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1996年度日本オペレーションズ・リサーチ学会
・秋季研究発表会
DEAのクロス効率値とファジィ測度−ショケ積分モデルによる
最良評価、平均評価およびその中間の評価
会員番号01306420 専修大学 高萩栄一郎 mKAHAGIEiichiro
1 はじめに
DEAは、あるDMUにとって最も都合の良い入出力係
数でそのDMUを評価するものである。(最良評価)その
とき得られた入出力係数は、そのDMUが目指している
入出力関係の方向と考え、そのDMUの評価方法と考え
られる。したがって、ある種の自己評価とも考えられる。
また、あるDMUの評価方法で他のDMUの効率値を測
定したものはクロス効率値と呼ばれている。[1】そこで、
あるDMUについて、すべてのDMUの入出力係数で評
価した効率値の平均は、その対象となるDMU内(業界
内)の平均の評価といえるだろう。本稿では、ファジィ
測度−ショケ積分モデルを使い、パラメータ∈による最良
評価と平均の評価および最悪評価の中間の評価方法を提
案する。
2 DEA
一般的な定義にしたがって、DEAを定義する。
β凡才こ㌔:0番目のDMU、0=1,2,…,m
ごi。:β〟こ㌔の哀番目の入力値(非負)、宜=1,…,m
的。:β〟仇のj番目の出力値(非負)、j=1,…,β
町わ:β〃と㌔の豆番目の入力項目への係数
祝j。‥β〟U。のj番目の出力項目への係数
βα。:丑打払の入出力係数でのβ〟仇のクロス効率値
通常のDEAのD効率値(0。。)およびDMU。の入出力係
数(町名の祝j。)は、各0について、次の数理計画法の問題を
解くことにより得られる。
β m
最大化‥β。。=(∑毎砺)/(∑鶴瓶)(1)
j=1 宜=1
β m.
制約条件:(∑勒砺)/(∑来航)≦1,α=1,…,乃(2)
j=1 宜=1
町わ,祝j。≧0,∀豆,j(3)
クロス効率値βα0は、次式で得られる。
β m
∂α。=(∑鮎砺)/(∑鶴瓶)
(4)
j=1 宜=1
モ 意味
1 最大値による評価(D効率値)
最大値と平均値の中間の評価
0.5 平均値による評価
平均値と最小値の中間の評価
0 最小値による評価
表1:∈と評価の関係
3 ファジィ測度tショケ積分モデルに
よるクロス効率値の集計
ファジィ測度−ショケ積分モデルを使うことにより、最
大値、平均値、最小値の中間の評価【4]ができる。
そこで、丑榔‰の個々のクロス効率値βα1,‥.,∂αれをフ
ァジィ測度−ショケ積分モデルの集計関数長,れ‥【0,11乃→
【0,1]を用いて、β〟仇の(総合)評価値βニを求める。(
式(5))∈は、評価のパラメータで、表1のように、∈を変
化させることにより、最大値、平均値、最小値の中間の
評価を行うことができる。九¢)は、βα1,…,βαmの中で、
豆番目に大きい値である。
(5)
∂芸,α=長,乃(βα1,…,βα乃)
=¢。(ユ)(叫)−ん(2))+¢β(呈)(ん(2ト叩))+ れγも
+¢β(竺ニー!)(伸一1)一坤))+¢出)(頃可) れ
¢β:[0,1】→[0,1],ざ∈[0,+∞】 (6)
ifざ=O
ifざ=1
(7)
¢∫(祝)
1−tl−叫 irざ=+∞
(su−1)/(s−1)otherwise
〈
1ir O<祝≦1
0ir祝=0
Where [u]=
β =((1/そ)−1)2 (8)
4 入出力係数の一意性
β。。=1となるβ〟仇の入出力係数叫。,・り。は、一般に
一意に決まらない。【1】[3]等でいくつかの解決法が提案
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5 数値例
数値例として、図1に、【2】の東京都の区立図書館の例
を示す。入力変数は、床面積、蔵書数、職員数、人口で
出力変数は、登録者数、貸出冊数である。同じD効率的
である目黒、港、文京での違いや、中央の評価方法(モ)
により大きな差異があることなどが読み取れる。
参考文献
【1】T・R・Sextonetal・DataEnvelopmentAnalysis‥Cri−
tiqueandExtensions,inR.H.Silkman(ed・)Mear
SurlngE抗ciency:AnAssessmentofDataEnvelop−
mentAnalysis,73−105(1986)・
【21枇々木則雄,DEAにおける修正クロス効率値を1つに
決める方法,慶鷹義塾大学理工学部管理工学科テクニ
カルレポート,No.95004(1995).
【3】枇々木則雄,DEAにおけるクロス効率値を用いた評
価法,慶鷹義塾大学理工学部管理工学科テクニカルレ
ポート,No.95005(1995)・
【41高萩栄一郎,入ファジィ測度とショケ積分を利用した
最大値・平均値・最小値の中間の方法一重要度を考
慮した3つの方法−,第11回ファジィシステムシンポ
ジウム講演論文集,日本ファジィ学会,439−442,沖縄
,1995.
囲刀根薫,経営効率性の測定と改善一包絡分析法DEAに
よる−,日科技連,1993.
[6]塚本弥八郎、不確実性を伴う意思決定問題のファジィ
測度論による分析、「ファジィ理論と人文社会科学」
(講座ファジィ14),日刊工業新聞社,1994・
されているが、本モデルでは、以下の方法を提案する。
まず、β。。=1となる条件を入れたサブモデルを作成
し、0を除く各αについて、その効率値、および係数を
求める。サブモデルの変数には、肩字gを付ける。
β m
最大化:吃=(∑鳴馳)/(∑戒恥)
j=1 豆=1
β m
制約条件:(∑域鋤)/(∑戒御)≦1,
J=1 豆=1
わ=1,.‥,0−1,0+1,m
∫ m
(∑勅0)/(∑戒恥)=1
J=1 宜=1
(9)
(10)
(11)
硯,端≧0,∀豆,j (12)
これは、【2】の最大値により修正クロス効率値を求めるこ
とに対応している。このサブモデルのクロス効率値は、
β m
亀=(∑鳴物)/(∑戒鋤),
j=1 宜=1
わ=1,…,0−1,0+1,…,m
(13)
となる。§3と同じモを用い、次式で、元のモデルで一意
に決まらなかったクロス効率値を求める。
βα。=長,乃_1(βgl,…,βg。_1,βg。+1,…,β£)(14)
もし、サブモデルで、亀=1となるDMUが存在した
ときは、吃は、一意に定まらない。そのときは、β〟仇
の効率値を1とする制約を加えたサブモデルのサブモデ
ルを作成し、再帰的にクロス効率値を求めていく。
…◆… 千代田
一X一中央
…■… 台東
…●・‥ 荒川
↓港
−−→トーー・文京
−−く〉−墨田
−+−渋谷
−−1}一目黒
−×−豊島
…▲… 新宿
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
図1‥∈を変化させたときの評価値(β芸,α)の変化
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