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Clinico-pathological Analysis of Interstitial Pneumonia Associated with Collagen Vascular Disease in patients with Lung Cancer

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1324 日胸 疾 会 誌 35(12), 1997.

●原

肺 癌 を合 併 した膠 原 病 肺 の臨 床 病理 学 的検 討

大野 彰二1) 押川 克久1) 北村

諭1) 斎藤

建2)

要 旨: 膠原 病肺 に おけ る肺 癌合 併 の臨床 病理 学 的検討 を行 った. 73例 の膠原 病肺 症例 の うち9例(12%)

に肺癌 の合 併 を認 め, その うち1例 が 重複 癌で あ った. 組 織 型 は腺癌5病 変, 扁平 上皮 癌2病 変, 小 細

胞 癌 お よび大細 胞癌, Large cell

neuroendocrine carcinoma各1病

変 ず つで, 末梢発 生 が7病 変 で あ っ

た. 肺 癌の病 期 は, 膠 原病 肺経 過観察 中に発症 した7例 ではstage IIIA以 下 が6例 で あ った. 末 梢発 生

の肺癌7病 変 の うち既 存肺 構造 との関 連 性で は蜂 窩肺 内 あ るい は蜂 窩肺 と健 常肺 の境 界 に発 生 した もの

が3病 変 であ り,

それ らは膠 原病 肺 と して6年 以上 経過 した症例 で あ り,

膠 原病肺 に合併 した肺癌 はIIP

症 例 ほ ど濃 厚 に線維 化病 変 に関連 して発生 してい る傾 向 で はなか った. また, 治療 経過 と して手 術後 あ

る いは化学 療法 後 に放射 線療 法 を施行 してい ないの に もかか わ らず, 間質性 肺 炎の 急性 悪化 を認 め る こ

とには注意 す る必要 が あ るもの と考 え られ た.

キー ワー ド=膠 原病肺, 特発性 間 質性肺 炎, 肺癌, 蜂窩肺

Interstitial pneumonia associated with collagen vascular disease, Idiopathic inter-stitial pneumonia, Lung cancer, Honeycomb lung

は じめ に

特 発 性 間 質 性 肺 炎(idiopathic interstitia1 pneumo-nia; IIP)に 肺 癌 が 高 率 に 合 併 す る こ と は周 知 の 事 実 で あ り, そ の 合 併 率 は10∼30%と 報 告 され て い る1)∼4). 一 方, IIPと な らん で 間 質 性 肺 炎 ・肺 線 維 症 を き た す 疾 患 と し て 膠 原 病 肺 が 挙 げ られ る. 両 者 は組 織 学 的 に し ば し ば鑑 別 困 難 で, IIPの な か に は肺 病 変 先 行 型 の 膠 原 病 が 含 ま れ て い る可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る. そ こで, 今 回 著 者 ら は 肺 癌 を合 併 した 膠 原 病 肺 の 臨 床 病 理 学 的 検 討 を行 い, 肺 癌 を 合 併 したIIP症 例 と比 較 検 討 した. 対 象 お よ び 方 法 対 象 は, 1974年 か ら1994年12月 まで に 当 科 に入 院 し た 膠 原 病 肺73例 で 男 性28例, 女 性45例 で あ る. 間 質 性 肺 炎 の 診 断 は, X線 画 像 診 断 と と も に 開 胸 肺 生 検 ・経 気 管 支 肺 生 検 ・手 術 摘 出 標 本 ・剖 検 肺 な ど に よ り, 可 能 な 限 り組 織 学 的 診 断 を得 る よ う に つ と め た. 73例 の 膠 原 病 肺 の症 例 の 内 訳 は, 慢 性 関 節 リウ マ チ(RA)36 例 ・多 発 筋 炎/皮 膚 筋 炎(PM/DM)12例 ・全 身 性 進 行 性 硬 化 症(PSS)10例 ・全 身 性 エ リテ マ トー デ ス ・シ ェ ー グ レ ン症 候 群 各5例 な どで あ る. ま た, 同 時 期 に入 院 したIIP 200例 は 男 性149例 ・女 性51例 を比 較 対 照 の た め検 討 に加 え た. 検 討 項 目 と して は, 肺 癌 の 合 併 頻 度 ・肺 癌 組 織 型 ・ 肺 癌 発 生 部 位 ・肺 癌 症 例 の 背 景 因 子 な ど で あ る. 膠 原 病 肺 症 例 とIIP症 例 と の 群 問 比 較 はx2検 定 に てp< 0.05を 有 意 差 あ り と し て 推 計 学 的 に検 討 した. 結 果 1) 肺 癌 合 併 頻 度 膠 原 病 肺73例 の う ち 男 性6例(21%)・ 女 性3例 (7%)の 計9例(12%)に 肺 癌 の 合 併 を認 め た. 肺 癌 合 併 症 例 に お け る膠 原 病 の 内 訳 はRA 5例, PSS 2 例, PM/DM2例 で あ っ た. そ の う ちRAの1例 が 重 複 癌 で あ っ た(Table 1). IIP 200例 で は, 50例(25%) に 肺 癌 の 合 併 を 認 め, 男 性45例(30%)・ 女 性5例 (10%)で あ っ た. 50例 の う ち7例 が 重 複 癌 で あ り, 7 例 中1例 に3重 複 癌 を認 め た. 男 性 に お い て, 膠 原 病 肺 症 例 はIIP症 例 に比 し て 肺 癌 の合 併 が 有 意 に 低 率 で あ っ た が, 女 性 で は合 併 率 に有 意 差 を認 め な か っ た. 2) 肺 癌 組 織 型(Table 2) 膠 原 病 肺 に合 併 した 肺 癌9例10病 変 で は 腺 癌5病 変 ・扁 平 上 皮 癌2病 変 ・小 細 胞 癌, 大 細 胞 癌, Large cell 〒329-04 栃 木 県 河 内郡 南 河 内 町薬 師 寺3311-1 1) 自治 医 科大 学 呼 吸器 内科 2) 同 病 理 (受付 日平 成9年3月12日)

(2)

neuroendocrine carcinomal病 変 ず つ で あ っ た. IIPに 合 併 した 肺 癌50例58病 変 で は 小 細 胞 癌19病 変 ・扁 平 上 皮 癌18病 変 ・腺 癌16病 変 ・大 細 胞 癌4病 変 ・腺 扁 平 上 皮 癌1病 変 で あ っ た. 肺 癌 組 織 型 で は 膠 原 病 肺 で 腺 癌, IIPで 小 細 胞 癌 の 発 生 率 が 高 い 傾 向 が み ら れ た. 3) 肺 癌 発 生 部 位 膠 原 病 肺 に 合 併 し た肺 癌 症 例 の10病 変 で は, 7病 変 が 末 梢 発 生 で3病 変 が 中 枢 発 生 で あ り, 右 上 ・中 葉 は 3病 変 で, 右 下 葉 は1病 変 で あ り, ま た 左 上 葉4病 変 で, 左 下 葉 は2病 変 で あ っ た. IIPに 合 併 し た肺 癌 症 例 で は58病 変 中51病 変 で検 討 可 能 で あ っ た が, 50病 変 が 末 梢 発 生 で, 1病 変 が 中 枢 発 生 で あ っ た. 右 上 ・中 葉 は14病 変 で, 右 下 葉 は17病 変 で あ り, また 左 上 葉 は9 病 変 で, 左 下 葉 は11病 変 で あ っ た. IIPで は膠 原 病 肺 に 比 して 末 梢 発 生 が 有 意 に 高 率 で あ り, 膠 原 病 肺 で 上 葉 に, IIPで 下 葉 に高 率 に 発 生 す る 傾 向 が 認 め られ た. 4) 既 存 肺 構 造 と肺 癌 発 生 部 位 の 関 連 末 梢 発 生 の肺 癌 に つ い て 既 存 肺 構 造 す な わ ち 線 維 化 病 変 と の 関 連 に つ い て検 討 した. 膠 原 病 肺7病 変 の う ち, 手 術 摘 出標 本 あ る い は剖 検 肺 に て6病 変 が 詳 細 に 検 討 可 能 で あ っ た. 蜂 窩 肺 内 に発 生 した もの が1病 変, こ の 病 変 は生 前 に は画 像 上 も明 瞭 に認 め られ ず, 剖 検 に て 偶 然 発 見 さ れ た(Fig. 1). 蜂 窩 肺 と健 常 肺 の境 界 に発 生 した もの2病 変 で, Fig. 2に 代 表 例 を 呈 示 して い る. そ の ほ か は 胸 膜 直 下 に発 生 した もの2病 変, 健 常 肺 内 に 発 生 し た も の1病 変 で あ っ た. IIPに 合 併 し た 肺 癌 の う ち 剖 検 肺 に て31例39病 変 が 詳 細 に検 討 可 能 で あ り, 蜂 窩 肺 内 あ る い は 蜂窩 肺 と健 常 肺 に 接 し た 部 位 か ら発 生 した もの が30病 変(77%)で あ っ た. 膠 原 病 肺 に お い て 肺 癌 の 発 生 部 位 と既 存 肺 構 造 と の 間 にIIPに 比 して 関 連 性 が 低 い 傾 向 を 認 め た. 5) 肺 癌 の 病 期 分 類(Tab1e 3)

膠 原 病 肺9例 で はstage I-5例, IIIA-1例, IIIB-1例, IV-2例 で あ りIIP剖 検31例 で はstage I-2例, II-1例, IIIA-7例, IIIB一9例, IV-12例 で あ っ た. 膠 原 病 肺 の 経 過 観 察 中 に肺 癌 を 合 併 し た症 例 に限 定 す る と, 7例 中6 例 がstage IIIA以 下 で あ っ た が, IIP経 過 観 察 中 に肺 癌 を合 併 した13例 で は5例 がstage IIIA以 下 で あ り, 膠 原 病 肺 合 併 肺 癌 で 病 期 が 低 い 傾 向 を 示 した.

6)膠 原 病 肺 に 合 併 し た 肺 癌 症 例

平 均 年 齢 は64歳 で9例 中7例 に 喫 煙 歴 を認 め, 男 性 は 全 例 喫 煙 者 でBrinkman Index(BI)は 平 均75Oで あ っ た. 肺 癌 非 合 併 膠 原 病 肺 症 例 で は, 47例 中18例(男 性19例 中15例, 女 性28例 中3例)に 喫 煙 歴 が 認 め られ, BIは 平 均357で あ り, 肺 癌 合 併 例 で 喫 煙 率 が 高 く, 重 喫 煙 傾 向 で あ っ た. 職 歴 と し て 症 例3, 4, 7の3例 に 農 業 従 事 に 伴 う農 薬 等 の 吸 入 歴 を有 し て い た. 膠 原 病 あ る い は膠 原 病 肺 に 対 し て症 例1, 2, 6に 副 腎 皮 質 Table 1 Subjects grouped according to their collagesn

disease.

RA: rheumatoid arthritis, PM DM: polymyositis/der-matomyositis, PSS: progressive systemic sclerosis, SLE: systemic lupus erythematosus, SjS: Sjogren syndrome, PN: polyarteritis nodosa

Table 2 Histological typing of lung cancer in patients with IP-CVD and TIP.

IP-CVD; interstitial pneumonia associated with collagen vascular disease, IIP: idiopathic interstitial pneumonia

(3)

1326 日胸 疾 会 誌 35(12), 1997. ス テ ロ イ ド が, 症 例6に10カ 月 間 のcyclophos-phamideが 投 与 され て い た. 症 例3の 扁 平 上 皮 癌 と症 例7, 9が 中 枢 型 肺 癌 で あ っ た(Table 3). 症 例1-7 は 剖 検 肺 或 い は 手 術 摘 出 標 本 に て 既 存 肺 構 造 が 詳 細 に 検 討 可 能 で あ り, 問 質 性 肺 炎 の 組 織 型 と し て はUIP

(usual interstitial pneumonia)で あ っ た. 膠 原 病 肺 経 過 観 察 中 に 肺 癌 が 発 見 され た 症 例1∼7に お い て 間 質 性 肺 炎 発 見 よ り肺 癌 発 生 まで の 期 間 は平 均78カ 月 と長 期 間 で あ り, そ の な か に蜂 窩 肺 と肺 癌 発 生 部 位 との 関 連 を 認 め た3例(症 例1, 2, 5)が 含 ま れ て い た. 肺 癌 診 断 時 の 病 期 はstage IIIA以 下 が7病 変 と比 較 的 早 期 で あ っ た が, 症 例6, 7の2例 は 低 肺 機 能 の た め手 術 不 能 で 化 学 療 法 とな っ た. 放 射 線 療 法 は い ず れ の 症 例 に 対 し て も施 行 しな か っ た. ま た 症 例2は 剖 検 に て 偶 然 発 見 さ れ た. 予 後 と し て は手 術 例 の う ち2例 は 生 存 中 で, 1例 は膠 原 病 肺 の 急 性 悪 化 に よ り死 亡 し た(症 例5). また, 化 学 療 法 を施 行 した 症 例 に お い て も症 例6, 7は, 膠 原 病 肺 の 急 性 悪 化 に よ り死 亡 した. そ の ほ か で は 癌 関 連 死(症 例1, 8, 9)あ る い は 膠 原 病 肺 に よ る 慢 性 呼 吸 不 全 に て 死 亡 し た(症 例2) (Table 4), 考 察 IIPに 肺 癌 を 高 率 に 合 併 し 多 発 癌 が 多 い こ と は周 知 の 事 実 で あ る1)∼4). また, 肺癌を合併したIIPは非 定 型 例 の もの が や や 多 く, UIPの 程 度 も肺 癌 非 合 併 例 に比 し て軽 症 の も の が 多 い こ と も知 られ て い る. 肺 癌 合 併 の 機 序 と して は, 1)肺 の 線 維 性 病 変 自体 が 前 癌 病 変 と な っ て い る, 2)線 維 性 病 変 が 発 癌 をinitiateま た は promoteす る, 3)線 維 化 と発 癌 が 共 通 の 病 因 で あ る, な どが 考 え られ る. 1)2)を 支 持 す る根 拠 と し て は, 形 態 的 に蜂 窩 肺 内 あ る い は 蜂 窩 肺 と健 常 肺 の境 界 に 肺 癌 Fig. 1 A lung cancer encased by honeycomb lung

(case 2).

(A) Chest CT film in PSS showed consolidation in the honeycombed portion of the left upper lobe. (B) Bronchiolo-alveolar cell carcinoma was en-cased by honeycomb lung in the autopsied speci-men.

Fig. 2 Lung cancer in close proximity to honey-comb lung (case 5).

(A) Chest CT film in a case of RA showed a round mass in the left lower lobe. (B) Large cell neur-oendocrine carcinoma existed in close proximity to honeycombing in a resected lung.

(4)

の 発 生 が 多 く, 腺 様 化 生 や 扁 平 上 皮 化 生 を 高 率 に伴 い, 異 型 扁 平 上 皮 の 存 在 を み る こ とが 報 告 さ れ3), こ れ ら 化 生 上 皮 に 癌 抑 制 遺 伝 子p53の 過 剰 発 現 が 観 察 さ れ て い る5). ま た, IIPの 線 維 化 巣 で は 核 小 体 形 成 領 域 (Nuc1eo1ar organizer resions; NOR)の 大 き さ で 計 測 し たRNAの 合 成 能 が 充 進 し, proliferating cel1 nuc1ear antigen(PCNA)の 局 在 で 検 討 した 細 胞 増 殖 能 も充 進 し て い る こ と も報 告 さ れ て い る6). 一 方, 蜂 窩 肺 と全 く関 係 な く癌 が 存 在 す る こ と も少 な か らず 報 告 さ れ4)こ の こ と は3)あ る い は2)を 支 持 す る もの と考 え られ る. IIPと な ら ん で 線 維 性 病 変 を形 成 す る 疾 患 と し て 膠 原 病 肺 が 挙 げ られ る. 膠 原 病 肺 の病 理 組 織 像 は多 彩 で あ り, RAで はUIP, BOOP(bronchiolitis obliterans organizing pneumonia), CIP(cellular interstitial pneumonia)7), PM/DMで は 主 と し てUIP, BOOP, DAD(diffuse alveolar damage)8), PSSで は殆 どが UIPの 組 織 像 を 呈 す る. これ ら膠 原 病 の う ち 肺 病 変 先 行 型UIPの 像 を呈 す る も の はIIPと の 鑑 別 が 困 難 で あ る こ と が 知 られ て い る. しか し 臨 床 上 で はIIPと 異

Table 3 Profile of patients with interstitial pneumonia and collagen vascular disease having lung cancer, according to history of smoking and inhalation, therapy against pneumonitis, and location of lung cancer.

RA; rheumatoid arthritis, PSS; progressive systemic sclerosis, PM; polymyositis, PSL; prednisolone, CPA; cyclophosphamide,

BAC; bronchiolo-alveolar cell carcinoma, LCNEC; large cell neuroendocrine carcinoma, P; peripheral, C; central

Table 4 Profile of patients with interstitial pneumonia and collagen vascular disease having lung cancer accord-ing to type and stage of lung cancer, therapy, prognosis, duration of pneumonitis and primary site in relation to honeycomb lung.

RA: rheumatoid arthritis, PSS: progressive systemic sclerosis, PM: polymyositis, BAC: bronchiolo-alveolar cell carcinoma, LCNEC: large cell neuroendocrine carcinoma, CT: chemotherapy, Op: operation, LC: lung cancer, RF: respiratory failure, n. d.: not done, UIP: usual interstitial pneumonia

(5)

1328 日胸 疾 会 誌 35(12), 1997. な り, 膠 原 病 肺 に肺 癌 を 合 併 す る症 例 に は あ ま り遭 遇 し な い. 膠 原 病 の な か で 特 にPM/DM, PSSは 疾 患 自 体 に悪 性 疾 患 を 高 率 に合 併 す る こ とが 知 られ て い る. 肺 癌 の 合 併 に つ い て は, PSSで1.5∼4.2%で あ り9)∼12), 肺 癌 症 例 で は全 例 が 肺 線 維 症 を伴 っ て い た も の の喫 煙 の 関 与 は少 な い と す る報 告10)11)やCREST症 候 群 で は17例 中3例(18%)に 肺 癌 を 合 併 し13), PM/ DMで は2∼2.8%と 報 告 さ れ て い る14)15). また, 膠 原 病 に 対 す る 治 療 と し て 免 疫 抑 制 剤 や 抗 リ ウ マ チ 剤

(disease-modifying antirheumatic drug; DMARD) 使 用 中 に 悪 性 腫 瘍 の 合 併 を み る こ と も報 告 さ れ て い る16). しか し, 本 研 究 の ご と く膠 原 病 肺 に 注 目 し て 肺 癌 の 合 併 を検 討 し た 報 告 は 少 な い. PSSに お い て は 前 述 し た よ う に肺 癌 合 併 例 で 肺 線 維 症 を高 率 に伴 っ て い る こ とやTalbott17)ら の 報 告 で 細 気 管 支 肺 胞 上 皮 癌 が 線 維 性 病 変 に 接 して 存 在 して い た も の が あ る. RAに 伴 う 肺 病 変 と肺 癌 の 合 併 で は, 肺 臓 炎 に4例 の 合 併 が 報 告 さ れ, リ ウ マ チ 結 節 に 合 併 し た細 気 管 支 肺 胞 上 皮 癌 が 2例 報 告 さ れ て い る に 過 ぎ な い18)19). 本 検 討 で は膠 原 病 肺 に合 併 す る 肺 癌 の 特 徴 と し て, IIPほ ど末 梢 発 生 や 下 葉 発 生 ・重 複 癌 は 多 くな く, 末 梢 発 生 例 に限 っ て み て も, 組 織 学 的 にUIPを 呈 した 症 例 に も か か わ らず 蜂 窩 肺 内 あ るい は 蜂 窩 肺 に 接 して 肺 癌 が 発 生 しや す い 傾 向 で は な か っ た. しか し, 膠 原 病 肺 が 長 期 間 経 過 す る に つ れ てIIPと 同 様 な 発 生 傾 向 に な る こ と が 示 唆 さ れ た. また, 肺 癌 の リス ク フ ァ ク タ ー と し て 喫 煙 歴 は 9例 中7例 に 認 め ら れ 無 視 で き な い も の と考 え ら れ た. 膠 原 病 肺 に 合 併 し た 肺 癌 の も う ひ とつ の 特 徴 と し て は 病 期 がIIPに 合 併 した 肺 癌 に比 し て 進 行 し て い な い 傾 向 で あ る こ とが 挙 げ られ る. 間 質 性 肺 炎 と肺 癌 の 同 時 発 見 例 を 除 い た, 間 質 性 肺 炎 の 経 過 観 察 中 に肺 癌 を 発 見 さ れ た 膠 原 病 肺 症 例 で は7例 中6例 がstage IIIA 以 下 で あ っ た. IIP自 体 が 肺 癌 を進 行 させ る 可 能 性 も あ り, IIPに 合 併 す る 肺 癌 で は病 期 が 進 行 し て い る事 実 と対 称 的 で あ っ た. しか し, stage IIIA以 下 で あ っ て も間 質 性 肺 炎 の た め に 手 術 適 応 が 制 限 さ れ た こ と は IIPと 同様 で あ る. また, 肺 癌 を合 併 した 膠 原 病 肺9例 の う ち3例 で は 肺 癌 治 療 後 に 間 質 性 肺 炎 の 急 性 悪 化 を 併 発 し, DADの 病 態 で あ っ た. 症 例5は 術 後7カ 月 後 に急 性 悪 化 に て 死 亡 し, 同 様 な術 後 の 急 性 悪 化 例 は 他 に も報 告 され て い る20). 症 例6, 7はIIP合 併 肺 癌 に お け る 治 療 経 験 に も とつ い て, 放 射 線 療 法 や 肺 毒 性 の 強 い 抗 癌 剤 に よ る化 学 療 法 を施 行 し な か っ た に も か か わ らず 急 性 悪 化 を併 発 した こ と は 今 後 の 膠 原 病 肺 に 合 併 す る 肺 癌 の 治 療 上 の 問 題 点 と考 え られ る. 以 上, 肺 癌 を合 併 した 膠 原 病 肺 症 例 の 検 討 を行 っ た が, 同 じUIPを 基 盤 とす るIIPに 比 し て 特 に 発 癌 状 態 が 若 干 異 な る傾 向 を示 し て お り, IIPに お け る 発 癌 の 機 序 と して 線 維 化 巣 の 細 胞 代 謝 や 増 殖 能, 線 維 化 病 変 の 癌 遺 伝 子 に つ い て は 検 討 さ れ は じ め て い る が, 膠 原 病 肺 に お い て も同 様 の 検 討 が な さ れ る こ と がIIPと UIP型 の 膠 原 病 肺 の病 因 ・病 態 面 で の相 違 を 見 い だ す ひ とつ の 手 段 に な る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る. 文 献 1) 近 藤 有 好, 本 間 行彦, 阿 部 庄作, 他: 特 発 性 間 質性 肺 炎(IIP)の 疫 学調 査(II). 厚 生 省特 定 疾 患 び ま ん 性 肺 疾 患 調 査 研 究 班 平 成4年 度 研 究 報 告 書 1992; 11-18. 2) 滝 口裕 一, 長 尾 啓 一, 長 晃平, 他: 肺 線 維 症 と肺 癌 の合 併. 呼 吸 1992; 12: 120-125. 3) 清水 英 男: 特 発 性 問 質性 肺 炎 に合 併 した肺 癌 の病 理 学 的 研 究-特 に蜂 窩構 造 との関 係 に つ いて. 日 胸 疾 会 誌 1985; 23: 873-881. 4) 南部 静 洋, 岩 田猛 邦, 種 田和 清, 他: 剖検 症 例 か ら み た特 発 性 問質 性 肺 炎 と肺 癌 発 症 との 関連 に つ い て 一 環 境 因 子 か ら の検 討 一 日胸 疾 会 誌 1991; 29: 1275-12810 5) 工藤 翔 二, 深 山正 久, 林 幸 子, 他: 特発 性 間 質性 肺 炎 ・肺 線 維 症 に 合 併 した 肺 癌 一 増 殖 能 お よび p53蛋 白発 現 の検 討-. 厚 生省 特 定 疾 患 び まん性 肺 疾 患 調 査 研 究 班 平 成4年 度 研 究 報 告 書 1992; 226-228. 6) 松 下 央: 特発 性 間 質性 肺 炎 と肺 癌. 病 理 と臨 床 1993; 11: 178-182.

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Abstract

Clinico-pathological

Analysis of Interstitial

Pneumonia

Associated

with Collagen Vascular

Disease in patients

with Lung Cancer

Shoji Ohnol, Katsuhisa

Oshikawal,

Satoshi Kitamural

and Ken Saitoh2

Department of Pulmonary Medicine

2Department of Pathology Jichi Medical School, Minamikawachi, Tochlgl, Japan

We investigated

interstitial

pneumonia

associated

with collagen vascular disease (IP-CVD) in

associa-tion with lung cancer. Seventy-three

cases of IP-CVD were included in this study. Nine (12%) of the 73

cases were associated

with lung cancer, one of which had double lung cancers. The histological

types of

the cancers were adenocarcinoma

(5 cases). epidermoid

carcinoma

(2 cases), small cell carcinoma,

large

cell carcinoma

and large cell neuroendocrine

carcinoma

(one case each). The lesions were located in the

central

or peripheral

lung in 3 and 7 of the ten cancers, respectively.

Of the seven cases diagnosed

as

having IP-CVD followed by lung cancer, five had stage I disease, and one each of the remaining

two cases

was in stage IIIA and stage IV. Six of the seven peripheral

cancer lesions which were resected

or

autopsied

could be analyzed

with regard to the topographical

relationship

between the primary site and

fibrotic lesions. Only three cancers were encased by or in close proximity

to, honeycomb

lung, although

most of the lung cancers arose in relation to fibrotic lesions. Moreover,

the acute exacerbation

of IP-CVD

after operation

or chemotherapy

without thoracic

irradiation

shoud be monitored

carefully.

Table  2  Histological  typing  of  lung  cancer  in  patients  with  IP-CVD  and  TIP.
Fig.  2  Lung  cancer  in  close  proximity  to  honey- honey-comb  lung  (case  5).
Table  4  Profile  of  patients  with  interstitial  pneumonia  and  collagen  vascular  disease  having  lung  cancer  accord- accord-ing  to  type  and  stage  of  lung  cancer,  therapy,  prognosis,  duration  of  pneumonitis  and  primary  site  in  re

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