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はじめに(pdf)

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Academic year: 2021

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はじめに

超人のスーパーマン(superman)は人間(man)を超える特殊 能力(空を飛ぶとか)をもっている.一方,超分子は supramole-culeであって,決して supermolecule ではない.超分子は,その集 合状態によって単独の分子では実現できない高度な,しかし,決し て特殊ではない機能を発揮する.超分子化学のお手本となる生物 は,きわめて高度で多彩な機能をもつ自立した超分子システムであ る.だとしても,その機能は分子を超えたところ(super)にある のではなく,分子の向こう側(supra)にあるのだ.超分子化学は, 分子の集合状態が何をもたらすかを明らかにすることで,生体にし かできないと思われてきた機能を実現しつつある. 本書では,第 1 章で超分子とはどのようなものかについて述べ たあと,第 2 章では,分子が集合状態をとるための分子間相互作 用について,その由来と特徴を述べる.第 3∼5 章では,これらの 分子間相互作用を利用した超分子形成について述べる.そのなか で,能動輸送,鋳型効果,事前組織化,エントロピー効果,ミセ ル,脂質二重膜,反応場,相補性,多点認識,自己複製といった, 超分子によって実現される機能や超分子形成の特徴について述べ る.第 6 章ではアロステリック効果と集積錯体を中心に,多数の 分子が協調したときに現れる作用について述べる.第 7 章で述べ るインターロックト分子は,いまだ謎に包まれた生体機能である分 子モーターを理解するための枠組みとして期待されている. 超分子化学のお手本は生体であるものの,生体は進化の過程で手 を伸ばすことのできた範囲の分子しか利用することができない.そ れに対して私たちはどのような分子でも利用することができる.実 化学の要点シリーズ 【23】巻 超分子化学 日本化学会 編・木原 伸浩著 http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320044630

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際,本書に登場する分子のほとんどは非天然の人工的な化合物であ り,それによってさまざまな超分子がつくられてきている.そのよ うにしてつくられた超分子は生体の機能の一部を実現している.ま た,生体には見られないような機能を実現する超分子もある. では,私たちが超分子化学によって生物を超えたのかといえば, もちろんそのようなことはない.人工化合物では実現されていない 生体機能は多い.人工的に実現された生体機能でも,そのレベルは 生物が実現しているレベルにはるかに及ばないことが多い.それで も,超分子化学の進歩により,私たちは生体機能をより深く理解で きるようになり,また,人工超分子化合物やそれを形成するような システムは,(気づかれないうちに)私たちの生活の中に入り込み, 現代社会の基盤となりつつある. 20世紀は有機化学が著しく発展した時代で,それを背景に超分 子化学が生まれてきた.21 世紀になりその流れは加速しつつある. 生物は今後も超分子化学のお手本となり続けるであろうが,超分子 化学の一部は生物とは無関係に発展し続けている.生物からさまざ まなことを学びながら,超分子化学が有機化学や無機化学を巻き込 んで発展し続けることで,生体機能がより深く理解できたり,生体 機能が人工化合物で実現できたりするようになるだけでなく,これ までには想像もできなかったような機能をもつ分子システムが実現 されていくであろう.本書はそのスタートラインである. 2017年 10 月 木 原 伸 浩 vi はじめに 化学の要点シリーズ 【23】巻 超分子化学 日本化学会 編・木原 伸浩著 http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320044630

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