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ウシにおけるロタウイルスAの存続様式に関する研究

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Academic year: 2021

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Title ウシにおけるロタウイルスAの存続様式に関する研究( 内容と審査の要旨(Summary) ) Author(s) 三竹, 博道 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第447号 Issue Date 2015-09-24 Type 博士論文 Version none URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/53642 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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学位論文の内容の要旨 ロタウイルスA(RVA)は,様々な哺乳類および鳥類に感染し,主として幼若個体に下痢や嘔吐 を主徴とする急性胃腸炎を引き起こす。RVA のゲノムは分節化した 2 本鎖 RNA で構成され,6 つ の構造蛋白(VP1−4, 6, 7)と 6 つの非構造蛋白(NSP1−6)をコードしている。また,ウイルスゲノム が分節化しているため,異なる株が一つの細胞に同時感染することによりRVA 遺伝子分節の交雑 (リアソートメント)が起きることが知られている。 RVA 感染症は,我が国のような温帯気候の地域ではヒトにおいて毎年繰り返して冬期から春期 にその発生が集中する。そのため,RVA は下痢非流行期においても自然界に存続していると考え られる。また,家畜においては,同一農場で繰り返しRVA 感染症が発生することから,RVA が農 場内に常在化していると考えられている。しかし,これまで,農場内におけるRVA の常在性を解 析した報告はほとんどない。RVA 感染症の防疫対策を講じるためには,RVA の常在性に関与する 要因を明らかにすることが重要である。そこで本研究では,ウシにおけるRVA の存続様式を解明 することを目的として,1 つの肉牛生産農場を中心に分子疫学調査を行った。 第一章では,農場内のRVA の常在性を検証するために,福井県内の1つの肉牛生産農場を対象 として,2011 年 4 月から 2012 年 8 月までの期間に月一回定期的に採取したウシ正常便サンプル からRT-semi-nested PCR により RVA の P 遺伝子型を規定する VP4 遺伝子の検出を試みた。そ の結果,3 ヶ月齢未満の子ウシから VP4 遺伝子が高率に検出され,このような若齢の子ウシを中 心にRVA が排泄されていることが明らかとなった。また,その排泄は下痢流行期だけでなく,下 痢非流行期である夏期にも起こることが示された。VP4 遺伝子が検出された RVA 株については, G 遺伝子型を規定する VP7 遺伝子についても検出を試み,検出された RVA 株間の関連性を分子 系統学的手法により解析した。その結果,農場内に常在しているRVA は分子系統学的に複数の系 統群に分けられ,遺伝的に多様であることが示された。一方,VP7 遺伝子が遺伝子学的に同一な RVA 株であっても,VP4 遺伝子が遺伝学的に異なる RVA 株が認められた。これらの RVA 株につ

氏名(本(国)籍) 三 竹 博 道(福井県) 主 指 導 教 員 氏 名 岐阜大学 教授 杉 山 誠 学 位 の 種 類 博士(獣医) 学 位 記 番 号 獣医博甲第447号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年9月24日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第3条第2項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学 学 位 論 文 題 目 ウシにおけるロタウイルスA の存続様式に関する研究 審 査 委 員 主査 岐 阜 大 学 教 授 浅 井 鉄 夫 副査 帯広畜産大学 教 授 鈴 木 宏 志 副査 岩 手 大 学 教 授 村 上 賢 二 副査 東京農工大学 教 授 水 谷 哲 也 副査 岐 阜 大 学 教 授 杉 山 誠 副査 岐 阜 大 学 教 授 恒 光 裕 (5)

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いては,リアソートメントにより出現したリアソータント株と考えられた。また,リアソータント 株が検出されるより以前に,それらの起源と考えられるRVA 株が検出されていた。このことから, 農場内の常在性RVA 株間でリアソートメントが起きていたことが推察された。これらのリアソー タント株は,基本的に一時的な検出であったものの,複数の月に渡って検出され,感染を拡大して いるリアソータント株もみられた。以上より,リアソートメントを繰り返しながら,ウシに適応し たRVA 株が不顕性感染を繰り返すことで農場内に蔓延し,常在化に至っていると考えられた。 第二章では,第一章における調査期間中に,同一の農場で発生した下痢症の症例からRVA を検 出し,常在性RVA と分子疫学的手法により比較解析した。2011 年 12 月および 2012 年 2 月にそ れぞれ1頭および3 頭が下痢症を発症し,RVA 感染症と診断された。VP7 および VP4 遺伝子を用 いた分子疫学的解析の結果,これらの子ウシの下痢便から検出された全4 株の RVA 株は,正常便 由来RVA 株で形成される 3 つの異なる系統群に位置していた。このことから,複数の常在性 RVA 株の下痢症への関与が明らかとなった。また,複数のRVA 株がそれぞれ異なる時期に下痢症へ関 与することで,RVA 感染症が繰り返されていると考えられた。なお,下痢症を発症した 4 頭中 1 頭の子ウシについては,下痢治癒後も遺伝学的にほぼ同一と考えられるRVA が持続的に検出され, 慢性的な感染源となっていたことが示唆された。 第三章では,第二章で下痢発症からの持続感染が疑われた子ウシの腸間膜リンパ節からRVA 遺 伝子が検出され,RVA が腸間膜リンパ節で持続して存在している可能性が疑われた。そこで,腸 間膜リンパ節におけるRVA 感染の持続性を検証するために,下痢以外の病因で死亡した非健常子 ウシおよび健常成牛の腸間膜リンパ節からRVA 遺伝子の検出を試みた。その結果,非健常子ウシ の腸間膜リンパ節からRVA 遺伝子が高率に検出され,RVA が高率に腸間膜リンパ節に存在してい ることが明らかとなった。また,RVA 遺伝子は,腸管内容物より腸間膜リンパ節において高率に 検出された。このことから,RVA 感染は腸間膜リンパ節において持続している可能性が示された。 また,上述の現象は少数の健常成牛においても確認され,RVA はウシの腸間膜リンパ節で持続的 に存続していることが明らかとなった。そのため,このようなRVA に持続感染しているウシが RVA の慢性的な感染源となる可能性が考えられた。 本研究では,これまで不明な点が多かったRVA の農場内での常在性に関して,実態とその疫学 的要因が明らかとなった。また,養牛農場において常在性RVA の下痢症への関与を直接的に示し たのは本研究が初めてである。以上,RVA の不顕性感染の意義や持続感染といった新たな RVA の 存続様式とともに,RVA 感染症が繰り返し発生する疫学的機序について明らかとなった。これら の知見は,RVA 感染症の防疫対策を講じる上で,重要な情報となると考えられる。 ロタウイルス A(RVA)は,哺乳類および鳥類に感染し,主として幼若個体に急性胃腸炎 を引き起こす。家畜では,同一農場で繰り返し RVA 感染症が発生することから,RVA が農 場内に常在化していると考えられている。しかし,農場内における RVA の常在性を解析し た報告はほとんどない。そこで本研究では,ウシにおける RVA の存続様式を解明すること を目的として,1 つの肉牛生産農場を中心に分子疫学調査を行った。 第一章では,福井県内の1つの肉牛生産農場を対象として,2011 年 4 月から 2012 年 8 月までの期間に定期的に採取したウシ正常便サンプルから RT-semi-nested PCR により RVA の VP4 および VP7 遺伝子の検出を試みた。その結果,3 ヶ月齢未満の子ウシを中心に RVA が排泄され,その排泄は下痢非流行期である夏期にも起こることが明らかとなった。さら に,農場内に常在している RVA は遺伝的に多様であり,VP4 と VP7 遺伝子の間で交雑(リ アソートメント)を起こした株もみられた。以上より,リアソートメントを繰り返しなが ら,ウシに適応した RVA 株が不顕性感染を繰り返すことで農場内に蔓延し,常在化に至っ 審 査 結 果 の 要 旨

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ていると考えられた。 第二章では,調査期間中に同一の農場で発生した下痢症の症例から RVA を検出し,常在 性 RVA と比較解析した。VP7 および VP4 遺伝子の解析から,下痢便由来全 4 株の RVA 株は, 正常便由来 RVA 株で形成される 3 つの異なる系統群に位置した。このことから,複数の常 在性 RVA 株の下痢症への関与が明らかとなった。4 頭中 1 頭の子ウシについては,下痢治 癒後も RVA が持続的に検出され,慢性的な感染源となっていたことが示唆された。 第三章では,第二章で下痢発症からの持続感染が疑われた子ウシの腸間膜リンパ節から RVA 遺伝子が検出された。そこで,健常成牛および下痢以外の病因で死亡した非健常子ウ シの腸間膜リンパ節から RVA 遺伝子の検出を試みた。その結果,いずれのウシの腸間膜リ ンパ節からも RVA 遺伝子が検出され,RVA は腸間膜リンパ節で持続的に存続していること が示された。このような RVA に持続感染しているウシが RVA の感染源となる可能性が考え られた。 本研究では,これまで不明な点が多かった RVA の農場内で常在性について,その存続様 式の解析から,実態とその疫学的要因を明らかにした。以上の知見は,RVA 感染症の防疫 対策を講じる上で,重要な情報となると考えられる。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文

1) 題 目: Detection of avian-like rotavirus A VP4 from a calf in Japan 著 者 名: Mitake, H., Ito, N., Okadera, K., Okada, K., Nakagawa, K., Tanaka, T., Katsuragi, K., Kasahara, K., Nihongi, K., Tsunemitsu, H. and Sugiyama,M.

学術雑誌名: The Journal of Veterinary Medical Science 巻・号・頁・発行年:77(2):221-224,2015

2) 題 目: Persistence of rotavirus A genome in mesenteric lymph nodes of cattle raised in farms

著 者 名: Mitake, H., Ito, N., Okadera, K., Okada, K., Nakagawa, K., Tanaka, T., Katsuragi, K., Kasahara, K., Nihongi, T., Sakurai, S., Tsunemitsu, H. and Sugiyama, M.

学術雑誌名: Journal of General Virology 巻・号・頁・発行年:In Press

既発表学術論文

1) 題 目: Involvement of the rabies virus phosphoprotein gene in neuroinvasiveness

著 者 名: Yamaoka,S., Ito,N., Ohka,S., Kaneda,S., Nakamura,H., Agari,T., Masatani,T., Nakagawa,K., Okada,K., Okadera,K., Mitake,H., Fujii,T. and Sugiyama,M.

学術雑誌名: Journal of Virology

参照

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