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<先端研シンポジウム記録> 地方の諸産業と外国人技能実習生 : 2019年度兵庫県豊岡市の調査研究から

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<先端研シンポジウム記録> 地方の諸産業と外国人

技能実習生 : 2019年度兵庫県豊岡市の調査研究か

著者

梅村 麦生

雑誌名

関西学院大学先端社会研究所紀要

18

ページ

59-76

発行年

2021-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10236/00029506

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先端研シンポジウム記録

地方の諸産業と外国人技能実習生

−2019 年度兵庫県豊岡市の調査研究から−

梅 村 麦 生

はじめに

近年の日本では人口減少が進む中で、外国人労働者は増加の一途を辿ってきた。厚生労働省 (2020)によると、2019 年 10 月末時点の「外国人労働者数」は 2007 年の届出義務化以降最多の 165 万 8,804 人であり、なかでも技能実習生は 2015 年末時点の 19 万 2,655 人から 2019 年 6 月末時 点の 36 万 7,709 人へと 4 年半の間に約 1.9 倍へと増加している。都市部や工業地帯のみならず、地 方部でも技能実習生を雇用する事業所の数は増大している。 外国人技能実習生に関する研究は、1993 年に始まる旧制度下の受入開始以降、またとりわけ 2017 年の外国人技能実習機構の設置などを含む制度改正を経て、その問題点も含めてさまざまな 分野で蓄積がなされてきた。ただし、地方での就業状況や生活環境、とりわけ地方自治体規模での 現況に関しては、研究の緒に就いたところである1)。本稿では、2019 年 5 月∼2020 年 2 月に兵庫 県豊岡市で実施した外国人雇用事業所への質問紙調査と聞き取り調査の結果から、地方での外国人 技能実習生の受入の現況について、当該地方の産業と生活環境との関連のもとで検討する。

1 豊岡市の概況と外国人住民

豊岡市は兵庫県北部(但馬地方北部、北但とも呼ばれる)に位置し、北は日本海、東は京都府に 接している。現在の豊岡市は、「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併のピークの時期にあたる 2005 年 4 月 1 日に旧豊岡市、城崎郡城崎町・竹野町・日高町、出石郡出石町・但東町の 1 市 5 町 が合併してできた自治体である。国勢調査の結果によれば、2015 年時点で人口 82,250 人、世帯数 30,189 戸、高齢化率(65 歳以上人口の割合)31.6%(全国 26.6%)であった(豊岡市 2018)。 その豊岡市の人口と外国人住民数について、2008 年末∼2019 年末の推移は表 1 の通りである2) ────────────── * 日本大学文理学部助手 1)特に上林(2019)、二階堂(2019 a)、高畑(2019)など参照。また先行する国際結婚に牽引された「地方 的世界」の国際化と、豊岡市を含む兵庫県但馬地方での国際結婚の調査については藤井・平井編(2019) を、「都市部」(および集住地域)ではない「地方部」における外国人住民の増加とそれに対する研究関心 の高まりについては徳田(2019)を参照。 2)本稿の「外国人住民」は以下で扱うデータにしたがい、外国籍で住民登録されている人を指す。

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人口がこの間に約 1 割減少する一方で、外国人住民は金融危機の影響と思われる 2009 年からの 減少ののち、2014 年以降は増加を続け、2019 年末には人口の 1% に及んでいる。日本全国の外国 人住民の割合(2019 年 6 月末時点 2.2%、282 万 9,416 人、法務省出入国在留管理庁 2019)と比べ ると依然として低いものの、2014 年末からの 5 年間で外国人住民が約 1.7 倍に増加している。 合併前の旧市町に相当する地域別に 2019 年末時点の外国人住民数を見ると、豊岡地域 418 人 (全住民 46,318 人中 1.0%)、城崎地域 105 人(同 3,348 人中 3.1%)、竹野地域 33 人(同 4,395 人中 0.8%)、日高地域 130 人(同 16,509 人中 0.8%)、出石地域 93 人(同 9,646 人中 1.0%)、但東地域 66 人(同 4,018 人中 1.6%)となっており、2008 年末時点からの増加分(235 人)は、豊岡地域 (117 人増)と城崎地域(87 人増)で大半を占めている。また男女別に見ると、出石地域を除く 5 地域で女性の占める割合が高くなっている3) 国籍別の外国人住民数は、上位 5 か国 2012 年末∼2019 年末の推移で表 2 の通りである。 ────────────── 3)住民基本台帳データより。地域および地区別に見た詳細は豊岡市(2020 c : 10-12)を参照。 図 1 兵庫県内の豊岡市の位置 表 1 豊岡市の全住民数および外国人住民数の推移(2008 年末∼2019 年末) 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 全住民 90,197 89,631 88,895 88,234 87,474 86,690 85,759 84,828 83,943 83,179 82,043 80,952 外国人住民 610 653 580 543 531 511 502 520 567 699 734 845 (注)全住民と外国人住民の単位は人。各年 12 月末時点の住民基本台帳および外国人登録データより(豊岡 市 2020 a, 2020 c : 5-6)。

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この間に最も増加したのがベトナム人住民であり、豊岡市の外国人住民の 26.9% を占めるに至 っている。日本全国の傾向と同様、増加分の多くは技能実習生である。2012 年末時点で最多だっ た中国人住民は漸減し、ベトナム、フィリピンに次ぐ人数となっている4) 在留資格別の外国人住民は、2019 年 11 月末時点で表 3 の通りである。2019 年 6 月末時点での全 国(法務省出入国在留管理庁 2019)の数字と比べると、豊岡市では技能実習生の割合が特に高く ────────────── 4)2019 年 11 月末時点で表 2 の上位 5 か国に続くのは、台湾(30 人)、タイ(29 人)、米国(16 人)、ネパー ル(14 人)、カナダ(6 人)である(住民基本台帳データ、豊岡市 2020 c : 7)。 表 2 豊岡市の国籍別外国人住民数の推移(上位 5 か国、2012 年末∼2019 年末) 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 ベトナム 22 22 46 77 104 119 169 227 中国 257 247 204 181 175 186 180 177 フィリピン 79 77 82 79 87 163 123 180 韓国・朝鮮 89 86 77 82 80 78 78 70 インドネシア 35 25 27 27 32 41 46 64 (注)各国籍の単位は人。各年 12 月末時点の住民基本台帳および外国人登録データより (豊岡市 2020 c : 9-10)。韓国・朝鮮は特別永住者を含む。 表 3 豊岡市の在留資格別外国人住民数(2019 年 11 月末) 身分または地位に基づく 在留資格 小計 325(39.1) 特別永住者 62(7.5) 永住者 140(16.8) 定住者 64(7.7) 日本人の配偶者等 57(6.9) 永住者の配偶者等 2(0.2) 活動に基づく在留資格 小計 506(60.9) 技能実習 355(42.7) 特定活動 52(6.3) 技術・人文知識・国際業務 48(5.8) 技能 8(1.0) 経営・管理 3(0.4) 教育 17(2.0) 留学 2(0.2) 家族滞在 20(2.4) その他 1(0.1) 総計 831(100.0) (注)各項目の単位は人。カッコ内は総計に占める割合(%)。2019 年 11 月末 時点の住民基本台帳データより(豊岡市 2020 c : 8-9)。

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(42.7%、全国 13.0%)、その結果いわゆる「活動に基づく在留資格」(60.9%、全国 47.6%)の割合 も高くなっている。反対に、永住者(16.8%、全国 27.7%)と留学(0.2%、全国 11.9%)の割合が 豊岡市では低い5) 性別・年代別の外国人住民数は、2019 年 11 月末時点で表 4 の通りである。参考として、2015 年 の国勢調査時の性別・年代別の豊岡市の人口も挙げておく。2019 年 11 月末時点の外国人住民のう ち、全体で女性が 6 割を占める(516 人、62.1%)。年代別では男女ともに 20 代、30 代の順に多 く、男性は 20 代が 6 割を占める。一方で 2015 年の国勢調査によれば、豊岡市の全住民で男性は 20 代が 80 代以上の次に少なく、女性は 90 代以上を除いて 20 代が最も少なく、20 代よりも 80 代 が多かった。豊岡市では男女ともに大学・専門学校への進学期(15∼19 歳)の転出超過が大きく、 就職期(20∼24 歳)の転入超過によってもその差が埋まらず、特に女性が戻っていないと言われ ている6)。この転出超過の大きい 20 代に外国人住民の最も多い年代が当てはまり、技能実習生も 多くここに含まれる7) ────────────── 5)但馬地方には 2019 年時点で 4 年制大学がない。 6)国勢調査に基づく豊岡市(2020 b : 10-1)の推計では、「2010 年時点 15∼19 歳→2015 年時点 20∼24 歳」で 男性 1,070 人、女性 1,060 人の転出超過、「2010 年時点 20∼24 歳→2015 年時点 25∼29 歳」で男性 558 人、 女性 283 人の転入超過である。いわゆる「移民の女性化」(Castles and Miller 2009=2011)は豊岡市の外国 人住民や技能実習生の性別比にも現れているが、こうした若年層女性の転出超過との関連が考えられる。 7)国際結婚女性も多くの職場で最も若い層に属する。但馬地方の国際結婚は藤井・平井編(2019)も参照。 表 4 豊岡市の男女別・年代別の外国人住民数(2019 年 11 月末) 外国人住民(2019 年 11 月末) 全住民(2015 年 10 月 1 日) 女性 男性 女性 男性 9 歳以下 4(0.8) 3(1.0) 3,378(7.9) 3,420(8.7) 10 代 33(6.4) 21(6.7) 3,680(8.6) 3,911(9.9) 20 代 199(38.6) 195(61.9) 2,760(6.5) 2,848(7.2) 30 代 133(25.8) 40(12.7) 4,205(9.8) 4,440(11.2) 40 代 81(15.7) 19(6.0) 5,206(12.2) 5,357(13.6) 50 代 36(7.0) 23(7.3) 5,305(12.4) 5,237(13.3) 60 代 9(1.7) 2(0.6) 6,551(15.3) 6,352(16.1) 70 代 18(3.5) 6(1.9) 5,445(12.7) 4,446(11.3) 80 代 3(0.6) 6(1.9) 4,608(10.8) 2,819(7.1) 90 代 − − 1,415(3.3) 435(1.1) 100 歳以上 − − 60(0.1) 6(0.0) 不明 − − 143(0.3) 223(0.6) 合計 516(100.0) 315(100.0) 42,756(100.0) 39,494(100.0) (注)各項目の単位は人。カッコ内は性別に各年代の占める割合(%)。外国人住民は 2019 年 11 月末時点の住民基本台帳データ、全住民は 2015 年 10 月 1 日時点の国勢調査デ ータより(参照、兵庫県 2017;豊岡市 2020 c : 6)。

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2 2019 年度豊岡市・神戸大学共同研究「外国人住民に関する調査研究」

以上の概況を踏まえて、本稿では筆者らが参加・実施した 2019 年度豊岡市・神戸大学共同研究 「外国人住民に関する調査研究」の事業所調査の結果から8)、豊岡市の技能実習生受入事業所と技 能実習生の現況を、各産業との関わりのもとで見ていく。 外国人雇用事業所は現在ハローワークへの届出が義務化されているが、豊岡市単位での事業所数 や事業所名は公開されていない9)。そのため同調査では、質問紙と聞き取り調査を実施する中で探 索的に調査対象を選定した。まず事業所調査票を豊岡市政策調整課と神戸大学社会学研究室の連名 で 2019 年 5 月に豊岡市に拠点をもつ 1,642 件の事業所に送付し、有効回収数 327 件(回収率 19.9 %)であった10)。そのうち外国人を「現在雇っている」と回答した事業所が 40 件(12.2%)であ る。聞き取り調査は 2019 年 5 月∼2020 年 2 月に豊岡市の外国人雇用事業所 33 件に実施した。そ のうち事業所調査票で回答のあった事業所 15 件で、それ以外の事業所 18 件である11)。上記以外に も豊岡市の外国人雇用事業所 3 件に、2019 年 11 月∼2020 年 2 月に個別に質問紙を送付し回答を得 た。以上、質問紙または聞き取り調査を実施することのできた外国人雇用事業所 61 件の他に、外 国人住民の勤務先として個人聞き取り調査で回答のあった 5 件、個人調査票に回答のあった 19 件、 関係団体への聞き取りで挙がった 3 件、以上 27 件の事業所名と所在地を確認することができた (2020 年 2 月 26 日時点)12)

3 豊岡市の外国人技能実習生受入事業所と技能実習生

3.1 外国人雇用事業所と外国人従業員の雇用形態 まず、厚生労働省兵庫労働局(2019 b, 2020 ; cf. 豊岡市 2020 c : 37-9)によって公開されてい る、豊岡市を含む但馬地方の「『外国人雇用状況』の届出状況」によると13)、2018 年 10 月末から 2019 年 10 月末の間に同地方「外国人雇用事業所数」は 152 件から 224 件へと約 1.5 倍に増加し、 ────────────── 8)同調査全体と事業所調査の概要は、豊岡市(2020 c : 2-5, 16, 40-3)を参照。同調査の研究代表者は佐々木 祐(神戸大学)であり、豊岡市側の調査主体は豊岡市政策調整部政策調整課政策調整係である。本稿末尾 の付記も参照のこと。 9)ハローワーク豊岡への照会と聞き取り(2019 年 11 月 1 日)によると、「外国人雇用状況」の届出義務が市 町村単位での公開を前提としておらず、豊岡市単独のデータは公開できないとの回答であった。 10)豊岡商工会議所役員事業所 85 件、豊岡市ものづくり支援センター(豊岡市環境経済課内)訪問企業 48 件、農業法人 30 件、介護保険事業者 15 件に郵送し、但馬漁業協同組合津居山支所組合員事業所 14 件、 豊岡市商工会会員事業所 1,450 件には各団体の職員に委託し個別訪問により配布した(豊岡市 2020 c : 40,注 13)。 11)事業所調査票には聞き取り調査可否と事業所名等を任意で問う項目があり、外国人雇用事業所 40 件中 31 件で事業所名等の回答があった。それ以外の事業所は、外国人住民個人調査票(有効回収数 272 件)の勤 務先任意回答と、外国人住民(59 件)と地域関係者・関係団体(19 件)聞き取り調査で挙がった事業所 へ主に豊岡市政策調整課を介して調査依頼を行った。依頼に際して豊岡市他部署の協力も受けている。 12)この 27 件には所在地等が不明の事業所、JET プログラムによる国際交流員と ALT 派遣、豊岡市外の ALT

派遣事業所は含めていない。

13)「但馬地方」にはハローワーク豊岡の管轄である豊岡市、美方郡香美町・新温泉町、養父市、朝来市を含 む。

(7)

「外国人労働者数」も 837 人から 1,098 人へと約 1.3 倍に増加している。在留資格別では特に「技能 実習」が 461 人から 649 人へと増え、「専門的・技術分野の在留資格」も 84 人から 104 人へ、また 「身分に基づく在留資格」も 285 人から 333 人へとそれぞれ約 1.2 倍に増加している。産業別では 2019 年 10 月末の全国(厚生労働省 2020)の数字と比べると、「製造業」(663 人、60.4%)の割合 が際立って高く(全国 29.1%)、反対に「卸売業、小売業」(17 人、1.5%)の割合が低い(全国 12.8%)。但馬地方の事業所や人口のうち豊岡市がそれぞれ約 5 割を占める点を鑑みると14)、以上 の事業所数や外国人労働者数のおよそ半数を豊岡市が占めると考えられる。 次に、2019 年度の上記調査で把握した事業所 88 件について、産業別の件数および聞き取りと質 問紙調査の回答に見られた外国人従業員の雇用形態を上の表 5 に示している。あくまで同調査内の 数字であるが、産業別で製造業が最も多く(食料品製造業以外 26 件)、それに宿泊業(19 件)、漁 業(13 件)が続く。地域別に見ると、製造業(食料品製造業以外)は工業団地のある豊岡地域 (11 件)、宿泊業は城崎温泉のある城崎地域(11 件)が最も多く、漁業は豊岡地域(13 件)に集中 している。 技能実習は表 3 の在留資格別で最も多かったように、さまざまな産業で導入されており、88 件 中 40 件が受け入れていた。技能実習以外にも、正社員、契約社員、派遣社員、請負社員、パート、 またインターンシップ、EPA 介護福祉士候補者など多様な雇用形態があり15)、そのうち「身分に ────────────── 14)2016 年 6 月実施「経済センサス−活動調査」による但馬地方と豊岡市の事業所数、2020 年 1 月 1 日時点 の兵庫県推計人口を参照(兵庫県 2018 a, 2018 b, 2020;豊岡 2020 c : 39)。 15)産業別の調査結果は豊岡市(2020 c : 63-130)を参照。 表 5 豊岡市の産業別外国人雇用事業所数(2019 年度豊岡市・神戸大学調査) 産業分類 事業所数 外国人従業員の雇用形態 農業、林業 2(2.3) 技能実習 漁業 13(14.8) 技能実習 建設業 3(3.4) 技能実習 製造業(食料品製造業以外) 26(29.5) 正社員、契約社員、派遣社員、請負社員、パート、技能実習 食料品製造業 6(6.8) パート、技能実習 卸売業、小売業 3(3.4) 正社員、契約社員、パート 宿泊業 19(21.6) 正社員、契約社員、派遣社員、インターンシップ、技能実習 飲食店、飲食サービス業 4(4.5) 経営者、正社員、パート 教育、学習支援業 1(1.1) 契約社員 医療、福祉 7(8.0) 正社員、パート、EPA 介護福祉士候補者、技能実習、イン ターンシップ サービス業 4(4.5) 正社員、派遣社員、パート、技能実習 総計 88(100.0) (注)2019 年 5 月∼2020 年 2 月の調査時点で外国人従業員雇用有と回答した事業所より。カッコ内は全産業 に占める割合(%)。産業分類は質問紙と聞き取り調査の回答に基づき、日本標準産業分類を参照して 規定した。

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基づく在留資格」の外国人住民も含めて、男女ともに有期雇用が多い16) 以下、2019 年度の上記調査で豊岡市の技能実習生受入事業所として把握した 40 件のうち、質問 紙または聞き取り調査を実施することのできた 35 件について取り上げる。 3.2 技能実習生受入事業所と技能実習生 まず質問紙または聞き取り調査を実施することのできた 35 件の技能実習生受入事業所の概要を 以下の表 6 に示す17) 技能実習生受入人数について、質問紙と聞き取り調査で同月時点での回答ではないものの18)、い ずれも 2019 年度中で合計すると 260 人となる。表 4 の住民基本台帳データによる 2019 年 11 月末 時点の豊岡市の技能実習生は 355 人であり、その 7 割強に相当する。上述 35 件以外の事業所 5 件 の技能実習生受入人数は、外国人住民個人調査票の回答と関係団体への聞き取りによると計 31 人 程度であり19)、合わせて 40 件 291 人程度、8 割強に相当する20) (1)業種と所在地区 産業別に見ると、農業・林業 2 件、漁業 12 件(他に 1 件)、建設業 1 件(他に 2 件)、製造業 (食料品製造業を除く)14 件(他に 2 件)、食料品製造業 3 件、宿泊業 1 件、医療・福祉 2 件であ った。以下、業種の内訳を挙げておく。 農業・林業 2 件は酪農業ときのこ類の栽培であり、前者は兵庫県南部、後者は岡山県に親会社や 本社があり、前者はさらに親会社がタイ、フィリピンに酪農場を保有している21)。漁業 12 件はい ずれも底びき網漁業で、同じ漁業協同組合支所に属し沖合底びき網漁船を操業している22) 建設業 1 件は内装工事業であり23)、製造業(食料品製造業以外)14 件は、繊維工業 3 件、プラ ────────────── 16)上述外国人住民個人調査票の回答も参照(豊岡市 2020 c : 31-32)。 17)表 6 の監理団体 14 件(一般 13 件、特定 1 件)は、外国人技能実習機構(2020 a, 2020 b)ホームページで 登録を確認することができた。所在地等の情報は各団体ホームページや外国人労働者ドットコム(2020) も参照した。 18)事業所調査票の回答 22 件は 2019 年 5 月時点、個別に質問紙を送付した 3 件と聞き取りのみ実施の 10 件 は各調査時点の人数である。 19)その 5 件の概要は、①内装工事業、α 地区、VN(男)2 人(個人調査票)、②鉄骨・鉄筋工事業、C 地区、 VN(男)3 人(関係団体聞き取り)、③底びき網漁業、L 地区、ID(男)2∼3 人(同上)、④繊維工業、A 地区(N.18 併設)、VN(女)2 人(個人調査票)、⑤繊維工業、β 地区、VN(女)22∼23 人程度(関係団 体聞き取り)である。 20)同調査では豊岡市内外に居住地と勤務地が分かれている技能実習生は確認されなかった。また N.14(2019 年 8 月 10 日)によると同年 8 月後半に技能実習 3 号 7 人の再入国で漁業 13 件の技能実習生が計 35 人と なり、それを含めると 40 件で 298 人程度である。 21)N.1(2019 年 12 月 5 日)、N.2(2019 年 12 月 6 日)、各事業所ホームページより。事業所調査票で回答のあ った農業 13 件は外国人従業員を雇用していなかった(豊岡市 2020 c : 41)。N.1 と N.2 は外国人住民個人 調査票の回答に基づき、豊岡市役所より聞き取り調査を依頼した。 22)同支所(2019 年 8 月 12 日)と N.14(2019 年 8 月 10 日)によると、同支所所属の沖合底びき網漁船 14 隻 中 13 隻が技能実習生を受け入れており、その船主らで「豊岡市外国人漁業実習受入事業協議会」(通称 「インドネシア協議会」)を構成している。それらの漁船は地域ブランド化されたズワイガニ(松葉ガニ) 漁に携わっている。 23)事業所調査票回答では建設業 42 件がいずれも外国人従業員を雇用しておらず(豊岡市 2020 c : 41)、兵庫 県建設業協会豊岡支部(2019 年 12 月 5 日)によると同支部会員社(2019 年 10 月時点 35 社)に外国人従 業員の雇用はなく、会員社以外では 3 年ほど前に設備業でベトナム人の受入があり、業種で言えば内装業 は入りやすいと思うとのことであった。

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表 6 豊岡市の外国人技能実習生受入事業所(2019 年度豊岡市・神戸大学調査) 産業分類(上位分類) 地区 従業員数 現在の技能実習生受入状況 (研修生含む)導入年 質問紙回答/聞き取り年月 人数 国籍(性別) 監理団体 N.1 酪農業(農・林) E 5∼9 3 TH(女) 不明 2013 −/2019. 12 N.2 野菜作農業(きのこ類の栽培を 含む)(農・林) A 20∼29 13 VN(女) W(岡山) 2008 −/2019. 12 N.3 底びき網漁業(漁) L 5∼9 1 ID(男) U(兵庫) Z(石川) 2015 有/− N.4 底びき網漁業(漁) L 5∼9 1 ID(男) 2017 有/− N.5 底びき網漁業(漁) L 5∼9 2 ID(男) 2014 有/− N.6 底びき網漁業(漁) L 5∼9 2 ID(男) 2008 有/2019. 7-8 N.7 底びき網漁業(漁) L 5∼9 2 ID(男) 2008 有/− N.8 底びき網漁業(漁) L 5∼9 2 ID(男) 2013 有/− N.9 底びき網漁業(漁) L 5∼9 2 ID(男) 2009 有/− N.10 底びき網漁業(漁) L 1∼4 2 ID(男) 2011 有/− N.11 底びき網漁業(漁) L 10∼19 3 ID(男) 2009 有/2019. 8 N.12 底びき網漁業(漁) L 5∼9 3 ID(男) 2008 有/− N.13 底びき網漁業(漁) L 1∼4 3 ID(男) 2010 有/− N.14 底びき網漁業(漁) L 5∼9 3 ID(男) 2008 有/2019. 8 N.15 内装工事業(建) H 5∼9 2 VN(男) M(東京) 2019 −/2020. 1 N.16 繊維工業(製) K 20∼29 8 VN(女) R(鳥取) 2001 −/2019. 8 N.17 繊維工業(製) E 30∼49 15 VN(女) R(鳥取) 2001 −/2020. 1 N.18 繊維工業(製) A 20∼29* 9 VN(女) R(鳥取) 2014 以前 −/2019. 9 N.19 印刷業(製) I 300∼399* 11 CN(女) 無回答 2004 有* /− N.20 プラスチック製品製造業(製) C 50∼99 4 TH(男) X(東京) 2019 有/− N.21 プラスチック製品製造業(製) C 50∼99 18 CN(女) S(大阪) 2003 −/2019. 9 N.22 プラスチック製品製造業(製) B 200∼299 39 CN(男)、VN(男)、 TH(男) O(鳥取)、 P(広島) 2006 有/2019. 7-8 N.23 かばん製造業(製) E 30∼49 3 VN(女) 無回答 2010 以降 有/− N.24 鉄骨製造業(製) I 30∼49* 6 VN(男) 無回答 2018 有/− N.25 金属用金型製造業(製) F 10∼19 5 VN(男) T(兵庫) 2017 有/2019. 8-9 N.26 集積回路製造業(製) C 200∼299 18 VN(男) N(愛知) 2018 −/2019. 11 N.27 自動車部分品製造業(製) G 100∼199 9 CN(男)、ID(男) 無回答 2010 以前 有*/− N.28 自動車部分品製造業(製) G 50∼99 14 CN(男)、VN(男) Q(大阪) 2000 頃 有*/− N.29 無回答(製) 無回答 無回答 2 CN(女) 無回答 2014 有/− N.30 畜産食料品製造業(食) J 100∼199 24 ID(男女)、VN(女)、 CN(男女) Y(広島) 2005 −/2019. 12 N.31 水産食料品製造業(食) L 30∼49 3 VN(女) 無回答 2018 有/− N.32 水産食料品製造業(食) L 20∼29 9 VN(女) O(鳥取) 2002 有/2019. 7 N.33 旅館、ホテル(宿) D 300∼399 12 VN(女) O(鳥取) 2016 有/2019. 7-8 N.34 老人福祉、介護事業(医・福) D 100∼199 5 VN(女) O(鳥取) 2019 −/2019. 12 N.35 老人福祉、介護事業(医・福) K 20∼29 2 CN(男) V(東京) 2019 有/2019. 7 (注)2019 年 5 月送付の事業所調査票、2019 年 5 月∼2020 年 2 月の聞き取り、2019 年 11 月∼2020 年 2 月送付の個別質問紙回 答より。従業員数と受入人数の単位は人。地区は小学校区に相当する 29 地区より。従業員数の「* 」は 2019 年度の各社 ホームページや各広報・公募サイト等の情報に基づく数字を指す。国籍の略記は TH=タイ、VN=ベトナム、ID=インド ネシア、CN=中国。質問紙回答「有」は 2019 年 5 月送付の事業所調査票の回答、「有* 」は 2019 年 11 月∼2020 年 2 月送 付の個別質問紙の回答を指す。

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スチック製品製造業 3 件、自動車部分品製造業 2 件、印刷業、かばん製造業、鉄骨製造業、金属用 金型製造業、集積回路製造業など各 1 件であった。繊維工業 3 件は同じ大手繊維製品メーカー(本 社大阪府)の関連企業であり24)、自動車部分品製造業 2 件も同じ自動車部分品メーカー(本社兵庫 県南部)のグループ企業・関連企業である25)。プラスチック製品製造業 3 件は、すべて近畿地方他 府県(大阪府、滋賀県)に本社がある26)。集積回路製造業 1 件は大手電気機器メーカー(本社東京 都)のグループ企業であり、兵庫県東部に本社がある。以上のうちプラスチック製品製造業 2 件と 自動車部分品製造業 1 件は、海外(中国、ベトナム、インドネシア、タイ)に現地工場・関連企業 をもつ27) 食料品製造業 3 件は、水産食料品製造業 2 件と畜産食料品製造業 1 件である。畜産食料品製造業 1 件は大手総合商社(本社東京都)の元子会社関連企業であり(現在も鳥取県と徳島県に同業の関 連企業がある)、但馬地方に直営農場と契約農場をもつ。 医療・福祉 2 件は老人福祉・介護事業である。1 件は宿泊業 1 件の関連法人で、もう 1 件は法人 所在地が豊岡市外の北但地方にあり、兵庫県南部にも関連事業所がある。 所在地域別では豊岡地域 20 件(他に 3 件)、城崎地域 2 件、竹野地域 1 件、日高地域 6 件、出石 地域 3 件、但東地域 2 件(他に 2 件)であった。さらに地区別に見ると、漁港のある L 地区 14 件 (他に 1 件)、工業地域28)のある C 地区 3 件(他に 1 件)、鉄道駅のある E 地区 3 件であり、それ 以外の 5 地区に 2 件ずつ、4 地区に 1 件ずつ(他にそれ以外 2 地区に 1 件ずつ)であった。豊岡市 内 29 地区中 12 地区(他に 2 地区)に受入事業所があり、複数の受入事業所が集まっている地区 と、1 件だけの地区の双方が一定数あった。 (2)従業員数と技能実習生受入人数 技能実習生受入事業所の従業員数は、1∼4 人 2 件、5∼9 人 11 件、10∼19 人 2 件、20∼29 人 5 件、30∼49 人 4 件、50∼99 人 3 件、100∼199 人 3 件、200∼299 人 2 件、300∼399 人 2 件、無 回 答 1 件(調査未実施の他 4 件は不明)であり、35 件中「30 人未満」20 件(57.1%)、「30∼99 人」 7 件(20%)、「100∼399 人」7 件(20%)であった29)。そのうち技能実習生受入人数は、1∼4 人 19 件(他 に 4 件)、5∼9 人 7 件、10∼19 人 7 件、20∼29 人 1 件(他 に 1 件)、30∼39 人 1 件 で あ り、35 件中平均 7.4 人、中央値 3 人であった。 国籍・性別の技能実習生受入事業所数は、ベトナム男性 6 件(他に 1 件)・女性 9 件(他に 2 件)、中国男性 5 件(他に 1 件)・女性 4 件、インドネシア男性 14 件(他に 1 件)・女性 2 件、タイ 男性 2 件・女性 1 件であった。受入件数は漁業が大半のインドネシア男性が最も多く、それにベト ナム女性、男性が続いている。また 1 か国 1 性別だけを受入れている事業所が 31 件(他に 5 件) であり、複数国 1 性別が 3 件、複数国複数性別の受入は 1 件のみであった。聞き取りでは、職場の ────────────── 24)各社ホームページ、N.17(2020 年 1 月 16 日)より。 25)各社、豊岡市工業会、関連企業ホームページより。 26)各社ホームページ、N.21(2019 年 9 月 11 日)と N.22(2019 年 7 月 8 日)より。 27)各社、関連企業ホームページより。 28)都市計画区域の区分は、豊岡市(2019 : 14-15)を参照。 29)厚生労働省(2020)によると、2019 年 10 月末時点の全国の外国人雇用事業所は従業員数別に「30 人未 満」59.8%、「30∼99 人」18.3%、「100∼499 人」13.5%、「500 人以上」11.9%、「不明」2.2% である。

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性別構成や住居を考慮して男女一方に揃えているとの回答があった30)。技能実習生以外にも外国人 従業員を雇用している事業所は 35 件中 5 件あり、そのうち技能実習生と同国籍・同性で「技術・ 人文知識・国際業務」資格の外国人従業員を雇用している事業所 2 件、市内在住の同国籍・同性の 国際結婚女性を雇用している事業所 2 件であった。 豊岡市の住民基本台帳データによると、2019 年 11 月末時点で技能実習 3 号(4∼5 年目)は 25 人おり(ベトナム女性・男性、中国女性、インドネシア男性)、聞き取りでは底びき網漁業 9 件 (インドネシア男性)、繊維工業 1 件(ベトナム女性)、プラスチック製品製造業 1 件(ベトナム男 性)で受入が確認された31)。反対に「声をかけた人に断られた」や「試験に通らないといけないの で、今より日本語を勉強しないと難しい」との声も聞かれた32)。宿泊職種は 2020 年 2 月に技能実 習 2 号移行対象となっており(国土交通省観光庁 2020)、調査時点で旅館・ホテルは技能実習 1 号 のみの受入であった。 (3)技能実習導入年と監理団体・送出機関 技能実習導入年(旧制度下の研修生受入開始年を含む)は、具体的な回答があった事業所では 「2001∼2003 年」4 件、「2004∼2007 年」3 件、「2008∼2010 年」8 件、「2011∼2013 年」3 件、 「2014∼2016 年」4 件、「2017∼2019 年」9 件であり、具体的な導入年が不明か未回答の事業所では 「2000 年頃」1 件、「2010 年以前」1 件、「2010 年以降」1 件、「2014 年以前」1 件であった。以上で は「2017∼2019 年」という近年が最も多い。特に介護職種は 2017 年 11 月に技能実習制度の対象 職種に追加され(厚生労働省 2017)、老人福祉・介護事業 2 件はそれを受けて 2019 年に導入して いる。一方「2000 年頃」と「2001∼2003 年」という比較的早期に導入していたのは、繊維工業 2 件、プラスチック製品製造業 1 件、水産食料品製造業 1 件であった。 技能実習生の監理団体については事業所 28 件から回答があり、14 件の団体が利用されていた。 所在地が豊岡市内の団体はなく、東京都 3 件(大阪府に支部をもつ 1 件含む)、大阪府、鳥取県、 広島県、兵庫県各 2 件、岡山県、愛知県、石川県各 1 件であった。ただし U 団体は、豊岡市 L 地 区に支所をもつ漁業協同組合である。U を除く監理団体の中で所在地が最も近いのは鳥取県の O、 R 団体であり、それに続くのが兵庫県南部の T と大阪府の Q、S 団体であった33) 現在の監理団体の選定理由について回答があった事業所では、本社・親会社によるもの 7 件、そ のうち他の子会社や関連企業で同じ団体を利用しているところが 4 件であった。関連企業での先例 を受けて当該団体を採用した事業所も 3 件ある。豊岡市外の取引先や同業社の利用している団体を 採用した事業所が 2 件と、代表者が県外の同業社らと監理団体を設立し理事を務めている事業所も 1 件あった34)。その団体は豊岡市の他の事業所 3 件からも利用されている。底びき網漁業では、送 ────────────── 30)N.17(2020 年 1 月 16 日)、N.33(2019 年 7 月 6 日)、N.21(2019 年 9 月 11 日)、N.26(2019 年 11 月 1 日) など。「業務内容からはどちらでも構わない」との付言もあった。 31)N.14(2019 年 8 月 10 日)、N.18(2019 年 8 月 29 日)、N.22(2019 年 7 月 8 日)。 32)N.17(2020 年 1 月 16 日)、N.21(2019 年 9 月 11 日)。 33)監理費用の例として、N.22(2020 年 7 月 8 日)は技能実習生一人あたり月額で監理団体に 2 万円、送出機 関に 5 千円の合計 2 万 5 千円支払っており、N.33(2019 年 7 月 6 日)などによると O 団体の監理費用は 一人当たり月額 3 万円である。 34)N.32(2019 年 7 月 8 日)によると、当初利用していた他の監理団体(鳥取県)とのつながりで情報と人脈 を得て 2007 年に共同で O 団体を設立し、同団体は技能実習生の受入監理の他に事務用品や自動車燃料 ↗

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出機関とのやりとりや技能実習生の監理を Z 団体(石川県)が務め、二次受入機関として各事業 所との間に入り日常業務を行っているのが U 団体支所である35)。またコスト面の考慮や送出国の 変更(特に 2010 年代半ば頃より中国からベトナムへの変更)や複数化などにともない、監理団体 の併用や変更も行われている36) 送出機関は、8 社について回答があった。選定は監理団体に任せているところが多く37)、1 社 (中国山東省、1 件利用)が東京都、1 社(ベトナム・ハノイ市、2 件利用)が愛知県、1 社(ベト ナム・ホーチミン市、3 件利用)が岡山県に支社をもつ38)。自社や関連企業の現地工場と関わりが ある送出機関や、日本人が校長を務める日本語学校が送出機関となっている例もあった。 3.3 技能実習生の労働環境と生活環境 技能実習生の賃金については、35 件中 32 件の事業所から回答があった。時給で回答のあった 13 件中、兵庫県最低賃金39)6 件、900 円未満 4 件、兵庫県最低賃金プラス 10 円程度 2 件、900∼1,000 円未満 1 件であった。月給で回答のあった 23 件中(3 件は時給と両方回答)、15 万円未満 10 件、 15∼20 万円未満 10 件、20 万円以上 6 件であった。残業や勤務日数、また年数の差によると思われ る月給の複数回答は 3 件あった40) 技能実習生の勤務時間については、以下に別途述べる底びき網漁業以外の事業所 23 件中、勤務 日 1 日当たり 4∼8 時間未満 8 件、8 時間以上 13 件であった(複数回答 2 件あり、無回答 4 件を除 く)。また、技能実習生が一定期間後に夜勤に入っている事業所が 6 件、他にも勤務日数の回答 (週 3、4 日)から夜勤を行っている可能性があるのが 2 件あり、左記以外に隔週等で土曜勤務が 3 件、不定休が 3 件であった。 底びき網漁業は、漁期(9 月∼翌年 5 月)と休漁期(6 月∼8 月)があり、休漁期は平日 5 日間 8 ∼17 時の勤務、漁期は一回に 1∼2 日(40 トン船)か 2∼3 日(80∼95 トン船)ほど操業し、魚種 によって 3 日から 1 週間程度(例えばカニ漁、80 トン以上船の場合)操業が続くこともある。普 段は帰港後 1 日は休みになるが、カニ漁(11∼3 月)時は当日夜にまた出漁する。ただし漁期でも ────────────── ↘ の共同購買事業も行っている。 35)U 団体支所(2019 年 8 月 12 日)と N.14(2019 年 8 月 10 日)によると、2007 年に 1 件でインドネシア男 性研修生 2 人の受入を始め、2008∼2009 年には 3 件で 5 人を受入、他船にも年々広がっていった。当初は 受入機関が豊岡市(実質的な業務は漁協支所が担い、市から補助金が出ていた)であったが、2010 年から 漁協に代わっている。当初より研修生・技能実習生の採用・監理を担う Z 団体は、研修生受入時に参考に した但馬地方の他漁協が利用していた団体で、来日後 1 か月間は同団体から日本語教師が派遣されてい る。同支所の受入を踏まえて他支所でも導入され、2019 年 9 月 1 日時点で同漁協 3 支所でインドネシア男 性技能実習生 60 人を受け入れている。 36)N.17(2020 年 1 月 16 日)、N.26(2019 年 7 月 8 日)、N.30(2019 年 12 月 6 日)、N.34(2019 年 12 月 6 日) など。 37)自社担当者が送出機関を把握していないとの回答もあった(N.21、N.22、N.26、N.30)。 38)各事業所聞き取りと質問紙回答、送出機関の日本語ホームページより。 39)2019 年 9 月 30 日まで 871 円、同年 10 月 1 日から 899 円(厚生労働省兵庫労働局 2019 a)。ただし、産業 別最低賃金が適用される 7 業種(全体より 1∼76 円高い)を除く。 40)「手取り」回答を含む(N.15、2020 年 1 月 17 日)。N.21(2019 年 9 月 11 日)や N.25(2019 年 9 月 12 日) のように年数や習熟度で差を付けない場合が主流と思われるが、底びき網漁業は年数に応じて昇給し (N.6、2019 年 7 月 7 日、N.14、2019 年 8 月 10 日)、製 造 業 1 件(N.22、2020 年 7 月 8 日)は 3 年 目 か ら 査定と日本語検定資格によって昇給するとした。

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悪天候で海に出られない日は休みとなり、特に 40 トン以下の小型船は出漁できない日が多く「漁 期の半分ほど休み」になるという41) 居住環境について、底びき網漁業は各船の技能実習生が港近くの宿舎に共同で住んでいる42)。そ れ以外で住居の回答があった 19 件中、賃貸アパート 7 件、賃貸戸建 3 件、事業所外宿舎(社員寮 含む)5 件、事業所内宿舎 5 件、事業所内外不明の宿舎 1 件であった43)。戸建 1 件は空き家を改装 したもので、事業所内宿舎には工場 2 階を改装したもの、旧小学校舎を改装したもの、敷地内に新 築したものがあった。家賃の回答があった範囲では一定額を給与から天引き(賃貸の場合、差額が あれば事業所が負担)しており、金額は 1 人月額 5 千∼2 万円であった(水道光熱費・通信費を含 む場合と別途徴収の場合がある)。 技能実習生の日常的な交通手段はほぼ自転車であり、コミュニティバスや路線バスの利用はあま り聞かれなかった44)。休日には鉄道や、日本人雇用主や従業員の自動車へ同乗し買い物や行楽に行 くとの話があった45)。また余暇活動の一例として、休日にボランティアの日本語教室を受講した り46)、教会に通う技能実習生もいる47) ────────────── 41)N.6(2019 年 7 月 7 日、8 月 11 日)、N.11(2019 年 8 月 10 日)、N.14(2019 年 8 月 10 日)、U 団 体 支 所 (2019 年 8 月 12 日)より。休漁期は漁具や機器、船の整備、また海底清掃(別途手当有)などに従事し、 技能実習生はこの間に日本語研修を受けたり、平日夜に寮で 1 年目の実習生が 2 年目以降の実習生から漁 業用語や網の結び方を習う。給与について、日本人船員は「大仲制度」による漁費の一部負担(氷代、エ サ代、タグ代など)がある一方、最低保証の月額 20 万円に加えて、売上げの 3 分の 1 までが人数割り (一人前になるまで 0.8∼0.9 倍、機関長 1.3 倍、船主 1.5 倍といった傾斜配分もある)の歩合給として支払 われるのに対し、技能実習生は年数に応じた固定給で、1 年目は月額約 15 万円、2∼3 年目は約 16 万円、 4∼5 年目は約 20 万で、そこから所得に応じた船員保険料(約 1 万 5 千円∼4 万円)と海員組合費 3 千円、 寮費 1 万 2 千円(漁期は船上の食費 1 日 600 円も)が引かれて手取り額となる。売上げ人数割りの技能実 習生分は、船主の取り分になるという。また技能実習生の配属先の船(40 トン船と 80∼95 トン船が半々) は来日時にくじ引きで決まり、同じ給与でも船の大小で業務量に差がつく。以上の 点 は、三 輪 ほ か (2017 : 7)も参照。 42)U 団体支所(2019 年 8 月 12 日)と N.14(2019 年 8 月 10 日)によると、宿舎はもともと漁協の倉庫で、 改装費用には研修生受入 2 年目の 2008 年に豊岡市からの補助金(研修生 1 人当たり 60 万円、計 7 人分 420 万円)と船主からの会費を充てたという。現在は 2 階建ての元倉庫を 3 棟ほどつなぎ、1 階が共同ス ペースで 2 階の各部屋に複数人ずつ住んでいる。 43)2 件はアパートと戸建ないし宿舎を併用している。 44)自転車を支給・貸出していると具体的に回答した事業所も 5 件あった。鉄道の利用については、主に豊岡 地域、城崎地域、日高地域で鉄道駅まで徒歩圏内∼自転車で 30 分圏内に居住の場合、休日や休暇中に利 用されていたが、特に竹野地域や但東地域などで鉄道駅まで自転車で 40 分以上かかる場所に居住してい る場合、休暇中も含めてほぼ利用されていなかった。 45)本調査におけるベトナム、インドネシア、中国からの技能実習生への聞き取り(15 人)と質問紙(67 人) 調査の回答(来日の経緯、出身家族の階層、送出機関への支払額、業務内容、休日の過ごし方、友人や家 族との連絡等について)は、豊岡市(2020 c : 67-77)を参照。送出機関への支払額については特にベトナ ムが高く、技能実習 1 号(1 年間)のみで 2,000∼3,500 米ドル、技能実習 2 号(3 年間)で 5,000∼10,000 米ドル程度の回答があった。軍司(2019 : 38)、澤田(2020 : 109-111)の調査でも、実態として 3 年契約 で 7,000∼8,000 米ドル徴収している機関が多いという。また以前との違いとしては、スマートフォンと Wi-Fi 通信の普及によって、母国や日本国内各地の友人・知人、家族・親戚とのやりとりや、母語コンテ ンツへのアクセスがかつてよりはるかに容易になっている。近年の新規受入に際しては、監理団体から住 居への Wi-Fi 設置も指示されている(N.25、2019 年 9 月 12 日、N.26、2019 年 11 月 1 日)。 46)豊岡市では主に豊岡市国際交流協会とにほんご豊岡あいうえおの 2 団体が日本語教室の開講やボランティ ア派遣を行っている。来日直後の研修以降に日本語教室やボランティア派遣を利用しているとの回答は、 漁協支所で受講している漁業に加えて 5 件の事業所からあった。勤務時間外に技能実習生が自発的に参加 している場合や、豊岡市外の日本語教室に通う場合もあった。一方で日本語教室の月額 500 円という料 ↗

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3.4 現在の評価と今後の意向 技能実習生受入事業所のうち、事業所調査票で回答のあった 22 件中、外国人従業員の雇用理由 (複数回答可)は「人手不足」22 件、「外国人としての能力」1 件であった48)。上記以外の事業所へ の聞き取りで技能実習生の採用理由に言及した 6 件も人手不足を理由に挙げている49)。具体的には 「日本人従業員は高齢化し、地元の人は入ってこない」「たまに入っても、すぐに辞める」「派遣会 社やハローワーク経由でも採れなくなった」「業種的に人手がかかるが、求職者からの人気がない」 「ハローワーク、折り込みチラシ、就職サイトで募集をかけても、正社員もパートもほとんど来な い」などの話があった。 事業所調査票の「外国人従業員の雇用に満足しているか」との問いでは、回答のあった 22 件中、 「満足している」9 件、「ほぼ満足している」12 件、「あまり満足していない」1 件であった。聞き 取りのみの事業所で技能実習生の評価に言及した 9 件も、すべて肯定的な回答であった50)。具体的 には「よく働いてくれる」「人手不足を補っている」「休まない、辞めないということで、当てにで きる」「技能実習生たちが居なかったら大変で、稼働率が下がってしまう。その分日本人を雇おう と思っても、コスト高になる」「導入前に心配していたよりも、すごく上手くいっている」「職場全 体が明るくなった」「近隣の住民にも好かれている」との回答があった。他方、事業所調査票で 「あまり満足していない」と回答した 1 件は、その理由を「やはり日本人従業員に比べると仕事が できない。会話ができない」と記している。 外国人従業員の今後の雇用意向については、事業所調査票回答の 22 件中、「現在より増やして雇 いたい」8 件、「同じ人・人数を雇いたい」11 件、「現在より減らして雇いたい」3 件であった。そ れ以外の事業所への聞き取りでも、受入を辞めたいとの回答はなく、基本的に継続を希望してい た。また技能実習 3 号への移行等、可能になれば同じ人を 4 年以上継続して雇用したいとの回答は 6 件あった。外国人従業員の雇用にあたり必要だと思う支援についての回答は、「日本語教育」6 件 と「住居」(確保や家賃補助)5 件の順に回答が多かった。

4 考察と結語

地方での外国人技能実習生の増加に関して、上林(2019 : 6)は志甫(2012 : 46-54)による景気 低迷期と景気回復期の分析を参照し、日本社会の構造的要因(少子高齢化等、人口構成の変化)と 景気感応的要因の二つを挙げていた。本調査対象の事業所も、技能実習生の雇用理由にほぼ人手不 ────────────── ↘ 金が「高い」と言って参加しなくなった話や、夜勤や不定休のため統一した休みがとりづらくなり通わなく なった話も聞かれた。 47)宗教に関して、底びき網漁業の技能実習生には以前キリスト教徒もいたが、いまはイスラム教徒のみ受け 入れており、宿舎に礼拝用の部屋を設けている(N.14、2019 年 8 月 10 日)。またカトリック豊岡教会の日 曜ミサには、3 件の事業所のベトナム人技能実習生が個人的に参加していた(主に事業所の紹介による)。 繊維工業 1 件では、ベトナム女性技能実習生 1 名が国内他地域で働くベトナム男性技能実習生との婚姻手 続きを姫路市のベトナム系仏教寺院で行ったという。 48)本項の事業所調査票回答については、豊岡市(2020 c : 53-4, 198)も参照。 49)N.2、N.17、N.21、N.26、N.30、N.34。 50)N.1、N.2、N.15、N.17、N.18、N.21、N.26、N.28、N.34。

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足を挙げており、従業員の高齢化や、日本人従業員が採用できない、若年層が定着しないことなど に言及していた。事業所として実際には「労働者」であっても「実習生」という「建前が要る」51) や、「技能実習制度は国の技術交流の一環ではあるが、そこまでコストをかけられない」52)との率直 な見解もあり、外国人労働者受入のいわゆる「サイドドア政策」(伊豫谷 1994 : 157-9)としての 技能実習制度の位置づけが事業所に普及している点がうかがえた。 したがって人手不足の内実は、必ずしも正社員に限って言われているのではない。漁業などで日 本人従業員の高齢化や、繊維工業や老人福祉・介護事業などで正社員もパートも応募がないと言わ れていたが、製造業では「新卒はまだ採れる」が忙しい時期に、以前のように派遣会社やハローワ ークを通じた臨時雇用ができなくなったという話や53)、宿泊業では「接客の部分は日本人が担当」 しそれ以外で「手が足りないところ」を技能実習生に担ってほしいという話があった54)。監理や受 入に「コストはけっこうかかる」ので「安く使いたいわけではない」55)と言われる一方で、技能実 習生と同じ人数の日本人を雇うと「コスト高になる」56)とも言われ、「3 年間は必ず働き続けてくれ る」57)という期待もあった。 永吉(2020 : 47, 54-59)も指摘するように、「雇用調整のしやすい労働力」として賃金以外のメ リットもあることが、受入コストにもかかわらず技能実習生が年々増加している理由と考えられ る。2000 年代後半の製造業の「国内回帰」に「移動性や柔軟性の高い労働力」として日系人や外 国人研修生・技能実習生の寄与があったと指摘されたように(井口 2009 : 463;志甫 2012 : 44)、地元漁港水揚げの水産物、地場産の農産物や畜産物、「日本製」衣類や機械部品58)、そして 「日本のおもてなし」59)を提供する本調査対象の事業所においても、技能実習生が貢献する度合いが 近年高まっている。特定技能への期待も一部で聞かれたが、2020 年 3 月末時点で豊岡市での受入 は始まっていない60) なお本調査期間後の 2020 年 3 月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にかかる入国制限 等の影響を受け、2019 年 12 月 31 日時点で 845 人だった豊岡市の外国人住民が 2020 年 9 月 30 日 時点で 738 人となっており、特に「技能実習」資格の外国人住民が 2019 年 11 月 30 日時点で 355 ────────────── 51)N.14(2019 年 8 月 10 日)。 52)N.30(2019 年 12 月 6 日)。 53)N.26(2019 年 11 月 1 日)。技能実習生以外の外国人従業員雇用事業所でも、日本人派遣社員の質の低下や そもそも派遣社員の募集に人が集まりにくくなった話が聞かれた(旅館・ホテル業 2 件、2020 年 2 月 5 日 ∼6 日、畜産食料品製造業、2019 年 12 月 7 日)。派遣社員やパートと技能実習生との代替的な関係につい ては、上林(2017 : 108-10)、眞住(2018 : 488-9)も参照。 54)N.33(2019 年 8 月 11 日)。 55)N.15(2020 年 1 月 17 日)。 56)N.21(2019 年 9 月 11 日)。 57)N.22(2019 年 7 月 8 日)。 58)N.17(2020 年 1 月 16 日)は、自工場で縫製した衣類を品質検査まで済ませ元請企業の名で出荷する“完 全納品”を行っているという。長田(2018)も参照。豊岡市外の国内工場で企業単独型研修生(1 年間) の受入を行っているかばん製造業(外国人契約社員・パート雇用、2019 年 11 月 1 日)は、同社の国内工 場とベトナム工場で製品の差はあまりないが、顧客企業が“Made in Japan”を希望した場合には販売価格 なども考慮に入れたうえで国内工場で製造するという。 59)N.33(2019 年 8 月 11 日)。 60)その後、2020 年 9 月 30 日時点で 1 人(住民基本台帳データより)。

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人であったのが 2020 年 9 月 30 日時点で 265 人となっている61)。入国制限が段階的に緩和されるに したがって 2020 年度中にも一定数は前年度の人数に近づくと思われるが、新型コロナウイルス感 染症の流行状況およびその景気動向への影響次第で翌年以降にも余波が続く可能性はある。 また少なくとも新型コロナウイルス感染症の流行前までは、技能実習生の待遇改善が徐々にでは あれ、進んできていたのも事実である。旧研修制度の廃止や外国人技能実習機構の設置62)、近年の 最低賃金の上昇や母国の経済発展などの影響があったと考えられる。技能実習生の失踪も本調査時 点では確認できなかった63)。ただし、特にベトナムに関しては依然として技能実習生による母国の 送出機関への支払額が大きく、来日前にすでに大きな負担がある64) 自治体による支援としては、事業所の要望にあったように住居の整備や補助が可能であるとした ら、技能実習生の受入機会の拡大と待遇改善につながりうる。また本編では触れられなかったが、 地元の人たちに「知ってもらう」ための取り組みとして、技能実習生に地区のだんじり、運動会や 文化祭、さらに「日役」(草刈りなどの奉仕活動)へ参加してもらうことも一部事業所が積極的に 行っていた65)。そうした取り組みは、地区に若者が少なく、否が応でも地域住民の目に触れる事業 所で先行しており66)、個々の事業所の限界を越えて関係構築を行うにはまさに今後「行政が担う役 割は大きい」(二階堂 2019 b : 78)と考えられる。現状ではまだ「外国人住民の割合が低い」こと もあり、「技能実習『依存』度が高い自治体ほど、外国人住民施策が進んでいない」とも指摘され ている(鈴木 2019 : 74)。 そして今後は待遇改善や生活環境の向上に加えて、これまで「現実との齟齬」があった「技能移 転」(二階堂 2019 c : 48;西川 2019)にも、技能実習生の受入継続を希望する場合には真剣に取 り組む必要があるかもしれない67)。また本調査対象でも技能実習修了者が特段の技能を問われず関 連企業の現地工場に採用されていたり68)、他地域・他業種の修了者が再来日して契約社員や派遣社 ────────────── 61)豊岡市より公開された住民基本台帳データより。国籍別上位 5 か国では、2019 年 12 月 31 日時点から 2020 年 9 月 30 日時点でベトナム 227 人→212 人、中国 177 人→141 人、フィリピン 180 人→160 人、韓国 ・朝鮮(特別永住者含む)70 人→61 人、インドネシア 64 人→50 人の変化があった。また本調査対象の外 国人従業員(技能実習生以外含む)雇用事業所 53 件に 2020 年 8 月∼9 月に追加の質問紙調査を実施した ところ、41 件の事業所から回答があり、そのうち技能実習生受入事業所は 26 件あった(2020 年 9 月 25 日時点)。その質問紙で前年同期間と比した 2020 年 4 月∼7 月の期間における外国人従業員の増減につい て尋ねたところ、その 26 件中 5 件が「減少した」と回答し、その理由は「入国制限による」4 件、「自己 都合」1 件であった。その一方で、「増加した」との回答も 26 件中 3 件あった(生産増や残業減への対応 が理由として挙げられていた)。 62)聞き取りで旧制度下での研修期間の低賃金問題に言及する事業所もあった。 63)以前の失踪や現在の課題への事業所の言及、技能実習生による見解は、豊岡市(2020 c : 81-84)を参照。 64)送出機関どうしの競争も激しく、受入事業所の接待や面接訪問の費用が実質的に技能実習生からの支払額 に含まれている面もある。斉藤(2018 : 15-17)、澤田(2020 : 105-108)も参照。 65)N.6(2019 年 7 月 7 日)、N.14(2019 年 8 月 10 日)、N.25(2019 年 9 月 12 日)など。豊岡市(2020 c : 80-81)も参照。豊岡市の成人式への招待や城崎地域の温泉割引は、技能実習生からも歓迎されていた。 66)佐々木(2018 : 22)は漁業や水産加工業で技能実習生が求められた背景に、それらの産業に労働力を輩出 してきた漁港背後集落の過疎化率や高齢化率の際立った高さを指摘している。 67)母国の水産高校での就学経験や漁業経験が技能実習に役立つ一方、技能実習の経験が修了後の母国での就 業に役立ちにくいという漁業実習生の現状は、三輪(2017 : 120-2)、三輪ほか(2017 : 3-9)も参照。 68)タイの例(N.22、2019 年 7 月 8 日)。ただし N.21(2019 年 9 月 11 日)は中国の例で、いまは声をかけて も現地工場にはほぼ来てくれないとのことであった。

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員として働いている例があったように69)、現状の技能実習で身につく中で修了後に最も役立ち、か つ日本の労働市場で地位上昇を図るのに不可欠な技能が日本語であるとされる中で(井口 2018 : 74;岩下 2018 : 40-41;樋口 2019 : 28-39)、技能実習期間の日本語教育・学習は大きな課題であ る70)。研修期間後の日本語教育は大部分 NPO 等に委ねられており、技能実習生個人の意欲にも左 右される71)。市内で日本語教室が開講されていても、遠方の居住地から勤務後に通うことが難しい 場合や72)、シフトや夜勤のため休日に通うことが難しい場合もある73)。その一方で NPO に依頼 し、技能実習生が超過勤務扱いで日本語教室を受講したり、自宅でボランティア派遣を受けられる ようにしている事業所もあった74)。勤務時間に類する扱いであれば、技能実習生が日本語学習に時 間を割くハードルは格段に下がる。技能実習生の日本語学習や地域の日本語教育にも必要な支援を 国が行うと定めた「日本語教育の推進に関する法律」が施行される中(文化庁 2019)、各事業所の みならず国や地方自治体のさらなる取り組みも求められている。 [付記・謝辞] 本稿は 2020 年 1 月 25 日に開催された 2019 年度関西学院大学先端社会研究所シンポジウム「モビリティと 地方的世界の変容──豊岡市外国人住民に関する調査から」における報告「外国人雇用事業所と外国人住民」 (梅村麦生・福田恵)をもとに、その後の調査結果・研究成果を反映し、当該内容の部分をまとめて執筆した ものである。その一部については、第 71 回関西社会学会大会(2020 年 10 月 11 日、龍谷大学、オンライン開 催)「地域と外国人住民」部会における共同報告「2019 年度『兵庫県豊岡市の外国人住民に関する調査研究』 から」内で「地方の諸産業と外国人技能実習生──兵庫県豊岡市の事例から」(梅村麦生)として報告を行っ ている。 なお、本稿およびそのもとになった上記二報告は、2019 年度豊岡市・神戸大学共同研究「外国人住民に関す る調査研究」による研究成果の一部である。本稿の執筆は筆者によるが、同調査研究による事業所調査は福田 恵(広島大学)、筆者、佐々木祐(神戸大学、同調査研究代表者)を中心に実施した。特に事業所調査票回答 の入力作業と集計は吉村航一郎(神戸大学大学院博士課程前期課程)が担当した。技能実習生への聞き取りと 質問紙調査にあたっては、ホー・ダン・ハイ、サフラタ・デニセ(以上、広島大学総合科学部生)、施瑶(神 戸大学大学院博士課程前期課程)、NPO 法人にほんご豊岡あいうえお、斉藤善久(神戸大学)らに通訳・翻訳 等の調査協力を受けている。加えて、事業所および技能実習生への聞き取り調査には上記以外にも、同調査研 究メンバーで主に外国人住民個人調査を担当した、奥井亜紗子(京都女子大学)、齊藤優(神戸大学大学院博 士課程前期課程)、德宮俊貴(同博士課程後期課程)、平井晶子(神戸大学)、藤井勝(神戸大学名誉教授)、藤 ────────────── 69)かばん製造業(2019 年 11 月 1 日)、旅館・ホテル業(2020 年 2 月 6 日)。 70)樋口(2019 : 32)はこの「技能」としての日本語教育・学習に国の関与や投資が欠けていると指摘する。 71)数年来の受入があると、技能実習生の先輩が後輩に実践的な日本語や方言、専門用語を教え、日常生活や 仕事ではそれで事足りるという場合も少なくない。特に 3 年目以降で日本語に長じている実習生は、1 年 目の実習生と日本人従業員や雇用者との間を取り持つことも期待されている。 72)注 45 の 2 団体は豊岡、日高、出石の 3 地域で日本語教室を開講している。 73)NPO 1 件(2019 年 8 月 12 日)によると、同団体の日本語教室に通う技能実習生もいるものの、「仕事が忙 しい」からか「長続きしないことが多い」という。国際結婚女性でも育児や就職、転職などを機に辞める 場合がある。島根県(2019 : 6-7)の外国人住民調査(2018 年、回収数 566 人)では、「現在日本語を学習 していない」(324 人、57.2%)が「日本語学習をしたい」(236 人、72.8%)と回答した人のうち、意欲が あってもできない理由は「忙しくて時間がない」「時間が合わない」「近くに日本語教室がない」の順に多 かった。 74)N.34(2019 年 12 月 6 日)、N.15(2020 年 1 月 17 日)。技能実習 2 号移行要件に日本語能力試験 N 3(ない し同等資格)がある介護職種については、定松(2019 : 41-2)も参照。

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岡達磨(関西学院大学)も参加し、データの作成に関わっている(以上、所属等は調査時点)。また調査研究 の実施主体である豊岡市政策調整部政策調整課政策調整係の各位には、事業所および地域関係団体への取り次 ぎと、聞き取り調査への参加を受けている。 最後に、同調査研究の質問紙調査と聞き取り調査に協力していただいた事業所と技能実習生をはじめとする 外国人住民の各位、また地域関係諸団体および調査研究の実施主体でもある政策調整係をはじめとする豊岡市 役所の各位、そして上記シンポジウムでの報告と本紀要での執筆の機会を提供していただいた鈴木謙介前所長 および森康俊所長をはじめとする関西学院大学先端社会研究所の皆様にも、ここに記して感謝の意を申し上げ る。 [文献] 文化庁,2019,「日本語教育の推進に関する法律の施行について(通知)」,(2020 年 7 月 29 日取得, https : //www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/other/suishin_houritsu/1418260.html).

Castles, Stephen and Mark J. Miller,[1993]2009, The Age of Migration, 4th ed., Basingstoke : Palgrave Macmillan. (=2011,関根政美・関根薫監訳『国際移民の時代[第 4 版]』名古屋大学出版会.) 藤井勝・平井晶子編,2019,『外国人移住者と「地方的世界」』昭和堂. 外国人技能実習機構,2020 a,「許可監理団体(一般)(令和 2 年 5 月 11 日現在)」,(2020 年 5 月 22 日取得, https : //www.otit.go.jp/files/user/docs/200511-1.pdf). ────,2020 b,「許可監理団体(特定)(令和 2 年 5 月 11 日現在)」,(2020 年 5 月 22 日取得, https : //www.otit.go.jp/files/user/docs/200511-3.pdf). 外国人労働者ドットコム,2020,「監理団体を探す」,(2020 年 5 月 29 日取得, https : //www.gai-rou.com/kanri_top/). 軍司聖詞,2019,「ベトナムにおける外国人技能実習生送り出しの実際と送出機関の事業的特徴」『農業経済研 究』91(1):35-40. 樋口直人,2019,「労働」高谷幸編『移民政策とは何か』人文書院,23-39. 法務省出入国在留管理庁,2019,「公表資料」『令和元年 6 月末現在における在留外国人数について(速報 値)』,(2020 年 3 月 3 日取得,http : //www.moj.go.jp/content/001308162.pdf). 兵庫県,2017,「但馬地域(豊岡市・養父市・朝来市・香美町・新温泉町)」『平成 27 年国勢調査・市区町別・ 町丁字別人口(5 歳階級別人口)』,(2020 年 5 月 4 日取得, https : //web.pref.hyogo.lg.jp/kk11/jinkou-tochitoukei/documents/3tajimachiiki27.xls). ────,2018 a,「兵庫県の地域別事業者数・従業者数」『平成 28 年経済センサス−活動調査に関する結果報 告(確報)』,(2020 年 2 月 28 日取得,https : //web.pref.hyogo.lg.jp/kk11/documents/tokei6.pdf). ────,2018 b,「兵庫県の市区町別事業者数・従業者数」『平成 28 年経済センサス−活動調査に関する結果 報告(確報)』,(2020 年 2 月 28 日取得,https : //web.pref.hyogo.lg.jp/kk11/documents/tokei7.pdf). ────,2020,「兵庫県推計人口 令和 2 年 1 月 1 日現在」,(2020 年 2 月 27 日取得, https : //web.pref.hyogo.lg.jp/kk11/jinkou-tochitoukei/suikeijinnkou.html). 井口泰,2009,「東アジア経済統合下の産業活性化に向けた新たなイニシアチヴ」『経済学論究』63(3):457-72. ────,2018,「外国人労働者政策の現状と改革の展望」『移民政策研究』10 : 60-78. 岩下康子,2018,「技能実習生の帰国後キャリアの考察」『広島文教大学紀要』53 : 33-43. 伊豫谷登士翁,1994,「バックドアからサイドドアへ、そして──日本の外国人労働者政策の転換に向けて」 『世界』596(1994. 6):153-61. 上林千恵子,2017,「製造業における技能実習生雇用の変化」堀口健治編『日本の労働市場開放の現況と課題』 筑波書房,93-113. ────,2019,「地域社会における外国人労働者受け入れ」『生活経済政策』266 : 5-13. 国土交通省観光庁,2020,「外国人技能実習制度の 2 号移行対象職種に宿泊職種が追加」,(2020 年 5 月 29 日取

表 6 豊岡市の外国人技能実習生受入事業所(2019 年度豊岡市・神戸大学調査) 産業分類(上位分類) 地区 従業員数 現在の技能実習生受入状況 導入年 (研修生含む) 質問紙回答/聞き取り年月 人数 国籍(性別) 監理団体 N.1 酪農業(農・林) E 5〜9 3 TH(女) 不明 2013 −/2019

参照

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