社
会
系
教
科
教
育
学
会
『社
会
系
教
科
教
育
学
研
究
』
第20
号 2008
(pp.101-110)
奈良県小学校社会科におけるテスト問題開発に関する検討
一第1回奈良県小学校社会科診断テス
トを中心として−
A Study of the Development Process of the Social Studies Test Questions at Nara Elementary School :
Focusing
o
n the First Nara Elementary School Social Studies Diagnosis Test
坂
井
誠 亮
(兵庫
教
育大
学
大学
院
連
合
学校
教
育
学研
究
科
)
I
は
じめに
本研究は
,昭和36
年に実施された第
1
[亘
]
奈
良県
小学校社会科診断テス
トの問題開発の特質につい
て検討することを目的とする。
本研究で第
1
[巨│
奈
良県小学校社会科診断テス
ト
を研究対象とする理由は
,以下の
3点てある。す
なわち
,第凵
こ
,当該診断テス
トが実施され
たの
が
,社会科教育史において重要な昭和36
年である
ことである
。昭和36
年は
,昭和33
年度版
『小学校
学習指導要領
・社会科編』が2年間の移行期間を
経て完全実施
された年である
。周知のように,昭
和33
年度版
『小学校学習指導要領
・社会科編』は
,
戦後初期社会科の特徴である経験
主義社会科か
ら
,
系統
主義
へ
と方向性の転換
を示したもの
である。
ゆ
えに
,系統主義への転換の流れ
が,教育現場で
どの
ように
反映され
たのかということについて,
第
1
[亘
]
奈
良県小
ヽ
学校社会科診断テス
トの検
討から
明らかにす
ることができるからである
。
第
2に
,奈
良県は,初期社会科に
おいて先進
県
として全国から注目を集めた
県だからである1
)
。
すなわち
,昭和22
年度版
『学習指導要領
・社会科
編
(試案)
』作成の
代表者である重松圉泰が奈良
女高師附小の主事
を務め
,その間,女高師附小の
匚
奈良プラン」の作成とその実践に力を尽
くした
だけでなく
,奈
良県下の各地の公立学校に指導に
赴き
,奈
良県内の社会科実践の向上に努めたとい
う経緯がある2
)
。このように初期社会科の
先進県
である奈
良県が
,昭和33
年度版
『小学校学習指導
要領
・社会科編』
を受けて
,どの
ようなテス
ト問
題
を作成
したのか
を明らかにすることは意
義ある
ことであるといえよう。
第3に
,奈
良県小学校社会科診断テス
トは
,平
-成20
年度
で第48
回
を迎えたが
,この約半世紀の間
,
ペ
ーパーテス
トの開発研究とテス
ト結果の綿密な
分析をもとに
した授
業改善の提案を行ってきたか
らである
。この
ことについて,寺尾健夫は厂
この
研究が
ここまで長期にわた
り
,しかも評価研究部
を中心
とした綿密な研究体制のもとで
,明確な評
価方略の
あるテス
トを通
して評価の在
り方と授業
改善との連携
を継続的に追究
し
,大きな成果
を上
げているものと
して他に例
を見ないもの
となって
いる
‰」と,その意義を高く評価
しているので
ある
。ゆ
えに,その原点となる
1回目のテス
ト問
題開発の特徴
を明らかにすることは意義深
いこと
であるといえよう。
ところで
,これまでの奈
良県小学校社会科診断
テス
トについての先行研究と
しては
,田淵五十生
か奈
良県小学校社会科の
歩み4
)
を論
じる中で
,
奈
良県小学校社会科診断テス
トについて
一部触れ
ているものの
,直接の研究対象と
して論
じている
わ
けでは
ない
。また,寺尾健
夫は
,第38
回奈
良県
小学校社会科診断テス
トと第44
回奈
良県小学校社
会科診断テス
トの問題を
,認知領域の学力分類と
関係する思考のタイ
プと観点別評価の学力との関
係か
ら分析
し
,その意義と今後の研究の
示唆
を明
らかに
しているが5
)
,第
1
[可
奈
良県小学校社会科
診断テス
トについて
,その歴史的な意義について
分析
し,論
じたものではない。
さらに
,小学校社会科テス
ト問題
を直接に対象
とした先行研究と
しては
,社会科の初志をつらぬ
く会6
)
,また寺尾健夫7
)
などの研究かおる。こ
れ
らについては
,一部のテス
ト問題例を分析する
ことによ
理論を明らかに
り
,適切なテス
したものである。
ト問題
を作成する上での
しか
し,社会科
101−
の
テ
ス
ト問題
が作
成
され
た
時代
と関
連
させ
て
,そ
の
特質
を明
らかに
した
もの
では
な
い
。
そ
こで
,本
研
究では
,第
1[
回
奈
良県小学校
社
会
科
診
断テス
トの
問題
開発
に
つ
いて
,
当時の
文
献資
料
及び
,
当時直
接に
作間
に
関わ
った
教
師の
方
々へ
の
イ
ンタ
ビュ
ー
を検
討
し明
らか
にす
る
。
これ
に
よ
り
,初期社
会
科の
先
進
県で
あ
る奈
良県に
お
いて
,
経
験
主義か
ら系統
主義へ
の過
渡
期
で
ある昭
和36
年
に
,どの
よ
うなテ
ス
ト問題
開発
が
行われ
た
の
か
,
その
特質
に
つい
て
明
らか
に
した
い
。
II
奈
良
県小学校
社
会科
診
断
テス
ト実施の
経
緯
第1[Ei]
奈
良県小
学校社
会
科
診断
テス
トに
おけ
る
テス
ト問題
開発の
特
質
を明
らか
に
す
るため
に
は
,
まず
は
じめ
に
当該
診断テ
ス
トが
実
施
され
た
昭
和36
年
当時の
教
育状
況
を概観
した
上
で
,奈
良
県小学校
社
会
科
診断
テス
トが
,
どの
ような
経
緯で
開
始
され
た
の
か
を
明
らか
にす
る
こ
とが
必要
で
あ
ろ
う。
1。奈
良県小学校社会科診断テス
トが実施
された
当時の状況
戦後の
問題解決学習を方法原理
とする新教
育に
対
して
,
「経験主義や単元学習に偏
りすぎている
ということから
,教科内容の系統性
を重視す
ると
ともに
,基礎学
力の
充実が必要視
され
るようにな
る‰
」そ
して,
「昭和33
年の小学校教育課程の全
面改訂で
,道徳の特設もあ
り,社会科の
中で行わ
れていた生活指導的な内容は整理された9
)
。
」ま
た
,この
ころ,
「新教育の効果を評価
しようとい
う動きが
あ
り
,昭和31
年9月文部省は,教育目標
に対する到達度
を明らかにする
目的で
,抽出によ
る全国学
力調査
を実施する
。さらに
,昭和36
年か
らは
,全国の国
・公
・私立のすべ
ての中学校の第
2学年
,第3学年を対象と
した学
力調査lO
)
を実
施
したII
)
」の
である。
すなわ
ち
,昭和36
年当時は
,系統
的な内容を児
童に教授すること
,そ
して
,その成果
をテス
トの
点数に
より量的に評価することを重視
した教育が
行われ
ようと
していたといえよう
。
この
ような状況下において
,第
1
[目奈
良県小学
校社会科診断テス
トが実施
されたの
である。
2
。奈良県小学校社会科診断テス
ト実施の経緯
奈
良県小学校社会科診断テス
トの実施について
は
,
2つの異なった見解かおる。まずひとつは
,
診断テス
ト作間委員であった古川利文らの見解で
ある
。すなわち,まず古川は,匚
社会科の評価に
ついては
,個々の現場にまか
され
,全県的には
あ
ま
り考えられ
ていなか
った
ようである
。この
こと
は
,社会科
を本物にするための
指導計画の作成に
追われ
,評価にまで手が廻らなか
ったというのが
実情であろう(国県ともに)
。
しか
し,文部省に
おいては
,全国学力テス
トを,
5
・6年を対象に
隔年毎に実施
されるようにな
り(昭和29
年度小学
校学
力検査
,社
・国
・理)
,本県においても,当
時の高田小の森庄作先生
,三宅小の小泉信司12)
先
生等の提唱に
より
,県教委指導主事の浦西
己代治
先生の指導を受け
,岩本義夫会長,南田多三郎小
学校部長の
もとに小学校11
名
,中学校
6名が作問
にと
りくみ
,全
県に呼びかけて,昭和36
年度に第
1(
目の社会科診断テス
トが
,小学校
・中学校合同
で実施されたのである13)
。」
と
している。
また
,実施を提唱
した小泉信
司は,奈
良県小学
校社会科診断テス
ト実施の
目的について
,匚
一つ
は奈
良県の
道徳教育の
レベル
をアッ
プするという
ことです
。先生自身のです
。先生
自身の道徳教育
を教
える力をアップさせることです14)
。」
と述べ
ている
。同
じく,作間委員である西川芳徳15)
は
,
「診断テス
トをやることにより
,教
えたことがど
れ
くらい子
どもに定着
しておるか
を
,どういう内
容が指導の不足であったのかを知ることができ
る16)
。」
と述べ
ている。
以上の
三者の見解か
らは
,奈良県小学校社会科
診断テス
トは
,奈
良県小学校教科等研究会社会科
部会の
メンバ
ー
によ
り,これ
まで取
り組ん
できた
経験
主義社会科によって
,どれ
くらい児童の学
力
をつけることができたのか
,また今後の指導を
し
ていく上で改善
していくことは何であるのか
を明
らかにするため
に実施
した
ことが伺
えるので
ある
。
しか
し
,一方で,田淵五十生は
,奈良県小学校
社会科診断テス
トの実施について
,以下の
ように
指摘
している
。すなわ
ち,「1961
年,奈
良県教育
委員会は
,全国学
力テス
トと別個に
,県独
自の評
価基準
を示そうと
した
と実施理由が述べ
られ
てい
る が , そ れ は, 明 ら か に妥 協 の 産 物 で あ っ た。 社 会 科 の 知 識 や理 解 を テ ス ト で 計 測 可 能 と 考 え る自 体 ,『 問 題 解 決 型 』 社 会 科 の 学 力 を 重 視 し て き た 奈 良 県 社 会 科 の 伝 統 に そ ぐ わ な い も の で あ っ た。 こう し て , 奈 良 県 初 期 社 会 科 の 遺 産 は大 き く崩 れ, 『 学 習 指 導 要 領 』 に 忠 実 な カ リ キ ュ ラ ム が 追 究 さ れ た の で あ る 气 」 当 時 , こ の 田 淵 の見 解 に立 つ だ の が , 山 本 喜 志 雄18)で あ る 。 山 本 は , 以 下 の よ う に述 べ て い る 。 す な わ ち , 匚そ れ ( 田 淵 の 見 解 ) に 近 い 考 え 方 を も っ て い た。 社 会 科 の 基 礎 能 力 と 言 う た け ど , な ん て そ ん な も ん せ な あ か ん ね と 思 っ て い た 。 せ や け ど, 基 礎 の能 力 つ け な , 社 会 科 み た い な な ん ぼ あ っ て も あ か ん ね 。 這 い 回 る ご っ こ 遊 び み た い な や っ て も あ か ん と言 わ れ て, 初 期 の 社会 科 の こと , と っ と壊 さ れて い き, 一 つ は社 会 科 の評 価 は, 問 題 や テ ス ト や と な っ て し ま っ て , せ や け ど , テ ス ト と評 価 と は ち が う ね ん と 理 屈 はつ け て み る け ど , 結 局, 中学 校 に入 ら ん こ と に は, 何 もな ら へ ん 气 」 こ こ か ら , 匚桜井 プ ラ ン」 や 『 奈 良 県 社 会 科 作 業 単 元 基 底 要 覧 』 の 作 成 メ ンバ ー で あ り , 重 松 鷹 泰 の影 響 を 最 も 受 け た 奈 良 県 初 期 社 会 科 の牽 引 者 で あ る 山 本 に と って , 児 童 の生 活 経 験 を 重 視 し た 問 題 解 決 学 習 を 進 め て き た 奈 良 県 の社 会 科 が, 文 部 省 の方 針 転 換 に応 じ て 変 わ っ て い く こ と に もど か し く 感 じ て い る心 境 が 伝 わ っ て く る。 以 上 の よ う に , 学 力 テ ス ト を 実 施 し て , こ れ ま で の取 組 を 検 証 し た い と い う 意 見 と, こ れ ま で の 取 組 を ペ ーパ ー テ ス ト で 測 る こ と はで き な い と 反 対 す る 意 見 が あ っ た が , 結 局 , 多 数 の 賛 同 に よ り 第 1[目 の 学 力 診 断 テ スト が 実 施 さ れ た の で あ る。 尚 , テ ス ト に 参 加 し た 学 校 は, 小 学 校 は142 校 ,
中学 校 は73校, 計215 校で あり ,受 験者 数 は各学
年 とも1: 万人 を超 過し たので ある20)
。
Ⅲ 第 1 回 奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト の分 析 次 に, 以 下 で は , 第 1[亘]奈良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ スト に お い て , ど の よ う な テ ス ト 問 題 が 開 発 さ れ た の か につ い て 見 て み よ う 。 1。 テ ス ト 問 題 の 領 域 ・ 内 容 第 1 回 奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト は, 小 学 校 に お い て は受 験 す る 学 年 を 4年 生 か ら 6年 生 に と ど め た。 ま た, 問 題 作 成 に あ た って は, 地 理 的 分 野 に主 眼 を お き, ① 読 図 力 , ② 地 名 ・ 用 語 , ③ 統 計 ・ 図 表 の 理 解 ・ 考 察 の 3領 域 を 設 定 し て 作 間 を 行 っ た 。 な お , こ の 診 断 テ スト に お け る 領 域, 内 容 を 整 理 す る と 表 1 の よ う に な る 。 こ こで , 表 1 か ら は, 領 域 ・ 内容 の 特 徴 と し て, 以 下 の 3 点 を あ げ る こ と が で き よ う 。 す な わ ち√ 第 1 に, 地 図 を 読 み 取 る た め の 技 能 ( 地 図 記 号 , 方 位 , 縮 尺 な ど ) を 一 つ の 領 域 と し て 設 定 し て い る こ と。 第 2 に, 地 名 と 用 語 を 独 立 し て 一 つ の 領 域 と し て 設 定 し , し か も,4 年 生 で は 奈 良 県 につ い て , 5 年 生 で は 日 本 に つ い て , 6年 生 で は 世 界 に つ い て の 地 名 や 用 語 を 問 う と い う よ う に , 学 年 が 上 が る ご と に, 空 間 的 な 広 が り を 持 た せ て い る こ と。 第 3 に , 統 計 , 資 料 の 読 み取 り と そ の 考 察 が , 同 じ 領 域 と し て 設 定 さ れ て い る こ と で あ る。 2 。 分 析 の 視 点 第 1[目奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ スト の 特 質 を 明 ら か に す る た め, そ の 内容 知 と 方 法 知 につ い て, 表 1 第 1 回 奈良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト の 領 域 ・ 内 容 領 域 内 容 読 図 力 4 年 生 地図 記 号 方位 縮 尺 5年 生 地図 記 号 等 高線 断 面図 の見 方 地図 の 種 類 6年 生 地図 記 号 方 位 縮 尺 標 高 の見 方 地球 儀 の 見方 緯 度 経度 地 図 の 見方 地 名 用 語 4 年 生 奈良 県 の 山, 川 , ダ ム 奈 良 県 の 都 市 5年 生 日本 の 工 業 地帯 にお け る 都 市名 地 帯名 産 業的 用 語 6年 生 アジ ア 州 の 主な 国 の 特 色 (地 名 ) 気 候の 意 味 ( 用語 ) 統 計 図 表 の 理 解 考 察 4 年 生 奈良 県 の 上 地 の特 色 ( 気 候, 几 溜 池) 地 図 と気 候分 布 図 気 候 と人 々 のく ら し の 様子 5年 生 6年 生 等 高線 の 見方 分 布 図 の 見方 日 本 の農 業 の 特 色 の理 解 工 業地 帯 の 特 色 棒 グ ラ フ・ 円 グラフ の読 み 方 と 考 察 円 グラ フ の 見方 交 通 につ い て 気 候図 の 見 方 地 名 の 説 明・ 考 察 ( 奈 良 県 小 学 校 教 科 等 研 究 会 社 会 科 部 会 繼 『 奈良 の 社 会 科 』 大 阪 書 籍, 1975 年, p.311 を も と に, 筆 者 が 作 成 。 坂 井, 2008o) −103 −次 の 3 つ 視点 か ら 分 析 す る。 ま ず 内 容 知 に つ い て , 第 1 の 視 点 は, テ スト 問 題 の 解 答 過 程 で , 活 用 さ れ る 能力 につ い て で あ る 。 こ れ に つ い て は, 寺 尾 健夫 が 示 し て い る 想 起 → 解 釈 → 問 題 解 決 と い っ た 能力 の レ ベ ルを も と に 分 析 す る21)。 す な わ ち , 想 起 と は, 記 憶 し て い る 事 実 や 理 論 を 単 に 再 現 す る こ と で あ り , 暗 記 テ ス ト と 批 判 さ れ る の は こ の よ う な 想 起 だ けで 解 答 で き る テ ス ト で あ る。 ま た , 解 釈 と は, 図 表 の 読 み と り や 複 数 の デ ー タ を 見 て 解 釈 し た り 判 定 し た り す る 思 考 が お こ な わ れ る こ と で あ る。 主 に 資 料 の 読 解 や 活 用 能 力 が こ れ に あ た る。 さ ら に , 問 題 解 決 と は, 問 題 解 決 の た め に は何 を な す べ き か 判 断 し た り , 意 志 決 定 し た り , さ ら に は問 題 解 決 に 行 き 着 く ま で の計 画 を 立 案 し た り と い っ た 高 次 の 知 的 活 動 か お こ な わ れ る こ と で あ る 。 問 題 解 決 を さ せ る よ う な テ ス ト 問 題 は, 現 在 求 め ら れ て い る 匚探 究 す る力 」 を 問 う 問 題 で あ る と い え よ う 。 第 2 の 視 点 は, 問 わ れ て い る 知 識 の 質 に つ い て で あ る。 こ れ につ い て は, 岩 田一 彦 が 定 義 し た記 述 的 知 識 , 分 析 的 知 識 , 説 明 的 知 識 , 概 念 的 知 識 と い っ た知 識 の 分 類 を も と に 分 析 す る 气 す な わ ち ,記 述 的 知 識 と は, 社 会 に存 在 す る 情 報 の内 で, 事 象 の 存 在 に つ い て 述 べ た も の で あ り, when, where, who, what と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る 。 次 に, 分 析 的 知 識 と は, 社 会 の 中 に 見 ら れ る諸 関 係 を 述 べ た 知 識 で あ り, 目 的 ,手 段 ・ 方 法 , 構 造 , 過 程 , 相 互 関 係 に つ い て 述 べ た も の で, how と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る。 そ し て , 説 明 的 知 識 と は, 社 会 事 象 間 の 関 係 を 原 因 ・ 結 果 の 関 係 で 示 し た も の で , 一 般 的 法 則 性 の 高 い 概 念 的 知 識 と 単 元 で 扱 う 典 型 的 な 社 会 事 象 と 結 び つ け た も の で あ る 。 す な わ ち why と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る。 さ ら に , 概 念 的 知 識 は, そ の 単 元 で 習 得 さ せ た い 法 則 哇・ 概 念 で あ る 。 次 に, 第 3 の 視 点 で あ る 方 法 知 に 関 し て は, 方 法 知 を 構 造 的 に 示 し て い る23) ナ シ ョ ナ ル ・ カ リ キ ュ ラ ム・ 地 理 (2000 ) の 項 目24)を 視 点 と す る 。 す な わ ち , ナ シ ョ ナ ル ・ カ リ キ ュ ラ ム ・ 地 理 (2000 ) に 示 さ れ た 地 理 的 技 能 で あ る 匚地 理 的 用 語 の 使 用 」, 匚フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 技 能 」, 匚地 図 の 利 用」 , 厂地 図 の 作 成」 , 匚二 次 的 情 報 資 料 の活 用」 を 分 析 の 視 点 と す る。
3 分析 結果
前項 の分 析視点 を もと に, 第 1[司奈良県 小学 校
社会科 診 断テ ストにお け る内容知 を分析 し整理 し
たのが表 2であ る。
表2 内容知に関する学年別問題数
二 言
4 年 5 年 6 年 計 想 起 記 述 的 知 識 3 7 4 14 分 析 的 知 識 7 2 9 18 説 明 的 知 識 3 6 0 9 概 念 的 知 識 0 0 0 0 解 釈 記 述 的 知 識 3 4 0 7 分 析 的 知 識 2 4 4 10 説 明 的 知 識 7 4 0 11 概 念 的 知 識 0 1 0 1 問 題 解 決 計 画 ・ 予 測 0 0 0 0 意 志 決 定 0 0 0 0 (筆者作成) 表 2 の よ う に, 第 1[可奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト で は, 記 述 的 知 識, 分 析 的 知 識 , 説 明 的 知 識 を 想 起 , 解 釈 さ せ る 問 題 は, 概 ね バ ラ ン スよ く 作 成 さ れて お り , 単 に記 述 的 知 識 を 想 起 さ せ る よ う な 暗 記 テ ス ト に 偏 っ て い た と い う こ と は な い 。 し か し ,6 年 生 で , 説 明 的 知 識 , 概 念 的 知 識 を 想 起 , 解 釈 さ せ る問 題 が 全 くな か っ た こ と や, さ ら に 概 念 的 知 識 を 問 う 問 題 に 関 し て は, 全 体 で 5年 生 の 1 問 の み で あ っ た の で あ る。 ま た , 問 題 解 決 さ せ る 問 題 に 関 し て は, ど の学 年 に お い て も, 全 く 作 成 さ れて い な い こ と が 明 ら か に な っ た。 す な わ ち , 内 容 知 にお い て , 典 型 的 な 社 会 事 象 に お け る 説 明 的 知 識 の 理 解 を 問 う 問 題 に留 ま り , そ こ か ら 法 則 性 と し て の概 念 的 知 識 を 問 う よ う な問 題 は ほ と ん ど 作 成 さ れ な か っ た と い え よ う。 ま た , 奈 良 県 は, 問 題 解 決 学 習 を 方 法 原 理 と す る経 験 主 義 社 会 科 の 先 進 県 で あ る と さ れて い た が, 児 童 に 問 題 解 決 法 を 考 え さ せ た り , 意 志 決 定 さ せ た り す る よ う な , よ り 高 次 な 問 題 作 成 に 関 し て は, ま だ 十 分 に 研 究 さ れ て い な か っ た と いえ よ う。 次 に, 方 法 知 を 分 析 し 整 理 し た の が 表 3で あ る。表 3 方 法 知 に 関 す る 学 年 別 問 題 数