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省エネルギーを実現する空調用インバータ

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Academic year: 2021

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特集

多様化するニーズにこたえるインバータ技術

省エネルギーを実現する空調用インバータ

Invertersfor Air

Conditioners

加藤

喬* 乃払如〟〟/♂

石井

誠**

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Hj 蒼ュ インバータスクロール 圧縮機 kWh 州 0 0 5 つ】 一 定 速 機 年間消費電力量 インバータ機 パッケージエアコン インバータエアコンによる省エネルギーの効果 エアコンの設置例とインバータスクロール圧縮機のカットモデルを写真で示す。右図でわかるように,インバータエアコン(同図ではパッケ ージエアコン5馬力の例)は年間消費電力を大幅に削減し,省エネルギーに貢献できる。

インバータエアコン(エアコンデイショナ)は昭和

50年代末から市場に登場し,現在ではルームエアコ

ンの65%,パッケージエアコンの25%を占めるよう

になった。その大きな効果は省エネルギーである。

圧縮機の回申云数を制御することによって負荷の大き

さにマッチした容量で運転することが可能なため,

一志速機と比べると年間の電力量を大幅に低減する

ことができる。

用いられる圧縮機は,現在,スクロール圧縮機が

主流であr),これは日立製作所が1983年,世界で最

*日立製作所空調システム事業部 **日立製作所冷熱事業部

初にパッケージエアコン用に製品化したものであ

る。このスクロール1一仁紡機と組み合わせることによ

り,ルームエアコンではオール直流化方式,パッケ

ージエアコンでは電流最小化制御などの制御技術を

用いてエアコンの性能向上を図っている。

1994年10月にインバータから発生する高調波量に

対するガイドライン値が明確になった。そのため,

ルームエアコン,パッケージエアコンとも「家電・

汎川品ガイドライン+を適用もしくは準用すること

になった。 43

(2)

246 日立評論・〉OL.77 No.3(19953)

はじめに インバータ制御は1983年ごろからエアコンに積極的に

導入されてきた。その技術的特長はスクロール圧縮機を

インバータで容量制御することで,負荷にマッチした蓮

車云が吋能となる。これは一定速機と比べると,運転時間 が良くなればなるほど省エネルギー効果が高いため,ヒ ートポンプに通している。 また,1台の案外機に複数台の室内機というマルチタ イプでもその特長がヲ芭揮でき,イl朋り空調方式の伸展に一

役買ってきた。そのほかには,温度むらが少ない,負荷

変劾に対する応答性が速いなど,快適性の面でも多くの

抑止を持っている。一方,インバータはパワーを半導体

素了て、制御するため,電源高調波やノイズの発生が避け

られない。OA化や家電品の電子化と併せてその影響の

市 ̄要件が認識され,国内外で規制化の動きも活発となっ てきている。 ここでは,空調川インバータの効果と技術,および高 調波の規制の対応について述べる。

8

空調用インバータの構成

空調用インバータの構成を図1に示す。周波数一定の l弓削-一丁交流電源を入力し,コンバータ部で直流に変換する。 この掛売を平滑し,インバータ部で七∫変周波数,可変竜 山の交流に逆変換し,拝紡機用モータの川転数を制御す ることで容量を制御する。インバータ部は,パワートラ

ンジスタかIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)

などでスイッチングを行うため,動作時には高岡波ノイ ズが発′卜する。 これらのノイズが外部に川るのを低減するためのノイ ノイズ フィルタ コンバータ (交→直) 平滑回路 (DCL,CB) インバータ (直→交)

商用電源令交涜

0

50/60Hz

交流◇

モータ 可変電圧 可変周波数 スクロール 圧縮機 注:略語説明 DC+(直流リアクトル) CH(平滑コンデンサ) 図l 空調用インバータの構成 インバータからのノイズ,高調波低減のためのフィルタ,および リアクトルが標準装備されている。 44 ズフィルタや,高調波を低減するためのl自二流リアクトル がエアコンには標準装備されている。

8

インバータ制御の効果1)

エアコンの年間省エネルギー消費効率SEER(Sea-sonalEnergyEfficiencyRatio)は次式で表される。 SEER= 暖房・冷房の総負荷 年間総電力消費量 あるモデルケース(5馬力パッケージエアコン)でのイ ンバータエアコンと一定速エアコンとの外気温ごとの電

ノJ消費量を図2に示す。この例では年間総負荷を10,590

kWhとし,同図から求めた暖房・冷房の消雪電力量を加

えて年間総電ノJ消雪として上式に代入する。その結果,

インバータエアコンのSEERは3.23であl),一定速エア コンの2.18と比べると48%も向上しておl),大きな省エ ネルギー効果が期待できる。 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 5 4 3 2 1 (工≧さ ㈱軟禁只脚 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 5 4 3 2 1 (二きき 州都照只押 一1 +1 3 5 7 9 1113 15 17 外気温度(uc) 暖房電力消費量:1,356kWh(インバータ機) :2,083kWh(一定速機) (a)暖房時 19 21 23 25 27 2g 31 33 35 37 外気温度(℃) 冷房電力消費量二1,922kWh(インバータ機) :2,775kWh(一定速機) (b)冷房時 注:[コ(インバータエアコン),[コ(標準機エアコン) 図2 電力消費量 外気温度をパラメータに電力消費量を測定したもので,全域にわ たってインバータ機の電力消費量が少ないことがわかる。

(3)

省エネルギーを実現する空調用インバータ 247 インバータを糊いると50Hz,60Hzにかかわらず,全 r玉ほこでも能力が同じとなる。また,容量制御幅は1: 6,周波数変化単位は1Hzで制御するため,(1)温湿度の 変化幅が小さい,(2)冷暖房時の ̄、t_lエリが速い,(3)岐J朗旨 力が一定速に比べて高いなどの効果も期待できる。

n

特長あるインバータ技術

4.1全直流インバータ制御システム 【+_むこのルームエアコンは,lけ絹H58年に独自のDCインバ ータを最初に開発して,10%もの効率向上を実現した。

その後,圧縮機のトルク変動による振動を抑制するトル

ク制御方式インバータを開発し,高効率で低振動のイン バータルームエアコンを製品化した。平成6年冷凍牛度 (平成5年10日一平成6年9月)製品から採mした全直流 インバータ制御システムは,インバータエアコンの発展 型として,フアンや周辺レ!】路の省屯ノJ化による効率1rり上 を臼的として開発したものである。このため,(1)案内外 のフアンにDCモータを接片ける,(2)従来の室内外機そ れぞれで交流電源を耐充化する制御ガ⊥てを見直して,室 外機に竜源回路を集約することとした。室l勺機一口電源が 案外機から耐充電兆ミを送電することが可能なため,室lノ+ 外の伝送信‡J・をこのl自二流電淑に重畳する〟式が開発でき た。このシリアル信号は,双方IhIに送信することができ る。システム構成を図3に示す。写外機の仔紡機モータ 商用電源 ファン モータ PAM 制御 ン コ 内イ 室マ

国き≡園

電源 リレー ファン モータ コン バータ ファン モータ PWM制御 イン バータ ドラ イバ 圧縮機 交流ライン 直流ライン 制御 電源 ス ター ンエ路 イブ回 コン バータ スイッチング 電源 ス ター ンエ隠州 イフ回 5V 室外 マイコン 位置検出 回路 注:略語説明 PAM(振幅制御) PWM(パルス幅制御) 図3 全直流インバータ制御システムの構成 室外機側ですべての直流電源を作成し,室内にも供給するシステ ムを示したものである。 とファンモータは,i封l三PWM ̄〟式インバータによって l■I版数をおのおの制御し,磁極位置ではモータの端ナ1に

J_1三を根糾する「 ̄1立製作所独自のセンサレス ̄方∫〔を採IIJし

ている。また,案内機のファンモータは,室外機から送 屯された両二流電源(35V)をベースとして低Jl三PAMノノJ( インバータで1111車云数を制御する。 以__l二の構成によって5%の効率れl二を達成するととも

に,室内機から電兆仙路を削除したことで,室内電気■IiT-の容積を従来の†,重さを†にコンパクト化することがで

きた。 4.2 電流最小化制御方式2) H立のパッケージエアコンの高性能化を実現するうえ

で,スクロール11;縮械駆劾用インバータの課題は,(1)低

騒音化,(2)高トルク化,(3)高効率化の3ェまである。低騒 音化に対しては,高速のIGBT素了・を川いてキャリア周 波数を高く(数キロヘルツ∼20kHz)することにより,万石 トルク化に対してはセンサレスベクトル制御を採朋する ことによって実現できた。しかし,センサレスベクトル

制御は励磁電流を一定に制御しているため,負荷に比例

したトルク電流が流れ,これら二つの電流のベクトル和

としてのモータ(誘導電動機)電流が特に香魚荷時に人き

くなる。電流が大きいことによる障害により,インバー タとモータの効率の低 ̄卜による消雪電ノJの増加,モータ 温度卜削二伴う止縮機の効率低下,さらにはインバータ の大谷最化やこれに伴う放熱対策など,さまざまな問題 が生じる。このためモータ電流が最小になるような制御 方式を開ヲ芭し,高効率化を実現した。 電流最小化制御の憤坤を図4にホす。外乱d(負荷,周

波数)に対する被制御呆/(モータ電流)の極値を探す方

法が極仙探索はである。この系の操作景椚(出力電化指

令)を変えると,モータ巻線電流の大きさが変化し,これ の最小値を与える‖力電圧が牛じる。実際にはサンプリ

ングタイムごとにモータ電流を検出し,荊Idの検仙値と

比率交して最適の電圧椚を探索していくが,負荷変化やノ (出力電圧指令) 操作量m 増幅器 (負荷,周波数) 外乱d 極値探索 回路 70ロセス (インバータ)(誘導電動機)

J㌍篭流)

図4 電流最小化制御の原理 外乱dに対する被制御量′の極値(最小値)を探す制御の考え方を 示す。 45

(4)

248 日立評論 VOL_77 No.3(1995-3) 0 0 0 0 0 0 5 4 3 2 1 (可)蝶押仇-巾 100 0 0 0 0 g 8 7 ごU (㌔) 併存和怒 注:○(制御あり) ●(制御なし) 総合効率 lM:3.7kW,2極 1次周波数60Hz .● ノー・● す一山・●㌦● ̄ ̄▼モータ電流 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 モータトルク(N・m) 図5 電;充最小化制御の効果 モータトルク0.11N・mで電流が8A減少し,効率が約10%上昇し ていることがわかる。 イズ・リップルの影響などを考慮しないと正しし-伯が得

られない。このため,検才一lした′を直流量に変換し,この

電流とこれに対応する桝の多数サンプリングの値の比

較結果により,∽の変動領域を決定する。この領域内で

椚を変化させながら,′が最小となる方向に変動領域を

移動させ,かつ∽の指令直前に′を検出して,∽と′の対

応づけを図るなどのくふうをすることで,負荷の変化に

強い口立製作所独自の方式を開発した。

1次周波数60Hz運転時でのモータ電流および効率に ついて,この制御のある場合とない場合の効果を比較し たものを図5に示す。モータ負荷が大きくなるほど効果 がある。

8

高調波規制対応

ルームエアコンの回路を図6(a)に,パッケージエアコ ンの高調波対応回路を同国(b)に示す。日立製作所はイン バータエアコン発売当初から,リアクトル(L)を回路に

l勺蔵して高調波対応や力率の改善を図ってきた。この方

式では,第5高調波で基本彼の30%程度に抑えることが できるので,「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライ ン+の限度値3)をクリアすることができる。しかし600W

を超えるエアコンは,暫左値として1999年までの有効期

限となっている。また,IEC(国際電気標準合議)では

1996年1月1日から規制されることになっている。この ′\ノ コンデンサ (Cl) (L) ′\ノ 電源 リアクトル 整流器 (D) (D) (C2) コンデンサ (C2) 負 荷 (a)ルームエアコンの回路

_生1

リアクトル (C) 負 荷 電源 整流器 コンデンサ (b)パッケージエアコンの回路 図6 高調波対応回路 ルームエアコンの回路(a)でLをAC側に,パッケージエアコンの回 路(b)でLをDC側に入れて高調波を減らしている。 ため,現行のリアクトル方式ではこれらの規制をクリア することが難しいため,アクティブコンバータ方式を開 発して対応する予定である。なお,パッケージエアコン

は「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン+の300V

20Aを超える製品もあるため,日本冷凍空調工業会の自 主ガイドライン(1995年2月)に沿って運用していく。

おわりに

ここでは,省エネルギーを実現する空調用インバータ の技術を中心に,高調波規制の動向について述べた。エ アコンの市場はバブル経済崩壊後急速に縮まったが, 1994年の猛暑の影響によって明るい兆しも見えてきてお り,空調そのものの重要性はこれからもずっと増してい くことと思われる。 日立製作所および日立グループ各社は,より快適で質 の高い空調空間が提供できるように,インバータはもち ろんのこと,空調に関するシステム技術の研究開発を推 進していく。

参考文献

1)加藤:インバータエアコンの導入について,ヒートポン プによる冷暖房,No.33,pp.33∼41(平成元年) 2)遠藤,外:誘導電動機の電流最小化制御方式の検討,平成 46 3年電気学会全国大会 3)通商産業省資源エネルギー庁公益事業部:家電・汎用品 高調波抑制対策ガイドライン

参照

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