変知工業大学研究報告節目号
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消 費 者 行 動 の 数 量 的 分 析
尾 藤
信*
寺 本 和 幸 林
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Consumer Behavior
Makoto BITOH
,
Kazuyuki TERAMOTO
現在多くの製品分野で成熟期,飽和期的現象が起り始め, j
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なマーケティングの手がかりをつかむ ζとが困難になってきており,製品の差別化戦略がE
重要視されている.製品差別化のポイントは,従来 の一般セグメンテーションの基準からベネフィット・セグメンテーションによる基準によってB 消費者 のベネフィットをつかむ乙とである.本研究は,ベネフィット・セグメンテーションの基準を使って消 費者が広告から受けるイメージの差を求めた.イメージは7段階の評定尺度におきかえ SD法から因子 分析法にかけ分析した.これによって製品開の差異を具体的にとらえることができた.I
まえがき 現代のマーケティング活動は,一般消費者を対象とし て行なわれるべきものではなく具体的にとらえた特定の 消費者集団を対象として展開されるべきものである.つ まり消費者を包括的概念としてとらえないで,その異質 性 K応じていくつかの特定の集団に分割すること,すな わち市場をなんらかの基準に従って細分化し特定の標的 として,消費者の要求,期待lこ合致するような,開発活 動,商品計画を展開する乙とである.ただ従来の人口統 計学的細分化政策(年令,性別,収入,職業,人種)で は,市場の潜在需要量を把握するには有効であるが,特 定ブランドの晴好度を予測するにはあまり有効ではな い.Dani巴1Yankelovich (1)も「人口統計的細分化 は,購入理由やブランド選釈や使用回数ゃあるいは影響 のされやすきにおける差異は,年令,性別,収入,地理 的位置における差異の反映であるという前提に立ってい る.しかし乙れは必ずしも事実ではない.市場は,購買 者の態度,動機,価値観,慣習パターン,美的選摂,感 受性などにおける重要な差異によって綿密に調査されね ばならない.J
と指摘している.そζで よ り 消 費 者 の 質,態度,意識,要求を中心とする把握が必要になって くる.その点で Russel I. Haley (2)は「地域,人口 学的要因及び量など従来のセグメンテーション基準は単 に消費者の特性を描写する要因でしかない.これに対し て,ベネフィット・セグメンテーシヨンは,購買行動の *経営工学科教授*
*経営工学科助手 理由,動機ーによる消費者分類であり,将来の購買行動を 的確に予測できるものである.J
と述べている.とのよ うに市場細分化,製品差別化政策を進めていくためには 消費者ベネフィットを正しく把握していなければならな い.一自党セグメンテーションとベネフィット・セグメン テーションにるよ購買行動の分析は筆者の小論 (3Jに も比較研究の報告があり,ベネフィット・セグメンテー ションが市場細分化基準として有効である乙とが立証さ れている. 以上の考え方から,本研究では消費者ベネフィットに よって製品と広告から受けるイメージの差をとらえ,イ メージの差を数量的尺度におきかえ,因子分析により各 製品が持つイメージの構造因子をとらえた.E
研 究 方 法1
.
調査材料 男性化粧品の一つである整髪料の歴史ぞふりかえって みると,1
3
年くらい前で、はポマード,チック,へアクリ ームがほとんどであった.昭和37年に液状整髪料パイタ リスが発売されてからは「テカテカ,ベトベトしとr
い新 整髪料J
として一躍市場の拡大を計り,その後数年で各 化粧品メーカーからは同種新製品が発売され,今日では ヘアスタイルによるおしゃれから男性化粧品として心理 的なイメージの強い商品として競争の激しい時代に突入 した.図1は整髪料のシェアを年代別にグラフイ七したも のであるー (4) 本研究は調査の対象となる製品 lこ,へアリキッドを選 んだ.その理由は第ーに,男性整髪料(へアリキッド)図
1
整 髪 料 の シ が,製品ライフサイクルからみて成熟期・飽和期 にあること.第二に,へアリキッドは,男性の化 粧品として心理的価値を重点に置いたイメージ商 品であること.第三に,ヘアリキッドは, トイレ タリー用品であり,男性にとってほぼ生活必需品 になっていることからである.以上の内容から本 学の学生を被験者として実験を進めた.2
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調 査 方 法 予 備 調 査7
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予備調査は本調査を行なうにあたっての手がか りや基礎情報吾得るためのものである.そこで消 費者ベネフィットを明らかにするために役立つ多 数の項目吾ディスカッションによって選んだ.そ の内容は,現行フランドに対する評価,意識,各 ブランドの特徴,特性,各フランド聞の判別意識, 判別基準,購入時の重視ポイント,使用実態,購 入実態である. 以上の内容を9
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項目のアンケー卜に作成し被験 者を本学の学生18才~22才,6
0
名を対象に調査を 実施した.その結果として,訴求点、として香りの 種類の増加,香りの持続性,整髪のしやすさ,容 器の機能(溶液が見えること) ,巨頭における品 種の増加,価格の低減に分類される内容が求まっ た. 以上の乙とを検討し,要求の構造をイメージで とらえるために,本調査の質問紙設言十を行なった. {言* 寺 本 柱 ! 幸 料 ダンデイ0
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イ メ ー ジ 調 査 表本 調 査 消費者行動の数是的分析 イメージ測定には小嶋外弘氏 (5)が作成した方法によ りB 本学の男子学生50名を対象に実験を行なった.実験 は,あらかじめ各ブランド別に滋誌からスライド,ラジ 1 h日な 2近代[内な 3 自iill可きの 4洗 練 さ れ た 5 あっきりした 6派手な 7印事の強い 8 R翠かい 日 頼 も しL
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積概的7
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オから録音テープを作成しておき,一室lこ被験者吾集め て実験の趣旨を説明した.イメージ測定用紙(図2)は 1品目ととに記入させた.調査ブランドは EROICA, BRAVAS, MANDOM, VINTAGEである.ユ│ !J、 や ヘ?コ 1)、 ~I 'li! rールム- t"- 予;~ ヤJ らL
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プ ロ フ ィ ー ル 図 (SD法による測定)3
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分析方法 手 順 被験者がイメージ測定表にチェックした段階の尺度に 左から「非常にJ
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非常に」の1I頂 に 1~7 点の得点を与え,各フランドごとに平均値と標 準偏差を求める.平均値はSD法を用いて図3のように プロフィーJレ図を描き,イメージを求めた.これによっ て,製品の持つ「イメージ」や意味の総合的な状況をつ かむことができる.次 iこ,消費者が持つ製品イメージを 悶子分析し,バリマックス法により回転後の20項目の因 子行列を製品別に10悶子まで抽出した. 因子分析では,多数の変量によって示される変動傾向 を同時に扱う.乙の時の変動の相互関係は,相関の概念 によって説明される.変量聞の関係は相関関係として扱 う.そこでイメージ調査で得られたデータ (20行, 40例) をもとに, 20の質問項目すべての組合せについての相関 係数を成分とする相関行列を求める.次 lこ,イメージ因 子分析では,全変量の共通悶子空間でイメージを考え る.一般に囚子分析モテ、Jレでは,ある変塁打こよって示 される変動の分散は,他の n-1伺の変量のいずれか の変動と共通する共通成分と変量i1乙間有の独自性成分80 とに分けられるが,イメ ージ因子分析では共通成 分だけの変動をあらわす データ行列を用いるとい う考えに基づいて,イメ ージ共分散行列を求めた. さらに,イメージ因子分 析で拙出された因子を数 量的に順序づけられた変 量として解釈できるよう に直接パリマックス法に よって求める.直接パリ マックス法の特徴は, (1) 因子の構造が単純構造に なる. (2)一つの変量 が二つ以上の因子におい て高い負荷を示すことが ない. (3) 主因子法に くらべ因子寄与が均等イじ する.そこで、直接ノてリマ ックス法により10因子ま で抽出した.ただ,因子 尾 藤 {言* 子 抽 図
4
分 析 手 11員 寄与の和がイメージ共分散行列の対角成分の和を超えた 時点の因子から 1を引いた数を,抽出する因子数としT
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結 果 と 考 察 ノ¥リマックス法による回転後の20項目の因子行列吾表 2~5表に示す.各因子がこれによって製品別にどう差が 寺 本 和 幸 村 、 でたか,イメージ項目 1~20 の因子負荷量をもとに考察 してみる. EROICA 第 1因子 (17)重々しい (0.868) ( 9)頼もしい (0.854) (13)力強い (0.833) (18)コミきい (0.514) (12)豪華な (-0.916) (14)高級な (-0.739) (19)好き ( -0.623) (4)洗練きれた (0.995) (11)おだやかな (0.855) 第2因子 第3因子 第4因子 平均値と標準偏差 (EROICA) 目 │ 平 均 値 │ 標 準 偏 差 1 4.775 2 4.525 3 4.300 4 4.550 5 3.575 6 3.525 7 4.025 8 3.625 9 3.800 10 3.450 11 4.700 12 4.325 13 3.925 14 4.775 15 3.675 16 4.400 17 4.300 ]8 3.900 19 4.025 20 3.925 表1
項 142316857848948910809 5 2 4 7 1 4 1 7 5 4 4 9 0 5 3 0 5 6 8 6 6 5 只 U Q d R u n u -- 1 4 つ 白 白 u n i n u o ム Q u n v o u Q U 9 “ q u n i n u Q U ・ ・ ・ ・ 圃 e ・ ・ 園 E ・・・・・・・・・ ハ リ ハ リ ハ リ 1 4 守 i 1 4 噌 i ハ U ハ U 1 1 噌i ハ U 噌i A U ハ リ 1 4 n U A り 噌 i 口 リ 回 目ω
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MANDOM 因 子 負 荷 N V VI 68937782439511064250 噌 i 1 4 1 4 1 4 1 A 1 A 1 A 1 4 1 4 1 4 n L 0.900 I 0.865 I 0圃863 0.851 0.871 i 0.574 0.504 0.163 0.064 0.249 0園332 0.053 0.102 -0.075 0.397 0.093 0.325 0.386 0.155 0.384 因子寄与 5.093 2I
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0.024 0.008 0.255 0.037 0.049 -0.287 -0.252 0.105 0.011 -0.220 0.116 -0.284 0.019 0.011 1-0.751I
0.009 0.001 マ0.065 -0.322 -0.361 l.l72I
ー0.013 一0.053 0.054 -0.060 -0.108 ー0.080 0.137 -0.074 0.022 0.123 0.219 0.075 0.098 0.065 0.091 -0.064 -0.029 -0.003 0.057 0.082 0.111 -0.060 -0.080 -0.178 0.003 -0.007 0.016 -0.007 ←0.130 -0.137 I 0.887 1I ι
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二正面
4 ヒι里()~ 0.371 -0.439 0.042 -0.159 0.125 ←0.004 1.091 0.981 (7)印象の強い (-0.750) (4)洗練された (0.511) (5)あっさりした (0.688) 第2因子 (13)力強い (0.960) (6) j派手な (-0.574) (16)男性的 (0.818) 第5因子 (2)近代的な (0.878) (11)おだやかな (0.510) (3)前向きの (0.566) 第3因子 (2)近代的な (0.951) 第6因子 (8)暖かい (0.974) ( 3)前向きの (0.790) BRAVAS 第4因子 (12)豪華な (0.852) 第l因子 (5)あっきりした (0.902) (14)高級な (0.844) (19)好き (0.758) 第5因子 (10)親しみのある ( -0.914) (18)大きい感じ (0.602)尾 藤 {言* 寺 本 和 幸 料 82 表
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因 子 負 荷 一 町 一 一 一 9997712028 一 9744 一 777393 一 2 一 一 5970411479 一 4850 一 964745 一 4 一 一 0012120100 一 9766 一 002303 一 B7
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4 1 4 因子寄与 4.107 0.971 0.948 (6 )派手な 第3因子 (16)男性的 (0.581) (-0.949)MANDOM
(0.900) (0.865) (0.863) (0.851) 第 1因子 (16)男性的 (18)大きい感じ ( 9)頼もしい (13)力強い (13)力強い ( -0.787) (17)重々しい (-0.654) (18)大きい感じ ( -0.604) 第4因子 (15)明るい 第 5図子 ( 8) 暖かい 第6因子 (11) おだやかな ( -0.876) (0.896) (0.833) (17)重々しい (0.871) (7)印象強い (0.574) (8 )暖かい (0.504) 第2因子 (2 )近代的な (0.902) (4)洗練された (0.875) (3) 前向きの (0.784) (19)好き (0.679) (5)あっさりした (0.649) (1)上品な (0.575) 第3因子 (11) おだやかな (-0.995) 第4因子 (10)親しみのある (-0.751) 第5因子 (6)派手な (0.887) 第6因子 (14)高級な (ー0.809) 以上のように,各フランド・イメージを構成する形容 詞対が抽出できた.そこでこれら抽出できた形容詞対で 同じようなものをまとめて,各国子群に名前を付ける. 力量因子・・・〔力強い,重々しい, 男性的, 大きい感 じP頼もしい〉 志向因子・〔近代的な,前向きの〕 評価悶子…〔高級な,豪華なコ 熟成因子・・・〔あっきりした,洗練された〕 また,r
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印象の強いJ
,r
おだやかなJ
, 「上品なJ
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派手なJ
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暖 か いJ
,r
明 る いJ
, 「親しみのある」という形容詞については,それぞれ単 独で、表われることが多く,因子負荷量についても近似性 がなかったり,因子負荷量が近似でも,形容詞として意 味するところが違うなど,まとめることができない因子 である. 次 lこ,今名付けた因子群を各ブランド別にまとめると 表6
のようになる.すなわち,ER
OlCA
は「力量因 子J
r
評価因子J
r
熟成因子」の3つのイメージが近似 して強く訴えて,r
志向因子」のイメージは弱い.BRAVAS
は 「熟成因子J
,r
力量因子J,r
志向囚VINTAGE
第1因子 (14)高級な (-0.937) (12)豪華な ( -0.792) (5 )あっさりした (一 0.729) (4)洗練された (ー0.701) (7)上品な (ー0.685) (19)好き ( -0.579) 第2因子 (7)印象1
齢、 (0.941) (2)近代的な (0.772) (3 )前向きの (0.664)消費者行動の数量的分析 83 表日 ブ ラ ン ド 別 因 子 表 二;ランドIEROICA