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英国のコンサベーション2-英国の修復技術-: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

英国のコンサベーション2−英国の修復技術−

Author(s)

大湾, ゆかり

Citation

沖縄県公文書館研究紀要 = OKINAWA PREFECTURAL

ARCHIVES BULLETIN OF STUDY(5): 97-104

Issue Date

2003-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/8137

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英国の コンサベ-シ ョン

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-英国の修復技術一

大湾 ゆか りI は じめに 1 予防的保存 と処置的保存

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英国での修復方法

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主 な修復方法

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ウェ ッ ト・リペ ア

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ドライ ・リペ ア

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修復方法の選択 おわ りに は じめに 沖縄県公文書館紀要第4号で 「英国の コンサベ-シ ョン ー何 を学 び、 どう応用す るか

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」 と題 し、 英国における資料保存の全体像 について述べ た。その中で筆者 は、今 日の資料保存の在 り方 に関 し、 予防的保存 を第- に見据 えた業務体系 と保存 方針 preservation policyに基づ いた業務 の流 れ に注 目して英国における具体的 な作業例等 を報告 した。 そこで、本稿では前号 において極 わずか しか触 れ られなかった予防的保存 の次のステ ップ、す なわち 「修復」 について、筆者が実際 に研修 を通 して学 んだ方法 を紹介 し、私見 を述べ てみたい。 1 予防的保存 と処置的保存 昨今 の資料保存 は、予 防的保存 preventiveconservationを第一 のステ ップ と した業務体系 が主 流で、具体的な措置 として保存環境 の整備 、保存容器 の利用、代替物 の作成等 に関わる作業が大 きな 比重 を占めている。予防的保存 は、端的 にいえば資料1点1点への手 当て とい うよ りも大量の資料群 に対す る措置であ り、資料 を劣化要 因か らで きる限 り遠 ざけて劣化の進行 を抑 えることを目的 として いる。 したが って、現段 階ですで に傷 みが著 しく利用で きない状態 にある資料 に対 しては、予 防的保 存の段階か ら処置的保存 interventiveconservationとい う領域 に進 んで個別 に処置することとなる。 処置的保存 は、いわゆる資料 の劣化部分 に直接手 を加 えて修復す ることである。修復 はある意味で は資料の一部分 を加工す ることなので、原形の変更や使用す る技術 または素材 によっては資料 に影響 を及ぼす危険性がある。現在 の コンサベ- シ ョンでは、修復 による資料 の形状変更や過剰 な処置 をで きる限 り避 け ようとす る考 え方 になっている。 したが って、 コンサベ- シ ョンの範暗 における修復 と は、あ くまで も原資料 を尊重 し、必要最小 限で手 を加 えて補強す る処置 だ といえる。 修復 は、 コンサベータ一に とって最大 の腕 の見せ所 であ り、素材等 に関す るあ らゆる知識 と長い間 に培 われて きた経験 によって技術 向上が図 られて きた。 と同時 に、最近では機械化や新素材 の開発 に よ り新 しい技術 も発展 して きた。例 えば、 ラ ミネー シ ョンや リー フキ ャステ ィング法の ように機械 を

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財 団法人沖縄 県文化振興会公文書管理部修復士

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活用 した修復方法では、ある程度の訓練 を受けた者であれば行 うことがで きるようになった。 このよ うに、修復技術の選択肢が広が りをみせ る今 日、各々の特色 を念頭 にお き、対象 となる資料の価値や モノとしての性質、あるいは利用の状況等 に応 じ、それぞれに適 した方法 を選ぶ ことが肝心である。 本稿で紹介す る修復方法 は、筆者が平成11年度の沖縄県人材育成財 団による国外派遣研究員 として 洋紙の修復技術 を学ぶ 目的で渡英 し、英国国立公文書館 PublicRecordOffice(以下、PRO)及 び ランカシャー州立公文書館 LancashireRecordOffice(以下、LRO)で修復研修 を受けた時の体験 と記録 に基づ くものである。 なお、説明の都合 により前号 と重複す る箇所 もあるが、その点は了解い ただ きたい。 2 英国での修復方法 英国の公文書館等 における修復 は、 コンサベ-シ ョンの概念上 にある原形保存、可逆性、安全性、 そ して記録化 とい う 「保存 ・修復の四原則」 に則 って行われている。基本的に原形の情報 をで きる限 り壊 さない ような方法や素材 を用い、必要最小 限の手当てに留め ようとい うものである。 しか し、実 際 には利用 に耐 えうる レベルを目標 に した修復処置がみ られた。

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主 な修復方法 英国で主 に行 われている修復方法 は、大凡以下 に記す5つに分け られる。 ①paperonpaper(裏打 ち) 本紙の裏 に別の紙や絹 を貼 りつけて補強する方法。 日本の裏打 ち技術 によ く似 た技術で英国では古 典的方法 とされている。 ②wetrepair(ウェ ッ ト・リペア) 欠損部分 に補修紙 を埋 めて両面か らサポー ト用の薄葉紙 を貼 る方法。資料全体 に水分 を含 ませて伸 ばすので ウェ ッ ト ・リペ ア とい う。Japaneserepairとい う別称 もあ り、 日本の虫損補修 と原理的 には同 じ方法である。 ③local(wet)repair(ローカル ・リペア) ② と同様の方法だが、本紙の一部分 だけを補修す る方法。

④dryrepair,lamination(ドライ ・リペア、ラ ミネーシ ョンの こと)

欠損部分に補修紙 を埋め、熱可塑性の薄葉紙 を電熱 プレスで庄着 させる方法。酸性紙など紙質が弱っ た資料 を補強するために も行 われる。熟 を使 って接着するので、heatrepairともいう。

⑤leaf-casting(リーフキャステ ィング) リーフキャステ ィングマシンとい う修復機 を使 って欠損部分 に紙の繊維 を漉 き込む方法。サポー ト 用 に薄葉紙 を糊で貼 って補強する。 以上の うち、(∋の方法は本紙の厚みが増 えた り、裏面の情報が読めな くなる等の理由か ら現在では あ まり行われていない。② と③ はお もに古文書類 を修復する方法 として採用 されている。 これは伝銃 的な英国の修復方法で もあ り、使用す る材料 を吟味 し、修復前の細 かいテス トや クリーニ ング等の前 準備 を十分行 った上で1枚ずつ処理する方法である。④ の方法 は、お もに酸性紙等の近現代資料 に適 用 される。前号 で も述べ た ように、英国では

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年代半ばを境 にそれ以降の資料 をこの方法で処置 し ている。(亘の リー フキ ャステ ィング法 は、い くつかの機 関で形状の異 なるリーフキャステ ィングマシ

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8-ンをみたが、実際 に常 時稼働 していたの はPROだけであ った。 同館 では16世紀前後 の古文書修復 に 活用 し、効率的 とい う評価 を得 ていた。 研修 において筆者 はこれ らの技術 を一通 り体験 したが、中で も(丑と(彰の技術 を取得す るため実物 の 文書 を使 ってかな り練習 させ て もらった。そ こで、次節 では(夢と④ 、す なわちウェ ッ ト ・リペ ア と ド ライ ・リペ アの作業手順等 について具体 的 に説明 しよう。 2-2 ウェッ ト・リペア ウェッ ト・リペアの手順 は、LROで行 われている方法 を図 1に示 し、写真の図版 (図2) を加 えた。 この方法 は、 日本の虫損補修 と基本的 に同 じ原理 であるが、使用す る道具 や材料 には大 きな違いが あった。 まず、 日本では紙 を伸 ば した り糊 を引 く際 には もっぱ ら刷毛 を用 いるのに対 し、英 国ではス ポ ンジ (海面)や太筆等 を使 う。 また、ポ リエステルシー トを巧 み に使 って、資料 の伸展や裏返 し作 業、補修紙 の切 り抜 き等 に活用 していた。 つ ぎに、欠損部分 を埋 める食い裂 き状 の補修紙 をつ くる際、 日本では小筆 に水 を含 ませ て和紙 に線 を措 くの に対 し、英国では針 (ニー ドル)や水ペ ンを用 いている。ニー ドルワー クは欧州では伝統的 な手法で、粉 々に分かれた紙片の結合や補修紙 の食い裂 きを作 るための描線作業 な ど様 々な場面で使 用 される。その最大 の利点 は、厚手の紙か らも容易 に食い裂 きを作 ることがで きる点 にある。針 で切 り取 った補修紙 は資料 の欠損面 にぴった り照合 し、わずか に繊維がのる以外 ほ とん ど本紙 との重 な り がでない。筆者の感覚では本紙 と補修紙 とが重 なる幅 は1mm以下で境 目の厚 み もほ とん ど感 じられ なかった。 この ようなことか ら、洋紙素材 の資料 を補修す る際厚 みのある紙 を使 う場合 には、針 は欠 くことの で きない道具 だ と実感 した。 こうした道具 の違い による効果 は大 き く、それ らをいか に使 い こなすか が技術者の力量 に繋が っている ようである。 一方、作業工程 の中で はい くつかの疑問 も生 じた。その一つが、薄葉紙 の使 い方であ る。 日本で裏 打 ち紙 として典具帖等 の極 々薄い和紙 を貼 るように、英 国ではマニ ラ麻 でで きた薄 くて丈夫 な薄葉紙 (Spidertissueや Lenstissue) を用いている。 これ らの紙 は水 に濡 れる と強度 を増 し、糊 を通 し、 乾いて も縮 まない とい う性質がある とい う。英 国では、 これ らを欠損部の補填の前後 で補強用 として 本紙の表裏両面か ら貼 りつける。 日本では補修紙の厚みや文字等 にかか らない よう配慮するのに対 し、 英国では本紙全体 を被 って しまうこともある。その結果、修復後の資料 は表面 に白 く網がか った よう にな り、本紙 の素材 的特徴 や文字等がかすんで しまっていた。 これ を疑 問 に感 じた筆者 は、過剰修復 ではないか とコンサベー タ-たちに尋 ねてみた。す る と、英 国では修復 はあ くまで も利用 を前提 とす るので、耐久性 を保持す るため には必要である との答 えが返 って きた。確 か に修復が利用のための措 置だ と解釈すれば納得のい く話である。

もう一点は、PROで行 っていた薄菓紙 Spidertissueを本紙 に接着す る際の糊 の置 き方である。同 館 ではtissueの上 か ら小麦粉糊 (固めの糊) を塗 るのである。 これは筆者 にはか な り斬新 な方法 に思 えたが、本紙 との接着以外 にサ イジ ング も兼 ねている との ことで、虫菌害や再度濡 れた ときの粘着性 等の心配 はない とい うことであった。 [LROとPROで ウェ ッ ト ・リペ アで使用 している材料] 糊 薄葉紙 サポー トシー ト 補修紙 LRO SCMC糊(メチルセルロース炭酸ナトリウム)Lenstissue/SpidertissueBondina/ポリユズテルシー ト 和紙

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図1

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(JapaneseRepairともい う)

① サポー トシー トをライ トボ ックス上 に敷 き、水 を吹 きか けてスポンジでのばす。 ② 資料 を① の上 にのせ、破れた部分や欠損部分 に注意 を払 いなが ら軽 く指先でのばす。 ③ ② の上 にSCMC(メチ ルセル ロース炭酸 ナ トリウム)糊 をひ く。 ④ 薄葉紙 (Lenstissue又 は Spidertissue) を③ の上 に 被せてスポ ンジでのばす。 ⑤ ④ の上 にサポー トシー トをもう1枚被せ、それ を支 えに 全体 をひっ くり返す。 ⑥ ⑤ の上 にポ リエステルシー トを敷 く。 ライトボックス サポートシー ト SCMC糊 ⑦ ライ トボ ックスの ライ トをつけ、ポ リエステル シー トの 上 に補修用の和紙 をお く (資料の紙の 目に合 わせ る)。 欠損箇所のエ ッジにそって針 あるいはSCMCの極 薄溶液 ひ を漬けた水ペ ン (waterpen)で線 を措 く。つ ぎに、措 いた線 にそって和紙 を裂いて繊維 を長 くのばす。 ⑧ ライ トを消 し、ポ リエステルシー トとサポー トシー トを ライ トを 取 り除いて⑦ で裂いた和紙 を資料の欠損部分 に置いてい っける く。小筆で重 な り部分 に糊 をお き、指先で和紙の繊維が 資料 にな じむように広 げる。 ⑨ 再 びポ リエステル シー トを被せ、その上で別の薄葉紙 を 欠損部分 よ り1cm程度大 き くなる よう針 で線 を描 く。 線 にそって手で薄葉紙 を裂 く。 ⑲ ポ リエステルシー トを外 し、薄葉紙 をサポー トする部分 に貼 りつける。 ⑪ ⑲ の上か らさらに糊 を引 き、手でな じませてスポ ンジで 余分な糊分 をふ きとる。 ⑫ サポー トシー トを再び被せ、さらに渡紙 にこれらを挟み、 プレス機 にかけて一晩乾かす。 ⑬ 翌 日プ レス機か ら⑫ を取 り出 し、湊紙 をかえて締め板 に 挟 んで重石 をかけ乾かす。 ⑭ 完全 に乾いたら、資料の元 々のエ ッジ ぎりぎりをは さみ で切 り離 し、完成。 つ くり返 す ら 「 I「Jr _撃 け十 、ぺll / 針 や水 ペ ンで欠損部のエ ッジにそ って線 を描 く 欠損部 の形 に合わせ て裂 い た和紙 食 い裂 き部 分 を重 ね、指 で繊維 をな らす a/ 腰 茸琶態 舞茸 鼓式 量きき注賀至宝…書芸濫 認 主菜溢瓢 湖 a濾紙 bサ ポ ー トシート C薄葉紙 d資料 e和紙 (補修紙 ) -10

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0-図2 修復 の手順 (写真 ) ウェ ッ ト ・リペ ア 二 ㌢ \ 、 .し _き 15--i サポー トシー トに資料 をのせてスポ ンジでのばす lぎI1(D-(令 1 水ペ ンで裂いた補修紙 を欠損部 にお き、針 で整 えてい るところ。 (ラ-(参 ・-15,.._ L\ \ / / J \ 補修紙の上か らSCMC糊 をお き、繊維 をな じませ る。

L

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ポ リエステル シー トをのせ 、その上 で補 強用の薄紫紙 を切 り抜 き (上)、 シー トを外 して本紙の欠損部分 に 漉紙 に挟 んで乾か し (上)、エ ッジを切 って完成 (下) ⑫-㊨

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ドライ ・リペ ア ライ トボ ックスの上で資料 を透過 し、欠損部分 のエ ッジにそって補修紙 に線 を描 く。 本文中③-④ 描いた線 にそって補修紙 を裂 く。繊維 を毛羽出 す ように して切 り取 る。 ⑤ タッキングアイロンで補修雑 を本紙 と仮止め し (左)、 補強用の薄紫紙 を被せてさらに仮止めする (右)0

あー

ヒー トプレス機 に挟んで、完/Eに接弟 させ完成O (8) -10

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2-2-3 ドライ ・リペア ドライ ・リペアはいわゆるラ ミネーシ ョンのことで、 ウェッ ト・リペアに比べて技術的に も簡単で、 また短時間で修復で きる方法である。1936年 、 ウ イリアム-バ ローによって大量 の劣化資料 を処理す る方法 として試験化 され、1957年 にW.H.ラ ングウェルによって改良 され実用化 された方法 1である。 ドライ ・リペ アで は、熱可塑性 の接着剤 (PVA)がついた薄葉紙 を使用 し、 タッキ ングアイ ロンと ヒー トプ レス機で熟 を加 えて接着す る。 [ドライ ・リペ アの手順] (図2参照) ① ラ ミネーシ ョン用の紙 を台紙か ら剥が して机 に広 げる。 信任)の上 に資料 を置 き、 タッキ ングアイロンで資料 の周辺 を押す ように して接着 し、仮止めす る。 ¢×丑をライ トボ ックスの上 に置 き、資料 と同等 の厚 みの補修紙 (紙 の 目を合 わせ る) を欠損箇所 の上 にのせ る。 ライ トをつけて透過 し、 タッキ ングアイロンで補修紙 を軽 くラ ミネー シ ョン用 の紙 に貼 る。 ④ ライ トをつけて資料 の欠損部分のエ ッジにそって針で補修紙 に線 を措 く。 ⑤描 いた線 に沿 って補修紙 を食い裂 き状 に切 り取 る。 GX9を資料 の欠損部分 にあてて タッキ ングアイロ ンで仮止めす る。 GX9の補修紙 よ り若干大 きめにラ ミネー シ ョン用 の化繊紙 を切 り、⑥ の うえに被せ る。 タッキ ングア イロンで仮止めす る。 ⑧ ヒー トプ レス機 に20-30秒 間かけ、補修紙 と化繊紙 を完全 に接着 させ る。 (9元の資料 の形 に裁断 して完成。 3 修復方法の選択 前章で英国の修復技術 について述べ 、 ウェ ッ ト ・リペ ア と ドライ ・リペ アの具体的手順 を示 した。 これ らの方法 はいずれ も欠損部分 を埋 め薄葉紙 で補強す る点では同 じだが、水 を使 うか熱 を便 うか と い う点 に大 きな違いがある。 また、作業工程 や時間に も開 きがあ り、技術 的 に も前者 の方が よ り経験 等 を要す る微密 な作業 だ といえる。 この ような修復方法 をどの資料 に適用す るかについては前号 で述べ た とお りであるが、今一度振 り 返 ってみることに したい。 まず、 ウェ ッ ト ・リペ アを適用す る資料 についてだが、英 国では1800年か ら1850年 を境 に して各館 で資料の大凡の適用基準 が決 まっている ようである。PROで は1840年 を境 と し、それ以降の資料 は なるべ く何 もしないか ドライ ・リペ アによって処置 している とい う。その理 由は酸性紙の登場 と紙 の 大量生産の時期 に根拠 をおいている。それ以前 の紙 の多 くが ラグペーパ ー と呼 ばれる古着 を再利用 し た綿等の素材 であったが 、それ以降 となる とパ ルプ材 で しか も酸性サ イジ ングが施 された保存 には向 かない紙が主流 を占め るようになったか らである。 近現代 の文書 はほ とん どが酸性紙 であ り、その保存 は極 めて深刻 な問題 となっている。 この膨大 な 資料群 を残すために選択 された方法が ラ ミネー シ ョンとい う技術 であ り、一度接着 した ら薬品 を使用 しない と元 に戻す ことが難 しい とい う点は考慮 して も、大量 に処理す る手段 として この方法が好 ま し

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い として採用 されているのである。翻 って、沖縄県の場合 を考 えてみると、残 されている資料のほと ん どが近現代文書であ り、酸性紙特有の問題 を抱 えている。 これ らをどう処理すべ きか、英国 との歴 史の違いか ら一概 には比較 はで きないが、そ もそ も大量 にある資料 に対 し原形 をどこまで残すか、そ のためにどの技術 を適用す るのか、真剣 に検討 してい く時期が来ている。 あわりに 筆者は、英国の コンサベ-シ ョンについて公文書館 の現場で各々の コンサベー タ-たちか ら直 に学 ぶ機会 を得 ることがで き、技術面は もちろんだが理念的な部分で非常 に大 きな影響 を受けた。英国の 公文書館が 日本の公文書館 とどう違 うか考 えてみた場合、一 口にいえば歴 史の違いを感 じる し、歴史 を知 るために資料 を保存 してお こうとい う姿勢が違 うように思 える。英国では地方の公文書館であっ て もその地域の 1千年近 く前の記録 を保有 し、それ らを現在 も将来 に向けて保存 しようと努力 し続け ている。それが英国の コンサベ-シ ョンなのである。 しか しなが ら、 コンサベ-ションが個別の ものか ら大量の ものへ と目線 をかえることになって以来、 予防的保存 にかかる業務 は増す一方である。 とくに、近年では施設の改良や空調設備等、保存環境面 の整備 に重 きが置かれ、保存容器や代替化等の事業 に予算や人員が動いている。 その ような情勢 についてコンサベー タ-たちに聞いた ところ

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年代 に入 ってか ら予防的保存 と 処置的保存の占める割合 は逆転 し、今 では通常業務の約

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割が予防的保存 に占め られているとい う。 また、利用促進のためデジタル化等の新 しい事業が増 え、修復 などにかかる時間の確保が難 しくなっ ているとい う。国立公文書館 の ような大 きな施設では予防保存 に関す る業務 はプリサーベ-ション部 門が担い作業 も分業化 しているが、州立公文書館の場合、予防的保存か ら修復 まで全ての作業にコン サベー タ-が関わるので、業務内容が変化 して くるのは当然であろう。 コンサベー タ-たちはい う。修復業務が減 ったことで全体の資料 を見渡す時間が多 くなったが、修 復する時間が短 くなる と技術 を維持す るの も困難 になってい くと。修復が人の手で行われる限 り、経 験か ら生 まれる知識や感は養 い続 け られなければならないであろ うが、実状 は厳 しい ようである。 沖縄県公文書館 において も同 じようなことはいえるが、新 しい館 だけにいろいろな面でチ ャレンジ で きる状況で もある。今、我 々が必要 なのは確 固たる保存方針 をもち、各々の作業が一つの体系の中 の要素 として行 われていることを理解で きるような体制づ くりだ と思 う。その上で、予防的保存の実 践 と処置的保存のバ ランス を保 ち、必要 な ものに的確 に対処で きるようなシステムを構築すべ きであ

ろう。

英国研修の最大の 目的は、当館が所蔵す る琉球政府文書の保存 について体系的な保存措置 を検討す るための技術の取得であった。すで にマイクロ撮影事業が始 ま り、一部の原資料では保存状態が分か りづ らくなって しまっているのが現況ではあるが、琉球政府文書の利用サー ビスを促進するためにも、 まずは原資料 の特徴 をつかみ、計画的に保存業務 を遂行することに役立ててい きたい。 (おおわん ・ゆか り) - 10

図 2 修復 の手 順 ( 写真 ) ウェ ッ ト ・リペ ア 二 ㌢ \ 、 .し ̲ き 1 5 ‑ ‑ i サポー トシー トに資料 をのせてスポ ンジでのばす l ぎ I 1 ( D‑ ( 令 1 水ペ ンで裂いた補修紙 を欠損部 にお き、針 で整 えてい るところ。 ( ラ‑ ( 参 ・ ‑15,

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