はじめに 21世紀は情報の時代と言われてきた。現に、家庭内でのパソコン(パー ソナルコンピュータPersonal Computerの略、PCとも略す)の普及はめざ ましく、ほとんどの世帯がパソコン等のコンピュータ機器を保有している と言える(1)。さらにインターネットによる地球規模の情報伝達が驚くほど の猛スピードで進化し、誰もが情報時代を実感している。 税務においても、マイクロソフト社のOS(Operating System)ソフ トウェアであるWindowsが発売された1990年代から、従来の専用コン ピュータに代わり、汎用型パソコンが普及し、またパソコン所有企業内で の自計化(税理士事務所等に経理事務を委託せず自社内で財務会計ソフ トを導入し処理する)も進み、今日、ほとんどの財務や税務処理はコン ピュータによるものとなっている(例、電子帳簿、電子申告)。そして、 (1) 総務省「平成29年通信利用動向調査報告書(世帯編)」p5 (総務省WEB(www. soumu.go.jp)>政策>統計情報>情報通信統計データベース>統計調査データ>通 信利用動向調査>報告書及び統計表一覧世帯編)は、パソコンを保有する世帯の割 合が平成21年の87.2%をピークに減少し、平成29年では72.5%と報告している。し かし、スマートフォンなどパソコンに代わる情報通信機器の保有が増加している。 上記報告書ではスマートフォンの保有者割合は75.1%とされる(同p3)。
ソフトウェア取引課税に関する税法の解釈適用
伊 藤 悟
はじめに Ⅰ ソフトウェア関税と内国税措置概略 Ⅱ 所得課税法におけるソフトウェア取引課税 Ⅲ 消費課税法におけるソフトウェア取引課税 Ⅳ 資産課税法におけるソフトウェア取引課税 結語日常生活においても、様々なアプリケーションソフトウェア(Application Software、略してソフト、アプリ)が開発され、計算処理はもちろん、 ワープロ処理、画像や音楽処理、パソコンゲーム、通信(電話、ファック ス、メールなど)、インターネットと多彩なことがパソコンにてなされて いる。パソコンも、卓上タイプからノートタイプ、最近ではモバイルタイ プのさらに軽量小型化されたものもある。また、モバイルフォン(mobile phone,携帯電話)が進化し、これがパソコンと同様の機能を有している。 ところで、よく言われるのは、「コンピュータ、ソフトウェアなけれ ば、ただの箱」というフレーズである。パソコンの構造を知らなくとも、 パソコン利用者は、そこにインストールされているソフトウェアを活用 し、上記のような様々な処理作業をパソコンにて行っている。これは、ソ フトウェアがあることによる成果である。パソコンなどのコンピュータ は、コンピュータ言語(プログラミング言語など)により記述したプログ ラムや情報データであるソフトウェアがあってこそ、その機能を発揮し、 利用者の目的に適う成果をあげる。ソフトウェアは、知的財産(略して知 財)として認識され、法的保護を受ける。しかし、ソフトウェアに係る法 整備は、民法が物を有体物(日本の民法85条)としたこともあり、法的保 護を含めた対応の遅れもあり、またソフトウェア開発が日進月歩であり、 常に後手となってきた。この状況は税法分野でも同様であると言える。 ソフトウェアは、コンピュータに対するブログラム等であることから、 不可視的で無形(intangible)である。しかし、ソフトウェアは、経済的 価値を有し、有価物(valuable)として取引されている。ここに、ソフト ウェアに係る取引等の基本的問題もあると考える。 日本の代表的税法令としては、課税基礎別に所得課税法、消費課税法お よび資産課税法と分類され、それぞれ所得課税法である現行の所得税法が 1965年制定(昭和40年法律33号)、法人税法も同年制定(昭和40年法律34 号)であり、消費課税法である消費税法が1988年制定(昭和63年法律108
号)であり、資産課税法である相続税法が1950年制定(昭和25年法律73 号)であり、日本の現行税法の基礎は、パソコン以前、Windows発売以 前である。税法令は、毎年、改正される。そのため、現行税法令は、ソフ トウェア取引にある程度対応している(電子申告も行われている)。しか し、その詳細がソフトウェア取引の実態に照らして適正(租税法律主義と しての税法定原則の要請)かつ公平(平等権に基づく税負担公平原則の要 請)であるか、納税者にとって法予測可能性および法的安定性のある法整 備となっているか、等、疑わしい点はいくつかあるのではないかと推量さ れる。 本稿は、ソフトウェアに係る課税上の税法解釈適用問題を検討するもの である。基本的な本稿の目的は、課税基礎により、所得課税法(法人税法 を中心に)、消費課税法(消費税法を中心に)および資産課税法(相続税 法を中心に)に分け、これら税法におけるソフトウェアに係る課税措置に 関する現行法令の解釈適用課題を整理することにある。本稿の発端は、 ソフトウェアの輸出入に係る関税措置においてデータ保存されている媒 体(フロッピーディスク、CD(compact disc) など、これを「キャリアメ ディアcarrier media」と呼ぶ、集積回路が組み込まれているUSB(universal serial bus)はキャリアメディアか否かの論議がある)の関税評価に関し て、関税課税措置が変更されたことである。関税以外の内国税(国税、地 方税)におけるソフトウェア取引課税が今まで十分に検討されていないこ ともあり、ここに研究ノートを作成する。 なお、ソフトウェアの研究が情報工学を中心とする理系のものであり、 またその法規制も知的財産法等の法分野を中心に研究されているものであ る。それゆえ、本稿におけるソフトウェアに関する専門技術的記述は、門 外漢と言える税法研究者のものであり稚拙でもあり、多くの誤りもあるも のと承知され、ご諒恕いただければ幸いである。 また、ソフトウェアの表記は、日本の法令等において「ソフトウエア」
とされるが、本稿では「ソフトウェア」と小文字「ェ」を用いたものとする。 Ⅰ ソフトウェア関税と内国税措置概略 1 キャリアメディアの関税評価 関税は、国境税として外国貨物が本邦に引き取られる輸入の際に、その 輸入貨物、輸入品に課される税である(関税法3条)。現在では、輸出貨 物は、関税の課税対象から除外される。しかし、税関に対する通関手続 は、輸入品のみならず輸出品についても行われる(貿易統計として実施)。 通関手続は、貨物を輸出または輸入しようとする者が輸出入貨物の品名並 びに数量および価格、その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必 要な検査を経て、輸出許可または輸入許可を受ける輸出入許可手続(関税 法67条)に関連する関税法および関税に関する他法令に基づき税関官署 に対する輸出入の申告または承認の申請から許可または承認を得るまでの 手続である(通関業法2条)。 関税において重大な課題の一つとして、貨物の品目分類がある。関税定 率法は、3条に「関税は、輸入貨物の価格又は数量を課税標準として課す るものとし、その税率は、別表による」と規定し、品目ごとの基本税率 を別表に定めている。関税率には、基本税率のほか、関税暫定措置法に 規定する暫定税率と特恵税率、世界貿易機関 (World Trade Organization; WTO)協定による協定税率などがあり、同一品目であっても適用税率が 異なるという複雑さがある。そのため、実行関税率表(2)が策定され発表さ れ、実務上利用されている。品目分類は、輸入品の関税課税のみならず、 輸出品の統計品目としても重要である。日本の関税率表、輸出統計品目表 は、かつて関税協力理事会(Customs Co-operation Council; CCC)品目表 に基づくものであったが、現在は、国際統一商品分類(HS)に基づき、
(2) 実行関税率表は、税関WEB(www.customs.go.jp)にて発表されている(>輸出入 手続>輸入統計品目表(実行関税率表))。
21部97類1220項5052号(日本は電気エネルギーの号が欠け5021号)に及 んでいる(3)。関税品目分類に載っていない「モノ」はないと言える。しか し、新製品・商品となる物品開発などは日々絶え間なく行われており、そ の新製品等がどの品目番号(税番、登録番号)に該当するかという品目分 類は、関税実務では関税額の計算などに重大な影響を与えるものであり、 品目分類の事前教示制度(4)もあるが、輸出入取引関係者にとって専門的か つ技術的なものであり、困難をともなう作業である。 関税が外国貨物の輸入に対する税であることから、その課税対象は、 「貨物」という有体物である。それゆえ、基本的には、ソフトウェアは関 税の課税対象ではない。この点に関して、データ処理機器に使用されるソ フトウェアを記録したキャリアメディアの関税評価がWTOなどで議論さ れている。このようなキャリアメディアの関税評価の基礎となる課税価格 は、関税定率法4条から4条の9までの規定に従い計算されるが、ソフ トウェアの価格を含めたキャリアメディア一括の価格としてインボイス (Invoice 仕入書)が作成されているとき、これを基礎に計算されることも ある(無形のソフトウェアに関税が課税される)。本来、関税は、有体物 (3) 輸出入品の品目分類は、国際物流(貿易)取引において重大課題である。1952 年に関税協力理事会 (Customs Co-operation Council; CCC、現在は世界関税機構 World Customs Organization; WCO) が発足し、ヨーロッパ中心にCCCの品目分類表 (CCCN、通称でブリュッセル関税品目分類表(Brussels Tariff Nomenclature; BTN)
とも言われる)があったが、品目分類の国際的統一を図るため、1983年に「商品の 名称及び分類についての統一システムに関する国際条約International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System (HS条約)」が採択され 発展し、1988年1月これが発効し、国際統一商品分類(HS)は、日本の関税率表等 にも採用されている(参照、税関WEB>ホーム>輸出入手続>7.参考情報「関税 のしくみ」>3.関税率表(2019年)、カスタムスアンサー(税関WEB内>輸出入手 続>7.参考情報「カスタムスアンサー」)1201「関税分類の概要(カスタムスアン サー)」)。 (4) 関税法7条3項は、「税関は、納税義務者その他の関係者から第一項の申告につい て必要な輸入貨物に係る関税定率法別表(関税率表)の適用上の所属、税率、課税 標準等の教示を求められたときは、その適切な教示に努めるものとする」と規定し、 関税分類の事前教示制度が実施されている(詳細は、関税WEB(前掲)>ホーム> 輸出入手続>品目分類の事前教示、カスタムアンサー1202)。
である貨物の物流に係る税であり、ソフトウェアのような無形のものに課 税することを回避しなければならない(5)。 日本の関税実務では、関税定率法基本通達4−5は、「データ処理機器 に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価」と題し て、この問題への解決解釈を示している。 関税定率法基本通達 (データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディアの評価) 4―5 データ処理機器に使用されるソフトウェアを記録したキャリアメディ アの評価については、次による。 (1)用語の意義 この項において用いる用語の意義は、それぞれ次による。 イ 「ソフトウェア」とは、データ処理機器の運用に関係する計算機プログラ ム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータをいう。ただし、サウ ンド、シネマチック及びビデオ・レコーディングは含まない。 ロ 「キャリアメディア」とは、磁気テープ、メタルテープ、磁気ディスク、 カードその他これらに類するものでソフトウェアを運搬又は貯蔵するための物 品をいい、集積回路、半導体及び類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイ スを組み込んだ物品を含まない。 (2)評価上の取扱い イ ソフトウェアを記録しているキャリアメディアの課税価格は、当該ソフト ウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場合はキャリアメディア の価格とする。 ロ キャリアメディアの価格には、キャリアメディア自体の価格、ソフトウェ アをキャリアメディアに記録するための費用等を含む。 (3)税関における確認の時期及び方法 ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別されているか否かの確認 は、原則として当該キャリアメディアに係る納税申告の時、仕入書等の関係書 類に基づいて行う。 (注)この項の規定は、ソフトウェアがキャリアメディア以外の貨物に記録又は 内蔵されている場合の当該ソフトウェアの評価上の取扱を定めたものではない。 (5) 現行の関税法等は、ソフトが可視的なモノでなく、形がないものであるが故に課 税対象から除外している。しかし、ソフトウェアが資産であることは認識されてお り、今後、ソフトウェアのような権利資産(知的財産権)取引を課税対象にする関 税法等の改正は可能である。インターネットを利用しての海外事業者からの音楽等 に係る電気通信利用役務の提供(データ、ソフトウェアをダウンロードして利用す る)については、消費税の課税が実行されている(消費税法4条3項3号、4項)。 これは、関税ではないが、国境越えソフトウェア取引への消費課税法の適用であ る。この種の取引は、税関を通しての通関手続に適していないことから、その対応 が今後の課題である。
この通達は、「ソフトウェアを記録しているキャリアメディアの課税価 格は、当該ソフトウェアの価格がキャリアメディアの価格と区別される場 合はキャリアメディアの価格とする」と規定していることから、貿易取引 に係るインボイスにおいて「モノ」としてのキャリアメディアとその記録 内容としてのソフトウェアの価格が区別されている場合にはソフトウェア に関税を課税しないとする(上記(2)イ)。この解釈は、1984年WTO決 定(6)に依拠するものである。 しかし、いくつかの問題点が指摘されている。一つは、この通達(1) イにより、ソフトウェアから「サウンド、シネマチック及びビデオ・レ コーディング」を除くとする解釈は、ソフトウェアの定義として、適正で あるかが問われている。 この通達のソフトウェア定義「データ処理機器の運用に関係する計算機 プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデータをいう」 は、国内税法である所得税法および法人税法の特例を定める租税特別措置 法および同法施行令に規定するソフトウェアの定義「電子計算機に対す る指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの」 (租税特別措置法施行令5条の5、同5条の6の5)と比較すると、異な るものとなっている。 ソフトウェアに関する日本法令上の定義は、不明確である。そもそもソ フトウェアは、コンピュータ機器「ハードウェア」に対する概念用語とし て用いられている。これに対して、著作権法2条1項10号の2が「プロ グラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれ に対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう」と規定し、 また特許法2条4項が「この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電
(6) See, The Committee on Customs Valuation adopted, during its Tenth Meeting held on 24 September 1984, Decision4.1 on the Valuation of Carrier Media Bearing Software for Data Processing Equipment (GATT, VAL/M/10, 5 November 1984).
子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み 合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機に よる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう」と規 定し、ソフトウェアという語ではなく、無体財産法では「プログラム」と いう用語が使用されている。ソフトウェアとプログラムとは、それぞれの 定義文言から、ほぼ同義であるといえる(7)。しかし、ソフトウェアは、コ ンピュータ動作のためのプログラムであることは明白であるが、上記の関 税定率法基本通達のようにプログラム以外のデータや書式なども含めたも のとされることもある。ソフトウェアの定義と範囲は、法令目的により異 なり、多義的要素を有している。この通達の解釈は、その一つであり、関 税の課徴に関して適正なものと判断される。ソフトウェアとサウンド等の コンテンツ(8)は、区別されるべきものである。しかし、機器に組み込まれ 一体となっているソフトウェアとコンテンツとは、その機器の評価として 区分することは困難である。 次に、通達のキャリアメディア定義において「集積回路、半導体及び 類似のデバイス並びにこれらの回路やデバイスを組み込んだ物品を含ま (7) ソフトウェアを著作権法のプログラム定義とするものに「青少年が安全に安心して インターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(平成20年法律79号)2条 (定義)9号「この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」と は、インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報を一定の基準に基づ き選別した上インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するため のプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるよ うに組み合わされたものをいう。第十六条及び第十九条において同じ。)をいう」と 規定している。これは、法律としてソフトウェア定義をしている希少な例である。 この規定からも、ソフトウェアは、プログラムであるとの解釈が成立する。 (8) コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成16年法律81号)2条1 項は、コンテンツとは「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、 コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくは これらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するた めのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができる ように組み合わせたものをいう。)であって、人間の創造的活動により生み出される もののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう」とされる。
ない」とする解釈は、今日ではソフトウェアを運搬または貯蔵するため にUSB(Universal Serial Bus)フラシュメモリー(USBメモリー)が使用 されていることから、USBメモリーをキャリアメディアであるとする解釈 もあり、議論となっている。これは、USBメモリーが集積回路を組み込ん だものであるが、ソフトを運搬または貯蔵するものとして利用されている ことも事実である。これは、2014年5月12日に開催されたWTOの関税評 価委員会におけるウルグアイ提案による議論である(9)。この問題について は、未だに結論的決定のない状況が続いている。 なお、日本の関税率表では、ソフトウェアがインストールされたパソコ ン等が84類(8471項において「自動データ処理機械」)とされ無税であり、 ブルーレイディスクやCDが85類(8523項において「ディスク」等、光学 媒体であるDVDが 8523.49、 CD-ROMも 8523.49)とされ無税である(10)。こ のようにキャリアメディアが関税率表において無税措置であることから (キャリアメディアのプラスチックケース(39類3923項ケース)は関税課 税がある場合もある)、ソフトウェアについては、実質的関税負担はない ものとされている。したがって、この問題は、関税無税という理由により 棚上げ放置されている。 2 ソフトウェア取引の内国税措置 関税は、税分類としては消費課税の税目とされる(11)。上記の関税措置 (9) Committee on Customs Valuation - Proposal for updating the Decision on the
Valuation of Carrier Media Bearing Software for Data Processing Equipment – Revision, 12/05/2014, Doc.#14-26759(WTO(https://www.wto.org)> Documents and resources >Documents for meeting >12/05/2014> Committee on Customs Valuation 12/05/2014 10:00> G/VAL/W/241/Rev.1). (10) 実行関税率表(税関WEB内>輸出入手続>輸入統計品目表(実行関税率表)> 2019年4月1日版)による。 (11) 税の分類は、多種のものがあるが、課税基礎による所得課税、消費課税および資 産課税等とする税分類が基本となる。財務省の「国税・地方税の税目・内訳」(財務 省WEB(https://www.mof.go.jp)>税制>わが国税制・財政の現状全般>税の種類 に関する資料)は、この税分類を採用し、関税を国税・消費課税とする。
は、内国税である国内消費課税と密接に関係する。輸入品に対する税は、 関税のほか、国内消費税(石油石炭税、酒税、たばこ税、消費税、地方消 費税など)の課税徴収が税関にて実施されるからである。ソフトウェアに 係る関税は、キャリアメディアを含む関連する品目が無税であることか ら、実質的に課税除外となっている(ケースは課税される場合がある)。 しかし、ソフトウェアは、無形物であるが、有価物である。それゆえ、ソ フトウェア取引(ソフトウェアの開発、権利取得(登録)、権利譲渡、権 利貸借、権利保有などの権利関係取引のほか、ソフトウェアのメンテナン スおよび補修等の役務提供取引を含む)において、税の課税対象となりう る経済活動があると想定される。 国内税目は、課税基礎から所得課税(所得税、法人税など)、消費課税 (消費税など)および資産課税(相続税、固定資産税など)に分類される。 これら課税制度において、ソフトウェア取引の課税に関する論点はいくつ かある。ソフトウェア取引は、バッケージソフトウェアのような商品の販 売のみならず、コンピュータ機器やコンピュータ内蔵機械のためのソフト ウェア開発等の企業内取引(自社製機器等の開発)や外部取引(他社の機 器等のためのソフトウェア受注)、またインターネットによる電子取引な ども含めて考慮されるべきである。 所得課税法は、所得に対する税である所得税(個人所得税)や法人税(法 人所得税)に代表される税を定めている。ソフトウェアに関する所得課税 は、個人事業または法人事業としてソフトウェア業(情報処理の促進に関 する法律2条3項「他人の需要に応じてするプログラムの作成の事業をい う」)(12)の所得課税を中心に、ソフトウェアを購入または利用契約を結ぶ に際しての支出の税務上の処理などが課題となる。所得課税におけるソフ トウェア関連改正としては、2000(平成12)年税制改正によるソフトウェ (12) ソフトウェア業は、経済産業省の産業分類では2103情報サービス業として情報処 理・提供サービス業とともに分類される(経済産業省(https://www.meti.go.jp))。
アを繰延資産から無形固定資産へと処理変更がされたことが注目される。 消費課税法は、市民生活での消費活動に対する税である消費税に代表さ れる税を定めている。ソフトウェアに関する消費課税は、関税が無税措置 であるが、ソフトウェア業の課税資産譲渡等の消費税処理、国外から行わ れる電気通信利用役務の提供への課税措置変更への対応が課題となる。特 に、国境を越えて行われるソフトウェアのインターネットを介しての利用 は、電気通信利用役務の提供として2015(平成27)年10月1日から消費 税の課税方式が変更された(消費税法4条1項、3項3号)。 資産課税法は、資産の取得、保有および処分にかかる税として相続税、 贈与税、固定資産税並びに所得税譲渡所得および山林所得課税(本稿では 資産課税としての譲渡所得課税については省略する)(13)などに代表される 税を定めている。ソフトウェアに関する資産課税は、所得課税や消費課税 との補完関係があり、これらの課税措置としてソフトウェアを有価物と認 め課税措置を講じるに対して、無形物に資産取得課税や資産保有課税をす るかは課題とされる。現行の固定資産税は、償却資産に対する固定資産税 があるが、償却資産から鉱業権、漁業権、特許権その他の無形減価償却資 産を除く(地方税法341条4号カッコ書)とし、ソフトウェアに対する課 税を行っていない。 Ⅱ 所得課税法におけるソフトウェア取引課税 1 ソフトウェア取引の所得課税の現状 日本の現行所得税法および法人税法は、ソフトウェア取引に関して特別 規定がない。ソフトウェア取引は、「ソフトウェアの開発」を長期大規模 工事(工事着手の日から工事契約において定められている目的物の引渡し (13) 資産課税法に譲渡所得課税を含めるかは一つの税法学上の問題である。国税行政 組織では、税務署の資産税部門が個人の譲渡所得を担当している。これから判断す ると、資産課税法に譲渡所得を含める税法分類も可能である(北野弘久編著『現代 税法講義』(法律文化社、1989年)はこの分類である)。
の期日までの期間が一年以上である工事で、工事対価額10億円以上の工 事)に該当する場合、その収入・収益および費用の帰属年度に関する特例 (所得税法66条、法人税法64条)が適用される。また、所得税法および法 人税法が定める減価償却資産のうち無形固定資産として、ソフトウェアが 挙げられている(所得税法施行令6条、法人税法施行令13条)。そして、 国税の特例を定める租税特別措置法(略して措置法)は、所得課税の特例 措置として、企業がソフトウェアを取得し利用することに関する特別償却 または税額控除の特例規定を定めている(詳細後述)。 (1)ソフトウェアの定義と範囲 ソフトウェア取引に関する所得課 税の前提となるソフトウェアに関する所得課税法上の定義や範囲は、所得 税法および法人税法にはなく、措置法において規定される。 措置法は、所得税特例として①中小事業者が機械等を取得した場合の 特別償却又は所得税額の特別控除(同法10条の3)「ソフトウェア(政令 で定めるものに限る。)」、②特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取 得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(同法10条の5の3)「政 令で定めるソフトウェア」、③革新的情報産業活用設備を取得した場合の 特別償却又は所得税額の特別控除(同法10条の5の5) 「特定ソフトウェ ア」、④医療用機器等の特別償却(同法12条の2)「ソフトウェア(政令 で定めるものに限る。)」、⑤農用地等を取得した場合の課税の特例(同法 24条の3) 「ソフトウェア」、また法人税特例として①中小企業者等が機械 等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(同法42条の6) 「ソ フトウェア(政令で定めるものに限る。)」、②中小企業者等が特定経営力 向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(同法42 条の12の4) 「政令で定めるソフトウェア」、③革新的情報産業活用設備を 取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(同法42条の12の6) 「特 定ソフトウェア」、④医療用機器等の特別償却(同法45条の2)「ソフト ウェア(政令で定めるものに限る。)」、⑤農用地等を取得した場合の課税
の特例(同法24条の3) 「ソフトウェア」、そのほか連結法人に関する特例 として①中小連結法人が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却 又は法人税額の特別控除(同法68条の15の5)「政令で定めるソフトウェ ア」、②革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額 の特別控除(同法68条の15の7) 「特定ソフトウェア」、③医療用機器等の 特別償却(同法68条の29)「ソフトウェア(政令で定める規模のものに限 る。)」、④農用地等を取得した場合の課税の特例(同法68条の65)「ソフ トウェア」として「ソフトウェア」を規定する。 このように措置法は、ソフトウェアの取得等に関する所得税特例と法人 税特例において、同様の趣旨の規定を定めている。これら措置法本則規定 は、ソフトウェアの意味内容について政令(閣議決定された法施行令)や 省令(財務大臣による法施行規則)に委任している。 所得税特例①のソフトウェアに関しては、「ソフトウェアは、電子計算 機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされ たもの(これに関連する財務省令で定める書類を含むものとし、複写して 販売するための原本、開発研究(新たな製品の製造若しくは新たな技術の 発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行わ れる試験研究をいう。)の用に供されるものその他財務省令で定めるもの を除く。)とする。」(同法施行令5条の5)と定義される。ソフトウェア に含む「財務省令で定める書類」とは、システム仕様書その他の書類とさ れる(同法施行規則5条の8第2項)。そして、ソフトウェアから除外さ れるのは、複写して販売するための原本および開発研究用のソフトウェア のほか、サーバー用オペレーティングシステム、サーバー用仮想化ソフト ウェア、データベース管理ソフトウェア、連携ソフトウェア、不正アクセ ス防御ソフトウェアが挙げられている(同法施行規則5条の8第3項)。 また、特例としての特別償却の対象となるソフトウェアは、基本的には、 「一のソフトウェアの取得価額が七十万円以上のもの」とされる(同法施
行令5条の5第3項3号)。所得税特例②の「政令で定めるソフトウェア」 は、この①のソフトウェアとされる(同法施行令5条の6の3)。次の所 得税特例③の「特定ソフトウェア」は、「電子計算機に対する指令であっ て一の結果を得ることができるように組み合わされたもの(これに関連す る財務省令で定める書類を含むものとし、複写して販売するための原本を 除く。)とする。」とされる(同法施行令5条の6の5)。また④の「ソフ トウェア(政令で定めるものに限る。)」とは、「電子計算機に対する指令 であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの(これに 関連する財務省令で定める書類を含む。)をいう。」とされる(同法施行令 6条の4第5項)。 このように措置法におけるソフトウェアは、「電子計算機に対する指令 であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの」という 共通の定義が抽出される。この定義は、先にみた著作権法2条1項10号 のプログラムの定義、また特許法2条4項のプログラム等の定義と同義と 解される。 しかしながら、措置法におけるソフトウェアは、各種の特例を受ける対 象としての制限(たとえば、取得価額による各種特例対象ソフトウェア基 準額、ソフトウェアではない書類を含めることも、逆にOSソフトなどの ソフトウェア除外)が各種特例ごとにあることに注意しなければならな い。結論的に言えば、ソフトウェアの定義と範囲は、法令目的により異な り、多義的である。このことがソフトウェアに関する法的特質といえる。 また、プロクラムがソフトウェアの中心であることは当然であるが、それ に付随するデータ等をどこまでソフトウェアとするかは、法令条項により 異なる。これは、先の関税定率法基本通達4−5のソフトウェア定義と同 様、ソフトウェアの範囲を限定することができないことを示している。 (2)ソフトウェア取引の経理処理 ソフトウェアは、電子計算機に 対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたも
のとして、著作権法や特許法などの知的財産法による法的保護を受け、有 価物として市場にて取引される。市場での取引結果として、ソフトウェア 関連業者などが所得を得るとき、その所得は、所得税や法人税の課税対象 とされる。所得とは何かは難しい問題であるが、課税所得は、租税法律主 義の要請により税法令により明確に規定されなければならない。現行の所 得課税法は、所得税および法人税とも申告納税制度を採用している。申告 納税制度が納税義務者からの申告に基づき税額確定をすることを原則とす るもの(国税通則法16条)であることから、課税所得の計算は、納税義 務者の所得認識(所得=収入収益−費用・損失とすれば、これらの要素の 各認識と金額測定)と税法解釈により誤ったものとなることがある。この 納税義務者の誤りは、租税法律主義が要請する一義的明確な規定(租税法 律主義は究極的には誰が計算しても同一経済行為に対する税負担額が1円 の誤差もなく同一となることを要請する)が立法されたとしても、納税義 務者の事実認定や法令解釈の違いにより起こりうることである。このこと は、結果して、税負担公平原則から不公平なものとなる場合もある。 このような課税所得計算上の誤りは、客観的な会計帳簿等に記載された 事実と金額に基づき収益認識と費用損失認識するという実績主義による実 額計算基準により是正される。課税所得の計算は、実績主義が基本であ る。推計や見積に基づく課税所得計算は、例外的なものである(14)。ソフト ウェア取引の所得課税も、ソフトウェア業者等の企業経理に基づき処理さ れる。 ソフトウェアは、今日、無形固定資産として会計および税務において認 識される。これは、企業会計審議会が平成10(1998)年3月13日に「研 究開発費等に係る会計基準」(以下、「ソフト会計基準」という)を設定し (14) 現行所得課税法は、帳簿等に基づく実額により申告納税にて税額が確定するのを 原則としているが、無申告や税法令と異なる税額計算等がなされた場合には税務署 長の更正または決定があり、その更正または決定をする場合、推計課税を例外的に 認めている(所得税法156条、法人税法131条)。
平成11(1999)年4月1日以後開始する事業年度から実施され、日本公 認会計士協会が平成11(1999)年3月31日に「研究開発費及びソフトウェ アの会計処理に関する実務指針」(以下、「実務指針」という)が策定され、 ソフトウェアを販売目的のソフトウェア(受注制作のソフトウェア、市場 販売目的のソフトウェア)と自社利用目的のソフトウェアとに分け、研究 開発費と資産としてのソフトウェアを区分することし、ソフトウェアを無 形固定資産とするとされた(15)。また、平成12(2000)年税制改正は、ソフ トウェアに係る研究開発費を繰延資産から無形固定資産とし、所得税法の 減価償却資産(同法2条19号)のうち無形固定資産にソフトウェアを含 め (同法施行令13条8号リ)、また同様に、法人税法の減価償却資産(同 法2条23号)のうち無形固定資産にソフトウェアを含めた(同法施行令 6条8号リ)。さらに財務省令である「減価償却資産の耐用年数等に関す る省令」(以下、「減価償却省令」という)別表第3「無形減価償却資産の 耐用年数表」にてソフトウェアは、「複写して販売するための原本」を3 年(同省令2条2号開発研究用減価償却資産に該当するソフトウェア(別 表第6)の耐用年数も3年)、「その他のもの」を5年の耐用年数と定めた。 この「その他のもの」とは、自社利用目的のソフトウェアである。なお、 ソフト会計基準は、公認会計士の監査を受ける上場企業等を対象とするも のであり、これ以外の法人企業や個人事業者に強制適用されるものではな い。しかし、この会計基準は、ソフトウェアに関する経理処理の基本とし て重要なものとされる。 知的財産としてのソフトウェアは、現在、プログラムとして著作権法2 (15) ソフトウェアの会計処理や法人税等の実務解説としては、浜田康監修・佐々木貴 司編著『詳解ソフトウェア会計の実務』(2002年、中央経済社)、OAG税理士法人編 『のれん・ソフトウェア・研究開発費』(2018年、中央経済社)、新日本有限責任監査 法人編『ソフトウェアの会計・税務入門』(2018年、中央経済社)、自閑博巳・唯木 誠『ソフトウェアの法人税実務(第4版)』(2016年、税務研究会出版局)が挙げら れる。
条1項10号の2および特許法2条4項により認識され保護されている(16)。 これは、昭和60(1985)年に改正されたものである。このように1980年 代には、ソフトウェアは、世界的にコンピュータ機器と区別され、知的財 産の一つとして認識された。このような知的財産法のソフトウェアの権利 保護に対して、かつてのソフトウェアに関する会計処理は、ソフトウェア 関連支出を無形固定資産としてではなく、そのソフトウェアの開発等に係 る支出を「試験研究費」や「研究開発費」などの勘定科目にて支出事業年 度の費用として処理するか、その支出の一部を繰延資産として「試験研究 費」や「開発費」などとして処理してきた。ソフト会計基準は、その処理 を整理した。 ソフトウェアの開発研究費は、基本的には、発生時の事業年度の費用と なる。自社利用目的のソフトウェアは、その制作費額または購入額等によ り無形固定資産として資産計上され、耐用年数5年による減価償却がなさ れる。販売目的のソフトウェアは、複写して販売するための原本、いわゆ る「マスター」の制作費額が資産計上され、耐用年数3年による減価償却 がなされる。しかし、いつの時点でソフトウェア取引の収益認識をするか が問題となり、平成18(2006)年3月30日、企業会計基準委員会は「ソ フトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報 告17号)(以下、「実務対応」とする)を発表した。 上記のソフト会計基準を中心とする実務指針および実務対応は、先に指 摘したように公認会計士の監査を受ける法人企業のためのものであり、こ れ以外の法人企業や個人事業者には適用されるものではない。適用を受け (16) ソフトウェアに関する法的対応や基礎論については、中山信弘『ソフトウェアの 法的保護(新版)』(1988年、有斐閣)、加藤浩一郎『ソフトウェア知的財産−法律か ら実務まで−』(2006年、発明協会)を参照。また、ソフトウェア取引の詳細な法律 問題についてはTMI総合法律事務所編『ソフトウェア取引の法律相談』(2013年、青 林書院)を参照した。日本のソフトウェアに関する保護立法の展開については、中 山・前掲書p9-13が詳しい。
ない個人事業者等の経理は、任意処理とされる。しかし、ソフトウェア取 引の税務は、税法令に基づき適正かつ公平な課税徴収がなされることを基 本とすべきであるから、ソフトウェアに関する事業者等の会計処理が中小 企業と大企業とで異なることを前提とせず、税法令に基づく処理が要請さ れるべきである。 (3)ソフトウェア取引と税務処理 ソフトウェア取引に対する所得 課税は、ソフトウェア会計基準等に従った処理に基づき基本的にはなされ る。法人税法は、課税所得金額を益金から損金を控除して算出し(同法22 条1項から3項まで)、これら益金と損益については一般に公正妥当と認 められる会計処理の基準に従って計算されるものとし(同法22条4項)、 また確定決算に基づき確定申告をするものと定め (同法74条)、これを確 認している。なお、所得税法は、一般に公正妥当と認められる会計処理の 基準に従って所得金額を計算するとする明確な規定を有しないが、青色申 告事業者の会計帳簿記帳保存義務 (同法148条)を定め、課税所得金額の 計算につき取引記録(領収書等の証票、帳簿)に基づき確定申告すること を前提としている。しかし、税法による課税徴収は、適正かつ公平の要請 から、会計処理とは異なる処理、いわゆる「別段の定め」(法人税法22条 2項、同3項、所得税法36条、同37条)などの税法条項によりなされる ことがある。 ソフトウェア取引の所得課税措置は、ソフトウェアが法人税法および所 得税法において減価償却資産の無形固定資産とされ、ソフトウェアを資産 とし、その取引に係る課税措置である。しかし、ソフト会計基準等を基礎 に所得課税措置を検証すると、ソフトウェア取引の所得課税措置は、Aソ フトウェアの研究開発上の支出、B受注制作のソフトウェア取引、C市場 販売目的のソフトウェア取引、D自社利用目的のソフトウェア取引の4 点、並びにEその他、5点に整理し、検討される。 A ソフトウェアの研究開発上の支出 かつてソフトウェアの研究開
発上の支出は、一括して費用とされるか、または繰延資産として処理さ れていた。これは、法人企業の投資家や債権者などのステークホルダー (Stakeholder、利害関係者)にとって、不明確なものであった。費用か資 産かが企業の任意であるとすれば、それは、企業利益の操作にもなりうる ものであり、また税負担にも影響するものである。それゆえ、ソフトウェ アの研究開発費は、ソフト会計基準により、研究を「新しい知識の発見を 目的とした計画的な調査及び探究」(同基準一1)とし、開発を「新しい 製品・サービス・生産方法(以下、「製品等」という。)についての計画若 しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計と して、研究の成果その他の知識を具体化すること」(同基準一1)とし、 ソフトウェアを「コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表 現したプログラム等」(同基準二)と定義区分され、「すべて発生時に費用 として処理しなければならない」(同基準三)とされた。 所得課税法である法人税法および所得税法は、これに関する別段の定め を明記していない。しかし、法人税基本通達などの税務通達は、いくつか の関連する税務処理を定めている。 法人税基本通達は、5−1−4「製造原価に算入しないことができる費 用」に「(6) 複写して販売するための原本となるソフトウェアの償却費 の額」、7−1−8の2「研究開発のためのソフトウェア」、7−3−15 の2「自己の製作に係るソフトウェアの取得価額等」(注:ソフト会計基 準ではソフトウェアの「制作」とされる、本稿でも「製作」ではなく「制 作」とする)、7−3−15の3「ソフトウェアの取得価額に算入しないこ とができる費用」、7−7−2の2「ソフトウェアの除去」、7−8−6の 2「ソフトウェアに係る資本的支出と修繕費」を定める。これらは、その 詳細紹介と検討を省略するが、ソフトウェアの会計処理基準等を基礎とす るものと解され、その解釈指針を示達するものである。 現行の法人税法および所得税法は、繰延資産(支出する費用のうち支
出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの)(法人税法2条24号、 所得税法2条20号)として「開発費」(新たな技術若しくは新たな経営組 織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用)を 規定する(法人税法施行令14条3号、所得税法施行令7条2号)。しか し、現行所得課税法の解釈として、ソフトウェアの研究開発費が繰延資 産の開発費に計上されることはなく、またソフトウェアの制作費や取得 価額は、ソフトウェアという減価償却資産の無形固定資産として計上さ れる。ソフトウェアの研究開発費は、すべて発生時に費用として処理さ れる。また、この費用は、一般管理費として処理されるべきものである。 ソフトウェア研究開発費等が製造原価に算入され棚卸資産として資産計 上されることは、厳格に制限されるべきものである(法人税基本通達5 −1−4)。これがソフトウェアの研究開発費の適正かつ公平な所得課税 措置とされる。 なお、措置法は、青色申告者(個人事業者、法人)が試験研究を行った 場合の所得税額または法人税額の特別控除に関する特例を規定する(同法 10条、42条の4)。 B 受注制作のソフトウェア取引 ソフト会計基準は、ソフトウェア を①受注制作のソフトウェア、②市場販売目的のソフトウェアおよび③自 社利用目的のソフトウェアに区分し、その会計処理を定めている(同会計 基準四)。 このうち①のソフトウェア取引に係る会計処理は、請負工事の会計処理 に準じて処理するものとされる(ソフト会計基準四1)。請負工事の税務 は、基本的には、その収益を目的物の完成引渡した時(通常は、検収後) に認識する工事完成基準が基本とされるが、大規模な請負工事の場合にお いて工事着工から目的物の引渡しの期日までの期間が一年以上であること も想定され、その場合の収益の認識は、いわゆる「工事進行基準」にて行 うことが認められる(法人税法64条、同法施行令130条、所得税法66条、
同法施行令193条)。 このソフトウェア取引は、ベンダ(受託開発者)とユーザ(開発委託者) との間における受注制作したソフトウェアの譲渡が基本的対象である。し かし、この譲渡したことに対して、修繕等(バグ処理等)の補修サービス やアップデートなどのベンダによる役務提供が通常必要とされる。受注制 作がベンダ内部で行われた場合のほか、ユーザにベンダが出向して制作さ れた場合も想定され、後者の場合の取引は、請負契約によるソフトウェア の制作譲渡ではなく、役務の提供(ソフトウェア開発者の派遣)と認識 することもできる。このようにソフトウェア取引は、その対価にはソフト ウェアの販売譲渡取引の対価とメンテナンス等の役務提供取引の対価とが 混合している場合がある。この混合取引をソフトウェアの販売としてのみ 認識することは、会計処理としても、税務処理としても、事実を誤ったも のとなる可能性を有している。 C 市場販売目的のソフトウェア取引 市場販売目的のソフトウェア に係る会計処理は、ソフト会計基準では、「市場販売目的のソフトウェア である製品マスターの制作費は、研究開発費に該当する部分を除き、資産 として計上しなければならない。ただし、製品マスターの機能維持に要 した費用は、資産として計上してはならない。」とする(同会計処理基準 四2)。このソフトウェア取引は、ソフトウェアのマスター(複写して販 売するための原本)の制作費を資産(無形固定資産としてのソフトウェア) 計上し、これを耐用年数3年の均等償却による減価償却費として費用(一 般管理費)として処理し、マスターのコピーしたバッケージソフトウェア 商品(CD等のキャリアメディアに複製記録)の作成費用が製造原価とな り、商品として棚卸資産と売上原価に振り分けられるという会計処理を税 務処理でも基本としている。つまり、このソフトウェア取引は、マスター の無形固定資産計上と、そのコピー製品の販売収益として会計上も税務上 も処理される。
D 自社利用目的のソフトウェア取引 自社利用目的のソフトウェア に係る会計処理は、ソフト会計基準では、「ソフトウェアを用いて外部へ 業務処理等のサ−ビスを提供する契約等が締結されている場合のように、 その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正 な原価を集計した上、当該ソフトウェアの制作費を資産として計上しなけ ればならない。」とされ、また「社内利用のソフトウェアについては、完 成品を購入した場合のように、その利用により将来の収益獲得又は費用削 減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した 費用を資産として計上しなければならない。」とされ、さらに「機械装置 等に組み込まれているソフトウェアについては、当該機械装置等に含めて 処理する。」とされる(同会計処理基準四3)。 このソフトウェア取引は、この資産計上とする会計処理等が税務におい ても基礎とされている。特に、このソフトウェア取引における資産計上に は、「将来の収益獲得」、「将来の収益獲得または費用削減」が確実である と認められるという要件が設定されている。この確実性要件は、資産計上 に対する制限である。また、コンピュータ機器や機械装置等とソフトウェ アが一体となっているものは、ソフトウェアを含めた一体機械装置として 資産計上すると会計処理基準は定めているが、税務は、これに従うものと 解される。 措置法は、すでに提示したように、ソフトウェアの取得等に対する特例 をいくつか定めている(同法10条の3、42条の6、等)。 E その他 ソフトウェアには、開発研究(新たな製品の製造若しく は新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的と して特別に行われる試験研究をいう。)の用に供されるソフトウェアもあ り、これは、減価償却省令において減価償却資産とされ別表第六(開発研 究用減価償却資産の耐用年数表)に定められ、耐用年数を3年とされる。 減価償却資産としてソフトウェアを資産計上する場合、その取得価額
は、購入したものである場合にはソフトウェア購入代価(引取運賃、荷 役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要 した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)と当該資産を 業務の用に供するために直接要した費用の額との合計額、また自社制作 のものである場合にはソフトウェア制作費等のために要した原材料費、 労務費及び経費の額とソフトウェアを業務の用に供するために直接要し た費用の額との合計額とされる(所得税法施行令126条、法人税法施行令 54条)。 ソフトウェアの取得価額が10万円未満である場合、減価償却資産とし てのソフトウェアは、耐用年数による均等償却ではなく、少額減価償却資 産として資産計上をせずに、その取得価額を費用とすることが税務におい て認められている(所得税法施行令138条、法人税法施行令133条)。 ソフトウェア取引に関する所得課税法上の税務処理は、取引成果として の所得の認識については一般的処理とし、特別処理として長期請負ソフト ウェア開発についての工事進行基準の採用を認めるのみにとどまり、ソフ トウェア関連の支出や費用を無形固定資産として資産計上させるという費 用計上の規制が主たるものとなっている。 2 ソフトウェア取引に関する所得課税上の問題 著作権法および特許法において知的財産としての権利保護が法的措置さ れ、ソフトウェアは、不可視的であり無形であるが、無形固定資産として 減価償却資産の一つとして税法令にて定められている。「コンピュータ、 ソフトウェアなければ、ただの箱」であるが、逆に「ソフトウェア、コン ピュータなければ、ただの紙」(かつてパンチ・カードによりプログラム が作成され、これをコンパイル(compile、機械語に翻訳)したことから) とも言われ、ソフトウェアはコンピュータ機器を用いて知見される。した がって、ソフトウェア取引は、バッケージソフトウェアの売買においても
キャリアメディアの外部取引があって認識されるが、インターネットによ る電子取引の場合など、外部からの客観的な取引認識が困難な場合もある。 ソフトウェア取引に関する所得課税は、収益や費用等の認識測定を含 め、先のソフト会計基準等に基づき基本的にはなされている。しかし、ソ フトウェア取引が日々進歩し、法令が想定していない状況も出現し、いく つかの問題が指摘される。 (1)ソフトウェアの特質と所得課税 ソフトウェア取引をめぐる法 的紛争は、ソフトウェアがコピー可能であることから、不正コピーによる 権利侵害など知的財産権に係るものが多く、所得課税法令に関するものが 少ない。ただし、ソフトウェアの不可視的かつ無形(intangible)である という性質から、架空契約などによる税負担を不当に免れたとされる所得 税法違反、法人税法違反の事件または重加算税処分事件はいくつか散見 される(17)。また、ソフトウェア取引は、ソフトウェアの機密性という特質 から、ベンダとユーザとが関連会社、連結関係会社、特約契約者などとい う場合が多いことから、これら密接な関係における不透明な取引となり得 る(18)。ソフトウェアの開発は、国内ばかりでなく、グローバルになされる ことから、国際課税問題としても重大な関心事となる(19)。 (17) ソフトウェアの開発契約の仮装、隠蔽などの不正に基づく税負担回避ないし逋脱 事件が典型として指摘できる。例えば、ソフトウェア開発外注費につき架空取引と 認定した新潟地方裁判所平26.6.13判決(税務訴訟資料264号12485順号、D1-Law.com 判例ID:28242623)および東京高等裁判所平26.11.26判決(税務訴訟資料264号12570 順号、D1-Law.com判例ID:28242626)。 (18) 連結法人内のソフトウェア著作権の帰属と譲渡契約につき課税処分を取消した知 的財産高等裁判所平22.5.25判決(税務訴訟資料260号11443順号、D1-Law.com判例 ID:28161342)がある。 (19) 国外関係会社とのソフトウェア取引に関する移転価格税制紛争事件としてアドビ システムズ事件、東京地方裁判所平19.12.7判決(税務訴訟資料257号10846順号、 D1-Law.com判例ID:28140385)および東京高等裁判所平20.10.30判決(税務訴訟資 料258号11061順号、D1-Law.com判例ID:28153941)がある。また、ソフトウェア取 引と国際課税については、互井卓郎・荒井優美子「ソフトウェア取引の国際課税の 動向(上)−改訂OECDモデル租税条約(第12条使用料条項)を中心に」国際税務 2001年4月号(vol21,No4)p19-26、同(下)国際税務2001年5月号(vol21,No5) p19-27がある。
ソフトウェアは、従来の著作物とは異なり、コンピュータ機器を介して のみ活用される著作物である。しかし、ソフトウェアは、ベンダやユーザ には重要な著作物である。そこで、特許権(出願と審査を経て登録により 特許権者が可視化)でない著作物であるソフトウェアが外部にも可視化 されるよう、特に第三者への対抗する必要があることから、「プログラム の著作物に係る登録の特例に関する法律」(昭和61年法律65号)が制定さ れ、実務上では一般財団法人ソフトウェア情報センター(文化庁長官の指 定する指定登録機関)が設立され(同法施行規則20条)、ソフトウェア登 録はなされてきた。この登録制度により、ソフトウェア取引はある程度可 視化される。新制度は、令和元(2019)年7月1日から始まっている。 (2)ソフトウェアの進化と課税対応 ソフトウェア取引は、新しい ソフトウェアを開発または購入し自社の収益獲得または費用削減に繋がる ものと期待しソフトウェアを資産計上したが、期待した成果もなく、また 更にスペック(Spec; Specification, 仕様、性能)の高い新規ソフトウェア が出現することもある。このようなソフトウェアは、利用しないものとな る。機械装置等であれば、これは、除去等として処理される。 機械装置等の除去は、可視的であり有形(tangible)であることから、 外部的にも事実確認がなされる。ソフトウェアは、不可視的であり無形 (intangible)であることから、その除去は外部的に確認できない。基本的 には、固定資産の除去は、会計処理として固定資産除去損として損失処理 される。問題となるのは、物理的除去がない遊休状態で放置されている資 産の評価である。これについては、機械装置等の有姿除去(法人税基本通 達7−7−2)と同様に、ソフトウェアの除去(同基本通達7−7−2の 2)の措置が税務上認められている。すなわち、これは、ソフトウェアに つき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、①「自社利用の ソフトウェアについて、そのソフトウェアによるデータ処理の対象となる 業務が廃止され、当該ソフトウェアを利用しなくなったことが明らかな場
合、又はハードウェアやオペレーティングシステムの変更等によって他の ソフトウェアを利用することになり、従来のソフトウェアを利用しなく なったことが明らかな場合」、②「複写して販売するための原本となるソ フトウェアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、 販売を行わないことが社内りん議書、販売流通業者への通知文書等で明ら かな場合」のように当該ソフトウェアを今後事業の用に供しないことが明 らかな事実があるときは、当該ソフトウェアの帳簿価額(処分見込価額が ある場合には、これを控除した残額)を当該事実が生じた日の属する事業 年度の損金の額に算入することを税務上認めている。 これらの措置は固定資産としてのソフトウェアに係る処理であるが、販 売用バッケージソフトウェアのように棚卸資産とされるソフトウェアの陳 腐化も発生する。この場合の評価損計上についても、税法令は、著しく陳 腐化が認められる場合に評価損の計上を認める(法人税法施行令68条)。 基本的に、所得課税法は、取得価額主義を採用し、時価主義を例外的に採 用するが、評価損の計上について消極的である(法人税法33条)。特に、 棚卸資産についての評価損は、販売を通じて実現されるものであり、また 物理的除去(廃棄)などの処理も認められることから、消極的に処理すべ きものと解する。 ソフトウェアのスペック向上は、新製品との買換えでなく、ソフトウェ アのプログラムの修正によっても可能である。この修正に係る支出は、そ れがプログラムの機能上の障害の除去(バグ除去など)や現状の効用維持 等に該当するときは、その修正等に要した費用を修繕費とし、新たな機能 の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用を資本的 支出とするものとされる(法人税基本通達7−8−6の2)。また、既に 有しているソフトウェア、購入したバッケージソフトウェア等の仕様を大 幅に変更して、新たなソフトウェアを制作するための費用は、原則として 減価償却資産としてのソフトウェアの取得価額となる(同上注)。
著作権法は著作物の著作権に関する保護を70年とし(同法51条)、特許 法は特許権の存続期間を特許出願の日から20年をもつて終了するとして いる(同法67条)。税法令は、著作権を減価償却資産としていないが、特 許権を減価償却資産の無形固定資産として耐用年数8年とする(減価償却 省令別表第三)。基本的に、著作物は永遠不滅であると評価される。しか し、著作物であるソフトウェアは、著作物としての価値を有するというよ り、その利用価値に着目されることから、企業の事業の用に供するソフト ウェアは有限のものと解される。それゆえ、その耐用年数は、ソフトウェ アのマスターで3年、購入したソフトウェアで5年とされる(減価償却省 令別表第三)。この理解は、著作権法等の知財法と税務法規範とで異なっ たものとなっている。 マイクロソフト社のOSが世界中のパソコンにつき独占的支配をして いたとき、OSの変更(修正、バージョンアップ)の度、それに対応す るように、ほぼ1年ごとにソフトウェアも修正変更され、ソフトウェ アの寿命は省令が定める耐用年数以下であった。このような状況でのソ フトウェアの資産計上は、無意味なものである。なぜなら、資産計上と 除去が繰り返しなされるからである。ソフトウェアを資産計上する趣旨 は、ソフトウェアに係る支出が将来の収益獲得のための費用と考えられ 支出時の費用とせずに資産計上し将来収益との対応させることが合理的 であるからである。また、ソフト会計基準四3は、社内利用のソフト ウェアについて将来の収益獲得のほか、将来の費用削減が確実であると 認められる場合にも、資産計上を定めている。これも、ソフトウェア導 入利用による将来の業務遂行の効率性が上がり費用削減(効率向上によ り時間短縮となり、労務費、給与、光熱費の削減効果が出る)による反 対効果としての収益増という成果が期待されるからである。これらは、 会計処理としては妥当な思考であるが、税法令として適正かつ公平であ るかは再検討すべきである。特に、汎用PC用のソフトウェアは、資産
計上ではなく消耗品費等の費用処理が適当であるといえる。ただし、 OSの更新に影響を受けないソフトウェアは資産計上をすることが適当 であろう。 (3)インターネット電子取引によるソフトウェア取引 ソフトウェ ア取引は、かつてキャリアメディア(テープ、CD-ROM等のほか、USB を含む)を媒介してのものであった。これがインターネットの普及と高速 化により、ソフトウェアは、インターネットを通じて、取引されるものと なってきている。これは、益々、ソフトウェア取引を不可視とするもので ある。 ソフトウェアの電子取引は、一般的な商品(バッケージソフトウェアを 含む)販売の電子取引(契約、決済が電子取引であるが、商品発送等は 従来の物流取引である)と異なり、ソフトウェア利用者等がソフトウェ ア(プログラム等)のコピーをダウンロードすることをソフトウェア権利 所有者が承認し、決済がクレジット・カードなどで行われ(無償提供の ソフトウェアも多い)、ソフトウェア業者が現物商品の在庫を持たなく取 引されることである。これは、ソフトウェアがコピー可能である特質を 活用した取引となる。ソフトウェアのコピーは、ソフトウェア業者のソ フトウェア管理ないし企業リスク管理上の最重要課題であった。それゆ え、ソフトウェアの公的保護としての登録制度(ソフトウェア情報セン ターへの登録)、その私的保護としてソフトウェアへのパスワード(暗証 キー、アクセス・キー)の設定(これの進化したものとしてWPA(Wi-Fi Protected Access)、2段階認証など)、シュリンクラップ契約(shrink-wrap