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テーマ解説 計測器の JCSS 校正業務 JCSS Calibration of Measuring Instruments 前部則雄 *1 1. はじめに計測器校正室は 平成 13 年より財団内で保有する一軸試験機 はかりおよびノギス等を対象に校正業務を開始した その実績を基に平成 15 年に一軸

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Academic year: 2021

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(1)

供給制度および校正事業者登録制度より構成される。そ のうち、校正事業者登録制度とは、国から指定を受けた 独立行政法人 製品評価技術基盤機構が、計測器の校正 事業者として登録を受けようとする機関を対象として、 審査基準に基づき書類および技術的能力について審査を 実施し、登録を与える制度である。登録の認定区分は24 区分が定められており、現在、約230機関の事業者が登 録を受けている。なお、JCSS制度は平成17年7月より認 定制度から登録制度となった。

2. 3 JCSS校正事業者の要件とは

JCSSの登録事業者となるためには、少なくとも以下 の3つの要件を満足する必要がある。 ・ 「ISO/IEC 17025(JIS Q 17025)」に適合する品質シ ステムの構築・運用 ・ 校正業務に係る適正な技術的能力の保持 ・ 校正作業に用いる標準器のトレーサビリティの整備 これらの要件を整えた校正事業者に対し、同機構が登 録の要求事項として国際標準化機構(ISO)および国際 電気標準会議(IEC)が定めたISO/IEC 17025(JIS Q 17025)に基づき、品質システム、校正方法、設備、不 確かさの見積もり等が適切に構築され、定めの通りに適 正に運用されているかを書類および現地審査で確認す る。 また、当室は相互承認協定(国際MRA)対応の校正 事業者であり、2年毎に品質システムおよび技術的能力 の維持状況を確認されている。

1. はじめに

計測器校正室は、平成13年より財団内で保有する一軸 試験機、はかりおよびノギス等を対象に校正業務を開始 した。その実績を基に平成15年に一軸試験機について、 計量法に基づく校正事業者認定制度(現:登録制度、 JCSS)の認定を取得し、本格的にJCSS校正業務を開始 した。その後、順次、はかり、ノギス等とJCSS校正業 務範囲を拡大している。 本稿では、JCSS校正の概要および当室が実施する JCSS校正業務の状況を説明することにより、ユーザー の皆様のJCSS校正への理解が深まることを期待する。

2. 計測器のJCSS校正

2. 1 校正とは

校正とは「計器又は測定系の示す値、若しくは実量器 又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値と の間の関係を確定する一連の作業。」とJIS Z 8103「計 測用語」では定義されている。要約すると、計測器が示 す値を測定し標準器の値との差(器差)を下式により算 出することで、標準器と関連付ける行為である。よって、 計測器の基準値に対する合否を判定するものではなく、 また、校正の有効期間を校正事業者が定めるものでもな い。 ・(器差)=(計測器が示す値)-(標準器の値)

2. 2 JCSSとは

JCSS(Japan Calibration Service Systemの略)は、 計量法に基づくトレーサビリティ制度であり、計量標準

前部 則雄*

1

JCSS Calibration of Measuring Instruments

計測器のJCSS校正業務

(2)

した国家計量標準に対して、校正とそれに付随する不確 かさによって測定値の位置づけを明確にすることである とされている。 ・ ISO 9001認証   国家計量標準にトレーサブルな計量標準による校正 が必要 ・ 新JIS認証   製品試験に使用する設備に対して測定のトレーサビ リティの確保が必要 ・ JNLA(JIS法に基づく試験事業者登録制度)  重要な試験設備に対してJCSS校正が必須

3. JCSS校正の業務範囲

当室は、「力」(一軸試験機)、「質量」(電子式非自動 はかり)、「長さ」(一次元寸法測定器)の3区分の登録を 取得している。計量法に基づく登録証を写真-3.1、国際 MRA対応の校正事業者に発行される認定証を写真-3.2 に示し、具体的な業務範囲を以下に示す。なお、現地校 正は校正対象器の設置場所、常設校正は当財団校正室に て校正を実施する。 【「力」(一軸試験機)】   ・校正範囲(現地校正)     力の範囲:50 N ~ 3 MN、圧縮力のみ   ・最高測定能力     0.14 %(50 N以上 3 kN未満)     0.12 %(3 kN以上 3 MN以下) 【「質量」(電子式非自動はかり)】   ・校正範囲(現地校正)     ひょう量:10 g~100 kg、目量:0.1 mg以上   ・最高測定能力     校正範囲毎に値を定めている     (詳細は当財団ホームページに掲載) 【「長さ」(一次元寸法測定器)】   ・校正範囲(現地校正または常設校正)     ノギス:M形、CM形(JIS B 7507)         外側、内側測定用 600 mm以下     マイクロメータ:外側(JIS B 7502)、       25 mm以下     ダイヤルゲージ:目量:0.01 mm       (JIS B 7503)、25 mm以下   ・最高測定能力     ノギス:0.03 mm(300 mm以下)         0.04 mm(300 mm超 600 mm以下)     マイクロメータ:2 μm(25 mm以下)

2. 4 JCSS校正証明書

当室は、写真-2.1に示す国際MRA対応のJCSS認定シ ンボル入りの校正証明書を発行することができる。しか し、国際MRA非対応の校正事業者は、国内でのみ有効 性を確保した“JCSS”のみの表示となる。 同証明書の利点としては、以下のような内容がある。 ・ 表示シンボルによって国家計量標準へのトレーサ ビリティの確保が証明されており、トレーサビリテ ィ体系図が不要となる。 ・ 不確かさの見積もりが必要な場合、記載の不確かさ を活用できる。 また、同証明書は、APLAC(アジア太平洋試験所認 定協力機構)およびILAC(国際試験所認定協力機構) との相互承認協定を満足しており、他国でも活用できる。

2. 5 JCSS校正の必要性

2. 5. 1 計測器管理 計測器は、使用の有無を問わず時間の経過とともに性 能が変動し、場合によっては故障する。何時も適正な計 測器を使用するには、定期的に校正を受ける必要があり、 その際にJCSS校正を実施することによって精度の高い 計測器管理が実現できる。 2. 5. 2 JCSS校正が要求される場面 主に建設業界において、下記のISO関連の認証等を取 得するには、自社の品質システムの正当性を表明するた め、使用設備に対して測定のトレーサビリティを確保す る必要がある。なお、測定のトレーサビリティとは, JIS Z 8103によると、通常は国際単位系(SI単位)に具現化 認定シンボル 写真-2.1 JCSS認定シンボル入りの校正証明書

(3)

年毎に上位機関のJCSS校正を受けている(写真-4.1)。 他事業者では環状ばね形力計の使用が多いが、当室はロ ードセル式力計による校正によってコンピュータによる 自動測定ができ、効率的な校正が可能である。 4. 1. 3 校正方法 校正手順は、「JIS B 7721」(引張試験機・圧縮試験機 -力測定系の校正方法及び検証方法)を基にした当室校 正手順書「CP-F01 一軸試験機の校正手順書」によっ て実施する。校正作業は、一軸試験機の設置場所にて一 定の環境下(温度:10 ℃~ 35 ℃、湿度:75 %以下、 気圧:860 hPa ~ 1060 hPa)で実施され、測定は標準 器を一軸試験機の加圧部に設置し、通常は容量の 20 %、 40 %、60 %、80 %、100 %の測定点に一軸試験機の指 示計の値を合わせ、標準器の示す値を読取る。その値は、 指示計を介してコンピュータへ自動的に取り込まれる。 校正状況を写真-4.2に示す。 4. 1. 4 校正結果等 校正結果等の報告内容は、同機構が発行する技術的要 求事項適用指針に定められている。その内容は、相対指 示誤差(器差)および拡張不確かさの報告に加え、JIS B 7721で要求する相対繰返し誤差、相対往復誤差、相対     ダイヤルゲージ:3 μm(25 mm以下)

4. JCSS校正業務

本章では、当室のJCSS校正業務について、登録区分 毎に概要、標準器、校正方法および校正結果等を説明す る。

4. 1 一軸試験機の校正

4. 1. 1 概要 各種材料の機械的強度の測定に使用する万能試験機、 圧縮試験機(油圧式、ねじ式:以下、一軸試験機という。) について、標準器を用いての校正を実施する。 4. 1. 2 標準器 一軸試験機の校正に使用する 1 kN ~ 3 MNのロード セル式力計((株)東京測器研究所 製)を9台保有し、2 写真-3.1 登録証 写真-3.2 認定証 写真-4.1 ロードセル式力計 写真-4.2 校正状況(一軸試験機)

(4)

については、重力加速度の違いや設置場所の水平度の影 響から、ユーザーの使用場所で実施することが望ましい と考える。校正状況を写真-4.4に示す。 4. 2. 4 校正結果等 校正結果等の報告内容は、前述の一軸試験機と同様に 同適用指針に定められている。その内容は、正確さ(器 差)および拡張不確かさの報告に加え、繰返し性および 偏置荷重を報告する。これらの結果を基に、ユーザーが 設定する基準値によって使用の可否を判断する。なお、 基準値は製造会社が定める直線性等の仕様、試験結果に 影響がない程度の器差の値を用いる場合が多く、一例と して当室が保有する目量0.1 gのはかりの場合〔仕様: 直線性 0.2 g、繰返し性 0.1 g(2 σ相当)〕、仕様の値を 加算して 0.3 gと設定する。 校正の間隔は特に定めはなく、ユーザーが使用用途、 型式等によって設定することになるが、当室では1 ~ 2 年を推奨する。

4. 3 ノギス、マイクロメータおよびダイヤルゲ

ージの校正

4. 3. 1 概要 各種材料の直径および高さ等の寸法測定に使用するノ ギス等について、標準器を用いての校正を実施する。 4. 3. 2 標準器 ノギス等の校正に使用する標準器を21個保有し、ダイ ヤルゲージ校正器は1年毎、他の標準器は2年毎に上位機 関のJCSS校正を受けている(写真-4.5)。 [各計測器に用いる標準器] ・ノギス:ブロックゲージおよびキャリパチェッカ ・マイクロメータ:ブロックゲージ ・ダイヤルゲージ:ダイヤルゲージ校正器 ゼロ誤差および相対分解能について報告する。これらの 結果を基に、ユーザーが表-4.1に示す力計測系の特性値 によって試験機の等級判定を実施する。なお、JIS規格 の各種材料試験では、等級1級以上を要求している。 校正の間隔は、JIS B 7721において1年を推奨してい る。

4. 2 はかりの校正

4. 2. 1 概要 各種材料の質量測定に使用する電子式非自動はかり (電子天秤)について、標準器を用いての校正を実施する。 4. 2. 2 標準器 はかりの校正に使用する 10 g ~ 20 kgの標準分銅 ((株)村上衡器製作所 製)を26個保有し、3年毎に上位 機関のJCSS校正を受けている(写真-4.3)。 4. 2. 3 校正方法 校正手順は、当室校正手順書「CP-W02 はかりの校 正手順書(現地)」によって実施する。校正作業は、は かりの設置場所にて一定の環境下(温度:5 ℃~ 35 ℃、 湿度:25 %~ 85 %、気圧:900 hPa ~ 1035 hPa)で実 施され、測定は繰返し性、偏置荷重、正確さ(器差)の 項目を実施する。正確さの測定は通常、ひょう量を概ね 等分した4点の測定点に、標準分銅をはかりのひょう量 皿上にピンセット、専用フォーク等によって載せ、その 際のはかりの表示値を読取る。また、はかりの校正場所 写真-4.3 標準分銅 写真-4.4 校正状況(電子式非自動はかり) 特性値(%) 等級 0.5級 1級 2級 3級 指示誤差 ±0.5 ±1.0 ±2.0 ±3.0 繰返し誤差 0.5 1.0 2.0 3.0 往復誤差 ±0.75 ±1.5 ±3.0 ±4.5 ゼロ誤差 ±0.05 ±0.1 ±0.2 ±0.3 分解能 0.25 0.5 1.0 1.5 表-4.1 力計測系の特性値

(5)

型式等によって設定することになるが、当室では1 ~ 2 年を推奨する。

5. 一般校正業務

本章では、当室が昨年12月より開始した温度計の校正 業務について、その概要を説明する。 1)校正概要 ・校正対象:ガラス製棒温度計、抵抗温度計 ・校正範囲:10 ℃~ 30 ℃ ・標準器:温度計校正装置 ・ 校正手順: 標準器の温度を通常は 15 ℃、20 ℃、25 ℃の所定温度に設定し、その際の温度計 の指示値を読取る。校正状況を写真-5.1 に示す。 2)校正結果等 校正結果は器差のみを報告し、トレーサビリティ体系 図を添付する。その結果は、新JIS認証で要求される測 定のトレーサビリティを確保できる。

6. おわりに

今後、あらゆる経済活動の場面で、測定のトレーサビ リティの確保できるJCSS校正の必要性が高まることが 考えられる。本稿の内容が, ユーザーの皆様がJCSS校正 を活用される場合のご参考となり、貴社の品質管理の更 なる向上のための一助となればと考える。 4. 3. 3 校正方法 校正手順は、当室校正手順書「CP-L02 ノギスの校 正手順書(現地)」等の計測器毎の手順書によって実施 する。校正作業は、ノギス等の使用場所または当財団校 正室にて一定の環境下(使用場所の場合、温度:10 ℃ ~ 30 ℃、湿度:20 %~ 80 %)で実施され、測定は一 例としてノギスの場合、基点と、測定長を概ね等分した 4点の5点について、標準器の測定ブロック間の距離をノ ギスのジョウで挟み込み、その際のノギスの表示値を読 取る。ノギスの校正状況を写真-4.6に示す。 4. 3. 4 校正結果等 校正結果等の報告内容は、前述の一軸試験機と同様に 同適用指針に定められている。その内容は、器差および 拡張不確かさを報告する。これらの結果を基に、ユーザ ーが設定する基準値によって使用の可否を判断する。な お、基準値は当該器JIS規格の器差の許容値、製造会社 が定める器差の仕様の値を用いる場合が多く、一例とし てディジタル表示式ノギス(最小表示量:0.01 mm)に 対する「JIS B 7507」(ノギス)の器差の許容値を表-4.2 に示す。 校正の間隔は特に定めはなく、ユーザーが使用用途、 写真-4.5 ブロックゲージ等 写真-4.6 校正状況(ノギス) 写真-5.1 校正状況(温度計) 測定長(mm) 許容値(mm) 50以下 ±0.02 50を超え200以下 ±0.03 200を超え400以下 ±0.04 400を超え600以下 ±0.05 表-4.2 ノギスの器差の許容値

参照

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