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家庭生活の実態調査を通してみた家庭科教育内容の検討(第三報) : 寒冷地における住生活の特徴に関して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 家庭生活の実態調査を通してみた家庭科教育内容の検討(第三報) : 寒冷地における住生活の特徴に関して. Author(s). 中村, 公子. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 34(1): 325-338. Issue Date. 1983-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4932. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 家庭生活の実態調査を通してみた家庭科教育内容の検討 (第三報) -- 寒冷地における住生活の特徴に関して --. 中. 村. 公. 子. 既に著者は家庭科教育内容の検討の一環として, 食生活における加工食品の利用, および衣生活 における既製服の利用を中心に実態調査を行い, それぞれの領域別に教育内容との関連を分析し報 告 した 班) .. 今回は住生活に関する学習内容について検討するため, 特に寒冷地における住生活の特 徴に重点 をおき, 実態調査を行った. 家庭科の学習内容中, 「住居」 領域については 「食物」 「被服」 の領域に比較して児童・生徒の興 味, 関心が極めて低いとされており, また実際には中学校において生徒は 「住居」 領域を履習せず ) その原因として田中4 )は1 住空間を認識する に家庭科の学習を終えてしまう場合も少なくない3 . . ことの困難性, 2. 生活の矛盾が住居に 集中的にあらわれてくることからの困難性, 3。 理解した ことを検証する手だてが遊離してしまっている学習方法上の困難性, 4. 獲得した理解を現実の住 生活の改善に向けられない困難性をあげている. 著者はこの中で特に3. およ び4. に焦点をあて, 「住居」 領域における児童・生徒の実践活動を可能に し, 教育効果を高めるための視点を明瞭にす べく実生活における寒冷地の住生活の特徴について認識を明らかにし, さらに家庭科教育内容にお ける 「住居」 領域の改善を探る-資料としたい.. 1. 調査方法と調査対象 調査用紙は表1に示す通りである. まず現行の中学校技術・家庭科の 「住居」 領域における学習 内容中, 標準的でかつ中心的な 「住空間の計画」 の中から, 家具の選定, 配置, 規格, 建築平面図 について設問した. 「住居」 領域に関して児童o生徒の実態調査は比較的多いが, 寒 令地における住 生活の特 徴に 重点をあてたものは見当らないため, 特に寒冷地の住生活に必須の条件 である断熱, 暖房方法, 給排水管の管理方法について問い, 最後にこの領域の中で特に子供に学習させたい項目 について選択させた. 調査は本学学生が担当し, 戸別訪問の聞きとり で行なわれ (回収率は100%) 調査時期は19 82年 )を参照し 伝統型地区と新興型地域の混 9月 27 日 ~11月 6 日である. 対象者は旭川市の地域類型5 , 合型である旭星地区に居住する総計300名の主婦である。 調査の集計には CanonBXIO/30を活用 し, 単純度数分布, 百分率, 〃2検定を行っ た.. 325.

(3) . 中. 表1. 村. 公. 子. 住生活に 関するアンケー ト調査 北海道教育大学旭川分校 家庭科教育研究室. 年齢 職業 最終学歴 家族形態 住居. 0歳以上 0歳代 オ. 50歳代 力. 6 ア. 2 0歳未満 イ. 20歳代 ウ. 30歳代 エ. 4 ア. 有 (パート, フルタイム) イ. 無 ) ア. 新制中学卒 イ. 新制高校卒 ウ. 短大, 大学卒 エ. その他 ( ア. 核家族 イ. 拡大家族 ア. 持家 イ. 給与住宅 ウ. 公営, 公団住宅 エ. 民間借家 オ. 借間 力. その他 ( A. 一戸建 B. 長屋建 C. 集合住宅 )年 建築後 (. 1. あなたは木製家具 (テーブル, 机, イス等) を購 入する時, どんなことに配慮しますか. 次の中から 該当す るもの2つを選んで下さい. ア. 価格 イ. デザイン, 色 ウ. 大きさ エ. 材質 オ. 機能性 力. 使 用 目 的 キ. メ ーカ ー 〕 ク. その 他 〔. 2. あなたは家具の配置を決める時に, どんなことに 配慮しますか. 次の中から該当するもの1つ選んで 下 さ い.. ア. 動線 イ. 家具の大きさ ウ. 採光 エ. 部屋との調和 オ. 部屋を広く保つ 〕 力. 使いやすさ キ. その他 〔 IS (日本工業規 1 )あなたは主な家具の大きさがj 3.( 格) で定められていることをどの程度知っています か. ア. よく 知 っ て い る. イ. だ い た い知 っ て いる ウ. 知 ら な い ( 2 )ア, イ の 人は そ れを どこ で知 り ま し たか. C. マ スコ ミ. D. 親や家族, 友人, 知人からきいて E. そ の 他 〔. 〕. 4. あなたは新聞の広告やチラシの建築平面図にどの 程度関心がありますか. ア. たいへん関心がある イ. 関心がある ウ. ほ と ん ど関 心 がない オ. わ か ら ない. エ. ま っ たく な い. 5. あなたの家では断熱材を用いていますか. またそ れはどこに何 mm ですか. ア. 壁 ( ) mm イ. 床 ( ) mm ウ. 天井 ( ) mm エ. 使 用 して い る が, どこ に 使 用 して いる か わか ら ない オ. 全く 使 用 し て いない キ. そ の他 〔. 力. わか ら な い 〕. 1 )あなたの家の暖房方法は次のうちどれですか. 6.( ア. 集中暖房 イ. 個別暖房 ウ. 集中と個別の 併用 326. G, お がた ん ス トー ブ (. H. 火ばち (. ). 1, こ た つ (. ). ). j. 暖炉 ( ) 〕( ) K. その他 〔 (理由) い. 経済的である ろ. 持ち運びができる は. 部屋の雰囲気にあう に. 衛生的である ほ. 安全である へ. 暖房効果が高い と. 操作が容易である ち. 部屋を広く使える り. その 他 〔. A. 学校 (小, 中, 高) B. 職 場. 2 ( )イ, ウ と こ た え た 人は, 冬期に は どの種 類 の 暖. 房器具を使っていますか. 該当するものをすべて選 び, また, その主な理由を下から1つ選んで下さい. A. ポット式石油ストー ブ ( ) B. 温風式石油ストー ブ ( ) C. ポータブル石油ストーブ ( ) D. 石炭ストーブ ( ) E. 電気ストーブ ( ) F. まきストーブ ( ). 〕. ( 3 )普段, 居間, または茶の間で主に用いている個 別暖房器具は, 部屋のどの位置に置いていますか. a. 壁がわ b. 窓がわ c. 部屋の中央 d. そ の 他 〔. 〕. 1 )次の暖房器具を補助するような器具の中で, あ 7.( なたの家にあるものをすべて選んで下さい. ア. サーキュレーター イ. 加湿器 ウ. ドラ フ トリ ギュ レー タ ー オ. な し. エ.その他〔. 〕. ( 1 )で選んだ器具の中で使用していないものは ( 2 ) どれ です か. 〔. 〕. ( 3 )あっても使用していない理由は何ですか. 次の 中から該当するものすべてを選んで下さい. A. 使用効果がない B. 不経済である C. 使用する必要がない D. 音がうるさい 〕 E. 置く場所がない F. その他 〔 8. 冬期の, 家人が寝た後の夜間の暖房について該当 するものを1つ選んで下さい. ア. いつも目盛をかえず連続暖房.

(4) . 家庭科教育内容の検討 (第三報) イ. いつも目盛を小さくし車続暖房 ウ. いつもおきを残しておく程度 エ, 明朝冷えこむ日のみ目盛をかえず連続暖房 オ. 明朝冷えこむ日のみ目盛を小さくし連続暖房 力. 明朝冷えこむ日のみおきを残しておく キ. まったく夜間は暖房しない 〕. ク. そ の 他 〔. ( 1 )昨年の冬, あなたの家では給水管が凍結したこ とがありましたか. (水ぬきを忘れた場合を除く) ア. 週に2, 3度凍結した イ. 週に1度くらい凍結した ウ. 1 ケ月 に 2, 3度凍結した エ. 1ケ月に1度くらい凍結した オ, 冬期に3, 4度凍結した 力. 冬期に1, 2度凍結した キ. まったく凍結しなかった. 〕. ク. そ の 他 〔. ( 2 )凍結した給水管は次のうちどれですか. A. 水道管 B, 温水パイプ C. 水洗トイレット D. そ の 他 〔. 〕. 1 )凍結予防のためにしていることは次のうちどれ 1 0 .( ですか. 該当するものすべてを選んで下さい. ア. 毎晩水ぬきをする イ, 明朝冷えこむ日のみ水ぬきをする ウ. 毎晩夜間も暖房する エ. 明朝冷え込み日のみ暖房する オ, 給水管に断熱材をまいている 力. 給水管に電熱コイルをまいている キ. 全く何もしていない ク, そ の 他 〔. 〕. ( 2 )イ, エとこたえた人は明朝冷えこむかどうか何 で知りますか. 主なもの1つを選んで下さい. A, 新聞, テレビ, ラジオ等の天気予報 B, 自分 の経験から判断する C, 友 人, 知 人か らき いて 〕 D, そ の他 〔. 11 . 凍結してしまった場合, どう処置しますか, ア, すぐ業者にたのむ イ. 熱湯をかけてとかす ウ. 熱湯をかけてもとげない時, 業者にたのむ エ. その 他 〔. 1 4 . あなたは廃油を排水管に流すと排水管がつまるこ と を知 っ て います か. ア. よく 知 っ て い る イ, だいた い知 っ て いる ウ. ほ とん ど知 ら な い エ. 全く 知 ら な い オ, そ の他 〔 〕. 1 5 , あなたは,もし排水管がつまったらどうしますか. 主なもの2つまで選んで下さい. ア. すく業者にたのむ イ. 薬剤を用いる ウ. 排水 トラ ッ プを は ず し, つま っ て いる も の を とる エ. ブラ シ を用 いる. オ. その他 〔. 〕. 1 6 . あなたの家の排水管の配置についてどの程度知っ て います か. ア. よく 知 っ て いる イ. だ いた い知 っ て い る ウ. ほ とん ど知 ら ない エ. 全く 知 ら ない オ. そ の他 〔. 〕. 1 7 . あなたが現在, 住生活の中で関心のある事柄を次 の中から3つまで選んで下さい. 』ア. 住宅の構造 イ. 住宅の管理 (清掃, 手入れ 等) ウ. 環境整備 エ. インテリア オ. 近隣との関 係 力. 空間の有効利用 キ. 住宅費 (家賃, ローン 等) ク. 省エネルギー (節電, 節水等) ケ, 住宅政 策 コ. 住生活に関する法規 サ. その 他 〔. 〕. 1 8 . 中学校の技術・家庭科に 「住居」 の領域がありま すが, その中でとくに, 子供に勉強させたいと思う 事柄を次の中から3つまで選んで下さい. ア. すまいの役割と歴史 イ, 住空間の機能 ウ, 家具の選び方 エ. 平面図と立体模型の作成 オ, 収納の仕方 力. 採光と照明の仕方 キ. 冷暖房, 換気の仕方 ク. 家具, 床, 壁の手入れ ケ. 給排水設備のしくみと手入れ コ. 住宅問題 サ, 水と熱源の有効利用 シ. 清掃, 設備の管理 ス. 寒地住宅の特徴 セ. 室内装飾 ソ. その 他 〔. 〕. 〕. 1 2 . あなたの家の給水管の配管についてどの程度知っ. ~ご協力ありがとうございました~. て いま す か. ア, よく 知 っ て いる イ. だ いた い知 っ て いる ウ. ほ と ん ど知 ら な い エ. ま っ たく 知 ら ない オ. その 他 〔. 〕. 1 3 . あなたは流し台の排水口から廃油を流すことがあ りますか. ア. いつも流す イ. 週に1度くらい ウ. 月に1度くらい流す エ, 全く流さない オ. そ の他 〔. 〕 327.

(5) . 中. 村. 公. 子. 2. フ ェ ー ス シ ー ト の 集 計. 調査対象者の年齢, 最終学歴, 職業の有無, 家. 表2 調査対象. 族形態および住居状況を表2, 表3に示す. 全体として30歳代, 新制高卒, 無職, 核家族が 高い数値を占め, 前回の調査同様, 標準的な家庭 の主 婦 であることが示された. 住居については, 新改築後10~14年の持家,一戸建に高い割合が示 )によ され, 持家率については住宅統計調査報告6 る全国平均とほぼ一致した結果 であるが, 一戸建. の割合では全国平均の方がやや高く, 新改築後の. 齢. 年. 最終学歴. 53. 30 ~ 39. 歳. 95. 49 歳. 70. 50 ~ 59. 歳. 50. 60 歳. 上. 32. 新 制 中 学 卒 新 制 高 校 卒 短大.大学卒. 9 5 1 30 28. 他. 83. 有. 62. 無. 238. 家. 核 拡. 以. の. 業. 家族形態. 数. 歳. そ. 職. 実. 20 ~ 29 40 ~. 年数では本調査結果に比較的新しい住宅の多いこ とが示された.. 分. 区. 目. 項. 大. 家. 族. 260. 族. 40 300. 計. 表3 調査対象者の住宅状況 住. 形. 居. 新 改 築 後 の 年 数 (年). 態. 一 戸 建 長 屋 建 集合住宅 持 家 給与 住宅 公営住宅 民間借家 借. 間. 計. 0~ 4. 5 ~ 10~ 15~ 20~ 25~ 30~ 35~ 19 24 29 34 14 9. 129. 3. 1. 36. 34. 32. 11. 13. 5. 1. 0. 13. 1. 58. 25. 11. 13. 17. 4. 1. 1. 0. 72. 1. 18. 6. 0. 0. 5. 1. 10. 3. 1. 5. 25. 25. 24. 18. 8. 6. 23. 13. 10. 4. 3. 0. 67. 3. 0. 1. 69. 0. 1. 2. 1. 0. 0. 0. 4. 171. 45. 84. 69. 51. 74. 44. 38. 13. 6. 5. 300. 132. 数字は実数を示す。. 3. 住生活に関する認識 1) 家具の選定, 配置, 規格 家具を購入する際の配慮の重点項目としては 「価格」「デザイン・色」 が 「材質」「機能性」 より 優位に配慮されており, それを配置する際には 「部屋を広く保つ」 ことが 「使いやすさ」「部屋との 調和」に比較して群をぬいて高い値を示した. それらはさらに40歳以下 で顕著 であり, 持家以外の 住宅に居住している場合にも有意差が認 められた (表4, 表5) . 家具選定の要点については従来から,「住空間の計画」では使用目的に応じて家族構成, 生活様式, ) しかし 住空間の大きさ等の条件を考慮して品質や価格を検討し, 選択するように指導されている7 . 本調査結果から明らかなように, 「機能性」「使用目的」 は 「価格」「デザイ ン」 に一歩退いた形で考 えられており, 実生活 でこの内容が生かされているとは言い難い. 一方, 住空間の構想を検討する段階での具体的な学習内容として, 教科書では家具を配置する際 328.

(6) . 家庭科教育内容の検討 (第三報). には1. 動線, 2. 換気・照明, 3. 他の生活行. ) 為 と の 関 わ り, に 留 意 す る 様 に 述 べ ら れ て い る8 . し か し な がら 家具 の 配 置 に つ い て は, 「動 線」 「採 光」 は 合 せ て も 5 % に 満 た ず, 総 合 的 な 判 断 規 準 と 考 え ら れる 「使 い や す さ」 も 25% に 過 ぎな い. そ の 反 面, 空 間 の 機 能 と い う 点 で疑 問 の あ る 「部 屋 を 広く 保 つ」 項 目 が 高 い 値 を 示 して い る. こ の こ と は 日 本 の 住 宅 の 平 均 的 な 広 さ が 62m2 で あ る 〉 お よ び広 さ の 点 で不 満 に 感 じて い る 割 合 が こ と9 , 0 )と い う 日 本 の ほぼ半数 である 47% に も 達 す る1. 表4 家具選定の観点 項. 目. 総, 数 1 2 2 ・ 11 2 9 8 9 3. 格 価 デザィン・色 デザイン・色 大 き さ 材 質 機 能 性 使 用 目 的 メ ー カ ー そ の 他. 計. 人数に対する% 人数こ対する% 40 .6 3 7 ,3 29,7 1 O 3 , ,o .. 97. 32.3. 68 9 5. 2 2 ,7 O 3 ,0 1 .7. 59 5. 19 ・ 8 3 .. 人数は3 0 0 ,. 住 宅 事 情 と も 一 致 し, 現 実 の 住 生 活 が 広 さ の 点 で. は決して満足されないものであることのあらわれでもある. これらは 「住居」 の学習内容が理想的 な住生活に焦点を当てている結果を示すことにもつながり, 実生活との隔差が改めて大きいことを 示 した。. IS によ っ ていることを認識 していないの が全体の半数 家具の規格については家具の大きさがJ をこえ, 認識の低いことが示された. さらに最終学歴別 で有意差が認められ, 高学歴ほど認識の度 合が高いこと, 「マスコミ」「学校」 からの情報をその源としており, 予想された当然の結果 であっ た。. 表5 家具配置の観点 20~29歳. 30~39歳. 40~49歳. 50~59歳. 60歳以 上. 計. 線. 0. 5. 2. 1. 0. 8. 家 具 の 大 きさ. 1. 5. 2. 4. 1. 13. 動. 光. 0. 2. 0. 2. 1. 5. ※ 部 屋 と の調和 ※ 部屋を広く保つ. 12. 22. 15. 13. 11. 73. 20. 43. 37. 14. 6. 120. 使 い や す さ. 20. 17. 13. 15. 12. 77 I. 採. ※. そ. の. 他. 0. 0. 0. 1. 0. 無. 回. 答. 0. 1. 1. 0. 1. 3. 53. 95. 70. 50. 32. 300. 計. 数字は実数を示す。 50歳未満と50歳以上について※についてに2検定 0.4 271 に2 (0, 0 1<1 0. 247 1 ′ 5)=5 に2=1 .有意差あり ,99. 2) 建築平面図に対する関心 この結果について表6に示す. 「関心がある」 「大変関心がある」 で半数以上を占め, 関心の高いことが示され, 加えて年齢によ り有意な差が認められ, 20歳代~4 0歳代 で関心のある割合が他の年代に比較して高い傾向を示 し た。 一方住居の種類別 でも有意差が認められ, 公営住宅居住者に関心が低く, 給与住宅, 持家居住 者に関心の高いことが明らかとなり, 建築平面図に関する関心の度合は, 持家が現実のものとなる 可能性が大であれば関心も高まることが伺え, 興味深い結果であっ た. 建築平面図については前述 の 「住空間の計画」 の中で取り扱かわれているが, 本調査でも明らかなように住居の新改築の現実 329.

(7) . 中. 村. 公. 子. 表6 建築平面図に対する関心 家. 持. 給与住宅. 公営住宅. 民間借家. 借. 間. 計. たいへん関心がある. 25. 20. 3. 9. 1. 58. が. る. 49. 30. 7. 25. 2. 113. ほ と ん ど関 心 がな い. 関 全 わ. 心 く か. あ な. ら. な. 35. 12. 4. 15. 1. 67. い. 22. 1o. ll. 17. 0. 60. い. 1. 0. 0. 1. 0. 2. 132. 72. 25. 67. 4. 300. 計. 数字は実数を示す。 関心がある, 関心がない(わからないを含む)について持家, 給与住宅, 公営住宅, 民間借家, 借間でに2検定。 〆;8. ′ 2365 に2(0 5)=7.8115<8.2365 .有意差あり .0. 感を伴なう時, 初めて 興味関心が高まることから, 一般に関心が極めてうすい児童・生徒に単に計 画として理解させたり, 平面図を実習させてもその教育効果については 疑問が残る. 3) 排水設備に関する認識 排水設備に関する認識を探るために, 近年話題となっている廃油処理について設問したが, 80% が 「全く 流さない」 と回答し, 極めて高い結果となり, 「油は流さない」 という日常生活上の考え方 が定着していると思われた. これはさらに, 「廃油の排水管に対する 悪影響の認識」 で「よく知って いる」「だいたい知 っ ている」を含めると86%にも達 していることから, 知 っ ていることが実践され ているという, 認識と行動 が一致したもの であ っ た. 廃油 を排水 管を通して処理 した場合, 下水 1 )もあり 上述の結果は一応 処理物に台所廃油が流れ込んでくると 処理能率が低下するという報告1 , 好ましいものと思われる. 排水管がつま っ た場合は, 「すぐ業者に頼む」が39%と極めて高く, 次い で 「薬剤を用いる」 であり, これは年齢によ って有意な差は認められず, どの年代でも同傾向であ る こ と がラ示さ れ た.. 一方, 排水管の配管については, 全体で「よく知 っ ている」「だいたい知 っている」を合せて半数 以上となるが, 年齢, 最終学歴, 住居の形態別に有意差が認められ, 高年齢, 一戸建, 持家居住者 ほど関心の高いことが示され, 家の内部構造の一部 である配管に関 しての認識としては当然の結果 と言える. 排水管の手入れの方法については 前述の 「住居」 領域でも扱かわれているが, その内容はトラッ プの取りつ けの意義, 目皿の必要性等で昨今問題となっ ている廃油処理については 全くふれられて いない. 設備の適切な管理, 環境汚染という観点からこの題材をとらえるならば, 日常生活に 一層 密着したものとなり, 加えて自然環境や社 会全体にま で視野を拡 げることにもつながり, 児童・生 徒の興味・関心も高まるものとなるようにも思われる.. 4. 寒冷地における住生活の特徴 1) 断熱材と暖房方法 寒冷地での住生活ではまず第一に如何に暖かく住まうかという事が大きな課題であり, その一つ の方法として近年, 断熱材の使用が一般化さ れつつある. 断熱材の使用の有無に関してその結果を 330.

(8) . 家庭科教育内容の検討 (第三報) 表7 断熱材の使用の有無. 壁・床・天井 壁・床 壁・天井 壁 床 天 井 どこ か わか らな い. そ. の. 計. 他. 接 家. 給与住宅. 52. 2. 0. 2. 0. 5. 0. 0. 0. 0. 5. 13. 1. 0. 1. 0. 15 6. 公営住宅 民間借家. 借 間. 計 58. 6. 0. 0. 0. 0. 1. 0. 0. 0. 0. I. 2. 1. 0. 0. 0. 3 51. 20. 23. 0. 8. 0. 26. 10. 20. 34. 12. 92. 3. 35. 5. 21. 2. 66. 2 132. ‐ 0 72. 0. 1. 0. 3. 25. 67. 4. 300. 数字は実数を示す。 持家, 持家以外について使用, 未使用, わからない, その他に区分してに2検定 3.419 8 に 0 9<93 19 8 ′ に2=9 .有意差あり ,05)=5 .9 ,4. 表7に示す. 「全く使用していない」が30,7%, 「わからない」が2 2%と断熱材の使用を明確に認識 しているのは1/3に満たない結果であった. 断熱材の使用部位は 「壁・床・天井」 が最も高く 「壁. , 天井」 がそれに次ぎ, 断熱材の厚さ では 「壁・床・天井」 ともloomm が 22.7% で 最 も 高 か っ た . さらにこれは, 年齢, 住居, 新改築後の年数別 に有意な差が認められ 20歳~30歳代 では「わから , ない」 が他の年代より高く, 使用度合の高いのは40歳代であっ た 一方住居の種類別 では 公営 . , , 民間借家に比べ持家に 「壁・床・天井」 とも使用している割合が高く, 加えて一戸建 新築後10年 , 2 }等と考え合せ妥当な結果と思わ 以下の住宅居住者にその割合の高い傾向が示され, 断熱材の普及1 れた。. 断熱材が一般家庭に普及し始めるのは昭和30年代の後半である 断熱材はおがくず 岩綿 発泡 。 , , 2 ) 断熱材の性能は グラスウールの場合 スチロール, グラスウールの順に発達し,現在に至っ ている1 . , 未使用の熱損失を100%とした時,loomm では 15%, 200mm では 8 % と な り, 高 い 評 価 を 得 て い 3 ) 断熱材の使用は寒地住宅の基本となりつつあるが 適切な正しい施行 断熱保温効果 を保持す る1 . , , るためには, 他の種々 の条件を加味して改めて高い効果を上げることができ その効用についての , 認識は 「住居」 領域の学習内容に値する重要なものと言える . 冬期における暖房方法については表8に示す通りである.「個別暖房」が92.3%と圧倒的に高い数 値を示し, 「集中暖房」はわずか 7%に過 ぎなかっ た 暖房器具の種類 では「ポッ ト式石油ストー ブ . のみ」 が比較的高く, 近年, 省エネルギーの点から見直されている石炭ストー ブも若干あり おが , たん, 火ばちは僅少であり, 暖炉は皆無 であっ た 補助的にはポータブル石油ストー ブ まき 電 。 , , 気ストーブ, こたつを併用しており, その使用理由としてポッ ト式石油ストー ブ 石炭ストーブで , は 「暖房効果が高い」「経済的である」 が主要なものであり, 温風式の場合は 「部屋を広く使える」 4 )は 熱効率では電気ストー 「安全である」 が比較的高くなっている 暖房器具の特徴として浅見1 。 , ブは10 0%, 石油ストーブ97~9 8%と高いが, 石炭ストーブは5 0~7 0%と低く, 放熱量では石油ス トー ブ が 2000~2500kcal /h で あ る の に 対 し て 石 炭 ス ト ー ブ は 3000~8000kca1と 非 常 に 高 い と. し, また取り扱いの難易をみると, 石油ストーブ, 電気ストー ブは容易であるが石炭 ストー ブは難 しく, 経済性の点では, 電気ストー ブは然料費が高く, 石炭 煉炭 まき等の固型燃料は最も安価 , , であると述べている. このような特徴に ついての十分な理解は寒冷地における住生活の中で必要不 331.

(9) . 中. 村. 公. 子. 表8 個別暖房器具の使用状況 数. 総. 総数もず する. 人数0ず する. ポ ッ ト式石 油ス トー ブ 温風式石 油ス トー ブ ポータブル石油ストー ブ 石 炭 ス ト ー ブ. 178. 40.1. 89. 20.0. 64.O 32.O. 59. 13.3. 21.2. 22. ブ. 26. 5.0 5.9. 7.9 9,4. き ス ト ー ブ お が た ん ス ト ー ブ. 9. 2,0 ,0.5 0.2. 3.2 0.7. 電. 気. ト. ス. ー. ま. 2. 0,4 16.9. 火. ば. ち. 1. こ. た. つ. 47. 炉. 0. 10.6 0.0. 他. 1. 2.5. 0.O 4.O. 444. 100.1. 159.7. 暖 の. そ. 計. 人数は278. 表9 暖房補助器具の使用状況 50~59歳. 60歳以 上. 計. 20~29歳. 30~39歳. 40~49歳. サーキュレーター・加湿器. 10. 32. 18. 6. 2. 加 湿器・その他. 0. 0. 0. 1. 0. I. サ ーキュレー ター. 7. 16. 19. 9. 7. 58. 68. 器. 13. 12. 1. 4. 1. 31. ドラフトリジヱレーター. 0. 1. 0. 0. 0. I. 他. 0. 0. 1. し. 23. 34. 31. 53. 95. 70. 加 そ. 湿 の. な. 計. 、. 0. I. 30. 22. 140. 50. 32. 300. 数字は実数 を示す。 使用有, 無についてに2検定。 4. 47 ′ 二7 74 0 5)=9.488<1 4 447 に2(0, .有意差あり に2=1. 可欠の要因と思われ, 暖房器具の有効な使用法に関して深い知識と理解が塑ほ れる. 暖房器具の位置は 「壁側」「部屋の中央」 が中心的であり, 「窓側」 は僅か9%のみであっ た. 一 般にストー ブ等の暖房器具は冷気を吸いこんで燃焼するため, 暖房器具を窓側に置いた方が冷気を 5 ) しかし従来のストーブは放熱の方 侵入させることを防 ぐことになり,有効 であると言われて いる1 . 向が放射状である場合が多く, さらに囲炉裏を囲んで暖をとる等の習慣にも重って部屋の中 央に暖 房器具を備 えることが一般的となり, 暖房器具の設置に関しての知識の普及は今一歩という現状で あ る.. 一方暖房効果を高めるためには 半数以上が何 らかの補助的器具を有しており(表9) , その中心は サーキュ レーターと加湿器であっ た. 加えてこれは年齢によ って有 意差が認められ,30~40歳代に その使用率が高い傾向となった. サーキュ レーターの使用効果について は効果が大き過 ぎると局部 的に天井の暖かい 空気を押し下げるだけ で, サーキュ レーターの ない隣室からの冷えた空気の流れ 6 )がある また加 湿器についても近年 温風式ストー 方に負けてしまい, 効果はあまりないとの報告1 . 1 6 ) ブの普及につれ, 需要が高まっ ているが, 加湿し過 ぎて住宅内の 結露を引き起すという報告 もあ 332.

(10) . 家庭科教育内容の検討 (第三報). り, いずれの場合にも, 効果を高める条件につい ての深い認識は必要なことと思われる. 表10は冬期における夜間の暖房について示 し たものであるが, 「全く夜間は暖房しない」がほぼ 半数を占め, 「いつも目盛を小さく して連続暖房」 が1 /5程度であっ た。 連続暖房は間欲暖房に比較 して燃料費の節減, 室内の乾燥が進まず 家具・建 7 ) 連 具等の狂いを防ぐなど効果は 大きいとされ1 , 続暖房が効果的 である場合が多い. 燃料節約のた め夜間は暖房しないという誤った考え方を正し, 有効な暖房方法に ついて認識を深める必要がある. 表10 冬期における夜間 の暖房 実 数 いつも目盛をかえず連続暖房 いつも目盛を小さくし連続暖房 \おき″を残しておく程度 いつも、 明朝 冷え こ む 日のみ 目盛 を かえず連続暖房 明朝 冷えこ む日のみ目盛を 小さくして連続暖房 明朝 冷え こ む 日 のみ. そ. の. 00 26,O. 17. 5.7. 0. 0′. 36. 12,O. 1. 0,3. 148. 49.3. 他. 計. と思われる.. 0 78. おき″ を. 残しておく ま っ たく 夜 間 は 暖 房 し な い. %. 20. 6.7. 300. 100,0. 2) 給水管の凍結およびその対策 冬期の給水管の凍結について昭和5 6年12月から5 7年3月までの間に給水管が凍結したか否か を調べた結果を表11に示す. 「全く凍結しなかった」が8 2.3%と極めて高い数値を示し, ほとんど の家庭では凍結しなかったことがわかる. しかしこれは年 齢により有意差が認められ 高年齢に比 , 較的凍結の割合の低いことが示された 凍結した給水管の種類としては 「水道管」 が969%であっ . . た. 同時期の旭川市水道局のまとめによると水道 管の凍結 お よ び破裂に よる工事件 数 は3 19 , 1件 で寒冷地における給水管の凍結が住生活の中で重要な位置を占めていることが伺える 。 給水管の凍結予防は 「毎晩水ぬきをする」 が約6割を占め 次いで 「明朝冷え込む日のみ水ぬき , をする」 となり, 凍結予防の主要な方法としては水ぬきが行なわれていることがわかる 。 給水管の凍結予防に関しては, 水ぬき, 断熱材, 電気コイ ル さらに部屋全体の暖房 ヒーター , , 等の方法があり, 場所や部分により使い分けられてい る また管そのものに断熱材を巻く 方法があ 。 8 )もある るが, 20~30mm では結露を防げる程度 であり, 効果は期待 できないという報告1 。 さらに給水 管の凍結時の処理方法として 「すぐ業者に頼む」42% 「熱湯をかけて解かす」35 3% , . となっており, 〃2検定の結果, 集合住宅では低い傾向 が認められ領ける結果であった 水道凍結の 。 際に埋め込み配管にしてある場合, 解凍処理が困難 であることから 寒冷地の場合は水道管は露出 , されている方が草ほ しいと言われている また凍結が長時間にわたっ たもの でなければ熱湯をかけ . たり, 暖房すること で解凍可能であることもあり 業者まかせにしない生活実践能力を身につける , 表11 冬期におけ る給水管の凍結状 況 20~29歳. 週に 2 ~ 3 度 凍 結 冬期に 3 ~ 4度凍結 冬期 に 1~ 2度凍結 全く凍結しなかった そ. の. 計. 他. 30~39歳. 40~49歳. 50~59歳. 60歳以 上. 計. 1. 0. 1. 0. 0. 2. 2. 0. 0. 0. 4. 9. 10. 2. 2. 3. 26. 34. 73. 65. 47. 28. 247. 7. 10. 2. 1. 1. 21. 53. 95. 70. 50. 32. 300. 2. 冬期に1度以上 凍結, 全く凍結しない(その他を含める)で40歳未満と40歳以上についてに2検定 。 2 05)=38 228 4 ′ に2=9 .2284 に(0 .有意差あり . ,41<9.. 333.

(11) . 中. 村. 公. 子. ことも必要であると思われる. さらにほぼ半数以上が給水管の配管について認 識しているが,40歳 以上の, 年齢が増すに従っ て, また, 一戸建, 持家ほど認識が高まる傾向を示した. 3) 住生活に関する関心 総理府の, 国民生 活に関する 世論調査 で 「今後, 生活の どのよう な面 に力 を入れたいか」 を問 9 ) 一方 では今や量から質への うたところ, 1位は 「住生活」 で30%を占め住生活への関心は高く1 , 転換期とも言われている. 表12は住生活に対する関心についての結果であるが, 「省エネルギー」に高い関心が示され, 「住 宅の構造」 「住宅の管理」が次ぎ, 関心の低くかっ たものは「住宅政策」「住宅に関する法規」であっ た. さらにこの結果は年齢, 住居の形態別に有意差が認められ, 省エネルギーについてはいずれの 年代においても高い関心を示しているが, 「住宅の構造」 「インテリヤ」 では比較 的若年層に関心が 高まり, 「近隣との関係」では逆に年齢が高く なるに従って関心を増し, さらに一戸建住宅の居住 者 に 「省エネルギー」「住宅の構造」 「住宅の管理」 が高まっている傾向が示された. 省エネ ルギーに ついての関心が高いのは, 昭和49年来のオイ ルショックに端を発し, 昨今の石油の高騰と相 まって 旭川市が寒冷地であり, 冬期の住生活に石 油などの燃料は不可欠のもの であり, 暖房費が高い割合 0 )によ れば 灯油代の家計に 占める割合は全国平均 で を占めることからも鎖 ける. 家計調査年報2 , 重要な関心事であるこ 寒冷地における灯油代は %となり 北海道では3 2 8 し 0.73%であるのに対 , , . とがわかる. 一方「住宅政策」「住生活に関する法規」に関心が低いのは, 政府の持家政策, 地価の 高騰に対して策 がない等行政への諦めとも受けとれ, 日常生活とは 無縁なものとしての認識が強い ことの表れと も考えられる. 表12 住生活に対 する 関心. 住 宅 の 構 造 住 宅 の 管 理 理 境 整 環 イ. ン. テ. リ. ア. 60歳以 上. 計. 20~29歳. 30~39歳. 40~49歳. 50~59歳. 30. 30. 29. 14. 8. 121. 20. 35. 29. 19. 12. 115. 13. 22 ・. 15. 11. 7. 68. 2. 43. 17. 19. 2. 3. 14. 19. 13. 82 81. 近 隣 と の 関 係 空間の有効利用. 9. 27. 13. 24. 29. 9. 6. 費. 15. 24. 14. 8. 3. 64. 省 エ ネ ル ギ ー. 39. 66. 57. 28. 17. 207. 宅 政 策 住 住生活に関する法現. 2. 4. 4. 0. 0. 10. 0. 5. 2. 2. 3. 12. 5. 3. 8. 9. 25. 271. 198. 121. 80. 828. 住. 宅. そ の他 ・ わか ら な い. 計. 0 158. ・. 40歳未満と40歳以上についてに2検定。 6,9747 ′ 7<3 47 尾2(0.05)=15 97 ,有意差あり に2=36. ,50. 5. 中学校技術り 家庭科 「住居」 領域に対する関心 結果を表13に示す. 中学校技術・家庭科 「住居」 領域に対する関心については, 「寒地住宅の特 8.5%と最も高く, 次いで 「冷暖房・換気の仕方」 「水と熱源の有効利用」 と寒 令地の自然条 徴」 が3 334.

(12) . 家庭科教育内容の検討 (第三報) 表1 3 中学校 技術・家庭科 「住居」 領域に対する 関心 数. 総 すま いの役割と歴史 住 空 間 の 機 能 家 具 の 選 び 方 平面 図と立 体模型の作成 方 仕 収 納 の 採 光 と 照 明 の 仕 方 冷暖房・換気の仕方 家 具 ・ 床 ・ 壁 の手 入 れ 給排水設備のしくみと手入れ. 52 37 20 39. 17.3. 2.4 4,7. 12.3 6.7 13,O 29.3. 69. 12.8. 35.7. 34. 4,1 6,2. 11,3. 52. 水と 熱源 の有効利用 清 掃 ・ 設 備 の 管 理 寒 地 住 宅 の 特 徴. 98. 問. %. 6,2 4,4. 107. 35. 宅. 人数に対する. %. 10.5 8.2. 88. 題. 住. 総数に対する. 42 115. 4.2 11.7 5,0 ・ 13.7. 23.O. 17,3 11,7 32,7 14.O 38.3. 飾. 23. 2,7. そ の 他 ・ わ か ら な い. 27. 3.2. 7.7 9,O. 計. 838. 100.0. 279,3. 室. 内. 装. 人数は30 8 0 , 総数は83. 件に関連した内容に関心の高いことが明らかとなっ た.一方従来からの中心的な学習内容である「家 具の選び方」「室内装飾」等は6~7%にとどまり, 「住空間の機能」「平面図と立体模型の作成」も 3.0%であり, 高い値とは言えない。 一方「住宅問題」は11 それぞれ12 .7%であり, これは .3%, 1 前述の 「住宅政策」 に関心が低いことと 一致した結果 であると 思われる. 高等学校の家庭科担当教 1 2 } 2 〉では 「住宅問題」は取り上げるべき学習内容の第一に上げられており 題 師を対象とした調 査2 , , 材として取り上げるならば, 如何なる構成で設定すべきか, 今後の大きな課題の一つであろう。 項 目の組み合せを見ると, 「収納の仕方・冷暖房」 「換気の仕方」 について 主婦が実際の住生活の中 で 特に高い関心を持っていると共に, 子供にも学ばせたいとしている結果と 思われる. 「水と熱源の有効利用」 は今回 (昭和5 3年) の学習指導要領の改訂に伴い新たに加 わっ た内容で あり, 最近の省エネ ルギー, 省資源と相まって, また実生活での応用にもす ぐ結びつくものである ことから高い支持を受けていると考えられ, 学習内容と関心度が一致した好ましい傾向であった. 上述の結果についてさらに 瓦2検定の結果, 「すまいの役割と歴史」「寒地住宅の特徴」「水と熱源 の有効利用」 では年齢別に大差はないが, 「住空間の機能」「平面図と立体模型の作成」「住宅問題」 については, 20~30歳代の若い層に高い結果が得られ, 一方「家具の選び方」 「清掃, 設備の管理」 「室内装飾」については逆に40歳以上の層に高い傾 向が示された. この点は年齢に関連して経済状 態, 持家率の相違等に 起因したものとも推察され, ある程度予期された結果であった. 本調査において住生活に関して次の諸点が明らかと なった. 0歳以上の年齢間 で, さらに持家, 給与住宅の居住者 1. 住生活全般にわたり特に40歳未満と4 と公営住宅, 民間借家, 借間の居住者の間で意識, 態度等に相違点が認められた. 「 1 1 。 現行中学校技術・家庭科 「住居」 領域の学習内容である 「家具の選定, 配置, 規格」 建築平 面図および建築平面表示記号」 については, 実生活の中ではあまり生かされておらず, 理想と現実 の隔差の大きいことを示し, 一方廃油処理に関する排水設備についての認識では大部分問題意識を 335.

(13) . 中. 村. 公. 子. 持って対処されており, 学習内容より先行している結果であっ た. 1 1 1 . 冬期間の暖房方法は個別暖房 で石油によるポッ ト式, 温風式が極めて高いが, 効果的な暖房 方法に関する知識理解は乏しく, 一方給水管の管理, 認識についても十分とは言い難い. IV . 住生活に対する関心では, 「省エネ ルギー」が最も高く, 次いで「住宅の構造」「住宅の管理」 であり, 「住宅政策」「住宅に関する法規」 には関心が示さ れず, 身近な問題に関心の終始している こ と が明 ら か と な っ た.. V. 中学校技術・家庭科 「住居」 領域の学習内容に対する要望としては 「寒地住宅の特徴」「冷暖 房・換気の仕方」 が極めて高く, 現行の学習内容 である 「家具の選定」「平面図と立体模型の作成」 については僅少 であっ た.. 6. 家庭科 「住居」 領域における考察 小, 中, 高等学校における家庭科の学習内容中 「住居」 領域は他の 「食物」「被服」 の領域に比較 して実生活において児童・生徒の直接関与する頻度が少ないことから派生して多くの問題 を包含し ていると言える. さらに小学校では昭和53年改訂の学習指導要領より従来の「すまい」の領域が「住 居と家族」 と改称され, 他の領域に比較して一歩後退した感を免れない. 3 〉 小学校では前者を 従来から 「住居」 領域は 「住まい方」 と 「住まいのあり方」 をその柱とし2 , , 中学校 では後者を中心とし, 高等学校 では加えて 「生活様式」「住宅事情」 等をくみ入れている. 4 2 5 ) ) 小学校 では部屋の清掃 整理・整とんといった言わば道徳 それらをさらに具体的に見るならば2 , , 的内容とも重複し得るものから, 防寒, 防暑, 採光と進み, それらの実践活動として 「整理ぶくる 8 } )では 「食物」 「被服」の領域が各学年にわたって設定さ の製作」に終る構成となっ ている. 中学校7 れている中で, 「住居」 領域は単一学年のみの内容構成とされ, 「住空間の計画」 として機能, 家具 の選定, 採光, 照明, 温度, 湿度とあり, 「給排水の設備」 「水と熱源の有効利用」 と進み, 実践活 動としては略平面図, 立体模型の作成等となっ ており, いずれも住生活の理想的なあり方としての 内容が中心をなしている. 6 )更 一方, 日本は世界的にみて住宅事情が極めて悪く, 住生活に関して満足している割合も低い2 . に住生活をめ ぐる環境問題も都市化と共に悪化している現状である. そのような背景の中で, 児童・ 生徒に理想型に近い住生活について学習を計画 し, 実生活とかけ離れた問題解決を探るならば, そ れは実践に結びつかないばかりか, 学習意欲をなくす結果になりかねない. これは家庭科教育の使 7 )が述べている 生活実践の必要性″ と 命とされる実践性の立場からも重要であると同時に, 清野2 の関連からも大きな課題であると言えよう. 住生活については特に, 本調査結果から明らかなよう に, 実際に経済的な条件, 持家への可能性等が高まっ た時に家具の選定, 建築平面図, 室内装飾等 に興味, 関心が深まることから, それから遠い存在である児童・生徒が前述のような題材に関心が ないことはある程度当然のことと考えられる. 8 ) 藤田2 9 )らの諸説があり その中では特に地域の生活全体をと 家庭科教育と地域性については柳2 , , らえながら, それらと個々の家庭科の領域を結びつけて展開することの重要性が示されている. 一 8 )は地域に根 ざす教育の視点として教材 子供の感情 生活実態を通して学校教育の中で 方, 川合3 , , 地域性を位置づけることを述べ ている. 住生活は自然条件に左右される場合 が他の食・衣生活に比較して極めて大きく, 地域性は省くこ とのできない大きな課題となっ ている。 しかしながら現行の学習内容は, 全国共通のもの であり, 336.

(14) . 家庭科教育内容の検討 (第三報). 実生活との隔差が大きい場合も少なくない. 桶作, 福山らによる北海道の住生活に視点を当てた教 1 )があり 加えて本調査結果からもそれらを裏づけ ることとして 寒冷地における住 育内容の提言3 , , 生活の特徴に興味, 関心が集中した。 「住居」領域では他の領域にも増して地域の実情に即 した学習 内容を設定する必要があり, 生徒の発達段階に応じて身近な課題について問題解決, 実践可能な題 材を探ることにより, 「住居」 領域の改善について 一つの方向を示したい。 稿を終えるにあたり, 御協力いただいた北海道教育大学旭川分校家庭科教室の先生方に深謝の意 を表する。 なお調査に協力された本学学 生酒井淳子嬢, 田辺幸栄嬢, 黒瀬久子嬢にも謝意を表する。. )王. ) 家庭生活の実態調査を通してみた家庭科教育内容の検討(第一報) 1 9 7 8 1) 中村公子( , 北海道教育大学紀要 (第 一 部C), 29 , 1. 1 ) 家庭生活の実態調査を通してみた家庭科教育内容の検討(第二報) 2) 中村公子( 9 7 9 , 北海道教育大学紀要 (第 一 部C), 30 , 1.. 27 ) 住生活, 家庭科教育, 56 1 98 2 3) 伊藤央子 ( .1 .11 , No ,p . 1 9 )p 9 2 77 4) 西山卯三:住居学ノート, 勤草書房, 東京 ( .2 . 9 ) 旭川市における住民意識に関する調査, 自治研究あさひかわ, 旭川市, p 197 5 5) 西 勇 ( .2-5 . 4年版日本の統計. 6) 総理府統計局:昭和5 3年) 7) 文部省:中学校指導書技術・家庭編 (昭和5 )p 9 5 1 98 1 東京書籍 8) 石毛フミ子他:新しい技術・家庭 (上) .1 . , , 東京 ( 3年度建築統計年報. 9) 建設省:昭和5 ) 集合住宅居住者の実態と住環境条件に対する意識の研究 (第一報) 家政学雑誌, 29 1 0 ) 泉谷秀子他 ( 1 9 7 8 . 2, P .35 .. )P 19 81 1 1 ) 日本消費者連盟編:あぷない無リン洗剤 -- せっけん・せんたくのすすめ, 日本消費者連盟, 東京 ( . 180 .. )p 19 8 2 9 ) 足達富士夫編:北海道の住宅と住様式, 北海道大学図書刊行会, 札幌 ( 1 2 .20 . )P 19 81 北海道住宅改善促進協議会 ) 北海道住宅改善促進協議会編:住宅の省エネルギーABC 1 3 .9. , 札幌 ( , 1 97 9 )p 1 4 ) 浅見雅子:住居学, 学文社, 東京 ( .49 . )p 1 9 8 0 84 1 5 ) 渡辺茂他:技術・家庭 (上) .1 , 開隆堂, 東京 ( . )p 197 7 55 ) 北海道新聞社編:北海道のすまいの ポイント, 北海道新聞社, 札幌 ( 1 6 .1 . 17 ) 同上 p .143 . ) 同上 p 18 .211 .. ) 総理府統計局:国民生活に関する世論調査, 昭和54年. 1 9 ) 1 98 2 2 0 ) 総理府統計局:家計調査年報 ( . ) 貴田康乃他 ( 1 9 82 ) 高等学校家庭科, 住居の学習に関する調査研究 (第一報) 21 , 2, , 日本家庭科教育学会誌25 p .53 .. 5 ) 貴田康乃他 ( 1 2 ) 高等学校家庭科, 住居の学習に関する調査研究 (第二報) 2 2 9 8 , 2, , 日本家庭科教育学会誌2 P .58 .. )p 6 1 9 2 7 ) 和田典子:現代家庭科序説, 大学家庭科教育研究会編, 明治図書, 東京 ( 2 3 .15 . 24 ) 文部省:小学校指導書家庭編 (昭和5 3年) ) 1 97 9 2 5 ) 斉藤健次郎他:小学校家庭科5年, 6年, 開隆堂, 東京 ( 4年. 2 6 ) 総理府統計局:住宅統計調査, 昭和5 1 )p 9 81 2 7 ) 清野きみ:小中高教師養成のための家庭科教育, 学術図書, 東京 ( ,6. ) 1 9 7 8 2 ) 柳昌子 ( ) 家庭科における生活課題の教育的意義, 家庭科研究, 6, 25 8 19 7 8 .( )p 1 97 2 1 5 9 ) 藤田美枝:現代家庭科序説, 大学家庭科研究会編, 明治図書, 東京 ( 2 .1 . )p 1 975 5 5 0 ) 川合章:子どもの発達と教育, 青木書店, 東京 ( 3 .1 . 337.

(15) . 中. 村. 公. 子. 1 ) 桶作高子, 福山和子:′ 3 J ・中高教師養成のための家庭教育, 清野きみ, 豊村洋子編, 学術図書, 東京 ( )p 1 98 1 . 165 .. (本学講師 旭川分校). 338.

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参照

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