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計算課題遂行時における聴覚刺激の呈示効果-発達障害児と定型発達児の比較-

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Academic year: 2021

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(1)計算課題遂行時における聴覚刺激の呈示効果 発達障害児と定型発達児の比較一 専攻 学校教育学専攻 コース 臨床心理学コース. 学籍番号 M08068F 氏名 福本奈緒子.         【問題と目的】. 検討した。聴覚刺激呈示条件4条件を設け,条件ご.  近年,発達障害児に関する社会的関心が高まり,. との平均RTの変化を群間,また,個別に検討した。. 子どもに応じた適応的な関わりや環境が求められて.           【方法】. いる。.  対象者 発達障害群(発達障害児)13名,統制群(定.  発達障害児とくにAD佃D児について,先行研究. 型発達児)10名(ともに小・中学生)。対象者全員に. では,課題遂行時の刺激呈示がさまざまな影響を及. WISC・皿,保護者にADHD・RS・IV(市川他,2008),. ぼすことが示されている。例えば,Leeeta1.(2002). ASSQ−R(井伊他,2003),発達障害群の保護者にフ. によれば,AD岨D児は,計算課題に関連する視覚. ェイスシートを実施した。. 刺激を与えると,課題中の逸脱行動が減少し,遂行.  手続き下記の4条件を設定し,パソコンのディ. 数・正答率が増加するが,計算課題に関連しない視. スプレイに計算課題(25マス計算)を呈示した。パソ. 覚刺激を与えると,逸脱行動が増加し,遂行数が減. コンのディスプレイはタッチパネルになっている。. 少した。Abiko伍etaL(1996)によれば,AD皿D児は,. 25マスの1マスに,ランダムな順序で「???」が表. 音がない条件や雑音がある条件に比べて,彼らの好. 示され,下方に呈示された0から9の数字のいずれ. きな音楽を呈示する条件において計算課題の遂行成. かをタッチし,E璽を押すと回答となる。. 績が上昇した。末日ヨ(2006)によれば,。㎜岨D児は,. 条件:①聴覚刺激なし条件(BL). 計算課題遂行時に聴覚刺激を等間隔に与えると,刺.  ②聴覚刺激を回答に随伴して呈示する条件(C0). 激がない時に比べて課題遂行の所要時間が減少した。.  ③聴覚刺激を等間隔に呈示する条件(FT). これらの研究から,聴覚刺激などの『環境整備』を.  ④聴覚刺激をランダムに呈示する条件(VT). することで,AD旧D児の課題への取り組みが変化.  実験は,1目に1条件を2回行い,全部で4日間. することが示唆された。また,これまでに発達障害. 実施した。1日の流れは,計算課題→休憩(5分)→. 児には特有の感覚過敏があること(高橋他,2008)が. 計算課題であった。4日目にWISC・皿を実施した。. 示されている。このような感覚への反応の個人差が. 聴覚刺激1電子音(58dB)。PCから呈示。. 大きいと考えられる発達障害児を対象とした環境整.  分析方法WISC一皿や質問紙の結果について,群. 備に役立つ基礎研究の一つとして,聴覚刺激の時問. 間で比較した。課題遂行の平均反応時間(RT),およ. 的条件に焦点を当てた研究はまだ少ない。. び正答率について,群間・条件間で比較した。各実.  そこで本研究では,聴覚刺激の時間的条件が発達. 験参加者の条件ごとの平均RTの変化をグループ分. 障害児の計算課題にどのような影響を与えるのかを. けし,特徴を検討した。. 152一.

(2)          【結果】. り長い実験参加者,VTの平均RTが他の条件より短. Tab1e1実験参加者のWISC一皿・質問紙の結果. い実験参加者が多い結果となった。全条件で平均RT.             ^DHD・RSiI、’ WISC FIO  VIO    PIO  WSC算数(不注意.争誠 ^SSO−R M  SD  M  SD  M  SD  M  SD  M   SD  M  SD. に差がない実験参加者はASSQ・R得点が高い傾向,. BLの平均RTが他の条件より長い実験参加者は. 発ミ畠障害毒事 86−4 16,2 80,3 15,6 85.8  1フ  92  4.1  182   9j  22■8 12.3. 勧制喜  96,814.89舳11.59フ14.210 2,3 42 ,.4 2,5a9. FIQが低い傾向,VTの平均RTが他の条件より短.  実験参加者のWISC’皿・質問紙の結果をTab1e1. い実験参加者はADHD・RS・IV得点が高い傾向が示. に示した。発達障害群は統制群に比べて. された。統制群では,全条件で平均RTに差がない. ADHD−Rs・Iv得点,ASSQ・R得点が有意に高いこ. 実験参加者が多い結果となった。. とが示された順にt(20)=4.40,t(20)=3.58,〆.01)。.           【考察】. IQは群間で有意差が認められなかった。.  発達障害群は,平均RTが統制群に比べて長いこ.  フ000.  6000  5000  4000 ←. 、. と,分散が大きいことから,25ます計算の回答に時. ζ こ 、. 間がかかること,かかる時間の個人差が大きいこと が示された。これは,発達障害群特有の問題の一つ. 匝.  3000. と考えられ,他の課題でも同様の傾向が見られる可.  2000. 十発塗障害群.  1000. 一ト統制鮮. 能性がある。.   0. 12  12  12  12.  正答率について有意差が認められなかった理由は,.       条件. 本研究の実験参加者の正答率が高かったためである. Figwe1条件ごとの平均RT. と考えられる。つまり,課題が簡単すぎたため,実.  次に,両群の条件ごとの平均RTをFi馴re1に示. 験参加者全員の正答率が高くなり,群聞や条件問で. した。両群の分散が著しく異なったため,群を独立. 差が示されなかった。一方で,正答率が低く難易度. 変数,RTを従属変数として中央値検定を行った結. が高い課題を用いると,実験参加者の研究参加への. 果,発達障害群のRTが統制群のRTに比べて有意. 同意が得られない可能性が考えられた。課題の難易. に長いことが示された(炉.01)。群内で条件(4)x実. 度の設定は,このような研究において課題である。. 施順序(1,2回目)(2)を独立変数,RTを従属変数.  本研究では,実験参加者の条件ごとの平均RTの. とする実験参加者内2要因分散分析を行ったところ,. 変化に従いグループ分けして特徴を検討したところ,. 両群で,BL条件が他の条件よりも長いこと,1回目. 群比較では見られない特徴を検討することができた。. のほうが2回目より長いこと,聴覚刺激呈示条件に. 発達障害児を対象とする場合,群だけでなく個別の. よる平均RTの差は有意でなかったことが示された。. 変化を見ることで,個人差が大きい発達障害児をよ.  正答率については,平均RTと同様の分析を行っ. り理解する一つの方法になると考えられる。さらに,. たところ,群間,条件間,実施順序間のいずれにも. 対象者の把握として質問紙が重要であり,研究間で. 有意差は認められなかった。これは,全実験参加者. 結果を比較するために,質問紙の統一が必要である. の正答率が高いためであると思われた。. ことが示唆された。.  実験参加者の条件ごとの平均RTの変化をグルー.             主任指導教員(冨永良喜). プ分けした結果,発達障害群では全条件で平均RT.             指導教員(嶋崎まゆみ). 8L      CO      F「      }1一. に差がない実験参加者,BLの平均RTが他の条件よ. 153一.

(3)

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