コラム
口と唾液
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感染防御のバリア
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としての期待
瀧田正亮 西川典良 京本博行 高橋真也
松村由美 高山美奈子
大阪府済生会中津病院 歯科口腔外科 抄録 インフルエンザウイルスに対する感染防御のバリアーとしての期待を口の働きから, 唾液中に分泌され るlgAについて, そして緑茶や紅茶に含まれるエピガロカテキン等の抗ウィルス作用に注目した。 口腔衛 生, 食習慣, お茶(緑茶や紅茶)から得られる心身への影響をインフルエンザの予防への期待の視点から 述べた。Key words: 唾液lgA, インフルエンザ, 口腔細菌, お茶の効用
はじめに 最近の歯科診療の保険収載を見てみると, 周術期口 腔機能管理, 周術期等専門口腔衛生処置, 栄養サポ一 トチーム加算, 舌接触補助床, 口腔機能低下症に係る 検査, 総合医療管理加算等が記載され, それらが地域 医療に即して対応されつつある。 しかし, 口の働きに は病原微生物の侵入に対しても様々なバリアーが備わっ ているはずであり, それらの機能と特性を臨床面や日 常生活においても有効な情報とすることがでぎないだ ろうか。 季節柄インフルエンザに対する感染予防の視 点から口の働ぎを担う唾液と身近なお茶の効用にスポッ トを当てたが, 折しも中国湖北省から感染が拡大して いるコロナウイルスの予防対策にも少なからず共通す るものがあるのではないか, と思われる。 唾液の様々な生理的機能と感染防御 一般的に知られている唾液の生理的機能をまとめて みた。 唾液中僅か
0.05%
の成分に消化, 化学感覚, 肉 分泌腺そして感染防御の機能等(表1)し2様々な機能 が見られる。 口は消化管と気道の双方の入り口として の機能があり, 口と体の働きに重要な機能をもつ唾液 腺は副交感神経と交感神経の2重支配を受けているた め, 両者の相対的活動状態により唾液の機能(質). 量に影害を受ける。 更にこの唾液腺機能は咀哨運動を 伴わければ効率よく発揮することがでぎない。 しかも 咀哨運動そのものが化学感覚(味覚, 嗅覚)とともに 受付け:令和2年1月29日 情動と深く関係し, 口からの視床下部への入力情報は, 視床下部からの出力系として様々な体の調節機構を担っ ており, 人の日常生活に際して感染防御も含めて口と 唾液の生理機能は実に巧妙に働いている丸 3 0 なお, 唾液中の抗ウィルス作用 をもつ分泌型lgAは 唾液腺組織間質中に存在する形質細胞(区1)で産生 され, トランスサイトーシスによって腺房内に分泌さ れると言われている2゜
注目したい唾液の抗ウィルス作用とその活用 病院に行って「待合室で待っている間にかぜを移さ れた」と言う声をよ<耳にするが, 空気乾燥による唾 液や気道粘膜粘液のもつウィルス感染に対するバリアー が十分ではなかった可能性に注目したい。 唾液中の lgAは抗ウィルス作用を有することが知られているが, 最近の研究報告としてインフルエンザA
型H3N2
の抑 制効果を有する唾液中のlgA抗体は発酵食品(ヨーグ ルト等)や食物繊維の摂取, すなわち腸内細菌叢のバ ランスを保つことにより増加することが示された’。 すなわち, この唾液中のlgAは一定の条件下では特定 のインフルエンザウィルスに対しても抗ウィルス作用 を発現できるということを示唆している。 このlgA抗 体 は気道粘膜にも存在しており, これらの機能がどの ように維持されているかが, インフルエンザウィルス の侵入に対するバリア一を考える上で重要となること に着巨したい。 ワクチンの皮下注射は体内に侵入した―281-済生会中津年報 30巻 2号 2 0 1 9 表1 嵯;夜の仔,\き'・2 性伏•成分:大唖i良腺, ,1ヽ唖i(RJJ名で慈生。1~1.5 1/日産生され99.5%がうl<, 0.05%にナトリウム、 カリウム, 炭酸水 奈, 喪桜リン, カルシウムの他アミラーゼ(消化酪崇), 分泌型I糾.(j渡物竺), ラクトフエリン G蕊抑希If物竺), リゾチーム疇ラクトペルオキシクーゼ⑪多崇疇抗届i籾娑). ムチン(クンパク笙)等が含まれている。 生逍摂能 消化桜能:テ'ンプンを変芽将に分筋して体内に吸収しゃすくする(宵への負担を経ば ィ坪感笈栽能:珠1雌包に作用して健屎維持に必要なもの, 有呑なものを見おける桜能に閃与している。 11.<下の円·1伶化:食i登をi伶らがこする。 う位の予防:再石灰化 憾染防
1,)nl
①9碑作路 ラクトフェリン(譴箪1/:i�果 リゾチームGl員国の3園胞壁を分紹) ラクトペルオキシク,_ゼ(i否l生酸荼の分m
灸グロプリン:灸グロプリンA(lg心ウィルスの侵入を防‘ ②枯船累返作路(ムチン)と枯殷り姜後作路(EGF: Epidぽ叫釦owth Facter) 〇内炎の予防 癖咋路(雲炭談椋, 燐酸0腔繍面の産生する酸と食迄内に逆i岳した愕談の中和作路Gもi缶1生食遥 炎の予防) 内分泌腺として:パロチン⑤長ホルモン)やインツュリン様物竺を産生している。 唖i剥名は交感, 品1/交感両自律神珪支配であり, 生体の目的にあった性竺の唖i良を分必している。 生活習·111や心身の コンディシ三ンつ・くりから感染予防にも果たす役倉L Jは大ぎい。 ウィルスに対してBリンペ球か応答して血中Q.)抗体価 を高めるが唾i
夜や気道粘膜中O.)fgAは増IJJJ
しない> また抗ウィルス治療栗であるノイラミニダーゼ阻壱薬 クミフルQ.)投与は抗体価を下げるため翌年の同クイブ に対しては感染率を上昇させるという専門家Q.)見解も 注目される' 。 ー方> 口腔街生不良による口腔細菌Q.) 増/JJJ
は局所的とは言え> 入り乱れた抗原I百早�Q.)錯綜に ょりいたずらに免疫能を消耗させるとともに膀内細匡i 裟Q.)乱れの原因ともなり 結果的に唾i
夜中O.)fgA抗体 Q.)低下を招<ことか危惧される。 飛i
末感染するインフルエンザQ.)予防としては従来 から言われている外出時Q.)正しいマスクQ.)者用> うか い(含嗽)と手洗い> 体Q.)免疫能(免疫担当細胞OYi舌 性度)を適正に高めるためQ.)季節に合ったバランスQ.) とれた食生活とともに先に迩べた口腔衡生> 口腔と 艮粘膜Q.)保混心身Q.)疲労回後力重要となる。 マスク については> インフルエンザウィルスQ.)直径0.1/J. に 対して市販Q.)マスクの網目は10µ.以上であり ウィル ス叫本内へQ.)侵入防止Q.)目的もさることなから 口腔・ 気道粘膜Q.)乾埠を防止してインフルエンザウィルスQ.) 侵入 を阻止するためQ.)パリア- (唾i
夜中O.)fgAおよび 気造粘膜O.)fgA)の維持の意味もあると考えたい。 含 嗽Q.)効果も口腔甜生の維持と保混による唾i
夜中Q.)抗菌 作用を維持する窓味か強い。 これらは口腔および上気 道からのインフルエンザウィルス侵入に対するバリアー 槻能を保っためQ.)習1貨として認識されるぺきであろう。ロ
Q.)衛生管理からインフルエンザの予防へQ.)'J)J果は地 泌2 域活動でも取り線まれており'. 手洗いにしても一 つ の 習i
貝として定者することかB常Q.)生活度挽や戟場に おける衛生競念の維持にも必要と思われる。 緑茶や紅茶の抗ウィルス作用 味わいも感染予防に 今一 つ注目したいもQ.)には緑茶Q.)抗ウィルス作用 かある。 禄茶にば インフルエンザウィルスに直接作 用して感染を阻止する成分かあることか知られており :/Jテキンの一つであるエピガロカテキンガレートはそ Q.)代表である。 ィンフルエンザウィルスQ.)表面にはス パイクと呼ばれる突起状のクンペク蛍かあり> インフ ルエンザウィルスはこれを利用して口腔粘膜や上気道 回1 唖;夜腺舷店の組稔俊(口底紐枯;鴎r.)
(HE染色)阪房m
回の形娑,fIll抱を矢印で示す。口と唾液 感染のバリアー 粘膜に感染するがエピガロカテキンガレー トはこのス パイクに結合し, ウィルスが粘膜細胞に吸着すること や, 感染した細胞佐でのウイルスの増殖を抑制すると 考えられている7.8。 また, 紅茶として酸化発酵する とカテキン同士が結合し, 新たなポ1)フェノ ール成分 テアフラビンとなり, テアフラビンもインフルエンザ ウイルスに有効な上, 発酵の過程で分子構造が変わり, ウィルスのスパイクを捉える力がより強くなると言わ れている7.9。 コロナウイルスにもこのスパイク構造 が見られ叫 カテキンのコロナウィルス感染に対する 予防効果も報告されている匹 このようなカテキンの ウイルスがもつスバイク構造への抑制作用が, ウイル スの変異に対して無効なのか, 有効なのか, どのよう に効果がみられるかについての究明が強く期待される。 日本人に親しまれている緑茶やティ ータイムに好まれ る紅茶には上述のような薬理学的な抗ウイルス効果に 加えて,「お茶の時間」によるリラックス効果は唾液 腺の生理的作用を高め, 免疫能を高めることへの効果 も感染予防には重要と思われる。 また, お茶の効用の 一つとして寿司屋で最後に出される大きな湯呑の「あ がり」は, 日本の風土から育まれた緑茶のもつ抗茜作 用とともに口腔と上気道粘膜の保湿効果に対する経験 知が想起される。 地域の学校保健の場でもインフルエンザの予防にお 茶の有効性を活用した取り組みが見られる1 2.13ことは 感染予防として, また心身の発育面1.14につながる口 の働きの面からも意義がみられる。 結 語 インフルエンザ流行の季節に際して口は感染防御の バリアーとしての役割と唾液の抗ウィルス作用につい て述べ, 緑茶や紅茶の食文化を感染予防の点からもそ の意義について述べた。 インフルエンザの感染予防を 社会生活の防犯に例えれば, ワクチン接種による予防 は体内に侵入したウィルスヘの防御, 口腔· 唾液の働 きは体にウイルスを侵入させないためのバリヤーの役 割とも言える。 参考資料 1 . 8020推進財団:だ液の神秘とそのパワー. KK法研, 2011 www.8020zaidan.or.jp/pdf/kenko/daeki.pdf (2020.1. 15アクセス)
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10. Qiu X, Hong C, Li Y,et al: Calreticulin as a hydro
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