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小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性 : 旭川市内の小学校調査から

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(1)Title. 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性 : 旭川市内 の小学校調査から. Author(s). 芝木, 邦也; 大西, 有; 宮本, 芽生. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(1): 131-140. Issue Date. 2014-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7557. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 5 .No. l. 平成 2 6年 8 月. Augus . t2014. 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性 旭川市内の小学校調査から. 芝木邦也・大西. 有*・宮本芽生林. 北海道教育大学旭川校 *北海道教育庁日 1教育局 ネネ神奈川県秦野市山:広畑小字校. D e v e l o p a b i l i t yo fArtandTechnologyE d u c a t i o ni nTerms o fI n t e g r a t e dS t u d i e sC l a s s e sa tElementaryS c h o o lL e v e l s Ont h eB a s i so faR e s e a r c hi nElementaryS c h o o l si nAsahikawa. SHIBAKIK u n i y a .OHNISHITamotsu*andMIYAMOTOMei 料. AsahikawaCampus.HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n XamikawaD i s t r i c tO f f i c eo fE d u c a t i o n .HokkaidoBoardo fE d u c a t i o n. キ. H i r o h a t aElementarySchoo . lKanagawa. ネキ. 概要 子どもの理科離れ,ものづくり離れが叫ばれて久しい。教育現場において,理科離れ,もの づくり離れはなぜ進んでいるのか。本論文では,小学校における総合的な学習の時間の内容に 着目し,小学校「総合的な学習の時間」における「ものづくり」の実態を捉え,「ものづくり」 を取り入れた学習活動を充実させるために必要な取組について明らかにすることを目的とす る。研究対象は,旭川市内の小学校 5 6 校の総合的な学習の時間の取組内容である。各学校にお ける総合的な学習の時間の内容を確認し「ものづくり」の実施状況やその内容について捉える。 最後に,これらの分析をもとに,小学校における総合的な学習の時間における「ものづくり」 の意義を再確認し,取組の充実を図る上での課題について考察する。. しはじめに 平成 2 0年 1月の中央教育審議会の答申 1)におい て,教育課程の基準の改善のねらいが示されると. 7 ) 教 ともに. 7. 教育内容に関する主な改善事項(. 育内容に関する主な改善事項が示された。その中 で,ものづくりについては,次のように示されて いる。. 1 3 1.

(3) 芝木邦也・大西. (ものづくり). ゐ・宮本芽It. 聞をかけて何かを作り出すことで身の回りの物を. O我が国の経済は,ものづくり分野の強い競争力. 大切に思い,感謝の気持ちを持って扱うことがで. によって支えられていることは言うまでもな. きるようになると考える。また問題解決能力の育. い。しかし,近年,子どもたちが実際にものを. 成や子どもの巧椴性の向上といった観点からも,. つくるという経験が減少しているとの指摘があ. 小学校教育に技術教育としての「ものづくり」が. る 。. 必要であると考える。. 0ものづくりの重要性は,単に作り手としてのも. 中学校学習指導要領解説技術・家庭編にも「技. のをつくる技術を習得するという観点だけでは. 術に関する教育を体系的に行う視点から,小学校. ない。むしろ轍密さへのこだわりや忍耐強さ,. での学習を踏まえた中学校での学習のガイダンス. ものの美しさを大切にする感性,持続可能な社. 的な内容を設定するとともに,他教科等との連携. 会の構築へとつながる「もったいない」という. を明確にし,連携を図る o」2)と述べられており,. 我が国の伝統的な考え方のほか,ものづくりで. 今一度,小学校と中学校のつながりや他教科との. 大切なチームワークや自発的に工夫や改善に取. 連携を行っていくことが重要であると考えられて. り組む態度も重要である。これらは図画工作科. いることが伺える。. や家庭科,技術・家庭科とともに,算数・数学. 以上のことより,本研究においては,すでに小. での数量や図形に関する学習,理科におけるも. 学校において技術教育を実践している大田区立矢. のづくりなどの科学的な体験や身近な自然を対. 口小学校3),和光小学校 4)での授業実践例を参考. 象にした自然体験,体育科での球技や音楽科で. にしながら,旭川市内の小学校「総合的な学習の. の合唱や社会科における文化財への理解ーなどを. 時間」における「ものづくり」の実態を捉え,「も. 通して培われるものである。また,地域での体. のづくり」を取り入れた学習活動を充実させるた. 験活動や読書活動などを通して伝統工芸などを. めに必要な取組について明らかにすることを目的. 支えてきた人々の生き方や考え方を知ることな. とした。. ども重視する必要がある。 しかし,普通教育としてこれらの中心的役割を 果たす技術教育は学習指導要領の改訂のたびに,. I I . 実態調査. 質的には美術教育や家庭科教育などに融合される. 技術教育としての「ものづくり教育」を小学校. 傾向を強め,量的には配当時数を削減され続けて. 教育に導入するに当たって,まず,現在の旭川市. きた。その結果現在では,普通教育を担う教科は,. 内の小学校での「総合的な学習の時間」の現状を. 実質上,中学校の技術科のみで,小学校教育にお. 把握することとした。具体的には,どんな目標を. いて技術教育はもちろん,技術教育としての本来. 立て,どんな内容を行っているのかを把握し,そ. の「ものづくり」はほとんど行われていない。そ. の上で「ものづくり教育」を導入するとしたらそ. こで,筆者らは,内容にいくつかの例示があるの. れぞれの学年のどの段階でどのように導入できる. みで,学年ごとの内容も示されておらず,各学校,. のかを検討するためこの調査を行った。. 各教師に学習内容も含め大幅な自主編成が認めら. 6 校に,学校ごとの「総合 本調査は旭川市内全5. れている,という性格をもっ「総合的な学習の時. 的な学習の時間」の目標及び内容を示してもらっ. 間」の中に,「ものづくり」の時間を設けること. 6校からの回答を得て,回答率は 64.3%であっ た 。3. ができるのではないかと考える。. た。その結果を系統ごとに分類・集計し旭川市. このようなことから,筆者らは小学校教育にお いて直接体験を通して子どもたちがものをつくり だすことの喜びゃ楽しさに気付き,自らの手で時. 1 3 2. 内の小学校の「総合的な学習の時間」の現状を調 査することとする。 分類・集計の方法は,目標や内容の中に出てき.

(4) 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性. 35 30 25 20. 15 10 5. 。 -};~、""~ や < , t > " t > _ ) 予 長 彰後 ゆ えゃ1" 'や やす 会 y や灸 3qc sや v私 も ρ や K,. V V ; . . V •"11 式p 7. 必やや~~令マルやや,,~γ「. ややギ(;1'"0<'-1'勢や可,- ",'J 教 と や命(;1' " フ 吃 ル ・ " i0 4 トホ T今. 1" V ,{~. ぷ‘鏡検グイ.ヂ JJ 作 者 手 ( ; 1 ヤ ? ¥ ? " ~~-,.~-"'" ¥ . . :. ー ポ. A ' ! . . J. L. ゴ 3 令 点 号 宇 ガフミ0 〆~>)) a. ぜ た 〉. y. γJ. ぷC. 司. o, # z>. ~:Çr. V. 機各学校の目標に含まれている文言 図 1 各学校の目標. た言葉を抜粋し,その数を数えた。ただし各学校. に関心を持つ力⑨学んだ事を生活に生かす力⑩. で一度出てきた言葉は,その後数えないものとす. 地域とかかわり,親しみや愛着を感じられる力,. る 。. である。身の回りのことから自ら疑問を持ち,課 題を発見していき,そこで試行錯誤しながら学び¥. m .結. 果. 1.各学校の「総合的な学習の時間」の目標 まず,旭川市内の小学校の「総合的な学習の時 間」の目標を調べた。ここでは,各学校の目標の 中で使用されていた文言を 20の項目に分類し, そ の数を集計した結果は図 1のようになった。. その学んだ事を実生活に生かすことのできる「生 きる力」を育むことに重きを置く学校も多いこと が分かる。 次に,技術教育としてのものづくり教育の観点 から,これらの目標を分析する。 土井康作の「初等教育における技術教育の現状 と危機 J5)によると, ものづくりは,図 2の工程. 旭川市内の小学校で、行われている「総合的な学. を踏むものとされている。「動因→構想→計画→. 習の時間」の目標は,①主体的に判断する力②. 設計→作業手}I[~→材料の選定・道具の選定→作業. 問題解決能力③探究的に学習する力④他者と協. →評価」の作業があり,この作業を繰り返してい. 力する力の育成を特に重視している学校が多い。. 課題を解決しようとする能力が求められているよ うだ。さらに, 1 5以上を示すのは⑤課題発見能. この遡穏を繰り爆している. 工具・仕事環境の点. 力し自分なりの答えを追求し,何とかして問題・. 計測・修蕊. 片付け. 状況に臨じて操作 鶴崎置する. 悪しなどを判断することができ,また,友達と協. 野鑑. 作業. 手鵬に沿って、村 料・遺典幸準備する. くのではなく,自ら考え行動し,その行動の良し. -aR. 段取り. 情のためにするか考 える. 安全性・便利・害華考 える寸法華決定する. 針箇. つくりた凶. 設計. 動因. 与えられた事をこなし,決まった答えを出してい. 力⑥自己の生き方を考える力⑦学び方やものの 考え方を身につける力⑧人・文化・環境・社会. 図 2 ものづくりの過程. 1 3 3.

(5) 芝木邦也・大西. ゐ・宮本芽It. 表 1 ものづくりの工程と目標の文言との関係 工. 干 主. 関わってくると思われる各学校の目標. 動因(っくりたい). -身近な事象からの課題発見. 構想(何のためにするか;考える). -自ら学び¥自ら;考える -主体的に判断 -問題解決能力 -思いやりの心 -白然 -環境. 計画(安全性・便利さを考える). -白ら学び,臼ら考える -主体的に判断する -問題解決能力 -互いに協力 -粘り強さ -情報収集 -多面的な視野. 設計(す法を決定する). -自ら学び¥白ら考える -主体的に判断 -問題解決能力 -粘り強さ -多面的な視野. 作業手 } 1 ! r J (作業段取りを考える). -白ら学び,白ら考える -主体的に判断 -問題解決能力 -粘り強さ -情報収集 -多面的な視野. 材料の選定・道具の選定(材料・道具 を準備する). -自ら学び¥白ら考える -主体的に判断 -問題解決能力 -互いに協力 -粘り強さ -多面的な視野. 作業(状況に応じて操作・調整する). -白ら学び,白ら考える -主体的に判断 -問題解決能力 -互いに協力 -粘り強さ -多面的な視野 -多領域で身につけたことを生かす. 評価(計測・修正). -互いに協力 -生活に生かす -自他の良さを見つける. くとあった。つまり「っくりたい→何のためにす るか考える→安全性・便利さを考える→寸法を決 定する→作業段取りを考えた上で材料・道具を準 備する→状況に応じて操作・調整する→計測・修. 1 3 4. 全イ本を通して関わってくると思 われる各学校の目標 -体験的な活動 -探究的な学習 -学び方やものの考え方を身につける。 -白分らしさ. 正」をするのである。 この工程に関わってくると思われる旭川市内の 各 学 校 の 目 標 を 表 1にまとめる。.

(6) 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性. 現在の旭川市内の小学校での「総合的な学習の. り外国の方と交流したりする学習を通して,グ. 時間」の目標(その目標によって身に付けること. ローパル社会に生きることのできる子どもたちの. のできる力)は,ものづくりの工程で身につける. 育成を目指しているようである。さらに,身の回. ことのできる力を多く含んでおり,ものづくり教. りの自然や環境の問題に目を向ける力を培い,自. 育と類似する点が多いと思われる。さらに表 1の. 分にできることは何かを自ら考え,少しでもその. 0以上の目標も 調査結果で明らかとなった図 1の2. 問題解決のために働き掛けることのできる子ども. ものづくりと大いに関連することが分かつた。し. の育成も重視されているようである。また,自ら. たがって旭川市内の小学校の「総合的な学習の時. の健康は勿論のこと,近年高齢化社会がますます. 間」に,「ものづくり教育」を取り入れることは. 進む日本の現状から,高齢者とのかかわりについ. 各学校の目標を見る限り可能であり,有効である. て考え,ユニバーサルな社会を目指して,障害の. のではないかと考えられる。. ある方のことを知り,関わることで,物の見方や 考え方に膨らみを持たせ,多様な視点で、物事や人. 2 . 各学校の「総合的な学習の時間」の学習内容. を見ることができる子どもの育成も必要としてい. 1)学習内容の実際. るようだ。. ここでは,学校ごとの「総合的な学習の時間」 の内容を系統分けし,学習テーマ構成の要素別に. では,ここで技術教育としてのものづくり教育 の観点から,これらの内容を分析する。. 集計した。ここでの集計方法は,図 1各学校の目. 学習テーマ名のみを見ていくと技術教育として. 標の集計と同様である。ただし,構成要素の項目. のものづくり教育に関連しうるものは,中学校技. 名は,アンケートの結果を参考にしながら項目分. 術分野 IC 生物育成に関する技術」に関わるも. けしたものである。結果は図 3のようになった。. のとして,「農園活動」と「飼育・栽培」の項目. 全体としては, 25以上を示す①国際理解②福 祉・健康・介護③自然・環境の項目が特に多い. が考えられる。そして,「ものづくり」の項目が 関わっているだろう。. 結果となった。現在旭川市の小学校「総合的な学. ここで注目したいのは,「ものづくり」という. 習の時間」では,外国文化と日本の文化を比べた. 6 校 項目である。回答を得ることのできた小学校3. 民リハ U. qdqο9494III-. 民リハリ尽リハリ尽リハ. u. 嬢要素名 図 3 各学校における学習テーマ構成の要素. 1 3 5.

(7) 芝木邦也・大西. ゐ・宮本芽It. の中で「ものづくり」という項目を立てているの. いう要素名の中に分類されてはいたが「ものづく. は 2校しかなかったということである。「飼育・. り」という言葉を出し,それを学習内容として実. 栽培」と「農園活動」の項目で,技術分野として. 施している学校が 1校あった。従って,「ものづ. のものづくり教育に関わっているといえるにもか. くり」の要素名を立ててものづくり教育を行って. かわらず,「ものづくり」としては考えられてい. いたのは 2校,「ものづくり」という要素名は立. ない現状があるようだ。「農園活動」は 1校,「飼. ててはいないがものづくり教育を行っていたのが. 育・栽培」は 5校が学習テーマとして位置付けて. 1校という結果になった。. いた。しかしながらその数は決して多いとは言え. 次に,「ものづくり」という言葉は表記されて. ないのではないだろうか。各学校の学習テーマ構. いないが「ものづくり」に関連し,分類できる可. 成の要素を見る限り,現在,旭川市内の小学校の. 能性がると思われる学習内容について見ていく。 ( 1 ) 栽培活動. 「総合的な学習の時間」の中での技術教育として のものづくり教育はほとんど行われていないとい うことである。. アンケートの結果によると,「ものづくり」に かかわる学習内容が位置づけられていたのは 6校 であった。さらに詳しく分析すると,「農園活動」. 2)学習テーマ構成の要素の具体的な学習内容. や「飼育・栽培」という項目では位置づけられて. 次に,それぞれの学年ごとの学習内容を分析し,. いなかったが,実際には栽培活動を行っている学. 技術教育としてのものづくり教育の観点から分析. 校は 1 6 校見られた。その内訳としては「自然・環. する。留意点として,分析していく中で,各学校. 境」の学習テーマの中で、扱っているのが 4校,「食. で 1つの学習内容を多項目に含むこととしている. 育」の学習テーマの中で、扱っているのが 4校,「健. ところが多くあり,また,学校ごとでひとつの学. 康」の学習テーマの中で、扱っているのが 1校,「環. 習内容に対し学習テーマ構成の要素が必ずしも同. 境J 1 " 健 康 J 1"地域」の 3つの学習テーマに関わら. ーではないことが分かつた。そこで,同一内容を. せて扱っているのが 1校であった。. 多項目に渡って表示していることところがあるこ. 栽培活動の内容は①野菜の栽培②大豆の栽培. と,また,要素名は不確かなものについては筆者. (→豆腐作り) ③さつまいもの栽培(→動物園. らが該当するであろうと思われる項目に分類した. での餌やり) ④田植え・稲刈り⑤バケツ稲の栽. ところがあることに留意してもらいたい。. 培. ⑥花の栽培と学校ごとに特色ある様々なもの. 全体としては,図 3で多かった国際理解,自然・. となっていた。対象学年は第 3学年から第 6学年. 環境,福祉介護,地域に関して,かなり詳しくま. にかけてどの学年でも行われているようだ。さら. た多様な内容の設定がなされていた。同じ学習. に栽培活動は「飼育・栽培」と「農園活動」に多. テーマを設定しているが,学習内容はやはり学校. く含まれているが,それ以外には「自然・環境I食. ごとの特色が出ておりバラエティに富んだ構成が. 育 J 1"生命」の 3項目の中に位置づけられていた。. なされているようだ。そして多くの学校で,総合. まず「自然・環境」についてみていく。「自然・. 的な学習時間の学習内容を単独としては見ておら. 環境」では,栽培活動を通して身近な環境を考え,. ず,他教科と常に関連させながら学習内容を考え. 環境問題を身近なものとして考えるという活動に. ている事も併せてわかった。. つなげているようだ。. 先にも述べたように,旭川市内の小学校では「も. 次に「食育」についてみていく。「食育」とい. のづくり」という学習内容を学習テーマ構成の要. う学習テーマ構成の中に栽培活動を含めて活動を. 素として立てている学校は 2校と少ない現状にあ. 行っている学校が多くあった。「食育」という学. ることが分かつた。しかし,「ものづくり」とい. 習テーマ構成のもと行われた栽培活動で育てた作. う要素名を立ててはおらず,大きくは「地域」と. 物などを収穫後調理する,という構成につなげて. 1 3 6.

(8) 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性. いるようだった。自分たちの手で苦労して栽培し. 関連する内容であると考える。. たものを食すことで食べることの大切さや作物の. ( 4 ) 日本の手作りのおもちゃ. 尊さ,また栽培の難しさを知ることで自分たちの. アンケート結果によるとこの内容は「伝統や文. 食生活を見直すきっかけとしているようだ。. 化」という学習テーマ構成の項目に位置づけられ. 最後に「生命」についてみていく。ここでは栽. ており,対象学年は第 3学年とされていた。どの. 培の成長を観察・記録していくことで,栽培活動. ようなおもちゃであるかは詳しくは示されてはい. を通して命を育て育む体験を行っている。自らの. なかったが,手工作業の要素を含んでいるという. 手で命を育てることで,命というものの尊さを知. 点でものづくりと考えられるのではないか。した. りどんなに小さな命でも大切にしようとする態度. がってこの内容も,中学校技術分野 iA 材料と. を育てようとしている。. 加工に関する技術」または,中学校技術分野 iB. 栽培活動では,様々な作物の栽培を行っている 点から中学校技術分野 iC 生物育成に関する技 術」に関連する学習内容であると考える。. ( 2 ) 紙を用いた活動. エネルギ一変換に関する技術」に関連する内容で あると考える。. ( 5 ) エネルギー エネルギーにかかわるものづくりを行っている. アンケートの結果によると紙を用いた活動の内. というアンケート結果は得ることはできなかった. 容は,①紙のリサイクル体験と②ジャンボ折り紙,. が,第 3学年から第 6学年にかけてどの学年でも. 紙のワンダーランドをつくるであった。これらは. エネルギーに関する内容を「自然・環境」という. 「自然・環境」の項目の中に位置づけられていた。. 学習テーマの中で取り扱っていた。したがって,. 対象学年は①が第 6学年,②が第 3学年であった。. 中学校技術分野 iB エネルギ一変換に関する技. 図画工作の要素が多いようにも思われるが,手. 術」に関連させながらものづくりを行うことがで. 工作業であることはもちろんのこと,紙について. きるのではないかと考える。. 知ることでその原料である木材にも日を向けるこ とができる可能性があるという点で紙を用いた活. 3)旭川市内小学校でのものづくり教育の取組例. 動は中学校技術分野 iA 材料と加工に関する技. 次に「ものづくり」という項目を学習テーマ構. 術」に関連する内容であると考える。. ( 3 ). ものづくり名人の技や生き方を学ぶ. 成の要素として立てていた旭川市立 A小学校と旭 川市立 B小学校,そして「地域」という項目を学. この内容は,実際にはものづくりをおこなった. 習テーマ構成の要素としているが,その中に「も. ということではなく地域のものづくりに関わる方. のづくり」という時間を設けている旭川市立 C小. に学校を訪問してもらい話を聞くというものであ. 学校の取組を見ていく。. る。アンケートの結果によるとこの内容は「職業」. ( 1 ) 旭川市立 A小学校の取組. という学習テーマ構成に位置づけられていた。対. A小学校のものづくり教育は,実際に何かをつ. 象学年を第 6学年としていることから,将来の自. くるという要素よりも,ものづくりとはどういっ. 分の生き方を考え,将来に夢を持ち,働くという. たものなのかということを考え,知ることに重き. とこについて考える契機としてこの項目を置いて. を置いている。家具工場への見学という学習内容. いるのだろう。. は他の学校も内容には無かったので,非常に興味. アンケートではものづくり名人,とされる地域. 深いと感じる。さらに, A小学校のものづくり教. の方がどのようなものづくりを行っているかまで. 育の考えには,地域との関連が根底にあると考え. は書かれていなかった。そこで,中学校技術分野. る。身近なところからものづくりを考えていこう. iA 材料と加工に関する技術」または,中学校. とする様子をうかがうことができた。. 技術分野 iB エネルギ一変換に関する技術」に. 1 3 7.

(9) 芝木邦也・大西. ( 2 ) 旭川市立 B小学校の取組 B小学校ではものづくりにかなり重きを置いて. ゐ・宮本芽It. N .考 察. 活動していることが分かつた。他の小学校ではな. 実施したアンケート調査の結果より,学習テー. かった科学との関連に目を向けたものづくりを. マ構成の要素の中に「ものづくり」という項目を. 行っていることも大きな特徴である。調べ物学習. おいて活動している学校は 2校と少ない現状では. から作品づくりまで共同作業を行うことで,個人. あったが,実際には「ものづくり」という項目は. では取り組みにくい大規模な活動が実現できてい. 立ててはいないが,ものづくりに関わる内容を少. るようだ。さらに取り組みのはじめに,科学館へ. なからず含んでいる学校は旭川市内に多数存在す. の見学体験を行うことにより,本物を目で見て自. ることが分かつた。授業時数編成の影響で,もの. 分たちの作品づくりへのモチベーションを挙げる. づくりに時間を費やすことは難しいという厳しい. きっかけとなっているように感じられた。今後筆. 現状はあるようだが,小学校におけるものづくり. 者らも,ものづくりの活動を考えるにあたってこ. 教育の導入の可能性はゼロではないようだ。した. の「本物に触れる→実際にものづくりを行う」と. がって「ものづくり」の項目を総合的な学習の時. いう点をぜひ取り入れていきたいと考える。また,. 間の中に置いて活動することは可能であると考. 毎年活動内容が変化するというところも B小学校. え,「ものづくり」の可能性を見出せる結果となっ. のものづくりの魅力である。インタビューの話に. た。さらに,アンケート調査の結果から,総合的. もあったが,子どもたちの興味や関心は毎年変化. な学習の時間は 70時間の中で行われなければなら. し,また子どもたちは自分たちで、興味を持って決. ず,「ものづくり」だけに時間をかけるわけには. めた作業であるので,非常に真剣に取り組む様子. いかない,というのが現状としてあることが分. が見られる,ということであった。他の学校では. かった。そのため,「ものづくり」という学習テー. 多少の変化はあるものの毎年子どもたちの興味に. マを単独のものとして考えるのではなく,様々な. 合わせて学習内容が変化するということは見られ. 学習テーマ構成の視点を関連させ「ものづくり」. なかったので,この点も B小学校の魅力ではない. に取り入れることで,「ものづくり」を現在の総. かと考える。. 合的な学習の時間の状況により導入しやすくして. ( 3 ) 旭川市立 C小学校の取組. いくことで,ものづくり教育の導入の可能性がよ. C小学校での活動は④体験的な活動である点. り高まると考えられる。. ②手工作業である点③ものづくりの工程を含む 点などから「ものづくり」であると言えるが,陶 芸では図画工作や美術的な要素を多く含んでい. v . まとめと課題. る。また,パンづくりやそば打ちは,家庭科での. 本研究では,「生きる力」の育成に際して取り. 調理実習やアンケートで、多かった,食育の要素も. 入れられ,各学校で目標と内容の決定の裁量を任. 多く含まれていると感じた。パンづくりやそば打. せられている小学校「総合的な学習の時間」の中. ちを行う前段階として,小麦やソバの栽培を取り. にならものづくり教育を行う可能性を見出せるの. 入れると,より技術科教育としてのものづくりに. ではないかと考え,小学校の「総合的な学習の時. 近づけるのではないだろうか。. 間」にどのような内容でものづくり教育を導入し. C小学校の活動内容からものづくりを単独とし. ていくかについて研究を進めた. O. そこで「総合的. て考えるのではなく,様々な総合的な学習の学習. な学習の時間」において現在ものづくり教育を. テーマ構成とも関連させながら,今後のものづく. 行っている学校はあるのか,行っているとしたら. りは考えていかなければならない。. どのような内容を行っているのかを知るため,旭 川市内の小学校に「総合的な学習の時間」におけ. 1 3 8.

(10) 小学校総合的な学習の時間におけるものづくり教育の可能性. る目標と学習内容の調査を行った。 旭川市内の小学校へ行ったアンケート調査結果 から,旭川市内の小学校「総合的な学習の時間」 では,学校ごとでそれぞれの学校の特色を生かし. という項目とは別に置かれており,多くの学校で 飼育・栽培活動をものづくりとして考えていない という現状があることが分かつた。 「ものづくり」の教育的意義については,. 1 .. た様々な学習内容が行われており,それと同時に. はじめにも述べているが,「単に作り手としての. それぞれの学習内容に学習テーマ構成の要素が存. ものをつくる技術を習得するという観点だけでは. 在することが分かった。その構成要素を系統分け. なく,むしろ綾密さへのこだわりや忍耐強さ,も. し,内容を分類した結果,同じ内容を行っていて. のの美しさを大切にする感性,持続可能な杜会の. も,学校ごとでその内容に対して立てている学習. 構築へとつながる『もったいない」という我が国. テーマが異なることが明らかになった。また,ひ. の伝統的な考え方のほか,チームワークや自発的. とつの学習内容に対して多数の学習テーマ構成の. に工夫や改善に取り組む態度」を育むことができ. 要素の項目を関連させている学校が多いというこ. る学習活動であることにある。. とも明らかとなった。そして,「総合的な学習の. 小学校学習指導要領に示されている総合的な学. 時間」において学習テーマ構成の要素として「も. 習の時間の目標は,「横断的・総合的な学習や探. のづくり」という項目を置いて活動している学校. 究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学. は旭川市立 A小学校と旭川市立 B小学校の 2校 ,. び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を. 学習テーマとしては立ててはいなかったものの学. 解決する資質や能力を育成するとともに,学び方. 習内容の中で「ものづくり」という項目を設けて. やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活. いる学校が旭川市 C小学校の 1校という結果と. 動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育. なった。アンケート回答時に頂いた手紙から,も. て,自己の生き方を考えることができるようにす. のづくり教育の必要性は感じてはいるが授業時数. る。})である。. や他の学習テーマとの関係で,ものづくり教育の. この目標は,「①横断的・総合的な学習や探究. 実現に至ることができていないとの声があった。. 的な学習を通す」こと,「②自ら課題を見付け,. そこでものづくり教育を実践している上記に示し. 自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく. た 3校にはアンケートとあわせてインタビ、ユーも. 問題を解決する資質や能力を育成する」こと,「③. 行いどのようにものづくり教育を「総合的な学習. 学び方やものの考え方を身に付ける」こと,「④. の時間」に取り入れているのかを聞いた。そこで. 問題の解決や探究活動に主体的,創造的,協同的. はものづくりを「食育」や「職業 J,1"環境」の学. に取り組む態度を育てる」こと,「⑤自己の生き. 習テーマ構成の要素とも関連させて行っているよ. 方を考えることができるようにする」ことに分け. うであった。このことから,ものづくり教育を「も. られる。. のづくり」という単独の学習テーマ構成の要素と. これらの内容を「ものづくり」における学習活. して考えるのではなく,様々な学習テーマ構成の. 動との関連で見たときに,② ④については,「も. 要素を含ませ,関連させながら導入を考えていく. のづくり」の「動因→構想→計画→設計→作業手. ことが,よりものづくり教育を「総合的な学習の. 順→材料の選定・道具の選定→作業→評価」の工. 時間」に位置づけやすくすることにつながると考. 程を通して学ぶ事ができる内容であり,併せて「計. えた。また,アンケート調査結果から「飼育・栽. 画,実践,評価,改善」の. 培」や「農園活動」の学習テーマを立てて飼育・. サイクルを生かした考え方や課題の解決方法を身. 栽培活動というものづくり教育を行っている学校. につけることができる。. が 6校あることが明らかとなった。しかしながら これらの学習テーマ構成の項目は「ものづくり」. PDCAマネジメント. また,①については,「ものづくり」そのものが, 社会的,環境的及び経済的な側面を考慮しながら. 1 3 9.

(11) 芝木邦也・大西. ゐ・宮本芽It. 行われる学習活動であるため,教科横断的,総合. EducationJ の研究開発」平成 1 8年度研究開発実施報. 的な学習及び探究的な学習活動として進めること. 告書:最終年次 ( 2 0 0 7 ) 4)鈴木隆司「小学校における教科教育としての技術科. カtできる。. 教 育 の 取 り 組 み 」 日 本 産 業 技 術 教 育 学 会 誌 45( 4 ),. そして⑤については,「ものづくり」を通して, 製作にかかる苦労や完成したときの喜びを体験す ることや手工具を開発した先人の知恵に触れた り,思考の流れをたどったりする学習活動を位置 づけることで,キャリア教育の視点を生かした学. pp213-217 ( 2 0 0 3 ). 5)土井康作「初等教育における技術教育の現状と危機」 日本機械学会「技術と社会」部門ニュースレター,. N o . 1 7 ( 2 0 0 7 ) 6)文部科学省「小学校学習指導要領」東京書籍, p.ll0 ( 2 0 0 8 ). 習活動を進めることができる。 これらのことからも,総合的な学習の時間にお ける学習活動として「ものづくり」の有効性は明 らかである。. の中にものづくり教育を位置づけるにはい小学 校の教員として,小学校と中学校との接続を考え, 小学校における「ものづくり」の教育的意義につ いて理解を深める必要があること,. i i . 他教科と. 関連させ各教科の既習事項を活用させること,. i i i . 1"総合的な学習の時間」の学習テーマ構成の 要素を「ものづくり」の項目に複数含ませること が必要であるという結果となった。 今後は,各小学校において総合的な学習の時間 の指導計画を見直し各教科で身に付けた資質や 能力を生かすことができる学習活動を位置付ける とともに,実践的・体験的な学習活動のひとつと して,課題の解決につながる「ものづくり」を適 切に位置付け実践することを通して,児童にこれ からの知識基盤社会を生き抜く力を育成する必要 があると考える。. 文献 1)中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学. 校及び特別支援学校の学宵指導要領等の改善について. (答申)J ( 2 0 0 8 ). .go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ http://www.mext chukyoO/toushin/ _ i c s F i l e s /a f i e l d f i l e / 2 0 0 9/05/12/. .p d f 1 2 1 6 8 2 8 _1 2) 丈 部 科 学 省 「 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 技 術 ・ 家 庭. p.5 ( 2 0 0 8 ). 3) 大 田 区 立 矢 口 小 学 校 ほ か 「 新 教 科 iTechnology. 1 4 0. (大西. 有北海道教育庁 上川教育局指導主事). 今回の調査結果として,「総合的な学習の時間」. 科編」教育凶書,. (芝木邦也旭川校教授). (宮本芽生広畑小学校教諭).

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表 1 ものづくりの工程と目標の文言との関係 工 干 主 関わってくると思われる各学校の目標 全イ本を通して関わってくると思 われる各学校の目標 動因(っくりたい) ‑身近な事象からの課題発見 ‑体験的な活動 構想(何のためにするか;考える) ‑自ら学び¥自ら;考える ‑探究的な学習 ‑主体的に判断 ‑学び方やものの考え方を身につける。 ‑問題解決能力 ‑白分らしさ ‑思いやりの心 ‑白然 ‑環境 計画(安全性・便利さを考える) ‑白ら学び,臼ら考える ‑主体的に判断する ‑問題解決能力 ‑互いに協力 ‑粘

参照

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