日本のうたごころ : 神原文庫の歌書-香川大学学術情報リポジトリ

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全文

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■ 展 示 資 料   詠 百 首 和 歌   三 十 六 歌 仙 図   若 菜 集   み だ れ 髪   な ど 約 60 点 会 場  

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表表紙写真 上 みだれ髪 明治三十四年八月 東京新詩社 下 詠百首和歌 寛正三年写

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香 川 大 学 附 属 図 書 館 で は 、 図 書 館 の 一 般 公 開 行 事 と し て 一 九 九 五 年 以 来 当 館 の 誇 り と す る 神 原 文 庫 の 展 示 会 を 行 っ て き ま し た 。 本 年 二 〇 〇 三 年 は 、 そ の 第 九 回 目 に な り ま す 。 試 み に 、 こ れ ま で の 展 示 会 の テ ー マ を 振 り 返 っ て 見 ま す と 、 神 原 文 庫 の 特 色 が 鮮 明 に 現 れ て い る よ う に 思 わ れ ま す 。 第 一 回 神 原 文 庫 洋 学 資 料 展 ﹁ 啓 蒙 の 源 流 ﹂ 一 九 九 五 年 第 二 回 神 原 文 庫 洋 学 資 料 展 ﹁ 近 代 の 受 容 ︱ 蘭 学 か ら 英 学 へ ︱ ﹂ 一 九 九 六 年 第 三 回 神 原 文 庫 古 文 書 展 ﹁ 中 世 の 武 家 文 書 ﹂ 一 九 九 七 年 第 四 回 神 原 文 庫 資 料 展 ﹁ 幕 末 ・ 明 治 初 頭 の 新 聞 ・ 雑 誌 ︱ ジ ャ ー ナ リ ズ ム の あ け ぼ の ︱ ﹂ 一 九 九 八 年 第 五 回 神 原 文 庫 資 料 展 ﹁ 繪 本 ︱ 江 戸 庶 民 の 愛 し た ビ ジ ュ ア ル ・ メ デ ィ ア ︱ ﹂ 一 九 九 九 年 第 六 回 神 原 文 庫 資 料 展 ﹁ 開 国 と 文 明 開 化 ︱ そ の 社 会 と 言 語 ︱ ﹂ 二 〇 〇 〇 年 第 七 回 神 原 文 庫 資 料 展 ﹁ 創 刊 号 雑 誌 コ レ ク シ ョ ン ︱ 時 代 を 映 す ﹁ か が み ﹂ ︱ ﹂ 二 〇 〇 一 年 第 八 回 神 原 文 庫 資 料 展 ﹁ 日 本 に お け る 近 代 社 会 の 成 立 ︱ 欧 米 に 追 い つ き 追 い 越 せ ︱ ﹂ 二 〇 〇 二 年 す な わ ち 神 原 文 庫 の 最 も 中 核 を な す 、 江 戸 時 代 末 期 か ら 明 治 初 期 に か け て の 洋 学 関 係 書 そ の も の か ら 始 ま り 、 日 本 中 世 の 社 会 を 窺 わ せ る 文 書 類 、 そ し て 江 戸 時 代 か ら 明 治 初 頭 の 新 聞 、 雑 誌 、 絵 本 、 創 刊 号 雑 誌 、 さ ら に 日 本 社 会 の 近 代 化 と い っ た 特 徴 の あ る 書 籍 ・ 資 料 に 関 す る テ ー マ で 続 け て き ま し た 。 第 九 回 目 と な る 今 回 の 公 開 行 事 で は 、 ﹁ 日 本 の う た ご こ ろ ︱ 神 原 文 庫 の 歌 書 ︱ ﹂ を テ ー マ と し て 、 こ の テ ー マ に 関 係 の あ る 書 物 を 、 神 原 文 庫 の 中 か ら 六 〇 点 余 を 選 ん で 、 展 示 し 、 解 説 す る こ と に し ま し た 。 装 幀 の 美 麗 な も の 、 筆 跡 の す ば ら し い も の 、 他 で は め っ た に 見 る こ と が で き な い も の な ど 、 貴 重 な 書 物 が 数 多 く 展 示 さ れ て お り ま す 。 詩 歌 に 興 味 の あ る 方 は も ち ろ ん 、 広 く 市 民 の 方 々 に 、 解 説 を 参 考 に し な が ら 展 示 品 を ご 覧 い た だ い て 、 皆 様 が 香 川 大 学 附 属 図 書 館 を 身 近 に 利 用 さ れ る き っ か け に な れ ば と 願 っ て お り ま す 。 最 後 に な り ま し た が 、 神 原 先 生 の 御 令 孫 神 原 夏 樹 氏 に よ る 、 文 庫 保 存 の た め の 積 年 の ご 援 助 に 対 し て 深 甚 な る 謝 意 を 表 し た い と 存 じ ま す 。 平 成 十 五 年 十 月

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香 川 大 学 附 属 図 書 館 の 神 原 文 庫 は 、 香 川 大 学 初 代 学 長 神 原 甚 造 先 生 ︵ 明 治 十 七 年 ∼ 昭 和 二 十 九 年 ︶ が 、 生 前 に 収 集 さ れ た 御 蔵 書 の 寄 贈 を 受 け て 設 立 さ れ た も の で あ る 。 神 原 先 生 は 香 川 県 仲 多 度 郡 多 度 津 町 の お 生 ま れ で 、 京 都 帝 国 大 学 法 科 大 学 で 法 律 学 を 修 め 、 判 事 と し て 京 都 、 大 阪 、 神 戸 な ど に 奉 職 の 後 、 大 審 院 部 長 ま で 勤 め ら れ た 法 曹 界 の 重 鎮 で あ っ た 。 し か し て そ の 御 蔵 書 は 、 総 記 、 哲 学 、 歴 史 、 社 会 科 学 、 自 然 科 学 、 工 学 ・ 工 業 、 産 業 、 芸 術 、 語 学 、 文 学 の す べ て の 分 野 に わ た っ て い て 、 き わ め て 幅 広 く 、 先 生 の 学 殖 の 深 さ と 興 味 関 心 の 多 彩 さ を 示 し て い る 。 そ の 後 文 庫 と し て 整 備 さ れ 、 昭 和 三 十 九 年 に ﹃ 神 原 文 庫 分 類 目 録 ﹄ ︵ 風 間 書 房 ︶ が 刊 行 さ れ た 。 さ ら に 昭 和 六 十 二 年 に 御 遺 族 か ら 追 加 の 御 寄 贈 を 受 け 、 平 成 六 年 に ﹃ 神 原 文 庫 分 類 目 録 ︵ 続 ︶ ﹄ が 刊 行 さ れ た 。 現 在 、 全 体 と し て 図 書 ・ 資 料 一 二 、 〇 〇 〇 点 、 一 六 、 五 六 〇 冊 ︵ 和 漢 書 一 五 、 八 九 〇 冊 、 洋 書 六 七 〇 冊 ︶ の 文 庫 と な っ て い る 。 総 じ て 神 原 文 庫 の 蔵 書 は 、 江 戸 時 代 末 期 か ら 明 治 初 期 に か け て 、 日 本 が 西 欧 先 進 諸 国 の 文 化 を 摂 取 し て 急 速 に 近 代 化 し て い っ た 時 代 の 、 洋 学 関 係 資 料 を は じ め と し て 、 当 時 の 文 化 や 社 会 の 動 向 を 伝 え る 資 料 が 豊 富 な 点 に 特 色 が あ る 。 今 回 の 公 開 行 事 で は ﹁ 日 本 の う た ご こ ろ ︱ 神 原 文 庫 の 歌 書 ︱ ﹂ を テ ー マ と し て 、 神 原 文 庫 の 中 か ら 、 古 典 和 歌 関 係 の 書 物 の う ち 主 と し て 写 本 類 と 、 明 治 に な っ て 新 し い 詩 歌 の 時 代 が 到 来 し た 、 そ の 時 期 に 刊 行 さ れ た 詩 集 や 雑 誌 な ど を 選 ん で 、 六 〇 点 余 を 展 示 し 、 解 説 す る こ と に し た 。 前 者 の 古 典 に は 、 正 徹 筆 と し て 美 術 的 価 値 の 高 い ﹃ 詠 百 首 和 歌 ﹄ 、 ﹃ 古 今 和 歌 集 ﹄ 、 ﹃ 三 十 六 歌 仙 図 ﹄ 、 さ ら に 天 下 の 孤 本 と し て 知 ら れ る ﹃ 嵐 無 常 物 語 ﹄︵ 下 巻 ︶ や ﹃ 朝 鮮 版 伊 路 波 ﹄ な ど が あ り 、 後 者 の 明 治 の も の に は 、﹃ 明 星 ﹄︵ 七 七 冊 ︶ 、 ﹃ み だ れ 髪 ﹄ 、 ﹃ 若 菜 集 ﹄ 、 ﹃ 天 地 有 情 ﹄ 、 ﹃ 白 羊 宮 ﹄ な ど が あ る 。 な お 、 神 原 甚 造 先 生 は 、 歌 人 ︵ 号 : 彩 翅 ︶ と し て も 著 名 で あ り 、 そ の 作 品 が 、 一 六 〇 首 ﹃ 明 星 ﹄︵ 展 示 品 ︶ に 掲 載 さ れ て い る 。﹃ 明 星 ﹄ は 、 与 謝 野 鉄 幹 が 主 宰 し 、 明 治 期 に お け る 我 が 国 浪 漫 主 義 運 動 の 中 核 と し て 新 し い 詩 歌 の 時 代 を 切 り 開 く の に 大 き な 役 割 を 果 し た 。 神 原 先 生 は 、 そ の 明 星 歌 壇 に お い て 異 彩 を 放 つ 中 堅 歌 人 で あ り 、 明 治 時 代 の 香 川 県 に お い て 、 新 派 和 歌 の 先 覚 者 で あ っ た 。 同 先 生 は 、 後 に 帰 郷 さ れ て 、 香 川 大 学 長 と 同 時 に 香 川 県 歌 人 会 長 も な さ れ て お り 、 戦 後 の 香 川 の 文 化 復 興 に 大 き な 役 割 を 果 さ れ た 。 神 原 文 庫 資 料 展 は 、 毎 年 そ の た め の 実 行 委 員 会 が 組 織 さ れ 、 こ の 委 員 会 が 企 画 、 実 行 、 解 説 書 の 編 集 、 発 行 を 行 っ て い る 。 今 年 の 委 員 は 、 教 育 学 部 の 竹 中 龍 範 、 佐 藤 恒 雄 、 西 山 弘 子 、 法 学 部 の 金 子 太 郎 、 経 済 学 部 の 安 井 敏 晃 、 工 学 部 の 野 田 茂 、 農 学 部 の 秋 光 和 也 ︵ 以 上 、 本 学 教 官 ︶ 、 図 書 館 の 市 川 兼 三 、 中 川 武 司 、 龍 満 馨 で あ る 。 な お 、 解 説 目 録 と い う 性 格 上 、 多 く の 先 行 研 究 を 参 考 に し た が 、 一 々 の 明 示 を 省 か せ て い た だ い て い る 。

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今 回 の 展 示 は 、 神 原 文 庫 の 中 に あ る 古 典 和 歌 関 係 の 書 物 の う ち の 主 と し て は 写 本 類 と 、 明 治 に な っ て 新 し い 詩 歌 の 時 代 が 到 来 し た 、 そ の 時 期 に 刊 行 さ れ た 詩 集 や 雑 誌 な ど を 選 ん で 、 い わ ば 日 本 の ﹁ う た ﹂ に 焦 点 を あ て 、 い さ さ か 大 げ さ な 標 題 を 付 け る こ と に な っ た 。 神 原 甚 造 先 生 は 、 今 回 展 示 し た よ う な 歌 書 や 近 代 の 書 物 ・ 雑 誌 な ど を 、 特 に 意 図 的 に 収 集 さ れ た わ け で は 、 お そ ら く な い で あ ろ う 。 江 戸 時 代 後 期 か ら 明 治 初 期 に か け て 、 日 本 が 西 欧 近 代 諸 国 の 文 化 を 摂 取 し 急 速 に 近 代 化 し て い っ た 時 代 の 、 様 々 な 分 野 の 典 籍 ・ 資 料 を 多 角 的 に 収 集 し て ゆ く 過 程 で 、 い つ の ま に か 収 集 さ れ て い た 資 料 と い っ た 在 り 方 の コ レ ク シ ョ ン だ と 見 ら れ る の で あ る が 、 自 筆 稿 本 類 へ の 注 目 の よ う な も の は 、 あ っ た に 違 い な い と 思 わ れ る 。 そ し て 、 そ れ ら の 書 物 を 購 入 さ れ た 先 生 は 、 自 ら そ の 価 値 や 意 義 を 追 究 す べ く 、 考 証 し た り 研 究 し た り さ れ た よ う で 、 そ の 考 証 の 跡 を 附 箋 と し て 貼 付 し て い た り 、 自 ら 同 類 の 写 本 を も っ て 朱 で 校 合 を 加 え て い た り と 、 き わ め て 本 格 的 で あ る 。 か つ て 竹 岡 正 夫 先 生 が 購 入 さ れ た 香 川 大 学 附 属 図 書 館 蔵 の 古 今 和 歌 集 関 係 写 本 の う ち の 何 点 か 、 な ら び に 個 人 蔵 本 若 干 も 合 わ せ て 、 展 示 を 構 成 す る こ と と し た 。

に ほ ん し ょ き さ ん そ 1 日 本 書 紀 纂 疏 室 町 後 期 写 三 冊 二 七 ・ 二 × 二 ○ ・ 二 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 第 一 冊 六 三 丁 、 第 二 冊 六 九 丁 、 第 三 冊 六 三 丁 。 ﹃ 日 本 書 紀 ﹄ 神 代 巻 の 注 釈 書 。 六 巻 。 一 条 兼 良 ︵ 一 四 〇 二 ︱ 一 四 八 一 ︶ 著 。 康 正 年 間 ︵ 一 四 五 五 ︱ 一 四 五 七 ︶ の 成 立 と さ れ る 。 本 書 は 、 文 亀 三 年 ︵ 一 五 〇 三 ︶ 従 三 位 藤 原 俊 通 書 写 本 か ら の 転 写 本 。 室 町 後 期 写 か 。 ﹁ 常 住 金 剛 院 蔵 ﹂ 印 記 二 種 。 奥 書 は 以 下 の と お り 。 ︵ 第 一 冊 巻 二 奥 ︶ 文 亀 癸 亥 季 春 上 弦 以 禅 定 殿 下 真 筆 御 / 本 書 写 畢 追 可 校 合 者 也 / 従 三 位 藤 俊 通 / 同 中 旬 加 一 校 者 也 翌 日 読 合 御 本 更 加 / 朱 点 畢 尚 聊 有 不 審 且 改 之 又 可 校 勘 多 / 本 者 也 / 亜 中 大 夫 藤 / ︵ 第 二 冊 巻 四 奥 ︶ 文 亀 三 癸 亥 三 月 下 澣 以 真 筆 御 本 写 / 之 此 巻 命 侍 中 雲 騎 中 書 資 直 令 書 之 / 予 加 朱 点 校 合 書 入 落 字 等 者 也 / 後 日 重 加 倭 訓 畢 / 従 三 位 藤 原 俊 通 / ︵ 第 三 冊 巻 六 奥 ︶ 文 亀 第 三 季 春 下 澣 以 真 筆 御 本 書 写 校 / 合 則 加 朱 点 者 也 / 従 三 位 藤 原 俊 通 / −1−

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と う か ず い よ う 2 桃 花 蘂 葉 文 政 十 一 年 写 一 冊 二 六 ・ 一 × 一 九 ・ 七 セ ン チ 。 楮 紙 、 大 和 綴 、 全 七 二 丁 。 有 職 故 実 書 。 一 条 兼 良 ︵ 一 四 〇 二 ︱ 一 四 八 一 ︶ 著 。 兼 良 最 晩 年 の 文 明 十 二 年 ︵ 一 四 八 〇 ︶ の 成 立 。 兼 良 に は 他 に ﹃ 公 事 根 源 ﹄ ﹃ 江 次 第 抄 ﹄ ﹃ 二 判 問 答 ﹄ な ど 同 種 の 著 が あ る が 、 そ れ ら に 比 べ 本 書 は 記 載 内 容 が 広 い 範 囲 に わ た っ て お り 、 息 男 で 当 主 の 冬 良 に 与 え た 、 一 条 家 故 実 集 大 成 の 書 。 ︵ 奥 書 ︶ 斯 一 冊 当 家 着 用 装 束 以 下 之 事 并 旧 記 / 等 取 用 抜 之 極 秘 重 宝 何 物 過 之 哉 / 誠 以 雖 不 可 出 篋 底 依 三 位 中 将 殿 ︵ 房 基 卿 ︶ / 御 懇 望 令 加 書 写 所 進 献 之 也 / 天 文 十 三 年 六 月 吉 日 左 丞 相 判 / 房 通 公 于 時 従 一 位 左 大 臣 / 歳 三 十 六 登 時 在 / 土 州 此 一 冊 者 前 右 兵 衛 佐 光 棟 朝 臣 以 御 本 / 書 写 之 者 矣 / 于 時 文 政 十 一 年 初 冬 江 朝 臣 ︵ 花 押 ︶ ︵ 朱 奥 書 ︶ 右 一 読 之 序 家 蔵 別 本 対 校 加 朱 畢 / 此 別 本 者 ﹃ 此 一 巻 恩 借 早 川 時 芳 蔵 書 紀 氏 辰 筆 跡 之 本 / 而 令 福 田 芳 隆 書 写 之 校 合 畢 享 保 四 年 無 陽 月 直 恒 ﹄ / ︵ 名 下 ニ 賀 茂 直 恒 ノ 朱 印 有 ︶ ノ 奥 書 あ る 書 也 / 大 正 七 大 呂 除 残 洛 北 草 庵 雪 窓 下 甚 識 / こ れ ら の 奥 書 に よ れ ば 、 本 書 は 、 天 文 十 三 年 ︵ 一 五 四 四 ︶ に 兼 良 の 孫 に あ た る 左 大 臣 一 条 房 通 が 一 族 の 土 佐 一 条 家 房 基 に 書 き 与 え た 本 を 、 文 政 十 一 年 ︵ 一 八 二 八 ︶ に 大 炊 頭 大 江 俊 徳 が 書 写 し た 写 本 で あ る 。 大 正 七 年 の 朱 校 奥 書 は 神 原 甚 造 に よ る 。 え い か た い が い 3 詠 歌 大 概 室 町 後 期 写 一 冊 二 四 ・ 四 × 一 七 ・ 二 セ ン チ 。 鳥 の 子 紙 、 綴 葉 装 。 全 一 六 丁 。 藤 原 定 家 ︵ 一 一 六 二 ︱ 一 二 四 一 ︶ の 歌 論 書 。 成 立 年 次 に は 諸 説 あ る が 、 承 久 三 年 ︵ 一 二 二 一 ︶ 以 降 の 成 立 か 。 早 く 将 軍 実 朝 に あ て て 書 か れ た ﹃ 近 代 秀 歌 ﹄ と と も に 定 家 歌 論 の 主 著 。 漢 文 体 で 書 か れ た 簡 潔 な 歌 論 部 分 と ﹁ 秀 歌 之 体 大 略 ﹂ ︵ 八 代 集 か ら 抄 出 さ れ た 一 ○ 三 首 の 秀 歌 例 ︶ と か ら な る 。 本 書 は 、 伝 堺 連 歌 師 友 理 写 。 極 札 表 に ﹁ 堺 連 歌 師 ノ 友 理 ︵ 詠 歌 大 概 一 冊 / 墨 付 拾 四 枚 ︶ 角 印 ﹂ 裏 に ﹁ 茂 入 道 順 ﹂ の 朱 角 印 が あ り 、 朝 倉 茂 入 ︵ 道 順 ︶ の 極 札 と 知 れ る 。 見 返 し に 貼 付 さ れ る 極 札 大 の 貼 紙 に ﹁ 友 理 ハ 牡 丹 花 肖 柏 之 門 下 也 ﹂ と あ る 。 本 書 の ﹁ 秀 歌 之 体 大 略 ﹂ は 、 他 本 に は な い 秀 歌 例 の 作 者 名 が 書 き 顕 わ さ れ て い る 。 4 詠 歌 大 概 江 戸 初 期 写 か 一 冊 一 六 ・ 八 × 一 八 ・ 三 セ ン チ 。 鳥 の 子 紙 、 綴 葉 装 。 全 二 ○ 丁 。 本 書 は 、 書 写 者 ・ 書 写 年 次 と も に 未 詳 。 −2−

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5 詠 歌 大 概 ︵ 付 、 百 人 一 首 ・ 未 来 記 ︶ 正 徳 元 年 写 一 冊 二 四 ・ 一 × 一 七 ・ 八 セ ン チ 。 鳥 の 子 紙 、 綴 葉 装 。 全 四 二 丁 。 本 書 は 、 正 徳 元 年 ︵ 一 七 一 一 ︶ 、 賀 茂 保 葉 写 。 保 葉 に つ い て は 未 詳 。 ︵ 奥 書 ︶ 右 以 御 本 書 写 之 且 以 他 本 改 正 之 頗 / 可 謂 証 本 者 歟 / 正 徳 元 年 十 二 月 中 旬 従 四 位 下 賀 茂 保 葉 六 十 一 歳 / わ か い っ た い 6 和 歌 一 体 寛 文 二 年 写 一 冊 ︵ 個 人 ︶ 二 二 ・ 六 × 一 六 ・ 七 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 、 全 二 ○ 丁 。 藤 原 為 家 の 歌 論 書 ﹃ 詠 歌 一 体 ﹄ の 一 本 。 ﹃ 詠 歌 一 体 ﹄ は 為 家 晩 年 の 文 永 年 間 ︵ 一 二 六 四 ︱ 一 二 七 四 ︶ の 成 立 か 。 本 書 は 、 寛 文 二 年 ︵ 一 六 六 二 ︶ 写 。 冷 泉 家 系 統 第 二 類 本 。 岩 波 文 庫 ﹃ 中 世 歌 論 集 ﹄ 所 収 本 と 同 類 で あ る 。 書 写 奥 書 の ﹁ 二 位 清 貞 ﹂ は 未 勘 。 ︵ 奥 書 ︶ 此 一 帖 以 祖 父 入 道 大 納 言 為 家 卿 自 筆 / 本 令 書 写 校 合 訖 尤 可 為 証 本 矣 / ︵ 将 ︶ 右 近 権 中 納 言 為 秀 判 / 以 後 小 松 院 宸 筆 御 本 書 写 校 合 畢 / 前 権 大 納 言 入 道 栄 雅 判 / 此 一 冊 依 亡 父 一 位 入 道 高 雅 門 弟 之 儀 / 江 雪 斎 懇 望 之 条 以 栄 雅 自 筆 令 書 / 写 遣 之 者 也 / 天 正 四 年 五 月 二 十 二 日 / ﹄ 右 重 雅 之 正 本 和 歌 一 体 者 近 来 吾 先 師 / 衝 雪 不 意 求 出 授 予 以 速 有 可 令 披 見 之 間 / 則 不 恥 禿 筆 於 江 府 旅 館 北 向 之 幽 斎 書 / 写 之 畢 / 寛 文 弐 年 卯 月 十 一 日 二 位 清 貞 ︵ 花 押 ︶ / さ ん た い わ か 7 三 体 和 歌 天 正 元 年 写 一 冊 二 三 ・ 四 × 一 五 ・ 五 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 一 五 丁 。 建 仁 二 年 ︵ 一 二 〇 二 ︶ 三 月 二 十 二 日 の 和 歌 所 に お け る 和 歌 会 詠 。 後 鳥 羽 院 の 命 に よ り 、 院 ・ 藤 原 良 経 ・ 慈 円 ・ 寂 蓮 ・ 藤 原 定 家 ・ 同 家 隆 ・ 鴨 長 明 の 七 名 が 、 春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬 ・ 恋 ・ 旅 の 七 首 を 、 春 夏 ︵ ふ と く お ほ き に ︶ ・ 秋 冬 ︵ ほ そ く か ら び て ︶ ・ 恋 旅 ︵ 艶 に や さ し く ︶ の 三 つ の 風 体 に 詠 じ わ け た 作 品 。 本 書 は 、 天 正 元 年 ︵ 一 五 七 三 ︶ 、 藤 原 ︵ 山 科 ︶ 言 経 ︵ 一 五 四 三 ︱ 一 六 一 一 ︶ に よ る 書 写 本 。 表 紙 は 、 ﹁ 詠 二 首 ︵ ﹁ 首 夏 藤 ﹂ ﹁ 祈 神 恋 ﹂ ︶ 和 歌 賢 世 ﹂ と あ る 懐 紙 の 裏 を 使 用 し て い る 。 ︵ 奥 書 ︶ 以 或 本 頓 写 之 不 可 他 見 者 也 / 天 正 元 九 一 / 八 座 藤 末 言 経 / −3−

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に じ ょ う け た ん ざ く な ら び に か い し し た た め よ う 8 二 条 家 短 冊 並 懐 紙 認 様 室 町 後 期 写 一 冊 二 八 ・ 五 × 二 ○ ・ 五 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 仮 綴 。 全 三 九 丁 。 和 歌 会 作 法 故 実 書 。 本 書 に は 、 ﹁ 文 亀 二 年 二 月 五 日 栄 雅 ﹂ ﹁ 明 応 九 年 四 月 二 十 五 日 当 座 権 中 納 言 藤 原 雅 世 ﹂ ﹁ 大 永 元 年 正 月 二 日 神 祇 権 大 副 正 五 位 下 大 中 臣 基 長 ﹂ ま た ﹁ 参 議 雅 俊 ﹂ 等 の 懐 紙 類 、﹁ 明 応 元 年 十 月 十 八 日 和 歌 会 ﹂ か ら ﹁ 大 永 九 年 端 午 和 歌 会 ﹂ に 及 ぶ 和 歌 会 の 懐 紙 な ど が 挙 例 さ れ て お り 、 書 名 に ﹁ 二 条 家 ﹂ を 冠 し な が ら 、 内 実 は 飛 鳥 井 流 の 故 実 書 。 ︵ 途 中 奥 ︶ 右 一 書 八 十 五 ケ 条 飛 鳥 井 殿 御 説 也 ︵ 此 外 ニ 又 四 ケ 条 書 副 畢 ︶ / 此 内 少 々 祭 主 殿 御 説 相 交 所 也 / 弘 治 二 丁 巳 年 五 月 十 八 日 書 写 之 / ︵ 巻 尾 奥 ︶ 写 本 紙 数 有 不 及 記 追 而 注 所 十 二 枚 と 有 追 加 共 ニ / 都 合 百 二 十 四 ケ 条 有 / 弘 治 三 戊 午 年 五 月 十 五 日 鴎 波 / 弘 治 三 年 は 一 五 五 七 年 。 た だ し ﹁ 丁 巳 ﹂ は 弘 治 三 年 、 ﹁ 戊 午 ﹂ は 弘 治 四 年 ︵ 永 禄 元 年 ︶ で 、 干 支 が あ わ ず 不 審 。 あ る い は 鴎 波 写 本 か ら の 転 写 本 か 。 ち ょ う か た ま こ と 9 長 歌 玉 琴 文 久 元 年 自 筆 稿 本 一 冊 二 三 ・ 五 × 一 六 ・ 八 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 七 二 丁 。 ﹁ 長 歌 玉 琴 ﹂ は 、 近 世 後 期 の 歌 人 六 人 部 是 香 ︵ む と べ の よ し か ︶ ︵ 一 八 〇 六 ︱ 一 八 六 三 ︶ の 歌 論 書 。 橘 守 部 の ﹃ 長 歌 撰 格 ﹄ な ど の 歌 格 研 究 を 継 い で ま と め ら れ た 論 著 で 、 文 久 元 年 ︵ 一 八 六 一 ︶ に 成 立 し た 。 本 書 は 、 そ の 自 筆 稿 本 で 、 巻 末 の 識 語 に 、 成 立 の 経 緯 が 記 さ れ る 。 ︵ 識 語 ︶ 此 書 は 、 今 年 も ま た 万 延 二 年 と 云 か し 、 二 月 七 日 の 夜 / よ り 筆 を 執 そ め て 、 十 三 日 に い た る ま で に な か ら ば か り は / 草 稿 し た り し を 、 其 後 は 難 波 に も の し 、 順 考 論 に / 筆 加 へ 、 元 よ り 書 さ し お け り し 真 帆 能 追 風 を 書 浄 め / な ど せ し ほ ど に 、 は か な く て 夏 秋 も 過 さ り し を 、 此 こ ろ / と り い で ゝ 昨 日 夜 書 を へ ぬ 。 文 久 元 年 十 月 二 十 三 日 一 翁 ︵ 花 押 ︶ / ︵ 参 考 ︶ 竹 下 豊 ﹁ ﹃ 六 人 部 是 香 歌 集 ﹄ に つ い て ﹂ ︵ ﹃ 女 子 大 文 学 ﹄ ︵ 国 文 編 ︶ 第 三 十 三 号 、 昭 和 五 十 七 年 三 月 ︶ 。 こ き ん わ か し ゅ う 10 古 今 和 歌 集 延 宝 四 年 写 二 冊 二 六 ・ 八 × 一 九 ・ 四 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 上 冊 全 九 六 丁 、 下 冊 七 八 丁 。 ﹁ 古 今 和 歌 集 ﹂ は 、 醍 醐 天 皇 の 命 を 受 け 、 紀 貫 之 ・ 紀 友 則 ・ 凡 河 −4−

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内 躬 恒 ・ 壬 生 忠 岑 の 四 人 が 撰 集 に あ た り 奏 覧 し た 、 我 が 国 最 初 の 勅 撰 和 歌 集 。 延 喜 五 年 ︵ 九 〇 五 ︶ 成 立 ︵ 奉 勅 の 年 と の 説 も ︶ 。 本 書 は 、 藤 原 ︵ 正 親 町 ︶ 公 蔭 ︵ 法 名 空 静 ︶ の 詳 細 な 延 文 二 年 ︵ 一 三 五 七 ︶ 奥 書 を 持 ち 、 公 蔭 ・ 忠 季 父 子 の 手 に な る 写 本 を 、 延 宝 四 年 ︵ 一 六 七 六 ︶ 八 月 に 信 濃 入 道 露 軒 な る 人 物 が 書 写 し た 写 本 で あ る 。 公 蔭 ︵ 一 二 九 七 ︱ 一 三 六 〇 ︶ は 、 幼 少 時 京 極 為 兼 の 養 子 と な り 、 為 兼 失 脚 後 小 倉 公 雄 の 猶 子 を 経 て 、 南 北 朝 期 に 至 り 正 親 町 家 に 復 し 、 光 厳 院 の 信 任 を 得 た 人 物 で 、 奥 書 に は 為 兼 の 伝 え た 浅 香 山 の 歌 の こ と そ の 他 が 見 え て 興 味 深 い 。 ︵ 奥 書 ︶ 此 本 自 萩 原 殿 所 申 出 也 / 永 陽 門 院 少 将 本 云 々 以 故 前 大 納 言 / 為 兼 卿 家 本 令 書 写 歟 浅 香 山 / 歌 令 書 入 之 彼 支 証 也 仍 為 証 本 / 歟 之 間 依 蒙 厳 命 雖 染 禿 筆 / 小 字 上 下 書 写 於 今 者 老 眼 曽 以 / 依 不 堪 端 一 枚 之 外 以 権 大 納 言 / 忠 季 卿 令 終 功 訖 校 合 之 処 書 生 / ﹄ 誤 歟 不 審 繁 多 之 間 以 花 園 院 / 御 本 重 令 校 合 差 声 加 注 畢 / 彼 御 本 正 和 之 比 依 勅 定 以 定 家 / 卿 真 筆 之 本 空 静 所 令 書 進 上 / 也 可 為 証 本 之 次 第 等 以 宸 筆 被 / 載 御 奥 書 之 上 者 不 能 左 右 者 歟 / 即 所 奉 模 之 也 為 備 後 証 委 細 / 記 之 而 巳 / ︵ 除 棄 符 号 ︶ 延 文 二 年 十 月 三 日 釈 空 静 ︵ 花 押 似 書 ︶ / ﹄ ﹄ ﹄ 書 写 本 奥 書 此 集 家 々 所 称 雖 説 々 多 且 任 師 説 又 加 / 了 見 為 備 証 本 書 之 / 近 代 僻 案 之 輩 以 書 生 之 失 錯 称 有 / 識 之 秘 説 不 可 用 之 / 戸 部 尚 書 在 判 / 嘉 禄 二 年 四 月 九 日 戸 部 尚 書 / 于 時 頽 齢 六 十 九 寧 堪 右 筆 哉 / 此 本 付 属 大 夫 為 相 / 于 時 頽 齢 六 十 八 桑 門 融 覚 在 判 / ﹄ ﹄ 宸 筆 御 奥 書 此 集 先 年 ︵ 正 和 之 比 ︶ 以 故 大 納 言 為 兼 / 卿 相 伝 之 本 ︵ 定 家 卿 自 筆 ︶ 令 権 中 納 言 公 蔭 / ︵ 于 時 忠 兼 ︶ 書 写 之 而 今 重 以 為 秀 相 伝 之 / 証 本 ︵ 定 家 卿 筆 跡 ︶ 校 合 了 即 写 件 本 / 奥 書 了 為 秀 筆 也 / ﹄ 時 也 暦 応 庚 辰 初 冬 之 候 也 / 浅 香 山 歌 此 両 本 書 入 之 為 家 卿 / 自 筆 也 子 細 在 別 記 / 此 本 最 秘 本 也 不 可 出 圃 外 而 巳 / ﹄ ︵ 書 写 奥 書 ︶ 古 今 和 歌 集 一 巻 以 正 親 町 三 条 亜 相 / 公 蔭 卿 父 子 之 自 筆 落 字 付 字 / 書 損 等 一 字 不 違 令 模 写 / 処 也 雖 然 急 遽 遂 成 / 功 之 間 紛 冗 甚 多 焉 不 顧 禿 毫 為 備 証 本 而 巳 / 延 宝 第 四 辰 八 月 四 日 / 隠 士 / 藤 信 濃 入 道 / 露 軒 / ﹄ 11 古 今 和 歌 集 寛 文 三 年 版 本 朱 書 入 二 冊 二 九 ・ ○ × 一 八 ・ 五 セ ン チ 。 楮 紙 。 古 今 和 歌 集 の 版 本 に は 、 先 行 し て 万 治 三 年 ︵ 一 六 六 〇 ︶ 版 が あ る が 、 本 書 は 、 そ れ に 次 ぐ 寛 文 三 年 ︵ 一 六 六 三 ︶ 版 本 を 基 に 、 三 条 西 家 説 を 朱 筆 で 書 入 れ し た も の 。 ︵ 刊 記 ︶ 寛 文 三 稔 癸 卯 初 冬 吉 日 新 板 ︵ 扉 書 付 ︶ 朱 書 者 公 ︱ ︵ 通 ︶ 卿 御 筆 従 三 条 西 実 条 公 御 伝 説 也 / 努 不 可 出 外 秘 巻 外 題 者 実 ︱ ︵ 豊 ︶ 卿 御 真 筆 也 / −5−

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︵ 奥 書 ︶ 此 古 今 集 始 為 一 冊 祖 父 一 品 以 三 条 西 / 説 読 法 清 濁 等 令 朱 書 給 外 題 曾 祖 / 父 正 和 御 筆 也 宥 在 厳 閤 御 奥 書 / 焉 今 度 加 修 補 為 上 下 両 冊 外 題 / 厳 父 令 揮 毫 給 迄 至 子 孫 可 鍾 愛 / 者 也 寛 政 九 年 春 正 二 位 ︵ 公 明 花 押 ︶ / こ の 奥 書 中 に 見 え る 、 寛 政 九 年 ︵ 一 七 八 七 ︶ の 正 二 位 は 、 正 親 町 公 明 ︵ 五 四 歳 ︶ 。 板 本 を 解 体 し て 貼 付 し た 大 判 の 紙 に 、 正 親 町 公 通 ︵ 一 六 五 三 ︱ 一 七 三 三 ︶ が 、 三 条 西 実 条 ︵ 一 五 七 五 ︱ 一 六 四 〇 ︶ 説 を 朱 で 書 入 れ て い る 。 外 題 記 者 の ﹁ 厳 父 ﹂ は 、 公 明 の 父 実 連 ︵ 七 八 ︶ 。 公 通 の 父 実 豊 と す る 扉 の 書 付 は 、 後 人 の 誤 記 で あ ろ う 。 こ き ん わ か し ゅ う か ん ち ょ う 12 古 今 和 歌 集 灌 頂 江 戸 初 期 写 一 冊 二 九 ・ 四 × 二 ○ ・ 六 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 三 七 丁 。 歌 学 秘 伝 書 。 系 統 未 詳 。 ︵ 巻 尾 識 語 ︶ 右 古 今 潅 頂 雖 千 金 万 金 不 可 伝 人 也 萬 可 有 楚 忽 / 之 伝 之 ハ 神 罰 其 恐 可 多 也 可 秘 々 々 歌 道 之 趣 不 可 / 過 之 穴 賢 々 々 / こ き ん わ か し ゅ う じ ょ ち ゅ う 13 古 今 和 歌 集 序 注 荷 田 春 麿 講 享 保 十 八 年 写 一 冊 ︵ 香 大 ︶ 二 三 ・ ○ × 一 五 ・ 九 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 四 九 丁 。 奥 書 に よ れ ば 、 貞 享 四 年 ︵ 一 六 八 七 ︶ 春 に 行 わ れ た 荷 田 春 麿 ︵ 一 六 六 九 ︱ 一 七 三 六 ︶ の 古 今 和 歌 集 序 講 義 に 陪 席 し て い た 平 胤 栄 ︵ 源 雅 胤 ︶ が 、 そ の 筆 録 を 享 保 十 六 年 ︵ 一 七 三 一 ︶ に な っ て 編 集 し た 本 を 、 享 保 十 八 年 に 藤 原 喜 直 が 書 写 し た の が 、 本 書 で あ る 。 ︵ 奥 書 ︶ 右 一 巻 ハ 貞 享 四 年 春 二 月 従 二 位 実 種 卿 / の 命 に 依 て 先 考 春 麿 の 古 今 集 の 序 を / 講 じ け る に 権 大 納 言 隆 貞 卿 大 納 言 / 伊 季 卿 刑 部 卿 惟 庸 卿 左 近 衛 権 中 将 / 雅 豊 卿 右 衛 門 督 時 成 卿 列 座 し 給 ひ / け る に 我 も 其 座 下 に 候 し て 禿 筆 を / 馳 て 其 旨 を 書 留 置 し を 徒 然 の あ ま / り に 燈 下 に む か ひ 再 び 校 合 を 加 へ 誤 / 字 を あ ら た め 欠 漏 を 補 ひ 一 巻 と / な し て 名 づ け て 古 今 序 注 と い ふ / こ の 道 を 志 ざ し 学 ぶ 児 女 子 の ひ と つ / の 助 と な ら ん か し 于 時 / 享 保 十 六 年 辛 亥 二 月 十 四 日 / 瑞 禾 局 臼 井 帯 刀 平 胤 栄 判 / ﹄ 右 古 今 集 序 注 は 神 祇 学 頭 源 雅 胤 の 編 / 集 す る 所 也 / 臼 井 春 麿 子 従 二 位 雅 元 / 卿 の 息 な り ︵ 仙 洞 ニ オ ケ ル 人 麿 影 供 再 興 ノ コ ト ニ 関 ワ ッ タ コ ト ナ ド 長 文 ヲ 中 略 ス ︶ 院 宣 あ り て 故 二 位 雅 元 卿 の 猶 子 と な り て / 平 胤 栄 を 改 て 源 の 雅 胤 と な れ り / ︵ 下 略 ︶ ︵ 全 体 ニ 雅 胤 ノ 篤 学 ノ 経 歴 等 ヲ 記 ス ︶ 享 保 十 八 年 上 月 十 一 日 / 正 六 位 下 和 泉 守 藤 原 喜 直 書 之 こ き ん わ か し ゅ う さ ち ゅ う ろ ん 14 古 今 和 歌 集 左 注 論 文 化 三 年 写 一 冊 ︵ 香 大 ︶ 二 五 ・ 四 × 一 七 ・ 六 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 三 四 丁 。 −6−

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賀 茂 真 淵 著 。 扉 中 央 の 書 名 の 右 上 に ﹁ 賀 茂 大 人 著 ﹂ 左 下 に ﹁ 源 稲 彦 校 ﹂ と あ る 。 本 文 冒 頭 に 示 さ れ る 標 題 は ﹁ 寛 保 二 年 九 月 金 吾 君 に 奉 る ﹁ ほ の ぼ の と 明 石 の 浦 ﹂ と い ふ 歌 の 作 者 の 論 并 古 今 左 注 論 ﹂ 。 古 今 集 の 左 注 は 、 撰 者 た ち が 付 け た も の で な く 後 世 の 誰 か の 所 為 で あ る こ と を 、 三 十 九 箇 条 の 全 用 例 を 挙 げ て 論 証 し た 著 述 。 寛 保 二 年 ︵ 一 七 四 二 ︶ の 成 立 。 本 書 は 、 橋 本 稲 彦 が そ の 本 文 を 書 写 し 、 若 干 の 注 記 と 感 想 を 記 し た 写 本 で 、 そ の 感 想 を 記 し た 文 章 中 に 、 紙 片 を 貼 付 し て 訂 正 し 下 に 隠 れ た 元 の 本 文 に ﹁ 文 化 三 年 の 霜 月 な か ば ﹂ と あ る と こ ろ か ら 、 文 化 三 年 ︵ 一 八 〇 六 ︶ 末 の 書 写 本 と 判 る 。 こ き ん わ か し ゅ う せ い ぎ こ う こ う 15 古 今 和 歌 集 正 義 講 稿 江 戸 後 期 写 十 二 冊 ︵ 香 大 ︶ 二 八 ・ 二 × 二 ○ ・ 一 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 仮 綴 。 香 川 景 樹 ︵ 一 七 六 八 ︱ 一 八 四 三 ︶ の ﹃ 古 今 和 歌 集 正 義 ﹄ の 講 義 を 、 門 弟 中 川 自 休 ・ 熊 谷 直 好 ら が 聞 き 書 き し た 草 稿 の 写 本 。 ﹁ 賀 ﹂ か ら ﹁ 大 歌 所 御 歌 ﹂ ま で の 十 一 冊 に 、 ﹁ 古 今 和 歌 難 陳 ﹂ 一 冊 が 添 え ら れ る 。 ﹁ 古 今 和 歌 難 陳 ﹂ の 末 尾 ﹁ 安 政 七 年 庚 申 春 二 月 九 日 夜 三 更 / 遠 藤 千 胤 写 之 ﹂ と 書 写 奥 書 が あ る 。 安 政 七 年 は 一 八 六 〇 年 で 、﹃ 講 稿 ﹄ の 全 体 も 同 じ こ ろ の 写 本 か 。 そ の 内 聞 書 き の あ る の は 、 賀 ・ 離 別 ・ 物 名 ・ 恋 一 の 四 冊 で 、 そ の 他 は ﹃ 古 今 和 歌 集 正 義 ﹄ の 本 文 が 記 さ れ る の み 。 竹 岡 正 夫 先 生 に よ れ ば 、 ﹁ 本 ﹃ 講 稿 ﹄ は 中 川 自 休 ・ 熊 谷 直 好 な ど の 聞 き 書 き の 草 稿 ・ 下 書 き の 類 を 、 最 終 的 に 中 川 長 経 が ま と め 忠 実 に 書 写 し た も の と 推 定 で き る ﹂ と し 、 ま た ﹁ こ の 講 稿 に よ っ て 、 公 刊 本 ﹃ 古 今 和 歌 集 正 義 ﹄ で は 到 底 う か が う こ と の で き ぬ 飾 ら ぬ 景 樹 の 講 義 の 実 態 に 、 さ な が ら そ の 場 に あ っ て 直 接 聞 い て い る か の よ う に 生 き 生 き と 接 せ ら れ 、 ま こ と に 興 味 は 尽 き な い 。 当 時 多 く の 弟 子 た ち を 集 め た 人 気 の 秘 密 が わ か る よ う な 気 が す る ﹂ と も 述 べ て い る 。 本 書 か ら の 転 写 本 に 京 都 府 立 総 合 資 料 館 本 が あ り 、 本 書 と 直 接 の 関 係 を も た ぬ 恋 部 と 春 上 部 の 聞 き 書 き 一 冊 本 が 京 都 大 学 に 蔵 さ れ る と い う 。 ︵ 参 考 ︶ 竹 岡 正 夫 解 説 ﹃ 古 今 和 歌 集 正 義 講 稿 ﹄ ︵ 影 印 ︶ ︵ 勉 誠 社 、 昭 和 五 十 九 年 九 月 ︶ せ ん ざ い わ か し ゅ う 16 千 載 和 歌 集 下 冊 ︵ 零 本 ︶ 寛 永 十 一 年 写 一 冊 ︵ 個 人 ︶ 二 八 ・ 二 × 二 ○ ・ 一 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 九 六 丁 。 ﹃ 千 載 和 歌 集 ﹄ は 、 平 安 末 期 源 平 争 乱 中 の 寿 永 二 年 ︵ 一 一 八 三 ︶ 二 月 に 後 白 河 上 皇 の 院 宣 を 受 け 、 藤 原 俊 成 ︵ 釈 阿 ︶ が 撰 集 に あ た り 、 平 家 滅 亡 後 の 文 治 四 年 ︵ 一 一 八 八 ︶ 四 月 二 十 二 日 ︵ 序 文 に は 三 年 九 月 二 十 日 と あ る ︶ に 奏 覧 さ れ た 、 第 七 番 目 の 勅 撰 和 歌 集 。 本 書 は 、 寛 永 十 一 年 ︵ 一 六 三 四 ︶ の 書 写 本 。 上 巻 を 欠 く が 、 巻 十 四 の 清 輔 歌 ﹁ 露 ふ か き あ さ ま の ゝ ら に を が や か る し づ の 袂 も か く は ぬ れ じ を ﹂ ︵ 八 五 九 ︶ は あ る 。 奥 書 の ﹁ 足 立 左 兵 衛 ﹂ ﹁ 津 田 蔵 人 ﹂ は 未 勘 。 ︵ 奥 書 ︶ −7−

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旧 本 云 右 之 集 以 雅 親 卿 自 筆 加 校 并 朱 墨 之 / 点 等 者 也 ︵ 私 云 先 本 落 字 仮 名 遣 等 雖 多 / 不 審 異 本 依 無 之 如 古 本 令 書 写 者 也 ︶ / 于 時 寛 永 十 一 甲 戌 年 正 月 下 旬 足 立 左 兵 衛 書 之 / 進 上 津 田 蔵 人 様 / し ょ く ご せ ん わ か し ゅ う 17 続 後 撰 和 歌 集 巻 二 十 ︵ 零 本 ︶ 一 巻 伝 二 条 為 重 筆 ︵ 個 人 ︶ 紙 高 二 八 ・ ○ セ ン チ 。 全 長 四 三 八 セ ン チ 。 も と 、 縦 一 九 ・ ○ × 一 七 ・ 二 セ ン チ の 枡 形 冊 子 本 の 、 楮 料 紙 一 九 枚 を 繋 ぎ 合 わ せ て 巻 子 本 と し た も の 。 ﹃ 続 後 撰 和 歌 集 ﹄ は 、 宝 治 元 年 ︵ 一 二 四 八 ︶ 七 月 二 十 五 日 に 後 嵯 峨 院 の 院 宣 を 受 け て 、 藤 原 為 家 ︵ 一 一 九 八 ︱ 一 二 七 五 ︶ が 撰 集 に あ た り 、 建 長 三 年 ︵ 一 二 五 一 ︶ 十 二 月 二 十 五 日 に 完 成 奏 覧 し た 、 第 十 番 目 の 勅 撰 和 歌 集 。 こ の 集 の 巻 二 十 賀 歌 は 諸 本 間 に 歌 の 出 入 り は な い 巻 で あ る の に 、 最 末 の 寛 元 四 年 大 嘗 会 屏 風 歌 藤 坂 山 ﹁ む ら さ き の ふ ぢ さ か 山 に さ く 花 の 千 世 の か ざ し は き み が た め か も ﹂ ︵ 一 三 七 一 ︶ ︵ 正 三 位 成 実 ︶ に 続 け て 、﹁ な に こ と に 心 を と め て 有 明 の 月 も う き 世 の そ ら に す む ら ん ﹂ の 一 首 が あ っ て 、 一 見 異 本 を 思 わ せ る 。 し か し 、 こ れ は ﹃ 続 古 今 和 歌 集 ﹄ 雑 歌 中 に 収 め ら れ て い る 中 務 卿 親 王 家 新 右 衛 門 督 の ﹁ 月 の 歌 の 中 に ﹂ と 詞 書 き あ る 歌 ︵ 一 六 八 二 ︶ で 、 本 集 に は 入 る は ず も な い 後 の 歌 で あ る 。 ま た 、 奥 書 部 分 は 、 紙 の 寸 法 ・ 紙 の 色 ・ 紙 質 と も に 本 文 料 紙 と は 違 い 、 奥 書 の 筆 跡 も 本 文 と は 異 筆 で あ っ て 、 そ の 怪 し げ な 内 容 と も ど も 大 き な 作 為 を 感 じ さ せ る 。 ︵ 奥 書 ︶ 本 云 / 奏 覧 本 草 也 尤 可 為 証 本 所 奉 納 / 也 不 交 他 筆 / 三 代 相 伝 撰 者 藤 原 為 家 在 判 / 建 長 四 年 正 月 十 五 日 / 延 慶 四 年 二 月 二 十 九 日 終 書 写 之 功 / 年 来 所 持 本 紛 失 之 子 細 有 之 仍 / 借 彼 奉 納 / 秘 本 書 写 之 尤 為 証 本 可 秘 々 々 / 法 印 権 大 僧 都 長 舜 判 / 後 日 令 校 合 畢 落 字 僻 字 済 々 悉 令 / 直 付 之 耄 乱 無 云 甲 斐 不 可 有 者 歟 ﹄ 以 長 舜 法 印 自 筆 本 誂 申 / 或 深 窓 之 後 以 彼 本 令 校 / 合 畢 / 朝 清 大 夫 藤 原 朝 臣 ︵ 花 押 ︶ / し ん せ ん ろ く じ ょ う だ い わ か 18 新 撰 六 帖 題 和 歌 室 町 中 期 写 四 冊 ︵ 個 人 ︶ 二 六 ・ 七 × 一 九 ・ 二 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 第 一 冊 全 五 三 丁 、 第 二 冊 二 六 丁 。 第 三 冊 三 四 丁 、 第 四 冊 四 二 丁 。 ﹃ 新 撰 六 帖 題 和 歌 ﹄ は 、 衣 笠 家 良 ︵ 一 一 九 二 ︱ 一 二 六 四 ︶ を 主 催 者 と し て 藤 原 為 家 ︵ 一 一 九 八 ︱ 一 二 七 五 ︶ が 主 導 し て 企 画 さ れ 、﹃ 古 今 和 歌 六 帖 ﹄ 題 を 基 礎 に 選 定 さ れ た 五 二 七 題 の ﹁ 新 撰 六 帖 題 ﹂ に よ り 、 家 良 ・ 為 家 ・ 蓮 性 ︵ 知 家 ︶ ・ 信 実 ・ 真 観 ︵ 光 俊 ︶ の 五 人 が 詠 作 し た 作 品 。 寛 元 元 年 ︵ 一 二 四 三 ︶ 一 月 十 一 日 か ら 二 年 六 月 二 十 七 日 −8−

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に か け て 詠 作 の 後 、 集 成 さ れ た 本 に 相 互 に 合 点 を 加 え た 段 階 を 経 て 、 最 終 的 に 寛 元 二 年 秋 に は 完 成 し た 作 品 。 伝 本 は 四 類 に 分 類 で き る が 、 本 書 は 、 そ の 第 三 類 第 一 種 本 ︵ 穂 国 文 庫 蔵 片 仮 名 本 と 同 種 ︶ で あ る 。 奥 書 は 、 料 紙 の 寸 法 が や や 小 さ く 、 何 ら か 別 種 の 本 の 奥 書 を 付 加 し た よ う に 見 え る 。 最 初 の 本 奥 書 に い う ﹁ 文 明 十 二 二 十 二 以 禅 閣 ︵ 一 条 殿 ︶ 御 自 筆 秘 本 ﹂ 云 々 に 鑑 み て 、 文 明 十 二 年 ︵ 一 四 八 〇 ︶ に 完 成 し て 冬 良 に 与 え ら れ た 、 一 条 兼 良 の 有 職 故 実 書 ﹃ 桃 花 蘂 葉 ﹄ に 付 随 し て い た 奥 書 で は あ る ま い か 。 ﹁ 常 徳 院 殿 ﹂ は 、 足 利 第 九 代 将 軍 義 尚 ︵ 一 四 六 五 ︱ 一 四 八 九 ︶ 。 奥 書 の 全 体 は 、 永 正 七 年 ︵ 一 五 一 〇 ︶ 八 月 二 十 日 の 諫 議 大 夫 ︵ 参 議 ︶ 藤 原 ︵ 姉 小 路 ︶ 済 継 ︵ 四 一 歳 ︶ の 筆 跡 。 ﹁ 持 明 院 金 吾 ﹂ は 、 前 参 議 正 三 位 左 衛 門 督 藤 原 ︵ 持 明 院 ︶ 基 春 ︵ 五 七 歳 ︶ で あ ろ う 。 ︵ 奥 書 ︶ 本 云 / 文 明 十 二 二 十 二 以 禅 閣 ︵ 一 条 殿 ︶ 御 自 筆 秘 本 密 々 / 令 書 写 畢 可 秘 々 々 不 可 有 外 見 者 也 / ︵ 一 行 空 白 ︶ 右 此 本 依 大 樹 ︵ 常 徳 院 殿 ︶ 御 所 望 書 進 之 云 々 篇 目 / 同 前 但 省 略 多 之 全 篇 猶 令 秘 之 給 歟 / ﹄ 右 一 冊 両 篇 持 明 院 金 吾 所 持 之 本 也 / 年 来 令 懇 望 而 今 被 免 一 覧 者 也 仍 卒 / 馳 筆 写 留 者 也 / 于 時 永 正 七 載 庚 午 八 月 二 十 日 諫 議 大 夫 藤 済 継 / ﹄ し ち ぎ ょ く し ゅ う 19 七 玉 集 弘 長 百 首 江 戸 初 期 写 一 冊 ︵ 個 人 ︶ 二 八 ・ 七 × 二 ○ ・ 一 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 三 六 丁 。 ﹁ 七 玉 集 ﹂ は ﹁ 弘 長 百 首 ﹂ の 別 名 。 ﹃ 弘 長 百 首 ﹄ は 、 第 十 一 番 目 の ﹃ 続 古 今 和 歌 集 ﹄ の 撰 集 資 料 を 得 る た め 、 弘 長 元 年 ︵ 一 二 六 一 ︶ に 後 嵯 峨 院 が 在 京 の 当 代 有 力 歌 人 七 人 か ら 召 さ れ た 応 製 百 首 。 実 空 ︵ 実 氏 ︶ ・ 基 家 ・ 家 良 ・ 融 覚 ︵ 為 家 ︶ ・ 為 氏 ・ 行 家 ・ 寂 西 ︵ 信 実 ︶ の 作 品 は 、 同 年 秋 冬 に は 出 揃 っ て 完 成 し 、 続 古 今 集 以 下 の 勅 撰 集 に 一 七 ○ 首 以 上 入 集 す る こ と と な っ た 。 歌 の 出 入 り な ど か ら 、 伝 本 は 四 類 に 分 類 さ れ 、 本 書 は 、 そ の う ち の 第 三 類 本 。 え い ひ ゃ く し ゅ わ か 20 詠 百 首 和 歌 寛 正 三 年 写 一 冊 二 四 ・ 三 × 一 九 ・ 二 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 ○ 丁 。 本 書 の 大 部 分 は 正 徹 筆 で 、 そ れ を 基 本 と し て 、 寛 正 三 年 ︵ 一 四 六 二 ︶ に 某 が 数 行 と 奥 書 ﹁ 寛 正 三 年 壬 午 六 月 二 日 写 之 ︵ 署 花 押 ︶ ﹂ を 、 ま た 途 中 三 首 の 歌 の み は 別 人 が 、 補 欠 追 記 し た 書 冊 に 、 さ ら に 正 広 が 家 隆 の 歌 二 首 と 自 詠 一 首 を 書 き 加 え て 自 署 し た 一 冊 で 、 正 徹 筆 と い う 書 跡 の 優 品 と し て の 美 術 的 価 値 は 高 い 。 内 容 は 、 冒 頭 ﹁ 詠 百 首 和 歌 ﹂ の 下 の 年 記 ﹁ 建 久 八 年 七 月 二 十 九 日 ﹂ が 一 致 す る こ と か ら 、 家 隆 家 集 所 収 ﹁ 詠 二 百 首 和 歌 ﹂ の ﹁ 次 歌 百 首 ﹂ に 相 当 す る 作 品 で あ る か に 見 え る が 、 細 か く 検 討 す る と 、 正 徹 と そ の 周 辺 の 人 物 た ち に よ っ て 捏 造 さ れ た 、 家 隆 作 品 の 偽 書 で あ る と 見 ら れ る 。 −9−

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︵ 参 考 ︶ 佐 藤 恒 雄 ﹁ 正 徹 筆 藤 原 家 隆 ﹃ 詠 百 首 和 歌 ﹄ に つ い て ﹂ ︵ ﹃ 香 川 大 学 国 文 研 究 ﹄ 第 十 四 号 、 平 成 元 年 九 月 ︶ 。 な い だ い じ ん け ひ ゃ く し ゅ 21 内 大 臣 家 百 首 定 家 自 筆 残 巻 透 写 本 一 巻 紙 高 三 一 ・ 五 セ ン チ 、 楮 紙 、 全 長 二 四 五 セ ン チ 。 ﹁ 内 大 臣 家 百 首 ﹂ は 、 建 保 三 年 ︵ 一 二 一 五 ︶ 九 月 十 三 日 夜 、 内 大 臣 九 条 道 家 邸 に 十 八 人 の 歌 人 が 集 っ て 催 さ れ た 作 品 で あ る が 、 本 巻 は 、 そ の 時 の 定 家 自 筆 百 首 の 前 半 残 巻 を 原 本 と す る 、 近 世 期 の 透 写 本 。 定 家 の 家 集 ﹃ 拾 遺 愚 草 ﹄ 所 収 の 同 じ 百 首 と 比 較 し て 、 本 巻 は 草 稿 あ る い は 百 首 提 出 段 階 の 本 文 、 ﹃ 拾 遺 愚 草 ﹄ 所 収 百 首 が 最 終 決 定 稿 と 見 ら れ る 。 定 家 自 筆 原 本 の 伝 存 が 確 認 さ れ て い な い 現 在 、 百 首 前 半 の み の 残 巻 で は あ る が 、 ほ ぼ 忠 実 な 複 製 と い っ て よ い 本 巻 の 存 在 意 義 は 小 さ く な い 。 ︵ 参 考 ︶ 佐 藤 恒 雄 ﹁ 藤 原 定 家 自 筆 透 写 ﹃ 内 大 臣 家 百 首 ﹄ ︵ 神 原 文 庫 蔵 ︶ ﹂ ︵ ﹃ 香 川 大 学 国 文 研 究 ﹄ 第 十 七 号 、 平 成 四 年 九 月 ︶ 。 た か う じ い か ご し ゅ わ か 22 尊 氏 以 下 五 首 和 歌 江 戸 初 期 写 一 冊 二 七 ・ 八 × 二 ○ ・ ○ セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 一 三 丁 。 将 軍 足 利 尊 氏 ︵ 一 三 〇 五 ︱ 一 三 五 八 ︶ が 発 願 、 麾 下 の 諸 将 に 勧 進 し 、 建 武 三 年 ︵ 一 三 三 六 ︶ 九 月 十 三 夜 、 住 吉 神 社 の 宝 前 に 奉 納 さ れ た 二 種 類 の 定 数 歌 の 集 成 。 第 一 は 、 ﹁ 秋 夜 陪 住 吉 社 壇 同 詠 五 首 和 歌 ﹂ ︵ ﹁ 月 ﹂ 題 五 首 ︶ 。 歌 人 、 参 議 従 二 位 行 源 朝 臣 尊 氏 、 参 議 正 三 位 藤 原 朝 臣 資 明 、 右 馬 守 源 直 義 、 侍 従 為 秀 ︵ 以 上 五 首 ︶ 、 従 五 位 上 守 大 膳 権 大 夫 大 江 朝 臣 広 秀 ︵ 歌 ナ シ ︶ 、 左 近 大 夫 将 監 季 氏 ︵ 歌 ナ シ ︶ 、 武 蔵 権 守 師 直 ︵ 一 首 ︶ 、 阿 波 守 和 氏 ︵ 二 首 ︶ 、 刑 部 大 輔 源 朝 臣 頼 春 ︵ 一 首 ︶ 、 左 衛 門 尉 高 階 重 茂 ︵ 四 首 ︶ 、 沙 門 寛 性 ︵ 五 首 ︶ 、 沙 門 尊 胤 ︵ 五 首 ︶ 、 僧 正 聖 恵 ︵ 歌 ナ シ ︶ 、 寛 尊 ︵ 五 首 ︶ 、 幸 春 麿 ︵ 一 首 ︶ 、 法 印 権 大 僧 都 賢 俊 ︵ 歌 ナ シ ︶ 、 法 印 寛 信 ︵ 歌 ナ シ ︶ 、 釈 通 阿 ︵ 一 首 ︶ 、 道 戒 ︵ 一 首 ︶ 。 天 下 静 謐 の 願 念 を 籠 め た 歌 が 多 い と い う 。 第 二 は 、 ﹁ 秋 夜 陪 住 吉 社 壇 法 華 経 同 詠 三 首 和 歌 ﹂ ︵ ﹁ 序 品 ﹂ 以 下 各 人 三 品 宛 ︶ 。 歌 人 、 尊 氏 、 資 明 、 直 義 、 為 秀 、 寛 性 、 尊 胤 、 聖 恵 、 賢 俊 、 道 戒 ︵ 勧 発 品 ・ 無 量 義 経 ・ 普 賢 経 ︶ 、﹁ 阿 弥 陀 経 の こ こ ろ を 阿 波 守 和 氏 ﹂ 、﹁ 心 経 の こ こ ろ を 尊 氏 ﹂ の 諸 歌 を 収 め 、 巻 末 に ﹁ 建 武 三 年 九 月 十 三 日 参 議 従 二 位 行 源 朝 臣 尊 氏 御 判 ﹂ と あ る 。 尊 氏 の 召 し に よ り 、 歌 道 師 範 と し て 冷 泉 為 秀 が 撰 題 そ の 他 に 粉 骨 奉 仕 し 、 後 々 忘 れ が た い 日 々 と し て 回 顧 す る と こ ろ と な っ た 。 巻 末 に 、 ﹁ 右 以 貞 敦 親 王 御 自 筆 之 本 書 写 訖 / 右 京 権 大 夫 従 四 位 下 賀 茂 県 主 清 茂 ︵ 印 ︶ ﹂ と 書 写 奥 書 が あ る 。 貞 敦 親 王 ︵ 一 四 八 八 ︱ 一 五 七 二 ︶ は 伏 見 宮 家 六 代 。 賀 茂 清 茂 は 未 勘 。 本 書 の 他 に 、 内 閣 文 庫 本 と 尊 経 閣 文 庫 本 が あ る 。 −10−

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せ っ し ょ う さ だ い じ ん け う た あ わ せ 23 摂 政 左 大 臣 家 歌 合 江 戸 初 期 写 一 冊 二 四 ・ 四 × 一 八 ・ ○ セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 一 四 丁 。  摂 政 左 大 臣 家 歌 合 ︵ 大 治 元 年 八 月 摂 政 左 大 臣 忠 通 歌 合 ︶ ︵ ﹃ 平 安 朝 歌 合 大 成 ﹄ 三 一 五 ︶  当 座 六 首 歌 合 ︵ 水 無 瀬 釣 殿 / 建 仁 二 年 六 月 ︶ の 二 編 の 歌 合 を 収 め る 。 の 末 尾 に ﹁ 右 書 写 一 校 畢 墨 付 八 枚 ﹂ 、 の 末 尾 に 、 ﹁ 親 定 者 後 鳥 羽 院 隠 名 御 作 者 云 々 / 然 者 勅 判 也 / 正 安 二 年 四 月 二 日 書 写 一 校 終 墨 付 四 丁 / 都 合 十 二 枚 ﹂ と あ る 。 正 安 二 ︵ 一 三 〇 〇 ︶ 年 写 本 か ら の 転 写 本 で 、 江 戸 初 期 の 写 し か 。 ろ っ ぴ ゃ く ば ん う た あ わ せ 24 六 百 番 歌 合 寛 永 十 七 年 古 活 字 版 七 冊 ︵ 巻 六 欠 ︶ 二 八 ・ ○ × 一 八 ・ 五 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 ﹃ 六 百 番 歌 合 ﹄ は 、 建 久 四 年 ︵ 一 一 九 三 ︶ 当 時 左 大 将 で あ っ た 藤 原 良 経 が 、 当 代 の 有 力 歌 人 十 二 人 の 百 首 を 召 し て 自 邸 に 催 し た 、 空 前 の 大 歌 合 。 判 者 は 藤 原 俊 成 ︵ 釈 阿 ︶ 。 本 書 は 、﹁ 寛 永 十 七 年 九 月 吉 辰 ﹂ の 刊 記 ︵ 寛 永 十 七 年 は 一 六 四 〇 ︶ を 持 つ 古 活 字 版 本 で あ る が 、 川 瀬 一 馬 ﹃ 古 活 字 版 の 研 究 ﹄ に よ れ ば 、 古 活 字 本 三 種 の う ち の 第 二 種 ︵ 再 版 ︶ 本 で 、 刊 記 が あ る の は こ の 種 の み 。 に ょ う ぼ う さ ん じ ゅ う ろ く に ん う た あ わ せ 25 女 房 三 十 六 人 歌 合 享 和 元 年 写 一 冊 二 四 ・ 八 × 一 七 ・ 四 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 ○ 丁 。 ﹁ 女 房 三 十 六 人 歌 合 ﹂ は 、 撰 者 未 詳 。 文 永 九 年 ︵ 一 二 七 二 ︶ 以 降 、 弘 安 元 年 ︵ 一 二 七 八 ︶ 以 前 の 成 立 か と さ れ る 。 小 野 小 町 か ら 藻 璧 門 院 少 将 ま で の 三 十 六 人 の 歌 ︵ 三 首 ま た は 一 首 ︶ を 結 番 す る 歌 合 。 本 書 は 一 人 一 首 本 の 一 本 で 、 五 類 本 ︵ 一 類 本 の 一 首 目 を 抄 出 ︶ に 分 類 さ れ る 。 書 写 奥 書 に 、 右 女 房 三 十 六 人 歌 合 出 浪 華 / 客 舎 率 爾 走 禿 筆 帰 / 後 鑑 而 巳 / 享 和 元 年 辛 酉 / 十 月 初 七 加 茂 季 鷹 / と あ り 、 享 和 元 年 ︵ 一 八 〇 一 ︶ 加 茂 季 鷹 ︵ 一 七 五 四 ︱ 一 八 四 一 ︶ に よ る 写 し 。 ﹁ 歌 仙 堂 記 ﹂ の 印 記 。 一 丁 オ の 貼 紙 に ﹁ 加 茂 季 鷹 自 筆 、 同 人 蔵 印 あ り 。 こ の 歌 合 所 載 ノ 歌 い づ れ の 板 本 と も 相 違 あ り ﹂ と 神 原 甚 造 に よ る 書 付 け が あ る 。 ︵ 参 考 ︶ 大 伏 晴 美 ﹃ 女 房 三 十 六 人 歌 合 の 研 究 ﹄ ︵ 平 成 九 年 十 月 、 新 典 社 ︶ 。 か せ ん な ら び に お ん な か せ ん 26 歌 仙 並 女 歌 仙 江 戸 初 期 写 一 冊 二 一 ・ 六 × 一 五 ・ 七 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 一 一 丁 。 ﹃ 歌 仙 ﹄ は 、 一 人 一 首 本 の ﹁ 三 十 六 歌 仙 ﹂ ︵ 三 十 六 人 歌 合 ︶ で 、 人 丸 の ﹁ ほ の ぼ の と ﹂ 以 下 の 本 文 は 、 近 世 に 流 布 し た 歌 仙 抄 型 で あ る 。 −11−

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﹃ 女 歌 仙 ﹄ は 、 ﹃ 女 房 三 十 六 人 歌 合 ﹄ と 同 じ く 一 人 一 首 本 で あ る が 、 こ れ は ﹁ 女 房 三 十 六 人 歌 合 ﹂ の 第 四 類 に 分 類 さ れ る 。 ︵ 参 考 ︶ 大 伏 晴 美 ﹁ 一 首 歌 仙 本 の ﹃ 女 歌 仙 ﹄ ・ ﹃ 三 十 六 歌 仙 ﹄ ﹂︵ ﹃ 徳 島 文 理 大 学 文 学 論 叢 ﹄ 第 十 七 号 、 平 成 十 二 年 三 月 ︶ 。 さ ん じ ゅ う ろ っ か せ ん ず 27 三 十 六 歌 仙 図 江 戸 初 期 写 一 舗 約 五 二 ・ 五 × 約 五 ○ セ ン チ 。 絹 本 、 淡 彩 図 。 三 十 六 歌 仙 の 絵 に 、 各 人 の 和 歌 一 首 ︵ 歌 仙 抄 型 ︶ を 配 し た 図 。 画 面 を 対 角 線 的 に 斜 め に 分 け 、 右 下 側 に 三 十 六 人 の 絵 を 、 右 上 か ら 左 の 余 白 に か け て 三 十 六 首 の 和 歌 と そ の 作 者 名 を 記 す 。 男 性 歌 仙 の 絵 は 、 前 列 中 央 の 人 麿 ︵ 右 手 に 筆 を 持 つ ︶ を は じ め 各 人 の 表 情 も 豊 か で あ る が 、 女 性 歌 仙 は 、 斎 宮 女 御 が 区 別 で き な い よ う に 、 一 人 ひ と り の 判 別 は 困 難 で あ る 。 和 歌 も 右 上 の 人 麿 ・ 貫 之 ・ 躬 恒 ・ 伊 勢 ま で は 比 較 的 大 き な 文 字 で 記 さ れ る が 、 家 持 以 下 は 字 も 小 さ く な り 、 左 下 ま で の 間 に 無 理 に 詰 め 込 ま れ た よ う に 書 か れ て い る 。 江 戸 初 期 の 作 品 か 。 ご み ず の お い ん こ う し ゃ く の べ ん ひ ゃ く に ん い っ し ゅ 28 後 水 尾 院 御 講 釈 之 弁 百 人 一 首 文 政 三 年 写 一 冊 二 四 ・ 八 × 一 六 ・ 七 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 五 八 丁 。 本 書 は 、 寛 文 元 年 ︵ 一 六 六 一 ︶ 五 月 六 日 か ら 始 め ら れ た 、 後 水 尾 院 ︵ 一 五 九 六 ︱ 一 六 八 〇 ︶ に よ る 百 人 一 首 講 釈 の 、 聞 書 き 系 の 一 伝 本 。 文 政 三 年 ︵ 一 八 二 〇 ︶ 鈴 木 重 常 に よ る 書 写 本 で あ る 。 ︵ 奥 書 ︶ 文 政 三 庚 辰 年 二 月 中 旬 写 之 / 本 書 秦 姓 之 所 持 鈴 木 重 常 / ︵ 参 考 ︶ 島 津 忠 夫 ・ 田 中 隆 裕 ﹃ 後 水 尾 天 皇 百 人 一 首 抄 ﹄ ︵ 百 人 一 首 注 釈 書 叢 刊 6 。 和 泉 書 院 、 一 九 九 四 年 一 ○ 月 ︶ 。 吉 海 直 人 ﹃ 百 人 一 首 注 釈 書 略 解 題 ﹄ ︵ 百 人 一 首 注 釈 書 叢 刊 1 。 和 泉 書 院 、 一 九 九 九 年 十 一 月 ︶ ひ ゃ く に ん い っ し ゅ し ょ う 29 百 人 一 首 抄 享 和 四 年 跋 無 刊 記 刊 本 一 冊 二 六 ・ 四 × 一 九 ・ ○ セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 三 九 丁 。 石 原 正 明 ︵ 一 七 六 〇 ︱ 一 八 二 一 ︶ 著 。 正 明 版 下 。 巻 末 に ﹁ 享 和 四 年 甲 子 正 月 石 原 喜 左 衛 門 正 明 ﹂ の 自 跋 が あ る 。 初 版 本 の 一 本 で 、 こ の 年 ︵ 一 八 〇 四 ︶ 正 月 に 私 家 版 が 成 立 し た と い う 。 巻 首 貼 付 の 附 箋 に ﹁ 本 書 ハ 森 政 太 郎 ︵ 幕 府 右 筆 、 名 尹 祥 ︶ 蔵 為 家 卿 自 筆 本 ノ 模 本 ヲ 底 本 ト シ タ ル コ ト 跋 文 ニ 見 ユ 。 然 ル ニ 此 本 旧 蔵 者 黒 川 真 頼 氏 此 ノ 底 本 ノ 原 本 ナ ル 為 家 卿 自 筆 本 ヲ 得 テ 対 照 シ タ ル ニ 誤 ア ル ヲ 発 見 シ 朱 書 校 正 ヲ 為 シ タ ル モ ノ ナ リ 。 又 此 本 ハ 右 底 本 ヲ 著 者 ニ 提 供 シ タ ル 屋 代 弘 賢 翁 ︵ 不 忍 文 庫 ︶ 旧 蔵 本 也 ﹂ と 、 神 原 甚 造 の 考 証 が 記 さ れ る 。 ︵ 参 考 ︶ 吉 海 直 人 ﹃ 百 人 一 首 注 釈 書 略 解 題 ﹄ ︵ 百 人 一 首 注 釈 書 叢 刊 1 。 和 泉 書 院 、 一 九 九 九 年 十 一 月 ︶ 。 吉 海 直 人 ﹁ 百 人 一 首 抄 版 本 二 種 の 翻 刻 と 解 題 ︱ 幽 斎 抄 と 新 抄 と ︱ ﹂ ︵ 国 文 学 研 究 資 料 館 紀 要 第 十 四 号 、 昭 和 六 十 三 年 三 月 ︶ 。 −12−

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こ う か く て ん の う し ゅ が く い ん ご こ う お ん と う ざ わ か 30 光 格 天 皇 修 学 院 御 幸 御 当 座 和 歌 嘉 永 七 年 写 二 冊 二 三 ・ 六 × 一 四 ・ 七 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 上 全 三 ○ 丁 、 下 四 二 丁 。 光 格 天 皇 ︵ 一 七 七 一 ︱ 一 八 四 〇 ︶ が 仁 孝 天 皇 に 譲 位 し て 上 皇 と な ら れ て 以 後 、 文 政 七 年 九 月 の 御 幸 を 皮 切 り に し ば し ば 修 学 院 離 宮 へ 御 幸 さ れ 、 廷 臣 た ち と 当 座 和 歌 の 会 を 催 さ れ た 。 そ れ ら 歌 会 歌 を 集 成 し た も の 。 上 冊 に は 、 文 政 七 甲 申 年 ︵ 一 八 二 四 ︶ 九 月 二 十 一 日 の 御 当 座 和 歌 か ら 文 政 十 二 年 ︵ 一 八 二 九 ︶ 九 月 十 四 日 の 御 当 座 和 歌 ま で が 収 め ら れ 、 ﹁ 右 一 冊 自 倉 橋 借 用 令 書 写 了 / 嘉 永 七 年 右 衛 門 佐 延 栄 ﹂ ︵ 嘉 永 七 年 は 一 八 五 四 年 ︶ と 書 写 奥 書 が あ る 。 下 冊 に は 奥 書 は な い が 、 同 じ く 文 政 十 三 年 後 三 月 十 六 日 の 御 会 以 下 、 天 保 七 年 ︵ 一 八 三 六 ︶ 四 月 七 日 の 御 会 に 至 る ま で の 、 諸 会 の 詠 歌 が 収 め ら れ る 。 こ れ だ け 多 く の 修 学 院 歌 会 の 作 品 集 成 は 、 他 に は 見 ら れ な い 。 は な ま ち ち く し わ か し ゅ う 31 花 街 竹 枝 和 歌 集 安 政 三 年 写 一 冊 二 一 ・ 二 × 一 三 ・ ○ セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 八 丁 。 近 世 後 期 の 漢 詩 壇 に は 、 遊 里 を 題 材 に し た ﹁ 竹 枝 ﹂ 詩 が 流 行 し て い た 。 本 書 は 、 そ れ に 倣 い 、 吉 原 に 材 を と っ て 詠 作 し た 五 人 の 和 歌 作 品 を 集 成 し た も の 。 ﹁ 詩 に 竹 枝 詞 あ り 。 そ れ に な ら へ と に は あ ら ね ど 、 よ し は ら の 里 の う た お ほ く よ み て 見 せ よ と 、 か ら 歌 作 る 人 の せ ち に い ひ け れ ば 、 よ め る 歌 ど も 占 秋 ﹂ と し て 百 首 、 以 下 。 占 秋 ︵ 寺 山 虎 助 吾 鬘 ︶ ・ 西 垣 ︵ 加 藤 常 徳 行 虎 ︶ ・ 雪 衣 ︵ 小 林 歌 城 ︶ ・ 忠 周 ︵ 内 藤 歓 一 郎 忠 周 ︶ ・ 緑 昔 ︵ 力 石 勝 之 助 重 遠 ︶ の 作 品 を 収 め る 。 雪 衣 作 品 の 冒 頭 に ﹁ 丙 辰 孟 月 念 二 日 ﹂ 、 末 尾 に ﹁ 于 時 安 政 丙 辰 之 春 ﹂ 、 緑 昔 作 品 の 初 め に ﹁ 丙 辰 暮 春 念 二 夜 ﹂ と あ る の で 、 安 政 三 年 ︵ 一 八 五 六 ︶ 春 に 制 作 ・ 書 写 さ れ た 一 冊 で あ ろ う 。 せ ん だ い こ う も ん こ う ぎ ょ え い 32 仙 台 黄 門 公 御 詠 江 戸 後 期 写 か 一 冊 二 六 ・ 五 × 一 七 ・ 九 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 三 六 丁 。 初 代 仙 台 藩 主 伊 達 政 宗 ︵ 一 五 六 七 ︱ 一 六 三 六 ︶ の 家 集 。 元 禄 十 六 年 ︵ 一 七 〇 三 ︶ 成 立 。 も と 詩 歌 あ わ せ て 二 巻 の う ち 、 本 書 は 、 歌 集 の み の 写 本 。 巻 末 に 、 伊 達 吉 村 の 命 を 受 け て 編 纂 に 従 事 し た 首 藤 知 平 の 識 語 、 ﹁ 黄 門 公 君 大 慈 院 君 御 詩 歌 二 巻 同 / 御 曹 子 君 之 聊 拾 収 旧 記 等 説 及 人 共 所 在 白 依 / 類 編 之 書 以 進 献 焉 此 本 即 是 其 草 稿 也 / 元 禄 十 六 年 四 月 下 浣 藤 原 知 平 謹 書 ﹂ が あ り 、 さ ら に 、 ﹁ 右 御 詩 歌 相 原 惣 八 郎 所 蔵 寛 ︵ ? ︶ 永 七 年 五 月 / 以 小 田 源 左 衛 門 写 之 深 秘 勿 紛 失 也 ﹂ と の 奥 書 が あ る 。 近 世 後 期 の 書 写 か 。 こ が く せ ん せ い わ か し ゅ う 33 古 学 先 生 和 歌 集 江 戸 後 期 写 か 一 冊 二 四 ・ ○ × 一 六 ・ 三 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 八 丁 。 漢 学 者 伊 藤 仁 斎 ︵ 一 六 二 七 ︱ 一 七 〇 五 ︶ の 私 家 集 。 仁 斎 が 自 撰 自 点 し た ﹃ 和 歌 愚 草 ﹄ を も と に 、 孫 の 東 所 が 編 纂 し た も の で 、 詠 歌 二 八 七 首 を 収 録 す る 。 自 序 と 跋 が あ る と い う が 、 本 書 に は 見 え な い 。 −13−

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歌 集 の あ と の 最 末 尾 に 、 三 丁 表 裏 に わ た る 仮 名 長 文 の ﹁ 送 防 州 大 守 水 野 公 序 ﹂ が 付 載 さ れ ﹁ 天 和 壬 戌 之 歳 夏 四 月 十 六 日 伊 藤 維 貞 謹 拝 書 ﹂ と 記 さ れ て い る 。 江 戸 後 期 の 書 写 か 。 さ っ か か き ど め ち ょ う 34 [ 作 歌 書 留 帖 ] 橘 千 蔭 自 筆 稿 本 寛 政 十 二 ∼ 文 化 元 年 写 一 冊 一 四 ・ ○ × 二 ○ ・ 五 セ ン チ 。 薄 葉 、 下 部 袋 綴 。 全 七 九 丁 。 橘 千 蔭 ︵ 一 七 三 五 ︱ 一 八 〇 八 ︶ の 自 撰 自 筆 家 集 。 墨 付 七 七 丁 。 寛 政 十 一 年 ︵ 一 八 〇 〇 ︶ 秋 か ら 文 化 元 年 ︵ 一 八 〇 四 ︶ 秋 に 至 る 間 の 詠 歌 を 、 ほ ぼ 詠 作 順 に 整 理 し て い る と 見 ら れ る 歌 文 稿 。 途 中 、 一 四 丁 オ ﹁ 直 蔭 に し め す 文 ﹂ に ﹁ こ と し 又 申 の 年 に あ た り て ﹂ 、 二 一 丁 ウ 長 文 の 文 章 の 奥 に ﹁ 寛 政 十 二 年 九 月 ﹂ と あ っ て 、 こ の 前 後 は 寛 政 十 二 年 の 詠 。 三 一 丁 ウ ﹁ 縣 居 大 人 み う せ ま し て ﹂ 云 々 と あ る 真 淵 三 十 三 回 忌 詠 は 享 和 元 年 ︵ 一 八 〇 一 ︶ 詠 。 さ ら に 四 四 丁 ウ ﹁ む 月 に う る ふ あ る と し の 始 に ﹂ は 享 和 三 年 詠 と 判 明 す る 。 歌 題 の 並 び か ら 、 初 め は 一 年 前 、 最 後 は 一 年 後 ま で の 作 品 と 推 定 で き る 。 千 蔭 の 自 編 部 類 家 集 ﹃ う け ら が は な ﹄ 初 編 は 、 途 中 ﹁ 享 和 二 年 六 月 ﹂ ︵ 自 序 ︶ に 刊 行 さ れ て い る が 、 本 書 に よ れ ば ﹁ 奉 大 和 国 櫟 本 治 道 杜 太 前 歌 ﹂ の 長 歌 と ﹁ 追 灘 ﹂ 題 ﹁ 宮 人 の ﹂ 歌 も 収 め ら 、 そ れ が 前 記 享 和 三 年 詠 の 直 前 の 歌 な の で 、 初 編 に は 二 年 歳 末 ま で の 歌 を 収 め て 区 切 り と し た の だ と 思 わ れ る 。 そ し て そ れ 以 後 も 同 じ 本 書 冊 に 書 き 継 い で ゆ き 、 文 化 五 年 ︵ 一 八 〇 八 ︶ 刊 の 二 編 の 資 料 と さ れ た と 推 察 さ れ る 。 ﹃ う け ら が は な ﹄ に 撰 入 し た 歌 も 、 詞 書 き 部 分 で 異 な る も の 多 く 、 本 書 の 形 は 定 稿 の 一 段 階 前 の 姿 を 示 し て い る こ と に な る 。﹁ 作 歌 書 留 帖 ﹂ は 神 原 甚 造 に よ る 仮 題 。 ら ん け い よ こ う し ゅ う 35 蘭 渓 余 香 集 文 化 六 年 写 一 冊 二 五 ・ 三 × 一 七 ・ 二 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 ○ 丁 。 正 三 位 治 部 卿 に 至 っ た 藤 原 ︵ 富 小 路 ︶ 貞 直 ︵ 一 七 六 一 ︱ 一 八 三 七 ︶ の 他 撰 家 集 。 巻 尾 に ﹁ 文 化 六 稔 神 無 月 十 日 ま り 三 日 釈 信 教 記 ﹂ と 編 者 信 教 の 識 語 が あ り 、 文 化 六 年 ︵ 一 八 〇 九 ︶ の 成 立 と 見 ら れ る ︵ た だ し 文 化 十 二 年 の 作 品 も 見 え る ︶ 。 貞 直 か ら 賜 っ た 歌 の 類 を 貞 義 が 集 め 秘 し て い た も の を 、 釈 信 教 が 集 成 し た も の 。 冒 頭 に ﹁ 富 小 路 正 三 位 刑 部 卿 藤 原 朝 臣 貞 直 者 字 称 子 貞 一 時 従 / 当 今 兼 仁 天 皇 賜 屠 蘇 以 宸 翰 所 称 蘭 渓 先 生 也 云 々 ﹂ と あ り ︵ 兼 仁 は 光 格 天 皇 の 御 名 ︶、 書 名 の 由 来 が わ か る 。 か も の す え た か じ ひ つ え い そ う 36 賀 茂 季 鷹 自 筆 詠 草 天 保 六 年 写 一 冊 二 四 ・ 四 × 一 六 ・ 四 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 ○ 丁 。 加 茂 季 鷹 ︵ 一 七 五 四 ︱ 一 八 四 一 ︶ の 自 撰 自 筆 家 集 。 扉 表 に ﹁ た つ の と し よ り 巳 の 年 う ま の と し よ み し う た ﹂ と あ り 、 扉 裏 に ﹁ ゆ ら の と に 梶 を 絶 し は 昔 に て や す ら に 渡 る け ふ の た の し さ / 天 保 六 年 五 月 十 五 日 正 四 位 下 賀 茂 季 鷹 八 十 三 叟 / ﹂ と あ る の で 、 天 保 三 年 か ら 五 年 に か け て の 詠 草 を 、 六 年 ︵ 一 八 三 五 ︶ 五 月 に 集 成 し て 成 −14−

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立 し た 自 筆 家 集 と 知 れ る 。 同 じ 扉 裏 に ﹁ あ し ひ れ い や し う ﹂ の 書 付 け が あ る と こ ろ か ら 、 季 鷹 は ﹁ 馬 酔 木 怜 野 集 ﹂ を 書 名 と す る 意 図 が あ っ た の で は な い か と 見 ら れ る 。 さ く ら さ ん び ゃ く し ゅ 37 桜 三 百 首 文 久 元 年 写 一 冊 二 三 ・ 四 × 一 六 ・ 四 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 二 一 丁 。 本 居 宣 長 ︵ 一 七 三 〇 ︱ 一 八 〇 一 ︶ の 和 歌 作 品 。 ﹁ 桜 花 三 百 首 ﹂ は ﹃ 枕 の 山 ﹄ の 内 題 。 三 百 首 の 末 尾 に ﹁ 寛 政 十 二 年 十 月 十 八 日 本 居 宣 長 ﹂ と 詠 作 年 月 日 が 記 さ れ る 。 寛 政 十 二 年 は 一 八 ○ ○ 年 で あ る 。 そ の 宣 長 自 筆 本 を 、 文 久 元 年 ︵ 一 八 六 一 ︶ に 書 写 し た ︵ ﹁ 無 漏 廼 屋 奈 美 登 ﹂ は 未 勘 ︶ の が 本 書 で あ る が 、 本 作 は 詠 作 の 二 年 後 、 ﹃ 枕 の 山 ﹄ の 書 名 で ﹁ 享 和 二 年 壬 戌 之 夏 発 行 ﹂ さ れ て い る 。 ﹃ 本 居 宣 長 全 集 ﹄ 第 十 八 巻 ︵ 筑 摩 書 房 、 昭 和 四 十 八 年 三 月 ︶ 所 収 。 ︵ 奥 書 ︶ 宣 長 の 大 人 自 筆 桜 三 百 首 あ る 人 の も と よ り か り え て 翁 の / か き 玉 ひ し を 文 字 も か ん な も く だ り も 其 ま ゝ に 写 し 畢 ぬ / 文 久 元 年 三 月 十 四 日 無 漏 廼 屋 奈 美 登 け い え ん い っ し 38 桂 園 一 枝 天 保 十 三 年 写 一 冊 三 二 ・ 五 × 二 二 ・ 四 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 四 七 丁 。 香 川 景 樹 ︵ 一 七 六 八 ︱ 一 八 四 三 ︶ の 自 撰 家 集 。 文 政 十 一 年 ︵ 一 八 二 八 ︶ 成 立 。 文 政 十 三 年 に 刊 行 さ れ た 。 冒 頭 に 、 門 人 平 清 樹 に よ る ﹁ 文 政 十 一 年 か ん な 月 の す ゑ ﹂ の 序 文 が あ る 。 門 人 た ち の 強 い 勧 め に よ り 厳 選 を 重 ね て 成 っ た 家 集 で 、 ﹁ 桂 園 ﹂ は 香 川 家 世 襲 の 号 。 桂 園 派 の 代 表 的 歌 集 と さ れ 、 景 樹 も 門 人 た ち に こ れ を 講 じ 、 ﹃ 桂 園 一 枝 講 義 ﹄ を 残 し た 。 本 書 は 、 巻 末 に ﹁ 天 保 十 二 丑 仲 夏 お ほ の ゝ ひ さ な り う つ す ﹂ と あ る の で 、 天 保 十 二 年 ︵ 一 八 四 一 ︶ 大 野 久 成 に よ る 写 本 で あ る が 、 序 文 の 版 下 記 者 ﹁ 源 斐 雄 書 之 ﹂ を 書 記 し て い る こ と か ら 、 版 本 の 写 し と 見 な さ れ る 。 い ろ は 39 伊 路 波 ︵ 朝 鮮 版 ︶ ︵ 孤 本 ︶ 弘 治 五 年 刊 一 冊 三 ○ ・ ○ × 二 ○ ・ 六 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 二 二 丁 。 本 書 は 、 朝 鮮 銅 活 字 本 で 、 刊 記 に ﹁ 弘 治 五 年 秋 八 月 ﹂ と あ り 、 一 四 二 九 年 に 刊 行 さ れ た も の 。 内 容 は 、 日 本 語 の 文 字 を 説 明 す る ﹁ 伊 路 波 四 体 字 母 各 四 十 七 字 ﹂ と 、 候 文 体 の 書 簡 文 例 集 で あ る ﹁ 伊 路 波 合 用 言 語 格 ﹂ の 二 部 か ら 成 る 。 一 四 四 六 年 に 国 字 と し て 公 布 さ れ た 諺 文 ︵ ハ ン グ ル ︶ を 用 い て 説 明 し て あ り 、 朝 鮮 人 で 日 本 語 を 学 習 す る 者 の た め の 教 科 書 と し て 編 集 さ れ 、 使 用 さ れ た 本 で あ っ た こ と が 判 る 。 ︵ 複 製 ︶ ﹃ 朝 鮮 版 伊 路 波 ﹄ ︵ 昭 和 三 十 四 年 五 月 、 香 川 大 学 開 学 十 周 年 記 念 ﹁ 伊 路 波 ﹂ 刊 行 委 員 会 ︶ 。 ﹃ 弘 治 五 年 朝 鮮 版 伊 路 波 本 文 ・ 釈 −15−

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文 ・ 解 題 ﹄ ︵ 昭 和 四 十 年 七 月 、 京 都 大 学 国 文 学 会 ︶ 。 ﹃ 弘 治 五 年 版 伊 路 波 本 文 と 索 引 ﹄ ︵ 昭 和 四 十 七 年 十 一 月 、 洛 文 社 ︶ 。 せ ん じ も ん 40 千 字 文 ︵ 朝 鮮 版 ︶ 萬 暦 十 一 年 刊 一 冊 三 三 ・ 二 × 二 五 ・ 二 セ ン チ 。 厚 手 楮 紙 、 袋 綴 。 全 四 二 丁 。 諺 文 ︵ ハ ン グ ル ︶ 釈 ・ 音 付 き の ﹁ 千 字 文 ﹂ 。 ﹁ 萬 暦 十 一 年 正 月 日 副 司 果 臣 韓 奉 教 書 ﹂ の 刊 記 が あ る 。 萬 暦 十 一 年 は 西 暦 一 五 八 三 年 で 、 秀 吉 の 朝 鮮 出 兵 ︵ 壬 辰 の 乱 ︶ の 九 年 前 に あ た る 。 内 閣 文 庫 に 、 同 じ 刊 記 を も つ ﹃ 石 峰 千 字 文 ﹄ ︵ 初 刊 本 ︶ ︵ ﹁ 石 峰 ﹂ は 韓 の 号 ︶ が あ り 、 本 書 は 、 そ の 釈 ・ 音 に 若 干 の 手 が 加 え ら れ て は い る が 、 数 多 い 重 刊 本 の 中 で は 、 最 も 初 刊 本 に 近 い と い う 。 ﹁ 英 王 堂 蔵 書 ﹂ ﹁ 仁 寿 山 荘 ﹂ ︵ 仁 寿 山 学 問 所 ︶ の 蔵 書 印 記 が あ る 。 ︵ 参 考 ︶ 高 山 知 明 ﹁ 神 原 文 庫 所 蔵 朝 鮮 版 ﹃ 千 字 文 ﹄ ︵ 一 冊 ︶ ﹂ ︵ 香 川 大 学 附 属 図 書 館 ﹃ と し ょ か ん だ よ り ﹄ 二 十 二 号 、 一 九 九 六 年 六 月 ︶ あ ら し は む じ ょ う も の が た り 41 嵐 無 常 物 語 ︵ 下 巻 零 本 ︶ ︵ 孤 本 ︶ 一 冊 二 二 ・ 二 × 一 六 ・ 二 セ ン チ 。 楮 紙 、 袋 綴 。 全 一 八 丁 。 ﹁ 嵐 無 常 物 語 ﹂ は 実 在 の 嵐 三 郎 四 郎 の 最 期 を 主 題 と す る 、 井 原 西 鶴 浮 世 草 子 の 一 小 品 ︵ 版 下 も 西 鶴 ︶ 。 巻 末 に ﹁ 貞 享 五 戊 辰 年 / 三 月 中 旬 ﹂ と 刊 記 が あ り ︵ 貞 享 五 年 は 一 六 八 八 ︶ 、 天 理 図 書 館 で 先 に 発 見 さ れ て い た 上 巻 ︵ 零 本 ︶ と 種 々 符 合 す る と こ ろ が あ っ て 、 そ の ツ レ と 認 定 さ れ た 。 本 書 の 出 現 に よ っ て 物 語 の 全 容 が 判 り 、 西 鶴 の 創 作 歴 の 不 明 部 分 も 解 明 さ れ た 。 ︵ 参 考 ︶ 野 間 光 辰 ﹁ 再 説 嵐 無 常 物 語 ﹂ ︵ ﹃ ビ ブ リ ア ﹄ 二 十 八 号 、 昭 和 三 十 九 年 八 月 ︶ 。 ﹃ 定 本 西 鶴 全 集 ﹄ 第 六 巻 ・ 十 一 巻 下 ︵ 中 央 公 論 社 ︶ 。 ﹃ 対 訳 西 鶴 全 集 ﹄ 第 四 巻 ︵ 明 治 書 院 、 平 成 四 年 ︶ 。 42 古 筆 手 鑑 ︵ 無 銘 ︶ 一 帖 ﹁ 古 筆 ﹂ と は 、 一 般 に 、 平 安 時 代 か ら 鎌 倉 時 代 ま で く ら い の 、 仮 名 を 中 心 と し た 古 い 時 代 の 名 筆 を 指 す 歌 学 用 語 で あ る が 、 ﹁ 切 れ ﹂ と し て 伝 存 す る も の が 多 い 。 そ し て ﹁ 手 鑑 ﹂ は 、 ﹁ 古 筆 資 料 を 系 統 的 に 収 集 し 、 貼 り 合 わ せ た 折 帖 仕 立 て の も の 。 は じ め は 古 筆 家 が 筆 跡 鑑 定 の た め 、 標 準 と な る 代 表 的 な 古 筆 切 を 集 め た と こ ろ か ら 発 生 し た も の ら し い が 、 の ち に は 収 集 ・ 鑑 賞 そ の も の が 目 的 と な り 、 流 行 を み た 。 貼 り 方 に は 一 応 の 基 準 が あ り 、 ま ず 第 一 面 に は 伝 聖 武 天 皇 筆 の ﹁ 大 聖 武 ︵ お お じ ょ う む ︶ ﹂ と 呼 ば れ る 経 切 か ら は じ ま り 、 天 皇 ・ 皇 后 ・ 摂 関 ・ 能 書 ・ 歌 人 ・ 武 将 な ど の 筆 跡 が つ づ き 、 裏 面 は 聖 徳 太 子 ・ 藤 原 鎌 足 ・ 菅 原 道 真 ら か ら は じ ま り 、 僧 侶 ・ 二 条 家 ・ 冷 泉 家 ・ 女 流 ・ 連 歌 師 な ど の 筆 跡 が つ づ く 。 手 鑑 に よ り 多 少 の 違 い は あ る が 、 一 流 の 手 鑑 は 大 体 右 の よ う に な っ て い て 、 そ れ ぞ れ の 内 部 で は ほ ぼ 時 代 順 に な っ て い る 。 京 都 国 立 博 物 館 蔵 ﹃ 藻 塩 草 ﹄ 、 M O A 美 術 館 蔵 ﹃ 翰 墨 城 ﹄ 、 出 光 美 術 館 蔵 ﹃ 見 ぬ 世 の 友 ﹄ の 三 大 手 鑑 に 、 陽 明 文 庫 の ﹃ 大 手 鑑 ﹄ の 四 点 が 特 に す ぐ れ 、 国 宝 に 指 定 さ れ て い る 。 −16−

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古 筆 資 料 の い わ ば 宝 庫 で あ り 、 歌 集 の 断 簡 も 多 く 、 歌 集 本 文 の 研 究 に と っ て は き わ め て 貴 重 な 資 料 集 と い え る 。 ﹂︵ ﹃ 和 歌 大 辞 典 ﹄﹁ 手 鑑 ﹂ 久 保 木 哲 夫 執 筆 ︶ と い う 。 本 手 鑑 も 、 基 本 的 な 型 は 押 さ え ら れ て い る が 、 細 部 の 配 列 は か な り 自 在 で 破 格 も あ る よ う に 見 え る 。 江 戸 中 期 に 制 作 さ れ た も の か 。 −17−

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