Japan Advanced Institute of Science and Technology
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Title
IT社会下での低成長理論とその実証 : 技術ストックア
プローチ(技術と経済)
Author(s)
柳沢, 英太; 渡辺, 千仭
Citation
年次学術大会講演要旨集, 18: 196-199
Issue Date
2003-11-07
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6871
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
Ⅰ
Fl
Ⅰ IT
社会下での低成長理論とその
実証
∼ 投笏ァ ストックアプローチ ∼0 柳沢英太,渡辺
千匁 ( 東工大社会理工学 ) 1 . 序 論 近年, lT 化・情報化と 騒がれて久しいが , これはかつての 工業化社会から 情報化社会へのパラダイムシフトに 他ならな い.情報化社会 ヘ シフトするとともに 情報技術 (lT) 革新およ びその効果的な 活用が競争力の 要 となってきている. アメリカ経済は 1990 年代に入り景気拡大が 199] 年 3 月以降2001
年 3 月まで安定した 物価のまま成長しつづけた.この「イ ンフレなき持続的成長」で ,景気循環の 波が消滅して 新たな 経済時代に突入したのではないかという「ニューエコノミー 論」が登場した. 一方日本は 1980 年代にハイテクミラクルを 証歌したのにも 関わらず, 1990 年代以降の情報化社会においては ,けの革新・ 活用において 米国等に大きく 立ち遅れることに 至った. これ は,情報化社会において. 日本の社会経済体質がかつてのよ うな柔軟性を 発揮できず, け 革新の成果をフルに 活用できな いまま競争力を 損なうことになり ,経済を停滞させ ,社会 経 済 体質の更なる 硬直化に拍車をかけるという 悪循環に陥った ことによるものであ る. 明確にするとともに、 日本においてはさらに「情報資本スト ・ソク」を変数に 加えることで、 日本の硬直性の 構造分析をす る。 2. 分 析 2, 1 古典的アプローチ ここでは、 情報化社会へと 変化してきていることを 裏 付け る分析を行 う 。 モデルは以下のソローモデルであ り、 日 , 米 ・ 独 ・英の四 力国は ついて① 1960 ∼ 2000 年 ② 1960 ∼ 1990 , 199] ∼ 2000 年と期間を分ける。 ア ユF(K,
ノム Ⅰ(1)
Ⅰ ぱ(2)
Ⅱ :GDP K : 資本ストック Ⅱ : 効率労働 は : 資本 弾 ,性情 R( ノ ): 銭差 この推定結果が 以下のようになる。 表 Ⅰ ソローモデル 推定結果 年代 日本 米国 独国 英国 このように、 日本は情報化技術革新に 乗り遅れたことで、 労働生産性の 伸び・ GDP 成長率に大きく 影響することとなり、 情報化が進むことによる 生産性の上昇、 すなわち GDP 成長が実 現されないという 事態に陥った。 本研究ではこの 現象を日本 の 低成長下における 持続的「生産性パラドックス」と 捉える ことで、 「低成長パラドックス」と 呼ぶことにする。 この事 実を裏 付けるものとしては、 日本の競争力の 失墜 (TheWorld 0ompetitiveness Yearbook:lnterna 目 onal lnst 叶 ute for ManagementDevelo@pment: Ⅲ D) や 、 技術生産性の 9 1 年を境 にしてからの 急降下が挙げられるだろう。 本研究は 90 年以降の情報化に 対して、 工業化社会型生産関 数にけインパクトを 表す変数「技術スト、 ソク」を導入する 必 要 性を示し、 日米のけ化への 構造変化速度とその 順応性を ]960 ∼ 2000 年 0 . 413 0.226 0.2 Ⅰ 0.209 一 14.8 一 ⅠⅠ・ 33 一 7.43 一 7.8 ]96] ∼ ]990 年 0 . 388 0 ・ 235 0. Ⅰ 98 0.2 Ⅰ 6 一 1 Ⅰ・ 79 一 Ⅰ 0.27 一 6.26 一 7.4 1990 ∼ 2000 年 0 . 3 0 ・Ⅰ 42 0.3 Ⅰ 7 0. Ⅰ 73 -5.6 Ⅰ 一 2.4 一 4.85 一 Ⅰ・ 55 下のカッコ内の 数字は七値であ る。 これに対して 各期間の 決定係数は以下の 通りであ る。 表 2 決定係数 年ィモ 日本 米国 独国英国 1960 ∼ 2000 年 0 . 848 0 . 766 0.668 0 . 606 196] ∼ ]990 年 0 . 821 0 . 777 0.68 0.642 1991 ∼ 2000 年 0 . 792 0 . 373 0 . 738 0 . 149
見ての通り、 日 ・独は情報化社会突入の 境以降、 ソローモデ 表 3 前報化シフト 弾性 値 推定 億果 (1980-2000)2 ル でも当てはまりが 良いが、 米・英はこれに 反して著しく 悪 くなっているのが 分かる。 ここに、 情報化へのパラダイムシフトがスムーズに 行えたか 否かがはっきりと 表れている。 情報化社会の 勝ち組と言われ る 米・英、 負け組と言われている 日 ・独がこの分析結果でも 明らかであ ることが証明できた。 2. 2 前報化社会型生産関数アプローチ 生産投人物に lT による成長要因を 加えることで 日米を比較 検証する。 しかし、 米国には lT 生産要素がないため、 技術ス トック T を採用する。 ここで技術ストックとは、 一般的に知ら れている資本ストックの 計算方法と同じで、 研究開発費の 積 み重ねのことであ る・。 本研究でのモデルのイメージは 次のようになる。
図 l Ⅱ T インパクトイメージ けからのインパクトを 技術ストックの 部分集合が受け、 それ が技術ストックの 集合からの GDP へのインパクトという 形を とる。 しかし、 単に GDP へ 反映されるわけではなく、 [ 情報化 シフト指数 山 D を導入し、 それがけ技術の 同化能力を表すこと にする。 これは技術の 伝播を表すロジスティック 関数を用い る。 分析モデルは 以下の通りであ る。
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二戸YK,Z,
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)77)+ln
二三互い+ な 二三 ) ここで、 D は変局時点 t 、 その顕著なスタート・エンド 時点 E 、 進入・浸透のぺ ー スⅠであ り、 統計的適合性は AlC で判断 する。 分析結果は表 3 にあ り、 D23 が最も適合性が 高いことが D t0 E 百 包 B ア あ a 可 . R 、 2 A 旧 D2@ 1991 6% 0.2160.4980.078 一 0.01 0.99 一 108.07 一 2.9 一 4.75-2. Ⅰ 4 一 3.43 D8@ 1990@ 4 6% 0.2620.5440.078-0.012 0.99 Ⅱ 09.6 Ⅰ 一 4.21 一 5.47 一 2.23 -3.72 D161989@ 5 6% 0.3060.5650.089-0 . 0 Ⅰ 6 0.99 一 Ⅰ 09.65 一 5.4 一 5.75 一 2.45 一 3.73 D221989@ 5 Ⅰ 1%0.2450.5830. Ⅰ 04 一 0.023 0Lgg 一 ⅠⅠ 0.04 一 3-83-5.99 一 2-73 一 3.8 Ⅰ D23 Ⅰ 989 5 12%0.2320.5880. Ⅰ 06-0.024 0.99 一 110.46 一 3.47 一 6.05 一 2.77 一 3.81 D24 Ⅰ 989 5 Ⅰ 3%0.2150.5950.109-0.026 0.99 一 ⅠⅠ 0 . 03 一 3.11 一 6. ⅠⅠ -2.8 Ⅰ 一 3.8 図 2 より、 1991 年頃 を境に日米の 技術弾性 値 が逆転している のが見て取れる。 ここからも日本の 競争力失墜が 明らか判断 できる。 また,下の表が 日本のモデル 推定結果であ る。
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日本米国
ヰザダ Ⅰ こ ⅠⅠで
図 2. 日米製造業 GDP 技街 弾性値の推移 (1980-2000) 2. 2 拍 報化 シフト指数 以上より、 更に製造業技術限界生産性の 情報化シフト 指数 を 求めてみる。 製造業技術限界生産性は、 GDP 、 技術ストック、 情報化シフト 指数より影響を 受けるので、 次のように定式化 する。
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ア r 二 G ⅠⅡ,「,D)
(6)
上式を 2 次項までテーラー 展開し、 @nD で偏微分してまとめる と、¥nMPT=A+aUnV+a2¥nT+a3¥nD
+bnnV¥nT+b2¥nV¥nD+b3¥nT¥nl
(7)
わかる。 2.2002 年の分析 ( 参考文献 [25]) で 1975-1999 の分析を行い 変 Ⅰ計算方法は 参考文献 [25] を参照。 肩白りが明らかになったので、 今次分析においては 1980-2000 年と期間を絞って 深化分析を行った ,表 4 倍 報化 シフト弾性 値 推定結果 を 計算したのが 図 4 であ る。 a1 a2 a3 b1 b2 b3 adj . R ・ 2.W B@@ 2.43@ 0.517@ 0.249@ -0.129@ 0.064@ -0.101@ 0.99@ 0.9 一 2.68 一 0 . 524 一 Ⅰ. 88 ( 一 Ⅰ. 56) 一 Ⅰ. 8 Ⅰ ( 一 3.48) @10@ 1.55@ -0.402@ -0.241@ -0.0820.0094@ 0.028@ 0.99@ 1.38 一 5.26( 一 Ⅰ. 33)( 一 10.25)( 一 1.92) 一 Ⅰ. 84 一 4.95
8¥nMPT@=a3+b2¥nV+b3¥nT+a¥P
机nD
+b2P¥nD+b¥P¥nT
(8)
となる。 これを推定するには、 元々の生産関数から 式展開を 行い,そこから 情報化シフト 指数弾性値を 求める。 すな ね ち、8¥nMPT
巨 p 十Z2D
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Z /, 三 Z 七 %D P 三 2/,lnrdo)3
より、 求める。 この結果をグラフにしたのが 下図のとおりで る。日本
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* ひいお㍗ 田ダぶサ Ⅰ ボ Ⅰれ田田坑木Ⅰ k** Ⅰ ⅠⅠⅠⅠがⅠⅠ ザ Ⅰ い ボブ ヰ ⅠⅠⅠⅠⅠⅠⅠ 図 3. 日米の製造技 街 限界生産性の 柑 報化 シフト指数弾性 値 推移 口 (1980-2000) 図 3 より日本は工業化社会では 非常に弾力性にとみ、 力を っ けて行ってるのが 分かるが、91
年を境にはっきりと 弾力性が 落ちているのが 分かる。 明らかに情報化への 乗り遅れであ る。 対して、 米国は堅調な 右肩上がりで、 これは情報化社会に 柔 軟に対応できていることを 示している。 この結果、 日米の順 応 性の差が分かる。 3. 時系列分析からの 予測 ここまでの分析は 今まで起きてきた 事象についてであ った が、 一番大事なのは「今後どうなるのか ? 」といった [ 予測 ] であ る。 したがって、 本研究では時系列分析を 施すことで予 測を立てることに 次なる焦点を 置く。 分析対象は日米の 製造 技術限界生産性の 情報化シフト 指数弾性値であ る。 両国の情報化シフト 指数弾性 値 推定値より、 その自己相関 図 4. 日米の前報化シフト 指数弾性 値 自己相関 (]980 り 000) . 図 4 より面子一 タは タイムラグ 4 ∼ 5 年まで正で、 且 つ 強 い相関があ ることが見てとれる。 また、 タイムラグ 4 年程度 なので長期記憶過程ではなく、 [ 短期記憶過程 山 であ る。 こ れは言わば、 情報化の進展が 極めて早く、 5 年以上前の技術は 淘汰されて行ってると 考えることが 出来る。 しかし、 両 データは明らかに 定常ではないので、 定常化す る 必要性があ る。 非定常データを 定常データに 変換するには 階差をとればよい。 本 データでは日米共に 4 回階差を取れば 定 常になる。 それを示したのが 図 5 、 図 6 の自己相関関数と 偏 自己相関であ る。 図 5 . 日米の偕 差 4 回自己相関 (1980-2000) 図 6. 日米の暗 差 4 回信自己相関 (1980-2000) 経済データは 一般的に階差は 多くとも 2 回取ればよいと 言 われているが、 本研究では 4 回と多い理由は、 それだけチータ が 複雑であ ることの裏 づけであ る。 また、 3 回階差でも定常に なっているように 見えるが、 偏 自己相関を計算すると 発散し て行ってしまう。 したがって 4 回階差を取った。 次にモデルの 同定だが、 図 5 より日本は AR(3) モデル か、 ARMA( 「・ 1 ) モデルだと想定されるが、 図 6 より 偏 自己相関係 8 9 参照, 足 ﹂ 数数 が徐々に消滅していくので、 ARMA モデルであ ると判断でき る。 同棟に考えると 米国は、 MA モデル か ARMA モデルだと想定 されるが、 自己相関が さグ 2 当たりでほぼ 消滅していること を考慮すると№
(2)
が適当だと考えられる。 これらの分析結 果が 以下の表 5 であ る。 表 5 時系列分析結果 日本 Ⅰ む め 2 の 3 ARMA Ⅰ. l) 0.8995 一 0.1704 米国 01 82 Ⅱ 4.86 ( 叩 .659) MA2) 1.l13 一 0.197 AR(3) 一 0.839 一 0.562 -0.658 (4.37) ( 一 0.78) ( 一 3.723) ( 一 l.851)( 一 2.65l) 日本AR(3)
米国
MA(2)
なっている。 8. 時系列分析に 関してはまだ 試行段階なので、 今回の分析 結果について 早計な判断を 下すのには慎重を 期す必要 があ る。 参考文献
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補足
ている事が伺えた
しかしながら , 「過去のトレンド」をべ ー スとした相関分析で w レ ・ Ⅳ 援 . 3 Ⅱ 扶 批 s ㍗, 沖 ・ ル は、 ①自己相関② 偏 自己相関 を内包しておりその 影響を考 一 つ D " 一一 う L8D " 一一 う たう """""" D 67". 五一 う Ⅰ コ " 一一 うリラ D 虚 していない また i,K,7. は D に依存しな ので 現実の対応においては、 「過去の経験」及び「現在の 直面して 生生一生生 ン 生空 ど, 0 ぅ K 8 ル う Z) う n る 上で は 、 重 回帰分析結果による「過去の 趨勢」の延長上に 、 いる状況」を
従って、
日米両国の「実態」に 踏まえて「将来の 対応」を講じることになる 即した「将来の 対応」を評価す したがって ン---=
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Ⅰ l l990 年代末のけ バ フル崩壊を象徴させるような 予測 値 が得ら と求め。 れることを用・ 屯れている所には 注目したい。 8¥aMPT@ @@,,3+hltaV@+/>3l / ・ +al3@+ft2@@@ 0@+@ftlP@@ 7
また、 日本は 200l 以降にかけて 回復の兆しが 見え始めているこ