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コロナ禍における図書館の対応とこれから
2020 年に入り突如猛威を振るい、今や全世 界に流行し未曾有の災厄をもたらしているコ ロナウィルス。本学も学生の入構制限など大 いに影響を受けたこの状況に対し、中央図書 館事務部で行った学習・研究支援を紹介いた します。 大学の学生への入構制限により、中央図書 館に入館して学習することが困難な環境の中、 最も有効な手段が 2 つ挙げられました。一つ はインターネット環境で本文が読めるオンラ イン媒体の提供。もう一つは図書資料の宅配 サービスです。ここでは前者を詳しく紹介し ます。 元来、オンライン媒体も大学の敷地内設置 のパソコンでの利用が基本であり、一部のコ ンテンツが大学の認証システムを用いて自宅 や留学先などから利用ができる環境にありま した。具体的には RemoteXs(SSL-VPN)シ ステム、学認サービス、企業独自の ID などが あります。ここで世界の多くの学生が大学に 入構できなくなったことから、これまで学外 からのアクセスを認めてこなかった多くの企 業が期間限定で大学の敷地外からもアクセス できるよう緩和されました。日本国内の企業 に加え、特にドイツやアメリカなど海外のコ ンテンツにその動きは多く見られました。中 央図書館自らも契約先に状況を説明した結果、 さらに多くのコンテンツが大学の外から利用 できるようになりました。 さらに医療や薬に関わる論文を扱う各出版 社がコロナウィルス関連の特設サイトを無料 で提供をはじめましたので、それらを集め中 央図書館ホームページに紹介もいたしました。 <近畿大学中央図書館ホームページより> また、オンライン媒体の中でも書籍の電子 版(以下、電子ブック)は紙製の図書と同様 に必要なものをその都度購入する仕組みと なっております。中央図書館はこの充実にも 更に力を入れました。2020 年 4 月からは学術 書を扱う Maruzen eBook Library の電子ブッ クコンテンツの購読希望を学生から中央図書 館が受けられるようリクエストサービスを始 めました。そのほか、教員からの図書購入申 請においては電子ブックを優先して導入して おります。 これら電子媒体の利点は利用環境の広さと 即時性にあります。利用環境の広さには更に 2 つの意味があり、一つは 1度の購入で多くは 近畿大学 6 キャンパスすべての利用者を利用 対象者にすることかでき、もう一つは PC やス マートフォンなど表示媒体を問わないことで す。即時性においては輸送時間などが省略さ れることです。 今後の課題としては、電子媒体の多くは同 時にアクセスできる人数に制限があるものが 多く、このコロナ禍において人数制限の緩和 中央図書館事務部 収書・整理課 主任出 田 善 明
中央図書館ホームページ 香散見草:近畿大学中央図書館報 No.53, 2021コロナ禍における図書館 2
− −21 をいくつかの契約先が期間限定で実施されま した。現在も本学は学生が自宅からインター ネット環境を使ってパソコンで授業を受ける ことが許可されていることから、一度に電子 媒体へのアクセスが集中する状況が起こって います。よって、電子コンテンツの充実に加 え、これらへの最大同時アクセス人数の増加 も急務となっております。 最後に、このコロナ禍の終息が見えず、第 3波も来つつある現在、学生や先生の意識が大 きく変わっています。まずは電子媒体の利便 性は非常に高く有益であることから引き続き コンテンツの充実や利用条件の拡充をしつつ、 学生や先生の意見を集めながら環境や意識の 変化に適応したサービスを迅速に提供してま いりたいと思います。 コロナ禍における図書館の対応とこれから (出田)