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非臨床試験の電子データ提出の課題と品質確保に向けた取り組み

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Academic year: 2021

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非臨床試験の電子データ提出の課題と品質確保に向けた取り組み

CDISC Japan User Group (CJUG) SEND チーム, 株式会社 CAC クロア 保田 昂之 CJUG SEND チーム, 株式会社タクミインフォメーションテクノロジー 佐藤 耕一 1 はじめに

医薬品における新薬承認審査期間の短縮や、申請試験データの二次利用を目的として、FDA では臨 床試験及び一部の非臨床試験について、CDISC 標準である SDTM1)SEND2)ADaM3)形式による電

子データ提出が義務化された(NDA/BLA 申請は 2016 年 12 月 17 日以降、IND 申請は 2017 年 12 月 17 以降に開始された試験が対象)。同様に、PMDA では平成 28 年 10 月より臨床試験の電子データの 受け入れを開始し、非臨床試験についても電子データ(SEND データ)受け入れを視野に、利用方法に ついての検討が行われている4)CDISC 標準を用いることで、試験データの統合的な解析が可能となり、

医薬品のクラスエフェクト解明やトランスレーショナル研究の推進に活用できると期待されている5)

一方で、CDISC データの作成には、FDA や PMDA からの発出文書6,7)及びこれらに引用されている

CDISC 発出文書を遵守した品質確保が求められる。非臨床領域では、データ作成プロセスや施設間の SEND 対応の差異に起因するデータ格納方法と品質のバラつき、データハンドリングに長けた担当者の 不足などが、SEND データの品質確保における特有の課題として挙げられている8,9) CJUG SENDチームでは、SENDデータの提出や二次利用に耐えうる品質を確保するために、SENDIG にて規定されているルールに加え、SEND データと最終報告書の整合性の確保や試験横断的な SEND データのバラつきの解消などに対応する、チェックルールを網羅的に洗い出し、チェック項目一覧を作 成している。さらに、これらのルールを自動的にチェックする SAS プログラムを利用したツールを作 成している。本報告では、チェック項目一覧およびチェックツールの概要を紹介する。 2 非臨床領域の電子データの品質確保に向けた課題 2.1 特有のデータ作成プロセス 臨床試験では、収集した試験データから、CDISC 標準データ及び最終帳票が直列の過程で作成 される(非分岐型)。一方、非臨床試験では、試験データから最終帳票が作成される過程とは分岐 して、SEND データが作成される(分岐型)。このため、SEND データと最終報告書のトレーサ ビリティを確保するために、読み合わせを中心とした手作業による品質確認が必要となっている。 2.2 施設間の SEND 対応の差異 臨床試験では、スポンサーが試験計画書及び報告書を作成するため、試験データの収集及び CDISC 対応もスポンサーが主体となる。一方、非臨床試験では、試験施設が試験計画書に基づき、 試験データの収集及び報告書を作成する。これに付随してSEND 対応も試験施設が対応すること が多い。多数存在する試験施設ごとに試験計画書及び報告書、LIMS、CDISC 対応手順等が異な るため、SEND データ及びその品質にバラつきが生じている。 2.3 データハンドリングに長けた担当者の不足 臨床試験で CDISC 対応の中心的役割を果たすのは、データマネジャー、統計解析担当者、プ ログラマーといったデータに特化した担当者である。一方、非臨床試験の CDISC 担当者は、安 全性研究者やLIMS 担当者が兼任することが多く、データに特化した担当者が関与するケースは 少ない。このため、臨床試験で実施されるような、データ作成プロセスやデータチェックプロセ

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スの構築・改良は容易ではない。既存の定型的なシステムの利用を基本とし、システムに実装さ れていない機能はマニュアルにより対応している。

3 チェック項目一覧

CJUG SEND チームは、SEND データの品質確保の観点からチェックルールを 5 段階のレベルに分 類した(Table 1)。CJUG SEND チームでチェックルールを設定する範囲はレベル 1 から 3 までとし、 レベル4 と 5 は各企業でチェックルールを追加できる枠組みを構築している。 Table 1 チェックルールのレベルと内容 Lv. チェック分類 内容 1 構造上のチェック 規制当局に SEND データを提出する際の CDISC の構造に関するチェックルール。 2 本質的な要件 FDA や CDISC の発出文書(TCG 6) やSENDIG2)等)、試験計画書/最終報告書との整合性 チェック。規制当局にSEND データを提出する基本的な品質確保のチェックルール。 3 組織横断

SEND 対応施設(スポンサー、CRO)間の SEND データのバラつき解消、スポンサーが判 断に迷う可能性が高い SENDIG 等の規定に対応する SEND データの推奨される格納方法 の提示と品質確保を目的としたチェックルール。 4 試験横断 スポンサー独自の試験横断的に設定するSEND データの仕様に関するチェック。試験間の SEND データのバラつき解消とデータの品質確保を目的としたチェックルール。 5 試験独自 スポンサー独自の試験ごとに設定するSEND データの仕様に関するチェック。試験特有の データのバラつき解消と品質確保を目的としたチェックルール。 チェック項目は、単独ドメインを対象とするチェック項目(一部のチェック項目は複数ドメインの参 照が必要)と複数ドメインを一括にチェックする項目(全てのドメインに関連するチェック項目など) に分け、一覧化した。FDA や CDISC の発出文書の記載、メンバーのチェック経験、試験施設や LIMS のデータ仕様に依存するデータのバラつきの補正、試験計画書や最終報告書との整合性確認など、チェ ック項目を洗い出し、Excel ファイルにまとめている(Table 2)。なお、現時点でのチェックルールは SENDIG v3.02)に準拠している。 Table 2 チェック項目一覧の設定項目 No. 項目名 内容 1 チェックコード チェックツールのSAS プログラムに対応するコード。 2 チェック対象変数 チェック対象の変数名。 3 変数に格納される値 チェック対象のパラメーターコード。 4 変数に格納される値の説明 チェック対象のパラメーター。 5 チェック項目 チェックの内容。 6 チェック項目レベル チェック項目のチェックレベル。 7 目視チェック 目視チェックの必要性。 8 エラーメッセージ メッセージを出力する場合のメッセージテキスト。

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チェック項目の洗い出しについては、XPT 形式ファイルへの変数格納仕様をチェックする項目だけで はなく、用語集などの情報ファイルを参照し、格納された変数値の適切性をチェックするための、用語・ 情報の洗い出しを併せて行っている。SEND データの入力に汎用される用語は「CJUG SEND 辞書」 としてCJUG SEND チームでまとめた。 4 チェックツール チェックツールは、SAS システム環境で動作する SEND データのチェック専用のツールである。チ ェック項目一覧に登録されているチェック項目を SAS プログラムから参照し、チェックルールに従っ て自動的にデータのチェックを実施することを目的としている。 ツールに含まれるSAS プログラムは、チェックツールを起動(チェック処理を開始)するための「チ ェックツール起動プログラム」と、チェック項目ごとにチェック処理を担う「チェックプログラム」の 2 種類のプログラム群で構成される。また、チェックツールは 4 種類の入力ファイルを読み込み、2 種 類の出力ファイルを作成する(Figure 1)。 「チェックツール起動プログラム」をSAS 環境から実行することにより、チェック対象となる「XPT 形式ファイル」を読み込み、参照情報の「SEND Controlled Terminology」、「CJUG SEND 辞書」を 確認し、「チェック項目一覧ファイル」から登録されているチェック項目を参照する。チェック項目ご とに「チェックプログラム」が自動的に実行され、個々のチェック内容に従ってチェック結果を出力す る。出力されるチェック結果ファイルは、チェックの正異判定結果とメッセージを出力するメッセージ 形式と、目視確認用の内容を出力するチェックリスト形式の2 種類に分かれる。

チェックツールを利用するには、SAS が稼動する環境(SAS プロダクトは Base SAS のみ)が必要 である。チェックツールのインストール作業は必要なく、チェックツールから実行する SAS プログラ ムと入力情報(XPT 形式ファイルなど)をフォルダにコピーするだけで利用できる。

新たなチェックの追加は、「チェック項目一覧ファイル」にチェック項目を追加し、対応するチェッ クプログラムを作成することで追加可能である。

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5 最後に CJUG SEND チームでは、構造上のチェックルールに加え、本質的な要件レベル、組織横断レベルの チェックルールについて、チェック項目一覧としてまとめている。さらにチェック項目一覧に従って効 率良くチェックするツールの公開に向け活動している。チェック項目一覧及びチェックツールは、 SEND データの作成時や受領時のチェックでの利用に加えて、他の SEND マネジメントシステムや SEND 対応サービスで利用されることも念頭に置いている。 チェック項目一覧及びチェックツールを利用することで、SEND データの品質不備による承認審査遅 延リスクの軽減が期待できる。また、組織を問わず、統一的なチェックを実施でき、SEND データのバ ラつきの軽減による SEND データの二次利用の促進に寄与できる。チェックツールより出力されるチ ェック結果の利用は、目視チェックの労力の軽減につながる。さらに、公開されたチェック項目一覧及 びチェックツールを利用することで、データハンドリングに長けた担当者でなくてもチェックが可能と なる。このように、現時点で顕在化している SEND データ作成作業や確認作業の課題解決に貢献でき るものと考えている。 6 参考文献

1) CDISC (2017), Study Data Tabulation Model Version 1.6

2) CDISC (2011), Standard for Exchange of Nonclinical Data Implementation Guide: Nonclinical Studies Version 3.0

3) CDISC (2009), Analysis Data Model Version v2.1

4) PMDA (2018), 申請時電子データ提出にかかる経験及び留意事項に関する説明会 質疑応答資料 5) Kaufman et al. (2016), Data Standardization, Pharmaceutical Drug Development, and the 3Rs.

ILAR journal 57.2: 109-119

6) FDA (2018), STADY DATA TECHNICAL CONFORMANCE GUIDE v4.1 7) PMDA (2018), 承認申請時の電子データ提出等に関する技術的ガイドについて

8) Yuta Sakakibara (2017), Collaboration Across Clinical and Nonclinical Team Members to Implement CDISC Standards, PhUSE Single Day Event, Tokyo, Japan

9) 保田昂之 et al. (2017), CDISC 標準への対応;臨床/非臨床領域での違いと非臨床における課題

PHARM STAGE Vol.17, No.8: 51-57

7 略語一覧

ADaM: Analysis Data Model, BLA: Biologics License Applications, CDISC: Clinical Data Interchange Standards Consortium, CJUG: CDISC Japan User Group, CRO: Contract Research Organization, FDA: Food and Drug Administration, IND: Investigational New Drug, LIMS: Laboratory Information Management System, NDA: New Drug Applications, PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, SAS: Statistical Analysis System, SDTM: Study Data Tabulation Model, SEND: Standard for Exchange of Nonclinical Data, SENDIG: SEND Implementation Guide, TCG: Study Data Technical Conformance Guide, XPT: SAS XPORT

Table 1  チェックルールのレベルと内容 Lv.  チェック分類 内容
Figure 1  入出力ファイルの関係

参照

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