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ヘッジファンドと国際資本移動規則

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ヘッジファンドと国際資本移動規制

*

1.は じめに

「ヘ ッジファン ド (Hedge Funds)」とい う言葉は,近 年 とくに1992年のポ ン ドを中心 とした欧州通貨危機の際や1997年夏のアジアの通貨危機,1998年夏 の ロシアの通貨危機 に伴 う米国のLTCM(Long Term Capital Management) の経営破綻の際 に, しば しば耳にするようになって きた。 この言葉 を聞 くと世界 中の人々は,ジ ョージ ・ソロス (George Soros)氏 の率いる 「クォンタム ・ファン ド (Quantum Fund)」 を思い浮べ ることが多 い ようである。彼 は1992年の欧州通貨危機の際,ポ ン ドを大量に売却 して暴落 を誘い,欧 州通貨 メカニズム (ERM)か らポ ン ドを離脱 させ た中心人物 とい われ,英 国中央銀行 を倒 した男 として一躍有名 になった。その結果,彼 は15億 ドル を稼いだ といわれ,新 しい形の国際的投機集団 として,ヘ ッジファン ドが 注 目され始めた。 また1997年のアジア通貨危機の際 も,タ イのバーツやイン ドネシアのルピー, マ レーシアの リンギ ッ トを,彼 等がデリバティブ (金融派生商品,Derivatives) の手法,と くにオプシ ョン (Options)取引によ り,大 量 に空売 りして利益 を 得 ようとした と喧伝 された。 さらに同年,マ レーシアのマハテ イール首相 は, 自国の通貨 ・株式の暴落 を彼等のせいであると非難 した。そ して1998年9月 に, マ レーシア政府が,海 外での リンギ ッ ト取引非合法化,同 国へ流入 したポー ト フォリオ投資資金の事実上の 1年 間凍結,直 接投資 を除いた資本取引の大幅規 制 といった為替管理強化措置 を実施 した。 続いて1998年8月 のロシア債務危機 に瑞 を発 した米国の最大手ヘ ッジファン 貝J 敏 馬 有 *本 稿 は1999年度滋賀大学学術後援基金 による研究成果の一部である。

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2 彦 根論叢 第 322号 ドLTCMの 経営破綻 は,国 際金融市場 を震撼 させた。同社 は米連邦準備銀行 の元副委員長,ソ ロモ ン ・ブラザーズの元副会長, 2人 のノーベル経済学賞受 賞者等 「ドリームチーム」 といわれる鉾 々たるメンバーで運営 され,ま さに世 界最強のテームであるはずだった。 この事態 に対 し, 9月 28日,ニ ユー ヨーク 連銀の仲介 によ り欧米 を代表する大銀行 ・証券会社 など約35の金融機関が,合 計36億 ドルをLTCMに 拠出 し,破 綻 を食い止めることで合意 した。この ように, 当局の監督対象外 のヘ ッジフアン ドの救済に,ニ ュー ヨーク連銀が仲介役 を果 た した とい う前代未聞の事件 に,世 界 中は大 きな関心 を寄せた。ヘ ッジファン ドが実体経済 にすでに組み込 まれ,そ の破綻が国内外の金融 システム全体 に波 及す る と当局が考 えたか らであろう。 ヘ ッジファン ドに対する評価 は,彼 等のビヘイビアが通貨危機 に際 して市場 に どの ような影響 を与 えるかにかかつている。多数意見 はヘ ッジファン ドを, 市場 の破壊 と富の収奪 を図る 「20世紀末の妖怪」 と看微す見解である。これに 対 し少数意見 は,ヘ ッジファン ドを 「真 の リス クキヤピタル」 と捉 らえ,彼 等 の リスクテイクが市場 に適正価格 をもた らし,資 産の再配分機能 を果たす とい 1 ) う見解である。 本稿においては,ヘ ッジフアンドとは何かの種々の定義,ヘ ッジファンドの 組織,ヘ ッジファンドの投資哲学,ヘ ッジファンドの本数 と運用資産の推移, 投資スタイルの概観 とその実態,投 資主体,収 益状況等々を検討するとともに, 近年高まっている多数意見に基づ く,ヘ ッジファンドを含む国際資本移動規制 論についても考察 してい くことにする。 2.ヘ ッジファンドの概要 (1)ヘ ッジファンドの定義 ヘ ッジファンドとは何かを一言で定義することは困難で,い ずれの国の法律 においても明確な定義はない。そもそも 「ヘ ッジ (Hedge)」とは,「ある取引 や,取 引の集合体 (=ポ ー トフォリオ)が もっているリスクをなくす処理をす 1)具 体的には,参 考文献 香川 〔22〕小西 〔26〕神谷 〔46〕等が挙げられる。

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ヘ ッジ フ ァン ドと国際資本移動規制 3 分 ること」 と定義 される。金融取引ではヘ ッジを,両 がけ,掛 けつなぎ売買,金 銭的損失か らの防衛策 と意味づけている。すなわち市場の変化 に対 して真反対 の収益状態の変化 を示す取引 を行 うことにより,損 益の安定化 を図るのがヘ ッ ジである。 したが ってヘ ッジファン ドは,「通常,証 券,通 貨,商 品等 に対する積極的 な投資 ・裁定取引 を行 っている私的な投資会社 ・パー トナーシップの総称」 と して使 われる場合が多いようである。ジ ョージ ・ソロス氏は,ヘ ッジファン ド の成立要件 として次の 3″点を挙 げていると①高度 な投資家 を対象 とする。②一 般公募 の ミューチュアル ・ファン ド (オープンエ ン ド型の投資信託の総称)に 適用 されるSEC(米 証券取引委員会)の 規制がない。③ ファンドマネジャーた ちが運用実績をベースに報酬を受け取 り,運 用利益を上げない限 り報酬はなく, 損失発生の場合,損 失を回復 して資本額を純増 させるまで報酬は得 られない。 またバーゼル銀行監督委員会報告書│こよると,ヘ ッジファンド等の 「高いレ バ レッジ (Leverage)機関」の特徴は,① 直接的な規制 ・監督をほとんど受 けていない,② 規制対象金融機関や上場会社 と比較 して,デ ィスクロージャー 義務が非常に限定されている,③ レバ レッジ (てこ)を 単なる 「借 り入れ」だ けでな く,デ リバティブ等を利用 した資金の動員を含む概念で把えた場合,元 本の数倍,数 拾倍,数 百倍 といったレバ レッジが高いことを挙げている。 さらにIMF(国 際通貨基金)の 報告書体は 「ヘ ッジファンドとはプライベー ト・パー トナーシップにより組織 され,税 制及び規制の目的からほとんどがオ フシヨアの居住者による折哀的な投資プールである」 と定義 している。すなわ ち,会 社形態なら課される各種規制や会計原則,納 税義務を免れるため,参 加 者間の私的契約によって結ばれるパー トナーシップ制を採用 しているヘッジファ ンドが多いといえる。しかし大手ヘ ッジファンドは,本 体 とは別に会社形式の 2)住友信託銀行市場金融部,『デリバテイブキーワード250』,金融財政事情研究会,1995 年,p.339. 3)中 尾武彦 〔38〕p.4. 4)G.Soros〔 3〕 pp.385-386。 5 ) B I S 〔1 〕. 6 ) I M F 〔 4 〕原文p . 2 , 邦訳p p . 1 6 - 1 7 .

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4 彦 根論叢 第 322号 子会社 や投資会社 を設立 して利用す る場合 もかな りの割合 になっている。そ し て登記上の本拠地は,ケ イマ ン諸島やバ ミューダ等のオフシ ヨア市場 に 「タツ クス ・ヘ イブ ン (Tax Haven,租 税 回避地)」目的で置かれる場合が多いが, 活動 の本拠地 は米国が圧倒 的である。ただ米国内のヘ ッジフアン ドとオフシ ヨ ア市場のヘ ッジフアン ドでは法律的な位置づけが異なることになる。 (2)ヘ ッジファン ドの組織 ヘ ッジファン ドは,公 開企業の形態ではな く,無 限責任 を負 う 「ゼネラル ・ パー トナー」 1人 と,出 資金額 に応 じた有限責任の 「リミテ ッド・パー トナー」 で構成 される私的 リミテ ッ ド・パー トナーシップとして設立 される。 リミテ ッ ド ・パー トナーは,従 来99人まで となってお り,そ の うち65人は年収20万 ドル 以上で100万 ドル以上 の純資産 を保有す る投資家である必要があった。 しか し 1997年の法律改正 によ り,500万 ドル以上の純資産 を保有す る投資家 を対象 と す るヘ ッジフアン ドな らば, リミテ ッ ド・パー トナーの数を499人まで拡大す ることが可能 となった。また最低投資単位 はファン ドにより異 なるが,25万 ド ル以下はほ とん ど無い ようであるを さらに投資資金は資産運用全体の10%∼ 25 %以 下であることが求め られる。 オ フシ ヨア市場 に設立 され たヘ ッジ フ ァン ドには,上 記 の米 国規制 は及 ばないが,ゼ ネラル ・パー トナー (フアン ド・マネージャー)が 米国籍なら, 米国規制 と同 じ条件で投資家 を募 るのが普通である。そ して運用資産の大小 に 拘 わ らず,米 国証券法の規制 により公募ではな く私募で投資家 を集めることに 働 なる。 なおヘ ッジファン ドヘの投資家 としては,裕 富 な個人投資家のみならず,大 銀行,保 険会社,財 団,年 金基金,一 般の投資信託等の機関投資家,私 的な投 資 プールその他 も含 まれてお り, 金 融 システムの中に組み込 まれているヘ ッジ ファン ドの実態が推 し図 られる。 IMF〔 4〕,松 村 〔45〕,神 谷 〔46〕. R.ホロデイック ・上中淳行 〔57〕p.200.

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ヘッジファンドと国際資本移動規制 5 (3)ヘ ッジフ ァン ドの投資哲学 ヘ ッジフ ァン ドの特徴 として,運 用実績 を比較す る目標が,ニ ュー ヨーク ・ ダ ウ式 平均株 価 やS&P500,MSCI指 数 とい った 「ベ ンチマ ー ク」 で は な く, 絶対 的 な リター ンを追求す ることにあ る。 したが って相場が下が つた場合 で も, 運用 実績 の上昇 を期待 され る厳 しい ものである。成功報酬 は0.5∼1.5%の 固定 料 と運用実績 に応 じて15∼25%の 「パ フォーマ ンス ・フィー」 を得るが,前 述 の ように運用実績がマイナスならば成功報酬 は受け取れない。運用者はファン ドのス ター ト時 に自己資金 も投入 し,ま さに運命共同体である4 ヘ ッジファン ドの起源は,1949年 ,社 会学博士のアルフレッド・W・ ジョー ンズ (A.W.」ones)氏 が米国で開始 したファン ドに遡 る といわれている。彼 は株式投資 に伴 うリスクを 「マーケ ッ ト・リスク (株式市場全体の価格変動 リ スク)」と 「銘柄選択の リスク」 に分け,次 式のようなマーケ ット・エクスポー ジヤー (マーケ ッ ト・リスクに晒 されている量)算 式 を使用すれば,市 場全体 の相場動向に左右 されることな く,銘 柄選択 によるリターンを最大限に得 られ る と考 えた。 マーケ ッ ト・エクスポージャー= ロングポジシ ョン (買い持 ち)一 ショー トポジション (売り持ち) 投下資金量 た とえば投下資金が1000ドルの場合,レ バ レッジ (借り入れ)を 1.5倍にす る と総投資額 は1500ドル となる。そ こで1100ドル相当の株式 を購入 し,同 時に 4 0 0 ドル相当の株式 を空売 りすると,マ ーケ ッ ト・エ クスポージャーは700ドル ( 1 1 0 0 ドルー400ドル)で ,ポ ー トフォリオは 「ネッ トで70%の ロングポジショ ン (買い持 ち)」 となる。 この場合700ドルがヘ ッジ されてお らず,800ド ル ( 4 0 0 ドルのロングポジシ ョンと4 0 0 ドルの シ ョー トポジション)が ヘ ッジされ た状態 となる。そこで800ドルはマーケ ッ ト・リスクに中立 (Market Neutral) で銘柄選択 によるリス クのみに晒 されている。ヘ ッジされていない700ドルは 9)足 立 〔9〕pp.57-59. 10)」.Lederman&R.Klein〔 5〕茅馬訳pp.7‐11.

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6 彦 根論叢 第 3 2 2 号 銘柄 選択 の リス ク とマーケ ッ ト ・リス クの両方 に晒 されている。 したが ってマ ーケ ッ トが上昇相場 の場 合 ,ロ ングポジシ ョン (買い持 ち)の 優 良銘柄群 はマーケ ッ トよ り大 きく値上が りし,シ ヨー トポジシ ヨン (売り持 ち)の 銘柄群 はマ ーケ ッ トよ り価格 が上昇せず,ヘ ツジす るこ とによ り純利益 が生ずることとなる。逆 に下げ相場の場合,ロ ングポジシ ョンの優良銘柄群 は マーケ ッ トより価格が下落せず,シ ヨー トポジシ ョンの銘柄群 はマーケ ットよ り価格下落 し,ヘ ツジによ り純利益 を生み出す ことがで きる。すなわち,割 安 株 のロングポジシ ヨンと害J高株 のシ ヨー トポジシヨンを組み合わせた投資戦略 を使 って,ヘ ツジフアン ドはリター ンを追求するのである。 したがつて,全 体 的には割安株 と割高株 の判断間違いを しなければ,市 場全体の株価動向に左右 されず,常 にプラスの利益 を生み出す 「絶対 リター ン」の追求を可能 としたの である。 ただ1950年以降,多 くのヘ ッジフアン ドは,ロ ングポジシ ョンとシ ョー トポ ジシ ョンの組み合 わせで,マ ーケ ッ ト・リスクをヘ ッジする投資哲学か ら離れ ていったが,レ バ レッジを活用する, リミテ ッ ド・パー トナーシップを採用す る。 フアン ド ・マネジャーに成功報酬制 を導入するとい う点では共通点があっ た といえるだろう。 (4)ヘ ッジファン ドの本数 と運用規模 1 1 ) 「ヘ ッジファン ド」 は,1950年代 にそう呼ばれるようになったが,そ の起源 ともいわれるジ ョー ンズ氏のフアン ドは,1952年 に限定パー トナーシップとし て正式 に組織 された。その後,こ の 「ジ ヨー ンズ ・ファン ド」が,株 式市場の 高騰 によ り好意的な評価 を得 た1966∼68年に,ヘ ッジファン ド数 は急増 した。 1968年のSEC(証 券取引委員会)調 査では,パ ー トナーシップによる投資は215 本で,そ の うち140本がヘ ッジファン ドと分類 され,大 部分が68年に組織 され 1 2 ) た 。 その後, 1 9 6 8 年末か ら7 0 年にかけての株式市場下落時には, 2 8 本 の大手 ファ I M F 〔4 〕原文p . 5 , 邦訳p 。2 5 . I M F 〔4 〕原文p . 5 , 邦訳p p . 2 6 - 2 7 .

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ヘッジファンドと国際資本移動規制 7 ン ドの運用資産 は,70年 末 には70%も 減少 し,28本 の うち 5本 は閉鎖 され,規 模 の小 さな フ ァン ドは,さ らに早 いペ ースで撤退 し,冬 の時代 を迎 えた。 1980年代 にはいる と,国 際的な金融 自由化 ・資本 自由化 によ り,国 債や通貨,

その他の資産で構成されるポートフォリオをすグローバルな分散投資へと向わ

させ る とともに,デ リバティブ市場の活発化や情報通信技術の発展,相 場の活 況,大 手のヘ ッジファン ドのい くつかが,目 覚 ましい高収益 を上げたこと等に よ り,再 びヘ ッジファン ドが注 目され,新 たな発展期が形成 された。 ところで,ヘ ッジファン ドについての明確な定義が合意 されていない現在, 合 音採岳暑I点 驚ぁ録雪謬書虜│こズす59皆 ラ ヤを稼雷信督:士 1萱 晨 i号1、 さい数字 を公表す るManaged AccOunt Reports社の推計 を引用 しているが, それによると,199o年 か ら97年までにヘ ッジファン ドの数は127本 (ヘッジファ

ン ドか ら資金運用 を任 されたファン ド・オブ ・ファンズを除外すると95本)か ら1,115本 (853本)に 急増 し,運 用資産合計は85億 ドル (72億ドル)か ら1,096 億 ドル (899億ドル)に 拡大 している としている (後述のヘ ッジファン ドの投 資ス タイル別の第 2表 ,第 3表 を参照 されたい)。

これに対 し,イ ンターネ ッ トで情報開示が されているVan Hedge AdvisOrs 社 によると第 1表 の ように,1991年 か ら99年第 1四 半期 までで,フ ァン ド数は 2,373本か ら5,700本,運 用資産額は940億 ドルか ら2,557億ドルに急増 したと推 定 している。 この資料 は ドイッ連銀 の FMonthly Report』(March 1999)に も引用 されている。 さらに第 1表 の運用資産額の右側 は,TASSマ ネジメン ト 社 の推計であるが,こ れによれば,1991年 に1000億ドルであったものが1999年 第 1四 半期 には3424億ドルに増大 した としている。 この ように,本 数や資金量 に大 きなばらつ きがあるものの,拡 大の傾向は一 致 している。 この背景 には個人投資家 に加えて大銀行や財団,年 金基金 といっ た従来保守的 といわれていた機関投資家が,ヘ ッジファン ドの投資を増加 させ て きた事実 も見逃せない。 13)IMF〔 4〕 原文p.6,邦 訳pp。29-31.

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8 彦 根論叢 第 322号 第 1表 世 界のヘ ッジフアン ド運用規模 とパ フォーマンスの推移 年 度 ファンド数 運用資産 パ フ ォーマ ンス MSCI騰 落率 2.373 940 1,000 2,848 1,200 1,360 3,417 1,720 1,960 4.100 1,890 2,100 4,700 2,170 2,700 -10.5 1996 5,100 2,610 3,300 11.7 5.500 2,950 3,700 5,800 2,540 3,400 5,700 2,557 3,424 ※-2.4 ※12.7 構 1 今 ' ァ う 将柴鍛 び資産額左側 はV A N ヘッジフアン ド・ア ドバ イザー社, 右側 はT 2 へS S マネジメン ト社調べ。 に 2)聯 石恙 )く増翻 孟品 、ざけ 日鉾 塊 軽 乙Iン ド ・ア ( 注3 ) M S C I = モ ルガン ・ス タンレーキャピタル ・インターナシ ョナル世界株価指数。 ( 注4 ) 1 9 9 9 年 値 は第 1 四 半期実績値。 ( 注5 ) * 印 は第 1四 半期実績 を年間値 に換算。 く出所 〉『W E D G E 』 1 9 9 9 年8 月 , 9ペ ージ。 3.ヘ ッジファンドの投資戦略とその実態 (1)ヘ ッジファンドの投資スタイル ヘ ッジファンドは,投 資運用者の投資戦略,出 資者のリスク選好度,主 たる 保有資産の相違により,種 々のタイプに分類 される。分類方法によつては30種 類以上になるといわれているが,Managed Account Reports社(Mar/Hedge)

1 4 ) の分類 に従 って内容 を検討 してみ よう。 ① Global Fund(グ ローバ ル ・フアン ド) ヘ ッジ フ ァン ドの代 表 的 タイプで,集 めた資金 を世界 中の株式市場 に投資す る。先進 国のみ な らず ,ロ シア,東 欧,ア ジアな どのエマー シ ング市場 に も注 意を払 う。投資 した株式を担保に,株 価先物,為 替,金 利 といつたデリバテイ ブも駆使するが,次 のマクロ ・フアンドに比べるとレバレッジは小 さい。個別 14)IMF〔 4〕 原文p.29,邦 訳pp.105-107.足立 〔9〕pp.59-63.

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ヘッジファンドと国際資本移動規制 9 の市場で有利 な株式 を選別するのに,徹 底 したボ トムアップ方式 (個別企業銘 柄 に対する ミクロ調査 を基盤 とする)に ,よ り傾斜 している。世界 中か らベス トの株 とワース トの株 を選別 し,ロ ングポジシ ョンとシ ョー トポジシ ョンを組 み合わせて運用する。 また空売 りはせず,長 期投資するファン ドもある。 ②Macro Fund(マ クロ ・ファン ド) このファン ドは株価,債 券,通 貨,金 利,石 油や貴金属 といった商品等の価 格変化が,当 該国のファンダメンタルズ とギ ャップを発生 させ, しか も当該国 が,国 際収支,為 替相場,外 貨準備等のマクロ的ない くつかの指標 に照 らし, 投機 に対 し脆弱 と判断する と,そ のギャップ修正 を先取 りする形で,大 規模 な 投機 を仕掛 けて高収益 を上げるタイプである。 この タイプは,投 機 に勝算があると判断すると,対 象国の経済や市場に及ぼ す影響 を考慮することな く,襲 いかかって くるので,最 も恐れ られている。世 界の市場 を対象 に しているが,い われるほど多地域 を対象 としているのではな く,的 を絞 って投資するケースが多い。1990年代 に入 り拡大 しているタイプで, 日本の株価指数,為 替,金 利 のウェー トが高 まっている。変動率や市場性 に注 目 しているか らであろう。 また純資産 に対するレバ レッジは極めて高い。 ③Market_neutral Fund(マーケ ット・ニュー トラル ・ファンド) この タイプは既述のジ ョー ンズ ・ファンン ドに近い投資哲学 を持 ち,シ ョー ト ・ポジシ ョンとロング ・ポジシ ョンを相殺することで,市 場 リスクの減少 を 目指 している。現在では原株式 と転換証券のポジシ ョンを相殺するConvertible Arbitrage Fund,株式 と株式指数のArbttrage(裁定)を するファン ド,債 券 市場でYield Cutte(金利水準 と期 間 との関係 を示す利 回 り曲線)に 対 しポジ シ ョンをとるファン ド等幅広 い金融商品に投資するファン ドも含 まれている。 しか し,Arbitrage取引は常 に利益 が得 られるわけではない。割安証券 と考 えていた ものが さらに値下が りした り,割 高証券 と思つていたものが一層値上 が りする場合 もある。そ して世界的に活動 しているために,為 替 リスクも関係 して くる。そこで この タイプの運用者は,コ ンピューターを使用 して高度の統 計的予測 をし,最 新の資産価値評価モデルを採用 して投資資産を選考 している。

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10 彦 根論叢 第 322号 さ らにス ワ ップ取 引や オプシ ヨン取 引等 のデ リバ テ イブ取引 を組 み合 わせ て, 最 善 と思 うリス ク と期待利 回 り関係 を作 り出そ う とす る。 ④ E v e n t ―d r i v e n F u n d ( イベ ン ト ・ ドリブ ン ・フ ァン ド) 買収や リス トラ等の特別 な事態が進行 している銘柄 に,集 中的に仕掛 けて短 期 間に高い利益 を上 げ ようとす るタイザそ 買収が発表 されると買い手の株式 を 空売 りし,買 収 される側の株式 に投資する (逆もある)。 またM&A(企 業の吸 収 ・合併)発 表前 に, どの企業が対象 となるか を調査 して,そ の可能性 に賭 け るRisk Arbitrage Fundや ,再 建 中の会社 もしくは倒産会社の株式 に的を絞 る Distressed Fundも この タイプに含 まれる。 ⑤Sector Fund(セ クター ・フアン ド) このタイプは業種 に焦″点を絞 り,ヘ ルス ・ケア,金 融サービスタ食物,飲 料, メデ イアタ通信,資 源,石 油,ガ ス,不 動産,テ クノロジー,運 輸 ,公 益等 に 特化 して,資 金の50%以 上 を集中 して運用する。ヘ ッジをした り,レ バ レッジ を利用 した りする。また今後の予想収益 に対 し,現 行の株価が過小評価 されて いる と思われる株式や債券 を,ボ トムア ップ方式で選考 し,少 な くとも半年か ら 1年 間は保有するValueも,こ れに含 まれる。

⑥Short sales Fund(シ ヨー ト・セールス ・フアン ド)

この タイプはシ ョー ト売 り専門フアン ドで,今 後の収益予測か ら見て,す で に過大評価 (割高)さ れている株式,今 後の金利動向か らみて金利上昇 (価格 は下落)が 必至 な債券等 を空売 りし,株 価下落,債 券価格下落後 に買い戻 して 差益 をあげる ものである。 この ようなファン ドは,伝 統的ロング ・ポジシ ヨン ー辺倒のポー トフォリオをヘ ッジしたい投資家や,マ ーケットが下落予想のと き,ポ ジシ ョンを取 りたい投資家 を引 きつける。 ②Long only Fund(ロ ング ・オンリー ・フアン ド)

この タイプは株式投資だけで,す く`売却 は しない ファン ドである。運用者ヘ のインセ ンティブ ・フイー とレバ レッジを利用する伝統的株式 ファン ドである。

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ヘッジファンドと国際資本移動規制 1 1 ③ Fund of ttnds(フ ァン ド ・オブ ・フ ァンズ) この タイプは顧 客 か ら集 めた資金 を,上 述の ような種 々の投資戦略 によって 運用 され る複 数 のヘ ッジフ ァン ドに,投 資比率 を変 えて分散投資 し,投 資収益 の分配 を受 ける ものである。 したが って,自 らが シ ョー ト ・ポジシ ョンや先物, オ プ シ ョン等へ の投資 は行 わ ないが, どの フ ァン ドに投資す るかのス ク リーニ ング をか けて運用 す る。 またパ フ ォーマ ンス ・フ ィー を取 り,投 資収益拡大 の ため に レバ レッジをか ける場合 もあ る。

以上 の ようにManaged Account Reports社 の分類の うち主要な 8種 類 を概 観 したが,Van Hedge Fund AdvisOrs社 のヘ ッジファン ドの分類 には,MacrO, Emerging market,Event―driven,Short―selling,Opportunistic(特定の戦略

に回執 しないで,運 用者の判断によ り複数の戦略 を利用するもので,そ の時点 で上昇モメンタムのある資産に投資 し, 日和見型 と呼ばれる),Several strategies (予め決め た複 数の戦略 を組 み合 わせ る),Value(割 安株 に投資),Income (収益 に焦点 を当てて投資す る),Aggressive growth(高 度成長株 に投資す る もので,積 極成長投資型 と呼 ばれる),Market hming(相 場見通 しに基づ き,タ イミングを見て,株 式や債券 など 1∼ 2種 類程度の資産 に,大 きく投資 す る もので市場 タイ ミング型 と呼ばれる),Fund of funds,Sectoral等 が含 ま 1 6 ) れ て い る 。 (2)ヘ ッジファン ドの投資スタイル別本数 と運用資産

Managed Account Reports社によると,上 述の 8種 類の投資スタイルのヘ ッ ジファン ドの1980∼97年までの推移は第 2表 の ように示 される。 これによると Global,Market―neutral,Fund of fundsの躍進が著 しい。第 2表 ではFund of fundsを含 んだ数字 と,Fund of fundsを他 の 7種 類 の ファン ドと明示的 に分 けて扱 うことにより,二 重の勘定が明 らか となる。全体 としては1997年にフア ン ド数 は1100本を超 えているが,そ の約 4分 の 1が Fund of fundsである。 ま たGlobalが36%,Market― neutralが18%と なっている。Fund of ttndsを除い た 7種 類の比率ではGlobalが47%,Market―neutralが24%,Event―drivenが14

(12)

彦根論叢 第 322号 第 2表 投 資スタイル別ヘ ッジファン ド数 1980 1985 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 G10bal Macro lv4arket―neutral E v e n t ―d r i v e n SectOr Short sales Long Only F u n d o f f t l n d s T o t a l ( i n c l u d i n g f t l n d o f f t t n d s ) T o t a l ( e x c l u d i n g f t l n d O f t t n d s ) G l o b a l Macro Market―neutral Event―driven Sector Short sales Long Omy T o t a l ( e x c l u d i n g f t l n d o f f t l n d s ) (In 61 90 127 191 14 19 28 34 22 40 64 93 21 22 39 48 1 2 6 10 6 7 8 10 0 2 5 6 45 63 84 134 170 245 361 526 125 182 277 392

(In percent of total)2 49 49 46 49 11 10 10 9 18 22 23 24 17 12 14 12 1 1 2 3 5 4 3 3 0 1 2 2 1∞ ltlll l∞ 100 248 334 404 40 50 61 123 159 201 73 95 120 16 23 40 10 11 12 7 11 15 181 221 262 698 904 1,115 517 683 853 48 49 47 8 7 7 24 23 24 14 14 14 3 3 5 2 2 1 1 2 2 1∞ 1∞ 1∞ 1 9 40 0 2 13 0 5 18 0 2 17 0 0 1 0 0 6 0 0 0 0 4 32 1 22 127 1 18 95 100 50 0 11 0 28 0 11 0 0 0 0 0 0 llX1 100 42 14 19 18 1 6 0 100

1撻

啓1難

架薔

習。

AccOunt Repotts,`Mar/Hedge'.

( 注2 ) F u n d o f f u n d s を除いたパーセント。 第 3 表 投 資 ス タイル別 ヘ ッジ フ ァ ン ド運用 資 産 (単位 , 100万 ドル, %) 1980 1985 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 ( I n m i l l i o n s O f U . S d 0 1 l a r s ) 1 517 1,288 2,238 3,945 6,5裕 12,24914,93120,40130,862 0 4,700 6,827 9,396 18,930 20,165 18,807 25,510 29,759 78 638 925 1,671 3,375 4,720 5,707 10,317 17,970 29 379 550 784 1,750 2,886 3,827 5,5れ 8,602 0 2 3 8 48 107 187 691 1,752 0 187 239 226 244 403 432 488 538 0 0 0 14 30 44 85 180 376 190 1,339 1,941 3,075 6,468 8,167 9,416 13,163 19,717 514 8,53212,72219,12237,41848,後 153,392祐 ,3251∞ ,576 624 7,19310,裕 216,04630,95040,5私 43,97663,16289,859

(In percent of tOtal)2

83 18 21 25 21 30 34 32 34 0 65 63 59 61 50 43 40 33 12 9 9 1o ll 12 13 16 20 5 5 5 5 6 7 9 9 1 o 0 0 0 0 o o o 1 2 0 3 2 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 o o o 0 0

lllKl l∞ 100 1∞ llll1 loo loo lo0 100 30 19 18 19 21 20 21 21 22 G l o b a l 1 9 3 Macro o ヽ71arket―neutral o E v e n t ―d r i v e n o Sector o ShOIt sales o Long Only o F u n d o f f t l n d s o Total(including fund of ttnds) 193 T o t a l ( e x c l u d i n g t t n d o f f t l n d s ) 1 9 3 Globa1 llltl Macro o Market―neutral o Event―driven o Sector o ShOA sales o Long Only o T o t a l ( e x d u d i n g f l l n d o f f t l n d s ) l l X l Fund of ftlnds3 0 所 1 2 3 出 注 注 注

架薔鷲。

CC°

unt Reports,`Mar/Hedge'.

F u n d o f t t n d s を除いたパーセ ン ト。 F u n d o f f u n d s のチ ャンネルを通 じた資産の比率。

(13)

ヘッジファンドと国際資本移動規制 13 % と なってい る。 第 3 表 は投 資 ス タイル別 運用資 産 の1 9 8 0 ∼9 7 年までの推移 であ るが,第 2表 同様 F u n d o f t t n d s を含 んだ もの と, 除 外 した数字 が示 されてい る。全体 と し て1 9 9 7 年には約 1,100億ドル,Fund of fundsを除 くと約900億 ドルの運用資産 が ヘ ッジ フ ァン ドに保有 されてい る。1,100億ドルの運用資金 の うち309億 ドル がGlobal, 298億 ドルがA/1acrO, Market―neutralが180億 ドル, Fund of fundsが

1 9 8 億ドル となっている。F u n d o f f u n d s を除外す る とG l o b a l が3 0 6 億ドルで3 4 %, Macroが 297億 ドル, 33%, Market―neutralは180億 ドル, 20%, Event―driven 90億 ドル,10%の 比率 となる。

第 2表 ,第 3表 のヘ ッジファン ド本数や運用資産数は,ヘ ッジファン ドを比 較的狭 く定義 しているため規模 は,第 1表 のVan Hedge Fund Advisors社 の 1997年時点での ファン ド数5,500本,運 用資産2950億 ドル より逢かに小 さい。 これはヘ ッジファン ドの実情 をレポー トする商用サービス業者が,そ の情報 を ファン ドマネージャーに依存 していることか ら発生すると考えられる。すなわ ち,パ フォーマ ンスの悪いファン ドマネージャーは,情 報 をほとんど提供 しな い とい う傾向があ り,ヘ ッジファン ドの運用資産については二重に勘定 されて いる可能性 もある。なぜ ならば,商 用サービス業者は他のヘ ッジファン ドに投 資す るヘ ッジファン ドであるFund of fundsのデータを,他 の複数のヘ ッジファ ン ドと組み合わせているか らである。 また定義が異 なっていた り,分 類するの が困難であつた り,そ の処理方法 もまちまちであった りで,推 測値 も大 きなば らつ きがあるといえる。 1 7 ) 以上の ような限界 を承知 しなが ら,IMF報 告書 は,「ヘ ッジファン ドの資金 は他の機関投資家の資金 との比較では,や は りそ う大 きなものではないだろう。 成熟市場 において,機 関投資家の資金は20兆 ドルを超 えている。 さらに機関投 資家 も,ヘ ッジファンドと同 じような活動に従事 している。従って,ヘ ッジファ ン ドはほ とん どの環境下で,特 定のマーケ ットを支配 した り買い占めを行 うこ とが出来 るとい う説 には,疑 間の余地がある」 と結論づけて,ヘ ッジファン ド 17)IMF〔 4〕 原文p.6,邦 訳pp.29-31.

(14)

14 彦 根論叢 第 322号 の国際金融市場 に与 える影響 を控 えめ に評価 してい る。 しか しI M F 報 告書 の推測値 はか な り過小 な ものであ り,米 大統領作業部会報 1 8 ) 告 (1999年4月 )で の,LTCMの 1997年末運用資産が1,290億ドル とも整合 的ではない。 また種 々の推測値 を勘案す る と,2,500億 ドルか ら4000億ドル と 考 えるのが妥当であ り,こ れ らが,デ リバテ イブ取引で レバ レッジを効かせ る ことを考慮すれば,ヘ ッジファン ドの行動 に追随する投資家や金融機関の資金 もあ り,こ の群集行動 (herd behavior)を併 せ て考 えると,ヘ ッジファン ド が国際金融市場 に与 える影響力 は,か な り大 きい と考 えられるだろう。 (3)ヘ ッジファン ドの投資主体 ヘ ッジファン ドの投資主体の変化は,第 4表 に示されている。これは 「Evalua― tion Capital Markets」によるヘ ッジファン ド50社か らのア ンケー ト調査 に基 づ くもので,第 5表 は1996年6月 時点のヘ ッジフアン ドの投資 タイプ別投資主 1 9 ) 体 を示 した ものである。1 9 9 8 年6 月 の ヒアリング調査 で も企業家,芸 能人等 々 米国を代表す る個人富裕層,私 的年金,企 業財団に加 え,英 国,ベ ルギー,オ ランダ,ス ウェーデ ン,ス ペイン等欧州のほとんどの皇族や王室,大 手銀行, さらにイタリア,ベ ルギー,ス ペイン等多数の中央銀行 までが,過 去10年間の 大 田ヘ ッジフアン ドの大 田顧客であることが確認 されている。 とくに従来保守 的 とみ られていた財 団や年金基金 といった機関投資家がヘ ッジファン ドヘの投 資 を増加 させていることが注 目される。 第 4表 ヘ ッジフ ァン ドの投資主体 の変遷 ) 1991年 1996年 1998年 個 人富裕層 Fund of funds・ 証 券 ・保 険 大学基金 ・財団 6 年金基金 その他 (企業 を含む) 4 7 全 体

IW38‰

駅亀

慈 、

A鈴づ甫疑↓

鍋織 を

課特解勤る

The President's Working Group〔6〕. 宮島 〔4 8 〕p p 。2 8 - 2 9 .

(15)

ヘ ッジファンドと国際資本移動規制 15 第 5表 谷 ッジファン ドの投資 タイプ別投資主体

( 点 ,金 額 ベ ース %)

全 体 RelativeValue Event―driven

酌 欄 Globalハuへ Shorl sellint 個人富裕層 Fund of ttnds・証券 ・保険 大学基金 ・財団 6 1 年金基金 その他 (企業 を含 む) 7 3 9 全 体

〈出所〉William」.Crerend,“Fundamentais of Hedge Fund lnvesting,"McGrow―Hill Co。1997.

第 4表 によれば,金 額ベースで個人富裕層は比率が低下 しているものの,1998 年時点で依然 として最大の投資主体 である。 またFund of funds・証券 ・保険 の比率 は,傾 向的に増大 している。 さらに大学基金,財 国の比率は一定 してい る。そ して年金基金 も増加傾向にある。 第 5表 は1996年6月 時点のヘ ッジファン ドの投資 タイプ別投資主体 を示 して いる。全体では投資金額ベースで個人富裕層,Fund of funds・証券 ・保険, その他 (企業 を含 む),大 学基金 ・財 回の順 となっている。Relative Value (割安株 に投資す る)は 個人富裕層が圧倒 的である。 またEventぃdttvenでも個 人富裕層が トップで,Equity Hedge,Short sellingも個人富裕層が トップと なっている。

(4)ヘ ッジファン ドの所在地別本数 と運用資産

第 6表 はVan Hedge Fund Advisors社 の推計 による,1988年 か ら1997年に かけてのヘ ッジファン ドの所在地別数 と運用資産の推移である。1988年は米国 所在 のヘ ッジファン ドが オフシ ョア所在のヘ ッジファン ドに対 し2.7倍となっ ていたが,1997年 には2.2倍とその差が多少縮小 している。運用資産では1988 年,米 国所在ヘ ッジファン ドが250億 ドルに対 し,オ フショア所在のヘ ッジファ ン ドは170億 ドル となっていたが,1997年 には米国所在谷 ッジファン ド1590億 ドル,オ フシ ョア所在のヘ ッジファン ドは1360億ドル と遜色のない規模 まで拡 大 して きている。

(16)

16 彦 根論叢 第 322号 第 6表 ヘ ッジフ ァン ドの所在 地別本数 と運用資産 1988 1990 1994 1995 1996 1997 全体 ファン ド数 (本) 運用資産 (10億ドル) 招 4 2 側 硝 裕光 拠 ︲ 2 3,417 172 ∞ 8 9 ∞ ︲ 7 ∝ 6 ︲ ∞ 9 5 米国 ファン ド数 (本) 運用資産 (10億ドル) ∞ 2 ∞ 3 4 3 6 硝 8 3 惚 ∞ ︲ 2 側 4 6 側 5 9 オフショア ファン ド数 (本) 運用資産 ( 1 0 億ドル) 硝 2 76 4 917 71 1,100 77 1 , 5 1 C l l E 1,710 136 く出所 〉Van Hedge Fund Advisors.

(5)ヘ ッジファン ドの規模別構成

第 7表 は1997年時点でのManaged Account Reports社の規模別構成である。 1000万ドル未満のヘ ッジフアン ド本数が全体の36%,1000万 ドル∼5000万ドル 未満が37%,5000万 ドル∼ 1億 ドル未満11%と なってお り, 1億 ドル未満のヘ ッ ジファン ド本数は全体の84%に 達 している。また 1億 ドル∼ 5億 ドル未満が12 %, 5億 ドル以上の フアン ドは 4%に 過 ぎない。 これに対 し資産運用規模では,1000万 ドル未満が全体の 20/0,1000万ドル∼ 5000万ドル未満が 8%,5000万 ドル∼ 1億 ドル未満 も8%, 1億 ドル∼ 5億 ド ル未満が25%, 5億 ドル以上が57%と なってお り, 1億 ドル以上のフアン ドが 運用資産全体の82%を 占めている。 第 7表 ヘ ッジフ ァン ドの規模別構成比 単 ファン ド数 運用資産 5億 ドル以上 1億 ドル∼ 5億 ドル未満 的00万 ドル ∼ 1億 ドル未満 1000万 ドル∼5000万 ドル未満 1000万 ドル未満 全 体

(17)

ヘッジファンドと国際資本移動規制 17

す なわ ち,フ ァン ド本数が 4%の 5 億 ドル以上 のヘ ッジ フ ァン ドが,全 運用

資 産 の5 7 % を 占め てお り, フ ァン ド本 数1 6 % の 1 億 ドル以上 のヘ ッジフ ァン ド が ,全 運用資産 の82%を 占めてい るのであ る。

(6)ヘ ッジファン ドの投資スタイル別 レバ レッジ度

第 8表 はVan Hedge Fund Advisors社 によるヘ ッジファン ドの投資ス タイ ル別 レバ レッジ度 を示 し,第 9表 はManaged Account Reports社 による1997 年12月時点でのヘ ッジフアン ドの投資ス タイル別 レバ レッジ度 を示 している。 第 8表 によれば,全 ヘ ッジファン ドの30,1%が レバ レッジをまった く使用 し てお らず, 2倍 以下が54.3%, 2倍 以上が15,6%と なっている。 したがって約 70%が レバ レッジを使用 していることになる。投資ス タイル別では 2倍 以上の レバ レ ッジ を効 かせ る比率 が高 いの は, Macroの 30。8%, Market― neutral

(arbitrage)の 59.1%, Market― neutral(securities hedging)の 26.0%, Opportunisticの19.7%,Fund of fundsの 20。0%で ある。 第 8表 ヘ ッジ フ ァン ドの投資 ス タイル別 レバ レッジ度 Type of fund No leverage Smaller than 2:1 Greater than 2:1 全 体 Macro Ernerging markets WIarket―neutral (arbitrage) MIarket,neutral (securities hedging) Distressed securities Special situations Short―selling Opportunistic Value Aggressive growth Fund of funds 16.9 36。1 18.2 3 1 . 5 6 1 . 0 19.9 22.2 24.4 35.7 35.0 21.6 52.3 56.6 22.7 42.5 35,6 73.0 75.0 56.0 61.0 58.4 58.4 30.8 7 . 3 59。1 26.0 3 . 4 7 . 1 2 . 8 19.7 3 . 3 6 . 6 20.0 100.0 100.0 100,0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100,0 100.0 All血 nds M.3 100.0

〈出所 〉Van Hedge Fund Advisors,1997. Deutsche Bundesbank, Mlonthly Report, MIarch 1999, p。38.

(18)

18 彦 根論叢 第 322号

第 9表 資 産ベ ースの投 資 ス タイル別 レバ レッジ度 (1997年12月)

Global

い/1arket― Event― Macro Neutral Driven Sector

Short Sales

O n ︲ y

Fund of Funds 合 計 % 未報告 最小限度 1 ∼ 1 0 0 % 101∼200% 201∼300% 300%超 中程度 最大限度 率が確定不可 合 計 13,912 23,742 5,165 1048 1572 922 6,160 800 1,444 4,567 214 1,972 190 73 711 66 1,845 4,113 2,874 0 0 0 0 2 2,045 1,513 3,641 30,862 29,759 17,970 0 8,917 0 1447 185 4,237 14 34 0 37 0 72 0 0 0 0 177 4,973 376 19,717 1 0 2 ︲ 4 5         ︲ 1 5 3 2 7 5 7 8 5 ︲ 4 5 ︲   6   ︲ 5 6 0 55,274 5,973 15,155 9 , 9 5 4 1,527 6 , 1 0 1 2,940 6 12,643 1∞,5裕 5 0 5 ︲ 4 9 1 6 3 0 ︲ 2 0 0

〈出所 〉Managed Account Reports.

第 9表 によれば,ヘ ッジファン ドの50%(資 産ベース)が レバ レッジを使用 していない と報告 したか, レバ レッジの使用 についてまった く報告 していない かのいずれ となっている。投資ス タイル別ではMacroの 80%,Globalの 45%が このカテゴリーに入 つてお り,情 報が網羅 されていないので,投 資ス タイル別 の レバ レッジ使用が有効 に確定で きない。 しか し逆 に少な くとも50%の ヘ ッジ ファン ドは, レバ レッジを使用 していることを意味 しているといえるだろう。 レバ レッジを使用することにより,ヘ ッジファン ドの経済力 を強めることに なるが,同 時にその収益や損失 リスクを拡大することになる。ただ レバ レッジ は,ヘ ッジファン ドに固有の もの と思われがちであるが,銀 行 も相当高い レバ レッジを使 っている。例 えば,自 己資本比率 8%の 場合,総 資産に対 し12.5倍 となる。同程度の レバ レッジを使 っているヘ ッジファン ドに比べ,銀 行の方が 明 らかにリス クが小 さい と看微 されがちである。 したが つて, レバ レッジ手法 や投資ス タイルが異なる種 々の機関を比較するとき, レバ レッジの大 きさとリ ス クの大 きさを,単 純 に結びつけるべ きではない といえるだろう。 (7)ヘ ッジファン ドの収益,変 動性

第10表 はVan MOney Management Researchに よる1988年 か ら1998年 まで のヘ ッジファン ドの投資ス タイル別パ フオーマ ンス推定 を示 している。

そ して第11表は,ヘ ッジファン ドの投資スタイル別収益,リ スク調整済収益 についてのManaged Account Reports社 の推定である。

(19)

第10表 1988年 から1998年までのヘ ッジファンドのパフォーマンス推定

T y p e o f f u n d

Annual rate of returnl Average 1988-1998 Correlation4 with 1996 1997 of ■ ︲ R at e r e t u r 陥latliぱ

戦骨

Msc15 LBAB16 lv4acro Emerging markets

Market―neutral secutthes hedging Distressed securities Short selling OppOrtunistic lncome F u n d o f t t n d s n ・ 5 , ︲ 8 . ︲ 3 . 7 . 2 7 4 .9 5 2 8 8 ・ 0 ︲ 4 ︲ 0 0 3 1 . 2 0 . 5 2 , 7 ■3 - 0 . 1 1 . 9 1 1 ■4 Comparei

MSCI World Equity5 LBA Bond lndex6

11.8 3 . 6 ∞ ︲ 9 ・ 9 ∞ ヘ ッジファン ドと国際資本移動規制

〈出所 〉Van Money Management Research.

( 注1 ) 運 用者報酬 を除いた四半期別純収益率 (%)。 ( 注2 ) 四 半期別純収益率の標準偏差 (%)。 ( 注3 ) 標 準偏差か ら導 き出 された純収益平均 (純収益率一金融市場金利)。 ( 注4 ) 1 9 8 8 年 か ら1 9 9 8 年までの四半期別収益率の相関係数。 ( 注5 ) モ ルガン ・ス タンレーキャピタル ・インターナシ ョナル世界株価指数―グローバル株 式ポー トフォリオのパ フォーマ ンス量。 ( 注6 ) リ ーマ ンブラザーズ総債券指数十グローバル債券ポー トフォリオのパ フォーマンス量。 第11表 投 資スタイル別収益, リスク調整済収益 ( 単位 % )

〈出所 〉Bloom bergand and Mar/Hedge.

(注)リ スク調整済収益率は平均年率複利収益 を年率計算 した変動性 (標準偏差) で割 つて計算。 1990-91 1992‐93 1994‐95 1996-97 1990_97 年率複利 収益 Global M【acro MIarket‐neutral Event_driven Sector Short sales Long only Fund of funds 」.P,Wlorgan GBI S&P 500 リス ク調整 済年率収益 Global MIacro Market―neutral Event―driven Sector Short sales Long only Fund of funds 」.P.Morgan GBI S&P 500 13.2 27,7 45。5 31.7 5 . 1 8 . 7 17.3 28.5 30.2 27.6 3 . 2 8 . 1 13.8 21.8 11.5 8.5 10.8 8.6 1 . 1 4 . 5 2.4 1.6 2.3 6.0 2,3 5.3 1.7 2.4 0.2 0.8 3.0 4.3 3.0 2.2 0.6 1.3 9.1 21.7 17.7 11.1 26.5 28.1 7.3 13.6 8.6 10.1 20.5 18.9 18,0 43.9 29.6 8.9 7.8 7.0 24.6 30.0 3.5 18.7 14.2 6.6 6.3 8.2 17.4 26.7 15,7 1.1 2.3 1.9 1.0 1.9 1.7 3.1 12.3 4.3 2.1 4.0 3.2 1.9 2.0 1.9 0.6 0.4 0.5 1.6 1.9 0。6 2.7 2.4 1.5 1.6 2.0 1.9 2.0 1.3

(20)

20 彦 根論叢 第 322号

第 10表 に よれ ば,1996年 で年収益 率 がマ イナスだ つたの はShort―sellingのみ

で,概 ねMSCI世 界株価 指数 を上 回 ってい る。1997年で は,東 南 アジア通貨危

機 の影響 を受 けて,Emerging rrlarketsはマイナスになった ものの,OppOrtunistic,

Macro,Market― neutral securities hedgingの3投 資 ス タイルのパ フ ォーマ ン スはMSCIを 上回っている。1998年ではロシアの経済 ・通貨危機 により,Emerging markets,Distressed securities,Short―sellingがマ イナス にな り,全 投資 ス タ イルのヘ ッジ フ アン ドのパ フ ォーマ ンスがMSCIを 下 回 ってい る。 既 述 の第 1表 は,1991年 か ら1999年 までの全 ヘ ッジ フ ァン ドのパ フォーマ ン ス とMSCIを 比較 してい るが,1994年 , 1998年,1999年 はヘ ッジ フ ァン ドのパ フ ォーマ ンスがMSCIを 下 回 つてい る。 そ して第10表 の1988年 か ら1998年 までの平均 で収益 率 は,Short―sellingを除 い た全投 資 ス タイルで 2桁 を記録 してい る。 さらにSharpe ratio(全 収益 率 ― 金 融市場金利 )は ,Short…sellingを除いて,金 融市場金利 よ り高 い収益 をあげ てい る。 第 11表で は,1990年 か ら1997年 までの,ヘ ッジフ ァン ドの運用資金 に対 す る 収益 を示 して い るが ,Macroの 収益 は傑 出 して い る。 1990年 以 来 の平均 で は Macroの 収益 は,S&P500(ス タ ンダー ド ・ア ン ド ・プ アーズ社500指 数)や

」.P.MOrgan GBI(国 債 指 数 )の それ を上 回 ってい る。Sector,Event―driven,

Globalも1990年以来,S&P500を 上 回る成果 を上 げている。 またSector,Macro,

Market―neutral,Event―driven,Fund of funds等 は リス ク調整 済み のS&P500 を上 回 つて い る。Short salesは 1993年 以 降 の米 国株 価 下 落 で不 振 とな り, Macroは 1994年 を通 じた債券市場 の混乱 で,1994年 は業績 が低迷 した。 しか し 一般的 にヘ ッジフアン ドは,他 の投資手段 に比べ高い収益 を生み出す と考 えら れ てい る。 (8)投 資 ス タイル別破綻 比率 第 1図 は投 資 ス タイル別破綻 比率 を示 した もので,破 綻 総数 の うち比率 が高 い川買に並 ハミる とValue, Fund of funds, MIarket―neutral, Opportunisticと A g g r e s s i v e g r o w t h , E m e r g i n g m a r k e t s とE v e n t ―d r i v e n とそ の他 , M a c r o ,

(21)

ヘ ッジファン ドと国際資本移動規制 Short―sellingとなってい る。 第 1 図 投 資ス タイル別ヘ ッジファンド破綻比率 M a c r o E 3 % Emerging markets Market,neutral Event―driven Sholt―selling Opportunistic ヽアalue Aggressive growth ll% Fund of funds 14% Other 9 %

く出所 〉Van Hedge Fund Advisors Deutsche Bundesbank. 4.国 際資本移動規制 とヘ ッジファン ド (1)国 際資本移動規制論の高まりの背景 既述 したように1992年のポ ン ド危機,1997年 のアジア通貨危機,1998年 のロ シアの通貨危機 に伴 うLTCMの 破綻 に際 し,ヘ ッジファン ドが注 目されてきた。 と くに1997年のアジア通貨危機の影響が全世界 に伝幡する過程で,当 初は資 金の受 け手であるアジアに危機の原因がある,投 機が危機 を引 き起 こしたのは 誤 ま りで,短 期的な資本移動 は市場 を安定化 させ る働 きがあ り規制すべ きでは ない とい う主張が多かった ものの,最 近では国際資本移動 を巡る議論の流れに も変化がみ られるようになった。 す なわち,資 金の出 し手側 にも問題があった,ヘ ッジファン ド等の短期的な 資本移動 にはある程度の規制が必要だ とい う主張が 目立ち始めていることであ る。 この ような主張の変化 に対 しては,次 のような背景が考えられる告第 1に 金融危機の影響が全世界 に広が り,ア ジア地域以外で も金融危機が発生するよ うになったか らである。具体的には97年以降由シアで株価急落,金 利上昇,外 20)小峰 〔28〕〔29〕. 9 % 1 3 % 9 % ■ 2 % 1 1 %

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22 彦 根論叢 第 322号 国資本の国外流出が相次 ぎ,98年 8月 に大幅なルーブルの切下げ,国 債等多額 の債務返済繰延べに追い込まれてしまった。また,中 南米でも97年10月,ブ ラ ジルの通貨 レアルに売 り圧力が強まり,大 幅な金融引締めを余儀なくされたり, 97年11月以降,ア ルゼンチン,メ キシコ,チ リにも各国通貨の売 り圧力が高まっ た。これらは,ア ジア危機の場合 と同様に,投 資家の将来への不安が高まり, これら諸国に流入 していた資本が,相 次いで国外に流出したためである。この ようにアジアだけが通貨危機に陥るのではなく,ロ シアや中南米 も同様の危機 に陥ることにより,ア ジア側の問題 というよりも,む しろ短期資本の流出入が 問題 という主張が説得力を持って くるようになったといえる。 第 2に LTCM等 の巨大ヘ ッジファンドが破綻 し,全 世界の金融システムヘ の波及を防 ぐため,米 国のニューヨーク連銀がその救済に当たるという異例の 行動に出なければならなくなったことである。これはヘ ッジファンドが,デ リ バティブを使って多額の資産運用をしていたため,国 内外の金融システムの混 乱を惹起することを恐れたからである。現実に投機を行 うヘ ッジファンドが破 綻 してしまうと 「投機はリスクを軽減するための裁定取引であ り,そ れが収益 をあげていることは,裁 定取引によって価格変動が小 さくなっている証拠であ 2 1 ) る」 とい う主張は通用 しな くなるといえるだろう。また米国の金融当局が救済 に乗 り出 したことか ら,ヘ ッジファン ドは私的な資金 を運用 してお り,公 的監 視や規制 は必要ない とか,ア ジアの金融当局は金融機関を保護 しす ぎていると いった主張が,説 得力 を欠 くことになったのである。 (2)国 際資本移動規制案 2 2 ) 国際的な投機資金の規制案 としては,以 下のような方法が検討されている。 ① トービン (」.TObin)税の導入。ノーベル経済学賞を受賞 した J.ト ービ ンが20年程前に提唱 したもので,外 国為替市場での短期取引に0。25%か ら0。5 % 程 度の取引税 を賦課することにより,投 機取引の利益 を無 くし,同 時に臣額 の税収 を確保 しようとするものである。 /1ヽ山祭 〔28〕pp.9。11-12. 高田 〔3 4 〕p . 1 0 5 .

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ヘ ッジファンドと国際資本移動規制 2 3 ②マレーシアや中国で実施 している非居住者 (海外の投資家)が ,各 国通貨 取引や各国証券取引を行 う場合,特 に短期資本の移動に対 して規制をする。 ③規制回避のためにヘ ッジフアンドが採用 しているパー トナーシップに対 し, 法律改正をして,会 社形態の投資信託に準 じて,証 券取引法その他を適用可能 とし,監 督や規制を行おうとするもの。 ④ヘ ッジファンドヘの資金を提供 している銀行や証券会社,そ の他の機関投 資家 とヘ ッジファンドの取引を規制 し,詳 細なディスクロージヤー (情報開示) を義務づける。 ⑤国際的な資本移動規制回避や課税忌避のために,ヘ ッジファンドや機関投 資家が利用 しているオフショア市場の監視体制や規制を見直すこと。 ⑥ヘ ッジファンドが多用するデリバテイブや,通 貨 ・証券の空売 りを規制す ること。 (3)国 際資本移動の規制の行方 以上のような種々の規制論議のなかで,次 のような論点へ と議論が移行 して きた。

①ヘッジファンドの取引先でもあり, レ バレッジを準備するプライム ・ブロー

カーや投資銀行等の金融機関に対 し,ど のようなリスク管理手法を要求すべき

か。

② このような要求は, 規 制当局が直接行 うか, そ れとも業界の自主規制に任 せるべ きか。 ② について, 日欧は政府監視下での集権的な規制を求め,米 国は業界による 自主規制を原則 として,政 府は間接的関与に止めるべ きであるとし,米 国の考 え方が主導権を握っている。 今後の具体的なヘ ッジファンド等の国際資本移動規制策 としては,(ア )融 資を行 う金融機関その他に対 し,デ イスクロージャーの徹底や何 らかの融資規 制,(イ )一 定規模以上の運用資産になったヘ ッジファンドヘの,デ イスクロー ジヤー要求,(ウ )投 資家に対するハイリスク認識の徹底を図る,(工 )ヘ ッジ ファン ド調査会社 とマスメデイアとの連携の強化,(オ )ヘ ッジフアンドのマ

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24 彦 根論叢 第 322号 ネー 玄)― に対 す る,マ ス メデ ィア取材 強化等 々,民 間 レベルでの努力 も必要 となる。 「市場は神にあらず」 ということが出来,規 制を排除する極端な市場主義は 考え直す時期 にきているといえるだろう。必要な規制が機能 して,初 めて市場 の信頼が高まり,自 由な資本移動が活発 となるといえるだろう。 〔参考文献〕

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(25)

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26 彦 根論叢 第 322号 (33)関 志雄,「明暗を分ける資本移動規制」F日本経済研究センター会報』1999年2月 15日 号。 (34)高 田大久吉,「ヘ ッジファンドと現代の金融危機」,『KEIZAI』,1999年 5月 号。 (35)玉 山和夫,「最近のヘ ッジフアン ド規制論議では,事 態はさらに悪化する」,『エコノ ミス ト』,1998年 11月 3日 号。 (36)地 元秋彦,「それでも“天才たち"は復活する」,F週 刊東洋経済』,1998年 10月24日号。 (37)中 尾茂夫,「『カジノ資本主義』の危険はアメリカにも及んだ一 市場信仰に修正の動 き」, Fエコノミス ト』, 1998年12月22日号。 (38)中 尾武彦,「ヘ ッジファンドと国際金融市場」,『フアイナンス』1999年7月 号。 (39)中 村稔,「日本本格上陸を狙 うヘ ッジフアン ドの実態」,F金 融 ビジネス』,1997年 8月 号。 (40)一 ―,「転機迎えた米銀 リスク圧縮に走る」,F金 融 ビジネス』,1999年 1月 号。 (41)浜 田和幸,Fヘ ッジファン ド』,文 藝春秋文庫,1999年 1月 号。 (42)堀 内昭義,「市場メカニズムを機能させる努力 と工夫が求められる」,F金 融財政事情』, 1999年 1月 4日 号。 (43)マ リア ・F・ ラミレス,「議論 されるヘ ッジフアン ドの功罪」,『金融 ビジネス』1998 年12月号。 (44)益 田安良,「国際金融システム再構築に向けての課題」,『国際金融』1022号,1999年 3月 15日号。 (45)松 村尚彦,「ヘ ッジファン ドの投資戦昨 『絶対 リターン』の追求 と運用資産急増の 背景」,『さくら銀行経済情報』,1998年 10月号。 (46)神 谷秀樹,「ヘ ッジファン ドは諸悪の根元か ?」,F国 際金融』1016号,1998年 12月 1 日号。 (47)宮 島秀直,「九八年ヘ ッジフアンド危機による米系商業銀行の総損失額は約四兆円に」, F金融財政事情』,1999年 3月 8日 号。 (48)一 ―,Fヘ ツジフアン ドの興亡』,東 洋経済新報社,1999年 。 (49)本 山美彦,「浮動的短期外資規制の模索」,『世界経済評論』1999年 1月 号。 (50)安 陽太郎,「ヘ ッジファン ドを活用 した経営戦略」,『月刊資本市場』,1998年 1月 号。 (51)保 田圭司,「ヘ ツジファン ド神話の崩壊条件狂 えば即 “超ハイリスクル化」,『金融 ビ ジネス』,1998年 12月号。 (52)吉 田清,「日 。米 ・欧のほとんどの銀行がヘ ッジファン ド化 しているのが本当の危険 だ」,Fエ コノミス ト』,1998年 11月 3日 号。 (53)吉 永高司,「大手欧米金融機関一 四社が LTCMの ヘ ッジフアンドに約三六億 ドルの

(27)

ヘ ッジファンドと国際資本移動規制 27 資本注入」,F金 融財政事情』,1998年10月12日号。 (54)吉本佳生,F金 融工学の悪魔』,日 本評論社,1999年。 (55)リチャー ド.ホ ロデ ック,「大崩壊 ?と んでもない !」F金融ビジネス臨時増刊』1998 年秋号。 (56)一―,「LTCM崩 壊で洵汰加速影響は貸付側の体力次第」,F金 融ビジネス』1998年12 月号。 (57)一― ・上中淳行,『オフショア投資 とヘ ッジファンド』,ダ イヤモンド社,1999年。

参照

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