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少年院在院者の万引きをはじめとした窃盗に関する意識の検討―矯正教育プログラム開発のための意識調査から―-香川大学学術情報リポジトリ

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少年院在院者の万引きをはじめとした窃盗に関する意識の検討

―矯正教育プログラム開発のための意識調査から―

大久保 智 生

 ・ 吉 井   匡

 ・ 高 橋   護

川 田 佳 亮

 ・ 相 原 幸 太

 ・ 長 尾 貴 志

澤 田 匡 人

 ・ 永 房 典 之

 ・ 石 川 隆 行

佐 藤 健 二

 ・ 松 嶋 秀 明

 ・ 菊 池 浩 史

堀   健 二

 ・ 相 本 茉 樹

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田 中   拓

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 ・ 松 井   創

12 <要 約>  本研究の目的は、少年院在院者を対象として、万引きをはじめとした窃盗に関する意識調査を行 い、少年院在院者の特徴を検討することであった。男子少年院の在院者59名を対象としてアンケー ト調査を行った。調査の結果、少年院在院者の属性によって万引きをはじめとした窃盗に関する意 識が異なることが明らかとなった。また、万引きに関する意識、法知識、感情、認知行動、ナラ ティブ、コミュニティのそれぞれのアプローチに関連する変数が相互に関連し合っていることが明 らかとなった。 キーワード:窃盗、万引き、少年院在院者、矯正教育プログラム 問題と目的  近年、全国的に万引き犯罪をはじめとした窃 盗が大きな社会問題となってきている。万引き をはじめとした窃盗に関する研究はあまり注意 を払われてこなかったため(大久保・堀江・松浦・ 松永・江村・永冨・時岡, 2012;Krasnovsky & Lane, 1998)、これまで先行研究の数が多いとは いえなかった。しかし、近年、万引き犯罪の被 害が深刻であることから、被疑者や一般の大学 生や中学生、店舗を対象とした研究(久保田・ 白松, 2013;永岡, 2003;皿谷・平, 2015;皿谷・ 三阪・濱本・平, 2011;上野・中村・本多・麦島, 2009;全国万引犯罪防止機構, 2010)などが行 われるようになってきたが、繰り返し万引きを 行う常習者を対象とした研究は少ないのが現状 である。 1 香川大学教育学部      2 香川大学法学部  3 四国少年院         4 宇都宮大学教育学部 5 淑徳大学短期大学部     6 徳島大学総合科学部  7 滋賀県立大学人間文化学部  8 デイサービスさいころ 9 香川県総務部        10 高松まちかど法律事務所 11 ひらく法律事務所      12 あかり総合法律事務所 

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 香川県では、人口1000人当たりの万引きの認 知件数が2009年まで7年連続全国ワースト1位 であったことをうけ、香川県警察と香川大学が 連携した万引き防止対策事業が立ち上がり、被 疑者や一般の青少年、高齢者、保護者、店舗な どを対象とした様々な調査を行ってきた(大久 保・時岡・岡田, 2013)。そして、地域と連携 して、一般市民や店舗に対して様々な対策プロ グラムを実践し、実際に万引きの認知件数を減 らすなど効果をあげてきた(大久保, 2014)。し かし、繰り返し万引きを行う常習者の支援や教 育についてはこれまで十分に研究を行ってこな かった(大久保, 2014)。さらに、常習者のため の教育プログラムがない(林, 2010)ことから、 体系的な少年向けの矯正教育プログラムを開発 することとなった。少年向けの矯正教育プログ ラムを開発する理由としては、成人の窃盗犯も 少年時代に万引きをしている経験があり、少年 の万引きがその後の窃盗の入り口となっている 可能性があるためである。したがって、今回、 香川県内の法務教官、法務技官、弁護士、臨床 心理士、研究者という少年の万引きをはじめと した窃盗に関わる様々な立場の者が連携し、こ れまで行われてきた矯正教育も踏まえ、少年の 窃盗に関する矯正教育プログラムを開発するプ ロジェクトを立ち上げることとなった。  窃盗によって矯正施設に収容される者は多 いものの、その問題性を含め多様であること から、各刑事施設や少年院でそれぞれの対象 者に応じた独自の教育が行われているが(栃木 刑務所再犯防止指導(窃盗)チーム, 2009;船 隅, 2012)、少年を対象とした体系的な矯正プ ログラムは現在のところ開発されていない。し たがって、本プロジェクトでは、まず、少年の 窃盗に関する新たな体系的な矯正教育プログ ラム開発の方向性について検討するため、矯 正施設の職員を対象とした調査を行った(大久 保・吉井・須藤・川田・高橋, 2015)。その結 果、窃盗に関する教育プログラムが必要だと矯 正施設の職員の多くが感じていることが明らか となり、矯正施設の職員が効果的だと考える教 育としては、被害者や法知識、認知行動、感情 に焦点を当てた教育など多岐に渡っており、少 年によって効果的な教育が異なるという意見も 見受けられた(大久保・吉井・須藤・川田・高 橋, 2015)。アプローチの方法としては、被害 者や認知行動、感情、対人関係に焦点を当てた アプローチだけでなく、法に関する知識や地域 とのつながり、ナラティブなどに焦点を当てた アプローチも必要とされており、多様なアプ ローチ方法が必要であることが示唆された(大 久保・吉井・須藤・川田・高橋, 2015)。  法知識、感情、認知行動、ナラティブ、コ ミュニティという5つのアプローチをとること が有効であるかどうかを検討するため、大久 保・吉井・長尾・相原・川田・高橋・松嶋・佐 藤・石川・永房・澤田・堀・菊池(2018)では、 プログラム開発に携わる研究者の意見をもとに 各アプローチに関連する変数を設定し、少年院 在院者と一般の青少年との比較を行った。その 結果、少年院在院者は、法知識、感情、認知行 動、ナラティブ、コミュニティ、それぞれのア プローチに関連する変数において、一般の青少 年とは異なることが明らかとなった。しかし、 大久保・吉井・長尾・相原・川田・高橋・松嶋・ 佐藤・石川・永房・澤田・堀・菊池(2018)では、 少年院在院者と一般の青少年との比較を行った だけで、少年院在院者の属性による法知識、感 情、認知行動、ナラティブ、コミュニティ、そ れぞれのアプローチに関連する変数の差の検討 や法知識、感情、認知行動、ナラティブ、コ ミュニティ、それぞれのアプローチに関連する 変数間の関連の検討については行っていない。 したがって、本研究では、矯正教育プログラム 開発のために、少年院在院者の属性による法知 識、感情、認知行動、ナラティブ、コミュニ ティ、それぞれのアプローチに関連する変数の 差の検討と法知識、感情、認知行動、ナラティ ブ、コミュニティ、それぞれのアプローチに関 連する変数間の関連の検討を行う。  以上を踏まえ、本研究では、少年院在院者を 対象として、万引きをはじめとした窃盗に関す る意識調査を行い、少年院在院者の特徴を検討 することを目的とする。具体的には、まず、少

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年院在院者の属性によって万引きをはじめとし た窃盗に関する意識が異なるのかについて検討 する。次に、万引きに関する意識、法知識、感 情、認知行動、ナラティブ、コミュニティのそ れぞれのアプローチに関連する変数が相互に関 連しているのかについて検討する。なお、本研 究は大久保・吉井・長尾・相原・川田・高橋・ 松嶋・佐藤・石川・永房・澤田・堀・菊池(2018) の少年院在院者のデータを用いて、目的に沿っ た統計処理を施し、新規にまとめ直したもので ある。 方法 調査対象と手続き  平成27年9月~12月に少年院在院少年の男子 59名(平均年齢17.746歳)に対してアンケート調 査を行った。調査対象は大久保・吉井・長尾・ 相原・川田・高橋・松嶋・佐藤・石川・永房・ 澤田・堀・菊池(2018)の研究の少年院在院者 と同一の対象者である。  調査実施に際しては、すべてコンピューター によって数量化(匿名化)した上で、分析を実 施し、分析終了後に直ちに調査記録用紙はシュ レッダーにかけ、破棄することを調査対象者に 伝えた。なお、分析は全て四国少年院にある外 部のネットワークと接続していないパソコンで 実施した。  調査内容  ①フェイスシート 年齢、入院前の職業、経 済的状況、逮捕前の親との同居の有無、処遇段 階について尋ねた。  ②窃盗の回数 これまでに行った窃盗の回 数、友人との窃盗の回数について尋ねた。  ③万引きに関する規範意識 万引きに関する 規範意識については、大久保・堀江・松浦・松 永・江村(2013)が作成した規範意識尺度4項 目を使用した。回答形式は、「あてはまらない」 (1点)、「どちらともいえない」(2点)、「あて はまる」(3点)の3件法である。  ④万引きの動機 万引きの動機については、 大久保・堀江・松浦・松永・江村・永冨・時岡(2012) が作成した「ストレス性」「経済性」「自己中心性」 「誘発性」の4因子からなる万引きの動機尺度 9項目を使用した。回答形式は、「あてはまら ない」(1点)、「どちらともいえない」(2点)、 「あてはまる」(3点)の3件法である。  ⑤万引きや窃盗に関する法知識 万引きや窃 盗に関する法知識については、大久保・吉井・ 長尾・相原・川田・高橋・松嶋・佐藤・石川・ 永房・澤田・堀・菊池(2018)が作成した万引 きや窃盗に関する法知識12項目を使用した。回 答形式は「知らなかった」と「知っていた」の2 件法である。  ⑥罪悪感  罪悪感については、石川・内山 (2002)が作成した「対人場面」「規則場面」の2 因子からなる罪悪感尺度10項目を使用した。回 答形式は、「感じない」(1点)から「感じる」(4 点)までの4件法である。  ⑦共感性 共感性については、石川・内山 (2002)が作成した「共感的関心」「気持ちの想 像」の2因子からなる共感性尺度10項目を使用 した。回答形式は、「全くあてはまらない」(1 点)から「非常にあてはまる」(5点)までの5 件法である。  ⑧恥意識 恥意識については、永房(2008) が作成した「自己内省」「同調不全」「社会規律 違反」「視線感知」の4因子からなる恥意識尺 度8項目を使用した。回答形式は、「恥ずかし くない」(1点)から「恥ずかしい」(4点)まで の4件法である。  ⑨行動基準 行動基準については、永房・菅 原・佐々木・藤澤・薊(2012)が作成した行動 基準尺度20項目を使用した。回答形式は、「全 くあてはまらない」(1点)から「よくあてはま る」(5点)までの5件法である。  ⑩復讐心 復讐心については、Stuckless & Garonson(1992)が作成した復讐心尺度20 項目 の日本語版(Sawada & Hayama, 2012)を使用し た。回答形式は、「全くそう思わない」(1点) から「非常にそう思う」(7点)までの7件法で ある。  ⑪万引き犯への感情の推測 万引き犯への感 情の推測については、大久保(2015)が作成し た万引き犯への感情尺度10項目を使用した。回

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答形式は、「あてはまらない」(1点)から「あ てはまる」(4点)までの4件法である。  ⑫エフォートフルコントロール エフォート フルコントロールについては、山形・高橋・繁 桝・大野・木島(2005)が作成した「行動抑制制御」 「行動始発制御」「注意制御」の3因子からなる エフォートフルコントロール尺度35項目を使用 した。回答形式は、「あてはまらない」(1点) から「あてはまる」(4点)までの4件法である  ⑬リジリアンス リジリアンスについては、 Unger(2006)を参考に大久保・吉井・長尾・相 原・川田・高橋・松嶋・佐藤・石川・永房・澤 田・堀・菊池(2018)が作成した「他者からの受 容」「社会的な有能感」「困難解決への自信」の 3因子からなるリジリアンス尺度34項目を使用 した。回答形式は、「全く表していない」(1点) から「非常によく表している」(5点)までの5 件法である。  ⑭被援助志向性 被援助志向性については、 田村・石隈(2001)が作成した「援助の欲求と態 度」「援助関係に関する抵抗の低さ」の2因子 からなる被援助志向性尺度11項目を使用した。 回答形式は回答形式は、「全くあてはまらない」 (1点)から「よくあてはまる」(4点)の4件法 である。  ⑮将来の不安 将来の不安については、独自 に作成した「生活費などの金銭に関することで 不安に思う」「仕事や学校のことで不安に思う」 「友人や家族との関係で不安に思う」「犯罪に関 わるかもしれないと不安に思う」の4項目を使 用した。回答形式は「あてはまらない」(1点) から「あてはまる」(4点)の4件法である。  ⑯サポート資源 サポート資源については、 近藤・岡本・白井・栃尾・河野・柏尾・小玉(2008) が作成した援助者についての質問項目を使用し た。回答形式は先行研究と同様である。   結果と考察 少年院在院者の属性による検討  少年院在院者の年齢、入院前の職業、経済的 状況、逮捕前の親との同居の有無、処遇段階、 窃盗の回数、友人との窃盗の回数などの属性に よる差について検討を行う。  ①年齢による差の検討 年齢による差につい て検討するため、少年院在院者の年齢(17歳以 下、18歳以上)を独立変数とした t 検定を行っ た(Table 1)。その結果、万引きの動機の「経済 性」(t(50)=2.204, p<.05)において、17歳以下 の在院者が 18歳以上の在院者よりも有意に得 点が高かった。以上の結果から、17歳以下の在 院者は経済的な動機で万引きに及ぶことが明ら かとなった。年少の在院者は働き口が少なかっ たり給料が安かったりすることが多いため、お 金がない、お金がもったいないといった動機で 万引きに及ぶ可能性が示唆された。  ②入院前の職業による差の検討 少年院入院 前の職業による差について検討するため、少年 院在院者の入院前の職業(学生、有職者、無職 者)を独立変数とした一要因の分散分析を行っ た(Table 2)。その結果、将来の不安の「友人・ 家族の不安」(F(2, 54)=3.735, p<.05)において、 有意な差が認められた。多重比較の結果、学生 だった在院者は無職だった在院者よりも得点が 有意に高かった。以上の結果から、学生だった Table 1 年齢別の万引きに関する規範意識、万引きの動機得点と分散分析結果 17歳以下 18歳以上 t値 万引きに関する規範意識 2.295(.532) 2.453(.412) 1.270 万引きの動機「ストレス性」 1.263(.421) 1.303(.483) .300 万引きの動機「経済性」 2.289(.673) 1.818(.779) 2.204* 万引きの動機「自己中心性」 2.088(.413) 1.848(.560) 1.623 万引きの動機「誘発性」 2.342(.528) 2.348(.566) .040 括弧内は標準偏差 *p<.05

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在院者は友人や家族に関する不安が高いことが 明らかとなった。学生だった在院者は計画して いた進路が変わることになり、今後の友人関係 や家族関係に不安を抱いていると考えられる。  ③経済的状況による差の検討 経済的状況に よる差について検討するため、少年院在院者の 経済状況(困窮、非困窮)を独立変数とした t 検定を行った(Table 3)。その結果、恥意識の 「自己内省」(t(57)=2.294, p<.05)「同調不全」(t (57)=2.639, p<.05)において、困窮者が非困窮 者よりも有意に得点が高かった。また、罪悪感 の「対人場面」(t(57)=2.087, p<.05)において、 非困窮者が困窮者よりも有意に得点が高かっ た。以上の結果から、困窮者は恥意識が高く、 対人関係場面における罪悪感が低いことが明ら かとなった。経済的な余裕のなさが在院者の感 情に影響を与えていることが示唆された。  ④逮捕前の親との同居の有無による差の検討  逮捕前の親との同居の有無による差について 検討するため、少年院在院者の逮捕前の親と の同居の有無(同居有り、同居無し)を独立変 数とした t 検定を行った(Table 4)。その結果、 エフォートフルコントロールの「行動始発制御」 (t(54)=2.666, p<.05)において、親と暮らして いなかった在院者が親と暮らしていた在院者よ りも有意に得点が高かった。以上の結果から、 Table 2 入院前職業別の将来の不安得点と分散分析結果 学生 有職者 無職者 F値 将来の不安「金銭の不安」 3.333(.778) 2.531(1.135)2.615(1.193) 2.456 将来の不安「仕事・学校の不安」 3.083(1.084) 2.688(1.091)2.462(1.198) 1.002 将来の不安「友人・家族の不安」 3.417(.900) 2.656(1.035)2.308(1.182) 3.735* 学生>無職者 将来の不安「再犯の不安」 3.083(.793) 2.500(1.107)2.077(1.188) 2.782 括弧内は標準偏差 *p<.05 Table 3 経済的状況別の罪悪感、共感性、恥意識、行動基準の得点と t 検定結果 困窮 非困窮 t値 罪悪感「対人場面」 2.127(.952) 2.700(.790) 2.087* 罪悪感「規則場面」 1.327(.458) 1.350(.540) .129 共感性「共感的関心」 3.836(1.065) 3.917(.889) .261 共感性「気持ちの想像」 3.145(.785) 2.900(.932) .809 恥意識「自己内省」 3.000(.806) 2.313(.915) 2.294* 恥意識「同調不全」 2.864(.951) 2.031(.942) 2.639* 恥意識「社会規律違反」 2.136(.924) 2.427(.905) .957 恥意識「視線感知」 2.364(1.051) 2.354(.939) .030 行動基準 3.195(.332) 3.145(.406) .366 括弧内は標準偏差 *p<.05 Table 4 逮捕前の親との同居の有無別のエフォートフル・コントロール得点と t 検定結果 親との同居有り 親との同居無し t値 エフォートフルコントロール「行動抑制制御」 2.438(.434) 2.462(.578) .159 エフォートフルコントロール「行動始発制御」 2.619(.447) 3.014(.482) 2.666* エフォートフルコントロール「注意制御」 2.207(.415) 2.449(.552) 1.723 括弧内は標準偏差 *p<.05

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親と暮らしていなかった在院者は行動を統制し ていることが明らかとなった。親と暮らしてい ないことで、親に頼らず自分でやらなくてはな らないことが増えるため、自分の意志で行動を 統制していると考えられる。  ⑤処遇段階による差の検討 処遇段階による 差について検討するため、少年院在院者の処遇 段階(1級、2級、3級)を独立変数とした一 要因の分散分析を行った(Table 5)。その結果、 リジリアンスの「社会的な有能感」(F(2, 54) =3.869, p<.05)において、有意な差が認められ た。多重比較の結果、1級の在院者は2級の在 院者よりも得点が有意に高かった。以上の結果 から、1級の在院者は社会的な有能感を抱いて いることが明らかとなった。中間段階である2 級の在院者は、1級の在院者と比較して、少年 院の教育の中で社会的な有能感を得るには至っ ていないと考えられる。  ⑥窃盗の回数による差の検討 窃盗の回数に よる差について検討するため、少年院在院者 の窃盗の回数の多少(19回以下、20回以上)を 独立変数としたt検定を行った(Table 6, 7)。そ の結果、万引きの動機の「自己中心性」(t(41) =2.081, p<.05)において、窃盗の回数が多い在 院者が少ない在院者よりも有意に得点が高かっ た。また、万引きの動機の「ストレス性」(t(41) =2.217, p<.05)、罪悪感の「規則場面」(t(48) =2.672, p<.05)、恥意識の「同調不全」(t(48) =3.134, p<.01)、行動基準(t(47)=3.377, p<.01) において、窃盗回数の多い在院者が少ない在院 者よりも有意に得点が低かった。以上の結果か ら、窃盗回数の多い在院者は、ストレスによっ て万引きをしているのではなく、自己中心的な 動機から万引きに及んでおり、また罪悪感や恥 意識といった感情が低く、周囲のことを考えず に行動することが明らかとなった。窃盗回数の 多い者は、万引きをすることに罪悪感や抵抗感 がないため、繰り返し万引きをするようになっ ている可能性が示唆された。  ⑦友人との窃盗の回数による差の検討 友人 との窃盗の回数による差について検討するた め、少年院在院者の友人との窃盗の回数の多少 (19回以下、20回以上)を独立変数としたt検定 を行った(Table 8)。その結果、罪悪感の「規 則場面」(t(50)=2.406, p<.05)、恥意識の「同 調不全」(t(50)=2.267, p<.05)、行動基準(t(49) =2.916, p<.01)において、友人との窃盗の回数 が少ない在院者が多い在院者よりも有意に得点 が高かった。以上の結果から、友人との窃盗回 数が多い在院者は、罪悪感や恥の意識が少な Table 5 処遇段階別のリジリアンス得点と分散分析結果 1級 2級 3級 F値 リジリアンス「他者からの受容」 3.090(.812) 3.365(.981) 3.744(.741) 1.947  リジリアンス「社会的な有能感」 3.550(.490) 2.940(.784) 3.336(.516) 3.869*1級>2級 リジリアンス「困難解決への自信」 2.433(.704) 2.720(.935) 2.549(1.034) .430  括弧内は標準偏差 *p<.05 Table 6 窃盗の回数別の万引きに関する規範意識、万引きの動機得点と t 検定結果 19回以下 20回以上 t値 万引きに関する規範意識 2.490(.477) 2.354(.454) 1.033 万引きの動機「ストレス性」 1.421(.559) 1.125(.304) 2.217* 万引きの動機「経済性」 1.658(.783) 2.125(.770) 1.962 万引きの動機「自己中心性」 1.702(.543) 2.042(.523) 2.081* 万引きの動機「誘発性」 2.342(.625) 2.292(.464) .304 括弧内は標準偏差 *p<.05

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く、周囲のことを考えずに行動することが明ら かとなった。友人との窃盗を繰り返すことによ り、罪悪感や恥、周囲への配慮が少なくなって いくことが考えられる。 万引きに関する意識と5つのアプローチに関連 する変数の関連  万引きに関する意識と5つのアプローチに関 連する変数の関連について検討するため、相関 係数を算出した(Table 9)。その結果、万引き に関する規範意識においては、万引きに関す る法知識(r=.303, p<.05)、罪悪感の「対人場面」 (r=.307, p<.05)、「規 則 場 面 」(r=.293, p<.05)、 共感性の「共感的関心」(r=.279, p<.05)、恥意 識 の「自 己 内 省 」(r=.321, p<.05)、「社 会 規 律 違反」(r=.306, p<.05)、被援助志向性の「援助 の欲求と態度」(r=.357, p<.01)、将来の不安の 「友人・家族の不安」(r=.281, p<.05)との間に 有意な正の相関が認められた。また、万引きの 動機の「自己中心性」(r=-.605, p<.001)、復讐 心(r=-.383., p<.01)との間に有意な負の相関が 認められた。万引きの動機の「ストレス性」に おいては、将来の不安の「友人・家族の不安」 (r=.291, p<.05)との間に有意な正の相関が認め られた。また、罪悪感の「対人場面」(r=-.284, p<.05)との間に有意な負の相関が認められた。 万引きの動機の「経済性」においては、将来の 不安の「金銭の不安」(r=.330, p<.05)との間に 有意な正の相関が認められた。万引きの動機の 「自己中心性」においては、罪悪感の「規則場面」 (r=-.294, p<.05)、被援助志向性の「援助の欲求 Table 7 窃盗の回数別の罪悪感、共感性、恥意識、行動基準得点と t 検定結果 19回以下 20回以上 t値 罪悪感「対人場面」 2.769(.743) 2.550(.889) .949   罪悪感「規則場面」 1.569(.666) 1.175(.291) 2.672*  共感性「共感的関心」 4.062(.999) 3.767(.890) 1.099   共感性「気持ちの想像」 3.038(1.054) 2.892(.727) .569   恥意識「自己内省」 2.577(.924) 2.333(.940) .923   恥意識「同調不全」 2.538(1.067) 1.729(.707) 3.134** 恥意識「社会規律違反」 2.558(.792) 2.146(.840) 1.785   恥意識「視線感知」 2.519(.830) 2.229(1.042) 1.092   行動基準 3.319(.299) 2.980(.401) 3.377** 括弧内は標準偏差 *p<.05 **p<.01 Table 8 友人との窃盗の回数別の罪悪感、共感性、恥意識、行動基準得点と t 検定結果 19回以下 20回以上 t値 罪悪感「対人場面」 2.611(.827) 2.725(.803) .462   罪悪感「規則場面」 1.489(.607) 1.113(.206) 2.406*  共感性「共感的関心」 4.039(.906) 3.575(.969) 1.669   共感性「気持ちの想像」 2.989(.984) 2.800(.719) .689   恥意識「自己内省」 2.583(.930) 2.125(.904) 1.655   恥意識「同調不全」 2.333(1.035) 1.688(.704) 2.267*  恥意識「社会規律違反」 2.500(.828) 2.250(.983) .948   恥意識「視線感知」 2.431(.871) 2.281(1.183) .510   行動基準 3.256(.342) 2.923(.434) 2.916** 括弧内は標準偏差 *p<.05 **p<.01

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Table 9 万引きに関する意識と 5つのアプローチに関連する変数の関連 万引き の動機 :スト レス性 万引き の動機 :経済 性 万引き の動機 :自己 中心性 万引き の動機 :誘発 性 万引き に関す る法知 識 罪悪感 :対人 場面 罪悪感 :規則 場面 共感性 :共感 的関心 共感性 :気持 ちの想 像 恥意識 :自己 内省 恥 意 識: 同調 不 全 恥意識 :社会 規律違 反 恥 意 識: 視線 感 知 行動基 準 復讐心 エ フォ ー トフ ル コ ント ロ ー ル: 行 動 抑 制制 御 エ フォ ー トフ ル コ ント ロ ー ル: 行 動 始発 制 御 エ フ ォ ー ト フ ル コ ント ロ ー ル: 注 意 制 御 リジリ アンス :他者 からの 受容 リジリ アンス :社会 的な有 能感 リジリ アンス :困難 解決へ の自信 被援助 志向性 :援助 の欲求 と態度 被援助 志向性 :援助 関係に 関する 抵抗の 低さ 金銭の 不安 仕 事 ・学 校の不 安 友 人 ・ 家 族の不 安 再犯の 不安 万 引 き に 関 す る 規 範意識 .063 .070 -. 605 *** -. 107 . 303 * . 307 * . 293 * .279 * .241 .321 * .241 .306 * .219 -. 047 -. 383 ** .114 -. 041 .113 .077 .005 -. 066 .357 ** .072 .114 .154 .281 * .129 万 引 き の 動 機 : ス ト レス 性 -. 048 .038 .200 . 227 -.284 * -. 016 -. 073 -. 056 .209 .114 .030 -. 073 .070 .034 .269 .200 .155 -. 100 .015 .261 -. 077 -. 093 -. 088 -. 091 .291 * .057 万引きの動機 : 経済性 .154 .043 -. 081 -. 198 . 084 .267 .112 .134 .094 -. 049 -. 030 -. 060 -. 099 -. 120 -. 156 -. 107 -. 192 .082 -. 104 .006 -. 233 .330 * .211 .259 .145 万 引 き の 動 機 :自 己 中 心 性 .125 -. 198 -. 124 -.294 * -. 156 -. 176 .026 -. 253 -. 139 -. 056 .128 .243 -. 050 .088 -. 199 -. 157 .066 -. 037 -. 368 ** -. 182 -. 118 -. 057 .016 -. 077 万引きの動機 : 誘発性 -. 081 -. 210 . 103 .056 -. 293 * .092 .264 -. 119 .070 .197 .081 .119 -. 165 -. 095 -. 033 .014 .075 .001 -. 180 -. 134 .014 -. 057 -. 154 万 引 き に関 する法 知 識 -. 010 .032 .104 .075 .105 .177 -. 011 .023 -. 098 .147 .087 .181 .171 .063 .037 .338 * -. 002 -. 186 -. 104 -. 060 .082 .167 罪悪感:対人場面 .062 .429 ** .166 -. 009 -. 046 .289 * .200 -. 012 -. 168 -. 142 .017 -. 150 .229 .168 -. 025 .363 ** .279 * .049 .141 -. 018 .073 罪悪感:規則場面 .217 .249 .231 .330 * .425 ** .268 * .264 * -. 307 * -. 049 -. 028 .080 .108 .094 .135 .160 .038 .086 .140 .087 -. 192 共感性:共感的関心 .427 ** .198 .218 .294 * .304 * .290 * -. 377 ** -. 227 .057 -. 219 .165 .421 ** -. 101 .379 ** .013 .211 .269 * .121 .026 共感性 : 気持ちの想像 .148 -. 071 .191 .393 ** .019 -. 378 ** .181 .135 .192 .100 .405 ** .026 .066 .026 .014 -. 061 .141 -. 106 恥意識:自己内省 .448 *** .379 ** .444 *** .209 -. 338 ** .013 .092 -. 061 -. 015 -. 005 -. 101 .003 -. 028 .133 .272 * .283 * -. 106 恥意識:同調不全 .218 .235 .366 ** -. 080 -. 290 * -. 322 * -. 183 -. 365 ** -. 125 -. 206 .189 .092 .252 .298 * .148 .131 恥意識 : 社会規律違反 .388 ** .262 * -. 239 .077 .252 -. 013 .123 -. 022 -. 119 .355 ** .335 * .068 .222 .102 -. 069 恥意識:視線感知 .211 -. 235 .038 .149 -. 174 .148 .107 -. 018 .191 .086 .040 .130 .039 -. 099 行動基準 -. 118 -. 084 -. 071 -. 296 * -. 136 .072 -. 025 .137 .254 .109 .150 .039 -. 029 復讐心 -. 045 -. 030 -. 064 -. 046 -. 268 * .005 -. 140 -. 314 * -. 272 * -. 093 -. 025 .248 エ フォー ト フ ル コン ト ロ ー ル : 行動抑制 制御 .519 *** .522 *** .136 -. 028 .347 ** .044 -. 020 -. 298 * -. 100 -. 064 -. 080 エ フォー ト フ ル コン ト ロ ー ル : 行動始 発 制御 .426 ** .196 .048 .275 * .010 -. 008 -. 364 ** -. 243 -. 208 -. 171 エフォートフルコン トロール:注意制御 .071 -. 044 .424 ** -. 065 -. 031 -. 160 -. 274 * -. 003 .049 リジリアンス :他者 からの受容 .248 .393 ** .383 ** .280 * -. 133 -. 099 -. 194 -. 181 リジリアンス : 社会的 な有能感 .160 -. 059 -. 063 .255 .093 .170 -. 140 リジリアンス :困難 解決への自信 -. 139 -. 099 -. 194 -. 270 * -. 175 -. 291 * 被援助志向性 :援助 の欲求と態度 .510 *** .169 .303 * .002 .235 被援助 志 向 性 : 援助 関 係 に関 する抵 抗 の 低さ .093 .081 -. 176 -. 063 金銭の不安 .618 *** .416 ** .177 仕事・学校の不安 .544 *** .238 友人・家族の不安 .362 ** *p<. 05 ** p<. 01 *** p<. 001

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と態度」(r=-.368, p<.01)との間に有意な負の 相関が認められた。万引きの動機の「誘発性」 においては、共感性の「気持ちの想像」(r=-.293, p<.05)との間に有意な負の相関が認められた。 万引きに関する法知識においては、リジリア ンスの「困難解決への自信」(r=.338, p<.05)と の間に有意な正の相関が認められた。罪悪感 の「対人場面」においては、共感性の「共感的関 心」(r=.429, p<.01)、恥意識の「社会規律違反」 (r=.289, p<.05)、被援助志向性の「援助の欲求 と態度」(r=.363, p<.01)、「援助関係に関する抵 抗の低さ」(r=.279, p<.05)との間に有意な正の 相関が認められた。罪悪感の「規則場面」にお いては、恥意識の「同調不全」(r=.330, p<.05)、 「社会規律違反」(r=.425, p<.01)、「視線感知」 (r=.268, p<.05)、行動基準(r=.264, p<.05)との 間に有意な正の相関が認められた。また、復讐 心(r=-.307, p<.05)との間に有意な負の相関が 認められた。共感性の「共感的関心」において は、共感性の「気持ちの想像」(r=.427, p<.01)、 恥意識の「社会規律違反」(r=.294, p<.05)、「視 線 感 知 」(r=.304, p<.05)、 行 動 基 準(r=.290, p<.05)、 リ ジ リ ア ン ス の「社 会 的 な 有 能 感 」 (r=.421, p<.01)、被援助志向性の「援助の欲求 と態度」(r=.379, p<.01)、将来の不安の「仕事・ 学校の不安」(r=.269, p<.05)との間に有意な正 の相関が認められた。また、復讐心(r=-.377, p<.01)との間に有意な負の相関が認められた。 共感性の「気持ちの想像」においては、恥意識 の「視線感知」(r=.393, p<.01)、リジリアンス の「社会的な有能感」(r=.405, p<.01)との間に 有意な正の相関が認められた。また、復讐心 (r=-.378, p<.01)との間に有意な負の相関が認 められた。恥意識の「自己内省」においては、 恥意識の「同調不全」(r=.448, p<.001)、「社会 規律違反」(r=.379, p<.01)、「視線感知」(r=.444, p<.001)、将来の不安の「仕事・学校の不安」 (r=.272, p<.05)、「友人・家族の不安」(r=.283, p<.05)との間に有意な正の相関が認められた。 また、復讐心(r=-.338, p<.01)との間に有意な 負の相関が認められた。恥意識の「同調不全」 においては、行動基準(r=.366, p<.01)、将来の 不安の「仕事・学校の不安」(r=.298, p<.05)と の間に有意な正の相関が認められた。また、エ フォートフルコントロールの「行動抑制制御」 (r=-.290, p<.05)、「行 動 始 発 制 御 」(r=-.322, p<.05)、 リ ジ リ ア ン ス の「他 者 か ら の 受 容 」 (r=-.365, p<.01)との間に有意な負の相関が認 められた。恥意識の「社会規律違反」において は、恥意識の「視線感知」(r=.388, p<.01)、行 動基準(r=.262, p<.05)、被援助志向性の「援助 の欲求と態度」(r=.355, p<.01)、「援助関係に 関する抵抗の低さ」(r=.335, p<.05)との間に有 意な正の相関が認められた。行動基準において は、エフォートフルコントロールの「注意制御」 (r=-.296, p<.05)との間に有意な負の相関が認 められた。復讐心においては、リジリアンスの 「社会的な有能感」(r=-.268, p<.05)、被援助志 向性の「援助関係に関する抵抗の低さ」(r=-.314, p<.05)、将来の不安の「金銭の不安」(r=-.272, p<.05)との間に有意な負の相関が認められた。 エフォートフルコントロールの「行動抑制制御」 においては、エフォートフルコントロールの 「行動始発制御」(r=.519, p<.001)、「注意制御」 (r=.522, p<.001)、リジリアンスの「困難解決へ の自信」(r=.347, p<.01)との間に有意な正の相 関が認められた。また、将来の不安の「金銭の 不安」(r=-.298, p<.05)との間に有意な負の相 関が認められた。エフォートフルコントロール の「行動始発制御」においては、エフォートフ ルコントロールの「注意制御」(r=.426, p<.01)、 リジリアンスの「困難解決への自信」(r=.275, p<.05)との間に有意な正の相関が認められた。 また、将来の不安の「金銭の不安」(r=-.364, p<.01)との間に有意な負の相関が認められた。 エフォートフルコントロールの「注意制御」に おいては、リジリアンスの「困難解決への自信」 (r=.424, p<.01)との間に有意な正の相関が認め られた。また、将来の不安の「仕事・学校の不 安」(r=-.274, p<.05)との間に有意な負の相関が 認められた。リジリアンスの「他者からの受容」 においては、リジリアンスの「困難解決への自 信」(r=.393, p<.01)、被援助志向性の「援助の 欲求と態度」(r=.383, p<.01)、「援助関係に関す

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る抵抗の低さ」(r=.280, p<.05)との間に有意な 正の相関が認められた。リジリアンスの「困難 解決への自信」においては、将来の不安の「仕 事・学校の不安」(r=-.270, p<.05)、「再犯の不安」 (r=-.291, p<.05)との間に有意な負の相関が認 められた。被援助志向性の「援助の欲求と態度」 においては、被援助志向性の「援助関係に関す る抵抗の低さ」(r=.510, p<.001)、将来の不安 の「仕事・学校の不安」(r=.303, p<.05)との間 に有意な正の相関が認められた。将来の不安の 「金銭の不安」においては、将来の不安の「仕事・ 学校の不安」(r=.618, p<.001)、「友人・家族の 不安」(r=.416, p<.01)との間に有意な正の相関 が認められた。将来の不安の「仕事・学校の不 安」においては、将来の不安の「友人・家族の 不安」(r=.544, p<.001)との間に有意な正の相 関が認められた。将来の不安の「友人・家族の 不安」においては、将来の不安の「再犯の不安」 (r=.362, p<.01)との間に有意な正の相関が認め られた。  以上の結果から、少年院在院少年において は、万引きに関する意識や法知識、感情、認知 行動、ナラティブ、コミュニティのそれぞれの アプローチに関連する変数が相互に関連し合っ ていることが明らかとなった。このことから、 窃盗に関する教育プログラムを実施する上で、 どれか一つの視点からアプローチするのではな く、多様な視点からアプローチすることの必要 性が示唆された。 まとめと今後の課題  本研究では、少年院在院者を対象として、万 引きをはじめとした窃盗に関する意識調査を行 い、少年院在院者の特徴を検討することを目的 とした。具体的には、まず、少年院在院者の属 性によって万引きをはじめとした窃盗に関する 意識が異なるのかについて検討した。その結 果、年齢、入院前の職業、経済的状況、逮捕前 の親との同居の有無、処遇段階、窃盗の回数、 友人との窃盗の回数などの属性によって、万引 きをはじめとした窃盗に関する意識、感情、認 知行動、ナラティブ、コミュニティのそれぞれ のアプローチに関連する変数に違いが認められ ることが明らかとなった。次に、万引きをはじ めとした窃盗に関する意識、法知識、感情、認 知行動、ナラティブ、コミュニティのそれぞれ のアプローチに関連する変数が相互に関連して いるのかについて検討した。その結果、万引き に関する意識や法知識、感情、認知行動、ナラ ティブ、コミュニティのそれぞれのアプローチ に関連する変数が相互に関連し合っていること が明らかとなった。  少年院在院者の様々な属性によって、万引き をはじめとした窃盗に関する意識、感情、認知 行動、ナラティブ、コミュニティのそれぞれの アプローチに関連する変数に違いが認められる ことが明らかとなった。年齢や入院前の職業、 経済的状況、逮捕前の親との同居の有無などに よって様々な意識が異なるため、矯正教育プロ グラムを開発して実施する際には、本人の問題 背景の理解が重要になるといえる。また、少年 院での教育の段階によっても意識が異なり、出 院後の生活も視野に入れたプログラムの構成を 目指していることからも、矯正教育プログラム を実施する時期についても、今後検討していく 必要があるといえる。逮捕の回数や友人のとの 逮捕回数によっても様々な意識が異なることか ら、矯正教育プログラムの実施に際しては、非 行の深度についても考慮していく必要があると いえる。  万引きをはじめとした窃盗に関する意識や法 知識、感情、認知行動、ナラティブ、コミュニ ティのそれぞれのアプローチに関連する変数が 相互に関連し合っていることが明らかとなっ た。こうした結果を踏まえると、どれか一つの 視点からアプローチするのではなく、多様な視 点からアプローチしていくことで大きな教育の 効果が得られるといえる。さらに、それぞれの アプローチに関連する変数が関連してあってい ることからも、在院者の変わりやすいところか らアプローチしていき、その効果が波及してい くことも想定される。したがって、在院者の問 題背景や特性なども踏まえ、アプローチの視点 を考えていく必要があるといえる。  今後の課題としては、2点挙げられる。1点

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目は調査対象者の問題である。今回、59名と人 数も少なく、少年院の在院者であることから全 て男性であった。今後は人数を増やし、さらに 女性も対象とすることで男女別の万引きをはじ めとした窃盗に関する教育について検討してい く必要があるといえる。さらに、高齢者の万引 きが増加していることからも、少年だけでな く、成人についても刑務所などで調査を行って いく必要があるといえる。2点目は矯正教育プ ログラムの効果測定の問題である。今回、行っ た調査は項目も多いため、実際のプログラム実 施前と後の変化の効果測定に用いるのは難しい といえる。したがって、今後、どのような指標 で矯正教育プログラムの効果を検討していくの かについても考えていく必要があるといえる。 引用文献 船隅潤子(2012).窃盗問題指導:「学習会S」の取組 と今後の展開 刑政, 123(7), 77-81. 林大悟(2010).摂食障害者の窃盗事件をどのよう に弁護したか アディクションと家族, 26, 321-324. 石川隆行・内山伊知郎(2002).青年期の罪悪感と共 感性および役割取得能力の関連 発達心理学研究, 13, 12-19. 近藤淳哉・岡本英生・白井利明・栃尾順子・河野荘子・ 柏尾眞津子・小玉彰二(2008).非行からの立ち直 りにおける抑うつに耐える力とソーシャル・ネッ トワークとの関連 犯罪心理学研究, 46,1-13. Krasnovsky, T. & Lane, R. C.(1998).Shoplifting: A review

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Table 9 万引きに関する意識と5つのアプローチに関連する変数の関連 万引き の動機 :スト レス性万引き の動機:経済 性万引き の動機:自己 中心性万引き の動機:誘発 性万引き に関す る法知 識罪悪感:対人 場面罪悪感:規則 場面共感性:共感 的関心共感性:気持 ちの想 像恥意識:自己 内省恥意識:同調不全恥意識:社会 規律違 反恥意識:視線感知行動基 準復讐心エフォートフルコントロール:行動 抑制制 御エフォートフルコントロール:行動始発制御エフォートフルコントロール:注意制御リジリ アンス:

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    pr¯ am¯ an.ya    pram¯ an.abh¯uta. 結果的にジネーンドラブッディの解釈は,

これらの設備の正常な動作をさせるためには、機器相互間の干渉や電波などの障害に対す

★代 代表 表者 者か から らの のメ メッ ッセ セー ージ ジ 子どもたちと共に学ぶ時間を共有し、.

わな等により捕獲した個体は、学術研究、展示、教育、その他公益上の必要があると認められ

今までの少年院に関する筆者の記述はその信瀝性が一気に低下するかもしれ