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奈良県小学校社会科におけるテスト問題開発に関する検討 : 第1回奈良県小学校社会科診断テストを中心として

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(1)

『社

第20

号 2008

(pp.101-110)

奈良県小学校社会科におけるテスト問題開発に関する検討

一第1回奈良県小学校社会科診断テス

トを中心として−

A Study of the Development Process of the Social Studies Test Questions at Nara Elementary School :

Focusing

n the First Nara Elementary School Social Studies Diagnosis Test

坂 

井 

誠 亮

(兵庫

育大

大学

学校

学研

I 

じめに

本研究は

,昭和36

年に実施された第

[亘

良県

小学校社会科診断テス

トの問題開発の特質につい

て検討することを目的とする。

本研究で第

[巨│

良県小学校社会科診断テス

を研究対象とする理由は

,以下の

3点てある。す

なわち

,第凵

,当該診断テス

トが実施され

たの

,社会科教育史において重要な昭和36

年である

ことである

。昭和36

年は

,昭和33

年度版

『小学校

学習指導要領

・社会科編』が2年間の移行期間を

経て完全実施

された年である

。周知のように,昭

和33

年度版

『小学校学習指導要領

・社会科編』は

戦後初期社会科の特徴である経験

主義社会科か

系統

主義

と方向性の転換

を示したもの

である。

えに

,系統主義への転換の流れ

が,教育現場で

どの

ように

反映され

たのかということについて,

[亘

良県小

学校社会科診断テス

トの検

討から

明らかにす

ることができるからである

2に

,奈

良県は,初期社会科に

おいて先進

として全国から注目を集めた

県だからである1

すなわち

,昭和22

年度版

『学習指導要領

・社会科

(試案)

』作成の

代表者である重松圉泰が奈良

女高師附小の主事

を務め

,その間,女高師附小の

奈良プラン」の作成とその実践に力を尽

くした

だけでなく

,奈

良県下の各地の公立学校に指導に

赴き

,奈

良県内の社会科実践の向上に努めたとい

う経緯がある2

。このように初期社会科の

先進県

である奈

良県が

,昭和33

年度版

『小学校学習指導

要領

・社会科編』

を受けて

,どの

ようなテス

ト問

を作成

したのか

を明らかにすることは意

義ある

ことであるといえよう。

第3に

,奈

良県小学校社会科診断テス

トは

,平

-成20

年度

で第48

を迎えたが

,この約半世紀の間

ーパーテス

トの開発研究とテス

ト結果の綿密な

分析をもとに

した授

業改善の提案を行ってきたか

らである

。この

ことについて,寺尾健夫は厂

この

研究が

ここまで長期にわた

,しかも評価研究部

を中心

とした綿密な研究体制のもとで

,明確な評

価方略の

あるテス

トを通

して評価の在

り方と授業

改善との連携

を継続的に追究

,大きな成果

を上

げているものと

して他に例

を見ないもの

となって

いる

‰」と,その意義を高く評価

しているので

ある

。ゆ

えに,その原点となる

1回目のテス

ト問

題開発の特徴

を明らかにすることは意義深

いこと

であるといえよう。

ところで

,これまでの奈

良県小学校社会科診断

テス

トについての先行研究と

しては

,田淵五十生

か奈

良県小学校社会科の

歩み4

を論

じる中で

良県小学校社会科診断テス

トについて

一部触れ

ているものの

,直接の研究対象と

して論

じている

けでは

ない

。また,寺尾健

夫は

,第38

回奈

良県

小学校社会科診断テス

トと第44

回奈

良県小学校社

会科診断テス

トの問題を

,認知領域の学力分類と

関係する思考のタイ

プと観点別評価の学力との関

係か

ら分析

,その意義と今後の研究の

示唆

を明

らかに

しているが5

,第

[可

良県小学校社会科

診断テス

トについて

,その歴史的な意義について

分析

し,論

じたものではない。

さらに

,小学校社会科テス

ト問題

を直接に対象

とした先行研究と

しては

,社会科の初志をつらぬ

く会6

,また寺尾健夫7

などの研究かおる。こ

らについては

,一部のテス

ト問題例を分析する

ことによ

理論を明らかに

,適切なテス

したものである。

ト問題

を作成する上での

しか

し,社会科

101−

(2)

ト問題

が作

され

時代

と関

させ

,そ

特質

を明

らかに

した

もの

では

こで

,本

究では

,第

1[

良県小学校

断テス

トの

問題

開発

いて

当時の

献資

及び

当時直

接に

作間

関わ

った

師の

々へ

ンタ

ビュ

を検

し明

らか

にす

これ

,初期社

科の

県で

る奈

良県に

いて

主義か

ら系統

主義へ

の過

ある昭

和36

,どの

うなテ

ト問題

開発

行われ

その

特質

つい

らか

した

II 

県小学校

会科

テス

ト実施の

第1[Ei]

良県小

学校社

診断

テス

トに

おけ

テス

ト問題

開発の

を明

らか

るため

まず

じめ

当該

診断テ

トが

され

和36

当時の

育状

を概観

した

,奈

県小学校

診断

テス

トが

どの

ような

緯で

され

らか

にす

とが

必要

う。

1。奈

良県小学校社会科診断テス

トが実施

された

当時の状況

戦後の

問題解決学習を方法原理

とする新教

育に

して

「経験主義や単元学習に偏

りすぎている

ということから

,教科内容の系統性

を重視す

ると

ともに

,基礎学

力の

充実が必要視

され

るようにな

る‰

」そ

して,

「昭和33

年の小学校教育課程の全

面改訂で

,道徳の特設もあ

り,社会科の

中で行わ

れていた生活指導的な内容は整理された9

」ま

,この

ころ,

「新教育の効果を評価

しようとい

う動きが

,昭和31

年9月文部省は,教育目標

に対する到達度

を明らかにする

目的で

,抽出によ

る全国学

力調査

を実施する

。さらに

,昭和36

年か

らは

,全国の国

・公

・私立のすべ

ての中学校の第

2学年

,第3学年を対象と

した学

力調査lO

を実

したII

」の

である。

すなわ

,昭和36

年当時は

,系統

的な内容を児

童に教授すること

,そ

して

,その成果

をテス

トの

点数に

より量的に評価することを重視

した教育が

行われ

ようと

していたといえよう

この

ような状況下において

,第

[目奈

良県小学

校社会科診断テス

トが実施

されたの

である。

。奈良県小学校社会科診断テス

ト実施の経緯

良県小学校社会科診断テス

トの実施について

2つの異なった見解かおる。まずひとつは

診断テス

ト作間委員であった古川利文らの見解で

ある

。すなわち,まず古川は,匚

社会科の評価に

ついては

,個々の現場にまか

され

,全県的には

り考えられ

ていなか

った

ようである

。この

こと

,社会科

を本物にするための

指導計画の作成に

追われ

,評価にまで手が廻らなか

ったというのが

実情であろう(国県ともに)

。 

しか

し,文部省に

おいては

,全国学力テス

トを,

・6年を対象に

隔年毎に実施

されるようにな

り(昭和29

年度小学

校学

力検査

,社

・国

・理)

,本県においても,当

時の高田小の森庄作先生

,三宅小の小泉信司12)

生等の提唱に

より

,県教委指導主事の浦西

己代治

先生の指導を受け

,岩本義夫会長,南田多三郎小

学校部長の

もとに小学校11

,中学校

6名が作問

にと

りくみ

,全

県に呼びかけて,昭和36

年度に第

1(

目の社会科診断テス

トが

,小学校

・中学校合同

で実施されたのである13)

。」

している。

また

,実施を提唱

した小泉信

司は,奈

良県小学

校社会科診断テス

ト実施の

目的について

,匚

一つ

は奈

良県の

道徳教育の

レベル

をアッ

プするという

ことです

。先生自身のです

。先生

自身の道徳教育

を教

える力をアップさせることです14)

。」

と述べ

ている

。同

じく,作間委員である西川芳徳15)

「診断テス

トをやることにより

,教

えたことがど

くらい子

どもに定着

しておるか

,どういう内

容が指導の不足であったのかを知ることができ

る16)

。」

と述べ

ている。

以上の

三者の見解か

らは

,奈良県小学校社会科

診断テス

トは

,奈

良県小学校教科等研究会社会科

部会の

メンバ

によ

り,これ

まで取

り組ん

できた

経験

主義社会科によって

,どれ

くらい児童の学

をつけることができたのか

,また今後の指導を

ていく上で改善

していくことは何であるのか

を明

らかにするため

に実施

した

ことが伺

えるので

ある

しか

,一方で,田淵五十生は

,奈良県小学校

社会科診断テス

トの実施について

,以下の

ように

指摘

している

。すなわ

ち,「1961

年,奈

良県教育

委員会は

,全国学

力テス

トと別個に

,県独

自の評

価基準

を示そうと

した

と実施理由が述べ

られ

てい

(3)

る が , そ れ は, 明 ら か に妥 協 の 産 物 で あ っ た。 社 会 科 の 知 識 や理 解 を テ ス ト で 計 測 可 能 と 考 え る自 体 ,『 問 題 解 決 型 』 社 会 科 の 学 力 を 重 視 し て き た 奈 良 県 社 会 科 の 伝 統 に そ ぐ わ な い も の で あ っ た。 こう し て , 奈 良 県 初 期 社 会 科 の 遺 産 は大 き く崩 れ, 『 学 習 指 導 要 領 』 に 忠 実 な カ リ キ ュ ラ ム が 追 究 さ れ た の で あ る 气 」 当 時 , こ の 田 淵 の見 解 に立 つ だ の が , 山 本 喜 志 雄18)で あ る 。 山 本 は , 以 下 の よ う に述 べ て い る 。 す な わ ち , 匚そ れ ( 田 淵 の 見 解 ) に 近 い 考 え 方 を も っ て い た。 社 会 科 の 基 礎 能 力 と 言 う た け ど , な ん て そ ん な も ん せ な あ か ん ね と 思 っ て い た 。 せ や け ど, 基 礎 の能 力 つ け な , 社 会 科 み た い な な ん ぼ あ っ て も あ か ん ね 。 這 い 回 る ご っ こ 遊 び み た い な や っ て も あ か ん と言 わ れ て, 初 期 の 社会 科 の こと , と っ と壊 さ れて い き, 一 つ は社 会 科 の評 価 は, 問 題 や テ ス ト や と な っ て し ま っ て , せ や け ど , テ ス ト と評 価 と は ち が う ね ん と 理 屈 はつ け て み る け ど , 結 局, 中学 校 に入 ら ん こ と に は, 何 もな ら へ ん 气 」 こ こ か ら , 匚桜井 プ ラ ン」 や 『 奈 良 県 社 会 科 作 業 単 元 基 底 要 覧 』 の 作 成 メ ンバ ー で あ り , 重 松 鷹 泰 の影 響 を 最 も 受 け た 奈 良 県 初 期 社 会 科 の牽 引 者 で あ る 山 本 に と って , 児 童 の生 活 経 験 を 重 視 し た 問 題 解 決 学 習 を 進 め て き た 奈 良 県 の社 会 科 が, 文 部 省 の方 針 転 換 に応 じ て 変 わ っ て い く こ と に もど か し く 感 じ て い る心 境 が 伝 わ っ て く る。 以 上 の よ う に , 学 力 テ ス ト を 実 施 し て , こ れ ま で の取 組 を 検 証 し た い と い う 意 見 と, こ れ ま で の 取 組 を ペ ーパ ー テ ス ト で 測 る こ と はで き な い と 反 対 す る 意 見 が あ っ た が , 結 局 , 多 数 の 賛 同 に よ り 第 1[目 の 学 力 診 断 テ スト が 実 施 さ れ た の で あ る。 尚 , テ ス ト に 参 加 し た 学 校 は, 小 学 校 は142 校 ,

中学 校 は73校, 計215 校で あり ,受 験者 数 は各学

年 とも1: 万人 を超 過し たので ある20)

Ⅲ  第 1 回 奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト の分 析 次 に, 以 下 で は , 第 1[亘]奈良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ スト に お い て , ど の よ う な テ ス ト 問 題 が 開 発 さ れ た の か につ い て 見 て み よ う 。 1。 テ ス ト 問 題 の 領 域 ・ 内 容 第 1 回 奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト は, 小 学 校 に お い て は受 験 す る 学 年 を 4年 生 か ら 6年 生 に と ど め た。 ま た, 問 題 作 成 に あ た って は, 地 理 的 分 野 に主 眼 を お き, ① 読 図 力 , ② 地 名 ・ 用 語 , ③ 統 計 ・ 図 表 の 理 解 ・ 考 察 の 3領 域 を 設 定 し て 作 間 を 行 っ た 。 な お , こ の 診 断 テ スト に お け る 領 域, 内 容 を 整 理 す る と 表 1 の よ う に な る 。 こ こで , 表 1 か ら は, 領 域 ・ 内容 の 特 徴 と し て, 以 下 の 3 点 を あ げ る こ と が で き よ う 。 す な わ ち√ 第 1 に, 地 図 を 読 み 取 る た め の 技 能 ( 地 図 記 号 , 方 位 , 縮 尺 な ど ) を 一 つ の 領 域 と し て 設 定 し て い る こ と。 第 2 に, 地 名 と 用 語 を 独 立 し て 一 つ の 領 域 と し て 設 定 し , し か も,4 年 生 で は 奈 良 県 につ い て , 5 年 生 で は 日 本 に つ い て , 6年 生 で は 世 界 に つ い て の 地 名 や 用 語 を 問 う と い う よ う に , 学 年 が 上 が る ご と に, 空 間 的 な 広 が り を 持 た せ て い る こ と。 第 3 に , 統 計 , 資 料 の 読 み取 り と そ の 考 察 が , 同 じ 領 域 と し て 設 定 さ れ て い る こ と で あ る。 2 。 分 析 の 視 点 第 1[目奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ スト の 特 質 を 明 ら か に す る た め, そ の 内容 知 と 方 法 知 につ い て, 表 1  第 1 回 奈良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト の 領 域 ・ 内 容 領 域 内        容 読 図 力 4 年 生 地図 記 号  方位  縮 尺 5年 生 地図 記 号  等 高線  断 面図 の見 方  地図 の 種 類 6年 生 地図 記 号  方 位  縮 尺  標 高 の見 方  地球 儀 の 見方  緯 度  経度  地 図 の 見方 地 名 用 語 4 年 生 奈良 県 の 山, 川 , ダ ム  奈 良 県 の 都 市 5年 生 日本 の 工 業 地帯 にお け る 都 市名  地 帯名  産 業的 用 語 6年 生 アジ ア 州 の 主な 国 の 特 色 (地 名 )  気 候の 意 味 ( 用語 ) 統 計 図 表 の 理 解 考 察 4 年 生 奈良 県 の 上 地 の特 色 ( 気 候, 几 溜 池)  地 図 と気 候分 布 図  気 候 と人 々 のく ら し の 様子 5年 生 6年 生 等 高線 の 見方  分 布 図 の 見方  日 本 の農 業 の 特 色 の理 解  工 業地 帯 の 特 色  棒 グ ラ フ・ 円 グラフ の読 み 方 と 考 察 円 グラ フ の 見方  交 通 につ い て  気 候図 の 見 方  地 名 の 説 明・ 考 察 ( 奈 良 県 小 学 校 教 科 等 研 究 会 社 会 科 部 会 繼 『 奈良 の 社 会 科 』 大 阪 書 籍, 1975 年, p.311 を も と に, 筆 者 が 作 成 。 坂 井, 2008o) −103 −

(4)

次 の 3 つ 視点 か ら 分 析 す る。 ま ず 内 容 知 に つ い て , 第 1 の 視 点 は, テ スト 問 題 の 解 答 過 程 で , 活 用 さ れ る 能力 につ い て で あ る 。 こ れ に つ い て は, 寺 尾 健夫 が 示 し て い る 想 起 → 解 釈 → 問 題 解 決 と い っ た 能力 の レ ベ ルを も と に 分 析 す る21)。 す な わ ち , 想 起 と は, 記 憶 し て い る 事 実 や 理 論 を 単 に 再 現 す る こ と で あ り , 暗 記 テ ス ト と 批 判 さ れ る の は こ の よ う な 想 起 だ けで 解 答 で き る テ ス ト で あ る。 ま た , 解 釈 と は, 図 表 の 読 み と り や 複 数 の デ ー タ を 見 て 解 釈 し た り 判 定 し た り す る 思 考 が お こ な わ れ る こ と で あ る。 主 に 資 料 の 読 解 や 活 用 能 力 が こ れ に あ た る。 さ ら に , 問 題 解 決 と は, 問 題 解 決 の た め に は何 を な す べ き か 判 断 し た り , 意 志 決 定 し た り , さ ら に は問 題 解 決 に 行 き 着 く ま で の計 画 を 立 案 し た り と い っ た 高 次 の 知 的 活 動 か お こ な わ れ る こ と で あ る 。 問 題 解 決 を さ せ る よ う な テ ス ト 問 題 は, 現 在 求 め ら れ て い る 匚探 究 す る力 」 を 問 う 問 題 で あ る と い え よ う 。 第 2 の 視 点 は, 問 わ れ て い る 知 識 の 質 に つ い て で あ る。 こ れ につ い て は, 岩 田一 彦 が 定 義 し た記 述 的 知 識 , 分 析 的 知 識 , 説 明 的 知 識 , 概 念 的 知 識 と い っ た知 識 の 分 類 を も と に 分 析 す る 气 す な わ ち ,記 述 的 知 識 と は, 社 会 に存 在 す る 情 報 の内 で, 事 象 の 存 在 に つ い て 述 べ た も の で あ り, when, where, who, what と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る 。 次 に, 分 析 的 知 識 と は, 社 会 の 中 に 見 ら れ る諸 関 係 を 述 べ た 知 識 で あ り, 目 的 ,手 段 ・ 方 法 , 構 造 , 過 程 , 相 互 関 係 に つ い て 述 べ た も の で, how と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る。 そ し て , 説 明 的 知 識 と は, 社 会 事 象 間 の 関 係 を 原 因 ・ 結 果 の 関 係 で 示 し た も の で , 一 般 的 法 則 性 の 高 い 概 念 的 知 識 と 単 元 で 扱 う 典 型 的 な 社 会 事 象 と 結 び つ け た も の で あ る 。 す な わ ち why と 問 う こ と に よ り 獲 得 さ れ る 知 識 で あ る。 さ ら に , 概 念 的 知 識 は, そ の 単 元 で 習 得 さ せ た い 法 則 哇・ 概 念 で あ る 。 次 に, 第 3 の 視 点 で あ る 方 法 知 に 関 し て は, 方 法 知 を 構 造 的 に 示 し て い る23) ナ シ ョ ナ ル ・ カ リ キ ュ ラ ム・ 地 理 (2000 ) の 項 目24)を 視 点 と す る 。 す な わ ち , ナ シ ョ ナ ル ・ カ リ キ ュ ラ ム ・ 地 理 (2000 ) に 示 さ れ た 地 理 的 技 能 で あ る 匚地 理 的 用 語 の 使 用 」, 匚フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 技 能 」, 匚地 図 の 利 用」 , 厂地 図 の 作 成」 , 匚二 次 的 情 報 資 料 の活 用」 を 分 析 の 視 点 と す る。

3 分析 結果

前項 の分 析視点 を もと に, 第 1[司奈良県 小学 校

社会科 診 断テ ストにお け る内容知 を分析 し整理 し

たのが表 2であ る。

表2 内容知に関する学年別問題数

二 言

4 年 5 年 6 年 計 想 起 記 述 的 知 識 3 7 4 14 分 析 的 知 識 7 2 9 18 説 明 的 知 識 3 6 0 9 概 念 的 知 識 0 0 0 0 解 釈 記 述 的 知 識 3 4 0 7 分 析 的 知 識 2 4 4 10 説 明 的 知 識 7 4 0 11 概 念 的 知 識 0 1 0 1 問 題 解 決 計 画 ・ 予 測 0 0 0 0 意 志 決 定 0 0 0 0 (筆者作成) 表 2 の よ う に, 第 1[可奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト で は, 記 述 的 知 識, 分 析 的 知 識 , 説 明 的 知 識 を 想 起 , 解 釈 さ せ る 問 題 は, 概 ね バ ラ ン スよ く 作 成 さ れて お り , 単 に記 述 的 知 識 を 想 起 さ せ る よ う な 暗 記 テ ス ト に 偏 っ て い た と い う こ と は な い 。 し か し ,6 年 生 で , 説 明 的 知 識 , 概 念 的 知 識 を 想 起 , 解 釈 さ せ る問 題 が 全 くな か っ た こ と や, さ ら に 概 念 的 知 識 を 問 う 問 題 に 関 し て は, 全 体 で 5年 生 の 1 問 の み で あ っ た の で あ る。 ま た , 問 題 解 決 さ せ る 問 題 に 関 し て は, ど の学 年 に お い て も, 全 く 作 成 さ れて い な い こ と が 明 ら か に な っ た。 す な わ ち , 内 容 知 にお い て , 典 型 的 な 社 会 事 象 に お け る 説 明 的 知 識 の 理 解 を 問 う 問 題 に留 ま り , そ こ か ら 法 則 性 と し て の概 念 的 知 識 を 問 う よ う な問 題 は ほ と ん ど 作 成 さ れ な か っ た と い え よ う。 ま た , 奈 良 県 は, 問 題 解 決 学 習 を 方 法 原 理 と す る経 験 主 義 社 会 科 の 先 進 県 で あ る と さ れて い た が, 児 童 に 問 題 解 決 法 を 考 え さ せ た り , 意 志 決 定 さ せ た り す る よ う な , よ り 高 次 な 問 題 作 成 に 関 し て は, ま だ 十 分 に 研 究 さ れ て い な か っ た と いえ よ う。 次 に, 方 法 知 を 分 析 し 整 理 し た の が 表 3で あ る。

(5)

表 3 方 法 知 に 関 す る 学 年 別 問 題 数

匸卜 ①

4 年 5 年 6 年 計 地 理 的 用 語 を 使 う 0 6 12 18 フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 手 法 と 器 具 を 選 択 し て 使 う 0 0 0 0 い ろ い ろ な縮 尺 の 地 図 帳 , 地 球 儀 , 平 面 図 を 使 う。 記 号 10 0 2 12 方 位 2 4 4 10 縮 尺 2 1 1 4 等 高 線 1 3 2 6

0 2 4 6 二次的情報資料(図表・ グラフ) を選択して使 う 0 1 5 6 いろいろな縮尺で平面図や地図を描く 0 0 0 0 (筆者作成) 表 3 か ら, 地 図 の 使 用 に 関 し て は, ど の学 年 で もバ ラ ン ス よ く 出題 さ れ て い た こ と か ら√ 奈良 県 に お い て , 読 図 の能 力 の 育 成 を 重 視 し て い た こ と が 明 ら か に な っ たO し か し , フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 仕 方 や 地 図 を 作 成 さ せ る 問 題 は, 全 く 作 成 さ れ て い な か っ た こ と も 明 ら か に な っ た。 以 上 の こ と か ら, 第 1[可奈 良 県 小 学 校 社 会 科 診 断 テ ス ト は, 事 例 を も と に し た 知 識 を 想 起 ・ 解 釈 さ せ る 問 題 や, 地 図 の技 能 に関 す る問 題 が, 網 羅 的 に作 成 さ れ て お り, 内 容 知 や 方 法 知 に お け る基 礎 学 力 が重 視 さ れ た 作 間 に な って い た とい え よ う。 し か し, よ り 発 展 的 な 分 野 で あ る概 念 ・ 法 則 性 を 問 う 問 題 , 問 題 解 決 さ せ る 問 題 , フ ィ ー ル ド ワ ー ク の仕 方 を 問 う 問 題 , 及 び 地 図 の作 成 等 に 関 す る 問 題 開 発 は, ま だ十 分 に な さ れ て い な か っ た と い え よ う。

IV  各 領域 におけ る特 徴的な問 題例 の分析 と考 察

ここで は, 前章 であ げた①読 図力, ②地 名・ 用

語, ③統計・ 図表 の理 解・考察 とい う3つ の領 域

におい て,具 体的 なテ スト問題 事例を もとに分 析

し, そ の特質 を明 らか にしよ う。

1。 読図力 の問題 例

まず, 読図力 を評 価 する問題 につ いて分 析して

みよ う。

(問題 事例 1) は,4年生 の問題 であ る。

〈 問 題 事 例 1〉 下 の地図を見 て 〔 〕 の中の正 しい ものを一 つだ け 選 んで,そ の番号を○ でかこ みなさい。 ①固 の線は〔1.等高線,2. 等温線3. 等深線〕といっ て,土地 の高い低い をあ らわす。 ②縮尺 は 〔1. めんせ き,2. きょり,3. 高 さ〕 を ちぢ めた ものである。 ⑧駅か ら寺 まで, まっすぐ に, はかる とだ いたい 〔1. 五 百 メ ート ル,2. 一 キ ロメ ート ル,3. 十 キロ メ ー トル〕 ④地 図 はふつ う北 が上 にな るよ うに書い てある。神 社 は郵便局 の 〔1.東,2. 西,3. 北〕 にあ る。 ⑤お寺の 〔1. 東,2. 北,3. 南〕 に郵便局 がある。 ⑥の地図記号 を問 う問 題(10問) は省 略する。 (奈良 県 社会 科研究 会 編『 社会 科診断 テ スト報 告 書』 奈良県 社会科 研究会, 1961 年, pp.12-130) 〈 問 題 事 例亅 〉 の ① と ② は, 等 高 線 と 縮 尺 の 意 味 を 問 う 問 題 で あ り , こ こ で は 実 際 に 等 高 線 を 用 い て 高 さ を 求 め た り , 土 地 の 緩 急 を 求 め た り と い う 問 題 は出 さ れて い な い。 ③ は , 縮 尺 を 用 い て 実 際 の長 さ を 求 め る 問 題 で あ る。 ④ と ⑤ は, 建 物 の 方 向 を 4 方 位 で 表 す 問 題 で あ る。 次 に , 〈問 題 事 例 2〉 は,5年 生 の 問 題 で あ る 。 〈問 題 事 例 2〉 下 の地 図 を よ く見 て , 下 の 〔 〕 の中 の正 し い も の を 一 つ だ けえ ら び , そ の 番 号 を ○ で か こ み な さ い 。 105

(6)

田は

〔1.

学校

,2.

,3.

〕の

西に

ある

電所の

〔1.

,2,

,3.

西

〕に

ある

〔1.

,2.

北東

,3.

〕か

「1.

,2.

西

,3

」ヒ

西

〕の

向に

いる

電所

川の

〔1.

上流

,2.

中流

,3.

下流

〕に

ある

[1.

り低

い,2.

り高

,3.

じ高

さの

]土

ある

山へ

,神

寺院

ら二

つの

り道が

ある傾

斜の

〔I.

,2.

,3.

な道

寺院

ら登

る道

白山の

さは

よそ

[1.

110m,

2.

150m,

3.

200m

ある

白山の

上か

ら四

を見

〔1.

,2.

,3.

〕が

える

前の

十字路

B町の

便

まで

,お

〔1.

3000m,

2.

1500m,

3.

500m

らい

ある

図の

問題

は省

(奈

良県社

会科

究会

『社

診断

テス

ト報告

良県社

科研

会,

1961

年,

pp.22-23

〈問題事例

2〉の①

,②

,③は

,方位

を問う問

題である

4年生では4方位の

問題が出題されて

いたが

5年生では八方位の問題が出題され

てい

。また,これ

らの問題

を解

くためには

,方位の

知識のみ

でなく

,油田や発電所や鉱山の

地図記号

を覚

えている

ことが前提となる

。④

,川の

上流

中流

,下流といった地理

的用語の

知識

を問う問題

である

。⑤

∼⑦

までは,等高線

をもとに土地の高

さを求めた

,等高線の幅から斜面の緩急を判断

する問題である

。⑧は,地図の読解

を問う問題で

あり,⑨は,縮尺を用いて実際の距離

を求める問

である

さらに

〈問題事例

3〉は

6年生の

問題である

〈問題事例

3〉

を見

なが

っぎの

を読み

( 

)の

中の

しいもの

一つ

らん

でそ

を○

こみ

一郎くんたちは遠足の

とき

,柳

駅でおりて町の

中を

,十字路

をわた

って行き,

(1.

,2.

病院

,3.

役場)の

ところを右におれ

(1.

いた。右におれ

水田

,2.

,3.

てか

草地)の

ら寺まではおよそ

ところを歩いて寺に

③(l.

3km,

2.

5km,

3.

4km)

道の

りがあった

。少

し休んでか

ここからは

,白川の

,名所になって

対岸に

いる山の

頂上についた

(1.学校

,2.

神社

,3.

鉱山)が見

え,西の方の

山頂には城

あとが見

える

。ぼくたちの登

った山の

さは

,城

あとの

ある山よりおよそ

〔1.

110m,

2.

150m,

3.

200m

〕高い

,帰

りは

〔1.

傾斜のゆるやか

,2.

たいらな,3.

傾斜の

な〕谷間の

道を

,くだって

白川を渡

り,

(1.

果樹園,2.

田,3.

草地)を右に見て上田町

に帰

った。

(奈

県社

会科

研究

会編

『社会

診断

テス

ト報

告書』

県社

究会,

1961

年,

pp.34-35

〈問題事例

3〉の①

,②

,④

,⑦

では地図の

,③は縮尺,⑤

と⑥は等高線の読み取

りといっ

問題が出され

ている

。しかも,この

問題は

,登

場人物である

一郎

くんたちが遠足をするという場

面を設定することにより

,ス

トー

リー性

を持たせ

る工夫がな

されている。

以上の

ように

,第

[可

良県小学校社会科診断

テス

トの読図力の問題においては

,どの学年にお

いても

,地図記号

,方位

,縮尺,等高線といった

地図を利用する為の

基本的なスキル

を問う問題が

網羅

的に出題され

ていたの

である。

また

4年生では

4方位の理解,等高線と縮

尺の意味を問う問題

5年生では,

8方位,縮尺

や等高線を活用して距離や高さを求める問題

年生では

,ス

トー

リー性

を持たせた問題というよ

うに

,系統性と発展性を大切に

した作間がなされ

ていたの

である。

この

ことについて,当時の作間委員である西川

「 ̄

地図を読む力は

,地理では最も大切に

され

る能力です

。でも

,その

力をつけるためには

,行

当た

りばった

りではあきません

。低学年では,

遊びながら絵地図で

,中学年では

,地図記号や縮

尺等,本物の地図の基礎

を,高学年ではグラフ等

に絡めて総合的に

地図

を読ん

でいくというように

系統性を大切に

この

ように

,第

しま

[弓

した

奈良県小学校社会科診断テ

」と述べている。

(7)

トでは

,地

図の

読み

りを大切

し,

しか

学年

とに

系統

な基準

を定め

,テス

ト問題が

され

いたの

ある

地名

や用

を問

う問題例

地名や用語

を問う問題ついては

問題事例

4〉の

4年

生の

問題

を分

してみ

〈問題

事例

4〉

つぎの文は奈良県の各地の

ようすをあらわ

したもの

です

。文

をよく読んでてきとうなもの

を地図の

中から

さが

し,地図にある番号

( 

中に書

き入れな

さい。

レレ

ト匚

﹂卜

に大

羚レ

レレ

ーー

11

。 ・冫 `j ︱︷ ゛T 二 ゛y ゛X k こ 4r 冫 こ λ゜y ^゛ や 歌 山 県 − ’− 1 1− ! 。

県庁が

あり

,政治

,学問,文化の

中心地である

とと

もに

,うつ

くしい公園や昔の建物などがあるので見

物に

おとずれ

る外国人も多い。

(  

宗教に関係

した建物がたちならび

,大祭の

ときには

全国か

ら集まる信徒でにぎわ

う宗教都市

( )

奈良県を吉野

山地と奈

良盆地の

二つの

地形に分けて

流れ

る川。         

( )

⑦奈

良盆地の

いろいろな川を集め

大阪わ

んにそそいで

いるが,夏は水田用の水が不足

して困るといわれ

いる川      

( )

十津川の水

をせき止め

,吉野川

(紀ノ川上流)に流

すためにつくられたダム

。     

( )

②④⑤⑨⑩の

問題は省略する。

(奈

良県社会

県社

科研

究会

会,

1961

『社

年,

pp.15-160)

科診

断テス

ト報告書

〈問題事例

4〉は

,設問の

内容に

あてはまる奈

良県下の都市名

,及び川や山の名前

を,略地図か

ら選ば

せる問題である。

えば

,①は

,県の

中心的な都市であ

り,美

い公園や世界

的な歴史建造物が

あるの

,外

国か

らの観光客が

多いという説

明的知識をもとに

,奈

良市という都市名と地図上の位置とを結びつけな

ら答える問題である

。また,⑧

も,十津川から

吉野川に水を流すために猿谷ダムが造

られた

,と

いう目的に関する分析的知識を地図上の位置と結

びなが

ら答える問題である

以上のように

,ここでは,地名や用語の領域

して設定

され

た問題であるが

,単なる暗記テス

のような記述的知識と

して地名や用語を想起

させ

るの

ではなく

,その

地域の地形や気候や産業の特

徴といった分析

的知識及び説明的知識を想起

させ

た上で

,地図上の位置

と関連

させて解答

しなけれ

ばならないような問題

を作成

したの

である

。また

ここで出題

されている都

市や川などは

,奈

良県に

在住す

る者にとっては

,当然

,教養と

して持

って

いなければならない知識であり

,これ

を学力診断

テス

トとして出題

したね

らいとしては

4年生の

児童に

,奈

良県の地理的な教養

を確実に身につけ

させ

ることを意図

したものであるといえよう

この

ことに

ついて

,当時の作間委員である西川

,匚

知識がなか

った

ら考

えることはできへん

いろんなことを知っているか

ら考える

ことができ

るん

です

。天理っていう町の名前だけ知ってても

あかん

。天理ってどん

な町か

,どんな所にあるの

かを知っていて

,郷土の

ことがわか

っていると言

えます

。身近な郷土の

ことがわ

かっているから,

身近

じゃない日本のこともわかるようになる

。だ

から

,郷土の

ことは,

しっか

り知識

をつけること

は大事やと思います26)

。」

と述べている

すなわ

,第

1[

良県小学校社会科診断テス

トでは

,郷土の地名や川や山の

名前

を断片的に問

うのでは

なく

,その特徴や地図上の位置

と絡めて

出題

したのである

。それは

,その

うな知識

こそ,

以降の

学習において

,生きた知識

として発展する

知識だか

らである

― 107

(8)

3 

,資料の

読み

り,考

を問

う問題例

,資料の

読み

り,及び

その

を問

う問

題つ

いて分析

してみ

よう

。まずは

,く

問題事例

5〉の

4年

生の

問題

をで

ある

〈問題

事例

5〉

下の

図や

く見

,下

〔 

〕の

中か

しいもの

つだ

らん

でそ

番号

を○

こみ

四詔1

皿訂

歌か

一一

ら冬に

けて、

回ヽ

せぎにいく人

(苛が

た県)

θ  θ  θ j  夕  ぶ θ  j  口 j  2  / (汐豺ぷ=怙肪た県庁くらべー)

雪の

,3.

さん

州地

もるの

ある

は皿北

,2.

きん

新が

女だ

県で

,3.

男も

でか

ぎに

〕で

ある

くの

〔1.

男だ

,2.

日本

雪が

いの

〔1.

洋に

した

地域

,2.

日本

した

ある

(2

夫君

下の

図や

を見

,つ

ぎの

よう

を考

えま

した

しいと

うも

えら

下の

えの

らん

さい

新が

,秋

,山

県な

どは

,冬

,雪

るの

,奈

良盆

地の

うに

,麦や

小麦

くれ

国の

人は

,冬

田や

畑の

いの

,雪

いる

いだ

しご

をやめ

さむ

いか

ら家の

中の

りの

まわ

りに

あつ

,あ

そん

いる

どでは

,雪の

って

いる

いだ

,家の

をす

では

,手

あま

,グ

フに

うに

いろ

な仕

をす

るた

方へ

でか

くの

けて

県や

麦や

田県

をつ

どの

くる

仕事

国の

をす

るの

,雪

,奈

をか

良盆

くらべ

,大

くろ

うだ

ろう

でか

に行

かず

家に

った

人は

,家の

中や

,む

しろや

らぞ

っく

りをす

るの

。     

(  

) 

(  

) 

(  

(奈

県社会

研究会

『社会

診断

テス

ト報告

書』

良県社

研究

会,

1961

年,

pp.19-20o)

問題事例

5〉の

〔囗 は

,二つの資料から

雪がた

くさん積もるのは,北陸地方である。

新がた

県では,男の

人も

女の

人も出かせぎに行っ

ている

,厂

日本で雪が

多いのは,日本海側の地

方である。

」という記述的知識を解釈させる問題

である。

次に

〔2〕は

,二つの資料から考

えた事柄に

いて正

しいもの

を選

択させる問題である

。正答は

①③⑤

である

。まず①は,匚

新がた県,山形県,

秋田県などは

,冬に雪が

多いので,奈

良盆地の

うに

,麦や小麦をつくることができない。

」とい

う説明的知識を

,③も,匚

新がた

県は

,雪の降っ

ている間

,暖かい地方に出稼ぎに行かなければな

らない

。その理由は

,冬の新がた

県は

,あまりに

もた

くさん雪が積もるの

,農

家の仕事ができな

くなるからである

」という説明的知識

を,二つ

の資料か

ら解釈

させ問題である

。しか

し,⑤に関

しては

,二つの資料からのみ

で匚

出稼

ぎに行かな

い人は

,家の

中や共同の仕事場で,む

しろやわ

ぞうりづくりをする

」ということを解釈すること

はできない

。つま

り,冬の間

,農

家の

人はどのよ

うな仕事

しているのか

という知識

を持

っており

その知識と絡め

て解釈することが必要な問題であ

る。

以上のことから

,第

[目奈

良県小学校社会科診

断テス

トの統計

,資料の読み取

り,考察の領域の

問題では

,まず地図やグラフ等の資料から記述

知識

を解釈

,それ

をもとに思考することによ

り,

分析的知識

,説明的知識

といったよ

り高次な知識

を解釈

せる問題が作成され

ていた

このことに関

して西川は

,匚

地図やグラフなど

の資料から事実

を読み

取る問題も大切ですが

,そ

れだけではなく

,そ

こから,くらしの様子や工夫

を考えさせるような問題を作

りました27

」と述

べている。

すなわち,第

[可

良県小学校社会科診断テス

(9)

卜では

,資料の

読み

りだ

けで

く,よ

り深

く思

させ

,人々の

生活の

姿

に迫

うな

問題

が作

され

いたの

ある

V 

おわ

りに

以上

,第

1[

亘]

良県小学校社会科診断テス

トの

問題開発に関する検討か

,その特質について一

定程度明らかになった

まず

,第

1[

亘]

奈良県小学校社会科診断テス

トの

実施に

関しては

,経験主義から系統主義への転換

期の中で

,奈

良県が

リー

ドしてきた問題解決学習

にそ

ぐわ

ないもの

して批判的な見方もある中で

児童の

系統的な知識や能

力を問うことによ

,こ

までの指導の

り方に

ついて検証することを目

的に実施

されたことが

明らかになった

次に

,内容知に

ついては,複

数の資料の解釈

して

,記述的知識,分析的知識,説明的知識

問う問題がバランスよく作成され

ていることが

らかになった

。方法知に

ついては,読図(地図の

読み

り)の技能に関する問題が

,学年毎に系統

的に作成され

ていることが明らかになった

また

,第

1[

良県小学校社会科診断テス

トの

具体的なテス

ト問題の分析によ

,教養や知識

重視

した

問題や思考を通

して知識を深め

ていくよ

うな問題が重視

され

ている

ことが明

らかに

なった

この

ことについては

,当初

,診断テス

トに批判

的であった山本は

,匚

口の中にあてはまる言葉

下か

ら選んで入れ

なさい

。同

じや

つを線で結びな

さいというような問題はあかん

。その

点では

診断テス

トはええと思った28)

。」

と述べている。

なわ

,断片的な知識の暗記や詰め込み

ではな

,構造

的な知識の習得を重視

した優れ

たテス

問題が作成され

ていたの

である

本研究

では

,第

1[

回]

良県小学校社会科診断テ

トの

問題開発について

,その特質を明らかに

てきた

しか

し,これ

以降,各時代の学

力観や評

価観の影響

を受け

,どの

ように変遷

し,その中で,

地理

,歴史,公

民分野における内容知や方法知を

ふまえたテス

ト問題が

どの

ように発展

していった

のかいうことなどについても明らかにする必要は

あるが

,それ

らについては筆者の今後の課題とし

い。

〔註〕

1)このことに関

しては

,田淵五十生は

,重松の指導

は,奈良女高師附小に限定

したもの

ではなく,県下

各地に重松を囲む研究会ができたと述べている

。詳

しくは

,田淵五十生厂

良県小学校社会科教育の歩

とその独

自性

「奈良県小学校社会科教育課程

変遷

を中心

としてー

『奈良教

育大

学紀要』

第36

第1号,

1987

年,p。45

を参照の

こと。

2)このことに関

小学校において作成

しては

された社会科

,重松鷹泰が

プランである

,奈

良県の公立

「桜

プラン

」や

「田原本

プラン」

,及び奈

良県社会科カ

リキ

の作成に,大きな影響を与えたの

ュラム

である

『奈良県社会科作業単元基底要覧』

である。詳しくは

良県小学校教科等研究会社会科部会編

『奈

良の社

会科』大阪書籍,

1975

年,

pp.77-264

を参照の

こと。

3)寺尾健夫

「小学校社会科の評価テス

トの作

り方と

良県

小社研の診断テス

トー基礎

・基本の学力の向

上と授業の改善に向けて

」奈

良県小学校教科等研

究会社会科部会編

『奈

良県社会科診

断テス

ト研究報

告紀要』第44

号,

2005

年>

p.

1

o

4)田淵五十生

,前掲書1),

p.55

5)これに関しては

,寺尾健

「ペーパーテス

トを通

して児童の能力診断を

,そ

して授

業改革ヘー

地図帳

活用

,思考’・

判断を問う問題から明らかになったも

のー

」奈

良県小学校教科等研究会社会科部会編

『奈

良県社会科診断テス

ト研究報告紀要』第38

号,

1998

年,

pp.7-12,

及び寺尾健

夫,前掲書3),

p.1-8,

を参

照の

こと。

6)社会科の初志をつらぬ

く会は

,会の基軸概念であ

思考体制」の

変容をペー

パー

テス

トで分析

しよ

うとした

。そ

して,社会科のペー

パー

テス

トの備え

るべき原則を

した

O詳

しくは

,伊東亮三,池野範

題作成の基本モデルー

社会科テス

トの教授学的研究

」日本教科教育学会

(I)−テス

『日本教

ト問

科教

育学会誌』第11

巻 

3号,

1986

,p.10

,及び

社会科の初志をつらぬ

く会編

『評価

を生かす社会科

指導』

明治図書,

1967

年を参照の

こと。

7)寺尾健

夫は

,市販のテス

ト問題を分析することに

,テス

ト問題がどのような過程

で作成

されたの

かを明らかに

した

。また

,その

問題を児童に解答さ

せ,解

く際の思考過程を面接調査する

ことにより,

児童の適切な思考が可能であるテス

ト問題の特徴が

― 109

表 3 方 法 知 に 関 す る 学 年 別 問 題 数 匸卜 ① 4 年 5 年 6 年 計 地 理 的 用 語 を 使 う 0 6 12 18 フ ィ ー ル ド ワ ー ク の 手 法 と 器 具 を 選 択 し て 使 う 0 0 0 0 い ろ い ろ な縮 尺 の 地 図 帳 , 地 球 儀 , 平 面 図 を 使 う。 記 号 10 0 2 12方 位24410縮 尺2114 等 高 線 1 3 2 6 皿 0 2 4 6 二次的情報資料(図表・ グラフ) を選択して使 う 0 1 5 6

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