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大規模並列第一原理密度行列繰り込み群法の研究開発Development of massively parallel first-principles DMRG method

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Academic year: 2021

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hp140104 「京」一般利用 K General Use

大規模並列第一原理密度行列繰り込み群法の研究開発

Development of massively parallel first-principles DMRG method

曽田繁利1)、今村穣2)、柚木清司1) 、中嶋隆人1)

Shigetoshi Sota1), Yutaka Imamura2), Seiji Yunoki1), and Takahito Nakajima1) 1) 理化学研究所計算科学研究センター、2) 首都大学東京 1) RIKEN Center for Computational Science, 2) Tokyo Metropolitan University

要旨 分子の第一原理ハミルトニアンに基づく密度行列繰り込み群 (DMRG) 法の大規模計算アルゴ リズム開発を「京」コンピュータ上で行った。特に、従来取り扱いが困難であった大規模な複雑 分子系に対応するために、新たな第一原理 DMRG 法のアルゴリズムも含めた研究開発を行った。 このような DMRG 法の量子化学計算への応用における大きな課題は、電子間相互作用を含むハ ミルトニアンの各要素や物理量の記述に使う演算子を記憶する領域の使用量の削減である。本研 究課題では、演算子を逐次変換、および保存する従来の DMRG 法のアルゴリズムを見直し、変 換行列を保存し必要とする演算子を逐次生成する新たな DMRG 法のアルゴリズムを開発し記憶 領域の使用量の大幅な削減に成功した一方、従来のモデルハミルトニアンに対する DMRG 法の 適用とほぼ変わらない計算時間で実行可能であることも確認できた。 キーワード:密度行列繰り込み群法、第一原理計算、電子状態、大規模並列、生体関連物質 Abstract

Density matrix renormalization group (DMRG) based on first-principles molecular Hamiltonian has been extensively developed on K computer. In particular, development and implement of the DMRG program including new algorithms have been carried out toward calculations for large-scale complex molecular systems. The obstacle for the large-scale DMRG calculations is large storage areas used for transformed elements of Hamiltonian including electron-electron interaction, and operators for evaluating physical properties. The new DMRG program is designed to save a transformation matrix and transform only necessary operators instead of transforming and saving all operators. We confirmed that the DMRG program enable us to perform first-principles DMRG calculations whose computational time is comparable to that of DMRG calculations for conventional model Hamiltonians.

© 2020 Research Organization for Information Science and Technology All rights reserved. Received: 30 October 2018

Accepted: 07 February 2020 Available online: 14 February 2020

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Keywords : Density matrix renormalization group, first-principles calculation, electronic state, massively parallel computation, biological material

1. 研究の背景と目的 資源枯渇や環境破壊を起こさない持続可能な社会の維持にはエネルギー問題の解決が必要 不可欠である。近年、エネルギー問題の解決に重要な役割を果たすと期待されている強相関 系の生体関連材料が注目を集めている。しかしながら、実験からもシミュレーションからも 強相関系の生体関連材料の詳細な電子状態を得ることが困難な場合が多い。そこで、本研究 では生体関連物質の電子状態解明を目指し、強相関系の高精度な記述が可能な第一原理ハミ ルトニアンに基づく密度行列繰り込み群 (DMRG) 法[1]の開発、およびその高度化を目的と し研究開発を行った。 2. 計算モデル 本研究では、実在する分子を対象とした第一原理計算を実行し、とりわけ電子相関の強い 部分系について活性空間法[2]により得られたハミルトニアンに対する DMRG 計算を実行す る。本研究における DMRG 法は、次の電子系のハミルトニアンに対して実行される。 𝐻𝐻 = � 𝑡𝑡𝑖𝑖𝑖𝑖𝑐𝑐𝑖𝑖†𝑐𝑐𝑖𝑖+ � 𝑉𝑉𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑖𝑖,𝑖𝑖,𝑖𝑖,𝑖𝑖 𝑖𝑖,𝑖𝑖 𝑐𝑐𝑖𝑖†𝑐𝑐𝑖𝑖𝑐𝑐𝑖𝑖†𝑐𝑐𝑖𝑖 (1) ここで、 †

( )

i i

c c

は i 番目の軌道に対する電子の生成 (消滅) 演算子、

t

ijは一電子積分の項、

V

ijkl は二電子積分の項に対するパラメータで、これらの値は目的の系に対する第一原理計算によ り決定される。本研究では、量子化学計算に対応した第一原理 DMRG 法の大規模並列アルゴ リズムの研究開発をその中心的研究課題として取り扱った。特に、本研究における第一原理 DMRG 法の新たなアルゴリズムの研究開発については、「京」コンピュータの持つ巨大な計算 能力を用いることで、これまでメモリ使用量から 30 軌道前後に制限されていた計算可能な軌 道数を超えた大規模系に適用できるよう開発を行った。量子化学計算に対する DMRG 法の適 用において軌道数の向上はその適用範囲の拡張のために重要な課題である。 3. 並列計算の方法と効果(性能) 本研究で取り扱う DMRG 法は数値繰り込み群の一種であり、物性物理分野において一次元 強相関量子格子模型の基底状態計算に対し非常に有効な計算手法として知られている。 DMRG 法では、計算の目的に対応して設定されるターゲット状態について系をシステムブロ ック、および環境ブロックの 2 つに分割し、その特異値分解を考える。このとき、ターゲッ ト状態を表現する上で重要な m 個の基底を特異値の大きさから判定する。その結果、系は特 異値の大きい m 個の特異ベクトルを基底として近似的に表現される。これにより、量子多体

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3 系を取り扱う強相関量 子系の計算において系 のサイズに対し指数関 数的に増大する系の自 由度を任意の数 m に留 めることが可能となる。 そのため、ターゲット状 態について厳密対角化 法では事実上計算が困 難なサイズの系の計算 が可能となる。量子化学 計算における DMRG 法 では、一次元状に配列し た軌道を想定し、これに 対して一次元強相関量 子 格 子 模 型 に 対 す る DMRG 法と同様のアルゴリズム[1]による計算を行う。また、量子化学計算における DMRG 法 では、一次元強相関量子格子模型の場合と異なり、一次元的に並べた軌道の最近接間の相互 作用のみではなく、離れた位置にある軌道間の相互作用も存在する。この相互作用について は、多次元強相関量子系に対する DMRG 法の適用と同様の長距離の相互作用を導入すること で DMRG 計算の中に取り入れる。DMRG 法の量子化学計算への応用例として、図 1 に酸素 分子の場合を示す。ここでは、10 軌道の系に対する無限系アルゴリズムの例を示しており、 4 軌道の系を出発点に 10 軌道まで系を拡張する様子を示す。 本研究で開発した第一原理 DMRG 法の大規模並列アルゴリズムは、これまで著者らが開発 してきた多次元量子格子模型に対する大規模並列 DMRG 法の並列化手法を基本として開発 した。多次元量子格子模型に対応した大規模並列 DMRG 法のアルゴリズムとしては、梯子系 を想定した一次元強相関量子格子模型と同様のアルゴリズムによる効率的な計算手法が報告 されている[3]。しかしながら、量子化学計算における取り扱いでは、最近接格子間の相互作 用のみではなく長距離の相互作用を含む取り扱いが必要であるため、量子化学計算において 一般的に用いられる DMRG 法のアルゴリズム[4]を基本としてその開発を行った。また、本研 究の DMRG 法の並列化手法としては、特に量子化学計算では多数の長距離にも及ぶ相互作用 項の取り扱いが必要であるため、この部分に対する自明な並列化が中心となる。さらに、高 精度計算の必要性から巨大な m による計算への対応ため、ハミルトニアンの固有値問題に対 する並列化を行った。 図 1 DMRG 法の量子化学計算への応用を示した模式図 橙色の円は新たに導入された軌道、青色の円はすでに導入され ている軌道を示す。また、上向き矢印はアップスピンの電子、 下向き矢印はダウンスピンの電子を示す。また、図中の青い点 線の四角で囲まれた部分は、DMRG 法により最適化された m 個の基底で記述されている部分を示す。

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4 本研究で開発する第一原理 DMRG 法の計算は基底状態計算が主要な目的である。この計算 は DMRG 法の過程で最適化された制限された数の基底で表現されるハミルトニアンについ てランチョス法を用いて実行される。このランチョス法において最も計算コストを要する部 分は最適化された基底で与えられるハミルトニアンとランチョス法の過程で現れるベクトル の積である。また、ここで与えられるハミルトニアンは疎行列となる。本研究の取り扱いで は、まず単体性能向上の立場から、次の手順により疎行列とベクトルの積を密行列の行列・ 行列積に変換する。 (i) 全系のハミルトニアンをシステムブロック、環境ブロック、および追加した軌道部分の 3 つの部分の直積で与える[3]。 (ii) 追加した軌道については DMRG 法の過程の中では完全な基底を持っている。これは DMRG 法により最適化されたハミルトニアンが疎行列となる一因となっている。そこで、 この追加された軌道の自由度毎にランチョスベクトルを異なる配列に分割する。 (iii) 系の対称性により、システムブロック、および環境ブロックに対応する部分系のハミル トニアンをブロック対角化する。(1) 式のハミルトニアンついては、システムブロック、 および環境ブロック内のアップスピン、およびダウンスピンの電子の数についてブロッ ク対角化が可能である。ブロック対角化後の各ブロック内の行列要素は密となる。この ブロック対角化に対応して、システムブロック、および環境ブロックの各演算子、及び追 加した軌道の自由度により分割されたランチョスベクトルをさらにそれぞれ別の配列に 分割する。 以上の変換により、一回の疎行列とベクトルの積は、複数回の密行列の行列・行列積へと変 換される。また、この行列・行列積の大規模並列化として、ハミルトニアンに対応する演算 子の行列を列、及び行方向について 2 次元的に分割し、さらにランチョスベクトルに対応す る行列の行方向について 3 つの MPI のコミュニケータを導入し並列化を行った。この 3 つの コミュニケータ内の通信により、行列・行列積に必要な並列計算が可能となる (図 2)。この 局所化された通信により、行列・行列積で 必要とされた計算で必要とされる全対全 通信は、ノード数を N として各グループ に所属するノード数 N1/3の全対全通信に 置き換えられるため、その並列化効率の 向上が図られた。また、特に「京」コンピ ュータを利用する場合、ノード間通信を 実行する Tofu インターコネクトに対して、 ここで導入された 3 つのコミュニケータのグループを 3 軸方向にそれぞれ振り分けることで、 「京」コンピュータにおいて効率的な大規模並列計算が可能となる。また、DMRG 計算の収 束を得るために実行される有限系アルゴリズムによる基底の最適化について任意の数に分割 図2 行列・行列積の並列化に伴う 要素の分割の概念図

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5 された領域を並列して最適化する実空間並列化法[5]も特に長距離相互作用を含むような本研 究対象の DMRG 計算でも有効である。ただし、特に本研究で開発した第一原理 DMRG 法の 適用では、(1) 式の各相互作用項に対する自明な並列化をできるだけ優先した方が後述の変換 行列の保存と演算子生成に基づく新たな第一原理 DMRG 法アルゴリズムとも関連してより 効率的な実行が可能となる。 4. 研究成果 (1) 式で与えられたハミルトニアンに対する DMRG 法の適用における最大のボトルネック は、電子間の相互作用を記述するために保存される演算子の記憶に用いられるメモリ使用量 にある。特に、(1) 式のハミルトニアンの第二項に現れる二電子積分の項について、DMRG 法 の計算精度を維持するためには各軌道の生成・消滅演算子を分割して取り扱うことは困難で ある。したがって、演算子の積は、積の形のままで基底の変換と保存が必要となる。そのた め、この 4 つの演算子の積の部分で必要とされる記憶領域の容量は 4 つの演算子の組み合わ せと DMRG 法のスイープの過程で系のサイズ L に対応して L 通りの異なる表現が与えられ ることも考慮すると O(L5) となる。この事情は、たとえ「京」コンピュータのような巨大な 計算資源を用いた場合においても、これまでの量子化学計算における DMRG 法のアルゴリズ ムではそれほど大きなサイズの系の計算はできないことを意味する。したがって、この系の サイズに対する制限を超える計算を実現するため、DMRG 法アルゴリズムの改良を行った。 本研究で開発されたアルゴリズムでは、これまで各演算子を基本にして行われていた DMRG 法の計算とは異なり、DMRG 法によりターゲット状態に対して最適化された基底への 変換を与える変換行列を基本として実行される。DMRG 法の計算は、ターゲット状態を表現 するために最適化された任意の数 m の基底で与えられる図 1 のシステムブロック、および環 境ブロックを用いて実行される。し たがって、各ブロック内に含まれる 軌道に対応した演算子は、この m 個 の基底による表現で与える必要があ る。この m 個の基底による表現への 変換は、ターゲット状態より作られ る縮約密度行列の固有ベクトルから 構成される変換行列を通じて実行さ れる。また、DMRG 法の各ステップ では、取り扱われる各ブロックのサ イズに対応して異なる表現を用いる ことからも、取り扱う系のサイズ L に対応した異なる表現を与える変換 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 num be r of c al cul at ing t erm s number of orbitals 図3 本研究で開発された大規模並列第一原理 DMRG 法における軌道数と計算上扱われる項の数の関係 赤色の実線は2 次関数によるフィッティングを示す。

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6 行列が生成される。この変換行列を利用することにより、各 DMRG 法のステップにおいて必 要とされる図 1 の各ブロック内に含まれる軌道に対応した演算子を生成することが可能であ る。そこで、メモリ使用量の節約の観点から本研究では計算上必要とされる演算子ではなく この変換行列のみを保存するアルゴリズムの開発に取り組んだ。本研究で開発された DMRG 法のアルゴリズムでは、この保存された変換行列から DMRG 法の各ステップで実行される基 底状態等のターゲット状態計算のために生成する基底が最適化されたハミルトニアンについ て、特にシステムブロックと環境ブロックにまたがって与えられる項に対応した演算子を DMRG 法のステップごとに生成する。各ブロック内の軌道間のみで与えられる項については、 従来の DMRG 法と同様に各ブロックのハミルトニアンを作成し、その中に含める。 (この各 ブロックのハミルトニアンに必要なメモリ使用量は系のサイズ L について O(L) となる。) こ れにより、これまでの量子化学計算において必要とされたメモリ使用量のサイズ依存性は、 二電子積分に現れる 4 つの演算子の積と系のサイズ L に対応して O(L5) のメモリ容量が必要 であったこれまでのアルゴリズムに対し、系のサイズ L に対応して実行される DMRG 法のス テップ数分の変換行列のみを保存する本アルゴリズムでは O(L) まで削減された。ただし、こ のアルゴリズムでは演算子の生成に必要な計算が余分に必要である。DMRG 法の実行の過程 で生成することが必要とされる演算子は、システムブロックと環境ブロックにまたがって与 えられる相互作用項に対応するものである。しかしながら、この各相互作用項に対する並列 化は容易であり、ここで必要となる演算子の生成はそれぞれ完全に並列化して生成すること が可能である。したがって、本研究で開発された第一原理 DMRG 法のアルゴリズムは、大規 模並列計算において十分効率的な実行が可能である。また、G. K.-L. Chan により開発された 相互作用項をまとめた上で計算する手法[4]を導入することにより、特にシステムブロックと 環境ブロックにまたがって与えられる相互作用項を可能な限りまとめ上げたうえで計算する ことにより計算量の削減を図った。またこの手法は、DMRG 法におけるハミルトニアンの基 底状態を始めとしたターゲット状態の計算におけるメモリ使用量の削減に対しても非常に有 効である。 本研究課題では、厳密対角化可能なサイズの系について、開発した DMRG 法プログラムの 計算結果の確認を行った上で「京」コンピュータ上における大規模並列計算での実証研究を 行った。特に、これまでの第一原理 DMRG 法ではメモリ使用量の制限から計算が困難であっ たサイズの系に対する検証を行った。図 3 に、(1) 式のハミルトニアンについて乱数を用いて 作成された仮想的な系について、本研究で開発された第一原理 DMRG 法プログラムにおける 軌道数と演算子の生成を必要とする相互作用項の数の関係を示す。ここでは、実証研究の効 率化を図るため、(1) 式の第二項の二電子積分について、非ゼロ要素の割合を 10%として実証 研究を行っている。図 3 の赤色の実線は、二次関数によるフィッティングである。本研究課 題で開発された第一原理 DMRG 法プログラムが必要とする計算量が (1) 式のハミルトニア ンの第二項の二電子積分項から想定される O(L4) ではなく、O(L2) であることが確認される。

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7 また、仮に「京」コンピュータ全ノード (82,944 ノード) を用い、かつすべての並列化を相互 作用項に対して行った場合、100 軌道の系において、たとえすべての二電子積分項が非ゼロで あった場合、つまりおよそ 60 万項の計算を行うとした場合でも、1 ノード当たり計算する項 の数としては 10 項に満たない。したがって、本研究課題で開発された第一原理 DMRG 法を 「京」コンピュータで用いることにより、100 軌道を超える系の計算が十分可能であることが 実証された。 5. まとめと今後の課題 エネルギー問題の解決に不可欠な強相関系の生体関連材料の電子状態を高精度に求めるこ とができる第一原理ハミルトニアンに対する DMRG 法の開発を行った。特に、DMRG 法の量 子化学計算への応用における大きな課題である記憶領域の使用量の大幅な削減につき、それ が可能な新たなアルゴリズムの開発に成功した。具体的には、演算子を逐次変換、保存する 従来の DMRG 法のアルゴリズムを見直し、変換行列を保存し必要とする演算子を逐次生成す る新たな DMRG 法のアルゴリズムを開発し、記憶領域の使用量を大幅に削減した。従来のモ デルハミルトニアンに対する DMRG 法と同程度の計算時間で実行可能な DMRG 法を開発・ 整備した。また、開発した第一原理 DMRG 法のプログラムは「paraDMRG」として公開する 予定である。 今後の課題として、開発した DMRG 法を用いて強相関生体関連物質であるヒドロゲナーゼ のモデル分子の電子状態解明を行いたい。ヒドロゲナーゼは、燃焼しても温暖化の原因の物 質を生成しない究極のクリーンエネルギーである水素を生成する触媒である。具体的には、 プロトンを還元し水素を発生する単核・二核ヒドロゲナーゼの酵素の電子状態に関して検討 をしてみたい。ヒドロゲナーゼの活性部位で複雑な電子状態になることが指摘されており、 強相関系を扱える手法でのみ定量的な結果を得ることができることが期待される。 参考文献

[1] S. R. White, Phys. Rev. Lett. 69, 2863 (1992); Phys. Rev. B 48, 10345 (1993). [2] B. O. Roos, P. R. Taylor, P. E. M. Siegbahn, Chem. Phys. 48, 157 (1980). [3] S. Yamada, M. Okumura, M. Machida, J. Phys. Soc. Jpn. 78, 094004 (2009). [4] G. K.-L. Chan, J. Chem. Phys. 120, 3172 (2004).

図 3 本研究で開発された大規模並列第一原理 DMRG 法における軌道数と計算上扱われる項の数の関係 赤色の実線は 2 次関数によるフィッティングを示す。

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