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日本のものづくりと”今=ここ”文化(PDF)

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Academic year: 2021

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(1)巻頭言 日本のものづくりと“今=ここ”文化 職業能力開発総合大学校. 校長. 圓川 隆夫. 平成時代の 30 年間、日本のものづくりは、工業社会の覇者から“失われた 30 年”と揶揄されるように停 滞したとも言えるが、ものづくりから“コトづくり”へのパラダイムシフトの中、よく耐えてきたとも言え る。令和に入り第4次産業革命(4革)が進行する中、そしてものづくりであっても他の先進国と比べて労 働生産性の低さが指摘される今、人口減を乗り越えで再び輝くために何が求められるであろうか。 その前に、世界からベンチマークされ今や英語にもなった Kaizen の日本のおける全盛期の 1980 年頃から 不思議に思っていたことがある。それは米国で起こったものづくりの効率化のためのイノベーションである 標準化の上に、改善という新たな仕事の仕方のイノベーションが、なぜ日本で起こりかつうまく機能したの か、一方、工場全体で絨毯爆弾的な改善にしながら、企業経営のボトムラインである“稼ぎ”については、 当時でさえ欧米に比べて利益率は決して高くなかったのはなぜだろうか、という疑問である。 後者はマネジメントの問題と一蹴することもできるが、この双方の背景に日本独特の文化や制度があるので はないかと勉強を試みたのが約 20 年前のことである。最初に読んだのが世界の国の文化を客観的に4次元に スコア化した名著 G. ホフステードの『多文化社会』であり、これを契機に日本の文化論の本を読み漁った。 そこでついに出会ったのが加藤周一の『日本文化における時間と空間』である。 加藤は、日本文化の本質を“今=ここ文化”というシンプルな言葉で言い当てている。 “今”では、現実の今 を重視するあまり過去から未来を秩序づける原理(理論)が不在(不要?) (リスクマネジメントが弱い) 、 “こ こ”はかつては村、今では組織であり、そこでは暗黙のルールでコミュニケーションが成り立つ。また製品で も細部(部品)にこだわり限りなく洗練して行くような改善に目が行く。要するに、目先や現実に見えるもの に対する“こだわり”の一方で、全体のゴールからのトップダウン的視点や理論の活用に疎いと言える。それ が過剰な品質や過度なカスタマイズの一方で、利益を享受できない要因ではなかろうか。 以上のような特質を考慮すれば、IoT や AI やロボット等の個々の技術の活用やその性能の改善には長けて も、4革のゴールである“稼ぐ”という価値創造には必ずしも結びつかない。ゴールを阻害している TOC で いう制約条件は何か、Factory Physics が教える”稼ぐ“源泉であるスループット(時間当たり出来高)のメカニ ズムの理論を活用することで、改善の強みを稼ぎ”に確実に結びつける視点を強化すべきではないか。 加えて暗黙知に支えられた匠の技の技能伝承は、カンコツ技能を4革の新技術を用いた動作や5感を通した 環境条件を見える化することで容易化・加速化される。このような技能科学と呼ぶべきよるアプローチは、技 能伝承だけでなく、それぞれの人間のもつ技能に応じた動作や環境条件の情報を補完することで、技能の高度 化を図る人間拡張になり、誰でも活躍できる一億総活躍を支え、労働生産性向上にも結び付く。.

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