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市民活動へ参加する個人に関する一考察 : 横浜で活動する人の事例から

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Academic year: 2021

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(1)A study on the individuals who participate in voluntary activities ━ a case study of those who act in Yokohama. 「市民活動へ参加する個人に関する一 考察─横浜で活動する人の事例から」 横浜国立大学大学院環境情報学府博士課程後期. Noriko SUZUKI. 鈴木 紀子. Post-graduate Course, Graduate School of Environment and Information Sciences, Yokohama National University. of voluntary activities in Japan and Kanagawa prefec-. 要旨 本稿では、市民活動への参加は個人の生活において. ture is reviewed and the feature of voluntary group. どのような意味を持ちどのように位置づけられている. participants is assessed based on the recent survey. のか、個人はどうして活動を継続あるいは中止するの. from various questionnaires. In Section 2,by interview-. か、ということを考察する。阪神淡路大震災以降、市. ing volunteers to those working in Yokohama, their. 民活動やNPOなどの民間非営利活動に対する期待が. personal life histories are analyzed to find out the fac-. 高まり、それを取り巻く環境が大きく変化するなか、. tors which. 社会にとっての意義ではなく、活動を支える個人にと. tinuation or suspension of voluntary activities.. っての活動の意味を探る作業は、今後の市民活動の展. Especially, the factors of continuation are analyzed in. 開を考える上で欠かせないものである。1章では、わ. the light of their personal networks, their roles in the. が国および神奈川県における市民活動の歴史的展開を. organization and their positions in daily life. Section 3. たどった上で、各種アンケート調査から明らかになっ. shows how people are involved in voluntary activities. ている現在の市民活動参加者の傾向を把握する。2章. and the participation in voluntary activities is the result. では、横浜で活動する人々を対象とした聞き取り調査. of their own choices from several options which enrich. にもとづき、市民活動への参加を促す要因、参加を継. their ownlives.. affect their decisions of participation, con-. 続あるいは中止させる要因について、パーソナル・ラ. はじめに. イフヒストリーを追いながら会話分析を行う。特に、 参加の継続をめぐる要因に関しては、ネットワーク、. ここ数年間に、市民活動やボランティア、NPO、. 団体内の役割、生活上の位置、という3点からの分析 を試みる。3章では、個人の市民活動への関わり方を. NGOなどといった言葉は、私たちにとって随分と耳. 検討し、市民活動への参加は個人の生活を豊かにする. 慣れたものになった。こうした言葉で表現される一般. いくつかの選択肢のなかから選ばれたものであること. の人々による自発的な活動は、ある時は政府、企業に. を指摘する。. 次ぐサードセクターとしての社会的役割を、そしてあ る時は教育の場における青少年の健全な育成を図るた めの一端を、また長引く景気低迷のもと新たな雇用創. SUMMARY. 出の場としての位置づけを期待されるなど、多方面か. This paper examines what meaning the participation. ら注目される存在となっている。. in voluntary activity is positioned in the personal life, and why individuals continue their voluntary activities. 本稿の目的は、「民間による営利を目的としない自. or stop them. Since the Hanshin Awaji great earth-. 発的な活動」を市民活動ととらえ、そうした活動への. quake, there have been growing expectations for non-. 参加は個人の生活においてどのような意味を持ちどの. profit sector such as voluntary groups and non-profit. ように位置づけられているのか、個人はどうして活動. organizations and the circumstances surrounding non-. を継続あるいは中止するのか、という点について検討. profit sector have changed a lot. When we think over. することである。そのため、ここでは最初に市民活動. the future of voluntary activities, it is necessary for us. の展開を概観した上で、横浜で活動する人々を対象と. to consider the meaning of voluntary activities not only. した聞き取り調査に依拠しながら、市民活動への参加. for the society but also for the individuals who partici-. を促す要因、参加を継続あるいは中止させる要因を、. pate in them. In Section 1, the historical development. パーソナル・ライフヒストリーをたどりつつ会話分析. 28. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(2) によって探り、最後に個人の市民活動への関わり方を. うのか、説明変数あるいは被説明変数として取り上げ. 検討する。年齢、性別、職業、生活史、居住地域など、. るのか、肯定的あるいは否定的な文脈で検討するのか、. 個人の属性によって市民活動への関与の仕方が多様で. という違いに応じて論点や分析手法が異なっているこ. あるほか、個人の価値観に応じて様々なライフスタイ. とがわかる。また、筆者の調べた限りでは、市民活動. ルがあることから、本稿での試みは市民活動への関わ. への参加を検討する研究が多くを占め、市民活動から. り方のほんの一例を示すに過ぎない。また、ここでの. の退出を議論するものはほとんど見られなかった。. 考察から得られたものは、ある程度の一般性を意図す. さらに、本稿における「市民活動」という言葉の定. るものではなく、個別的かつ地域的な事例に基づく一. 義と範囲を明らかにしておく。市民という言葉をめぐ. 仮説である。けれども、今後の日本社会において大き. っては西欧近代社会の文脈で付与された意味を踏まえ. な潮流となることが期待されている市民活動の展開を. て日本社会における市民とは誰かという議論があり、. 考える時、その活動を支える個人にとっての活動の意. 活動という表現をめぐっては社会運動との関連から両. 味を探る作業は欠かせないものであろう。現場から離. 者の違いを問う声があるものの、ここでは、中村陽一. れて理念的に市民活動参加者の様子を探るのではな. が述べている 1)ように、社会における様々な領域の問. く、複数の様々な事例を丹念に調査、分析、検証、修. 題への関心から個人と個人がつながり、問題の解決に. 正するという作業を積み重ねていくプロセスのなかに. 向けて自主的に取り組む活動を「市民活動」と考える. こそ、個人が各々の活動を開始し継続し発展させてい. ことにしたい。こうした活動は、「一般の人々が自発. く手がかりが見出せると考えられる。. 的に行う報酬を目的としない社会的な活動、すなわち. 民間による非営利活動を扱った先行研究についてみ. ボランタリー活動」とも換言できるだろう。また、市. ると、90 年代初めに経営学の立場から発表したドラ. 民活動への参加スタイルには、団体に所属して行うも. ッカー〔Drucker 1990〕や情報論の視点から分析した. のと団体に所属せずに単独で行うものとがあるが、実. 金子郁容の研究〔金子 1992〕が大きな影響を与える. 際には団体に所属して活動する例が多い 2) ことから、. 以前は、市民社会論や都市・地域社会論、社会運動論. 本稿においても主として市民団体活動への参加を市民. あるいは社会福祉や生涯学習の領域で論じられるか、. 活動への参加と考える。そして、サラモン〔Salamon. もしくは公益法人や生協活動、ワーカーズコレクティ. 1994〕をはじめとするNPO研究においては、公益法. ブなどの研究という形で行われるものが主であった。. 人や共益団体なども含めた幅広い範囲の民間非営利活. そうした状況に対し、95 年の阪神淡路大震災は多大. 動団体が研究対象とされているのに対し、本稿では特. な影響をもたらした。これ以降、市民活動を取り巻く. 定非営利活動法人(NPO 法人)および法人格を取得. 環境が大きく変化するとともに、市民活動に関する研. していないボランティア団体、社会への有益性が見込. 究は質的量的に大きな拡がりをみせ、現在では、政治、. まれる活動を行う任意団体を研究対象とし、趣味のサ. 経済、経営、法律、教育、情報など様々な分野からの. ークル及び宗教、社会福祉、学校、医療などの法人や. アプローチによって研究が行われ、行政や企業との協. 公益法人、各種協同組合や町内会活動などの共益団体. 働、NPO法の解釈と課題、非営利組織のマネジメン. は含めないものとする。. ト、ボランタリー経済やコミュニティビジネスなど、. 1.市民活動の展開と現状. 多くの論点が登場している。社会学の分野についてみ ると、藤井敦史は社会学者が行ったボランティア研究. (1)市民活動の展開. として、① 80 年代初めの行為論的な枠組みでとらえ たボランタリー・アソシエーション論、② 80 ∼ 90 年. 本章では市民活動をめぐる歴史的経緯や参加者の活. 代にかけて行われた福祉ボランティアに関する統計調. 動実態について確認したい。まず、市民活動の社会的. 査、③阪神淡路大震災を契機とした論点の多様化、④. 関心の高まりを検証するために、新聞で扱われた記事. 90 年代後半からのボランティアやその制度化をめぐ. 件数をみておこう。表1は、「市民活動」やそれに類. る批判的研究、という4つの流れがあることを指摘す. する言葉が新聞紙上においてどれくらい使用されてき. る〔藤井 2002〕。最近では、李妍. の日本と中国に. たかを表している。この推移から、人々による自発的. おけるボランタリー活動の事例から、ボランティアリ. な活動が生活のなかで身近に扱われる言葉となってき. ーダーの創発や役割、ボランティアコーディネイトの. たこと、社会の動きと呼応するように使われる言葉が. あり方を検討した研究〔李 2002〕が、個人にとって. 変化してきていることなどが理解できる。 こうした自発的な民間非営利活動の源流は、19 世. の意味や活動の継続の問題を考察する際に貴重なヒン トを提示している。このような先行研究をみていくと、. 紀後期の英国における慈善組織化運動やセツルメント. 自発的な民間非営利活動を個人あるいは組織として扱. 活動 3)といった地域福祉活動のなかに見出すことがで. 論文. 29.

(3) きる。ロンドンでは資本主義の展開に伴う貧困の深刻. に活動が活発化するようになった。一般的にこうした. 化を背景に、セツルメント活動がキリスト教会関係者. 背景として、家族機能や地域社会の衰退が顕著になっ. や学生、社会事業家によって行われ始めた。日本にお. たことから政府によるコミュニティ政策が推進された. いては 1881 年に岡山で米国人女性宣教師アダムスに. こと、女性の家事負担を軽減する電化製品の普及をは. よって開設された岡山博愛会における一連の社会教化. じめ、平均寿命の大幅な伸びと少産化によるライフサ. 活動がセツルメント活動の始まりとされる〔山口. イクルの変化から第三期と呼ばれる育児期終了後の期. 2001〕。もっとも、こうした人道主義、博愛主義的特. 間の長期化、女性解放運動の影響など、女性自身と女. 徴を持つ地域福祉活動が行われる以前から、日本の地. 性を取り巻く環境の変化によって主婦の社会参加活動. 域社会には地縁にもとづく相互扶助の考え方や労働を. が広がったことなどがあげられている。. 提供する「結(ゆい)」「催合(もやい)」と呼ばれる. 80 年代には、厚生省のボランティア推進施策「ボ. 慣行があり、地域の人々の生活に浸透していたとい. ラントピア事業」をはじめ、高齢化や国際化に対応す. う。. るために行政や民間による支援組織の発足が相次ぎ、. その後、戦後から 60 年代にかけては、大学生を中. 90 年代に入ると、バブル経済による財政的余裕や社. 心にセツルメント活動や福祉施設におけるボランティ. 会問題に関与する欧米企業の経営スタイルが刺激とな. ア活動が行われたものの、明治以来の公益法人制度に. り、企業の社会貢献活動が急速に広がっていった。こ. もとづき行政の監督権の強い法人が設立されたこと、. の頃の動きは「市民活動」やそれに類する言葉の新聞. 憲法 25 条(生存権保障)を拠りどころとして行政に. 記事タイトル件数にも顕著に示されており、企業の. 多くの役割期待が寄せられたことなどが要因となっ. 「社員のボランティア活動支援」や「メセナ(企業の. て、民間非営利活動団体は行政補完的な存在もしくは. 文化支援活動)」が盛んに展開され、行政との関係だ. 行政責任を追及する批判勢力と位置づけられ、一般の. けでなく企業と市民活動団体との新たな連携も数多く. 人々の活動への関心は総じて低いものであった。. 登場する。. 70 年代になると、行政の援助を受けずに民間独自. そして、95 年の阪神・淡路大震災では、多数のボ. のカンボジア難民支援活動が行われたり、公害問題を. ランティアによって民間独自の救援活動が行われ、公. 告発していた運動が次第に環境改善を求めて新しい生. 平性を重視する行政にはできない多彩なサービスを展. き方や価値観を提案する活動へと発展するなど、徐々. 開させたことから、もう1つの公共活動の担い手とし. 30. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(4) て、ボランティア中心の市民活動が広く認知、評価さ. が国において市民活動の意味が十分に定着しておら. れるようになった。その後、震災で活躍した団体の大. ず、その範囲の幅をめぐって様々な解釈が行われるこ. 半が法的根拠を持たない任意団体であったことが要因. とに起因する。そのため、以下では、本稿で意図する. となり、活動を推進する際に障壁となる公益法人制度. 市民活動団体の範囲と合致すると考えられる調査報告. の問題点が再考され、98 年に特定非営利活動促進法. を取り上げる。. が施行された。さらに 2000 年には介護保険制度も導. 全国社会福祉協議会が把握する日本全国のボランテ. 入され、福祉分野の団体が介護の担い手、事業体とし. ィアの人数は 2000 年 4 月現在で約 712 万人にのぼり、. ての活動を着実に展開させている。. 団体数は 9 万 5 千を超える(『ボランティア活動年報. かなり簡略化した記述ではあるが、現在の市民活動. 2000 年』)。これを 1980 年の数字と比べると、人数は. に連なる民間非営利活動が、時代ごとの社会的背景や. 4.4 倍、団体数は 6 倍と 20 年間で大きく増加している. 人々の意識変化、エポックメイキングとなる出来事を. ことがわかる。また『市民活動団体基本調査報告書』. 経ながら、徐々に活動の根を広げてきたことがわかる. によると、主な活動分野は「保健・医療・福祉」が. だろう。このような活動の展開の傾向は、神奈川県お. 43.1 %と最も多く、「まちづくり」11.1 %、「環境」 9.8 %、「文化・スポーツ」6.9 %、「国際協力」5.4 %. よび横浜市における動きとも重なり合う。 田中義郎によると、横浜の地域福祉活動は 1872 年. と続く。さらに、活動参加者の属性を前掲の全国社会. の児童保護施設仁慈堂に始まる〔田中 1978〕。総じて、. 福祉協議会の調査で見ると、男性 19.2 %、女性. 戦前の活動は、社会事業あるいは社会政策という性格. 80.8 %と圧倒的に女性の比率が高く、年齢は 50 代. が色濃く、行政、篤志家、宗教団体などを中心に貧. (25.0 %)、60 代(23.3 %)、40 代(12.9 %)、70 代以. 困・救貧対策として行われる傾向にあった。こうした. 上(9.8 %)、30 代(7.0 %)、10 代以下(6.1 %)、20. なかには、関東学院の学生によるセツルメント活動な. 代(4.8 %)と中高年層の参加が多い。職業の有無で は「無職」(60.2 %)、「有職」(32.2 %)となる。一. ど、現在の市民活動に通じるものも見られる。. 方、経済企画庁『平成 12 年度国民生活選好度調査』. また、戦後になると神奈川県内では、横須賀基督教 社会館(1946 年)の開設を皮切りに、日本初の赤十. では、ボランティア活動の経験者の割合は 3 人に1人. 字奉仕団「横須賀赤十字会」(1947 年)、混血児養護. (31.2 %)に達し、うち男性 56 %、女性 44 %と、男. 施設「エリザベスサンダースホーム」(1947 年)が設. 性の方が多いのに対し、総務庁『平成 8 年社会生活基. 立されるなど、社会福祉としての活動が数多く登場す. 本調査』では、過去 1 年間に「社会奉仕活動」5)をし. る。70 年代になると、住民運動や自治体のコミュニ. た人の割合は 4 人に1人(26.9 %)、30 ∼ 40 代の女. ティ政策の影響を受け、様々な自主的な任意団体の発. 性、40 代前半及び 60 代以上の男性の参加が多くなる。. 足、自治体によるボランティアセンターなどの設立が. こうした複数の調査結果をみてゆくと、全体的な傾向. 続き、80 年代に入ると、インドシナ難民の定住を支. として、男女とも若年層よりも中高年層、常勤の有職. 援する「大和定住促進センター」(1980 年)、生協活. 者よりも主婦や定年退職者などの層において参加者が. 動のなかから「ワーカーズコレクティブ第1号にんじ. 多いことが、共通点として浮かび上がってくる。. ん」(1982 年)が発足するなど、市民活動は徐々に広. 全国の実態に対し、神奈川県および横浜市の現状は. がりを見せていった。. どのようなものなのか。かながわ県民活動サポートセ. そして現在、神奈川県では、7自治体が市民活動を. ンターの調査報告書によると、2002 年1月現在、県. 支援する趣旨の条例を制定しており 、各地に市民活. 内には 6,341 の市民活動団体が存在していることが確. 動支援センターや社会福祉協議会によるボランティア. 認されている(うち横浜市は 2,850 団体)。主な活動. センターが開設されているほか、活動分野ごとに組織. 分野は、「保健・医療・福祉」(25.6 %)、「子どもの健. 4). されている公益法人や民間の中間支援組織などによる. 全育成」(8.3 %)、「文化・芸術・スポーツ」「環境保. サポート機能も存在し、幅広い領域に大小様々な市民. 全」(7.3 %)、「国際協力」(5.0 %)の順となる。こ. 活動団体が見出されるようになった。. れを全国のものと比べると、①「保健・医療・福祉」 分野が最も多いという点は共通するものの、構成比で. (2)市民活動の現状. みると両者の差は大きい、②第2位は、全国が「まち. 次に、全国、神奈川県および横浜市における市民活. づくり」神奈川が「子どもの健全育成」と違いがある. 動の現状を探る。ただ、市民活動関係のアンケート調. のに対し、3位以下は全国、神奈川とも活動分野と構. 査は、市民活動をどのように定義するかに応じて回答. 成比に違いが見られない、ということがわかる。一方、. 者が活動に参加しているか否かを判断する基準が変わ. 中心的な活動参加者の男女比では、63 %の団体で女. り、調査結果に偏りが生じるといわれる。これは、わ. 性が多く、「男性が多い」団体(20 %)、「男女比に差. 論文. 31.

(5) がない」団体(14 %)を大きく上回る。特に「保. 考えられる。前章でも見たように、市民活動の担い手. 健・医療・福祉」や「男女共同参画」の活動では女性. として、子育てが一段落して自分の時間が持てるよう. の割合が圧倒的に高く、 「環境保全」「災害救援」の活. になった主婦をはじめ、定年退職によって職場から地. 動では男性の割合が高い。さらに、中心的活動参加者. 域社会に目を向けた男性が、社会参加の場を求めて市. の世代は、50 ∼ 60 代と答えた団体が 39 %と最も多. 民活動に数多く参加する姿が浮かび上がっている。事. く、40 ∼ 50 代(24 %)、60 代以上(18 %)となるな. 例にもそうした人々は多い。. ど、40 代以上の人が中心となっている団体は全体の 8割に達する。. ―――妹の紹介で高校生の時にアメリカ人の9歳上の. 以上、全国と神奈川県を対象としたアンケート調査. 女の人と文通をしていたのよ。いちばん最初のきっか. の結果をたどっていくと、神奈川県においては比較的. けは。それで 25 年くらい前、息子が小学3年生の時. バラエティに富んだ分野の市民活動が展開されている. に横浜市の生涯学習の講座があって、それに参加した. ものの、活動の主な担い手像に関しては、活動分野に. 人達と国際交流をする会を立ち上げたの。市の教育委. 応じて男女のバラツキがあるほか、40 代以上の年齢. 員会からも何かやるように薦められていたし。<Aさ. 層に偏るなど、全国の傾向と近いことがわかる。. ん、50 代女性、立ち上げスタッフ、主婦> ――― 98 年から地域の国際協力の会で企画部の活動、. 2.市民活動参加者の声から―調査事例の検討. 広報誌の日英翻訳に携わりました。でも私は勤めてい たので参加する機会は少なかったです。今はもう大丈. 本章では、主に横浜で国際交流活動を行う団体に所. 夫ですけど。(少し間をおいて)私は子どもの頃、南. 属する経験を持つ 20 人への聞き取り調査をもとに、. 洋のパラオ諸島に2年ほど家族と住んでいたんです。. 市民活動への参加のきっかけ、活動を継続あるいは中. 当時日本の委任統治領で父は勤めのかたわら小学校の. 止する要因、活動に取り組むスタンスなどについて考. 教師をしていたのですが、私達が日本に帰った後、子. 察する。横浜は幕末の開国によって地域形成が始まり、. どもたちは爆撃でみな死んでしまって。その菩提を弔. 都市としての歴史は 150 年にも満たないものの、明治. うため父は晩年子ども会のために尽くし、民生委員や. 期の近代化政策に伴い外国人をはじめ全国各地から. 地域グループなど社会的な色々な役職について非営利. 人々が流入したほか、港や臨海部を中心とした経済活. 的な仕事を続けて亡くなりました。そんな父の影響が. 動の発展、高度成長期における東京のベッドタウン化. 私にあるのかもしれません。<Bさん、70 代男性、. などを背景に多くの転入者が生じるなど、外から移動. 参加メンバー、定年退職者>. してきた人々が多いことから、異質なものを受け入れ る開放的で先進的な土壌が培われたと言われており、. これらの声には、ライフステージが変化したことに. そうした地域特性は市民活動の基盤 ともなる。先述. よって、市民活動への参加が促された様子が示されて. の市民活動団体の活動分野をみると社会福祉系の団体. いる。Aさんのように、自分自身のライフステージと. が多数を占めるが、ここでは横浜の地域性と都市イメ. 自治体の政策が重なり合うような形で市民活動へ参加. ージおよび活動参加者の属性の多様さなどを考慮し. し始めた女性は多い。藤原千賀は、女性による市民活. て、国際交流系の活動団体とその活動参加者に注目し. 動の流れをたどるなかで「女性の第三期、第四期の過. た。調査した4団体の活動対象や活動手法は、日本人. ごし方への問いかけがウーマンリブに続く女性学のテ. の異文化理解を促すものから、地域における外国人住. ーマとなっていった。時間的にゆとりのできた主婦た. 民の生活支援を行ったり人権を守ろうとするもの、途. ちは 1970 年代に自治体の主催する女性学講座や消費. 上国の子どもを支援するものまで様々である。けれど. 者講座へ、あるいは小・中学校のPTA活動に積極的. も、活動目的が日本人と外国人の異文化理解を深め共. に参加していったのである。(中略)これらの講座や. に暮らす社会を求めている点は、おおむね共通する。. PTAでの人と人とのつながりや学習した内容がその. なお、インフォーマントの語りの記載はできる限りそ. 後の新たな女性の市民活動を展開させる原動力となっ. の人の表現を忠実に用いるように努め、語りの後に記. ている。〔藤原 1998:50〕」と、女性のライフステー. 6). ジと市民活動参加への関連を述べている。人生 80 年. したインフォーマントの属性は調査時のものを示す。. 時代を迎え、子育て終了後あるいは定年退職後(近年 (1)市民活動への参加を促すもの. はリストラの進行に伴い定年を迎えずに退職する中高 年が多いものの)から死までの長期化した時間を、ど. まず、個人の市民活動への参加を促す要因として、 参加者自身のライフステージやライフヒストリー(生. のように過ごしていくかという問題は男女に共通する. 活史) など、人生上の出来事や役割移行期の影響が. ものである。こうした問題に直面すると、個人的な関. 7). 32. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(6) 心や生活環境、家族関係やそれまでの体験などと照ら. 自分なりの社会参加の方法を探る。Cさんの「自分が. し合わせながら、自分なりの方向性を探る試みが行わ. 暮らし易くなるためには、社会が良くならないとダメ. れる。時には、社会の流れや政策的な動きが影響を与. で、だから市民活動を始めた。」という言葉は、市民. える場合もあるだろう。Bさんが在職中から少しずつ. 活動を通して個人的生活と社会のあり方を模索しよう. 自らの関心に従いながら活動を開始した背後には、N. とする彼女の活動スタンスを表している。こうしたC. PO法の施行や市民活動に対する社会的機運の高まり. さんの問題意識の持ち方は、社会にある具体的な課題. という社会環境の変化と、父親による退職後の生活モ. を解決するために市民活動という形で実行するという. デルの提示があったことがわかる。市民活動は個人の. ミクロな視点からのアプローチではなく、あるべき社. 自発性を活動の根拠としているため、入会にあたって. 会の理想像を持ち、それを実現するために活動すると. の資格や能力、条件などが厳しく問われることは少な. いう言わばマクロな視点からのアプローチと考えられ. く、再就職を目指して労働市場へ参入していく場合と. る。李妍. 比べ、間口は広く障壁は緩やかであるといえる。その. 境を検討するにあたり、「きっかけは多種多様であっ. ため、人生の転換期を迎える人々が自分のこれからの. ても、ボランタリー活動の創発の大多数は、特定の公. 過ごし方という極めて個人的な問題を考えた時、そう. 共問題への『気づき』から始まるものである。(中略). した私的な問題を解決あるいは軽減するための手段と. 公共問題への気づきとは、換言すれば、われわれが生. して、市民活動に活路を見出す人々もいよう。もちろ. 活の中で何らかの壁にぶつかった場合、それを自分個. ん、そうした個人の意識には、自分の能力を活かすと. 人の問題として認識するのか、それとも公共の問題と. は、ボランタリー活動を起こしやすい環 ・ ・ ・ ・. ・ ・ ・ ・ ・. ・ ・ ・. いう点も含め自分自身のために参加をするという意識. して、システムにその原因があると考えるのかである. だけではなく、誰かの役に立ちたい、社会に貢献した. 〔李 2002:116〕。」と述べ、市民活動のリーダーが創発. いという社会参加の意欲、日々の生活のなかで感じる. されるそもそもの土台を“公共問題への気づき”に見. 具体的な問題を自分自身の問題としてとらえ直し、そ. 出す(傍点は本文とおり)。Cさんの事例は、特定の. れを解決したいという意識もあるだろう。個人の市民. 公共問題への気づきというミクロな視点からの創発で. 活動への参加動機には、多くの場合、自分自身と社会. はなく、むしろ自分の望む社会の姿を前提にしたマク. や公共に対するまなざしがあることを忘れてはならな. ロな視点からの公共問題への気づきであり、創発であ. い。. った。おそらく、社会に対する自分なりのビジョンを 持つことも、市民活動に結びつく要因といえるだろ う。. ―――子どもの頃、ロサンジェルスに住んでいて、異 なる人種が周りにいるのが当たり前だった。国際交流. 一方、このほかにも、仕事や学校、地域での出会い. の活動をするのは、異文化を身近に置いておきたいと. によって参加が促される場合がある。ライフステージ. いう思いがあるから。子どもの頃のアメリカは、異文. の変化や生まれ育った生活場面での体験や家族の影響. 化との共生を政府が探っていた時代(70 年代)で…。. などが、個人の背景にある人生上のきっかけであり、. 日本がこれから嫌な方向に向かうのが嫌だから国際交. 自分自身や社会あるいは公共に対する気づきが、問題. 流をやっているのだと思う。(社会貢献について尋ね. 意識にもとづくきっかけであるとするならば、こうし. ると)母が点訳ボランティアをやっていたこともあっ. た仕事や学校、地域における出会いは、具体的な行動. て、社会貢献をするのは自然なことだと感じている。. としてのきっかけであり、それは個人の参加に直接働. ただ、以前は忙しい職場にいたので社会参加は難しか. きかけてくるものである。. ったけど、結婚して横浜に来てからは、子どもを育て ながら、国際交流の活動グループや外国人と一緒に子. ―――前から仕事を通して、アジアの文化的なものに. 育てサークルを立ち上げたの。<Cさん、30 代女性、. ひかれていたんだ。ちょうどそんな時に、近所でアジア. 元立ち上げスタッフ、主婦>. の 勉 強 会 を や って い ることが 神 奈 川 新 聞 に 出 て い て。<Dさん、40 代男性、元運営スタッフ、会社員>. Cさんの場合、転居や出産によって第一期(自分の. ―――大学のゼミで留学生と一緒に異文化理解の講座. 成長・教育期)から第二期(出産・育児期)へライフ. を開いたことが最初のきっかけ。それが今まで続いて. ステージが変化したことが、市民活動への参加の引き. いる。<Eさん、30 代女性、立ち上げスタッフ/参. 金となった。時期の違いこそあれ、ライフステージの. 加メンバー、主婦>. 変化という点では先の例と同様である。また、Cさん. ―――産貿センターにあるYOKE(横浜市国際交流. の意識には、母親の存在や成長過程における異文化体. 協会)に寄ったら、たまたま、そこのスタッフの人に. 験が深く刻まれており、これらを下敷きにして彼女は. このグループのことを紹介されて。<Fさん、20 代. 論文. 33.

(7) ティアの魅力を情報論、ネットワーク論の考え方(蓄. 女性、参加メンバー、主婦>. えられているだけでは力を発揮しない。やりとりを交 一見すると、参加に至るきっかけは個別的であり多. わす過程の中ではじめて、情報に意味がつけられ、価. 様性に富むものと映るけれども、そのなかには 2 つの. 値が発見され、新しい解釈―ものの新たなる理解や新. 共通点があると考えられる。第一は、個人の自由な意. しいやり方―が生まれる〔金子 1992:122〕)と重ねる。. 思に基づく自発性、すなわち市民活動の前提である。. 市民活動参加者の声にも、市民活動へ参加することに. 第二は、働きかけという作用が機能していることであ. より獲得された新たなつながりを評価するものは多. る。Dさんの場合、新聞で勉強会のことを知ったとし. い。. ても、そこで問い合わせをするという彼自身の強い自 発性と働きかけが存在しなければ、市民活動への参加. ―――(市民活動で)得られたものっていうのは、会. にはつながらなかっただろう。Eさん、Fさんの場合. 社関係ではない人たちとか、考え方とか。企業戦士っ. も、大学のゼミやボランティアコーディネーターが市. ていう言葉があるけど、厳しいですよね。会社の仕事. 民活動への参加を促す働きかけをしたとしても、その. 一途っていうの。しょうがないと思うんですけど。だ. 後の参加は彼女たち自身の自発性に依拠するからであ. から今(定年退職して)、ああいう関わりがあったっ. る。事例を見ていくと、さらに働きかけには、自分か. ていうの、とても有難いというか、良かったなって思. らの働きかけと他者あるいは環境による働きかけとい. いますよ。<Gさん、60 代男性、運営スタッフ/参. う2つのパターンがあることがわかる。本稿は働きか. 加メンバー、定年退職者>. けのパターンの多寡や類型化 の検討を試みるもので. ―――自分の視野が広がったり、世代や仕事を超えて. はないが、自分から参加を働きかける場合には、外部. 色々な人と知り合えたし。横の関係が面白いかな。共. からの働きかけがある場合以上に、強い自発性や深い. 通の関心で集まっているから、会社とは違って本当の. 8). 活動境域への関心が見込まれ、好奇心や積極性、コミ. 自分を出せる…。<Hさん、20 代女性、参加メンバ. ュニケーション能力などの個人的資質も必要になると. ー、会社員>. 推察される。おそらく実際のきっかけとしては、自ら. ―――活動を続けているとどんどんその輪が広がって. の働きかけと他者あるいは環境によってもたらされる. いくから、これまで幾つものグループに参加してきた. 外部からの働きかけが、相互に関連し合いつつ、参加. けど、だんだん気持ちが離れて辞めたところもあれば. が促されるケースが多いのではないだろうか。. 居心地が良くてずっと続いているところもあるわね。 家からの距離や家族の理解の問題もあったし。<前出. 以上のことから、市民活動への参加を促す要因には、. Aさん>. 異なる側面のきっかけが存在していることがわかる。 自分の生き方や社会のあり方を自問自答するプロセス のなかから生じた内発的なきっかけと、個人を取り巻. これまでも数多く指摘されているように、個人にと. く内外からの働きかけという具体的な行動を伴うきっ. っては、活動内容への関心や共感などとともに、市民. かけである。こうした性質の異なるきっかけが、様々. 活動を通して得られる新たな人と人とのつながりが新. な形で個人に影響を与え、個人と市民活動とを結び付. 鮮で魅力的なものに映り、市民活動の面白さを実感さ. けていると考えられる。. せてくれる。会社や学校、家庭、居住地域などにもと づいて形成される人間関係の場合、年齢、性別、価値. (2)市民活動への参加を継続させるもの、中止させ. 観、ライフスタイルなど、自分と近い層の人が多くな. るもの. る傾向にあるのに対して、市民活動を通して知り合う. 次に、市民活動に参加している人が活動を続ける要. 人々はまさに多様である。また、職場における関係の. 因と、活動を辞める要因について検討する。分析にあ. ように、職務上の上下関係や立場上の利害関係などに. たっては、①市民活動を通して獲得されるネットワー. よって、一個人として自由に発言し行動することが制. クの効用、②市民活動団体における個人の役割、③個. 限されることは少ない。それは、Gさん、Hさんの語. 人の生活における市民活動の位置、という3つの観点. りにも表現されていた。金子が、相手と自分との関係. から考察する。. を「平面で切り取るのではなく、すべての可能性を潜 在的に含んでいる“球体として”〔金子 1992:118〕」と. 1)ネットワークの効用. 表現するように、市民活動における関係は、ネットワ. 金子郁容は、「助けるつもりが助けられ、個人の力. ークという縦横無尽に張り巡らせることが可能な関係. が及ぶ範囲はきわめて小さいはずなのに意外な展開が. 性のなかで結ばれ、参加者個人の生活に豊かな広がり. 豊かな結果をもたらす〔金子 1992:3〕。」と、ボラン. を与える。 ただその一方、Aさんの「気持ちが離れ. 34. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(8) て辞めたところもあれば居心地が良くて続いていると. 参加者が組織の活動目標すなわち使命を理解し、それ. ころもある」という言葉にもあるように、そうしたネ. を達成するために互いの意思を確認する作業とその機. ットワークは極めて緩やかな結びつきである場合も多. 会を作り出していくことが求められる。個人間の親密. く、たとえ、そのネットワークが強固なものであって. なコミュニケーションを頼りに組織と活動を維持する. も、必ずしもそれが活動の停止を防ぐとは限らない。. だけではなく、組織としての活動目標を明確にして、. さらに、市民活動におけるネットワークについて言. それを達成するためのより良いコミュニケーションや. えば、「場」の問題も生じる。新たな関係を築こうと. 運営のあり方を構築することが、組織にとっても必要. すると、そこには何らかの「場」が必要とされるから. となろう。. である。果たして、どこを拠りどころにして、何を媒. NPOマネジメント論では、少数の有給専従スタッ. 介にして、他者との関係性を築いているのか。調査対. フとボランティアによる組織モデルが提示されるが、. 象となった国際交流関係の団体では、その答えは主に. 日本の市民活動団体の多くは、活動の企画運営に携わ. 地域社会の中と電子ネットワーク上に見出せた。たと. るスタッフと活動やイベントの時に参加もしくは補助. えば、市民活動支援センターの会議室、団体の事務所、. するメンバーによって、組織が構成されている。スタ. バザーやイベントの会場、日本語教室、近所の公園や. ッフは組織の中核的な役割を果たす存在であり、活動. 飲食店など、地域の多様な空間を活動場所にして、顔. の実務的な作業を行うとともに、メンバーが活動する. の見える関係が築かれていた。また、インターネット. 場を作り出す役目も担うことから、自己責任において. や電子メールを市民活動で活用することによって、従. 活動するメンバーに比べ、活動に費やす時間や労力は. 来とは異なるスタイルのつながりを創出する「場」が. 必然的に多くなる。また、日本の市民活動団体の財政. 生み出されている。市民活動団体内のデジタルデバイ. 規模 9)からすると、多くのスタッフは無償のボランテ. ドの問題は残るものの、電子ネットワークでつながる. ィアであり、たとえ有償専従スタッフであったとして. ことによって相互のコミュニケーションが円滑になる. も、その報酬は企業勤めの場合と比べ低水準になる傾. ため、活動場所に行かれない、時間がないなどの理由. 向が強い。そうした状況にもかかわらず、調査におい. で市民活動への参加が困難になっている参加者に対し. ては活動内容とともに企画運営の面白さを指摘するス. ても、参加の「場」を創出することになる。電子ネッ. タッフの声がよく聞かれ、スタッフの団体や活動内容. トワーク上の「場」は、市民活動参加者に活動中止を. に対する愛着と責任は、メンバーに比べ総じて強いも. 留保させたり、活動を再開させる可能性を生みだすも. のであった。また、メンバーからは、個人的関心、活. のともなろう。. 動目的への共感、人間関係の広がりのおもしろさ、団 体への愛着などを表す言葉が聞かれた。ただ、その一. 2)市民活動団体における個人の役割. 方では、活動に対するプラスの評価とともに、意欲が. 米国におけるNPOマネジメントの視座を日本にも. 低下傾向にあることを吐露する声もあった。. たらしたのは、ドラッカーの『非営利組織の経営』 (日本語訳 1991 年)であり、日本におけるNPOマネ. ―――続けているというより、辞めていないと言った. ジメント論は、この本の影響を何らかの形で受けてい. 方がよいのかも。以前は設立時からの中心スタッフが. る。このなかでドラッカーが重視するのは、使命. 抜けたこともあり、私ががんばろうと思う気持ちが強. (mission)である。使命とは、NPOが活動していく. かったけど、今では少し(団体を)変わってもよいか. 際に根幹となる組織目標であり、利益の最大化ではな. なという気持ちもありますよ。今は仕事に慣れてダラ. く社会的・公共的目標の達成を目指すNPOにとって. ダラしているから、続いているような気がします。<. は、使命が活動の目標となる。もちろん、小規模な日. Iさん、30 代女性、有償専従スタッフ>. 本の市民活動団体の組織運営を、組織や事業規模の異. ―――自分達が立ち上げた会だし、無くなっちゃうの. なる米国のNPOマネジメントに安易に当てはめるこ. は寂しいから(活動を続けている)。また時間ができ. とは妥当ではないけれども、市民活動を展開させてい. ればもっと参加したいと思う。ただ、最近では参加す. く上で、個人のなかに使命という考え方を定着させて. る意義を見出しているのかわからない。参加者として. いくことは重要である。藤井敦史が、日本の市民活動. 話を聞いているだけだとつまらないし。何とか工夫で. 団体の現状を踏まえつつ、「事業経営以前の課題とし. きたらいいなと思うし。<前出 Eさん>. て、まずは組織運営のあり方、すなわち問題意識の共 有や合意形成といったコミュニケーションの課題に焦. 市民活動団体におけるスタッフとメンバーという役. 点を置いたNPOマネジメントが必要になる〔藤井. 割は固定的なものではなく、各々の都合や時間の経過. 1999:217〕」と問題提起するように、各々の市民活動. などにより変化する流動性の高いものである。また、. 論文. 35.

(9) 個人の参加意識や市民活動団体の目指すべき方向も、. いはその時々の様々な事情は、団体間の参加の優先度. 時間や社会の移り変わりとともに変化する。大学卒業. に差異をもたらす。また、複属に限らず、団体内の役. 直後からNGOスタッフとしてキャリアを積むIさん. 割によってあるいはスタッフを経験することによって. の場合、「ダラダラしているから続いている」と言い. 顕在化した団体内の人間関係や力関係などの問題によ. ながらも、彼女からは活動と団体に対する責任感が強. り、何らかの選択が行われる場合もでてこよう。. く感じられた。その一方、活動内容や職務への慣れと ともに、団体内においてスタッフの世代交代や活動ス. ―――そもそもこの会は体質として、一般的な社会と. タイルの転換があったことにより、彼女の活動へのモ. 同じ位あるいはそれ以上に縦社会・男社会・日本人社. チベーションは以前よりも下がっていることがわか. 会だから。それが変わらないことにはね。そうした. る。自分の意思にもとづいてNGOスタッフの職に就. (会の)体質のために私同様、会を去っていった人は. き、生活時間の多くを有償専従スタッフとして過ごす. 何人もいる…。<Kさん、20 代女性、元運営スタッ. 場合においても、活動への意欲は常に一定ではなく、. フ、学生>. 様々な影響を受けながら揺れ動くものであることが推 3)個人の生活における市民活動の位置. 察される。Eさんは、資格取得のための勉強を始めた ために長年担当したスタッフを降り、メンバーとして. 市民活動と個人の生活との関係を見ると、個人によ. 参加している。現在の自分の役割に物足りなさを感じ. って様々な参加スタイルがあり、それに応じて市民活. ながらも、団体に対する愛着と活動内容に対する関心. 動との距離のとり方が異なることがわかる。有償専従. が、多忙な彼女を団体につなぎ留める。このように、. スタッフという職業として携わる場合と、生活の糧を. スタッフなのかメンバーなのかという組織における役. 得る手段が市民活動とは別のところで確保される場合. 割の違いが、個人の参加意識に何らかの影響を及ぼす。. とでは、当然、市民活動の位置づけと性質は異なる。. 李妍. は、初期は一参加者として活動に参加してい. また、生活の大部分を市民活動に費やし、それを生き. ても責任を担う立場の役に選ばれたことがきっかけと. がいに感じている人と、仕事や育児などの合間に参加. なり、活動の流れを新たに作り出す創発型リーダーが. している人とでは、市民活動の重みは異なり、後者で. 生まれる事例を挙げている〔李 2002〕が、Eさんの. は優先度やバランスの問題も生じる。市民活動団体へ. ようにスタッフからメンバーへ役割が変わることによ. の参加を停止もしくは中止させた事例をみていこう。. って参加意識が低下するという例は、李の研究の逆パ ターンといえる。さらに、複数の団体に所属する個人. ―――(活動)場所が遠く、忙しくて時間もないから. の場合、スタッフとメンバーという二つの役割を団体. です。他の予定とぶつかっちゃうこともあったし。活. によって使い分けることも少なくない。. 動内容に不満がある訳ではないです。ただ、会の設立 当初と現在では活動の趣旨も少しずつ変わってきてい. ―――別のグループの代表もしていて、その方が忙し. るし、自分が会に対して求めるものも時間とともに変. くなったから、物理的にこちらの活動はできなくなっ. わってきています。時間があれば、また参加したいで. て。<Jさん、50 代男性、元運営スタッフ、非営利. す。会費がちょっと負担になるけど。<Lさん、20. 団体職員>. 代男性、参加メンバー、学生>. ―――(スタッフを辞めたのは)マンネリになっちゃ. ―――家庭の事情が(辞めた)理由であり、嫌になっ. って。私も 10 年一区切りという気持ちもあったもの. て辞めたのではないから。私自身の問題であって、プ. だから。企画もマンネリになっちゃったし。私の発言. ライオリティをつけないと。折り合いをつける必要が. に皆さん、遠慮があって、私が反対するとそれでみん. あるんだよ。自分の性格を考えると中途半端な形では. なつぶれちゃう雰囲気があったというか。老害になる. やりたくなかったし。将来的には再開してもいいと思. なら、いっそ(スタッフが)若返りをした方が良いし、. うけど。<前出 Dさん>. 私も他のグループでやりたいことがあったから。<前. ―――仕事が増えて忙しくなったから。会に対するも. 出 Gさん>. の(不満や違和感)はない。市民活動に求めていたも のが翻訳の仕事に形を変えたってこと。まあ、子育て. スタッフとメンバーでは、活動に費やされる時間や. サークルだと、子どもが大きくなって会の性格とズレ. 労力のほか、意欲や責任の重さも異なってくるため、. を感じる部分もあったけど。辞めてからも会員とのパ. 複属の際には、団体における役割を変え団体間でバラ. イプはつながっているし、会員でなくても国際交流は. ンスをとることによって、各々の団体への参加が可能. できるし、形にこだわらずやればいいのかな、という. になるだろう。ただ、団体間における役割の違いある. 思いもあったから。<前出 Cさん>. 36. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(10) こうした個人の市民活動への参加をめぐる状況は、 Lさんの場合、当初から横浜での市民活動を生活の. 社会や他者の問題に対する個人の意識、市民活動団体. 中心にはしておらず、時折参加して旧知の人々と交流. の活動目標すなわち使命への共感や団体に対する愛着. したり自分自身の関心に触れる場としているため、必. など市民活動団体との関係、生活基盤において市民活. 然的に参加の優先度は低い。また、Cさん、Dさんは、. 動に参加可能な環境をどの程度確保できるかという個. 市民活動を職場や家庭以外の自分の居場所と位置づ. 人の生活環境、という3つの軸によって規定できる。. け、スタッフとして意欲的に活動していたにもかかわ. 図は、団体に所属せず単独で行う活動もあることを考. らず、家族や仕事の状況が変化したために参加を中止. 慮しながら、個人の市民活動への参加不参加の関係を. した。これらに共通するのは、市民活動以外の主たる. 示したものである。図中のX軸は個人の意識を意味し. 活動があり、市民活動団体への参加は副次的な活動と. ており、市民活動へ参加することに意義を感じている. みなされる点である。それゆえに、主たる活動への注. のか(+方向)、いないのか(−方向)ということを. 力が要請されると、副次的活動への参加は後退させざ. 表す。一方、Y軸は、個人と市民活動団体との関係が. るを得ない。またそうした状況には、土屋葉が企業人. 親和的であるのか(+)否か(−)を表し、Z軸は、個. と主婦のボランティア活動の違いを「レジャーとして. 人において市民活動へ参加できる生活環境が整ってい. のボランティア、生活すべてがボランティア」〔土屋. るか(+)否か(−)を表している。斜線で図示した. 1996〕と表現するように、個人の生活における本業と. 範囲(+X、+Y、+Z)は市民活動へ参加している. 趣味、あるいはペイドワークとアンペイドワークとい. 状態―――社会あるいは自分自身のためになると感じ. った側面が存在する。ただ、Cさんの「市民活動に求. る、特定の市民活動団体の使命に共感して個人と組織. めていたものが翻訳の仕事に形を変えた」という言葉. との関係が親和的である、市民活動へ参加できる生活. には、自分の理想とする社会のあり方を求めて自らの. 環境にある―――を指す。団体に所属しないで単独で. 社会参加のスタイルを模索する意思が込められてお. 市民活動を行う時は、(+X、−Y、+Z)となる。. り、市民活動が必ずしも仕事に次ぐ位置にあるという わけではなかった。個人の生活に占める市民活動の位 置は、個人差があるものの、結局はその人の属性や参 加を可能にする生活環境といった個人の生活基盤と、 個人が自分自身のなかで市民活動への参加をどのよう に受けとめているかという意識に強く依存すると考え られる。. 3.選択肢としての市民活動 最後に、前章での分析を踏まえつつ、個人と市民活 動との関わりを、参加者と参加中止者の立場から検討 する。活動の開始にあたっては、個人の生き方をはじ め社会や公共へのまなざしが内発的なきっかけとな り、内外からの働きかけに応じて活動が促された。活. 結局のところ、個人の自発性を拠りどころとする市. 動の展開にあたっては、ネットワークの効用や組織に. 民活動においては、その参加不参加を決める判断は個. おける役割や関係など活動にもとづく要因と、居住地. 人に委ねられ、それは活動の継続に際しても同様であ. 域、時間の有無、家族の理解、仕事とのバランスなど. る。そうした個人が下す判断は、個人にとっての価値. 参加者個人の生活基盤にもとづく要因が大きく作用し. により決まる。自分にとって何が大切なのか、何を選. た。また、意識についてみると、市民活動に参加する. び何を選ばないのか、ということを決める価値判断は、. ことで社会貢献や自己実現の欲求を満たせられると感. それまでの個人の経験に応じて内生的に形成されるも. じる時、すなわち参加の意義が見出せられる時には、. のであり、その人独自の価値基準にもとづいて数々の. 参加が選択され活動が継続されるのに対して、意義が. 選択がなされる。事例でも確認できたように、個人の. 見出せられなくなったり 、意識のなかで別の事柄が. 意識や参加環境によって各々の市民活動への取り組み. 大きな比重を占めるようになった時には、それまでの. 方が異なるとすれば、個人にとっての市民活動の意味. 市民活動への参加意欲は減退し活動にブレーキがかか. も、当然、個人によって異なってくる。すなわち、個. る。. 人にとっての市民活動の意味を探ることは、その人の. 10). 論文. 37.

(11) 見解をふまえて、市民活動への参加が「人間開発」に. 価値観を問う試みにつながるだろう。 おそらく市民活動団体に参加する個人にとって、参. つながると即座に結論づけることは早計かもしれない. 加行為自体は自らの抱く様々な思いを表現し実現する. が、個人の意思によって行われる市民活動は、職場や. ための手段の1つであり、目的ではないだろう。また、. 学校、家庭、地域社会における立場や役割期待から解. 有償スタッフを除けば、日々の生活の糧を得るために. 放された個人として参加するものであり、日常的な生. 行う行為でもない。それは、個人の価値観に従って、. 活世界とは異なるスタイルで社会に参加する場となっ. その人の人生を豊かにするいくつかの選択肢のなかか. ている。いうなれば、こうした市民活動への参加は、. ら自由に選びとられたものである。それゆえ、市民活. 個人としての生き方の幅を広げ、生活を豊かにする一. 動よりも別のことに時間とエネルギーを使いたい人、. つの選択肢と考えられるのではないだろうか。. あるいは社会や他人のお世話をするよりも自分の生活. むすびにかえて. を楽しみたいと考える人々にとっては、市民活動は選 択の対象とはなりにくい。また、たとえ市民活動への 参加が選択されたとしても、参加環境に支障が生じた. 経済的な豊かさから心の豊かさや自分らしい生き方. り、活動に対する個人の意識が変化すると、市民活動. を求める方向へ、私たちの志向が変化しつつあること. からの退出が起こる可能性も少なくない。. が言われはじめたのは、かなり以前のことであった。. このように、人に焦点をあてた議論に関連するもの. おそらく、市民活動やボランティアといった非営利活. として、A.センの研究がある。福祉の経済学を研究. 動に関心が集まるようになったのは、人々の根底にあ. 領域とするセンは、「機能充足」(人がなしうること、. った志向の変化が、社会環境の変化を経験するなかで. 人がなりうるもの)と、「潜在能力」(個人の選択可能. 徐々に表出してきた結果と考えられる。本稿は、サン. な機能充足の組み合わせ集合、いわば生き方の幅)と. プル数が少なく、限られた地域を対象とする聞き取り. いう概念を用いながら、快楽や欲望充足(効用)とは. 調査から導かれた実証分析であり、ここでの議論は個. 区別される意味において、生き方の幅の豊かさに注目. 人にとっての市民活動の意味を探る試みのごく一部に. する。彼のアプローチは、「ある人のために何をして. しか過ぎないが、数量的調査からは見えにくい個人の. あげられるか」(What can be done for the person?). 活動の姿の一端を映し出すことになれば幸いである。. ではなく、「当人に何ができるのか」(What can the. 今後の課題として、先行研究として李妍. が行っ. person do?)という点に注目しつつ、人間の存在に焦. た個人主義の検討をはじめ、市民活動の歴史の中に登. 点を当てる。そして、この考え方のもとで、人間開発. 場する先駆者たちの研究、市民活動団体と個人の関係. 理論が国連開発計画(UNDP)によって提起されてき. を探る組織論の研究、あるいは、さらなる筆者のフィ. た。人間が生きる上での選択肢を広げるという「人間. ールドワークとともに市民活動経験者への聞き取り調. 開発」の考え方は、「社会開発」、「経済開発」に連な. 査の蓄積などがあげられる。また、人という点に注目. る考え方であるものの、途上国の開発にのみ適用され. すれば、人間開発理論やその理論的根拠となるセンの. るものではない。「友人をもてなす能力、会いたいと. 社会的選択理論、鶴見和子の内発的発展論などの研究. 思う人の近くにいる能力、コミュニティ生活において. も不可欠であろう。今後、市民活動参加者に関する研. 役割を果たす能力などは、アメリカやイギリスのよう. 究が深化することによって、市民活動が参加者にとっ. な豊かな国においてすら個人間で大いに異なりうる。. てより身近なものとなり、充実感を持てるライフスタ. (中略)豊かな国でも人々の間に多大な差異が含まれ. イルが築かれていくことを期待したい。最後に、立ち. る機能が多くあり、査定と評価の問題を提起している. 入った質問にもかかわらず、筆者のインタビューに答. 〔Sen 1985:66〕」とセンが指摘するように、個人の社. えて下さった市民活動経験者の方々に感謝を申し上げ. 会参加は人間開発を達成するための重要な手段の一つ. ます。. であると考えられよう。もちろん、そのようなセンの. 38. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

(12) [注]. 年 10 月)、平塚市(2003 年 1 月)。市民活動の支援. 1)中村は“それまでたとえば「市民運動」と呼ばれて. センターを設置する条例を策定しているのは、神奈. きたような範囲にとどまる現象ではなく、人と人と. 川県(1996 年)と鎌倉市(1998 年3月)。. の「知縁」的なつながりをもとにした自律的・分権. 5)ここでいう社会的活動は、個人で行う活動を含める. 的なネットワーク型社会に向かいうる動きを、(中. とともに、過去 1 年間に活動したものの現在は活動. 略)「生活の場からの『地殻変動』」の始まりととら. を中止している人を含む。. え 、 こ れ を 「 新 し い 市 民 活 動 」” と 呼 ぶ 。〔 中 村. 6)複数の統計調査において大都市では社会的活動に参. 1996〕. 加する人の割合が低いことが示されているが、これ. 2)『ボランティア活動年報 2000 年』によると、団体. は都市人口に占める比率であり、必ずしも社会的活. に所属して活動する人 6,758,381 人(構成比. 動を行う人が少ないことを示すものではない。むし. 94.9 %)、個人で活動する人 362,569 人(同 5.1%). ろ、活動者の数から都市ごとの活動規模が推察でき. となり、団体に所属して活動する場合が圧倒的に多. る。総務庁『社会生活基本調査』の県庁所在地別の. い。. 行動者数によると、横浜市は東京 23 区に次ぎ全国. 3)慈善組織化運動とは、慈善組織協会が個別無差別的. で 2 番目に多い。. に行われていた貧困者への救済活動を組織化して合. 7)ここでは、ライフステージを「個人または家族の一. 理的に行おうとする運動。セツルメント活動とは、. 生を持続的規則的変化(発達)過程としてとらえ、. 貧困者の救済と教育を目指した社会事業・共助的学. いくつかの身体的性格的特性や生活行動パターンに. 習活動。最初のセツルメント活動は、ロンドンのト. 応じて識別される期間および段階」と、ライフヒス. インビー・ホール(Toynbee Hall 1855 年開設)に. トリー(生活史)を「現在にいたるまでに個人がた. おけるもの。日本にも、キリスト教的社会改良家の. どってきた経歴」と考える。. 片山潜が 1897(明治 30)年に東京・神田のキング. 8)『国際文化都市ヨコハマの再生に関する調査報告書』. スレー館で行った活動、東京帝国大学の学生が. において広田康生らの調査グループは、「類型化を. 1924(大正 13)年から東京・本所の柳島で行った. 目的としたものではない」と記した上で、国際交流. 東京帝大セツルメント活動などがあったほか、1949. 活動参加者の典型的な参加要因の傾向を、①自分や. (昭和 24)年頃から全国各地で学生セツルメント活. 家族の海外滞在経験、②地域や職場などでの異文化. 動が行われた。第一次世界大戦以降、隣保事業と称. 体験、③自らの問題意識と外国人問題との結節、④. され、現在ではセツルメントと呼ばれる。. 自己実現欲求が自治体などの施策により表出、とい. 4)市民活動を支援する趣旨の条例が施行されている県. う4つに分けている。. 内自治体は、横浜市(2000 年7月)、大和市(2000. 9)『市民活動団体等基本調査報告書』によると、財政. 年7月)、横須賀市(2001 年7月)、藤沢市(2001. 規模は年間 30 万円未満の団体が半数を占め、会員. 論文. 39.

(13) 数 50 人未満の団体が6割を占める。有償専従スタ. 藤井敦史,2002,「社会学者はボランティアをどのよ. ッフを有する市民活動団体は、常勤非常勤を含め. うに語ってきたのか?」『ボランティア活動研究』大. 23 %。. 阪ボランティア協会,11:13-28. ――――,1999,「NPO マネジメント論の流れとその. 10)『国民生活選好度調査』によると、市民活動経験. 課題」『日本のNPO 2000』日本評論社,212-219.. 者のうち今後活動に参加したくないと答える人は. 藤原千賀,1998,『事例にみる女性の市民活動と生活』. 「生きがいを見つけられたこと」、「時間を有意義に. 弘学出版.. 過ごせたこと」に対する不満度が高い。. 矢澤澄子編,1993,『都市と女性の社会学―性役割の [文献]. 揺らぎを越えて』サイエンス社.. 天野正子,1979,『第三期の女性』学文社.. 山岡義典編,1997,『NPO 基礎講座』ぎょうせい.. 伊藤裕夫,1998,「個人からみた市民活動」『ESP』. 山口稔,2001,「地域福祉の歴史」『コミュニティとソ ーシャルワーク』有斐閣,44-68.. (社)経済企画協会,8:32-35. 小沢朗・重内博美・竹前大,1999,「市民活動先進地. 李妍. ,2002,『ボランタリー活動の成立と展開』ミ. 域としての横浜の課題」『調査季報』横浜市企画局,. ネルヴァ書房.. 137:52-57.. かながわ県民活動サポートセンター,1999,『かなが. 金子郁容,1992,『ボランティア もうひとつの情報. わ県民活動サポートセンター事業報告書(1998 年. 社会』岩波書店.. 度)』.. 川本隆史,1995,『現代倫理学の冒険』創文社.. ――――,2002,『神奈川県内のボランタリー活動の. 佐伯啓思,1997,『「市民」とは誰か』PHP 研究所.. 実態と行政との協働に関する調査報告書』 .. 阪本公美子,1997,「人間開発と社会開発」西川潤編. 経済企画庁国民生活局,2000,『国民生活選好度調査 (平成 12 年度)−ボランティアと国民生活−』 .. 『社会開発』有斐閣,113-136. Salamon, Lester M.,Anheier, Helmut K., 1994,The. ――――,2000,『国民生活白書(平成 12 年度版)』.. Emerging Sector,The Johns Hopkins University,. ――――,1998,『市民の目で見た市民活動』 .. Maryland,USA.(=今田忠監訳,1996,『台頭する非. 国連開発計画,1995,『UNDP 人間開発報告書 ジェン. 営利セクター』ダイヤモンド社. ). ダーと人間開発』国際協力出版会.. Sen, Amartya, 1985,Commodities and Capabilities,. 全国社会福祉協議会全国ボランティア活動振興センタ. Elsevier Science Publishers.(= 鈴村興太郎訳,1988,. ー,2001,『ボランティア活動年報 2000 年』. 総務庁,1998,『平成 8 年社会生活基本調査報告』 .. 『福祉の経済学―財と潜在能力』岩波書店. ) ――――,1970,Collective Choice and Social Welfare,. 第 10 回全国ボランティアフェスティバルかながわ実. Holden-Day Inc.(= 岩井淳訳,2000,「価値と選択」. 行委員会,2001,『かながわのボランティアは今』 .. 志田基与師監訳『集合的選択と社会的厚生』勁草書房,. 内閣府国民生活局,2001,『市民活動団体等基本調査. 71-86.). 報告書』.. 田中義郎,1978,『横浜社会事業風土記』(財)神奈川. 横浜市海外交流協会,1996,『国際文化都市ヨコハマ. 新聞厚生文化事業団.. の再生に関する調査報告書―横浜市における異文化ネ. 土屋葉,1996,「レジャーとしてのボランティア,生. ットワークの形成』.. 活すべてがボランティア」『1994 年度社会調査実習報 告書』千葉大学文学部行動科学学科社会学研究室, 136-160. Drucker, Peter. F.,1990,Managing the Nonprofit Organization,Harper Collins Publishers.(=上田惇 生・田代正美訳,1991,『非営利組織の経営―原理と 実践』ダイヤモンド社.) 中野卓・桜井厚編,1995,『ライフヒストリーの社会 学』弘文堂. 中村陽一,1996,「都市の生活者ネットワーク」『都市 と都市化の社会学』岩波書店,75-90. ――――,1999,「「市民活動」の登場と展開」『日本 の NPO 2000』日本評論社,31-39.. 40. 市民活動へ参加する個人に関する一考察 ━横浜で活動する人の事例から(鈴木).

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