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高齢者福祉の視点から考える住教育 -地域の実態を考慮した教材開発に向けて-

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Academic year: 2021

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高齢者福祉の視点から考える住教育

一地域の実態を考麗した教材開発に向けてー

教科・領域教育専攻 生活・健康系(家庭)コース 矢 野 和 世 1 研究の背景と呂的 我が国は,急速に少子高齢化が進展し,超 高齢社会を目前にしている。高齢者の単身世帯 と夫婦のみ世帯の増加や後期高齢者の急増によ り,介護が社会問題となるなか,施設福祉から 在宅福祉へのシフトが図られた。高齢者の在宅 生活を支える大きな柱は,福祉サービスと安全 な住まいであろうD 高齢者の住まいは,配慮、さ れるべき重要項目であることから,高齢者福祉 と住まいの関連の深さが伺える。 本研究では,特に高齢過疎化が進んだ徳島県 西部に注目し,高齢者の住まい及び高齢者福祉 サービスの現状と課題を明らかにし,課題解決 に向けた提言を行う。さらに,家庭科教育にお いて「高齢者の生活と福祉jと「住まいjという関 連の深い領域をクロスさせ,地域教材を活用し た効果的な授業のための住居領域の授業プラン を提案することを目的とする。 2 研究の方法 まず,家庭科における高齢者教育と住教育の 動向及び関連を探るために,高等学校学習指導 要領,関連学会誌,教科書等からアプローチを 図る。次に,地域高齢者の住まい及び高齢者福 祉サーピスの現状と課題を探るため,聞き取り 調査及びアンケート調査を実施し,結果を考察 する。最後に,これらを踏まえて,地域教材を 活用した高齢者福祉の視点から考える住居領域 の授業プランを立案する。 3 家庭科教育における高齢者教育 高齢化の進展という社会的な背景から,高齢 者教育が,家庭科教育での比重を増しているこ 指導教官 金 貞 均 とは,学習指導要領だけでなく,関連学会誌等 の分析からも読み取れる。特に高等学校では, 福祉マンパワーの養成にも関わるなどその役割 は大きいと思われる。すべての高等学校で実施 される普通教科「家庭Jでも,高齢者福祉の分野 は必修であり全生徒が学習する。生徒の将来に 渡って実生活に役立つ授業の工夫が望まれる。 4 高等学校家庭科における住教育 住教育は,豊かな往生活及び住環境を実現す る主体者としての基礎的な能力を身に付けてい くことを目標とする重要な教育である白その教 育内容は,社会の変化に対応して変遷しており, 従来の住居の置かれている環境だけでなく,近 隣や地域としての「住環境Jが注目されている。 高齢者の福祉という視点からも,住環境とい う視点からも住教育の必要性は増すばかりであ る。しかし,家庭科教育における住教育は盛ん とはいえない。教科書には高齢者の住まいとい う視点からの記述が少なく,また,多様な地域 性は反映されていないことから,地域性に配慮、 し,福祉の視点から考える住居領域の教材の開 発が急務である。 5 高齢者教育と住教育の関連 家庭科での高齢者福祉と住居領域には関連す る内容が多いことから,この領域において「住 まいは福祉Jという居住福祉の考えが重要であ る。従って,両領域の効果的教育として「高齢 者の住居Jという観点で統合された授業実践が 望まれる。 6 高齢者を取り巻く住まいの現状と課題 高齢者に対する住宅保障がもたらす福祉効果 n k U F ﹁ υ A 坐

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は,高齢者の生活の質を高めるだけでなく,生 活の自立度が増すことによって介護者の身体的 な負担が軽減され,社会的な介護費用の軽減に もつながるとされる。高齢者が安心して生活で きる居住環境の実現を目指す高齢者居住法や住 宅改修助成制度など住宅政策,福祉政策両面か ら高齢者の住宅や住環境を整える制度も整備さ れてきた。一方,北欧から始まった新しい居住 形態も取り入れられてきている。 徳島県では,全国平均に比べて,持家率が高 く,最低居住水準未満の世帯も少ない。住宅及 び住環境に対する満足度も 全国平均を上回っ ているが,高齢者住宅の整備は進んでいなし、。 多様化する高齢者の居住ニーズに応えるため にも,福祉,住宅両面から,さまざまな政策を 展開して,高齢者の希望に添えるように選択肢 をできるだけ多く準備する必要がある。一生を 通じて居住の権利を享受することは当然の権利 である。 7 地域高齢者の住環境と住意識 調査地域である東祖谷山村は,典型的な山間 の高齢過疎地である。全体的に住まいの老朽化 が進み,改築していても必要に迫られた応急、的 なものにとどまっている。坂道や階段が多く, 通院や食品の購入など基本的な生活の不都合も 少なくない。住民は,現在の住まい及び住環境 に対して,住宅の継承の見込みがないことから 改善の意欲がなく,現状維持の姿勢を示してい る。しかし,一人暮らしや夫婦のみ世帯が多く 福祉サービス,住宅両面からの対応が急がれる。 8 地域における高齢者福祉の現状 三好郡で中心的な役割を担う池田町におい て,ホームヘノレプサービス利用者は,一人暮ら しが半数を超え,その 8割が女性である。 ホームヘルパーは,高齢者の住宅に多くの不 便・危険箇所を見出している。高齢社会対応住 宅設計の基準値を満たしていない世帯は,上り 権の高さ (18cm以下)で 84%,浴槽の高さ(30 --50cm)で26.7%,浴室入り口 (65cm以上)で 33.3%という結果である。不便・危険箇所が多 い害jには,バリアフリーのための改築・改修を しているのは2割にとどまり,介護保険上の住 宅改修及び福祉用具の利用者は少ない。 徳島県で介護保険によるサービスは,利用者 が多い訪問介護と通所介護が主である。また, 市町村が選んで展開する国の介護予防生活支援 事業において,市町村73ljに実施している事業は 3割--7割とまちまちである。 9 高齢者福祉の視点から考える住居領域の授 業プランの提案 高校家庭科の教科書では,高齢者福祉と住居 の関連の深さは現れておらず,この分野の指導 が不十分であることから,住居領域で指導すべ き題材伊jを洗い出した。これをもとに,家庭総 合の住居領域を高齢者福祉の視点から捉えた授 業プランを提案し,同時に授業プランと組み合 わせて使えるよう実習プランも提案した。 指導案では,地域の現状を取り入れることを 念頭に霞き,本研究の調査から得られたデータ や図表の利用を工夫した。 10 まとめと今後の課題 地域での自立生活にとって,安心して住める 住まいや住環境は必須の条件であることから, 高齢者福祉の視点から考える住まいの学習は重 要であるD また,地域高齢者の自立生活を考え ることが,誰にとっても生活しやすい住まいや 住環境とは何かを教えてくれる。 「家庭科jの授業時間の確保が難しいという現 状において,生徒の興味・関心を引き,効果的 に授業を進める教材が必要であることは言うま で も な い 生 徒 が 身 近 に 感 じ , 自 分 の こ と と して取り組むjことができるかどうかは,授業 の効果に大きく影響すると思われる。本研究は その一助になることを目的のーっとしてきた。 授業実践を通して,さらに使いやすい授業プラ ンに書き替えていきたい。 n v F h u A 性

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