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⑶障がい者の新しい住まい

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Academic year: 2021

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(1)2.自立支援と共生の住まい. ⑶障がい者の新しい住まい. New Residence to Handicapped Person 丁 志映. JUNG Iyoung. 千葉大学大学院工学研究科. Graduate School of Engineering, Chiba University. もうひとつの住まい方推進協議会. Alternative Housing & Living Association. 1.障がい者の新しい住まい 障がい者の暮らしは、国の福祉政策の影響を受けやすい。特 に、2006年に施行された「障がい者自立支援法」は、障がい 者の自立を促すべく就労支援の充実等をはかるものであった が、福祉サービス費の自己負担を10%に引き上げる内容を含 んでいたため、障がい者と介護する家族の生活を逼迫させると. 合わせて、建築士だけではなく、理学・作業療法士やケアマ ネージャーなどが協力して適切な住宅改造を行うことの必要が 指摘されるようになっている。 . 3.グループホームの拡充が求められている 障がい者の多くは自宅で親や家族と暮らしている。しかし、. して社会的批判を浴びることになった。これを受けて、2012. その親も高齢化が進み「親亡き後」が問題となりつつある。そ. 年に法律が改正され「障がい者総合支援法」が成立した。. の受け皿となる住まいとしては、介護付きのケアホームと、日. そこでは、障がいの有無や程度にかかわらず、誰もが尊厳を. 常生活援助を行うグループホームがある。これら施設は、知. もって地域で普通に暮らせる社会の実現が目標とされている。. 的・精神障がい者を対象とするものであったが、2009年度か. このような理念の下に、その住まいのあり方が改めて注目され. らは身体障がい者も対象となっている。. ている。もちろん、障がい者といっても、身体、知的、精神の. また、2014年度から、ケアホームはグループホームに一元. 違いがあり、さらに、障がい者総合支援法では新たに難病者が. 化されることになった。その理由は、介護サービスが必要な入. 加わっている。その各々で住まいあり方は異なる。. 居者と不要な者が混在することが多く、両施設を別制度とする ことの弊害がみられるためである。加えて、介護サービスを施. 2.バリアフリー化は個人差に配慮 在宅生活を円滑に営むための住宅のバリアフリー化は、おも に身体障がい者(身体が劣えた高齢者を含む)を対象としてい. 設側で整備するのではなく、地域にある外部サービスによって 適宜提供すること、つまり、障がい者を地域で支えるという理 念からも両施設の統合は望ましいといえる。. る。バリアフリー化では、床の段差解消や手すりの設置等が重. 今後は、グループホームの拡充がますます重要になるであろ. 視されるが、その意義は転倒防止などの安全確保にとどまらな. う。そのためには、空き家の活用が求められる。また、「サテ. い。例えば、寝たきりであった高齢者が、手すりとスロープを. ライト型」と呼ばれ、拠点となるグループホームの周辺住宅を. 適切に設置することで自力で室内を歩けるようになり、生き生. 「離れ」として位置づける方式も導入された(2014年度より. きとした暮らしを回復したという例がある。つまり、人間とし. 施行)。このような新しい工夫を取り込みつつ、地域で障がい. ての尊厳につながっている。. 者が普通に暮らせる住まいの発展が期待されよう。. 政策上も、高齢化社会の進展を背景として、バリアフリー化 の推進がはかられている。とはいえ、身体障がいは個人によっ て千差万別である。このため、段差解消といった一律のバリア フリー化への疑問も根強い。近年では、障がい者の個別条件に. 図 知的障害者の同居者と生活の場(現在・将来). 58. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. 4.障がい者が主体的に運営するコープ住宅 今後に向けて、筆者が感銘を受けた海外事例を紹介したい。 カナダのコープ住宅、スタンレー・ノーブル・ストロングであ.

(2) る。このコープ住宅は、施設暮らしをしていた重度身体障がい. かけて、「親」や「兄弟姉妹」、「施設」という意見が減り、逆. 者7人が中心となって設立したもので、建物の2階と3階を健. に、「夫婦」、「友達など」という意見が増えている。つまり、. 常者の住まいとし、4階を障がい者の住まいとしてヘルパーを. 今後は、健常者と区別することなく普通に暮らせる住まいが求. 共同雇用している。. められている。. 最大の特徴は、重度障がい者がコープ住宅の運営の中心を. その具体例として、知的障がい者と健常者とのシェア居住に. 担っていることである。入退去の管理、集会議事録作成、緑化. 注目したい。筆者らの調査結果によると、シェア居住のメリッ. 活動などを行っている。彼らは、それまでは施設で受け身の暮. トとして経済性以外に、他人との共同生活による「楽しさ」や. らしであった。しかし、この住まいでは主体的に暮らし社会的. 「安心感」、「人間同士の触れ合いのよさ」、「自己啓発」等が評. 役割がある。そのことが生き甲斐となり、人間としての尊厳の. 価されている。今後、障がい者の地域移行を進めていく中で、. 回復につながっている。日本でも参考になろう。. シェア居住は選択肢の一つになる可能性があると考えられる。 また、高齢者と知的障がい者を含む多世代が暮らす福祉型共. 5.知的障がい者と健常者が一緒に暮らす住まい. 生住宅として「ノアヒューセット」の事例を紹介する。. 厚生労働省の『平成17年度知的障がい児(者)の基礎調査』 によると、知的障がい児(者)数の約86%の人が自分の家やア パートで生活している。また18歳以上でみると、 「グループホー ム」が平成12年調査から3.5ポイント(5.4%→8.9%)増えてい る。このように、現在の知的・精神障がい者は、家族や世話人と 暮らし、それ以外の健常者と生活する機会は少ない(前頁の図) しかし、将来の希望をみると、2000年度から2005年度に. スタンレーノーブル・ストロング. 同左を設立した障がい者. 高齢者・健常者との多世代住宅―介護・交流施設との複合 . ノア ヒューセット. 所在地:神奈川県横浜市 建設組合:みんなの家・センター北 建設方式:コーポラティブ方式(地下1階、地上5階建て)建設年度:2006 住 戸数:7戸(45㎡、65㎡の2タイプ) 敷地面積:168㎡ 延床面積:804㎡ 建物内施設:グループホーム、居宅介護支援センター、NPO 法人 みんなの家事務所兼交流室. コーポラティブ方式で建設 「ノア ヒューセット」は、障がい児を持つ主婦の人々が、 子女と共に老後も安心して住む目的で、コーポラティブ方式で 造った事例である。建物は、地下1階、地上2階建てとなって おり、個人住宅のほか、1階と5階にグループホーム、居宅 介護支援センター、地下には NPO 法人みんなの家の活動拠点 として交流室が設けられており、NPO の事務所も兼ねている。 また、管理組合の会議等でも地下1階は使用されている。な お、地下1階と5階は NPO が所有している。 障がい者と健常者が暮らす福祉型共生住宅であり、障がい児 の溜まり場、市民とのふれあい、地域への情報発信等さまざま な機能を持った場となっている。(文責 丁 志映). 外観. 寝室. 事務所. 様子確認窓. グループホーム. デザイン学研究特集号 Special Issue of Japanese Society for the Science of Design Vol.23-4 No.92 2016. 59.

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