ロコモティブシンドロームを中心とした運動器の健康
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(2) 810. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 図 ロココチェックの該当項目数とロコチェックの関連(未発表データ). や講習会などでは,スクワット,片脚立ちにかかと上げを追加. 害や運動機能低下を早期に予防する段階として有用な方法であ. した 3 種類のロコトレとウォーキングを指導している。石橋ら. る。本稿で述べたこと以外にも,気づきにくい骨粗鬆症に対す. が行った先行研究では,地域在住高齢者 172 人に対してロコト. る予防活動や高齢者の骨折と再骨折に対する対策など運動器障. レ指導を行い,2 ヵ月間,自宅でのロコトレを行った。その結. 害に関して取り組む課題は山積みである。今後はこれらの課題. 果,膝伸展筋力,足趾把持力,片脚立ち時間,歩行速度など. に対して,「ロコモ」という旗のもと,全国民的に運動器の健. の運動機能が有意に改善することを報告した。さらに我々は. 康増進,健康寿命の延伸に取り組んで行くべきである。. 2014 年に埼玉県伊奈町において,地域在住中高年者 340 人を 対象にしたロコトレの無作為化比較対照試験を実施した。その 結果,ロコトレを実施した群はコントロール群に比べて,片脚 立ち時間や最大歩行速度などの運動機能が有意に改善した(未 発表データ)。以上のことから,ロコトレは高齢者の運動機能 の向上に有用なトレーニングであるといえる。 現在の日本は高齢人口が増加し,個々の高齢者のライフスタ イルや生活機能は多様なものとなっている。そのため中高年の 運動器の予防を考える際には,その多様なライフスタイルや生 活機能に合わせた様々な予防活動があるべきである。これまで 介護予防の分野では特定高齢者に対する運動器の機能向上プロ グラム,一次予防としての地域の介護予防ボランティア育成や 自主グループ活動など様々なことが行われてきた。そのような 中で,ロコトレは自分で自宅でもできるプログラムとして中高 年からの健康増進や生活機能が低下しはじめた高齢者の一次予 防に対して有用であると考えられる。. おわりに 高齢化に伴い,急増する運動器疾患に対応するためには, 様々な対策が必要である。本稿ではロコモにいち早く気づく ためのチェック方法であるロコモ度テストとロコチェック,ま たその対策としてのロコトレを紹介した。これらは運動器の障. 文 献 1) 厚生労働省ホームページ:平成 25 年度国民生活基礎調査の概況. http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/ (2015 年 6 月 29 日引用) 2) Yoshimura N, Muraki S, et al.: Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. J Bone Miner Metab. 2009; 27: 620–628. 3) Nakamura K: A “ super-aged” society and the “ locomotive syndrome”. J Orthop Sci. 2008; 13: 1–2. 4) 村永信吾:立ち上がり動作を用いた下肢筋力評価とその臨床応用. 昭和医学会雑誌.2001; 61: 362–367. 5) 村永信吾,平野 清:2 ステップテストを用いた簡便な歩行能力推 定法の開発.昭和医学会雑誌.2003; 63: 301–308. 6) Seichi A, Hoshino Y, et al.: Development of a screening tool for risk of locomotive syndrome in the elderly: the 25-question Geriatric Locomotive Function Scale. Journal of Orthopaedic Science. 2012; 17: 163–172. 7) 日本整形外科学会ホームページ:ロコモ度を判定する「臨床判断 値」を発表.https://www.joa.or.jp/jp/media/comment/pdf/20150515_ locomo_clinical_judgment.pdf(2015 年 6 月 29 日引用) 8) 石橋英明:ロコモティブシンドローム 運動器科学の新時代,ロコ モティブシンドローム ロコチェックの運動機能低下の予見性と ロコトレの運動機能改善効果.医学のあゆみ.2011; 236: 353–359. 9) 石橋英明,藤田博暁,他:ロコモティブシンドロームの実証デー タの蓄積 高齢者におけるロコモーションチェックの運動機能予 見性およびロコモーショントレーニングの運動機能増強効果の検 証.運動器リハビリテーション.2013; 24: 77–81..
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