生 する蓋然性が高い) ○同盟国支援 ○国土及び国民の防衛 ○捜索救難と在外国民避難 ○パートナーシップ及び協力(軍事任務、紛争予 防・処理、復興支援、軍備管理等) ○付随的支援(官庁間協力、自然災害及び重 大事故の際の支援)
【役割(Roles of the Canadian Forces)】 ○カナダの防衛(領土、領空及び極北域を含 む海域への接近の監視、文民組織の支援、主 要行事の支援) ○北米の防衛(米国との協力の下でのNOR ADを通じた北米の防衛) ○国際的平和安全保障への貢献(国際社会の 安全保障上の課題への関与、国際的指導力の 発揮、国連・NATO等への支援・参加)
【豪軍の戦略任務(Strategic Tasks for the ADF)(2000)】 ○豪州の本土防衛(自主防衛) ○近隣諸国の安全への貢献 ○近隣諸国以遠の危機対処のための国際的コ アリッションへの貢献 ○平時任務としての沿岸警戒監視、緊急事態 対処、民生支援
【目標(Values, Interests and Goals)】
○正義と自由を維持し、ドイツの民主主義、 国民の繁栄を危険から守る ○ドイツの領域を保全し独立を守る ○ドイツの安全に影響を及ぼしうる地域の対 立や危機を回避し、可能な場合には危機の収 束を支援 ○国際テロや大量破壊兵器の拡散がもたらす 脅威に対峙 ○人権と国際法に基づく国際秩序を保持する ことを支援 ○我々の繁栄の基礎である自由な障壁のない 世界貿易体制の実現の促進により、国家間の 貧富の差を克服する
【6つの主要任務(six core missions)】 ○極北域における活動を含め、NORADを 通じ平素から国内及び大陸での任務を遂行 ○2010年五輪を始め、国内の主要な国際 行事を支援 ○重大なテロ攻撃への対処 ○自然災害といった国内の危機に関し、文民 当局を支援 ○重要な国際活動を長期に亘り、指揮・実施 ○世界のその他の危機に対処するため、短期 間、部隊を派遣
【戦略目標(Strategic Interests and Objectives
(2000))】 ○豪州とその接近経路の防衛 ○近隣諸国の安全の強化 ○東南アジアにおける安定と協力を促進 ○アジア・太平洋地域の安定維持に寄与 ○グローバルな安全維持に寄与するための国 連等の活動に貢献
【安全保障上の主要な懸念(major concerns for Australian Security(2007))】 ○グローバルテロ ○大量破壊兵器 ○脆弱国家(fragile state)
16
(参考)
中 露 韓 2008年中国の国防 ロシア連邦軍整備の緊急課題 (2003) 国防白書2008 新世紀の新段階における中国の国防政策 の基本的な内容は、 ○国家の安全と統一を擁護し、国家の発 展利益を保障すること ○国防と軍隊建設の全面的、協調的、持 続可能な発展を実現すること ○情報化を主要な基準とした軍隊の質的 建設を強化すること ○積極防御の軍事戦略方針(※)を貫徹 すること ○自衛防御の核戦略を堅持すること ○国家の平和的発展にとって有利な安全 保障環境を醸成すること である。 ※「積極防御の軍事戦略方針」は、テロ 対策による安定維持、緊急救援及び国際 平和維持の任務を遂行する能力を向上さ せることを含む。 ロシア連邦軍の任務 ○ロシア連邦の安全又は利益に対する軍 事的、軍事・政治的脅威の抑止(戦闘即 応態勢、動員準備態勢の維持等) ○ロシア連邦の経済的・政治的利益の確 保(ロシアの領海、大陸棚及び排他的経 済水域並びに外洋におけるロシアの国益 の擁護等) ○平時における力による作戦の実施(国 際テロとの戦い並びに政治的過激主義及 び分離主義との戦い並びに破壊活動及び テロ行為の予防及び阻止、戦略抑止能力 の使用準備態勢の維持及び使用等) ○軍事力の行使(武力紛争、局地戦争、 地域戦争、大規模戦争) 国防目標 ○外部の軍事的脅威と侵略から国家を保 衛(北朝鮮の軍事的脅威のほか、将来の 潜在的脅威にも備えねばならない。北朝 鮮の通常戦力、核・ミサイル等の大量破 壊兵器の開発と増強、軍事力の前方配置 等は直接的で深刻な脅威) ○平和統一を後押し(朝鮮半島における 戦争を抑止し、軍事的緊張緩和と平和定 着を実現することにより、平和的統一に 寄与) ○地域の安定と世界平和に寄与(韓国の 国力と国防力量を基に、周辺国と軍事的 友好協力関係をより増進させ、国際平和 維持活動等に積極的に参加することで、 北東アジア地域の安定と世界平和に寄 与)