2021.5 Laser Focus World Japan
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feature
半導体業界は、世界で最も大規模で 重要な業界の1つに成長している。シ リコンは、メモリチップ、コンピュー タプロセッサ、トランジスタや、私た ちのすべてに日常的に影響を与える、 ほぼすべてのエレクトロニクス製品の ビルディングブロックである。シリコ ンは非常に特殊な性質を備えている。 最も顕著な点は、半導体であり、条件 によって電気を通す場合と、絶縁体と して機能する場合があることだ。シリ コンは、ドーピング(添加)という処理 によって電気特性を改変できるため、 トランジスタに理想的な材料である。 シリコン製造は、全工程に6〜8週 間を要し、非常に特殊な半導体ファウ ンドリ(ファブ)で行われる。シリコン 検査(図1)は、パターンの位置合わせ、 パターンの欠陥検査、エッジ位置の接 合検査という点で、シリコンと半導体 のメーカーにとって難しい問題になり 得る。製造工程中には、異物や欠陥が ウエハの上面、裏面、内部、またはウ エハとウエハの間に現れる可能性があ る。また、ウエハがますます薄くなる につれて、裏面の欠陥の検出がますま す重要になっている。これには、エア ポケット、微小亀裂、フォトニック発 光に起因するその他の微細形状が含ま れる。欠陥は、最初のうちはチップの 機能に影響を与えないが、最終的には、 チップの信頼性に影響を与えることに なる。信頼性は、クリティカルなデバ イスにおいて重要な要素である。品質 管理は、シリコンメーカーにとって何 よりも重要である。カメラに基づく検査
シリコン表面検査には従来、CCD カメラとCMOSカメラが用いられてき た。これらのカメラに搭載されるシリ コンセンサは、350〜1000nmの波長 範囲に対応する。ディープデプレッシ ョンのデバイスは、シリコンのエレク トロルミネッセンスやフォトルミネッ センスによる最も短い発光波長を確認 できるだけの高い量子効率(Quantum Efficiency:QE)を備え、シリコンのバ ンドギャップを上回るエネルギー遷移 を伴う光子放射を観測することができ る。しかし、そのようなデバイスには 長い蓄積時間が必要で、バンド間発光 が最も強くなる1100nmを超える領域 のバンド間発光は観測できないため、 オフラインの前面検査にしか使用する ことができない。短波赤外(SWIR)への移行
シリコンには、1150nmを超える波 長を透過するという興味深い性質があ る。これにより、InGaAs(インジウム・ ガリウム・ヒ素)ベースのカメラは、ウ エハ接合工程のモニタリングに対して 非常に興味深い存在となっている。 SWIRで観測すると、純粋なシリコン は室温において透明だが、高濃度でド ーピングされたシリコンは、室温の上 昇(200°C以上)とともにますます不透 明になっていくためである。この性質 に基づき、2次元焦点面アレイ(Focal Plane Array:FPA)のInGaAsカメラ は、ウエハの欠陥、パーティクル(微 小粒子)、ボイド(気泡)や、接合され た2枚のウエハの間のその他の欠陥の 検出に理想的である(図2)。 InGaAs ベースのカメラは、900 〜 1700nmの範囲の光を検出することが できる。化学的不純物、物理的欠陥、 ディープトラップに関連するサブバンド ギャップ発光や、その他の再結合中心 は、観測できない。裏面解析(ウエハ前 面からの光子放射を妨げる多層金属を 使用する場合に必要)には、シリコン基 板に光を貫通させる必要がある。 InGaAsカメラはフィルタを使用す ることにより、ウエハが光を透過する 領域のみに、検出波長範囲を制限する ことができるため、ウエハ検査やエッ ジ位置接合、ウエハ位置合わせマーク、 微小亀裂、エッジ亀裂検査、光子放射、半導体製造
マーク・ドナヒー 短波赤外(shortwave infrared:SWIR)カメラは、シリコンが光を透過す るスペクトル領域で動作するため、ウエハ裏面の検査が可能である。次世代SWIRカメラを用いた
シリコン検査
図1 シリコンウエハ検査の様子。その他の微細形状のイメージングに理 想的である。 SWIRカメラは、インゴット成長後 の純粋な半導体材料(一般的にはシリ コン)の品質検査に使用できる。また、 その後ウエハを作成するために切断さ れるインゴットについても、同じよう にして欠陥や亀裂を検査することがで きる。インゴットを加工してウエハを 作成するとき、ブリックやインゴット の中の不純物は、製造装置に損傷を与 える可能性がある。ウエハはその後、 オプトエレクトロニクスやエレクトロ ニクスのデバイスに加工される。半導 体デバイスの場合、最後の工程は、ウ エハを個々のチップに切断する処理 で、ここでも、のこぎり刃やレーザの 位置合わせにSWIRカメラが使用され る。SWIRカメラは、封止検査、気泡 や割れ目の検出、デバイスの欠陥検査、 限界寸法(Critical Dimension:CD)や オーバーレイの測定を行うことによっ て、MEMS製造の歩留まりの改善に も利用することができる。ウエハ製造 とデバイスカプセル化の技術を組み合 わせた手法である、ウエハレベルパッ ケージング(Wafer Level Packaging: WLP)では、複数の品質評価処理に SWIRカメラを使用することができる。 SWIR光子放射顕微鏡法(Photon E mi ssion Microscopy:PEM)は、マイ クロエレクトロニクスの故障解析のた めの、確立された受動的な欠陥位置標 定手法である。光子放射は、電子がエ ネルギーの高い状態から低い状態へと 遷移するときに発生する。差分エネル ギーのすべてまたは一部が、電磁波と して放出される。欠陥からの光子放射 は、順方向及ぶ逆方向バイアスを印加 したpn接合、飽和状態のトランジスタ、 または絶縁破壊に、一般的に関連付け られる。
InGaAsカメラは、
すべて同じにあらず
SWIRカメラは、30年以上前から存 在する。この歳月の間に、センサの品 質と感度は大幅に改善され、解像度は 高まり、ピクセルピッチは小さくなり、 露光時間を長くできるように冷却が導 入された。カメラは小型化が進み、高 速実行が可能になっている。シリコン 検査業界にとって最も興味深いのは、 最も小さいサイズの欠陥を捉え、最も 高速なフレームレートで動作し、最も 広い視野で撮影を行うものである。 24時間年中無休体制の製造ライン で稼働するカメラにはそれ以外にも、 非常に信頼性が高く、堅牢で、コンパ クトであることが求められる。計測器 に組み込まれたカメラは温度が上昇す るため、一貫した結果を得るには、安 定した冷却機構が必要である。その他 の重要な検討項目としては、解像度と ピクセルサイズ、より多くの検査対象 シリコンをとらえるための広い視野、 スループットを上げるための高速なフ レームレートなどがある。ラプターフ ォトニクス社(Raptor Photonics)の 「Owl 1280」などのInGaAsカメラは、 そうした機能をすべて備える上に、検 出波長範囲が拡張されていて 600 〜 1700nmのイメージングが可能で、基 本的に2台のカメラシステムの代わり に使用することができる。このカメラ は既に、多数のOEMのシリコン検査 システムに組み込まれている。 シリコン検査は、半導体業界に不可 欠な工程となっている。目的が、シリ コンウエハや太陽光発電パネルの亀裂 や欠陥の検出(図3)であるか、集積回 路の故障解析であるかにかかわらず、 欠陥検出は、歩留まりや全体的な生産 性の向上につながる。InGaAsカメラ は、ますます重要な実現手段になりつ つある。Laser Focus World Japan 2021.5