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品詞分類をめぐってII : いわゆる付属語の場合 (上條彰次先生退任記念号)

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title 品詞分類をめぐって Ⅱ ―いわゆる付属語の場合― Japanese Part of Speech Ⅱ

Author(s) 浅見 徹(ASAMI Tooru)

Citation 文林(BUNRIN),No.35:1-12

Issue Date 2001

Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文

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Right

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品 詞 分 類 を め ぐ って 皿

品 詞 分 類 を め ぐ っ てII

一 いわゆる付属語の場合 一

い わ ゆ る付 属 語 、 助 詞 ・助動 詞 は、 品詞 分 類 に際 して まず は一 括 され る こ とが多 い。 確 か に こ の両者 に は共 通 す る性 格 も大 き い。 特 に、 文 構 成 の 要 素 と して文 節 を設 定 した場 合 、 そ の文 節 構 成 の た め に は、 常 に他 の 自立 語 に付 属 して文 節 を構 成 す る、 言 い換 え れ ば、 文 節 の頭 に立 た な い と い う 共 通 した特 徴 が あ る。 しか し、 これ は形 態 に主 眼 を置 い た分 類 で は なか っ た か。 文 法 あ る い は語 法 を、前 稿 で述 べ た よ うに概 念 間 の関 係 表 示 の あ り 方 を、 語 の立 場 か ら眺 め る と い う こ とに な る と、 助 詞 、 助 動 詞 の文 中 に お け る働 き は大 い に相 違 す る。 む ろん、 相 互 に深 く関 わ り合 う場 合 もあ る の で、 そ の辺 りを考 えて い って み た い。 1.助 詞 に 関 し て い わ ゆ る助 詞 の類 は、 文 中(係 の位 置)に 置 か れ る もの と、 文 末(結 び の箇 所)に 位 置 す る ものが あ る。 1.1文 中 に位 置 す る 助詞 文 中 に位 置 す る助 詞 は、 そ の置 か れ る位 置 、 す なわ ち、助 詞 の相 互 承 接 の順 位 に よ って機 能 に差 が あ る。 1.1.1 「並 立 助詞 」 と呼 ば れ る助 詞 が あ る。 -1一

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山 や 川 を越 え て 行 く ミカ ンだ の リ ンゴだ のを 盛 った皿 な どに使 われ る 「や」 「だ の」 の類 で 、 「や ら ・と」 な どが 同 じよ うに働 く。 これ ら は、 「山 や 川 」 「ミカ ンだ の リ ンゴだ の 」 が 格 助 詞 「を 」 に纏 め られ て 動 詞 「越 え る」 「盛 る」 の動 作 対 象 と な っ て い るの で あ る か ら、 この 文 中 にあ って は一 体 言 相 当 の位 置 に あ る と言 うべ きで あ る。 従 って 、 語 法 上 は文 構 成 に 関 す る もの で は な く、 概 念 構 成 、 つ ま り語 構 成 上 の 要 素 で あ る と認 め な くて は な らな い。 故 に、 接 頭 語 ・接 尾 語 と同 じ く、 「語 」 と して の 資 格 を語 法 上 は持 ち得 な い。 当 然 、 同 じ働 きを す る 「及 び」 「又 は」 な どの 漢 文訓 読 か ら作 り出 され た形 や他 品 詞 か ら転 成 して き た もの も、 同 じ 扱 いを す べ きで あ る。 ただ し、 同 じ語 形 で あ って も、 いわ ゆ る引 用 の 「と」 な ど はむ ろん 並 立 助 詞 で はな い。 1.1.2 前 置 され る概 念 語 に も っと も近 い助 詞 は、 「準 体 助詞 」 で あ る。 準 体 助詞 は、 い わ ゆ る副 助 詞 の うち、 格 助 詞 に上 置 され る もの を指 して 言 うべ きで あ ろ う。 私 まで に くだ さ る の です か。 北 の方 だ け を注 意 して見 張 って い ろ。 こ こで 限 定 され る の は、 次 に現 れ る述 語 部 分 で は な く、 先 行 す る体 言 で あ る。 従 って、 これ ら も、 む しろ語 の構 成 に 関 す る表 現 だ と言 え よ う。 一 定 の 叙述 の後 や連 体 助 詞 に 直接 して現 れ る 「の」 な ど を、 準 体 助 詞 と して 扱 う こ とが あ る が、 これ ら は形 式 体言 、 お よ び被 連 体 語 の無 表 現 と し て 扱 う方 が よ い。 -2一

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品詞分類 をめ ぐってH 起 き あが るの が や っとだ った 。 我 が の とふ た っ 「連 体 助 詞 」 は体 言 に 直接 し、 こ の体 言 が 次 に現 れ る体言 と意 味 的 に 密 接 な 関 係 に あ る こ とを表 現 す る。 そ の 意 味 関係 の 幅 を語 法 的 に 規 制 す る も の で はな い。 両体 言 が どの よ うな意 味 的 関 係 にあ るか は、 む しろ 社 会常 識 的 に規 定 され る。 私 の 本 く私 が書 い た本 、 私 が 持 って い る本 ヨー ロ ッパ の 旅 く ヨー ロ ッパ を訪 れ る旅 天 国 の 階 段 、 天 国 へ の 階段 く天 国 へ 向 か う階 段 古里 の 便 り、古 里 か らの便 り く古 里 か ら届 い た便 り 秋 の 風 く秋 に吹 く風 北 の 風 、 北 か らの 風 く北 か ら吹 く風 こ の場 合 、 格 助 詞 「が 」 「を」 は ほ ぼ全 面 的 に 表 現 され な い。 そ れ 以 外 の 格 助 詞 は表 現 され る こ と もあ れ ば省 略 さ れ る こ と もあ る。 そ こに一 定 の法 則 性 な い し傾 向 性 は見 出 しが た い。 いず れ も表 現 さ れ た、 ま た は表 現 さ れ ぬ 格 助 詞 と これ を 分 出 した動 詞 に よ る叙 述 を も って、 先 行 す る体 言 を規 定 す る。 しこ う して そ の纏 ま りが後 行 の 体 言 へ と展開 す るの で あ る。 「の 」 の前 後 の体 言 の 間 に は、 この両 体言 が い か な る意 味 関係 で結 びっ け られ て い るか を示 す もの はな く、 た だ 聞 き手 の受 け取 り方 に任 さ れ て い る。 む ろ ん 、 個 々人 の 勝 手 な受 け取 り方 が許 され て い る とい う意 味 で は な く、 そ れ ぞ れ の表 現 の 個 別 に よ って 社 会 的 に認 め られ た もの で は あ る。 1.1.3 「格 助 詞 」 は体 言 に下 接 し、 次 の 動 詞 と の意 味 関係 を 表 現 す る、 とい う よ りは、 動 詞 か ら分 出 して そ の動 作 の及 ぶ 範 囲 を限 定 す る。 故 に、 叙 述 に 一3一

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対 す る係 と して の機 能 を有 す る こと に な る。 私 が行 く。 花 を見 る。 格 助 詞 は動 詞 か ら分 出 す る もの で あ る か ら、 体 言 と体 言 を結 び両 体 言 間 の意 味 構 成 に関 与 しな い 助詞 「の」 は、 連 体 助詞 と して格 助 詞 か ら排 除 す る。 次 に形 容 詞 ・形 容 動詞 が現 れ る 「が」 は、 通常 主 格 助 詞 と して 扱 わ れ る こ とが 多 いが 、 この香 りが 素 晴 ら しい ん だ よ。 私 が 素 晴 ら しい と言 うの だ か ら大 丈夫 だ。 後 者 は勿 論 、 「言 う」 に 対 す る動 作 主 体 と して の 「私 」 を提 示 す る も の だ が 、 前 者 の 「この 香 り」 は動 作 主 体 を表 した りは して い な い。 同様 に 富 士 山 よ り高 い山 が あ るん だ よ。 とい う比 較 を 表 す 「よ り」 も格 助詞 か ら抜 か ね ば な らな い。 1.1.4 文 中 にお け る位 置 と して、 格 助詞 と同 じ所 に くる もの に 「接 続 助 詞 」 が あ る。 格 助 詞 との差 異 は、 格 助詞 が語 と語 の 概 念 的 な 関係 を規 定 す る の に 対 して 、 接続 助詞 は叙述 と叙 述 との 関係 規定 に 当 た る とい う こ とで あ る。 だ か ら、 文 中 にお け る位 置 と して は相 応 す る位 置 に現 れ るの だ が、 関 係規 定 の あ り方 と して は大 い に異 な る と も言 え る。 雨 が 降 った か ら地 が 固 ま る。 雨 が 降 って か ら地 が 固 ま る。 「雨 が 降 る」 こ と と 「地 が 固 ま る」 と い う こ と との 関 係 を 表示 す る た め に 「か ら」 が 用 い られ、 そ れ が 句 の終 結 を意 味 す る 「た」 に接 して 前 句 が 原 一4一

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品詞分類 をめ ぐってH 因 ・理 由 とな る こと を表 し、句 の連 続 性 を示 唆 す る 「て 」 に接 して前 句 が 時 間 的 に先 行 す る こと を表 す 、 と規 定 して も良 い し、 原 因理 由 を 表 す接 続 助 詞 「た か ら」 と時 間 的先 行 を 表 す 「て か ら」 と規 定 す る こ と も可 能 で 、 現 代語 の語 法 と して は後 者 の方 が 実状 に合 って い る と言 う こと も出 来 よ う。 や や 古 代語 と して は 雨 降 りて 地 固 ま る。 雨 降 って 地 固 ま る。 と い う表 現 が 用 い られ た し、 さ らに古 くは 雨 降 り地 固 ま る。 で よか った筈 で あ る。 この 場 合 は、動 詞 連 用形 が 「雨 」 を承 け て述 語 と し て 働 く と と もに次 の 叙 述 を 指 向 して い る こ とを(っ ま り、叙 述 を終 結 す る の で もな く、 体 言 に向 か うの で もな く)一 語 で 表 現 して い た。 それ が承 け る こ と と展 開す る こと を分 離 した 形 で 助詞 「て 」 が 用 い られ るよ うに な っ た の で あ る。 しか し、 この 助 詞 は、叙 述 の 展 開 を表 現 して も、 それ が い か な る意 味関 係 で 展 開 す べ きか を規 定 は して い な か った 。前 句 と後 句 と の 関 係 、 こ こで言 え ば、 論 理 的 な 原 因 ・理 由 と して 後 句 に続 くの か 、時 間 的前 後 関係 と して結 びっ け よ う とす るの か を 、 連 用 中止 形 や 助 詞 「て」 は表 し て い な い。 関 係 の把 握 は聞 き手 の 側 に任 され て い る ので あ る。 そ の 点、 連 体 助 詞 が た だ体 言 と次 な る体 言 が 意 味 的 に深 い関 係 に あ る と言 うこ との み を表 現 して、 いか な る関係 で あ るか を 聞 き手 に委 ね て い るの と同 様 で あ る。 接 続 助 詞 も古 代 日本 語 で は未 発 達 で あ って、 近 代 に な るに従 って 各 種 の 関 係 を、 小 さな語 の連 接 に よ って話 し手 の方 か ら規定 して い こ う とす る傾 向 が 強 ま る。 一5一

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1.1.5 体 言 的概 念 と動 作 概 念 との論 理 的 な関 係 を規 定 した格 関係 の 外 側 か ら、 これ に更 に論 理 的 ・感情 的 な 限定 ・強 調 を加 え よ うとす る の が 「副 助 詞 」 で あ る。 私 に まで くだ さ るの で す か。 東 京 へ だ け行 くの だ ね 。 「くだ さ る」 「行 く」 と い う動 作 の方 向 を 「私 」 「東 京 」 と規 定 した 格 関 係 に対 して 、 更 にそ の 方 向 性 が予 測 さ れ な か った意 外 な もの で あ る と い う話 者 の心 理 や 目的 地 を 限 定 して念 を押 す気 持 ち を表 現 す る の が この 助 詞 の 働 きで あ る。 も ち ろん 、 接 続 助詞 に対 して も、 これ に接 して前 句 と後 句 との 関係 に限 定 を 与 え る役 割 も果 た す。 雨 が 降 って ま で 行 くこ と はな い。 とい うよ う に、 接 続 助詞 の 次 に現 れ る こ と もあ る。 1.1.6 「係 助 詞 」 は体 言 的概 念 を叙 述 に導 く。 係 助 詞 は係 と して の位 置 の最 終 に位 置 す る。 か っ て の 日本語 に は 「係 結 び 」 とい う特殊 な語 法 が あ った 。 言 う まで も な く、 「は ・も」 が 係 の 位 置 に あ れ ば これ を承 け て結 ぶ用 言 は終 止 形 を採 り、 「ぞ ・な む ・や ・か」 が あ れ ば連 体 形 、 「こそ」 を承 け た 場 合 は 已 然 形 で結 ぶ と い う もの で あ った 。 この 場 合 、 雨 が 降 る。 雨 は降 る。 雨 ぞ 降 る。 雨 こそ 降 れ 。 -6一

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品詞分類をめ ぐって 皿 の いか な る場 合 に も、 「雨 降 る」 と い う論 理 関 係 に い さ さ か の 変 化 も な い。 強 意 とか 強 調 とか い うの は、 結 果 と して の 文 表 現 にお いて 感 じ られ る もので 、 助 詞 自体 の 関与 す る もの で は な い。 係 助 詞 は、 これ に先 行 す る表 現 を取 り纏 めて 終 結 す るべ き叙 述 に導 くと い う役 割 を果 たす ので あ る。 雨 が降 ってか らは地 も固 ま って きた。 雨 降 りて ぞ地 も固 ま る。 接 続 助 詞 に も下 接 して前 句 を 後 句 の 叙 述 に導 く。 この 際 も論 理 的意 味 関 係 を 規定 す る こ とは な い。 た だ前 句 の叙 述 が 次 の叙 述 の終 結 に 深 く関 わ る こ とだ けを示 す もの で あ る。 係 助 詞 の 次 に は、 間投 助 詞 を 除 い て、 他 の助 詞 が下 接 す る こ と は な い。 係 と して の最 終 的 な取 り纏 め を す るか らで あ る。 この故 に、 係 助 詞 は同 じ 形 で文 末 に も位 置 す る。 特 に古 代語 で は そ の傾 向 が 強 か った。 1.2結 び に 位 置 す る助 詞 文 末 に あ って、 結 び と して の 役割 を果 た す の が 終 助 詞 で あ る。 叙 述 の 用 言 の、 通 常 な らば結 び とな らな い形 に付 い て 、 未 完 の文 を終 結 させ る。 一 方 、 形 態 的、 実 質 的 に終 結 した 文 に さ らに下 接 す る もの は、 間投 助詞 と し て 区別 す るの が適 当で あ ろ う。 1.2,1 「終 助 詞 」 は、 そ れ 以前 の 表 現 で は ま だ 終 結 して い な い文 を 閉 じる働 き を す る。 む ろん 、 そ こに話 し手 の 叙 述 さ れ た 内 容 に対 す る意 志 ・感 情 や相 手 に対 す る働 きか け を も表現 す る。古 代語 に は この種 の助詞 も種類 が 多 か っ たが 、 その 歴 史 の 中 で 消 滅 して い っ た。 家 聞 か な 名 告 らさね 。 -7一

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代 わ りに小 さ な語 の 熟 合 した形 や、 他 品 詞 か らの転 成 、 文 の後 略 や転 置 な どで この働 き をす る こ とが多 い。 これ らを終 助 詞 と認 め る か否 か に っ いて も議 論 の あ る と こ ろで あ ろ う。 早 く行 か な くち ゃ。 ま あ呆 れ た、 お母 さん た ら。 1.2.2 文 の 終 結 した後 に付 加 さ れ る助 詞 は 「間 投 助 詞 」 と して 扱 うべ き で あ ろ う。 君 は昨 日 も来 て い た よ な。 これ らは文 終 結 の 働 きを せ ず に叙 述 の取 り纏 め を な し、 聞 き手 に働 きか け る とい う性 質 の た め に 、 文末 に 限 らず句 末 に も しば しば現 れ る。 特 に 口 頭 の会 話 な ど にお いて 。 私 が ね 、 覗 いて み た らね 、 係 助 詞 は結 び との緊 密 な呼 応 の 故 に、 同 じ語 形 が 結 びの 位 置 に も現 れ る と言 った。 係 助 詞 と して の機 能 の強 弱 は、 結 び の位 置 にお いて も差 と して 現 れ る。 古 代 語 の疑 問 の係 助 詞 「か 」 は連 体 形 に接 続 して 終 助 詞 と して 働 き、 「や」 は終 止 形 、 つ ま り文 終 結 の 後 に 間投 助詞 と して 付 加 さ れ る。 こ の差 は 「か」 が 「有 るか無 きか の御 有 様 に て」 の よ うに連 体 助 詞 に承 け ら れ る一 語 相 当 の位 置 に 来 る の に対 して 、 「我 が 思 ふ 人 は有 りや無 しゃ と」 の よ う に、 「や 」 が 叙 述 を受 け止 め る働 き を失 わ な い と こ ろに も現 れ る。 2.助 動 詞 に 関 し て 「助 動詞 」 は所 詮 は動 詞 の後 に付 加 され て そ の叙 述 を 助 け る複 語 尾 で あ る。 助 詞 と同 様 、 そ れ ぞ れ の 助 動 詞 の間 に相 互 承 接 の 順 序 が あ り、 動 詞 に 一8一

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品詞分類 をめ ぐって 皿 近 く位 置 す る もの ほ ど動 作概 念 と深 く関 わ り、 遠 い もの は話 し手 の 意志 ・ 感 情 や 聞 き手 へ の働 きか けの 色 合 い が 濃 くな る。 2.1 動 詞 に近 く位 置 す る語 は、 活 用 形 も揃 って い る も のが 多 い。 当 然 、 さ ら に下 接 す る語 が 来 るた め で あ る。 表 現 す る意 味 と して は、 受 け身 ・使 役 な ど を表 す 。 その こ とに よ って、 上 接 の動 詞 の格 表 現 に変 化 が起 こる。 雨 が 降 る。 〉雨 に降 られ る。 客 を送 る。 〉客 を 送 らせ る。 前 文 で は助 詞 が交 替 して 「降 る」 の 主語 で あ った 「雨 」 が 主 語 の 位 置 を降 り る。 後 文 で は格 助 詞 は交 替 しな いが 、 そ こに 送 るべ き他 人 を 介 在 させ る 意 味 を新 た に加 え る。 い ず れ にせ よ、 事 態 の 変 化 を伴 うの で 、 単 に述 定 の 後 に付加 され た 助動 詞 とい うわ け に は いか な い。 これ らを 「接 尾 語 」 と し て、 これ まで を 含 め た概 念表 現 と見 る見 方 は定 着 して きた と言 って よ い。 近 頃 世 を騒 が せ た 「ら抜 き言 葉 」 も、 実 は 四段 動 詞 の可 能形 も明治 以 降 の近 代 語 に お い て一 般 化 した 歴 史 的経 過 を 見 れ ば 、 そ れ が 一 段 動詞 に も波 及 した だ け の ことで あ って 、 これ ら の可能 表 現 が 助 動 詞 に頼 る と言 うよ り も動 詞 自体 の表 現 す べ き 内容 で あ っ た こ と の傍 証 と な るで あ ろ う。 2.2 助 動詞 ら しい 助動 詞 とい うの は、 助動 詞 の相 互 承接 の 中 位 に あ り、 従 っ て 活 用 形 も適 度 に備 え 、 動詞 の 叙 述 に 対 して 補 助 的 に意 味 を 付 加 す る もの で あ る。 これ も、 よ り事 態 の 表 現 に深 く関 わ る もの 、 話 し手 の意 志 ・感情 に傾 く もの な どの 細 か い差 は当 然 なが ら存 在 す る。 -9一

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古 代 語 に あ って は、 この 種 の 助 動 詞 は種 類 も使 用 法 も多 岐 で あ った 。 近 代 語 で は助 動 詞 ら しい助 動 詞 は衰 退 して きて い る。 例 え ば 「時」 に 関 す る 助 動 詞 と して 「き ・け り」 が あ り、 完 了 を 表 す の に 「っ ・ぬ ・た り ・り」 が あ った。 む ろん 、 語 形 が 違 うよ う に表 す 意 味 に も差 が存 在 す る。 現 代 語 で は 「っ ・ぬ ・り」 が 消 滅 し、 「た 」 だ け で まか な って い る よ うに見 受 け られ る。 その 「た」 は 「た り」 の 後 身 で あ ろ うが 、 これ は過 去 時 を 表 す の で もな けれ ば 、 完 了 を表 す と も言 え ぬ 存 在 と な って い る。 今 度 お会 い した折 に 申 し上 げ ま し ょう。 な ど の場 合 は 「会 う」 こと 自体 は未 来 時 に属 す る。 確 か に 昨 日雨 が 降 り 出 した時 に は、 な どで は裸 の 連 体 形 は 用 い られ ず 、 「昨 日」 と呼応 して過 去 時 の表 現 に 当 た るが、 確 か に そ う言 っ たね 。 な ど を考 慮 に 入 れ る と、 や は り、 確 認 を表 現 す る と した 方 が よ い。 こ の 「た」 は もは や活 用 す る こ と もな く、 金 田一 氏 の言 わ れ る 「不 変 化 助 動 詞 」 の類 に入 る。 かっ て ラ変 型 の活 用 を して いた 「た り」 の未然 形 「た ら」 は、 雨 が降 った ら止 め ま し ょ う。 の よ うに仮 定 条 件 を表 す が、 他 の活 用 語 が古 代 の 已然 形 相 応 の形 式 を も っ て 仮定 条 件 を表 現 す るよ うに な った の に、 依 然 と して未 然 形 相 応 の儘 で 仮 定 条件 を表 して い る。 さ りな が ら、 も はや 「ば 」 を伴 う こ と もな い の で あ るか ら、 この 「た ら」 は仮 定 条 件 を表 す 接 続 助 詞 とす べ きで あ る。 ほ か に、 先 に も触 れ た 「お母 さん た ら」 の よ う に終 助 詞 化 した もの も残 存 し、 そ の 元 に な って い る 「兄 さ ん た ら何 を して い る の」 の よ うに副 助詞 と して の 働 き を もす る。 っ ま り、 助 動 詞 「た り」 の未 然 形 は各 種 の助 詞 に分 解 して し 一10一

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品詞 分類 をめ ぐってH ま った の で あ る。 同 じ く連 用 形 「た り」 も 「見 た り聞 い た り試 した り」 の よ う に並 立 助詞 と して 残 り、 「何 た る事 だ」 「国 家 有 為 の 人 材 た れ 」 の よ う な文 語 的 言 い回 しの 中 に辛 う じて 残 りはす る もの の、 助 動 詞 と して は死 滅 し、 残 骸 が 助 詞 の 形 で残 るの み とな った。 推 量 表 現 に関 わ る助 動 詞 で も、 古 代 に は、 「む ・らむ ・け む ・ら し ・べ し ・め り ・じ ・ま じ」 な ど多 くの語 形 が 使 われ て い た 。 「む」 はそ の基 本 的 な もの と して、 推 量 ・意 志 の 表現 に携 わ って い た が 、現 今 で は、 推 量 は 「だ ろ う」、意 志 は 「う」 と言 わ れ る。 しか し、 現 代 日本語 で意 志 の 助動 詞 「う」 を抽 出す る こ と はま った く無 理 で 、 た だ現 代仮 名遣 い が長 音 を 「う」 と表 記 す る こ とに な った た め に文 字 と して 「う」 が書 かれ るだ け の こ と、 「書 こ う、 読 も う」 な ど は動 詞 の意 志 法 と して 、 終 止 法 や命 令 法 と同 列 に 認 め な けれ ば な らな い。 こ う して基 本 的 な 「む」 が助 動 詞 と して の表 現 を 失 う以 上 、 他 の推 量 系 の助 動 詞 も 「今 頃 は た ぶ ん 」 だ とか 、 「き っ と ∼ に 違 い な い」 な ど の よ うに、 副 詞 や 文 末 の 語 連 続 にそ の 役割 を 譲 って 、 助動 詞 ら しい助 動 詞 は非 常 に少 な くな って きて い る と言 わ な けれ ば な らな い 。 か っ て の 助動 詞 の形 態 を残 した もの は、 分 裂 して助 詞 化 す るか 、 よ り接 尾 語 的 な もの と不変 化助 動 詞 との両 端 に分 裂 して い った の で あ る。 2.3 金 田一 氏 に よ って 「不 変 化 助 動 詞 」 と呼 ばれ た もの は、 も はや終 止法 に しか 用 い られ ず、 間 投 助 詞 しか下 接 しな い類 で あ る。 こ の う ち 「う」 は語 と して抽 出 す る こ とが 無 理 で、 動 詞 の意 志 形 とす べ きで あ る こと は既 に述 べ た 。 そ の他 の 「よ う ・ま い」 な ど は 、 文 語 的 な 言 い 回 しに しか現 れ な い が 、 出 現 した 場 合 は終 助詞 相 当 と処 置 す べ きで あ ろ う。 そ もそ も近 代 日本 一11一

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語 の 中 で は、屈 折(活 用)そ の もの 解文 法 的 役 割 を果 た す重 要 度 が 誠 少 し

て きて い るの で あ る。 それ に伴 って、 当然 の 事 なが ら助 動 詞 の 働 き も鈍 り、

接 尾 語 的 な もの と終 助詞 的 な もの との二 極 に分 裂 して き て い る と言 う こ と

に な ろ う。

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