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アルツハイマー病の老人斑形成におよぼすインターロイキン6の役割に関する検討

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Academic year: 2021

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Title アルツハイマー病の老人斑形成におよぼすインターロイキン6の役割に関する検討( はしがき ) Author(s) 高見, 剛 Report No. 平成4年度-平成5年度年度科学研究費補助金 (一般研究(C) 課題番号04670178) 研究成果報告書 Issue Date 1993 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/112 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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はしがき 高齢化社会は先進国に共通の現象であり、医学的にも社会的にも大きな 問題となっている。わが国でも65歳以上の高齢者が人口に占める割合は10 %を越え、今後もその比率は上昇し続けることが推計されている。社会の 第一線を退いた高齢者が健康で豊かな生活を営むことは万人の望むところ であるが、そこでは老年期痴呆が大きな障壁となることが指摘されている。

痴呆はさまざまな原因によって生じるが、もっとも多いのがアルツハイマ

ー病、アルツハイマー型老年痴呆、ならびに脳血管性痴呆である。また、

アルツハイマー病は未だ社会活動の担い手である初老期から発症が多い。

このような背景を考えると、がん、心筋梗塞や脳血管障害の基盤となる動 脈硬化とならんで、アルツハイマー病を中心とした老年期痴呆の病因を解 明し有効な治療ならびに予防方法を確立することは焦眉の課題である。 アルツハイマー病は、1907年にAl血eimerが記載した51歳女性患者の報告 に由来し、1910年にKraempelinがアルツハイマー病と命名し教科書に記載 した初老期に発症する痴呆性疾患のなかの一つの独立した疾患である。神 経病理学的には大脳皮質の萎縮、神経細胞の脱落、アルツハイマー神経原

線維変化、老人斑ならびに血管へのβアミロイドの沈着が特徴である。しか

しながら、これらの変化は痴呆症状を持たない人でも加齢に伴って増加し て認められることから、アルツハイマー病ではそれらの変化が加速されて

いると考えられている。とくに、痴呆の程度と老人斑や神経原線維変化と

の間には相関があり、老人斑形成機序の解明が老年期痴呆の病因解明に役

立つものと思われる。

老人斑に特異的に認められるものにβアミロイドの沈着がある。精製され

たβアミロイドは神経細胞を障害し、これを注入した動物の脳に老人斑に似

た病変を生じる。βアミロイド前駆体蛋白をコードする遺伝子が同定され分

子遺伝学的解析が行なわれたが、家族性アルツハイマー病やアルツハイマ ー病を伴ったダウン症候群に遺伝子の異常が検出されたに過ぎず、大部分 のアルツハイマー病の原因は未だ不明である。 本研究は、老人斑の形成にインターロイキン6が重要な役割を担っている

との作業仮説のもとで進められた。すなわち、βアミロイドと並んで老人斑

の主成分の1つとしてα1アンチキモトリプシンも検出されており、α1アン

チキモトリプシン産生を強力に誘導し多機能性サイトカインとして注目さ

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-・1-れているインターロイキン6が、老人斑形成に深く関与しているとの推測が 本研究の引き金となった。免疫組織化学的手法を用いた研究の結果、脳血 管障害や脳腫瘍により損傷された病巣にもインターロイキン6陽性細胞が認

められたが、老人斑周囲にはより多くのインターロイキン6陽性細胞が観察

され、インターロイキン6が老人斑の形成に何らかの働きをしていることが

考えられた。しかしながら、インターロイキン6受容体の分布、インターロ

イキン6の産生を証明するためのinsituhybridization法によるmRNAの検出は 研究年限内に結果を得るに至らなかった。今後も分子遺伝子学的解析を進 めて行くことを考えている。 本研究の遂行には大阪大学医学部平野俊夫教授から恵与されたインター

ロイキン6ならびにインターロイキン6受容体に対する単クローン抗体、イ

ンターロイキン6のcDNAが有力な武器となった。ここにその旨を記し、深

甚なる感謝の意を表するものである。

また、本研究の開始と同時に2年間にわたる文部省の研究補助金を受ける

ことができたことを心から感謝する次第である。 現在、投稿論文を準備中であるが、その内容をこの報告書にまとめた。 御一読のうえ、御批判、御助言を賜われば幸いである。 研究組織:

研究代表者:高見

(岐阜大学医学部病理学第2講座・教授)

研究経費:

平成4年度 1600千円 平成5年度 500千円 計 2100千円

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