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群馬県みなかみ町における観光調査: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Author(s)

圓田, 浩二; 上原, 寛之; 仲宗根, 健; 比嘉, 洸樹; 前川, 次郎;

宮城, 成亜; 山城, 耀平

Citation

沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL

OF LAW & ECONOMICS(25): 99-107

Issue Date

2016-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/20265

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1.調査の目的  私たちは、「観光資源の開発と利用を探索する」という目的で、2015年6月19日から22日まで、 群馬県みなかみ町を訪問した。私たちの問いは、「関東地方にある山と森林に囲まれたみなかみ 町では、どのような観光が行われているのか」であった。沖縄とは違い、海やサンゴといった観 光資源のない地域を調査することで、沖縄観光に対する何らかの新しい視点の獲得や、新しい提 案ができのではないかという意識もあった。  本報告書では、みなかみ町への観光調査(アンケートとインタビュー、参与観察)で得た情報 をもとに、みなかみ町の観光実態とその課題を浮き彫りにする。最後に、観光資源の開発と利用 という観点から、沖縄観光との比較から見えた観光の問題点を呈示する。  なお、執筆箇所は、1と6が圓田、2が山城、3が前川、4が上原と比嘉、5が仲宗根と宮城である。 2.みなかみ町について  みなかみ町(みなかみまち)は、群馬県利根郡の町である。2005年10月1日、利根郡月夜野 町・水上町・新治村が新設合併して誕生した。群馬県最北端に位置し、群馬県内で最も広い面積 をもつ市町村である。みなかみ町では、水上温泉郷や猿ヶ 京温泉といった温泉が多数あることで有名である。みな かみ町の面積は781㎢と広く、沖縄県でこれと近い面積 の地域を探してみると沖縄県本島北部(名護市、国頭村、 大宜味村、東村、本部町、今帰仁村、恩納村、宜野座村、 金武町)の764㎢である。  みなかみ町の人口は、1965年がピークで33,470人で あった。しかし、2015年9月1日現在の人口は19,296人 となり、1965年と比較すると、人口が14,174人減少して 【調査報告】 キーワード:アンケート調査、エコツーリズム、観光資源、過疎、町おこし The Tourism Survey in Minakami

圓 田 浩 二*1 上 原 寛 之 仲宗根   健  比 嘉 洸 樹 前 川 次 郎  宮 城 成 亜 山 城 耀 平

群馬県みなかみ町における観光調査

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 196 5 年 197 0 年 197 5 年 198 0 年 198 5 年 199 0 年 199 5 年 200 0 年 200 5 年 201 0 年 201 5 年 図1 みなかみ町の人口推移*1

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いる。図1を見てわかるように、年々人口が減少している。その理由は、過疎化や少子高齢化な どの影響であると考えられる。  みなかみ町の主な産業としては、農業と観光産業がある。農業ではリンゴ・さくらんぼ等の果 実の生産が盛んであり、お土産店などにもリンゴ・さくらんぼなどを加工し作られた商品が多く 並んでいる。そして、みなかみ町の産業構造において、69.1%(*2参照)を占める観光産業は、 温泉地やアウトドアスポーツを観光資源として成り立っている。関東圏からの観光客が多く訪れ ている。春から秋にかけては、川の長さが322㎞で全国2位の利根川で行うラフティングをはじめ、 キャニオリング、カヌー、マウンテンバイク、ツリークライミングなど多くのアクティビティで 賑わう。また冬は多くのスキー客が訪れる。近年は、日本への観光ブームもあって、外国からの 観光客も多く訪れているようだ。他の地域ではなかなかできないスポーツ体験型観光にも力をい れており、地形を活かしたパラグライダーや利根川に架かる橋からジャンプするバンジージャン プも人気を集めている。  みなかみ町の名所である谷川岳は町のシンボルの一つである。谷川岳ロープウェイに乗ると、 標高1300mの天神平スキー場まで約15分で行くことができるため、気軽に絶景を楽しむことがで きる場所としても人気がある。谷川岳ロープウェイの天神平駅から谷川岳頂上まで、徒歩で、平 均2時間半で行くことができるため、多くの登山客で賑わう。1930年の清水トンネルの開通を 契機に登山が活発になった。その後、谷川岳は1949年に「上信越高原国立公園」として指定され た。そして、山小屋や登山道が整備されて、1日に7千 人の登山者があった。1960年代、1970年代には、全国的 な登山ブームがあった。ピーク時の1971年には、67,653 人の登山者が記録されている。近年の登山ブームによ り、2014年の登山者数は62,176人になった。この数字は、 1971年の67,653人に迫る数である。  今は、谷川岳山頂登山コース(約5時間)や天神尾根 ウォーキングコース(約2時間)、一ノ倉沢岩壁トレッ キングコース(約1時間50分)などの3つのコースがあ 年 入国者数 国 (延べ泊数) 群馬県 (延べ泊数) みなかみ町 (延べ泊数) みなかみ町 (延べ泊数) 2010 年 8,611 万人 2,751 万人 不明 不明 2,336 人 2011 年 6,219 万人 1,842 万人 不明 不明 2,266 人 2012 年 8,358 万人 2,631 万人 不明 不明 5,493 人 2013 年 10,364 万人 3,350 万人 108,930 人 6,373 人 6,708 人 2014 年 13,413 万人 4,482 万人 109,190 人 10,076 人 11,222 人 表 1 入国者数と宿泊者数の推移〈年度累計〉*3 写真1 一の倉沢の岩壁*4

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る。登山者が増えている理由は、登山ブームやロープウェイの運行、登山コースの整備などによっ て、登山の初心者でも軽装で登れるようになったためであると考えられる。 3.みなかみ町におけるエコツーリズムの取り組み  エコツーリズムとは、地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝え ることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み ( 引 用  環 境 省 ホ ー ム ペ ー ジhttp://www.env.go.jp/nature/ecotourism/try-ecotourism/ about/ 閲覧日2015年10月23日)とある。  もともとは発展途上国において、森林伐採などの自然破壊から自然を保護し、自然を活かした 経済発展を行おうとする考え方として注目された。日本では、2007年6月には「エコツーリズム 推進法」が成立し、2008年4月から施行されている。  今回、私たちが訪れたみなかみ町は「谷川岳エコツーリズム推進全体構想」を環境省等の関係 省庁に提出し、2012年6月29日に全国で3番目、国立公園内では初のエコツーリズム推進法の認 定を受けた。全体構想実現のための具体的な取り組みとして「モニタリング調査」、「魅力の発信」、 「安全の確保」を行っている。  モニタリング調査では、自然への負荷の状況を調査し、適正利用に活かしている。魅力の発信に ついては、パンフレットの作成や案内板やベンチを設置している。一の倉沢までの道中の樹木に 番号と名札をつけこれらの樹木の説明をガイド本としてまとめてインタープリテーション(自然 と人間の仲介となって解説を行うこと)などの教材として活用している。安全の確保については マイカー規制を行い、一の倉沢へ向かう道の通行を規制している。  表2は、みなかみ町の2011年度から2014年度までのエ コツアー参加の者推移である。2012年度から2013年度 にかけ、星の鑑賞会を含む参加者が減っている理由はツ アーの回数自体を減らしているためで、実際には一度の ツアーに対する参加率は上がっている。また、星の鑑賞 会を含まないエコツアーの参加者は、2013年度から2014 年度にかけて少し減少したが、全体的には上昇傾向にあ る。さらに、谷川岳エコツアーのクオリティの向上のた めにインタープリター研修としてガイダンスに係る有益 なスキルを習得するための講座を開講し、ガイドのスキ ルアップを図っている。  私たちは2015年6月に「テーマ演習Ⅱ」でみなかみ町 を訪れ、エコツアーの一つである谷川岳一の倉沢エコハ イキングツアーに参加した。一の倉沢は、剱岳・穂高岳 とともに日本三大岩壁の一つに数えられている。この コースは、ガイドと共に片道1時間半程かけて一ノ倉沢 の下まで登り下りする、約3時間程度のツアーである。 道中ガイドは動植物や地形などの谷川岳に関する説明を 表2 エコツアー参加の者推移*5 星の鑑賞 会を含む 星の鑑賞会 を含まない 2011年度 9,172人 429人 2012年度 6,133人 564人 2013年度 4,653人 781人 2014年度 4,632人 714人 写真2 ガイドから説明をうける私達 2015.6.21 撮影

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おこなう。このツアーでは、電気バスも運行しているので足腰の弱い年寄りなどでも気軽に参加 できる。 4.アンケートからみるみなかみ町の観光実態  次に紹介するデータは2015年6月20日から6月22日までの3日間、群馬県みなかみ町で行った アンケート調査の結果である。みなかみ町を訪れた観光客77人を対象にみなかみ町の観光行動と イメージに関する調査を行った。  問1の「性別と年齢を教えてください」という質問に は次のような結果が出た。図2を見ての通り、男女比の 差は大きくないことがわかる。男性が53%、女性が47% とほぼ半々となっている。観光客の年齢層はどうなって いるだろうか。図3を見てもらうとわかるように、20代 と30代が多くみられる。その理由としては、近年みなか み町ではラフティングやキャニオリング、バンジージャ ンプなど若者向けのアクティビティが観光のメインに なりつつあると考えられるからである。  問2の「出身と現在のお住まいの地域を教えてくだ さい」に対しての回答は、次のような結果が出た。出 身地のグラフ上位5つは埼玉県 18 人、東京都 13 人、 新潟県7人、群馬県6人、大阪府6人となっている。 現住所については図4を見ての通り上位5つは埼玉県 28 人、東京都 14 人、神奈川県9人、新潟県7人、長 野県・茨城県・群馬県はそれぞれ3人ずつで、みなか み町を訪れる人は関東圏在住の観光客が多いことがわ かる。関越自動車道が整備され東京から車で約2時間 ほどの距離にあり、容易にアクセスできるようになり、 また新幹線で東京から1時間ほどで行けるようになっ たためだと考えられる。  この結果から、みなかみ町は全国的な観光地ではな く、関東圏在住者の人たちの観光地であると考えられ る。問3の職業の質問には、会社員38人、公務員12人、 パート・アルバイト8人、主婦(夫)8人、無職5人、 自営業1人、学生1人、その他4人となっており、会 社員と公務員が多いのがわかる。調査日が週末だった ため、会社員や公務員は、土日の休みを利用してみな かみ町に訪れたと考えられる。温泉に入り疲れを癒し、日常のストレスをアウトドアスポーツな どで発散するために訪れていると考えられる。  問4の「どのようにしてみなかみ町を訪れましたか」という質問に対する回答は次のような結 図2 男女比 図3 年齢 図4 現在所 男 53% 女 47% 0 5 10 15 20 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 不明 0 10 20 30 長野・茨城・群馬 新潟 神奈川 東京 埼玉

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果が出た。図5を見ると、自家用車56人、電車14人、バ ス13人、レンタカー2人となっていて、自家用車が多い ことがわかる。理由としては問2で述べたように車で 手軽に行ける距離に加えみなかみ町は交通の便が悪く、 自家用車を利用した方が利便性を高めることができる ためだと考えられる。電車14人は、上毛高原駅に上越新 幹線が止まるため2番目に多い。そもそも空港がなく海 もないため、地上の交通手段に限られる。  問5の「今回の訪問で何度目の訪問になりますか」と いう質問は、図6を見ると、1回目が30人、2回目14人、 3回目9人、4回目3人、5回以上24人となった。2回 目以上が合計50人となっていて温泉や登山、アウトドア を目的にみなかみ町に来ているのではないかと考えら れる。趣味で登山やラフティングを楽しみ、日帰りがで きる手軽さが、リピーターを生み出していると考えられ る。特に5回以上のリピーターが多いのが特徴である。  問6の「滞在期間を教えてください」という質問に対 する回答は、日帰り28人、1泊36人、2泊11人、3泊1 人で土日を利用して訪れる人が多く、お手軽な観光、レジャー、温泉を楽しんでいることがわかる。 調査日が週末だったため、このような結果になったと考えられる。問7の「宿泊先を教えてくだ さい」という質問は、猿ヶ京ホテル6人、水上ホテル聚楽4人、ペンション朝寝坊13人、清流の 宿1人、水上館8人、ユニファーいわびつ1人、ホテル湯の陣11人となった。週末に宿泊した料 金(2人1部屋)で比較した場合の1人当たりの料金は、猿ヶ京ホテル16,500円、水上ホテル聚楽 15,600円、ペンション朝寝坊10,260円、清流の宿10,800円、水上館10,185円、ユニファーいわび つ10,260円、ホテル湯の陣13,800円となり平均予算は約12,500円となった。週末にホテル、旅館 を利用する観光客は、宿泊だけで約12,500円、2人で約25,000円を使っていることが推測できる。  問8の「何人で訪れましたか」に対しての回答は、1人で訪れた人が3人、2人で訪れた人が21 人、3人で訪れた人が10人、4人で訪れた人が18人、5人以上が23人である。問10では近親者同 士が4人、ファミリーが21人、友人が25人、恋人が8人、その他が16人となっている。1人で訪 れるよりも友人や家族で楽しむような観光メニューが 多いので、団体の観顧客光客が多く訪れると考えられる。  問9の質問「今回の旅の目的を教えてください」は図 7のような結果になった。レジャー・アウトドア39人、 温泉35人、食事10人、登山が9人である。レジャー・ア ウトドアが多い理由は、ラフティングやキャニオリン グ、バンジージャンプが観光のメインなので、それを目 的として訪れる人が多い。温泉や登山も有名なのでそれ を目的とした観光客もいる。問12の「次回は何を目的に 図5 交通手段 図6 訪問回数 図7 旅の目的 2% レンタカー 66% 自家用車 15% バス 17% 電車 30% 5回以上 4% 4回目 11% 3回目 18% 2回目 37% 1回目

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訪れたいか」という質問には温泉47人、レジャー・アウ トドアスポーツ30人、登山14人、SL4人という結果に なった。この結果から、みなかみ町は温泉、アウトドア スポーツ、登山をメインとした観光で成り立っていると 考えられる。  問10の「みなかみ町の最初の印象はどうでしたか」と いう質問に対する回答は、図8の通り、「とても良い」 22人、「良い」41人、「ふつう」13人である。問6では「実 際訪れてみてどうでしたか」聞いたところ「とても良い」 20人、「良い」46人、「ふつう」11人である。問15と問16 を比べてみると、来る前と来た時の印象にあまり差はな く、観光客にとってはイメージ通りの観光地であると考 えられる。  問11の「みなかみ町についてどのようにして知りまし たか」という質問は、観光ガイドブック16人、テレビ3 人、インターネット32人、友人家族などから知った26人、 その他9人となっている。ガイドブック、インターネッ ト、口コミが多いことが特徴で、問5で述べたリピート 率の高さの裏付けの理由となると考えられる。  料金に関する質問を行った問12では、交通、宿泊施設、 食事、スポーツ・アウトドア、おみやげ、総合評価につ いて、それぞれ回答してもらった。交通、宿泊施設、食 事、スポーツ・アウトドアに関して料金が高いと評価さ れている。スポーツ・アウトドアが高いと感じる理由は、 半日コースで実質8,000円となっており、時間は2、3時 間と短いためである。みなかみ町の重要な観光メニュー であるアウトドアスポーツは、価格の引き下げや内容の 充実が今後の課題となるだろう。  総合評価は図10のようになっており、「とても高い」が2人、「高い」が15人、「妥当」が47人、「安 い」が2人となっている。観光客にとって、みなかみ町は少し経済的負担が多い観光地と感じて いることがわかる。  問13の「みなかみ町でどんなお土産を買う予定(興味のある)ですか」の質問に対しての回答は、 生どら焼き29人、温泉まんじゅう25人、さくらんぼ12人、生大福10人、月夜野ビール6人が上位 5つであった。生どら焼きと生大福は、みなかみ町が誇る名物であり、温泉まんじゅうは、温泉 地なので定番のお土産である。さくらんぼは5~7月が旬で、調査日が6月だったので、お土産 として買って帰る観光客が多いと考えられる。 図 10 料金総合評価 図9 訪問後の印象 図8 訪問前の印象

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5.みなかみ町観光調査の特徴  私たちは2015年6月20日にみなかみ町役場の職員2名とホテルオーナ1名と意見交換会を行っ た。以下がその要約である。  みなかみ町にはエコツーリズムに取り組む背景がある。主に自然のことが言われており、 谷川岳や利根川を守ったり、生かしたりするのがエコツーリズムの背景になっている。  昔は、温泉目的で来る観光客が多く、また登山ブームで登山を目的にやってくる観光客が いた。しかし、最近では日帰りの観光客が増え、登山よりもラフティングやキャニオニング 目的で訪れる観光客が増えた。冬の観光メニューでは、スキーや、スノーモービルなどがあ り、外国人からも人気が出てきているようだ。また、さくらんぼなどのフルーツも観光客に 人気であり、外国人にも評判になっている。  みなかみ町でラフティングが始まった理由は、利根川が日本で2番に長い川(一番は信濃 川)であり、水が飲めるほどきれいな川で他の川と違って、上流が激流になっているためラ フティングが広まった。  みなかみ町の観光理念は「守る、生かす、交わる」で、実際に「守る、生かす、交わる」を、 モニタリングの調査で検証している。モニタリング調査は、全国的に見ても、多くの人やお 金がかかるので、みなかみ町では簡易モニタリングを行っている。この方法は、ガイドを行っ ている時に気づいた点などをツアー終了後にモニタリングシートに記入してもらい、モニタ リングのデータを蓄積することである。  今後のみなかみ町の課題として、①ガイドがガイド業だけで生計を立てれるような仕組み を作ること、②観光客を受け入れるための人材育成、③団体客への対応、④観光に対する情 報発信を迅速に行い、町の観光をより良くすることである。  みなかみ町は、過去に団体旅行による温泉旅館の利用 や登山ブームによって観光のピークを迎えた。その後人 口減少もあり、新しい観光のあり方を模索している。そ の例として3で取り上げたエコツーリズムがある。日本 の多くの地方自治体と同様に、少子高齢化による人口減 少が大きな問題となっており、町の人口がピーク時のと きと比べ12,871人減少している。みなかみ町は、エコツー リズムや、若者に人気のあるラフティングやキャニオニ ング、トレッキングといったアウトドア・レジャーなど の、自然を生かした観光を目指している。だが、人材育 成やPR不足、写真3のように、廃業した旅館・ホテルがそのままに残っているような景観問題 があげられる。  しかし、私たちが訪れてみて実感したことは、アウトドアはとてもスリリングであり、また宿 の食事や温泉もとても良かったので、多くの人々、特に若者にはぜひ観光で訪れてほしいと感じ た。その若者たちが成長して、家族連れとなって再びみなかみ町を訪れ、その子育てが一段落し 写真 3 廃業したホテル 2015.6.19 撮影

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て温泉を訪れるといった、循環が必要であると感じた。4で取り上げたように、みなかみ町は、 来る前と来た時の印象にあまり差はなく、観光客にとってもイメージ通りの観光地として、リピー ト率が高く、また老若男女が楽しめる観光資源を多くもっている。今後、関東圏在住者だけの観 光地だけではなく、全国的、さらに国際的な観光地を目指せるだろう。 6.観光資源を生かした観光と観光客層の変遷について  沖縄県の調査によると、2014年の入域観光客数は、前年比10.0%増の705万6200人で、過去最 高を記録した。内訳は、国内客が5.1%増の616万2700人、外国人客が62.2%の大幅増で89万3500 人であった。今や、沖縄観光を牽引しているのは、その伸び率から見ると、外国人観光客と言っ ても、過言ではない。要因は、円安や航空路線の拡充、クルーズ船の寄港回数増などが挙げられ る。沖縄観光は、国内観光地から国際観光地への変遷の移行期にあると言えるだろう。沖縄の、「青 い海、青い空」に象徴される亜熱帯リゾートのイメージが国内外にも広まりつつある。  みなかみ町は、今回の調査からわかるように、関東圏という地域限定の観光地である。今後、 観光地として発展していくためには、国内的な観光地、そして、国際的な観光地を目指していか なければならないだろう。観光資源は数多くのものがある。温泉や山、川、雪などの自然を生か したツーリズムが多様に展開可能である。今回取り上げたエコツアーもその一つである。問題は、 みなかみ町観光のもつ独自性のピーアールと、交通アクセスの改善である。国内的・国際的な観 光地となるには、東京を訪れた観光客が次の行き先として、みなかみ町を訪れるようになるのが 理想である。低価格化や高速化などの交通アクセスの改善、もしくは、競合する同じような観光 地を圧倒するような観光資源の魅力をもち、発信しなければならないだろう。  沖縄観光がもつ優位な点は、観光客の多くが航空路線でやってくることである。空港を起点に、 観光ルートや滞在計画が決定される。飛行機は、国内外の空港と空港を直に結ぶので、移動が直 線的で制限される(車や鉄道での移動のように、ちょっと寄ってみることができない)。行きと 帰りチケットを購入したら、その間はその地に滞在しなければならない。その時間が観光行動と して消費される。一方、みなかみ町を訪れる観光客の多くは、自動車での移動である。自動車で の観光は、昼間に移動することが多く、運転手への負担が大きいため、短距離・短時間になりが ちである。この問題を、交通アクセスの問題として、どう改善していくかが、みなかみ町観光の 大きな課題である。この課題をクリアして、国内的な観光地・国際的な観光地への段階的移動が 可能になるだろう。 脚注 *1 沖縄大学法経学部教授・圓田浩二、沖縄大学法経学部3年生・上原寛之、仲宗根健、比嘉 洸樹、前川次郎、宮城成亜、山城耀平。 *2 みなかみ町役場提供資料より作成した。 *3 みなかみ町役場提供資料より作成した。 *4 http://snow-country.jp/?a=contents&id=471(閲覧日2015年11月13日) *5 http://snow-country.jp/ 雪国観光園ホームページ (閲覧日2015年11月13日) 

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*6 谷川岳エコツーリズム推進協議会 定期総会 参照。 参考文献・資料 風見信昭 2014 『楽しもう!エコツーリズム:里山から世界自然遺産まで』 秀明出版 岸良 昌 2013 『いなかツーリズム:自然を活かしたまちづくり』 みなかみ町役場 敷田麻美 2011 「エコツーリズム」『よくわかる観光社会学』 ミネルヴァ書房 pp.32-33 谷川岳エコツーリズム推進協議会 2015 『定期総会 資料』 谷川岳エコツーリズム推進協議会

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