生物に学ぶ光制御 ―液晶で構造色、機能薄膜やレーザをつくる
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(2) (b) 1.0. 1.0. 0.8. 0.8. 0.6. 0.6. 0.4. 0.4. 0.2. 0.2. 0.0. 0.0. 発光強度 (arb.units). 反射率. (a). 図 4 葛飾北斎の富岳三十六景のひとつをイ ンクジェットプリンタで描いたもの。. 図 5 ( a )コレステリック液晶レーザの発振 の様子。( b )青は色素の発光スペクトル、緑 は選択反射、赤が液晶レーザのスペクトル。. が大きなメリットになる」 (渡辺氏) 。こ. や視野角拡散板などがいらず、小型、. けだ。通常の材料はΔn=0.1〜0.2だが、. の液晶材料を使って渡辺氏らはインク. 省エネになることが期待される。また. 高分子でΔn=1 が実現できれば応用先. ジェット法による絵を描くことにも成. 開発の過程で多くの光学薄膜などの開. は広いと渡辺氏は言う。例えば、可視. 功している。図 4 は 50μm 径のドット. 発が進むだろう」と渡辺氏は語る。. 光の全波長を対象とした透明偏光板、. で 2×3 cm のサイズに描かれており、. −0.2 400. 500. 波長(nm). 600. −0.2. またある一定の方向の偏光に対しては. 蒔絵のような質感になっている。将来. 赤外領域でも応用. は少量生産やオリジナルデザインへの. 生物に学んで開発した製品のひとつ. レンズへの応用が考えられる。渡辺氏. 対応も可能というわけだ。. が、赤外線反射フィルムだ。砂漠に住. は具体的にはアセチレン結合で芳香族. む昆虫には、液晶構造による選択反射. 環を連結させたグループを用い、異方. によって、赤外線を 100% 反射するこ. 性の高い材料を実現しようとしている。. また渡辺氏らは、コレステリック液. とができるものがいる。体表面はネマ. 構造色は基本的にある波長幅の光し. 晶に発光色素を導入することによっ. チック液晶による 1/2 波長板をコレス. か反射しないが、工夫によってより多. て、液晶レーザの発振にも成功してい. テリック液晶層で挟んだ構造になる。. 彩な表現も可能になる。例えばサンマ. る(図 5 ) 。レーザの発振波長とらせん. 入射した赤外線は、左偏光については. の表面は、さまざまな波長の光を反射. 周期を同じにし、膜内を共振器とする。. 選択反射によって外部に出てゆく。一. させることによってシルバー色を発生. 半導体レーザにおける分布帰還型と構. 方残りの右偏光については 1/2 波長板. している。これは、さまざまな周期の. 造は同じになる。YAGレーザのTHG. を通過することによって左偏光となる。. 多層膜を重ね、入ってくるさまざまな. パルス光(355nm) を光源とし、発振波. その光はさらに下層のコレステリック. 波長の光を選択反射することで実現し. 長はらせんピッチを変えることで 400. 層で反射され、ふたたび 1/2 波長板を. ている。またゴールドの色を持つ昆虫. nm から 600nm まで可能である。2010. 通過する際に右偏光に戻って上のコレ. は、らせんピッチは 1 通りしかないが、. 年の時点で色素にピレン系の多環式芳. ステリック層と干渉せずにそのまま出. 体表面のくぼみによって、くぼみの中. 香族炭化水素を使ったものだと閾値は. ていくという仕組みだ。. 心で選択反射される光は赤、片方のへ. 液晶レーザの発振も研究. 180nJ/pulse、アントラセン系のもので. 高い屈折率をもつ低焦点プラスチック. りに入射してもう片方のへりから出て. は 23nJ/pulse であり、閾値を下げるの. 薄膜化への挑戦. が今後の課題だという。量子収率は. このような材料に使う光位相差板は. ドを発生している。 「こういった自然. 80% 以上である。従来、液晶レーザに. 複屈折性をもつ材料を使うが、縦と横. の例に学ぶことは多い」と渡辺氏は言. 適した発光色素は十分に検討されてこ. 方向の屈折率の差、つまり複屈折の偏. う。液晶によって構造色を作り出す研. なかった。研究では発光色素を系統的. りが大きい方が好ましい。光の楕円率. 究は、幅広い応用への可能性を秘めて. に合成し、設計指針を作ることで高い. の変化の速さは、屈折率の差Δn と材. いる。. 量子収率や低閾値化を達成した。この. 料の厚さ d の積、Δn×d によって決ま. 液晶レーザのアプリケーション候補の. るからである。この値が小さいほど、. ひとつにディスプレイがある。 「偏光板. 必要となる材料も少なくなるというわ. いく光は緑となり、その混合でゴール. 訪問した研究室 東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高 分子物質専攻 渡辺・戸木田研究室. LFWJ. Laser Focus World Japan 2013.3. 17.
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