• 検索結果がありません。

感情推移可視化によるユーザーストーリーの合意プロセスに関する考察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "感情推移可視化によるユーザーストーリーの合意プロセスに関する考察"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2017-EMB-45 No.5 2017/6/30. 感情推移可視化によるユーザーストーリーの 合意プロセスに関する考察 田村佳愛†. 渡辺晴美†. 概要: 本稿では,開発時の各メンバーの共通理解を築くために,感情推移の可視化・共有・記録を行うシステムにつ いて述べる.思考の共通理解を容易にするユーザーストーリーマッピングという技術があるが,共通理解が合意まで 結びつかないという課題がある.本稿では,これらの課題を解決するために,感情推移を可視化させるシステムにつ いて提案する. キーワード:合意プロセス, ユーザーストーリーマッピング, 感情推移の可視化. 1. はじめに. み出し,感情推移を可視化することで共通理解を深め合意 プロセスの明確化を築くシステムを目指す.. スマート技術の発展に伴い,ユーザに応じたシステムの. 具体的には,場所や時間を問わない会議実現のため,ス. 需要が高まっている.筆者が掃除機ロボットを用いたプロ. マートフォンのチャット機能を使った,感情推移の可視化. ジェクト開発を行った際,ユーザが欲しているシステムと. を記録する議事録システムである.以下本研究の要求分析. 開発したシステムとの隔たりを感じた.その原因は、開発. 方法,適用例,今後について述べる.. 時メンバーと完成イメージを共有することが難しい,ユー ザの潜在的な要求が複雑であるため汲み取ることが難しい という大きく2点であると着目した. このような問題を解決する技術として,「ユーザースト. 2. 感情推移の可視化・共有・記録方法 本研究のアプローチについて以下に述べる.図1はその流. ーリーマッピング」 [1]という技術がある.思考を可視化す. れであり,示した 3 つの番号に沿って説明する.. ることで,開発メンバー間の共通理解を容易に築くことが. ①. ユーザータスクカード:システム化するユーザの行動. 特徴である.しかし開発者がユーザの要求を把握しストー. に関する物語について記述するカード.デザイン思考. リーが明確化されたとしても,開発メンバーは要求に対し. に基づいて抽出する.ユーザーストーリーマップ中の. てそれぞれ異なる印象を持つ.そのため複数の意見を一つ. バックボーン,物語の流れに従って記述を行い,ユー. に集約する際,メンバーの共通理解が合意に結びついたと. ザの分析とストーリーの流れを作成.その後メンバー. は言い難い.そこで合意に向かうプロセスの共通理解を深. 各自が自由にユーザータスクの詳細についてカード. めるために,合意プロセスの明確化が必要であると考える.. に記す.. 合意プロセスにおける共通理解を築くためには,メンバ. ②. 共通理解支援システム:合意に至る過程について絵文. ーの感情推移を可視化し記録することが有効である.そこ. 字や写真による感情を含めた議事録システム.メンバ. で本研究では,感情の推移を共有し,合意プロセスの可視. ーの発言に対して,共感や疑問等自分の感情を投票す. 化を目標とする.しかし,ユーザの潜在的要求を汲み取る. ることで共通理解を可視化している.スマートフォン. ためには,開発者がユーザ視点に立ち付加価値のあるアイ. やパソコンを使用し,チャット形式にすることにより,. デアを抽出していく課題が残る. この課題を解決するために「デザイン思考」 [2] [3]と呼. 学生が継続して利用しやすい工夫をする. ③. ユーザーストーリーマップ:仮想のユーザ像の分析で. ばれる技術を用いる.人が無意識に感じ言葉にできないよ. あるバックボーン,物語の流れであるナラティブフロ. うな問題をとらえる観察,ブレインストーミングによる融. ー,ユーザータスク詳細の 3 領域で構成される.それ. 合によって斬新なアイデアを生み出す発想,プロとタイプ. ぞれカードに記し,該当する領域へ並べていく.共通. を作成しその場で創造を行う試作を繰り返しながら協創す. 理解支援システムで反映についての合意が行われた. る活動のことである.この技術を基にアイデアを創造する. ユーザータスクカードは,ストーリーマップへ反映し. ことで,感性を駆使した視点を用いて顧客価値を重視しな. ていく.. がら新たなモノ・サービスを創造することが可能となる.. 現時点では一度ユーザータスクカードのみを利用した開. 従って,よりユーザの視点に近づき加価値のある開発を行. 発(チケット発行)を実施し,問題点を洗い出した.その. うことができる. この「ユーザーストーリーマッピング」と「デザイン思 考」を組み合わせることで,付加価値のあるアイデアを生 † 東海大学情報通信学部組込みソフトウェア工学科. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2017-EMB-45 No.5 2017/6/30. ①ユーザータスク カードの作製. コスト面が厳しい 4. 2. リピーター 獲得のため、 ポイント数で 軽食と交換. 1. 3. ユーザにとっては使 いやすい!. ③合意のとれたユーザータスクカードを ユーザーストーリーマップへ反映. ②スマートフォ ンのチャット機 能で絵文字を 使った共通理解. 時間. バックボーン ナラティブフロー. ・ ・ ・. ユーザータスクカード. デザイン思考 を基に抽出. 7. リピーター 獲得のため、 ポイント数で 軽食と交換. 優先順位. 【採決】このタスク カードはマップへ反 映しますか?. ユーザタスク詳細. 3. ユーザーストーリーマップ. 合意に至る プロセスを記録. 共通理解支援システム. 議事録. 図 1. ユーザーストーリーマップへ反映する合意の流れ. 後図1の②に示すツール化に必要な要件について分析した.. 録として記録し,いつでも閲覧を可能とすることで, 合意までのプロセスを明確化する.. 2.1 適用例. ③. 前節では本研究のアプローチと現状,今後について述べ. 共通理解支援システムで合意を採ったカードを,ユー ザーストーリーマップへ反映する.. た.以下感情推移の可視化・共有・記録方法について適用 例を述べる.図 1 に示した 3 つの番号に沿って説明する. 例として映画館のポイントカード利用システムの開発を行 うと仮定する.完成したマップを図2に示す. ①. ユーザーストーリーマップ中のバックボーンとナラ. 3. おわりに 本稿では,開発時の共通理解とユーザの潜在的要求の実 現という課題解決へ向けて,デザイン思考を基に抽出した ユーザの潜在的要求を,感情推移の可視化による合意プロ. バックボーン 4人家族. チケット 購入. 50歳以上 夫婦. 軽食購入. 入場待機. 大学生. 入場. セスの明確化へ向けた要求分析方法について述べた.今ま 時間. ・・・. 鑑賞. で主流であった文字のみのドキュメントでは伝わりづらか った感情表現が,スタンプや絵文字を使うことで感情を可. 退場. 視化できるようになり,円滑に楽しく感情を伝えることが 可能となる.. 優先順位. リピーター 獲得のため、 ポイント数で 軽食と交換. ナラティブフロー. 今後は,本稿の要求分析方法を基に図 1 の②のツール化 を目指したい.学生が継続して使いやすいシステム開発の ために,共通理解支援システムとユーザーストーリーマッ. ユーザタスク詳細. 図 2. ユーザーストーリーマップ完成図. 作成を行うことによって,利便性向上を目指す.. ティブフローについて作成する.. 参考文献. バックボーン:家族(35 歳男性,29 歳女性,5 歳男. [1] 川口恭伸監修, 長尾高弘翻訳, Jeff Patton. ユーザース. 児,1 歳幼児で構成される 4 人),大学生(21 歳),50 歳以上の夫婦.. トーリーマッピング. オライリージャパン, 2015. [2] 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント. ナラティブフロー:チケットの購入,軽食の購入,入. 研究科. システムデザイン・マネジメントとは何か.. 場まで待機,入場,鑑賞,退場.. 慶応義塾大学出版会, 2016.. 以上を作成後,デザイン思考を基にメンバー各自ユー ザータスク詳細についてカードを作成する.(例:リ ピーター獲得のため,ポイント数で軽食と交換) ②. ピングついて,デザイン思考を取り入れたプロトタイプの. [3] 前野隆司. システム×デザイン思考で世界を変える 慶應 SDM「イノベーションのつくり方」. 日経 BP, 2014.. ユーザータスクカードについて,共通理解支援システ ムを利用し合意までの話し合いを行う.自分以外のメ ンバー発信した意見に対して,自分の印象,感情をス タンプで投票する.その合意までの会話の流れを議事. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. 2.

(3)

参照

関連したドキュメント

入力用フォーム(調査票)を開くためには、登録した Gmail アドレスに届いたメールを受信 し、本文中の URL

5.本サービスにおける各回のロトの購入は、当社が購入申込に係る情報を受託銀行の指定するシステム(以

以上のことから,心情の発現の機能を「創造的感性」による宗獅勺感情の表現であると

前章 / 節からの流れで、計算可能な関数のもつ性質を抽象的に捉えることから始めよう。話を 単純にするために、以下では次のような型のプログラム を考える。 は部分関数 (

「系統情報の公開」に関する留意事項

船舶の航行に伴う生物の越境移動による海洋環境への影響を抑制するための国際的規則に関して

本文書の目的は、 Allbirds の製品におけるカーボンフットプリントの計算方法、前提条件、デー タソース、および今後の改善点の概要を提供し、より詳細な情報を共有することです。

当財団では基本理念である「 “心とからだの健康づくり”~生涯を通じたスポーツ・健康・文化創造