社
会
系
教
科
教
育
学
会
『社
会
系
教
科
教
育
学
研
究
』
第24
号 2012
(pp.51-60)
グロ
ーバルヒストリーとしてのWorld History for Us A11
のカリキュラム構成
−
トランスナシ
ョナルで
トランスカルチュラルな歴史学習への可能性−
Studying
“World History for Us All Proj
Potential
0
f Learning Transnational and Transcultural History
ect
”
丘om the Perspective of Global History:
1
は
じめに
グ
ロ
ーバ
リゼー
ションが急速に進行する中で
,
グ
ロ
ーバル
ヒス
トリー
ヘの関心が高まっている
。
そ
して
,それは歴史教育の枠組み
の変更も迫って
いる
。とりわ
け,科
目と
しての匚
世界
史」は
これ
か
らどのように変われ
ば良いのだ
ろうか
。
アメリカの歴史家
R.
ダン(Ross E.
D
u
n
n)は
,
アメ
リカの世界史の教育カリキ
ュラムが
,西洋文
明の重要
さを強調
してアメリカ人としての誇りを
育てようとする匚
西洋遺産モデル
(t
h
e Western
Heritage Model)
」から,多文化主義の立場を反
映した匚
多文化モデル(the Different Cultures
Model)
」へ,そ
して現在は,文化的にはニュー
トラル
の進行に対応
な立場
しようとしている匚
を維持
しつつグ
ロ
ーバ
変化の様相モデ
リゼー
シ
ョン
ル
(the Patterns of Change Model)
」の模索へ
と
変遷
していると指摘
している
o
。一方同時に,彼
は,
1996
年の世界史ナ
シ
ョナルスタンダ
ー
ド改訂
以降も
,実態
と
してのアメリカ各
州の世界史カリ
キュラムや教科書の
多くは
,ヨー
ロッパ中心的な
性格
を有する匚
西洋遺産モデル
」と,これ
に対
し
て諸民族の個々の文化について細かな学習がなさ
れる匚
多文化モデル
」が矛盾
した融合を見せて
い
る状況に
ある2
)
ことも指摘
している
。
この
ような状況に対
して
,彼は
,西洋中心的な
学習に偏
らず
,同時に諸文化毎の
“トンネル”に
入り込むことも無い
,よ
り大きなフレーム
の中に
異なる社会や文化グル
ー
プの変化を位置付けるよ
うな匚
変化の様相モデル
」を具体
的に提
案しよう
と
している
。彼による厂
変化の様相モデル」は
,
社会科学
,特に経済学
・社会学
・人類学の成果に
基づきなが
ら,グ
ローバ
リゼー
シ
ョンの進行に対
二
井
正
浩
(国立
教
育
政策
研
究
所
)
応
しつつ
,人類と生態系の間の複雑な相互関係
を
も視野に入れ
ようとするものであ
り
,歴史的探求
に際
しては
,文明
・文化の
カテゴ
リーや国民国
家
といった 境界線
”に
とらわれず
,適切
な厂
問
い」
に基づいて
,時間的空間的社会的フィール
ドを設
定
して探求させようというカ
リキュラム
である3
)
。
以上の
ような意味で
,彼の
「 ̄
変化の様相モデル
」
は
トランスナシ
ョナル
(脱国家的
;国民国家以外
の
レベルにもアイデンティティを帰属させる)
,
か
つ
トランス
カルチュラル
(超文化的
;複
数の文
化に自らのアイデンティティを帰属
させる)な世
界史教
育への提言といえるのでは
ないだ
ろうか
。
この
ようなカリキュラムは
,ア
メリカの世界史
ナシ
ョナルス
タンダー
ドにおける匚
地球的文脈の
中の文明(Civilization in global context)
」や厂
地
域間の歴史(interre
がonal history)
」の強調
o,日
本の地理歴史科世界
史の文化圏学習から諸地域世
界の学習への移行5
)
や
,近現代史を匚
各国史の細
部に深入
りする
ことなく
,地球的視野に立
って一
体化する世界を構造的に
(世界史A
)
」6
)
匚
各国史
にとらわれ
ることなく
,地球的視野から現代の世
界の全体像
を
(世界史B)
」7
)
とらえさせようと
していることなどを見ると
,ある程度は導入され
ている
ようにも見える
。
しか
し,これ
らの
内実は
,
森田真樹8
)
や宮崎正勝9
)
らが指摘するように
,
一般的にはインターナシ
ョナル
(国家間的)でイ
ンタ
ー
カルチュラル
(文化間的)な傾向が強い。
本稿
では,R.
ダン自らが
,同僚であった
D.
ク
リスチャン(David Christian)
らとともに
,全米
学校歴史センタ
ー
(N
C
H
S
; National Center for
History in the Schools)
と協
力しなが
ら
,全米の
初等中等学校や大学の教
員などと共同開発
してい
る世界史カリキュラム匚
我らみんなの世界の歴史
(W
o
rld History for Us All
;
以下W
H
F
UA)
」を
分析する
。なぜなら,このWHFUAは匚
変化の
様相
モデル」を主張する世界史教育プロジェク
ト
と
して,R.
ダンの提言する世界史学習を具体化
しようとしたものと考えられ,トランスナショナ
ルでトランスカルチュラルな世界史への可能性を
探るのに適当だからである。
なお
,このプロジェク
トで開発されたプログラ
ムや教材等は,
Webに公開され
,現在も,継続
的に内容の追加
・更新が進行中である。10
)
2
カリキュラムの全体構成とその論理
(1)
パノラマ
,ラン
ドス
ケー
プ,ク
ローズア
ップと
いった三層構造
表
1は
,このW
H]
F
U
Aの全体構成を示したも
の
である11)
。これ
を見るとWHFUA
のカ
リキュラ
ムは
,パ
ノラマ,ラン
ドス
ケー
プ,ク
ローズアッ
プといった
3種の
カテゴリ
ーに分類され
る単元か
ら構成され
,それ
ぞれの単元に数時間分の教育内
容が設定されている12)
。これ
らの
カテゴリーは時
間的間隔と地理的空間の大小によって分類され
て
お
り
,広範
な地球的な変化か
ら,人類的な出来事,
大陸規模の出来事
,諸民族
・諸国家
・諸社会で起
こった出来事までの様々な尺度で歴
史を学べるよ
うに設計
され
ている
。教師は
生徒や学校の状況に
あわ
せてこれ
らの小縮尺
・中縮尺
・大縮尺
といっ
た三種類の時空間に基
づく単
元にそれ
ぞれ設定さ
れ
ている内容を組み
合わ
せて授
業を行
うことがで
きるようになって
いる。
パノラマ単元は
,地球全体
を俯瞰する視
点から
地球の誕
生から現在に至るまで
を9単元で構成
し
ている
。ラン
ドスケー
プ単元では,人類規模
,大
陸規模といった世界史の中の比較的大きな尺度の
歴
史を扱
う
。ク
ローズアッ
プ単元では,ラン
ドス
ケ
ー
プより時間も空間も制限
された諸民族
・諸国
家
・諸社会の
出来事を世界
史の
トピック
と
して掘
り下げている13)
。
このパノラマ
,ラン
ドスケー
プ,ク
ロー
ズア
ッ
プという時間と空間の視点の導入は
,特に前近代
までの学習にあたるパノラマ
1か
ら5までの
時期
においては
,
F.
ブローデル(Fernand
B
r
a
ude1)
の
時間の
三層構造
を意識
しているもの
と思われ
る
。
す
なわ
ち
,パノラマは地理的時間,ラン
ドス
ケー
プは社会的時間
,ク
ローズアップは個人的時間に
相当
しているよ
うに見える
。
この
ことについては,
WHFUA
の指導者の
一人
である
D.
ク
リスチャンが
,アナール派の影響を
受けた歴
史家であ
り
,オース
トラ
リアのマ
ッコ
リー
大学に在勤中に歴史入門の講義で
,ブローデルの
長期持続の地理的時間の考
え方をテ
ーマに
して宇
宙の
誕生
を起
点とする歴史
を示唆
していたことか
らも伺
う
ことができる14
)
。
いずれにせよ,
WHFUA
では
,この
ような時間
と空間の枠組み
を柔軟に組み
合わせ
るカリキ
ュラ
ム
を構想す
ることによって
,
トランスナシ
ョナ
ル
で
,
トランス
カルチュラルな世界史学習の枠組み
を提示
しよ
うと
している。
(2
)
ビッグ・
ヒス
トリ
ー(Big History)
の視
点
表
1のパノラマ
1
匚
人間と宇宙
,工30
億∼20
万
年前
」とパノラマ
1を構成する匚1.1
人間の歴史
の地平線
」匚L2 700
万∼20
万年前の
人間の祖先」
では
,地球が誕生するピック・
バンか
ら学習が開
始
し
,そ
こに生命が誕生
し,人類が出現す
るまで
が扱われ
,パノラマ
2匚
人類はとこに
でも,20
万
∼
1万年前」とパノラマ2を構成する匚2.1
世界
に広がる人類
」
「2.2
言語は何
を変えたのか」で
は
,ホモ・
サ
ピエンスの出現と世界各地への移動
や言語などが扱われ
る
。この
ように,地球の誕生
か
ら人間が農
業を始める前までとい
う従来の世界
史では先史時代と
してふれ
られる程度の期間が
,
9つのパノラマに
よる時代区分の
うちの
2つを占
めており
,その取
り上げ方が一般的な世界史カリ
キュラム
よ
りも大きいことにも特徴が
ある
。
これは
,現在,世界史の新潮流の
一つにな
りつ
つある
ビッグ・
ヒス
トリ
ー15
)
の視
点の導入と考え
られる
。ビッグ・
ヒス
トリー
とは,宇宙
・地球
・
生物
・人類の歴史を学際的な方法で統合的に理解
しようとする試み16
)
で
,天文学や地理学
,生物
学などの自然科学の研究成果も取
り入れ
なが
ら
,
人間中心の歴
史認識
を脱却
して
,宇宙や
自然
といっ
た環境
・生態系の
一部と
して人間を位置付
けて歴
史をとらえ直そうとするものである
。
D.
ク
リス
チャンは,この試みの第一人者でもあり,その
点
−52−
【 表1 : World History for Us All
の 全 体 構 成 】
パ ノ ラ マ ( 小 縮 尺 ) ラ ンド ス ケ ープ ( 中 縮 尺) ク ロ ー ズ ア ップ ( 大 縮 尺 ) ( 多 く は 未 発 表 , 発 表 分 の み示 す) O 歴 史 ・ 地 理 ・ 時 間 0.1 学 習 の受 け皿 を 得 る: 時 間 ・ 空 間 ・ 歴 史 のマ ップ 0.2 ピ ッ ク・ジ オ グ ラ フ ィ ー (B汝Geography ) 入 門 1 大 き な 時 代 区 分 1 人 間 と 宇 宙, 130 億 ∼ 20万 年 前 L1 人 間 の歴 史 の 地平 線, 130 億 ∼400 万 年 前 1.2 700万 ∼20 万 年 前 の人 間 の 祖 先 2 大 き な 時 代 区 分 2 人 類 は ど こ に で も,20 万 ∼ 1 万 年 前 2.1 世 界 に 広 が る人 類,20 万 ∼ 1 万 5千 年 前 2.2 言 語: 言 語 は 何 を 変 え た のか , 6万 ∼ 1万 年 前 3 大 き な 時 代 区 分 3 農 業 と 複 雑 な 社 会 の 出 現 , 紀 元 前10,000 一紀 元 前1000 年 3.1 植 物 の 栽培 と 勁 物 の 飼育 , 紀 元 前10,000 −紀 元 前4000 年 3.2 世 界 中 の 晨民 た ち, 紀 元 前10,000 −紀 元 前1500 年 3.2.5 朝 鮮, 混 乱 か ら 安 定 へ 3.3 河 谷 と ア フ ロ ユ ーラ シ ア の 複 雑 な 社 会, 紀 元 前4000 − 紀 元 前 1500 3.4 ア フ ロ ユ ー ラ シ ア で の 移 住 と 軍 事 , 紀 元 前2000- 紀 元 前1000 年 3.5 ア メ リ カ に お け る 初期 の 複 雑 な 社 会 , 紀元 前2000 − 紀 元 前1000 年 3.6 オ ー スト ラ リ ア と 太 平 洋 海 域 で 移 動 す る 人 々 , 紀 元 前10,000-紀 元 前1000 年 か ら 前10,000-紀元 前500 年 あ た り ま で 4 大 き な 時 代 区 分 4 接 触と交流 のネットワ ー ク の拡 大 , 紀 元 前1200 年 一紀 元 後 500 年 4.1 イ ンド か ら 地 中 海 ま で: 権 力 と 貿 易 , 紀 元 前1200 年 一紀 元 前600 年 4.2 東 ア ジ ア に お け る 複 雑 な 社 会 の 拡 大 , 紀 元 前1200 年 一 紀 元 前 300 年 4.2.1 中 国 の 思 想 の シ ス テ ム: 儒観元 前581- 紀元 後1368 道 教 , 仏 教, 紀 4.3 サ ハ ラ 以 南 の ア フ リ カ に お け る移 民 と 変化 , 紀 元 前1000 年 一 紀 元 後200 年 4.6 ア メ リカ の 帝 国 や 都市 国 家, 紀 元 前800 年 一紀 元 後500 年4.4 イ ンド か ら 地 中 海 ま で: ギ リ シ ャ と ペ ル シ ャ の 権 力 の 時 代 , 紀元 前 600年 一 紀元 前200年 4.4ユ 仏 教 の芽 生 え , 紀 元 前563 年 一紀 元 後150 4.4.2 ペ ル シ ャ の圧 迫:ペ ル シ ャ帝 国 , 紀 元 前550 一紀 元 前479 4.5 ア フ ロ ユ ーラ シア の巨 大 帝 国 , 紀元 前300 年 一 紀 元 後200 年 4.5.1 ロ ー マ の美 術 と 建 築, 紀 元 前500 − 紀 元 後400 4.5.2 ロ ー マ の奴 隷, 紀元 前100 − 紀 元 後450 4.5.3 古 代 ロ ー マ の 女 性 の 暮 ら し , 紀 元 前200 一 紀 元 後250 4.6 ア メ リ カ の 帝 国 や 都市 国 家 , 紀 元 前800 年 一 紀 元 後500 年 5 大 きな 時 代 区 分 5 地 域 間 統 合 の 様 式 , 300 −1500 年 5.1 ア フ ロ ユ ーラ シア 興 隆 の数 世 紀, 300-600 年 5.2 ア フ ロ ユ ーラ シア とイ ス ラ ー ム の登 場,600 −1000 年 5.3 半 球 を こ え たネ ット ワ ー ク の確 立, 1000-1250 年 5.3.1 西 ア フ リ カ の地 理 ・気 候 ・ 歴 史, 500-1600 5.4 モ ン ゴ ル の 時 代, 1200-1400 年 5.5 惨 事 と 回 復, 1300-1500 年 5.5.1 災 難 に 向 き 合 う:14 世 紀 の 黒 死 病, 1330-1355 5.6 ア メ リ カ にお け る相 互 作 用 の球 面 6 大 きな 時 代 区 分 6 地 球 的 な 大収 縮, 1400-1800 年 6.1 海 洋 の 冒 険 と諸 大 陸 の接 続, 1400-1550 年 6.2 コ ロ ンブ ス の取 引 とそ の結 果, 1400-1650 年 6.3 銃 を 持 っ た 支 配 者: 強 国 の 台 頭, 1400-1700 年 6.4ク `゛ロ ーバ ル 経 済 の形 成, 1500-1800 年 6.5 大 西 洋 世 界 の形 成, 1500-1800 年 6.6 科 学 革 命, 1500-1800 年 6.6.1 啓 蒙 思 想 の り ー ダ ー た ち 6.7 主 要 宗 教 の お お き な 広 が り, 1500-1800 年 6.7.1 プ・ テ ス タ ン ト の 宗 教 改 革 7 大 きな 時 代 区 分 7 工 業 化 と そ の 結 果 (現 代 化 革 命) 1750-1914 年 7.1 世 界 的 出 来 事 とし て の産 業 革 命, 1750-1850 7.1.20 居 間:1800-1900 7.2 世 界 的 出 来 事 とし て の大 西洋 革 命, 1750-1830 7.3 人 々 と 政 府: 全 く 新 し い 世 界, 1830-1900 7.4 忙 し い 人 類:19 世 紀 の 集 団 移 住, 1830-1914 7.5 植 民 地 主 義 の経 験, 1850-1914 7.6 新 し い ア イ デ ンテ ィテ ィ: ナ シ ョ ナ リ ズ ム と宗 教, 1850-1914 8 大 きな 時 代 区 分 8 危 機 の50年 , 1900-1950 年 ( 波 乱 の 数 十 年 ) 8.1 第 一 次 世 界 大 戦 の原 因 と結 果 8.2 1920 年 代 と1930 年 代 の平 和 と安 定 へ の 模 索 8.3 世 界 大 恐 慌 8.4植 民 地 帝 国 の ナ ショ ナ リ ズ ム と社 会変 化 8.5 第二 次 世 界 大 戦 の原 因 と結 果 8.6 科 学 技 術 革 命 8.7 環 境 の 変 化: 急 加 速 9 大 きな 時 代 区 分 9 グロ ー バ ル化 の 加 速 の パ ラド ッ ク ス, 1945- 現 在 まで 9.1 第二 次 世 界 大 戦 後 の世 界 政 治 と グ ロ ー バ ル 経 済 9.2 二 大 超 大 国 と冷 戦 9.3 王 国 の 群 衆 9.4 1950 年 以 降 の富 と貧 困 9.5 ゆ が ん だ ス ピ ー ド の世 界 , 技 術 と コ ン ピ ュ ー タ 革 命 9.6 1950年 以 降 の 人 口 爆 発 と環 境 の変 化 9.7 グ ロ ー バ ル な 結 び つ き と文 化 のト レ ン ト 10 お わ り に: 過 去 を 省 み, 未 来 を 考 え る 10.1 《 タ イ ト ル, ハ ン ド ア ウ ト 等 未 発 表》 10.2 《 タ イ ト ル, ハ ン ド ア ウ ト 等 未 発 表 》 53か
らもWHFUA
への
ビッグ・
ヒス
トリ
ー
の
影響が
考
えられ
る
。そ
して
,その
結
果,
WHFUA
は
トラ
ンス
ナ
シ
ョナ
ルや
トラ
ンス
カル
チ
ュ
ラル
とい
った
枠組
み
を
さ
らに越
え
,人間
中
心
的な
考
え方
自体
か
らの
脱
却
をも意
識
した
もの
に
な
って
い
る
。
(4)
全体
構
成
に見
られ
る論理
か
つて
,ス
タ
ブ
リアー
ノス
はグ
ロー
バ
ル
ヒス
ト
リ
ー
をと
ら
える視
点
と
して匚
月か
らの
眺
望」の
必
要
性
を説
いた17)
が,
WHFUA
で
は
,パ
ノラ
マ
,ラ
ン
ドス
ケ
ー
プ,ク
ローズ
ア
ッ
プと
いった
三種
類の
時
空
間の
縮
尺
を設
定す
る
ことに
よ
り
,あたか
もそ
れ
ぞれ
月か
ら肉眼
,双眼
鏡
,望遠
鏡
で
地球
を眺
め
て
いるかの
よ
うで
ある
。
この
よ
うに匚
解像
度」
を
柔
軟
に
変化
させ
る
ことで
,国
や文
化の
境界
線は
相
対
れ
化
なが
され
ら活
,宇
動す
宙や
る
人間が
自然
,社
描
かれ
会
等の
る
こと
諸
条件
にな
に制
る
O
約
さ
3
単元の展開とその論理
(1)
カ
リキュラム
を貫く
「三つの本質的な問い
」
表
2は,表
1に示
したパノラマ7匚
工業化とそ
の結果
(現代化革命)
1750-1914
」とそれ
を構成
するラン
ドスケ
ー
プ,ク
ローズアッ
プといった諸
単
元の構成とそれぞれの単元の
主題等
を整理
した
ものである
1
8
)
。 WHFUA
では
,カリキュラム全体
を貫く
匚
三つの本質的な問い(Three Essential
Questions)
」として匚
人と環境
(H
u
m
a
ns and the
Environment)
」厂
人と人(Humans and Other Huma
ns
)
」
「 ̄
人と思想(Humans and Ideas)
」という枠組
みが設定されている19
)
が
,これ
を見ると,ラン
ドスケ
ー
プとク
ローズアッ
プの各単
元における問
いが
この三つの枠組みにあわせて提
示されている
ことがわかる
。例
えば,ラン
ドスケー
プ単元匚7.6
新
しいアイデンティティ
:ナシ
ョナ
リズム
と宗教
,
1850-1914
」では,匚
人と環境
」については,当時
の各国の
工業化競争が環境に与えた影響を問い
,
匚
人と人
」については
,西欧化の意味を問いなが
ら
,今日のアメリカナイゼーシ
ョンとの比較をさ
せ
,匚
人と思想」については
,当時のナシ
ョナ
リ
ス
トと宗教の関係を考
えさせ
,今日のアメ
リカの
ナシ
ョナ
リズムと宗教の関係について問うように
なっている20
)
。
(2)
「三つの本
質的な問い」に関連づけ
られる
「七
-つの牛
−テー
マ」
また,
WHFUA
では
匚
七つのキーテーマ
(Seven Key Themes)
」が設定されている21
)
oこ
れは
,
「3つの本質的な問い」に関連づけられ
,
内包
されるもので
,匚1
人口のパター
ン」匚2
経済
的なネッ
トワ
ーク
と交換」匚3
権
力の使用と乱用」
匚4
持つ者と持たざる者
」匚5
アイデンティテ
ィを
表現す
ること
」厂6
科学
・技術と環境」匚7
精神的
な生活と倫理的なきま
り]が示され
ている
。これ
らは
,それ
ぞれ
社会学
(テー
マ1,5,6),
経済学
(テ
ーマ2,4,6),
政治学
(テーマ3)
,倫理学
(テー
マフ)
といった社会諸科学における諸課題か
ら設定され
たと思われ
る。
WHFUAの教師用の解説には
,例えば,匚7.6
新
しいアイデンテ
ィテ
ィ
:ナ
シ
ョナ
リズム
と宗教,
1850-1914
」では,匚3
権
力の使用と乱用」匚5
ア
イデンティテ
ィを表現すること
」匚7
精神的な生
活
と倫理的なきま
り
」といった3つのテーマ
を扱
うように明
示され
ており22
)
,おそ
らく匚
人と環境」
の問いを考察する際には
匚3
権力の使用と乱用」
について
,
「 ̄
人と人」の問いを考察する際は匚5
アイデンティティを表現すること
」について,
匚
人と思想
」の問
いを考察する際は匚7
精神的な
生活と倫理的なきま
り」のテ
ーマが
反映されるよ
うになっているもの
と思われ
る
。
(3
)
単元構成に見
られ
る論理
ラン
ドスケ
ー
プとク
ローズア
ップの単元には,
それ
ぞれ
問いに基
づく学習主題が想定
され
てお
り
,
それは
,
「 ̄
三つの本質的な問い」と匚
七つのキー
テ
ーマ
」と
してカリキュラム全体
を貫く枠組み
に
基づいていることが明らかになった
。この
「 ̄
三つ
の本質的な問
い
」と匚
七つのキーテー
マ」自体は
,
国や文化を越
えた考察の
可能
なもの
となってお
り
,
その意味
で
トランスナ
シ
ョナル
で
トランス
カルチ
ュ
ラル
な授業展開が可能なものになって
いる
。
ただ
し
,なぜ本質的な問いが匚
人と環境」匚
人
と人
」厂
人と思想
」か
ら構成され
るのか,なぜキー
テ
ーマが前述の
ような七つなのかに
ついては明示
されて
いない
。グ
ローバル
ヒス
トリー
をとらえる
ス
コ
ー
プは
,これまでも
いくつかの提案がなされ
てきた
。先述のスタブリアーノスは環境
・男女関
係
・社会関係
・戦争であった
し23)
宮崎は環境
・
54−
「 大 き な 時 代 区 分 7 ; 工 業 化 と そ の 結 果 」 の 単 元 構 成 】
【 表 2 ︵ ご 価 砌 卿 g 回 爆 心 耽 却 々 曾 卑 諾 ︶ 回 名 Q j 凛 ≧ 一 自 嵎 コ 罵 召 ぷ 冴 ﹂ ﹁︵ 芻 聴 両 破 郡 ・ 聆 穹 ︶ 1 ・ 日 口 〇 J さ 印 Q 咽 1 哇 l o で I 。 。 邑 。M l x 气 ︵ 両 り 吩 卜 邯 刪 袍 y 朏 y よ 八 卜 y 卜 ︶ か ぶ ∼ コ 回 1 . 阯 M 図 に 。︵ 郵 嶝 咄 々 欺 刈 恥 Q 欺 ︶ s ^ojvi-a A B j j pire ∽ Q 冫 司 ︸︷ ︷ ﹁︵ ミ 略 心 日 駆 G R 皋 ︶ a a Av o j j o s a s n q y p u e s a s f ︸ g ' ︵ 絛 徊 両 叭 1 ひ ふ 、 ’ 煢 々 g 炮 次 ︶ 畆 自 司 M 岡 l i j 包 昨 t Z ぶ 日 ︵ ︶冖 `o Q 岡 こ ︵ 癶 1 外 で e ロ ベ ︶ g コ ー 汢 o ら 冶 曽 ’︷ j 1 ら ご 回 目 I ド 訟 ︸︷ 自 匕 a ※|
F
ぐ
JI
卜/
○ ○ ○ ζQ ○ 1冖 ○ ○ ○ 寸 ○ ○ ○ CTつ ○ ○ C9 ○ ○ 7 -祠 ○ 生 c刀 1 1 H|
』
丗 怒 やロュ・r・ 刺 擲 蝸 ぐ 匈 硲州 や 。司 犂 粧 匈 竝 べ 竝 侭9 司 X 祁 刈 二 錢 こ・ 州 栢 芻 脂 肪 石 州 2 で 冫 矼 Ξ I こヽ7 、 。こ 掵 e e 畷 。 口 訟 E 。 尽 蓊 太 罰 條 余 Q・μ 圷ヽ 。ぐlo ∃ J・ や 蓊 e 墺 卜 e 似 o 巨U 韭 測 如屬 屁 二 昭 。督 々 低 屠 曾 y 世 邸 網 飃 郷 e 井 鈿 綢 起 。二 邯 刪 9 八 e をj 二.丶 H Hi 0 n 榔祕 口 々 邸 。二 宕 圀 嶝 墺 但 公 心 2 り 仙 7 む 刄 U 皹 'x、笳 μ 心 痢 卜 已eyJU 心 や な らr・ §コ ヽ毎 こ べ 祠 x e 卜 e 田Q卜 惚に 匈 Q 。忿 必 心 。 て 廿 耀 訟 學 萇 iヽ部 嚠 二鳧Ξ μ 口 回 g 写 皿 二 1 m e 茗 壥 二 印生
む
]
、/ 回 澎・l 嚀 叫 洫 堅ti 仙 。 鞍 。ゃ・・x ヽ/4ミ J 有 勾 冖 哇 μ U Q 硲 吩 J J 賍 劭 相 々嘔 2 二 U 靂 専 石 貂 頸 q e 尽 磑 同 怒 召 惚 。吩 φ 刪 暘 迄 蓊 入 部 ΞQ 心 を4、!mや・ £ 岸 二 ふ 寥裾 寥・Q べ り 囗 細 叙 珥 怒 J 芻 U八
11
y
卜
ヤ
丶
μ
1 櫛 衂e 妬 Q m 癲 卻 煢 侈 二 収 Q 茗 7 .卜 p ム 玲 ’・・、P Q 却 K e ト ニ 却 喃に・ 砌Q 笳 卻 拓 も 癲 に2 跖 部 m 二 寸・4 部 芻 ふ、劭 いヽく 劭 踪 も P 二 こヽ・ 幗 Q o 仙+、刋 茹 で 卵 軈 me 貊i ヽ 。む ぺこり 恢 口 J Q も が ぷ』
白
』
報 駆 仙 甜 徇 侭 邨 劭 嶂 脯 e 井 J 芻 癩 E 。迦 昿 e 鰥 心 工石 蓼 e ふ l 但 綸 。 倔 べ 冫 報 々 二 尽 n ヽ・円・Q 仙 Ue 圷・ J か 卿 回 訓Oノ 旋 趾 二 ? H 二 e 々 訟 侭 都 Q 印 べ ? U萃 曾 ガ ニ 屬 怜罌 琺 oe 祠く 顋 が 徊 o 。二 。二 刈 礇・・ 仙 祕e 必 劭 こ E 二J 、/ 隙 蜩 鼬 趾 曾 e P ・Q 斗 班 二 叫 かく騨 い 蓊 e e U 丑一倨 り 坩 φ 二 。垣 蓊卜 萇 を 妝 や 遭 郷 聡 Q 二 袍 抖 卜 余 り 邨 e 怒 劭2 井 Q 赧 竝 な 。冂 抖 P り 心 。 ’ R g oや ? o こヽ々 嶝 ΞQ 二 心 `y、胼 二 心 笳 Q 卜 匈 ? 匈 趾 芻 。き J 怒 迴 昿 忽収 刪 μ 絢 小 祕 抖 惻 々 μ こX」 桐 べ 弌」嵋 以 竝 幽 癶4、2 9 徊 収 み丶 糜 謚 二 気 な_ 才 丶y 卜 心 賍 爿 ゃ 帋 印 縮 弌a 。坦 呎 e」鯒 ふ 石 端 節 句 ? ` や二 〇2 卜 心 二)石 μ 。 劭 煢 霖 e 霖 石 州 心 畏 9 缸 々 竝 芻 掌 か 躍 む 芻 U 。皆 e ぜ 鮃E 石 櫛 々 石 e 翳 ¥ F べ 阪 口 Q 々 心 Q 縦 -く 余 包 ぐ 匆 々 余 刪 ヨ ニ む 卜プ 丶冫 刄 K 7` K ゛ 当 s 怒 も こ・・ 圓 ` P m 亟 卜 e ど 煢 々、m 1 り 苔 こヽ 亟 ふ e 心 怒r ` こ ぞ 口 mj 丗 卜 μ 二 ぐ 入 嶝 $1B ・ ・谷ト ベ P 蓊 こ、傴£ ≪ 。 m 駟 ¬ 以 む ゃ e l 亟 但 卜 駆 中 裂 句 小 当 e 迦 司 二・7 句 題 U 但 ム 聡 も 仰 ゜ 邱 肬 K 二 や 但]
j
包 。隙 柵 蓉 .゜ ン e Q 瑟 罘 2 冩 但 叩 曾 朗 芻 卻 韶 。聹, 。 聴 診e 心 侭匈 辺 崘 匈 価e 啣 9 劭 .E f 邸・Q 煢 二 縲 翼 曾瑜 。仙 e 司 瀧 石 暇 々 倔 帥 に 瑯 べ・k 邱 綸 々H 。御 Q G 圀 Q 囃 迦 邱 聹 礫 闡 嘔 E ? 祠 嶝 応心 り 叺 心 。抑・・ 。 怒 卻砥 石 暇 諏 と 二 奠 瑜 o 妲 雌 響 召 泄 佃 俥 e 認 を俤 匈 認 印 U 。妁 刎 芻 琺 衂 e 聴 S 迴 巨 へ/々べ て 二 心。 笳 Q o司 ヽ7y ふ 輯 §≫ ^ ^ 、く 卜 ぞ 司 Q 陌 収 て 司 卜 丶ロュ 妬j 耘 蓊 ズ て 日 Q 々石 Q コ ヽヽ、司 令i 2 ぉ 長 ふ 。七ヽ口 三 厨 曾Q K 卜 刈 入 印 邱 倅 、/ 一 々 ヱ ェ Q 胼 こよ;りl ヽ 入 パ 。 邱 沼 石 ぺ 逧 こ・ ふ1 蓊 1 混 巨 ご 卜 乙 D y ゃ 侭 僵 世 丶 小ty ジド 匈 U 卻萃 巨 缸 こ り 卜。″ 丶- 。図 ふ 卩ふ n y 生 _Z 疂 万 v 。 迦 瑜 圀 刈 刪 芻 Q 吩 沁I ・rヽ 房 々 。2 召 令 琺 心 冊 e 聢 やμ 巨 匈 硲 べ J 瓢 U 繼 匐 驂 帋 郎 。 。坦 瑜 嶇 睫 余 心トノ 小 城 趾4j 碵 J 匈 飃 司・Q 裂概 趾 を り 坤 田 雛 郎 瑯 小 袍 篩 と 聴 H 包 諒 八 頡 諾 ユ_ こ μ. 才 w・ バ くg μ e 7 湎・k 巨・キ、皿 諦 Q mg 迦 倨 ふ 啣 聊 E も 尽 雖 呎 。怒 芻 E e 痂 ゃ Q 倔 顋 召 で4j 心 Q Iヽe 霾 匈 に1¥ に U 囗 陝e 芻 。 m H ェ 聴 蓊ズ
回
寂
枩
。
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蛍
石
E
皐
臨
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・-
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心
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ヽ 肬 枡9
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呂
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〃
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ゝ
公
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心
々
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參
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み
丶
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μ.
才
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呂1
自
詣
e
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諮
誓
t
ヽ:
罰 z 回 言 回 答 谷 と)報 U 胃 部 E 。 姙 面 2 ゛` 恢 々 y こ 心 − ゛く 傴 ミ1 行 縦 も 岱 入 ら 。p m 畷 こ 胞 擲 耻 ふ e ヽ,-ご 州 屶 も 心 卜 端 E `・’ ‥ 軽・7 姻 姙・ 卜 `7 e1 ヽe 。`7 朏 べ .丶 心 べS卜 ゛ X 卜 y x 入 1ヽx ヽ・77 、y 卜 入 亟 卜 ぞ+ 、へ7 卜 m こ m m卜 丶’ 冫 J ,つ、.丶 こ 9 も 霖 亟・卜 扣 -゛ 宀 如 C? つ々 J 口 心 口 口 霖 i S I S○ ○ ○ ○ Q qX Q qJ 9 ぶ ぶ s ] ぶ Q 万㈲
収り?E
抖 こ こ 櫛
く
㈲
㈲
川
』
』
55
文化
・変化
・交流伝
播
・稀
少
性
・紛
争
・人権
・グ
ロ
WHFUA
ー
バ
ル
に
シス
は
,その
テムの
根
八
拠の
つを挙
明示が
げて
求
いる24)
め
られ
。今
よ
う
後
O
,
4
授業
(アクティ
ビティ)展開とその論理
(1)
授
業の展開
資料
1は
,表
1
・表2に示
したラン
ドスケー
プ
7.6
匚
新
しいアイデンティティ
:ナショナ
リズム
と宗教,
1850-1914
」の教師用解説や生徒用ハ
ン
ドアウ
トか
ら再構成
した授業展開例である气
この
匚7.6
新
しいアイデンティティ
:ナシ
ョナ
リズム
と宗教,
1850-1914
」は,四つの
レッスン
で構成され
ている
。レッス
ン
1では
,まずイタリ
アの統
一や中国の義和団事件
,メキシコ大統領の
フア
レスの資料(1.1)
を提示し
,ナシ
ョナ
リズ
ムの特徴
をグル
ー
プで検討させ,その後,学問的
な立場に基づくナシ
ョナ
リズムの特徴を四つ紹介
する
。そ
して次に,女性参政権運動,ボーア戦争
,
バル
カン半島の民族対立の資料
(1.2
)を提
示し
て
,それ
らがナシ
ョナ
リズムにあたるか
どうか
を
検討
させる
。そ
して最後にナシ
ョナ
リズムの特徴
を確認
・再検討させ
,クラス内でナシ
ョナ
リズム
の定義を整理する展開にな
っている
。
レッスン
2では,露
土戦争からバルカン戦争頃
までのオスマン帝国の資料
(2.1
)
とイン
ド大反乱
か
ら第
1次世界大戦前の自治獲得運動までのイン
ドの資料
(2.2
)提
示し
,生徒各自にはさらに自
分が
見つけてきた資料
を加
え
させ
,両地域のナ
シ
ョ
ナ
リズムの進展についての年表を作成させる
。そ
して
,両地域の年表
を比較
させなが
ら,異なる地
域ではナシ
ョナ
リズム
の顕れ
方は異なっていると
いうことを理解
させ
,その相違の原因について仮
説
を立
てる展開になっている。
レッスン3では
,まず,ナ
シ
ョナ
リズム
と宗教
と帝国主義を題材に
ブ
レ
ー
ンス
トー
ミング
を行い,
次に
,資料
と
してキッ
プリングの匚
白人の使命
」
(3.1)
や
B.
アンダ
ー
ソンら数名の研究者のナシ
ョ
ナ
リズム
と宗教と帝国主義についての考
え方をま
とめた資料
(3.2
)を提
示し
,
「 ̄19
世紀中頃までに,
ナシ
ョナ
リズム
と宗教と帝国主義は西洋のアイデ
ンテ
ィティにどのよ
うな影響を与えたか
」という
テーマでエッセイ
を書かせる。そ
してその後
,へ
ルツェルの匚
ユ
ダヤ
人国家建設
」に
ついての資料
(3.3
)を提示し
,ユ
ダヤ
人国家建設の
正当性につ
いて討論させる展開になっている
o
レッス
ン4では
,まず
,ク
ラスを2つに分け,
それぞれに提示された日本の明治維新の資料
(4.1
)とイギ
リスの
エジプ
トの支配
とそれに対す
るムス
リムの抵抗の資料
(4.2
)をもとに
,この
時代に
日本や
エジプ
トが
どの
ように
して国家とし
てのアイデンティティを守
ろうと
したかを調べさ
せ
,西洋の覇権の広が
りに対応
した非西洋地域の
ナ
シ
ョナ
リズム
について
,宗教の役割に留意
しな
が
ら検討
し
,話
し合
う展開になっている。
(2
)
授
業構成に見
られ
る論理
WHFUAでは
,授業で使用する史資料等がほと
んどW
e
b上に準備され
ている
。授
業はそれ
らの
史資料
を提
示
し
,生徒に諸概念
を探求
させ
,成長
させ
る過程
と
して構成され
ている
。例
えば,
レッ
スン
1では
,ヨー
ロッパ
,中国,アメリカ,アフ
リカでのナシ
ョナ
リズムに関する史資料をも
とに
して生徒にナ
シ
ョナ
リズムの
定義を行わせ
,それ
を前提に
しつつ
,
レッスン
2でオスマン帝国やイ
ン
ドの資料
を提示
しなが
ら
,ナシ
ョナ
リズムの
顕
れ
方の
多槍既
について気付かせる
。
レッスン
3で
は
,キ
ップ
リングの詩,研究者の諸説
,ヘルツェ
ルのユダヤ国家建設論など
を通
して
,ナ
シ
ョナ
リ
ズム
を宗教や帝国主義と関連
させてとらえさせ
,
レッスン4ではアジアとアフ
リカでのナ
シ
ョナ
リ
ズムの展開事例
を通
して
,ナシ
ョナ
リズムの西洋
と非西洋との関係性について考
えさせている
。つ
ま
り
,この単元は
レッスン
1でナシ
ョナ
リズムに
ついての大まか
な概
念を獲得
させ
,
レッスン
2以
降でその顕れ
方の
多楡歐
の比較
,他概念との関連
性
,西洋と非西洋の
関連性などを考察させて,概
念を広
く深
く成
長させる構成になっている
。
その際
,特徴的なことは
,提示
され
る史資料が
,
世界の様々な場所か
ら広
く選択されてお
り
,個々
の国民国家の枠組みに囚われ
る
ことが
回避できて
いる
こと
,また
,概念
を成長させる過程
では,宗
教や帝国主義といった概念を探求させ
るプロセス
の中で
,西洋と非西洋
といった地域間の関連性が
扱われ
,各民族の文化の
特性や独
自性自体
を追究
することが狙われ
ては
いないことである。その意
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【 資 料1 「7.6 新 し い ア イ デ ン テ ィ テ ィ : ナ シ ョ ナ リ ズ ム と 宗 教, 1850-1914 」 の 授 業 構 成 】 I . 単 元 名 新 し い アイ デ ンテ ィ テ ィ: ナ シ ョ ナ リ ズ ムと 宗 教, 1850-1914 H. 教 材 観 近 代 を通 し て , ナ ショ ナ リズ ムと 宗 教 は, 人 々 を分 割 し た り結 合 さ せ た り す る 重 要 な 役 割 を 演 じ た。 ナ ショ ナ リズ ムと 宗 教 は , 世 界 中 の多 く の人 々 の ア イ デ ン テ ィ テ ィを 形 成 し , 価 値 や 望 み を 共 有 す る コ ミ ュニ テ ィ ーを 生 みだ し て い る 。 ナ シ ョ ナ リ ズ ム と いう 新 し い イデ オ ロ ギ ー は ,18 世 紀 後半 の大 西 洋 革 命 の時 代 に 出 現 し ,19 世紀 か ら20世 紀 に か け て 技術 や 自 由 主 義 お よ び帝 国主 義 と い っ た 重 要な 変 化 を もた ら す力 を 収 斂 し , 拡 大 し, 成長 し続 け た 。1 9世 紀 の 後 半 に 西 ヨ ーロ ッパ から 南 北 ア メ リ カ・ ア フ リ カ ・ ア ジ ア へ と広 が っ た ナ シ ョ ナ リズ ムの 勁 き と し て, 人 々は こ れ ま で に は見 られ な か っ た忠 誠心 や ア イ デ ン テ ィテ ィ を 伴 う 国家 を 形 成 し 始 め たo こ の 期 間 に は, 世 俗的 な 文 化 も広 か っ た が , 人 々 は 宗 教 に よ っ て自 らを 定 義 し 続 け た 。 宗 教 的 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ は 国家 的 な ア イ デ ン テ ィ テ ィ と 衝突 す る こ と も あ っ た か, 逆 に 拍 車 を か け るこ と もあ った 。 こ の 単 元 の焦 点 は, 1850-1914 年 の ナ シ ョ ナ リ ズ ムと 宗 教 の 複 雑 な 関 係を 扱 うo こ の 二 つ の 大 きな 力 に つ い て学 ぶこ と に よ っ て, 生 徒 は第 一 次 世 界 大 戦前 夜 に存 在 し た 緊 張 と,20 世 紀 か ら21 世 紀 まで 継 続 す る紛 争 や変 化を 理 解 す る こ と か で き るだ ろ うo こ の 単 元 は 「 大 き な時 代 7」 の最 後 に 位 置 し ,19 世 紀 の 移民 , 植 民 地 主 義 , 帝 国 主 義 , 革 命 , 自 由主 義 的 改革 な どを 含 んだ こ の 時 代 の 学 習 の 成 果 を生 か す よ う にな って い る。 Ⅲ 。 単 元 の 構 成 (4 ∼6 授 業 時 間 配 当) Lessonl ナ ショ ナリ ズ ム の 概念 の形 成 Lesson2 新 し い ア イ デ ンテ ィ テ ィ:イ ンド と オ ス マ ン帝 国 にお け る ナ シ ョ ナ リ ズ ムの 発 展(1850-1914) Lesson3 ナ ショ ナ リズ ム,帝 国主 義 , 宗 教 Lesson4 古 い アイ デ ンテ ィ テ ィを 保 つ た め の 戦 い IV. 単 元 の目 標 こ の 単 元 を 全 て行 え ば, 生 徒 は 次 の よう な こ とが で き る よ う に なる 。 1 バ ル カ'ン 半 島 と エ ジプ ト で の19 世 紀末 ∼20 世 紀 の ナ シ ョ ナ リ ズ ムの 事 例 を 分 析 し, ナ ショ ナ リズ ム の 概念 を 定 義 す る 。 2 ナ シ ョ ナ リズ ムと 宗 教 と 帝国 主 義 の 関 係 を 分析 す るO 3 オ ス マ ン帝 国 に お け る 緊 張 と紛 争 の 源 と し て の ナ シ ョ ナリ ズ ム の 重 要 性 につ い て 評 価 す る 4 日本 とエ ジプ ト に お け る, 社 会 と政 治 の 変 化 の ナ シ ョ ナリ ズ ムと 宗 教 へ の関 連 を 分 析 す る。 5 ナ シ ョ ナ リズ ムと 宗 教 の 役割 に焦 点 化 し て, 西 洋 の膨 張 へ の 反 発 を 述 べ る。 V 。 授 業 展 開 課 ア ク テ ィ ビ テ ィ ほか 資 料 生 徒 の認 識 L e S S 0 n 1 《 概 要 》 ナ シ ョ ナ リ ズ ム は18 ・ 19世 紀 の 大 西 洋 革 命 によ って 出現 前 は, 人 々 は, 地 域 ・ 地 方 ・ 宗 教 的共 同 体, そ し て 王 朝 に忠 誠 心 わ る も の で は な か っ た か, そ う い っ た も の か ら発 達 し,19 世 紀 を た め に グル ープ で 作業 を し,18 世 紀 末 か ら19世 紀 初 め にお け る ナ 《 ア ク テ ィ ビ テ ィ 》19 世 紀 に, ど の よ う にし て 世 界 各 地 の人 々 は 新 し い アイ デ ン テ ィ テ ィ を受 け 入 れ た か 。 そ の アイ デ ンテ ィ テ ィ は国 家 と結 合 す る も の で あ る が, こ の 複 雑 な 概 念 を 定 義 す る こ と か らこ のレ ッ ス ンを 始 め る。 工. 3∼ 4 の グル ープ に分 か れ, 資 料1.1 (「 ナ シ ョ ナ リ ズ ム の事 例コ に 示 さ れ た ナ ショ ナ リ ズ ム につ い て の 事 例を 3つ 読 み, グ ル ー プ で 類 似 点 を 見 つ け る。( こ の 類 似 点 を ナ シ ョ ナ リ ズ ム の特 徴 と位 置 付 け る。 ) 2. 類 似 点 の リ ス ト を元 に, 座 標 軸 を 作 って , そ れぞ れ の類 似 性 を テ スト す る。 必 要 が あ れ ば リ スト を 修 正 す る。 3. ク ラ ス 全員 で , 事 例 か ら 識 別 し た 特 徴 につ い て 話 し合 う。 そ し て , 黒 板 や OHP に特 徴 を 記 録 す る。 各 グ ル ー プ が 特 徴 を 提 案 し た後 , ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 学 問 的 な 定 義 に基 づ く, 次 の よ う な 特 徴 を 紹 介 す るo ・ 歴 史 , 言 語 , 人 種, 民 族 な ど に基 づ い た 共 通 の ア イ デ ン テ ィ テ ィを 持 つ 。 ・ ア イデ ン テ ィ テ ィ を 共 有 し, 結 び つ い て い る人 間 の集 団 を 信 じ る。 ・ 他 の集 団 や 個人 の利 益 よ り 国 家 へ の忠 誠 を 優先 す る。 ・ 国 家 の利 益 の た め に 政 治 的 な 要 求 , 特 に独 立 す る権 利 を 主 張 す る。 4. 上 の 4点 につ い て, 同 意 で き る か , そ れ と も 同意 で き な い か 考 え る。 ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 特 徴 とし て , こ の ク ラ ス で は ど の よ う な 意 見 の一 致 か で き る か。 合 意 で き た特 徴 を も と に, も う ひ とつ 座 標軸 を 作 る。 5. 資 料1.2 (「 ナ シ ョ ナ リ ズ ム の事 例 か 否 か」) の 事 例 の 中 に は, 我 々 か考 え た ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 座 標 軸 に当 て は ま ら ない も の も あ る。 そ れ ぞ れ ナ シ ョ ナ リ ズ ム の事 例 か どう か, 再 び グ ル ープ に分 か れ, 話 し 合 う。 6. そ れぞ れ の事 例 が な ぜ ナ シ ョ ナリ ズ ム の事 例な の か, ま た は そ う で な い の か に つ い て 議 論 す る。 事 例 と は言 え な い も の につ い て は, ど の よ う な変 更 が 必 要 か に つ い て , 考 え る。.過 去 の ま た は現 在 の ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 事 例 に つ い て 知 って い るこ と が あ れ ば紹 介 す る。 7. こ れ まで の特 徴 につ い て の 考 察 を も とに , ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 定 義 を ク ラ スで ま と め る 。( こ の 定 義 は 印 刷 し て , 忘 れ な い よ う にこ の単 元 が 終 わ る ま で 教 室 に 掲 示 す る。 ) し た 參 を・持 つ 通 じ − ノョ ナ 1.1 1.2 し い イ デ オ ロ ギ ー で あ り, 急 速 に世 界 各 地 に 広 が っ た。 19世 紀 以 て い た 。 ナ シ ョ ナ リ ズ ム は そ う い っ た王 朝 や宗 教 へ の 忠 誠 心 に代 : 成 長 し 続 け た。 Lessenlで は, ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 概 念を 理 解 す る リ ズ ム の 代 表 的 な 事 例 を 学 習 す る。 │ 資 料1.1 は, ① イ タ リ ア 統 一 過 程 , ② 清 の 義 和 団 事 件 , ③ メ キ シコ のフ アレ ス 時代 と い っ た, 3 つ の 出 来 事 の 紹 介 で あ るこ と か ら, 類 似 点 と して , 軍事 介 入, 政 治 介 入 , 宗 教 の介 在 な ど が 挙 げ ら れ る ので はな い か。 │ 資 料1.2 は, ① 英 国 の 女 性 参 政 権 運 動 , ② ボ ー ア 戦 争 , ③ 第 1 次 世 界 大 戦 前 の バ ル カ ン半 島 の民 族 対 立 と い っ た , 3つ の 出来 事 の紹 介 で あ る。 ② が ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 事 例 で あ り , ① は ナ ジョ ナリ ズ ム の事 例 と は言 え ず, ③ は ナ ショ ナ リ ズ ム の影 響 に つ い て の事 例 と して あ げ ら れ て い る の で は な い か 。 57
L e S S 0 n 2 《 概 要 》Lessen2 で は,19 ・ 20世 紀 に オ スマ ン帝 国 と イ ンド に お1 を 作 る 。 そ し て , こ の 2 つ の 地 域 の ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 進 展 を 比 較 異 な る 地 域 で は ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 原 因 と 結 果 は 様 々で あ るこ とをJ 《 ア ク テ ィ ビ テ ィ》 す る一 方 で , 異 な る 地 域 で は ナ シ ョ ナリ ズ ム の 原 因 と 結 果 は 様 々で あ るこ とを 理 解 す る。 《 ア ク テ ィ ビ テ ィ》 前 時 に整 理 し た ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 定 義 と 特 徴 を 思 い 出 す。 19世 紀 と20 世紀 初 頭 に オ スマ ン帝 国 と イ ンド で な ぜ , ど の よ う にし て ナ ショ ナリ ズ ムが 発 展 し た かを こ れ か ら 見 て い く た め に, そ れ ぞ れの 地 域 の ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 発 展 の年 表 を 作 り , 比 較 ・ 対 照 す る 。 1. 3 ∼ 4の グ ル ープ に分 か れ, 第 1次 資 料 と 第 2 次 資 料 か ら な る2.1 ( 匚オ ス マ ン帝 国」) と2.2 (「 イ ン ドコ を も と に 次 の よ う な 手 順 で 年 表 を 作 る 。 ・ プ リ ン ト や 本 に あ るそ れぞ れ の資 料 を 読 み, ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 進 展 に 関連 す る と 思 わ れ る 出来 事 と そ の 日 付 の メ モを とる 。 ・ グ ル ー プ の メ ンバ ー と話 し 合 い , 読 み 取 っ た こ と を ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 特 徴 と 定 義 に当 て は めて み る。 ・ そ れ ぞ れ の 地 域 ご と に, ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 発 展 に つ い て , 少 な く と も 5つ の 出 来 事 を 選 ぶ 。 こ れ ら の 出 来 事 は1850-1914 の 期 間 か ら 選 ぶ。 ・1850-1914 の年 表 に そ れ ら の 出来 事 を 記 入 す る 。 そ し て , そ れ ぞ れ の 出 来 事 の 下 に , な ぜ そ の 出来 事 が ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 発 展 に 寄 与 し て い た の か につ い て 説 明 を 記 入 す る。 そ れ ぞ れ の 地 域 の 人 が こ の 時 代 に ど の よ う に ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 形 成 し た か も 書 き 留 め る 。 2. オ ス マ ン 帝 国 と イ ンド の年 表 が 完 成 し た ら, ク ラ ス 全員 が そ れ ぞ れ の グ ル ープ の 選 び 出 し た 出来 事 を 共 有 で き る よ う に し , 2 つ の 地 域 の 民 族 運 動 の 原 因 を 確 認 す る。 そ し て, こ の 時 代 に こ の 2 つ の 地 域 で 人 々 は ど のよ う に ア イ デ ン テ ィ テ ィ を形 成 し た か に つ い て 話 し 合 う 。 3. そ れ ぞ れ の グ ル ープ の 年 表 の類 似 点 を 指摘 し す る。 次 に, こ れ ら の 地 域 で ナ シ ョ ナリ ズ ムが 発 展 し た理 由 や方 法 の 違 い を 指 摘 す る。 そ し て , な ぜ こ のよ う な 違 い か生 じ た か につ い て 仮 説 を 考え る。 最 終 的 に , こ の 2つ の地 域 で ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 勁 き に 宗 教 か ど の よ う な 役 割 を 演 じ て い た か考 え る。( こ の 議 論 は, Lessen3 で の宗 教・ 帝 国 主 義 と ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 関係 の 考 察 に 関 連 す る。 ) 4. オ ス マ ン 帝 国 と イ ンド の ナ シ ョ ナ リ ズ ム の 学 習 を 通 し て , Lessenl で の ナ シ ョ ナ リ ズ ム の知 識 か ど の よ う に 広 が っ た か。 も し く は 違 い か 生 じ た に つ い て 5分 間で 書 く。 ナる ナ ・ 対 禀 里解 す 2.1 2.2 シ ョ ナ リ ズ ム の進 展 つ い て , 第 1 次 及 び 第 2次 資 料 を 用 い て 年 表 す る。 Lessen!で 作 っ た ナ ショ ナ リ ズ ム の定 義 を 適 用 す る一 方 で , る。 │ 資 料2.1は , オ ス マ ン帝 国 に 関 わ る 資 料 と し て, 1878 年 の ベ ル リ ン 条 約 の 抄, 1908 年 の青 年 ト ル コ党 宣言 の 抄, オ スマ ント ル コ の 公 教育 の 写 真, 1912 年 の バ ルカ ン 半 島 の 地 図 が 示 し て あ る。 資 料2.2は , イ ン ド に 関 わ る 資 料 と し て, 1908 年 に テ ィ ラ クか 国民 会 議 で 行 っ た 演 説, 1909 年 にガ ン デ ィ ー の イ ン ド 統 治 法 に つ い て の イ ン タ ビ ュ ー, 1848 年 の英 国 支配 下 の イ ン ド の 地 が 示 し て あ る。 年 表 に 記 入 す る の に適 し て 出 来 事 に は, つ ぎ の よ う な も の が あ る。 ○ オ ス マ ン 帝 国 ・ タ ン ジ マ ー ト 改 革(1839-1876) ・ キ リ ス ト 教 徒 と ユ ダ ヤ教 徒 に政 治的 な 権利 を 与 え , 全 て の 臣 民 の 平 等 を 認 める 勅 令 を 発 布(1856) ・ ル ー マ ニ ア の 新 憲 法 採 用 (1864 ) ・ オ ス マ ン 憲 法(1876) ・ 露土 戦 争(1877-1878) ・ ベ ル リ ン 条 約 ; セ ル ビ ア , モ ンテ ネ グロ , ル ーマ ニ ア の 独 立(1878) ・ 青年 ト ル コ 党 運 動(1870s-1914) ・ 英 国 軍 の エ ジプ ト 占 領(1882) ・ 青年 ト ル コ 党 に よ る ア ブ デ ュル= ハ ミト 2世 の 廃 位 (1909 ) ・ バ ル カ ン 戦 争(1912-1913) 生 徒 は オ ス マ ン 帝 国 か ト ルコ 人 , ギ リ シ ヤ人 , ブ ル ガ リ ア人 , ル ー マ ニ ア 人 , ア ル メ ニ ア語 , タ ル ト 人, ス ラ ブ 人 , シ リ ア 人 , ア ラ ビ ア 人 , ユダ ヤ人 お よ び エ ジ プ ト 人 を 含 む, 多 く の 人 種 お よ び宗 教 を 支 配 し て い た こ と も記 す べ き で す 。 ○ イ ン ド ・ イ ン ド 反 乱(1957-1859) ・ ヴ ィ ク ト リ ア 女 王 のイ ンド 皇 帝 宣言(1957) ・ イ ン ド 国 民 議 会 結 成(1885) ・ ベ ン ガ ル 分 割 (1905 ) ・ ガ ン ジ ー の 無 抵 抗 ・ 不 服 従 運 動 開始(1907) ・ テ ィ ラ ク が 国 民 議 会 で 自治 を 訴 え る (1908 ) L e S S 0 n 3 《 概 要 》Lessen3 で は, 1850 年 か ら1914 年 ま で の 宗 教 と宗 教 的 ア・ て も た ら さ れ た 背 景 と な る知 識を 持 っ て い るこ と が望 ま れ る。 こ わ ら ず, キ リ スト 教 の痕 跡 が 依 然 と し て ヨ ーロ ッ パ 列 強 の 文 化 や 時 の人 々 に大 変 人 気 の あ っ た ル ド ヤ ー ド・ キ ップ リ ン グ の詩 が , そ テ ィ を変 え る こ と に 抵 抗 し た 非 西 洋 人 の反 応 につ い て 考 え るLess 《 ア ク テ ィ ビ テ ィ 》 1. 19 世 紀 中 頃 ま で の 西 洋 文 化 にお け る ナ シ ョ ナ リ ズ ム, 帝 国 主 義 , 宗 教 につ い て知 っ てい る こ とを ブ レ ー ン ス ト ー ミ ン グす る 。 ナ シ ョ ナ リ ズ ム , 帝 国主 義 , 宗 教 の 関 係 に つ い て 黒 板 かOHP に 書 き 留 め る 。 こ の 三 者 に は ど の よ う な 関 係 が 見 ら れ る か 。 特 に 宗 教 は ナ シ ョ ナ リ ズ ム と帝 国 主 義 に ど の よ う に 関 連 し て い る か。 2. 資 料3.1 (「 ル ド ヤ ード・ キ ップ リ ン グ の 詩⊃ を 読 み, 次 の 4 つ の 議 題 に つ い て ク ラ スで 討 論 す る。 ○ キ ッ プ リ ン グの 詩 に宗 教 的 な 影 響 を 示 す 証 拠 と し て ど の よ う な も の が あ る か 。 ○ キ ッ プ リ ン グが 詩 を 出版 し た と き に, 宗 教 に つ い て の あ な た の 見 方 は 変 わっ た か 。 ○ キ ッ プ リ ン グの 詩 は ナ シ ョ ナ リ ズ ム, 帝 国主 義, 宗 教 の 間 の 関 係 につ い て 何 を 物 語 って い る か。 O 「 白 人 の 責 務 」 の詩 は, 英 国 の帝 国主 義を 誹 謗 す る 皮 肉 の詩 で あ る と 主 張 す る学 者 が い る が, こ の 考え に つ い て どう 思 う か。 3. 資 料3.2 (「 ナ シ ョ ナ リ ズ ム, 帝 国 主 義 , 宗 教」) を 先 ほ ど と 同 様 の 議 題 に着 目 し て 読 み, ク ラ ス と し て の い く つ か の結 論 を 導 く 。 事 例 は次 のこ とを 含 んで い る。 ゛デ ン D レ ッ フ デ オ D 証 拠 m4 の 3.1 3.2 テ ィ テ ィ の役 割 を 紹 介 す る 。 そ れ に は, 科 学 的 啓 蒙 的 思 考 に よ っ ス ン の 終了 ま で に, 西 洋 文 明 が宗 教 的 で な くな って い る に も か か ロ ギ ー に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と か 分 か る は ず で あ る 。 当 と な る。 Lessen3で は, 西 洋 の 葫 権 に直 面 して 自 ら の ア イデ ンテ ィ 内 容 に もつ な が る も の に な っ て い る。 │ 資 料3.1は, キ ッ プ リ ン グ の詩 を 2 編 (「 英 語 の歌 」 と 「 白 人 の 使 命」) 紹 介 し て あ る 。 │ 資 料3.2は, B・ ア ン ダ ーソ ンを は じ め とし た, 数 人 の 研 究 者 の ナ シ ョ ナ リ ズ ム論 を 整 理 し た も の で あ る。 - 58 −
4. 次 のテ ー マ につ い て, 5分 間 で エ ッセ イ を 書 く。 「 ̄19世 紀 中 頃 ま で に, ナ シ ョ ナ リ ズ ム, 帝 国 主 義 , 宗 教 ぱ 西 洋 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ” に ど の よ う な 影 響 を 与 え た か。」 5. 資 料3.3 ( 匚テ オ ド ー ル ・ ヘ ル ツ ェ ル の “ ユ ダ ヤ人 国 家 ” 」) を 読 んで , 次 の 3 つ の 議 題 を クラ スで 討 論 す る。 ○ こ の文 書 は, あ な た の 「 ナ ショ ナ リ ズ ム」 につ いて の 理 解 に さ ら に寄 与 す る か, 変 更 さ せ る も のか 。 ○ こ の文 書 は19 世 紀 末 に お け る ナ ショ ナ リ ズ ム と宗 教 の 関 係 の 理 解 に さ ら に 寄与 す る か, 変 更 さ せ る も のか 。 ○ ヘ ル ツ ェ ル が ユ ダ ヤ 人 国 家 を 建 設 し よ う とし た こ と につ い て 正 当 化 で き る と 思 う か 。 そ れ は な ぜ 正 当 化 さ れ る, ま た は さ れな い の か。 3.3 ・ あ る人 々 に と っ て, ナ シ ョ ナ リ ズ ム は 教 会 へ の昔 か ら の忠 誠 に替 わ る も の だ っ た。 ・ 神 に 厂選 ば れ し者 」」「 文 明 へ の 使 命」 とい った 考 え に よ っ て, 宗 教 は ナシ ョ ナ リ ズ ム と帝 国 主 義 に あ る 役 割を 果 たし て い た。 資 料3.3 は , シ オ ニ ズ ム 運 動 の 指 導 者 で あ っ た ヘ ル ッ ェ ル の ピ ュ ダ ャ人 国家 」 か ら の 引 用 が 紹 介 し て あ る。 L e S S O n 4 《 概 要 》1850 年 ま で に 西 洋 の覇 権 は 世 界 中 に 広 か っ た。 い くつ か 矛 盾 し た け れ ど も, ヨ ーロ ッ パ 列 強 の 政 治 的 経 済 的 成 を 拒 否 す る 政 治 的 支配 か ら生 き 残 る た め に 西洋 の 様 式 を どの 程 度 受 け 入 れ な よ う と す る リ ー ダ ーも い れば , 軍 事 や工 業 化 な ど の西 洋 化 を 推 し し な が ら旧 来 の ア イ デ ンテ ィテ ィを 保 持 し よ う と し た 日本 とエ ジ で 維 持 さ れ た も の, 維 持 さ れ な か っ た もの につ い て 考 え る。 《 ア ク テ ィ ビ テ ィ 》 西 洋人 が ヨ ー ロ ッパ や 北 アメ リカ 以 外 の地 域 に ど の よう に して 「 侵 入」 し た か 。 軍 事 力 以 外 の西 洋 の支 配 を 推 し 進 め た要 因 につ い て考 え る。 西 洋 の 文 化 ・ 思 想 ・ 事 物 は ど の よ う にし て 侵入 し た か。 西 洋 人 の 侵 入 に反 対 し た ア ジ ア や ア フ リ カ に つ い て 考 え る。 1 . ク ラ ス の半 分 を 日本 , 半 分 を エ ジ プ ト の グル ープ に分 け, そ れ ぞ れ資 料4.1 ( 厂日本 に お け る 新 し い ア イ デ ン テ ィ テ ィ 」), 資 料4.2 (「 エ ジ プ ト に お け る 新 し い ア イ デ ンテ ィ テ ィコ お よ び 教 科 書 な ど の利 用 可 能 な 資 料 を 用 い て , ア イ デ ンテ ィテ ィを 守 る た め の 国 家 の争 い を 調 べ , 資 料4.3, 4.4 のベ ン 図 を 完 成 さ せ る 。 そ し て , そ の 後, 次 の 3つ の 課 題 に つ い て 討 議 す る。 ○ 西 洋 と の接 触 以 前 に お い て, ナ シ ョ ナ リ ズ ム と宗 教 は ど の よ う な 役 割 を 持 って い た か。 ○ 旧 来 のア イデ ン テ ィ テ ィを 保 持 し よ う と す る 人 々と の争 い に お い て , ナ シ ョ ナ リ ズ ム と宗 教 は ど の よ う な 役 割 を 持 って い た か 。 ○ 西 洋 と の接 触 の 後 の 国家 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 新 し い 側 面 に お い て , ナ シ ョ ナ リ ズ ム と宗 教 は ど の よ う な 役 割 を 持 って い た か。 2. 調 べ た 結 果 を ま と め, 話し 合 う。 Z)国 に こ とk ナれ に 隹めj プトC 4.1 4.2 4.3 4.4 と って , 西 洋 の文 化 と イ デ オロ ギ ー は 自 分 た ち の もの と は ひ ど く で き な か っ た。 非 西 洋 の リ ーダ ー や 思 想家 は ヨ ーロ ッパ の経 済 的 な らな い か検 討 し た。 西 洋 の影 響 を 避 け て 理 想 的 な 過 去 に回 帰 し う とす る リ ーダ ー も い た 。 こ のレ ッ ス ン で は, 西 洋 の 覇 権 に直 面 事 例 を 検 討 す る。 非 西 洋 の一 連 の動 き につ い て, 変 わ り ゆ く世 界 資 料4.1は , 日 本 の 明 治 維 新 前 後 の 出 来 事 を 紹 介 し た も の で あ 回 。 │ 資 料4.2は , イ ギ リ ス に よ る エ ジプ ト の 保 護 国 化 と ム ス リ ム の 抵 抗 につ い て 紹 介 し た も の で あ る。 │ 資 料4.3と4.4は, 西 洋 と の 接 触 以 前 の旧 来 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ と , 西 洋 と の接 触後 の 新し い ア イ デ ン テ ィ テ ィ につ い て ベ ン図 を 描 く よ う にな って い る。