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日本の学校におけるピア・サポートの体系的な理解の試み-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学教育実践総合研究(Bun.Educ.Res.712d.jl:)ag/9.瓦α即wa5碩,16:169−179,2008

日本の学校におけるピア・サポートの体系的な理解の試み

中尾亜紀・戸田有一*・宮前義和**

 大阪市立萩之茶屋小学校 *大阪教育大学教育学部 ¨香川大学教育学部附属教育実践総合センター ¨760-8522 高松市幸町1−1 香川大学教育学部

Three‘Dimensions

to Categorise Peer Support Practice in

       Japanese Schools

Aki Nakao, Yuichi Toda

and Yoshikazu

Miyamae

¨Fαc 「印げ£ゐ。z沁,1,瓦αgαwαa,jv・sjり4 7-7,Sα泌αj-cゐ。,72迪a。αzsz,76θ-∂j22

要 旨 本研究では,学校におけるピア・サポートを体系的に理解するための試みとして,

調査を行った。調査結果を検討したところ,実施規模,実践の特徴,トレーニングと支援活

動の有無という次元による分類が,体系的な理解に有用であろうと思われた。実践を分類し

たところ,「全校規模で,特定の子どもたちへのトレーニングと支援活動を行った」例と,

「学年や学級の子どもたち全員へのトレーニングと支援活動を行った」例が多かった。

キーワード ピア・サポート,多様性,教育相談,学校,分類

問題

 ピア・サポートは,広義には,「支援を受け る側と,年齢や社会的な条件が似通っている者 (ピア・サポーター)による,社会的支援(ソー シャル・サポート)」と定義されている(戸田, 2001)。ピア・サポートは,必ずしも学校での み行われるものではないが,近年,教育相談の 一環として学校敦育に生かされている。  学校におけるピア・サポートは,例えば,「子 どもたちの対人関係能力や自己表現能力等,社 会に生きる力がきわめて不足している現状を改 善するための学校敦育活動の一環として,教師 の指導・援助のもとに子どもたち相互の人間 関係を豊かにするための学習の場を各学校の実 態に応じて設定し,そこで得た知識やスキル        ー (技術)をもとに仲間を思いやり,支える実 践活動をピア・サポート活動と呼ぶ。」(森川, 2002)と定義づけられている。しかし,ピア・ サポートという同一の名称を用いていても,社 会的支援を行うピア・サポーターのトレーニン グに力点をおいている実践もあれば,特にピ ア・サポーターヘのトレーニングは行わずに社 会的支援のみをとりあげている実践もある。ま た,ピア・サポーターヘのトレーニングと社会 的支援の両者を行っている例もある。  このように学校におけるピア・サポートの 内容は多様である。森川(2002)の述べるよう に ピア・サポートの内容は各学校の実態に応 じて決められるとしても,どのような実践が現 在なされているのかを体系的に理解すること は,今後のピア・サポートの充実,発展のため 169−

(2)

にきわめて重要であろう。そこで,本研究で

は,小学校,中学校,高校に調査を行い,学校

におけるピア・サポートを体系的に理解するた

めの観点について検討することを目的とする。

方法

1.調査対象

 学会誌,紀要,教育関連一般誌,インター

ネット上でピア・サポートを実践したことを公

表している小学校14校,中学校22校,高校5校

(計41校)を調査対象とした。

2.訓査票の作成  調査票を作成する際には,回答者の負担をで きるだけ軽減するために項目を精選すること, 例示,矢印等を用いてわかりやすいものを作成 することに留意した。  調査票の冒頭には,「ピア,サポートとは, 広義には『支援を受ける側と年齢や社会的な条 件が似通っている者(ピア・サポーター)による, 共同体における社会的支援(ソーシャル・サポー ト)』を意昧しています。」と定義した上で,で きるだけ多様なピア・サポートをとりあげるこ とができるように「なお,本調査では,ピア・ サポーターのトレーニングを中心としている場 合も,特にピア・サポーターのトレーニングを 行わず支援活動をしている場合も,ピア・サ ポーターのトレーニングに加え支援活勤をして いる場合も,いずれの場合もピア・サポートで あると考えています。」と記述をした。  調査内容は,表1にまとめた。調査内容は, 学会誌,紀要,敦育関連一般誌,インターネッ ト上で公開されているピア・サポートの実践内 容を踏まえて作成した。  まず,調査校におけるピア・サポートについ 児童・生徒をピア,サポーターとして位置づけ たのかを質問した。  次に ピア・サポーターによる支援活動を 行っていた学校に支援対象についてたずね た。また,森定・戸田(2002)を参考に ピア・ サポーターと支援を受ける人々との関係性をと りあげた。すなわち,ピア・サポートにおいて, 同輩性(ピア・サポーターと支援を受ける人々 が年齢的に似通っていること)と同廿【生(ピア・ サポーターと支援を受ける人々が,類似した経 験や課題を有していること)を,どの程度考慮 したかをたずねた。  そして,ピア・サポーターに対するトレーニ ングを実施した学校に トレーニングを敦育課 程上に位置づけていたかどうかをたずねた。ま た,支援活勁を実施した学校に,支援活勤を敦 育課程上に位置づけていたかどうか,また支援 活動の内容を質問した。最後に ピア・サポー ターヘのスーパービジョン及び効果の評定につ いてたずねた。  調査票は,ピア・サポートを実践したことの ある中学校教員,高校敦員,各1名に内容を詳 しく見てもらい,修正を加えた後,最終版を完 成させた。

3.手続き

 調査票を各学校に配布する前に,調査対象と

した全学校に第2著者と第3著者が電話をか

け,研究について説明をした上で,調査への協

力を依頼した。なお,ピア・サポートを中心的

に実践していた敦員が異動していた場合には,

異動先の学校に電話をして調査への協力を求め

た。

 その後,研究に同意の得られた学校に2004

年11月から12月にかけて調査票を郵送した。

て,1993年以前に実施していたかどうか(先駆  結果と考察

性),実践を継続しているかどうか(継続性)

等をたずねた。そして,最近実施したピア・サ  1.有効回答

ポートについて,実施規模,専門家等の関与,  研究に協力の得られた学校は,小学校14校,

ピア・サポーターヘのトレーニングの有無,支  中学校19校,高校5校であった。学校の中に

援活動の有無,効果の評定の有無,どのような  は,以前はピア・サポートを盛んに行っていた

170

(3)

調査内容 問I−1 実践期間 問I−2最近寞施したピア・サポート 表1 ピア・サポートに関する調査内容 質問 I 先駆性 継続性 ( ( ( ( 。訓査粒におけるピア・サポートについて 1)1993年度以前にピア・サポートを実施していましたか。 2)1994年度以降,現在までの各年度において,ピア・サポートを実施していた時期を記して  ください。 3)途中,活動の休止時期がなかった場合,継続が可能であった理由を記してください。 4)どのような経緯でピア・サポートを始めましたか。具体的に記していただくとともにあて  はまる記号をすべて選び,0をっけてください。 a,教師(学校側)からの発案で開始した b.専門家からの発案で開始した c.児童・生徒からの発案で開始した d,ピア・サポートを始めた際の実施者が異勣したため,どのように開始したかわからない e.その他 (5)2004年度,1ぞア・サポートを実施している場合に,お答えください。  今後もピア・サポートを続けていく予定ですか る記号を一つ選び,0をつけていただくとともに  a.ピア・サポートを続けていく  b.今年度限りの予定である それとも今年度限りの予定ですか。あてはま 問いにお答えください。 「今年度限りの予定である」と回答された場合は,続けていかない理由を記してください。 (い活動期間 (2)活勤名(もしありましたら,お答えください) (3)ビア・サポートを中心的に実施された方のお名前と校務分掌 問エー3 ピア・サポートの内容1’ 実施規模 几甘詰毘肘昌脳m帽洽頂大゛。にil尚2ぢ−9ごoo        a,学級全体 →実施した学年:        b.学年全体 →実施した学年:        c.全校        d.校種をまたがって →実施した校種:        e.その他        。 (2)ピア・サポートを行うにあたって,貴校の児童・生徒の他に,以下の人々の関わりがあり        専門尿等  ましたか。各項目について,あてはまる記号を一つ選び,0をつけていただくとともに,問        の関与   いにお答えください。        ①ピア・サポートを中心的に実施された方以外の貴校の教員       a.関わりがあった       b.関わりはなかった        [関わりがあった]と回答された場合は,どのような関わりがあったのかを具体的に記してく       ださい。        ②保護者       a.関わりがあった       b.関わりはなかった        「関わりがあった」と回答された場合は,どのような関わりがあったのかを具体的に記してく       ださい。        ②地域の人々       a.関わりがあった       b.関わりはなかった        「関わりがあった」と回答された場合は,どのような関わりがあったのかを具体的に記してく       ださい。       (3)ピア・サポートを進めるにあたり,貴校の敦員以外に専門家の関与がありましたか。あて       はまる記号を一つ選び,0をっけていただくとともに問いにお答えください。        a,専門家の関与があった        b.専門家の関与はなかった        「専門家の関与があった」と回答された場合は,以下の問いにお答えください。        その専門家は,どのような立場の方でしたか。あてはまる記号をすべて選び,0をつけていた       だくとともに,その人数を記してください。        a.スクールカウンセラー(大学教員は除O →  人        b.大学教員 →  人        c,大学教員かつスクールカウンセラー →  人        d.教育センターの研究員 →  人        e.敦育委員会の指導主事 →  人        f.その他 →  人       (4)ピア・サポートに際して以下の事柄を実施しましたか。各項目について,あてはまる記号       をーつ選び,0をつけてください。 171

(4)

問I−4 ピア・サポーター 問I−5支援を受ける人々       (ビア・サポーターに      よる支援活動を実施し      た学校のみ) 問I−6 ピア・サポーターと      支援を受ける人々との      関係       (ピア・サポーターに      よる支援活動を実施し      た学校のみ) 問H トレーニング トレーニング ①ビア・サポーターに対するトレーニング         a.実施した         ♭.実施しなかった 支援活融 ②ピア・サポーターによゐ支援活動         a.実施した         ♭.実施しなかった 評定   ③ピア・サポーlヽの効果の評定         a.実施した         ♭.実施しなかった        どのような児童・生徒を,ピア,サポーターとして位萱づけましたか.       て選ぴ,○をつけていただくとともに.問いにお答えください. あてはまる記号をすベ 希望者  a.学校の児童・生徒全員に希望者を募り,ピア・サポーターとして位置づけた       ♭。学校の「一部の児童・生徒」に希望者を募り,ピア・サポーターとして位置づけた        一「一部の児童・生徒」の具体的な内容:       c.委員会・生徒会活動に従事する児童・生徒をピア・サポーターとして位置づけた        →具体的な委員会・生徒会名: 全員   d.学級の児童・生徒全員をピア・サポーターとして位置づけた       e,李年の児童・生徒全員をピア・サポーターとして位置づけた       f.学校の児童・生徒全員をピア・サポーターとして位置づけた       g・その他       支援を受ける対象として以下の人々をどの程度想定しましたか。各項目について,下の基準を 支援対象参考に ,あてはまる数字をーつ選ぴ,0をつけてください。       (基準:1(ほとんど想定しなか。た)∼4(はっきり艶定した))       a.ピア・サポーターと同じ学級の児童・生徒       b.ピア・サポーターと同じ学年の児童・生徒       c.ピア・サポーターと同じ学校の児童・生徒       d.ピア・サポーターとは異なる学年の兇童・生徒       e.ピア・サポーターと類似した経験や課題を有した児童・生徒       f.教員       g.家族や地域の人々       e.その他 関俑性  (1)「ピア・サポーターと支援を受ける人々が,年齢的に似通っていること」(以下,同輩性)  ’`    についてお聞きします。       ①ピア・サポートにおいて,「同輩性」をどの程度考盧しましたか。あてはまる記号を一つ選び,        0をつけていただくとともに。問いにお答えください。        a.全く考慮しなかった        ♭。あまり考慮しなかった        c.少し考慮した        d.十分考慮した       「少し考盧した」あるいは[十分考盧した]と回答された場合,「同輩性」を,どのようにピア・      サポートの内容に反映させましたか。具体的に記してください。       ②ピア・サポートにおける「同輩性」の長所,短所を記してください。特に「同輩性」を考慮        しなかったという場合には,想定される長所,短所をお書きください。       (2)「ピア・サポーターと支援を受ける人々が,類似した経験や課題を有していること」(以下,        同士性)についてお聞きします。       ①ピア・サポートにおいて,「同士│斐」をどの狸度考盧しまLたか。あてはまる記号を一つ選ぴ,        0をつけていただくとともに,問いにお答えください。        a.全く考盧しなかった        b.あまり考盧しなかった        c.少し考慮した        d.十分考慮した       「少し考盧した」あるいは「十分考盧した」と回答された場合,「類似した経験や課題」の内容      はどういったものでLたか。またそうLた「同士性」を,どのようにピア・サポートの内容に      反映させましたか。具体的に記してください。       ②ピア・サポートにおける「同士i」の長所,短所を記してください。特に「同士性」を考慮        しなかったという場合には,想定される長所,短所をお書きください。 一一一---一一一一----・d・---d----d一一--一一一・一d-d-d--・・d-dd---‥---一一---一一-一一---一一---    II.ピア・サポーターに対するトレーニングについて  (1ぞア・サポーターに対するトレーニングを実施した学校のみ) 教=”課程 ピア・サポーターに対するトレーニングを。教育諜程上にどのように位置づけましたか。あて 上 ;1 位置はまる記号をすべて選ぴ・○を9けていただくとともに。聞いにお答えください。 づけ   ア特別恬動       →具体的には:a.学級活動 b.児童会・生徒会活動 c.クラプ恬動 d.学校行事       イ各教科 一具体的な教科名: 一 172 −

(5)

問Ⅲ−1 支援活動 問Ⅲ−2 スーパービジョン 問Ⅳ 効果の評定       ウ 総 合 的 な 学 習 の 時 間       工 道 穂       オ 特 に 教 育 課 程 上 に は 位 置 づ け て い な い       カ そ の 他 皿 ■ - - ■ - - ■ ■ 一 麗 ■ ■ ■ - ■ ■ ■ ■ ■ ■ ㎜ ■ ■ ■ ■ ■ ㎜ ■ ■ ㎜ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ㎜ ■ ■ ■ ■ ■ ㎜ ■ ■ ㎜ - ■ ■ ■ ■ ■ ■ - ■ ■ - ■ - ■ - ■ ■ - ■ - ■ ■ ■ ■ ■ ■ - ■・ - M ■ - ㎡ 麗 - - - ■ - ㎡ ・ ■ ■ ■ ■ ■ 鋪 - - ■・ - ■ - ■ ■ ・ S 一 晶 - - ■、 -・ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■       Ⅲ 。 支 援 活 勧 と ス ー パ ー ビ ジ ョ ン に つ い て       〔 ピ ア ・ サ ポ ー タ ー に よ る 支 援 恬 動 を 実 施 し た 学 校 の み 〕 教 育 課 程 ( 1 ) ピ ア ’ サ ポ ー タ ー に よ る 支 援 活 動 を , 教 育 課 程 上 に ど の よ う に 位 置 づ け ま し た か 。 あ て は 上 の 位 i     ま る 記 号 を す べ て 選 ぴ , 0 を つ け て い た だ く と と も に , 問 い に お 答 え く だ さ い 。 づ け       ア 特 別 活 動       → 具 体 的 に は : a . 学 級 活 動   ♭ 。 児 童 会 ・ 生 徒 会 活 動   c . ク ラ プ 活 動   d . 学 校 行 事       イ 各 教 科   → 具 体 的 な 教 科 名 :       ウ 総 合 的 な 学 習 の 時 関       工 道 穂       オ 特 に 教 育 課 程 上 に は 位 置 づ け て い な い       カ そ の 他 支 援 活 動 ( 2 ) 1 ぞ ア ・ サ ポ ー タ ー に よ る 支 援 活 動 を 以 下 に あ げ て い ま す 。 そ れ ぞ れ の 支 援 活 動 の 取 り 組 み の 内 容       の 程 度 に つ い て , 下 の 基 準 を 参 考 に , あ で は ま る 数 字 を 一 つ 選 ぴ , 0 を つ け て く だ さ い 。       ( 基 準 : 1 ( 全 く 取 り 組 ま な か っ た ) 一 一 4 ( 重 点 的 に 取 り 組 ん だ ) )       ① 相 談 活 動       a . 面 接 に よ る 相 談       ♭ 。 メ ー ル 相 談       c . 紙 上 相 談       d . 改 ま っ た 場 で は な く , 日 常 生 活 の 中 で 友 達 の 相 談 に の る       e . そ の 他 の 相 談 活 動       ② 下 籤 生 へ の お 世 話 活 動       ③ 援 助 を 必 要 と し て い る 人 へ の 相 談 活 動 以 外 の 支 援       ④ 学 習 に 関 す る 支 援       ⑤ 学 級 や 学 校 に お け る 円 滑 な 人 間 関 係 の 維 持 や 発 展 に 貢 献 す る       ⑥ リ ー ダ ー と な っ て 他 の 子 を ま と め 。 導 く       ⑦ メ ン タ ル ヘ ル ス に 関 す る P R を 行 う       ( l ピ ア ・ サ ポ ー タ ー 白 身 が 支 援 活 動 の 内 容 を 考 え , 実 行 す る       ⑨ そ の 他 の 支 援 活 動 ス ー パ ー   ピ ア ・ サ ポ ー タ ー ヘ の ス ー パ ー ビ ジ ョ ン を 行 い ま し た か 。 あ て は ま る 記 号 を 一 つ 選 ぴ 。 0 を つ ビ ジ ョ ン け て く だ さ い 。       a . 行 っ た       b . 行 わ な か っ た       「 行 っ た 」 と 回 答 さ れ た 場 合 は , 以 下 の 問 い に お 答 え く だ さ い 。 ス ー パ ー ピ ジ ョ ン は ど の よ う な       立 場 の 方 が 行 い ま し た か 。 あ て は ま る 記 号 を す べ て 選 ぴ , C を つ け て く だ さ い 。       a . 貴 校 の 教 員       b . ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー ( 大 学 教 員 は 除 く )       c . 大 学 教 員       d . 大 学 教 員 か つ ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー       e . 教 育 セ ン タ ー の 研 究 員       £ 教 育 委 員 会 の 指 導 主 事       g . そ の 他 ミ ー 一 d S b d d d -  -  -  I V . ピ ア ・ サ ポ ー ト の 効 果 の 評 定 に つ い て       ( ピ ア ・ サ ポ ー ト の 効 果 の 評 定 を 実 施 し た 学 校 の み ) 。 , , a 。       以 下 の 方 法 を 用 い て , ピ ア ・ サ ポ ー ト の 効 果 を 評 定 し ま し た か 。 各 項 目 に つ い て , あ て は ま る 評 疋     記 号 を 一 つ 選 ぴ , 0 を つ け て く だ さ い 。       ① 質 問 紙 に よ る 評 定       a . 行 っ た       b . 行 わ な か っ た       ② 面 接 ( 聞 き 取 り ) に よ る 評 定       a . 行 っ た       b . 行 わ な か っ た       ③ 観 察 に よ る 評 定       a . 行 っ た       b . 行 わ な か っ た       ④ そ の 他 に 行 っ た 評 定 方 法 1)以下の質問はすべて,「最近実施したピア・サポート」(問I−2)に関するものである。 一 173 −

(6)

が今はあまり行っておらず回答を得られなかっ た学校もあった。  有効な回答が得られた学校は,小学校n 校(78.6%),中学校13校(68j%),高校5校 (100%)であった。郵送による調査であったに もかかわらず,比較的高い有効回答率が得られ たのは,直接電話をかけて研究への協力を求め たためだと思われる。 2.ピア・サポートの体系的な理解の試み  (1)調査結果の一覧表の作成と分類するため   の次元の模索  調査結果を,表2にあるように一覧表にまと めた。次に互いに実践の違いが明らかになる ように分類するための次元を模索した。その際 には,従来のピア・サポートに関する研究や実 践を踏まえることで,臨床的に有用な次元が得 られるように留意した。  まず,着目した事柄は,ピア・サポートの実 施規模,どのような児童・生徒をピア・サポー ターとして位置づけたのか,支援活動の有無で ある。ピア・サポートは,全校で実践するべき であるという考え方がある。その一方で,学年 や学撒を活勤単位とした実践もある。また,ピ ア・サポーターを募集している実践もあれば, 募集はせずに学年や学級の子どもたち全員にト レーニングを行う例もある。支援活動について は,明確に位置づける実践もあれば,子どもた ちの自主性に任される場合もある。  ピア・サポートの実践の特徴にも注目した。 池本(2001)は,ピア・サポートを「コミュニ ティ育成型」と「ピア・サポーター養成型」に 分けている。「コミュニティ育成型」とは,学 校や学年,学級の雰囲気をよりよいものにする ためにコミュニティ全体に働きかけていく実践 であり,「ピア・サポーター養成型」とは,ピア・ サポーターを養成して支援活動を行っていく実 践である。  また,森定・戸田(2002)のあげている,ピ ア・サポーターと支援を受ける人々との関係性 (同輩性,同士性)にも着目した。  試行錯誤を繰り返した結果,多様なピア・サ        ー ポートを分類し,体系的に理解する上で有用で あろうと思われた次元は,実施規模,実践の特 徴,トレーニングと支援活動の有無であった。  (2)ピア・サポートの分類  実施規模,実践の特徴,トレーニングと支援 活動の有無という次元に従って実践を分類した 結果を,図1に示した。最初の次元は,実施規 模である。[全校],「学級や学年」,「その他」 に分けている。「その他」には,校種をまたがっ た実践や,一部の子どもたちにトレーニング を行った実践等が含まれる。次の次元は,実 践の特徴(「コミュニティ育成型」,「ピア・サ ポーター養成型」)である。学校や学年,学級 というコミュニティ全員にトレーニングを行っ たり,全員が支援活動を実施している場合は, 「コミュニティ育成型」に含めた。また,学級 委員長や希望者など特定の子どもたちにトレー ニングを行う場合を,「ピア・サポーター養成 型」とした。最後の次元は,トレーニングと支 援活勤の有無である。  最も多く見られた実践は,「全校規模で,特 定の子どもたち(ピア・サポーター)へのトレー ニングと支援活動を行った」例であった(9実 践,31.0%)。次に多かったのは,「学年や学級 の子どもたち全員へのトレーニングと支援活動 を行った」例であった(7実践,24.1%)。  「実施規模は全校であり,学年や学級,学校 の子どもたち全員(コミュニティの子どもたち 全員)にトレーニングを行い,支援活動を実施 した]例(3実践,10.3%)や「学年や学級に おいて,特定の子どもたちへのトレーニングと 支援活動を行った」例(4実践,13.8%),「学 年や学級,全校規模での活動ではないが,特定 の子どもたちにトレーニングを行い,支援活動 を実施した」例(4実践,13.8%)も,複数見 られた。  (3)実践例の特徴  数多く見られた実践例の特徴をまとめてみ ると,「全校規模で,特定の子どもたちへのト レーニングと支援活動を行った」例では,全校 規模でピア・サポートを行っているためだと思 われるが,8実践(88.9%)で中心実施者以外 174 −

(7)

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(8)

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(9)

全校における

活動(13汗

学年や学級にお ける活勤(12) その他(6) コミュニティ 育成型(4) ピア・サポーター 養成型(9)

コミュニティ

育成型(8)

ピア・サポーター 養成型(5)

コミュニティ

育成型(1)

ピア・サポーター 育成型(4) 1 トレーニング,支援活動あり(3),10,3%2) 例.ある学年の児童仝員にトレーニングを行い,下級生   に対するお世話活動を支援活動として行った実践 支援活動のみ(1),3.4% 例.特にはトレーニングを行わなかったが,ある学級の   生徒全員が他の学年の生徒のリーダーとなるような   活勤を支援活勤として行った実践 トレーニング,支援活動あり(9),31.0% 例.全校生徒に希望者を募り,集まった生徒にトレーニ   ングを行い,全校生徒向けの相談活動を行った実践 トレーニング,支援活勣あり(7),24.1% 例.ある学年の生徒全員にトレーニングを行い,各生徒   が支援活動の計画をたてた実践  トレーニングのみ(1),3.4% 例.ある学級の児童全員にトレーニングを行い,特に支   援活動は行わずに,ピア・サポートヘの意識づけの   み行った実践 トレーニング,支援活動あり(4),13.8% 例.ある学年で希望者を募り,学級等で行う支援活動の   計画を各自がたてた実践 トレーニングのみ(1),3.4% 例.学級の委員長を対象にトレーニングを行い,特に   支援活動は行わずに,ピア・サポートヘの意識づけ   のみ行った実践 トレーニング,支援活動あり(1),3.4% 例.学校種をまたがった枠組みで行い,ある学年の生徒   全員にトレーニングを行い,下級生に対するお世話   活動を支援活動として行った実践 トレーニング,支援活勣あり(4),13.8% 例.部活動の部長などを対象にトレーニングを行い,   リーダーとして他の生徒を導くような活動を支援活   動として行った実践

ピア・サポートの分類

1)( )内の数値は実践数をあらわす。なお,重複して分類されている実践もある。 2)それぞれの実践形態が有効な回答の得られた全学校(29校)のうち,どれだけの割合で見られたかをあらわす。 −177−

(10)

の敦員の関与があった。ま,た,全実践で専門家 が関与していた。そして,ピア,サポーター ヘのスーパービジョンを,8実践(88.9%)で 行っていた。さらに ピア・サポートの効果 の評定を行っている割合も高かった(8実践, 88.9%)。効果の評定では,質問紙が多く用い られていた(8実践,88.9%)。全校規模で多く の敦員が連携し,専門家の助言を得ながら,実 践している様子がうかがえる。  「学年や学級の子どもたち全員へのトレーニ ングと支援活動を行った」例では,専門家の 関与は比較的多かったが(6実践,85.7%),中 心実施者以外の敦員の関与は少なかった(2 実践,28.6%)。しかし,トレーニング(7実践, 100%)と支援活動(6実践,85.7%)を,教育 課程上に位置づけている例が多かった。また, 比較的多くの実践で,効果の評定を行っていた (5実践,71.4%)。学年や学級において,特別 活動等の時間を用いてトレーニングと支援活動 を行っており,集団社会的スキル訓練に類似し た実践であると思われた。

3.まとめと今後の展望

 本研究では,小学校,中学校,高校における ピア・サポートを体系的に理解するための試み として,調査を行った。調査結果を検討したと ころ,実施規模,実践の特徴,トレーニングと 支援活動の有無という次元による分類が,体系 的な理解に有用であろうと思われた。日本の学 校におけるピア・サポートの全体像をとらえる ための観点についてこれまで十分に検討されて いなかったことを考えれば,本研究は,一定の 貢献を果たしていると思われる。  しかし,検討した学校の数は少なく,日本の 学校で行われているピア・サポートのすべてを 網羅しているとは言えない。そのため,本調査 で数多く見られたピア・サポートが,日本で数 多く見られるものであるという一般化はできな い。また,本研究では,できるだけわかりやす い調査票を作成して回答を求めてはいるもの の,各学校の実践内容を正確に把握するために        一 178 は,聞き取りによる確認作業が必要である。こ うした本研究の限界から,今回得られた分類の 次元はいわば試案というべきものであり,今後 確認,修正を重ねていかなければならないであ ろう。  本研究では,ピア・サポートの多楡欧をあり のままに認め,その全体像を把握しようと考え たが,一方で,ピア・サポートのあるべき姿 を明確にした上で検討を重ねている例として, 「日本のピア・サポート・プログラム」をあげ ることができる。  「横浜ピア・サポート研究会」のホームペー ジによると,[日本のピア・サポート・プログ ラム]は,「ゲームやロールプレイングを活用 した体験的なトレーニングを通して,子どもた ちの基礎的な社会的スキル(技能)を段階的に 育て,最終的には子ども同士(伸問=Peer)が 互いに支えあえるような関係をつくりだそうと する取り組み」と定義されている。「日本のピ ア・サポート・プログラム」は,基礎的な社会 的スキルをトレーニングする(その後の体験活 動の下地づくりをする)「領域−1」と,体験 活動・お世話をする活動(他人の役に立つ体験) の「領域−2」から構成される(滝,2004)。強 調されているのは,子どもたち白らが社会性を 育んでいくことであり,それを「予防敦育的」 なアプローチとして理論的な位置づけも明確に している(滝,2002)。  しかレ理想と考えるピア・サポートをすぐ には実践できない場合もあろう。また,学校に あったピア・サポートのあり方を模索しながら 実践する場合もあるかもしれない。今取り組ん でいるピア・サポートがどういう性質のもので, どのような効用と限界があるのかを意識して実 践することが犬切だと思われる。そういう意昧 からも,ピア・サポート全体を網羅できる観点 の研究は重要であり,今後も継続していかなけ ればならないであろう。

      付記

 本研究に御理解と御協力をいただきました小

学校,中学校,高校の先生方に心より御礼申し

(11)

あげます。なお,本研究は,2004年度に香川犬 学大学院敦育学研究科に提出した修士論文の一 部を,その後のthe 19th Biennia1 Meeting of ISSBD(lnternational Society for the Study of

BehaviouraI Development)における発表をふ まえて,加筆・修正したものです。        文献 池本しおり 2001 ピア・サポートを高等学校に   取り入れるための実践的研究 岡山県教育セン   ター研究紀要,228,1-33. 森川澄男 2002 ピア・サポートとは(理論編)中   野武房・日野宜千・森川澄男(編著)学校でのピア・   サポートのすべて一理論・実践例・運営・トレー   ニングー ほんの森出版,Pp.19-35. 森定薫・戸田有一 2002 特別な教育的ニーズ(SEN)   とピア・サポートー経験の類似性・同世代性・   訓練の度合い− SNEジャーナル,8,99-117. 滝充(編著)2004 改訂新版 ピア・サポートでは   じめる学校づくり 中学校編「予防教育的な生   徒指導プログラム」の理論と方法 金子書房. 滝充 2〔〕02 生徒指導の理念と方法を考える一生徒   指導モデルと事後治療的・予防治療的・予防教   育的アプローチー,生徒指導学研究,創刊号,   76-85. 戸田有一 2001 学校におけるピア・サポート実践   の展開と諜題一紙上相談とオンライン・ピア・   サポート・ネットー 鳥取大学教育地域科学部   紀要(教育・人文科学),2(2),59-75. 179

参照

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