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カシス由来ポリフェノール摂取によるシャワー浴後保温効果に関するパイロット・スタディ

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Doi: 10.32279/jjhr.202041G06

原 著

カシス由来ポリフェノール摂取による

シャワー浴後保温効果に関するパイロット・スタディ

Improvement of keeping body warm after shower bath by cassis-derived polyphenol: A pilot study 早坂はや さか信し ん哉や1,2) 樋口ひ ぐ ちよ しひ で1,3) 倉重く ら し げ恵子け い こ4) 曽我そ がとしひろ4) 1) 一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所 2) 東京都市大学 人間科学部 3) 作新学院大学 経営学部 スポーツマネジメント学科 4) 株式会社明治フードマテリア 機能性素材事業部 研究開発グループ (連絡先) 〒103-0027 東京都中央区日本橋 3-1-4 一般財団法人日本健康開発財団 温泉医科学研究所 責任著者名 早坂信哉 Key words: カシス ポリフェノール アントシアニン シャワー浴 体温 抄録 背景・目的 近年では、浴槽に浸かる温浴より、シャワー浴で済ませる人の割合が増加し ている。しかし、シャワー浴は一般的に温浴よりも温熱効果が認められない。また、カシス ポリフェノール摂取は血流を改善することが知られている。そこで、通常の水道水飲用後 にシャワー浴を行う場合と比較し、カシスポリフェノール飲用後にシャワー浴を行う場合と で、シャワー浴の温熱刺激後の保温効果が得られるかを、皮膚表面温度および舌下温 (深部体温)の差から明らかにすることを目的とした。 対象・方法 健康な成人女性10 名を対象にカシスポリフェノール飲用後のシャワー浴と水 道水飲用後のシャワー浴とを、それぞれ 41℃で 10 分間ずつ行い同一被験者内比較介 入試験を実施した。各入浴時における手足の皮膚表面温度および舌下温の測定を行い 測定値の平均を求めpaired-t 検定で比較した。 結果・考察 手足の皮膚表面温度では、カシスポリフェノール飲用後で有意な差をもって 保温効果が高まる結果が得られた。したがって、シャワー浴の前にカシスポリフェノールを 飲用することで、手足の保温効果が得られることから、シャワー浴の短所である浴後の体 温低下(いわゆる湯冷め)の改善効果が得られる可能性があると示唆された。舌下温の測 定では、有意な差はなかった。 結論 カシスポリフェノールを飲用後のシャワー浴は、水道水を飲用後のシャワー浴よりも 保温効果が高まり、体温維持の延伸効果が得られると考えられた。

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Ⅰ.背景・目的 浴槽の湯に浸かる入浴は、日本人の多くの人々 が日常的に行う生活習慣の1つである 1) 。浴槽入 浴は介護予防 2) や脳血管障害の発症予防 3) 効果など、その健康増進効果は、長期的な縦断研 究でも最近は明らかにされてきている。また、温泉 地にみられる温泉入浴を用いたリハビリテーション において活用されている4) 一方、シャワー浴は近年の生活様式の変化から 手軽で好まれる傾向にある 5, 6) 。特に、仕事や家 事、学業などに忙しく時間を取られる青壮年層を 中心に増加している5) 。しかし、浴槽の入浴と比べ てシャワー浴は消費エネルギー量も少なく 7) 、出

浴後の保温効果としてHeat shock proteins70 に よる身体への影響などにも差があり有効性が少な いと考えられている 6, 8) 。そのため、シャワー浴に よる出浴後の保温の延伸、入浴後の体温低下(い わゆる湯冷め)遅延を工夫する必要性があるとい える。 近年、カシスポリフェノール摂取による種々の血 流改善の評価試験に関する報告 9-11) がなされて 注目されている。ex vivo 試験においては、ラット胸 部大動脈の平滑筋弛緩効果9) 、ラット後肢末梢血 管拡張効果 10) が確認され報告されている。また、 ヒト臨床試験においても、カシスポリフェノール(主 成分はカシスアントシアニン)摂取による安静時の 血流改善効果11) 、PC 作業負荷時の肩の筋硬度 や血流の改善効果 11) などが確認され報告されて いる。カシスポリフェノールの摂取により末梢血管 の拡張作用が顕著であることから各種の飲用物が 商品化され広く用いられるようになってきた。 そこで、カシスポリフェノール飲用後にシャワー 浴を行う場合と、通常の水道水飲用後にシャワー 浴を行う場合とで両手足の皮膚表面温度および舌 下温(深部体温)の変化を比較し、カシスポリフェ ノール摂取によるシャワー浴後の保温効果につい て検討することとした。 Ⅱ.対象・方法 1.対象 体の「冷え」を自覚する健常な成人女性 10 名と した。なお、医 師 より入 浴 ・運 動 を禁 じられてい る者 、妊 娠 中 の者 や授 乳 中 の者 を除 外 し、研 究参加の同意が得られた者とした。研究に際し、 研究内容や起こりえるリスク等を文書及び口頭に て説明したのち、書面に署名の上研究への同意を 得た。本研究は、一般財団法人日本健康開発財 団倫理委員会の承認を得て(承認番号201904)、 臨床研究として UMIN 臨床試験登録システム (UMIN-CTR)へ登録した(R000044899)。 2.研究方法 本研究は同一被験者内比較介入試験である。 (1) 研究時期と介入方法 2020 年 2-3 月に実施した。体温の安定する生 理期間終了後 2 週間以内に測定を行った。始め に水道水を約200mL 飲用 30 分後にシャワー浴 を3 日間行い、1 日間のウォッシュアウトを挟み、次 にカシスポリフェノール飲用 30 分後にシャワー浴 を 3 日間行った。シャワー浴、各測定は各被験者 の自宅にて行い、給湯器設備にて 41℃に設定し 10 分間のシャワー浴を行った。入浴後待機する居 室の室温は通常生活している温度とした。なお、カ シスポリフェノール粉末(株式会社明治フードマテ リア製)はカシスアントシアニンとして 50mg を使用 し約200mLの水道水に溶解し飲料として摂取し た。本研究で用いたカシスポリフェノール粉末は、 食品として製造されており、すでに多くの市販食品 に用いられている食品である。フランス産カシス果 実より水溶媒系で膜濃縮技術により製造された食 品原料(特許345528 号)を使用している。 測定期間中の制限として、計測開始前日、およ び計測期間中のアントシアニン高含有食品(含:カ シスやベリー類)飲料摂取、飲酒、暴飲暴食を禁 止とした。試験開始6時間前から禁煙、カフェイン など刺激物摂取を禁止とした。ただし、常温の水道

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水の飲用は可とした。また、試験開始 1 時間前か ら試験終了までは、水道水以外の飲食も禁止し た。 (2) 測定 研究に先立ち、前述の通り体調を確認し書面に て説明を行い、同意書にて研究参加への同意を 得た。その後、被験者へ各測定機器の取扱説明、 測定の訓練などを十分に行い、測定機材の操作 を確認した。測定は被験者自ら行い、舌下温の計 測には、舌下温用実測式電子体温計(口内専用 婦人用、シチズン、日本)を用いて計測した。室 温、皮膚表面温度の計測は、非接触体温計(サー モピット KM320、ケンツメディコ・日本精密測器、 日本)を用いて計測した。浴後過ごす居室の室温 測定はシャワー入浴 60 分前に行った。皮膚表面 温度の測定は、左右の手足をそれぞれ 3 回測定 し、中央値を使用した。測定箇所は、手部は手背 の拇指と示指の交点の部位、足部は足背の第一 中足骨と第二中足骨の交点で、中間楔状骨上の 部位とした。シャワー入浴前60 分間を安静時間と して、シャワー入浴開始 60 分前に皮膚表面温度 などの計測を行った。次いで、シャワー入浴開始 30 分前に水道水もしくはカシスポリフェノールの飲 用を行った。皮膚表面温度、舌下温の各計測は、 介入初日の入浴開始 60 分前(水道水またはカシ ス飲用前となる)、および介入 3 日目の入浴開始 60 分前(水道水またはカシス飲用前となる)、10 分 前、出浴直後、10 分後、20 分後、30 分後、40 分 後、50 分後、60 分後で実施した。 3.解析 それぞれの測定値は平均と標準偏差を求めた。 水道水飲用後のシャワー浴を対照群として、カシ スポリフェノール飲用後のシャワー浴をカシス群と して群間で paired-t 検定を用いて平均を比較し た。皮膚表面温度と舌下温の比較は、測定した各 時点で行った。統計処理には統計解析ソフトIBM SPSS statistics ver 26.0( IBM 日本)を用い統計

学的有意水準5%とした。 Ⅲ.結果 被験者は、年齢 37.1±2.3(歳、平均±標準偏 差、範囲24-45 歳)、身長 154.6±1.8(cm、同)、 体重 55.2±3.7(kg、同)、10 名全て女性であっ た。全員試験を完了しカシスポリフェノールの飲用 に伴う有害事象はなかった。室内の温度は介入初 日 で 対 照 群 20.49± 3.01 (℃ 、 同) 、 カ シス 群 20.10±2.75、介入 3 日目で対照群 20.43±2.63 (℃、同)、カシス群20.08±2.00 で各測定時点で の群間比較の t 検定の結果、有意な温度差はな かった。 1.介入前の皮膚表面温度と舌下温の比較(シャ ワー浴 60 分前) 基礎値として、介入初日のシャワー入浴60 分前 の対照群とカシス群の皮膚表面温度と舌下温を比 較検討した。 両手足の各皮膚表面温度は、左手の対照群は 30.18±2.66(℃、平均±標準偏差)、カシス群は 30.97±2.65(同)、右手の対照群は 30.60±2.63 (同)、カシス群は 30.49±2.76(同)、左足の対照 群は 30.46±2.66(同)、カシス群は 30.94±2.43 (同)で、右足の対照群は 30.55±2.86(同)、カシ ス群は 30.67±2.73(同)といずれも統計学的な有 意差を認めなかった。 舌下温の対照群は36.21±0.91(同)、カシス群 は36.34±0.61(同)と統計学的な有意差を認めな かった。各温度の結果を表1に示す。 表1:対照群およびカシス群における介入初日のシャ ワー浴60 分前の皮膚表面温度と舌下温の比較 平均(℃) 標準偏差 平均(℃) 標準偏差 p値 左手 30.18 ± 2.66 30.97 ± 2.65 0.196 右手 30.60 ± 2.63 30.49 ± 2.76 0.831 左足 30.46 ± 2.66 30.94 ± 2.43 0.349 右足 30.55 ± 2.86 30.67 ± 2.73 0.866 舌下温 36.21 ± 0.91 36.34 ± 0.61 0.554 p値: paired-t 検定 対照群(n=10) カシス群 (n=10)

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2.各入浴における上肢の皮膚表面温度の比較 水道水3 日目飲用後とカシスポリフェノール 3 日 目飲用後の手の皮膚表面温度を比較検討した。 各入浴における上肢の皮膚表面温度の結果を表 2に示す。 左手のカシス群は、出浴直後(p=0.007)、10 分 後 (p=0.002 ) 、 20 分 後 ( p=0.004 ) 、 40 分 後 (p=0.033)、50 分後(p=0.015)で高く、統計学的 有意差を認めた。また、右手のカシス群は、出浴 直後(p=0.029)、10 分後(p=0.003)、20 分後 (p=0.020 ) 、 30 分 後 ( p=0.011 ) 、 50 分 後 (p=0.017)で高く、統計学的有意差を認めた。 表2:左右の手の皮膚表面温度の比較(介入3 日目) 3.各入浴における下肢の皮膚表面温度の比較 水道水3 日目飲用後とカシスポリフェノール 3 日 目飲用後の足の皮膚表面温度を比較検討した。 各入浴における下肢の皮膚表面温度の結果を表 3に示す。 左足のカシス群は出浴直後(p=0.011)、20 分 後 (p=0.025 ) 、 30 分 後 ( p=0.015 ) 、 40 分 後 (p=0.011)で高く、統計学的有意差を認めた。ま た、右足のカシス群は、出浴10 分後(p=0.015)、 20 分後(p=0.038)、30 分後(p=0.007)、40 分後 表3:左右の足の皮膚表面温度の比較(介入3 日目) (p=0.023)で高く、統計学的有意差を認めた。 4.各入浴における舌下温の比較 水道水3 日目飲用後とカシスポリフェノール 3 日 目飲用後の舌下温を比較検討した。各入浴にお ける舌下温の結果を表4に示す。 水道水飲用後のシャワー浴とカシス飲用後の シャワー浴では、統計学的有意差は認めなかっ た。 表4:舌下温の比較(介入3 日目) Ⅳ.考察 健康な成人女性を対象に、水道水飲用後に シャワー浴を行う場合(対照群)とカシスポリフェ ノール飲用後にシャワー浴を行う場合(カシス群) (左手) 平均(℃) 標準偏差 平均(℃) 標準偏差 p値 入浴60分前 30.13 ± 3.28 31.20 ± 1.57 0.267 入浴10分前 31.09 ± 2.50 31.84 ± 1.77 0.136 出浴直後 31.11 ± 2.71 31.97 ± 2.38 0.007** 出浴10分後 31.43 ± 2.67 32.70 ± 2.07 0.002** 出浴20分後 31.44 ± 2.42 32.86 ± 1.77 0.004** 出浴30分後 31.92 ± 2.07 32.51 ± 2.08 0.072 出浴40分後 31.48 ± 2.46 32.28 ± 2.04 0.033* 出浴50分後 31.17 ± 2.63 32.17 ± 1.91 0.015* 出浴60分後 31.35 ± 2.65 31.68 ± 2.34 0.641 (右手) 平均(℃) 標準 偏差 平均(℃) 標準 偏差 p値 入浴60分前 30.50 ± 2.91 31.28 ± 1.89 0.365 入浴10分前 31.15 ± 2.56 31.46 ± 2.05 0.453 出浴直後 31.04 ± 2.52 31.76 ± 2.14 0.029* 出浴10分後 31.36 ± 2.45 32.58 ± 1.89 0.003** 出浴20分後 31.72 ± 2.21 32.71 ± 1.79 0.020* 出浴30分後 31.78 ± 2.13 32.51 ± 1.90 0.011* 出浴40分後 31.80 ± 2.21 32.26 ± 1.77 0.092 出浴50分後 31.25 ± 2.32 32.21 ± 1.62 0.017* 出浴60分後 31.52 ± 2.26 32.22 ± 2.37 0.246 **p<0.01 *p<0.05 p値: paired-t 検定 対照群(n=10) カシス群 (n=10) (左足) 平均(℃) 標準偏差 平均(℃) 標準偏差 p値 入浴60分前 31.64 ± 1.56 31.78 ± 1.97 0.635 入浴10分前 30.42 ± 3.28 30.73 ± 2.21 0.566 出浴直後 30.58 ± 2.77 31.42 ± 2.92 0.011* 出浴10分後 31.09 ± 2.57 32.09 ± 2.76 0.050 出浴20分後 31.09 ± 2.67 32.47 ± 2.23 0.025* 出浴30分後 30.86 ± 3.04 32.28 ± 2.44 0.015* 出浴40分後 30.69 ± 3.16 32.14 ± 2.47 0.011* 出浴50分後 30.48 ± 3.60 31.41 ± 2.67 0.206 出浴60分後 30.11 ± 3.84 31.21 ± 3.04 0.092 (右足) 平均(℃) 標準 偏差 平均(℃) 標準 偏差 p値 入浴60分前 31.65 ± 1.88 31.63 ± 1.94 0.955 入浴10分前 30.49 ± 3.13 30.84 ± 2.00 0.523 出浴直後 30.19 ± 3.13 31.27 ± 2.26 0.052 出浴10分後 30.78 ± 2.59 32.10 ± 2.33 0.015* 出浴20分後 31.12 ± 2.66 32.42 ± 2.18 0.038* 出浴30分後 31.07 ± 2.70 32.46 ± 2.36 0.007** 出浴40分後 30.65 ± 2.99 31.99 ± 2.52 0.023* 出浴50分後 30.74 ± 3.18 31.54 ± 2.68 0.118 出浴60分後 30.48 ± 3.33 31.28 ± 2.92 0.162 **p<0.01 *p<0.05 p値: paired-t 検定 対照群(n=10) カシス群 (n=10) 平均(℃) 標準偏差 平均(℃) 標準偏差 p値 入浴60分前 36.40 ± 0.38 36.42 ± 0.45 0.824 入浴10分前 36.38 ± 0.45 36.27 ± 0.50 0.404 出浴直後 36.78 ± 0.48 36.77 ± 0.49 0.990 出浴10分後 36.43 ± 0.92 36.61 ± 0.43 0.370 出浴20分後 36.51 ± 0.61 36.52 ± 0.32 0.927 出浴30分後 36.40 ± 0.47 36.34 ± 0.42 0.503 出浴40分後 36.24 ± 0.82 36.22 ± 0.48 0.939 出浴50分後 36.25 ± 0.54 36.43 ± 0.34 0.265 出浴60分後 36.20 ± 0.47 35.93 ± 1.17 0.477 p値: paired-t 検定 対照群(n=10) カシス群 (n=10)

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で、シャワー浴後の皮膚表面温度および舌下温の 比較を行った。結果、カシス群で皮膚表面温度で は上肢下肢ともに統計学的な有意差を認めた。 カシスポリフェノール飲用後のシャワー浴は水道 水飲用後のシャワー浴に比べて、上肢は出浴 50 分後、下肢は出浴 40 分後まで有意差を認めたこ とから、カシスポリフェノール飲用後の方がシャ ワー浴効果を促進し、保温延伸に寄与したと考え られた。カシスポリフェノールの摂取は血管内皮依 存性一酸化窒素や過分極因子の産生または遊離 の増加により血管が拡張し 10) 、安静時の血流改 善効果 11) やパソコン作業負荷時の肩の筋硬度や 血流の改善効果 11) などの血流改善効果が高いと 報告されており、シャワー浴においてもカシスポリ フェノール飲用により血流が改善し皮膚表面温度 が高まった可能性が考えられる。 シャワー浴は浴槽を用いた入浴作用と比較し て、温熱作用の効果によって血管が拡張し、血流 が改善することで全身が温まり心理的緊張の緩和 につながる12) ことや、同時に筋肉の過剰な収縮を ともなった緊張状態を緩和させ弛緩させる 13) など の作用は弱く、これまで様々なシャワー浴の方法 の検討14) がなされているものの、肩まで浴槽に浸 かる全身浴に比べてシャワー浴は温熱作用が弱 いことが報告されている 7) 。しかし、近年の生活様 式からシャワー浴は、手軽さから好まれる傾向にあ り 5) 、シャワー浴でも十分な温熱効果や血流改善 効果を得る方策を検討することは必要である。これ らの背景から、本研究結果を踏まえると、シャワー 浴の前にカシスポリフェノールを飲用することで、 四肢の皮膚表面における温熱作用を高め、効率 的に皮膚表面温度の維持に寄与することが示唆さ れ、シャワー浴であっても効果的な入浴となると推 定された。 一方で、舌下温には有意差が認められなかった ことから、カシスポリフェノールの飲用による温熱効 果は深部体温の変化までは至らなかった。シャ ワー浴はもともと体温上昇作用が弱いことと 7) 、カ シスポリフェノールの飲用が3 日間と短期間であっ たことが影響していたことも考えられた。今後長期 間の飲用による深部体温変化も検討をしていきた い。 また、皮膚表面温度が低下していることが主体と なっている症状にいわゆる「冷え性」がある 15) 。本 研究は、舌下温の変化はなかったものの、上肢下 肢の左右の皮膚表面体温を測定した結果、四肢 の皮膚表面体温では統計学的有意差を認めた。 おおむね、出浴直後から50 分間は、単にシャワー を浴びるだけよりもカシス飲用後にシャワー浴を行 う方が皮膚表面温度の高い状態を維持し、保温効 果が高いといえる。本研究では冷えを自覚する者 を対象としたが、このことから、女性には比較的多 い冷え性の改善効果につながる可能性があると考 察された。特に64%の女性では冷えを感じ16) 、最 近の調査 17) でも 72%の女性が冷え性であるとも 報告されている。冷え性は器質的疾患として診断 基準が確立されている訳ではなく、その概念として は手足などの身体が冷えているという感覚があると いう主観的な面も大きい 15) 。従って、この度の結 果から、手足の皮膚表面温度が高まり易く、出浴 後の持続的保温効果が得られ易いことから、カシ スポリフェノール飲用後のシャワー浴により手足の 冷えの症状が改善する可能性も推定された。ま た、本研究はカシスポリフェノール飲用の3 日目で は皮膚表面温度に有意差が得られたことから、継 続的にカシスポリフェノールの飲用を行うことで皮 膚表面温度のさらなる入浴保温効果や出浴後の 持続による湯冷め遅延への効果を期待できると考 えられた。著者らの知るところではカシスポリフェ ノールの長期連用の効果に関わる報告はなされて いないが、継続的なカシスポリフェノールの飲用 が、深部体温に影響するかについては今後の課 題と考えられた。 一方で、本研究では、シャワー浴と浴槽を用い た入浴とを比較していないが、継続的にカシスポリ フェノールを飲用したシャワー浴と浴槽を用いた入

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浴において、保温効果の持続を検討していくことも 今後の課題と考えられた。 本研究の限界としては、少人数の成人女性だけ を対象としたことが挙げられる。男性や小児および 高齢者など、対象者を広げて調査をする必要があ る。また、カシスポリフェノール飲料は紫色で香りが あり対照群として水道水を設定したためブライン ディングができていない。本研究の主な評価指標 は表面皮膚温度であり採血による生化学的分析な どは行っていない。しかし、シャワー浴時にカシス ポリフェノールを飲用することの意義の一端を明ら かにした。 Ⅴ.結論 カシスポリフェノールを飲用後のシャワー浴は、 水道水を飲用後のシャワー浴よりも保温効果が高 まり、体温維持の延伸効果が得られると考えられ た。 利益相反の開示:本研究は株式会社明治フードマ テリアの研究費によって実施された。 文献 1) 早坂信哉,古谷暢基.入浴検定公式テキスト. 東京:日本入浴協会.2017;22-29.

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