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〈論文〉下級財を含む場合の乗法分離型効用関数の特性と効用の変化率

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Academic year: 2021

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(1)霧撫. 制㈱   1勤 生 駒 経 済 論 叢 織 鍵ン. 第11巻 第1号2013年7月. 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の 特 性 と効 用 の変 化 率 藤. 概要. 本. 正. 樹. 本 稿 は二 財 の う ち一 方 が下 級 財 とな る場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関 数 の特 性 を研 究 して い. る。 こ の場 合 に は,下 級 財 か ら得 られ る効 用 の変 化 率 が消 費 量 の増 加 と と もに逓 減 し上 級 財 か ら得 られ る効 用 の変 化 率 が消 費 量 の増 加 と と もに逓 増 す る こ と が示 さ れ る。 さ らに,効 用 の変 化 率 の変 化 と 限界 代 替 率 の変 化 の 関係,そ れ と無 差 別 曲線 の形 状 の 関係,そ. れ と 限界 代. 替 率 逓 減 の条 件 の 関係 を調 べ て い る。 そ の後 に,上 記 の結 果 を利 用 して下 級 財 を含 む場 合 の 効 用 関数 の例 を三 つ 示 して い る。 一 番 目は,上 級 財 の効 用 が 凸 関数 と指 数 関数 を使 って表 さ れ て い る例 で あ る。 二 番 目は,古 典 的 なWoldandJureen(1953)の. 例を特殊 ケースと し. て含 む上 級 財 の効 用 が一 次 関数(単 調 減 少)の 負 の べ き乗 に よ って表 さ れ て い る例 で あ る。 三 番 目 は,上 級 財 の効 用 が二 次 関数(単 調 減 少)の 負 の べ き乗 に よ っ て表 さ れ て い る例 で あ る。. キ ー ワ ー ド 上 級 財,下 級 財,乗 法 分 離 型 効 用 関数,効 用 の変 化 率 の変 化,ギ 原 稿 受 理 日2013年5月8日. 一77(77)一. ッフ ェ ン財.

(2) 第11巻. 第1号. 1.序. 下 級 財 と は,消. 費 者 の 所 得(あ. る い は 予 算)が. 増 加 す る の に つ れ て そ の消 費 量 が減 少 す. る よ うな財 で あ る。 消費 者 に よ る予 算 制 約 下 で の効 用 最 大 化 行 動 を考 え た とき に どの よ う な 財 が 下 級 財 に な る の か の 判 断 は,ス で あ る(1)。藤 本(2009)は,二. ル ツ キ ー方 程 式 の所 得 効 果 の符 号 を使 うの が一 般 的. 財 の う ち 一 方 が 下 級 財 と な る場 合 と して あ り得 る ケ ー ス を. 所 得 効 果 の 符 号 を 使 い 消 去 法 に よ っ て リ ス トア ッ プ した(2)。そ の 第 一 に は,加 用 関 数 で 下 級 財 の 効 用 が 凹 関 数,上. 法分離型効. 級 財 の効 用 が 凸 関数 で表 さ れ て い る ケ ー ス が あ る。 こ. の ケ ー ス は 現 れ る 関 数 の 性 質 が 扱 い や す く,ま. た そ の 性 質 を 持 つ 関 数 が 数 多 い た め,古. か ら 多 く の 関 数 例 が 提 示 さ れ て き た 。 例 え ば,Liebhafsky(1969)は. く. 下 級 財 の 効 用 関数. が 対 数 関 数 で 上 級 財 の 効 用 関 数 が 下 に 凸 な 二 次 関 数 の 例 で 上 級 財 ・下 級 財 の 場 合 を 扱 っ て い る。 ま たSilberbergandWalker(1984)は,Liebhafsky(1969)の. 効用関数 にマイ. ナ ス 下 級 財 の 消 費 量 の 一 次 の 項 を 付 け 加 え て 同 様 の 場 合 を 扱 っ て い る(3)。 ま た 三 土 (1992)で し て,縦. は,相. 対 的 リス ク 回避 度 一 定 の 効 用 関数 の一 次 結 合 と な る加 法 分 離 型 関 数 に対. 線 が 先 す ぼ ま り に な っ て 左 上 へ と密 集 す る よ う な 変 数 変 換 を 行 う こ と で 一 方 が 下. 級 財 と な る 効 用 関 数 を 構 成 して い る 。 さ ら にSpiegel(1994,1997)は,下 数 と し て 上 に 凸 な 二 次 関 数 で 最 大 値 以 降 一 定 値 を 取 る も の を,そ. 級 財 の効 用 関 して上 級 財 の効 用 関数 と. し て 下 に 凸 な 二 次 関 数 を 使 っ て い る(4)。 リ ス トの 第 二 の グ ル ー プ に は,効. 用 関数 の交 差 偏 導 関数 が負 とな る ケ ー ス が あ る。 この. ケ ー ス で は 下 級 財 の 効 用 が 凹 関 数 で 表 さ れ る こ と に 特 徴 が あ り,上 凸 関 数 の ど れ で も 良 い 。 こ の ケ ー ス の 関 数 例 と し て は,ま 二 変 数 の べ き 乗 の 積(下. 級 財 の 効 用 は 凹,線. ずVandermeulen(1972)の. 級 財 の 消 費 量 に つ い て 減 少 で 上 級 財 の 消 費 量 に つ い て は 凸)マ. ナ ス 下 級 財 の 消 費 量 の 負 の べ き 乗 と な る 関 数 が あ る 。 そ れ 以 外 に は,二. (3)こ. の よ う な 項 の 追 加 が 行 わ れ る の は,そ. の ケ ー ス6,第. ニ グ ル ー プ が3,4,5に,第. 級. 三グルー. の こ と に よ って興 味 深 い特 殊 ケ ー ス で あ る ギ ッフ ェ ン. 財 の 場 合 が 扱 え る か ら で あ る 。 こ の 結 果 はVandermeulen(1972)に 件(p.454の(1)式)を. イ. 変 数 の和 の べ き乗. (1)財 が 下 級 財,あ る い は 上 級 財 と な る た め の ス ル ツ キ ー 方 程 式 に よ る 十 分 条 件 に つ い て は,上 の ミ ク ロ 経 済 学 の テ キ ス ト,例 え ば,西 村(1990)やVarian(1991)な ど を 参 照 の こ と。 (2)本 稿 で の 第 一 グ ル ー フ゜が 藤 本(2009)で プ が ケ ー ス1,2,7に 当 た っ て い る。. 型,. よ る幾 何 学 的必 要 十 分 条. 満 た す よ うな財 空 間 の部 分 集 合 が 非 空 集 合 とな る のか ど うか を調 べ る こ と. で確 認 で き る。 (4)鵜. 沢(2007)は,コ. ン ピ ュ ー タ ソ フ トのMATHEMATICAを. 最 近 出 さ れ た 例 を 含 む 多 く の 効 用 関 数 に つ い て3次 特 徴 を論 じて い る。 -78(78)一. 使 っ て,こ. れ らの 例 と さ らに. 元 グ ラ フ と 等 高 線 を 描 き,そ. れ らの グ ラ フ の.

(3) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) マ イ ナ ス 下 級 財 の 消 費 量 の べ き 乗 と な る,一 Spiegel(2000)の. 方 の 生 産 要 素 が 下 級 財 と な るEpsteinand. 生 産 関 数 を 効 用 関 数 と し て 使 っ たWeber(2001)の. Iwasa,Shimomura(2009)(以. 下Doietal.(2009))に. 議 論 や,Doi,. よ る下 級 財 と上 級 財 の 消 費 量. の対 数 関数 の和 マ イ ナ ス両 財 の 消費 量 の積 とな る 関数 が知 られ て い る。 これ らの例 で の効 用 関 数 は,下. 級 財 の 消 費 量 に つ い て も上 級 財 の 消 費 量 に つ い て も 凹 関 数 と な っ て い る 。. 第 三 の グ ル ー プ に は,乗. 法 分 離 型 の ケ ー ス を 含 む 効 用 関 数 の 交 差 偏 導 関 数 が 正 とな る ケ ー. ス が あ る 。 こ の ケ ー ス で は 上 級 財 の 効 用 が 凸 関 数 で 表 さ れ る こ と に 特 徴 が あ り,下 効 用 関 数 の 方 は 凹,線. 型,凸. 級財 の. 関数 の どれ で も良 い。 この ケ ー ス の研 究 は加 法 分 離 型 の ケ ー. ス ほ ど 盛 ん で は な く,Liebhafsky(1969)は. 交 差 偏 導 関数 が 正 とな る場 合 の ス ル ツ キ ー. の 安 定 性 条 件 を 使 っ た 分 析 が さ ら な る 興 味 深 い 研 究 テ ー マ と な る と し な が ら も,そ の 関 数 と し て 加 法 分 離 型 関 数 を 二 乗(つ. ま り単 調 増 加 変 換)し. のため. た も の を 勧 め る な ど,加. 法. 分 離 型 の ケ ー ス の 延 長 線 上 に あ る ケ ー ス と捕 ら え ら れ て い る よ う で あ る 。 具 体 的 な 関 数 例 も,WoldandJureen(1953)に. よ る乗 法 分 離 型 の 例 が 知 ら れ て い る程 度 で あ る。. 本 稿 で は乗 法 分 離 的 な 関数 の ケ ー ス を対 象 と して効 用 関数 の性 質 を理 論 的 に研 究 す る。 乗 法 分 離 型 効 用 関 数 を 対 象 と す る 場 合 の メ リ ッ トは,消 を 考 慮 で き る と い う こ と だ け で は な く,技. 費 者 の効 用 を通 じた財 の相 互 連 関. 術 的 に も効 用 の 「単 調 増 加 性 」 や 「強 い 意 味 で. の 準 凹 性 」 な ど の 基 本 的 な 条 件 に よ っ て 関 数 の 定 義 域 が 制 限 さ れ に くい と い う こ と が あ る 。 こ の 点 に 関 して はLiebhafsky(1969)の 手 くい か な い(5)。(以 下,下. 言 う よ うに加 法 分 離 型 関数 の 二 乗 を使 っ て は上. 級 財 の 消 費 量 を 横 軸 に上 級 財 の消 費 量 を 縦 軸 に と る こ と とす. る 。)例 え ば,Liebhafsky(1969)の. 加 法 分 離 型 効 用 関 数 の 例 で は 「限 界 代 替 率 の 逓 減 」. の た め に 上 級 財 の 消 費 量 が 一 定 値 よ り 大 き く な ら な け れ ば な ら な い 。 ま たSilberberg andWalker(1984)の. 加 法 分 離 型 の 例 で は,「 限 界 代 替 率 の 逓 減 」 の た め に あ る 右 下 が. り の 直 線 の 右 上 側 に 定 義 域 が 制 限 さ れ,ま. た 「下 級 財 の 限 界 効 用 が 正 」 と な る た め に そ の. 消 費 量 が 一 定 以 下 の と き だ け に 制 限 さ れ て い る 。 そ し てSpiegel(1994,1997)の 離 型 の 例 で も定 義 域 に 同 様 の 制 限 が 現 れ る の で,下. 加法分. 級 財 の 限界 効 用 が ゼ ロ とな る消 費量 以. 上 で は 下 級 財 の 効 用 は 定 数 と さ れ て い る 。 交 差 偏 導 関 数 が 負 の 場 合 で も,Vandermeulen (1972)の. 例 で は 「限 界 代 替 率 の 逓 減 」 の た め に あ る 右 下 が りの 曲 線 に よ っ て 左 下 側 か ら,. ま た 「下 級 財 の 限 界 効 用 が 正 」 で あ る た め に 別 の 右 下 が り の 曲 線 に よ っ て 右 上 側 か ら定 義 域 が 制 限 さ れ て い る。 ま た,Weber(2001)の. 例 で は 「下 級 財 の 限 界 効 用 が 正 」 と な る た. (5)こ の こ と の証 明 は巻 末 の付 録 で行 う。 こ こ で は まず 限界 代 替 率 が序 数 的効 用 の概 念 で あ る こ と に注 意 さ れ た い。 -79(79)一.

(4) 第11巻. 第1号. め に あ る右 下 が りの 曲線 に よ って 右 側 か ら定 義 域 が 制 限 さ れ て い る。 同 様 にDoietal. (2009)の. 例 で も 「下 級 財 の 限界 効 用 が 正 」 と な る領 域 は あ る右 下 が りの 曲 線 の 左 下 側 だ. け で あ り,そ の右 上 側 で は下 級 財 の 限界 効 用 が ゼ ロ とな る 関数 が ス ム ー ズ に接 続 さ れ て い る 。 こ れ らの 制 限 の 内 でVandermeulen(1972),SilberbergandWalker(1984), Spiegel(1994,1997),Doietal.(2009)に. 見 られ る 「そ の上 で 下 級 財 の 限 界 効 用 が ゼ ロ. とな る(無 差 別 曲線 が水 平 とな る)右 下 が りの 曲 線(あ Vandermeulen(1972,p.457)に. る い は垂 直 線)」 に よ る制 限 は,. よ って 「効 用 の飽 和 」 と呼 ば れ て お り,ギ ッフ ェ ン財 の. 場 合 の 必 要 条 件 だ とさ れ て い る(し か し3.1節の(例3.1)に. よ れ ば,こ の 種 の 制 限 は必 ず. し も必 要 で は な い)。 そ して,「 限界 代 替 率 の逓 減 」 に よ る左 下 か らの制 限 は 関数 形 に よ る もの で あ る。 そ れ ら に対 して,乗 法 分 離 型 の場 合 に はWoldandJureen(1953)の. 例を. 特 殊 ケ ー ス と して含 む ク ラ ス の 関数 を考 え れ ば,パ ラ メ ー タ の値 を適 切 に決 め る こ とで定 義 域 は右 上 側 や左 下 側 か らの制 限 は受 け な い(た だ し,彼 らの オ リ ジナ ル は ギ ッフ ェ ン財 を考 え て い る た め,ギ. ッフ ェ ン財 の 消費 量 が正 で あ りそ の とき の効 用 が正 か つ有 限 とな る. た め に定 義 域 が左 側 と上 側 か ら制 限 さ れ て い る)。 本 稿 で は,下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の性 質 とそ の経 済 学 的 イ ンプ リケ ー シ ョン,さ らに そ れ を構 成 す る 関数 の性 質 と見 つ け方 を 明 らか にす る。 そ の とき に 中心 と な る概 念 が 「効 用 の変 化 率 の変 化 」 で あ る。 これ を使 え ば,下 級 財 を含 む場 合 とは上 級 財 の効 用 の変 化 率 が逓 増 し下 級 財 の効 用 の変 化 率 が逓 減 して い る とき で あ る と言 う こ とが で き る。 この概 念 が現 れ て くる の は以 下 の理 由 に よ る。 一 般 に,上 級 財 と下 級 財 の 関係 は二 財 の 限界 代 替 率 が そ れ ぞ れ の 消費 量 の変 化 に よ って どの よ うに変 化 す る の か とい う と ころ に現 れ て くるの で あ る(補 論 を参 照 さ れ た い)。 そ の 結 果 と して 乗 法 分 離 型 の 場 合 で は, 限界 代 替 率 の分 母 ・分 子 に現 れ る効 用 の変 化 率 の変 化 に よ って上 級 財 と下 級 財 の 関係 が特 徴 づ け られ る の で あ る。 以 上 の結 果 は,第 一 グ ル ー プ で あ る加 法 分 離 型 の場 合 に 限界 効 用 の変 化(効 用 関数 の二 階微 分)が 果 た して い る の と同 じ役 割 を,乗 法 分 離 型 の場 合 に は効 用 の変 化 率 の変 化 が果 た して い る の だ と理 解 す る こ とが で き る。 さ らに,限 界 代 替 率 の変 化 の仕 方 を通 じて,効 用 の変 化 率 の変 化 の仕 方 が持 つ経 済 学 的意 味 も分 か り,下 級 財 が あ る場 合 の無 差 別 曲線 の形 状 に見 られ る特 徴 に つ い て も分 か る の で あ る。 さ らに,効 用 の変 化 率 の変 化 と限界 効 用 の変 化 の 関係 を考 察 す る と,効 用 の変 化 率 の逓 増(逓 減)は. 限界 効 用 の逓 増(逓 減)よ. り もか な り制 約 的 な(緩 い)条 件 で あ る こ とが分. か る。 この こ との含 意 は以 下 の三 つ で あ る。 第 一 に,乗 法 分 離 型 の とき の下 級 財 は加 法 分 離 型 の とき よ り も非 常 に あ りに くい の だ とい う こ とが分 か る。 第 二 に,先 ほ どの分 類 で の 一80(80)一.

(5) 下級財 を含 む場合 の乗法分離型効用 関数 の特性 と効用 の変化率(藤 本) 第 三 グ ル ー プ の結 果 を よ り正 確 に言 い直 す こ とが で き る。 正 確 に は,乗 法 分 離 型 効 用 関数 の場 合 の下 級 財 の効 用 関数 は 凹,線 型 ま た は変 化 率 が逓 減 す る 凸 関数 で あ り,上 級 財 の効 用 関数 は変 化 率 が逓 増 す る 凸 関数 で あ る。 第 三 に,限 界 効 用 が逓 増 して い て も変 化 率 が逓 減 す る こ と もあ り得 る の で,グ ラ フ の形 状 を見 た だ け で は変 化 率 の変 化 は判 別 が 困難 な の だ とい う こ とで あ る。 この点 に 関 して は,本 稿 で は グ ラ フ を使 った効 用 の変 化 率 の変 化 の 簡 単 な判 別 法 を示 して い る(2.2節)。 本 稿 の構 成 は以 下 の とお りで あ る。 第2節. で は最 初 に,上 級 財 と下 級 財 の判 別 の た め に. 効 用 の 変 化 率 の 変 化 と い う概 念 を導 入 し(2.1節),そ 差 別 曲 線 の形 状 と の 関係(2.2節),さ. れ と限 界 代 替 率 の 変 化 と の 関係,無. らに 限 界 代 替 率 逓 減 の 条 件 との 関 係(2.3節)を. 示. して い る。 次 い で2.4節 で は,変 化 率 の 変 化 の仕 方 と関 数 の性 質 の 関 係 を調 べ て い る。 そ こで の結 果 を使 って,第3節. で は さ ま ざ ま な 関数 の性 質 を チ ェ ック し,下 級 財 を含 む場 合. の効 用 関数 の例 を三 つ示 して い る。 一 番 目は,上 級 財 の効 用 が 凸 関数 と指 数 関数 を使 って 表 され て い る例 で あ る(例3.1)。. この場 合 に は,限 界 代 替 率 逓 減 の た め に定 義 域 が下 側 か. ら制 限 され るが,一 定 の条 件 の 下 で ギ ッフ ェ ン財 の 場 合 も扱 え る。 二 番 目 は,古 典 的 な WoldandJureen(1953)の (単 調 減 少)の. 例 を特 殊 ケ ー ス と して 含 む 上 級 財 の 効 用 関 数 を 一 次 関 数. 負 の べ き乗 とす る例 で あ る(例3.3-1)。. で も検 討 した の だ が,最. この ク ラ ス の 関数 は 藤 本(2009). も良 い性 質 を持 つ扱 い や す い 関数 例 で あ る。 三 番 目は,上 級 財 の. 効 用 関数 を 二 次 関 数(単 調 減 少)の 負 のべ き乗 とす るバ リエ ー シ ョンで あ る(例3.3-2)。 この場 合 は限 界 代替 率 の逓 減 に よ って定 義 域 が下 側 か ら制 限 され る こ と とな る。 第4節. は,. 本 稿 で 明 らか に した変 化 率 が逓 増 ・逓 減 す る 関数 の性 質 を,変 化 率 が逓 増 す る 関数 を見 つ け る手 続 き を通 じて体 系 化 して い る。 最 後 に補 論 で は,上 級 財,下 級 財 とギ ッフ ェ ン財 の 区別 と限界 代 替 率 の変 化 の 関係 に つ い て の一 般 論 を展 開 して い る。. 2.上. 2.1上. 級財,下 級財 と乗法分離型効用 関数 の性質. 級 財 ・下 級 財 の 区 別 と財 の 効 用 の 変 化 率. こ こで は,乗 法 分 離 型 効 用 関数 と して. σ 一 ∫(のs(∬. 、). を 考 え る 。 こ こ で,記. 号 ∬、は 下 級 財(財. 乞と 呼 ぶ)の. -81(81)一. 消 費 量,∬ 、は 上 級 財(財sと. 呼 ぶ).

(6) 第11巻 の 消 費 量 を 表 す 。 同 様 に,関 効 用 を 表 す 。 す る と,各. 数 ∫ は 下 級 財 か ら得 ら れ る 効 用 を,関. 数Sは. 上 級 財 か らの. 財 の 消 費 量 に よ る 偏 微 分 は:. α 一 ∫'(∬ゴ)S(∬、),の. 一 ∫"(灘∂S(∬ 、),α 、-1ノ(灘 ∂Sノ(∬、)一 恥. 砿=∫(」 じ3)Sノ(∬ 、),砿 、=∫(銑)S"(∬. と な る 。 こ こ で,記. 第1号. 、). 号 は 通 常 ど お り α 一 ∂σ/∂銑 な ど で あ り,下. 付 の 文 字 は どの 財 の消. 費 量 で 微 分 し て い る か を 表 し て い る 。 こ れ ら の 偏 微 分 に つ い て は,各. 財 の効 用 が正 で あ る. こ と と限界 効 用 が正 で あ る こ とを基 本 的 な前 提 とす る。. 基 本 的 前 提:各. 財 の 消 費 量 が 正 で あ る 場 合 に は,効. か つ 限 界 効 用 も正 ∫'(」 じ ∫)>0,S'(∬,)>0,で. ま ず,財. ∫の 財sで. 用 は 正 ∫(∬f)>0,S(∬. 、)>0で. あ り,. あ る とす る 。. 測 っ た 限 界 代 替 率 が 逓 減 し て い る と す る(限. 界 代 替 率 逓 減 の条 件 に. つ い て は2.3節 で 改 め て 検 討 す る):. (条件A)議. こ の と き,財. 職. 幅)一. 一孟 憺. 。_)〈. ゴが 下 級 財 で あ る た め の 十 分 条 件 は,そ. ・. の 所 得 効 果 の 符 号 が 負 と な る こ とよ. り(6),. (条 件B)砿. α 、一 α 砿 、一 ∫艦)∫. ノ(∬f)[(S'(灘. 、))2-S(∬. 、)S"(∬,)]〈0. が 満 た さ れ て い る。 上 記 の 基 本 的前 提 よ り,こ こ で の 場 合 に は上 級 財sか. らの効 用Sの. 方 が条 件:. ・<細. く 器(1). を 満 た す 。 また,財sが. 上 級 財 とな るた め の十 分 条 件 は,そ. の所 得 効 果 が 正 とな る こ と. より. (6)こ. の 条 件 に つ い て は,例. え ば,西. 村(1990)の. ど を参 照 さ れ た い。 -82(82)一. 第3章. の3.5補 論 やVarian(1991)の8.4節. な.

(7) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) (条 件C)α. 賑 一 砿 傷. 一S(灘. 、)S'(∬ 、)[(∫ ノ(銑))2-∫(銑)∫"(灘. ρ]>0. を満 た す。 よ って,基 本 的前 提 の下 で は下 級 財 ゴか らの 効 用 ∫の方 が条 件:. 留>1;1潔(2) を満 た す。 これ らの条 件 式(1)と(2)より,一 方 の財 の 消費 者 に と って の特 性 は そ れ 自体 か ら の効 用 で は な く他 方 の財 か らの効 用 の性 質 に よ って決 ま って くる こ とが分 か る。 この結 果 は加 法 分 離 型 の ケ ー ス で 良 く知 られ た結 果 と同様 で あ る。 本 稿 で は,上 級 財 の十 分 条件(1)が満 た さ れ る よ うな場 合 を 「効 用 の変 化 率 が逓 増 す るケ ー ス」 と,そ して下 級 財 の十 分 条 件(2)が満 た され る場 合 を 「効 用 の 変 化 率 が逓 減 す る ケ ー ス」 と呼 ぶ。 こ こで,本. 稿 全 体 で の 関 数 記 号 の 使 い分 け につ い て の 決 め事 を して お く。 以 下 で は,. 「効 用 」,「上 級 財 」 や 「下 級 財 」 な ど,対 象 の 経 済 学 的 な 意 味 を 含 め て 議 論 す る場 合 に は, 関数 記 号 σ,∫ やSな. ど を用 い る。 そ れ に対 して,特 に経 済 学 的 な意 味 を含 ま な い 関数 の. 性 質 を議 論 す る場 合 に は,関 数 記 号FやGな. 2.2効. どを 使 う こ と にす る(7)。. 用 の 変 化 率 の 変 化:幾 何 学 的 特 徴 と経 済 学 的 イ ンプ リケ ー シ ョン. こ こか らは,効 用 の変 化 率 の変 化 の仕 方 と関数 の性 質 の 関係 を 明 らか に して い く。 まず は,そ の 呼 び方 の 由来 とな る,商 の微 分 の符 号 と分 母 ・分 子 の変 化 率 の大 小 関係 に よ る以 下 の結 果 を示 して お く。. 命 題1.関. 数F:S→R(任. 意 の ∬ ∈Xに. 対 し てF(∬)>0か. つF'(∬)>0)が. 条 件 式:. Fノ(∬)F"(∬) F(の. くF・(の. を 満 た す 必 要 十 分 条 件 は,そ す る)こ. の 変 化 率Fノ(の/-F(の. が ∬ の 増 加 と と も に 増 加 す る(逓. 増. とで あ る。. (7)前 者 の 例 と して は,2.2節 の(図 例)や(経 済 学 的 イ ンプ リケ ー シ ョ ン),2.3節 で の 限 界 代 替 率 との 関係,第3節 の効 用 関数 の例 な ど が あ る。 後 者 の例 と して は,各 命 題 や第3節 の関 数 例 な ど が あ る。 -83(83)一.

(8) 第11巻. 第1号. 逆 に,変 化 率 が 灘 の 増 加 と と もに 減 少 す る(逓 減 す る)場 合 に は,上 記 の条 件 式 の不 等 号 が逆 とな る。 証明. 関数Fの. 変 化 率 を ∬ で微 分 す る と,商 の微 分 よ り. 議(.Fノ ⑰)-F(∬))一 飾)鴇 を 得 る(8}。任 意 の ∬ ∈Xに. 鯉)2-(潔)[(多;1鍔)一(需)]. 対 してF⑰)>0か. つF'⑰)>0で. あ る こ と よ り,こ. よ って上 記 の結 果 が成 立 す る。. こ こか らは,こ の命 題1に 件 を(条 件E)と. 証 明終. 出 て くる変 化 率 の逓 増 条 件 を(条 件D)と,変. こ で は,命. 題1で. 得 ら れ た 結 果 を 実 践 的 に 活 用 し て い く た め に,こ. 命 題 で 得 ら れ た 必 要 十 分 条 件 を 使 っ て 変 化 率 が 逓 増(逓 数 〃-F(の(-Fノ>0)の. 交 わ る 点(∬1,0)を. 一F⑰o)/-Fノ⑰o)が. 考 え る 。 そ し て,△. ∬ 一 ∬o一ガ>0と. 化 率 逓 増(逓. き く)な. 減)の. お け る接 線 が横 軸 と. △〃 一 〃o-F(∬o)と. お く。. れ よ り 式 △∬ 一. の と き の 横 軸 上 の 線 分 の 長 さ △∬(変. ケ ー ス で は 接 点(∬o,〃o)を. 右 方 に とれ ば と る ほ. って い く こ とが言 え る。. こ の よ う な 幾 何 学 的 な 方 法 が 使 え れ ば,乗 を 描 い た 際 に,そ. の. る場 合 の グ ラ フ の特 徴 を説. △酬 △〃 で あ る か ら,こ. 得 ら れ る 。 先 の 命 題 に よ る と,こ. 化 率 の 逆 数)は,変. 減)す. グ ラ フ 上 の 一 点(灘o,〃o)に. こ の と き 接 線 の 傾 き の 逆 数 は1/Fノ(灘o)一. ど小 さ く(大. 化 率 の逓 減 条. 呼 ん で お く。. (図 に よ る 説 明)こ. 明 す る。 今,関. れ らに. 法 分 離 型 の効 用 関数 の ケ ー ス の三 次 元 グ ラ フ. の 特 徴 を よ り正 確 に 読 み 取 る こ と が で き る 。 つ ま り,一. を 固 定 し て 効 用 曲 面 を 縦 に 切 っ た 切 り 口 と な る 曲 線 を 見 た と き に,そ. 方 の財 の 消費 量. の 曲 が り具 合 が 消 費. 量 を 固定 した方 の財 を下 級 財 に す る程 度 な の か ど うか を この方 法 で正 確 に調 べ られ る の で あ る 。 以 下 で こ の 方 法 の 応 用 例 を 経 済 学 で 良 く知 ら れ た 二 つ の 効 用 関 数 に よ っ て 示 す 。. (図 例一1)限. 界 効 用 が 一 定 で あ る効 用 関 数 σ 一 ∬1物の ケ ー ス. こ こで 両 財 の 限 界 効 用 が 一 定 で あ る効 用 関数 σ 一 苅物 を考 え る。 この 場 合,ど. ち らの. 財 の 消費 量 を い く らで 固定 しよ う と も切 り口 とな る 曲線 は原 点 を通 る直 線 で あ り,ゆ え に. (8)こ. の式 を用 い れ ば第3節. の効 用 関数 例 で の計 算 が非 常 に簡 単 に な る。 -84(84)一.

(9) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) そ の 接 線 は そ の 直 線 自身 に 一 致 す る 。 例 え ば,財2の. 消 費 量 を 勉 に 固定 して 求 め た横 軸. 上 の 線 分 の 長 さ は △銑 一 球 と な り,接. 消 費 量 鷲 を 増 加 さ せ る毎 に 大 き く. 点 で の 財1の. な る こ と が 分 か る 。(定 義 に 従 っ て こ れ を 計 算 す る と △∬1一 σ(球,∬2)/研(球,灘2)一 と な る 。 あ る い は,接 そ の こ と か ら 財1の (財1に. 鷲. 線 と横 軸 と の 交 点 が 原 点 な の で 耐 一 〇 と な る こ と に 注 意 さ れ た い 。) 効 用 の 変 化 率 は 逓 減 し,よ. つ い て も 同 様 。)以 下 の 図1は. 容 易 に 確 認 で き る よ う に,接. 財2の. っ て 財2が. 上 級 財 と な る こ とが 分 か る。. 消 費 量 を 勉 一1と. した と き の グ ラ フ で あ る 。. 点 が よ り右 方 に あ る と き ほ ど 横 軸 上 の 線 分 △苅 は 長 くな る 。. 7 l l l l l. I. l l. I I. l. I. l. I. TI I I II I I II I. l. I. l. l. I. l. l. I. l. l. I. l. l. 一. I I. l l. I. l. l. I. l. l l. I I. l l. l. I. l. l. l. l l. I. l l. l. I. l. l. I. l. l. ⊥ I. l l. I. l. l. I. l. l l. I I. l l. l. I. ー. ﹁. l. ⊥. ヨ. I I I II I I II I I II I I II I I II I I. l l. I I. l l. I. l. I. ー. I I. l l. I. I I. l l. I. I. l. I. l. I. I -. ll. I-. 一. 一. 一. I. lI. I. 6. 0. l. I I. l. 一. 一. 1. l l. 2. l. 3. I. 6 4. I I. r l l ll l. [I I II I I II I I I II I I II I I II I I II I I II I I II I. σ 5. 0. 1. 2. 3. 4. 5 1. κ. 図1限. (図 例 一2)限. 界効用が一定 のケース. 界 効 用 が 逓 減 す る コ ブ ・ ダ グ ラ ス 型 効 用 関 数 σ 一 ∬"履 一α(0<α<1). のケース こ こ で は コ ブ ・ダ グ ラ ス 型 を 考 え る 。 こ の 場 合 に も財2の. 消 費 量 を 物 に 固 定 して求 め. た 横 軸 上 の 線 分 の 長 さ は 同 様 の 形 と な り,△ 銑=σ(0二 じ1,二 じ2)/研(尋,∬2)=球/α よ っ て,先. ほ ど の ケ ー ス と 同 様 に 財1か. (こ の 結 果 と 先 ほ ど の 結 果 の 関 係 は,2.4節. ら の 効 用 の 変 化 率 は 逓 減 し,財2は で 示 さ れ る 命 題2の. -85(85)一. とな る。. 上 級 財 と な る。. 結 果 を 通 じて 理 解 で き る 。).

(10) 第11巻 以 下 の 図2は. 第1号. パ ラ メ ー タ を α 一 〇.5と ∬2-1と. で き る よ う に,接. 点 が 且 一(1,1)の. が 且L(4,2)と. な っ た と き の 線 分B℃'の. した 場 合 の グ ラ フで あ る。 容 易 に確 認. と き の 横 軸 上 の 線 分 一8Cの 長 さ △苅 一2よ. 方 が長 くな って い る。. 1.  1. TlT. 3. 長 さ △靖 一8の. り も接 点. σ 2.5 l l l l l 一. 一.  . 2. '. 浸. 1.5. 4. 1 ー ー. 一. 一. 一L. 一. 一. 一L. 一. 一. 一L. 一. 一. 一L. 一. 一. 一IIIIIIIL. 一一. 一一. 一. 一. 一. 一. 一. 一. 一. 一 L 一. 一. 一. 一. 一. ■. L I I. 0.5. I. '. C. C. β. β. '. I I l. 0. 一4-3-2-10123456. κ1. 図2コ. (経済 学 的 イ ン プ リケ ー シ ョン)こ. ブ ・ダ グ ラ ス 型 の ケ ー ス. こで は,命 題1の 経 済 学 的 イ ンプ リケ ー シ ョ ンを示 す 。. そ の た め に,先 ほ どの(図 に よ る説 明)と は違 い効 用 曲面 を横 に切 って,そ の切 り口 とな る無 差 別 曲線 の傾 き で あ る 限界 代 替 率 を使 う。 こ こで 限界 代 替 率 を考 え る の は,一 方 が上 級 財 で他 方 が下 級 財 とな る両 財 の 関係 に つ い て の情 報 が,そ れ ぞ れ の財 の消 費量 を変 化 さ せ た とき の 限界 代 替 率 の変 化 の仕 方 に集 約 さ れ て い る か らで あ る。 どの よ うな財 が上 級 財 や下 級 財 に な る の か は 消費 者 の選 好 に よ る と言 わ れ て い る。 ま た,上 級 財 や下 級 財 とい う の は二 つ の 財 の 相 対 的 な 関 係 で決 ま って く る と も言 わ れ て い る(9)。以 下 に見 る よ う に,上 級 財 と下 級 財 の 区別 が 消費 者 の選 好 に どの よ うに依 存 し,ま た そ れ らが 消費 者 に と って ど. (9)こ. れ ら の 点 に つ い て 藤 本(2009)で. 西 村(1995),井. 堀(2004),神. は,標. 準 的 な ミ ク ロ経 済 学 の テ キ ス ト,奥. 戸 ・賓 多 ・濱 田(2006)な -86(86)一. 野 ・鈴 村(1985),. ど の記 述 を基 に検 討 して い る。.

(11) 下級財 を含 む場合 の乗法分離型効用 関数 の特1生と効用 の変化率(藤 本) の よ うな 関係 に あ る の か とい う こ とが 限界 代 替 率 の変 化 の仕 方 か ら分 か る の で あ る。 限界 代 替 率 とは,一 方 の財 の 消費 を 限界 的 に増 加 さ せ る場 合 に,も. う一 方 の財 の消 費 を. どれ だ け犠 牲 に して も良 い と考 え る の か とい う,効 用 が一 定 とい う条 件 下 で の二 財 の交 換 比 率 で あ る。 ま た そ れ は,消 費 を 限界 的 に増 や す一 方 の財 へ の評 価 を も う一 方 の財 の消 費 と比 較 す る形 式 で 示 した もの と も言 え る(10)。 財 の 性 質 を特 定 せ ず に番 号 だ け で 区別 す る と, 財1の. 財2で 測 った 限 界 代 替 率 は,効 用 一 定 の 条 件4σ. 一 研4∬1+の 伽2-0の. 下 で の交. 換 比 率 で あ り,二 財 の 限界 効 用 の比 とな る:. 一 ル1R∫12(」 じ1,」じ2)一. 一 叢菱≒ σ_oo . 一. 象. こ こで は,効 用 の変 化 率 の変 化 と限界 代 替 率 の変 化 の 関係 を示 す た め に三 つ の財 を考 え る。 一 つ 目の 財 ∫と二 つ 目の財 ブは と も に効 用 の 変 化 率 が 逓 減 す る よ う な財,そ 目の 財sは. して三 つ. 効 用 の 変 化 率 が逓 増 す る よ うな 財 で あ る とす る。 そ して,二 財 の組 み 合 わ せ. 方 を二 通 り考 え る。 一 番 目の組 み合 わ せ は財 ∫と財 ブの組(銑 ・∬ブ)を消 費す る よ うな場 合 で あ り,二 番 目 の組 み 合 わ せ は財 ゴと財 ∫の組(二じ 歪,二 じ ∫)を 消 費 す る よ うな 場 合 で あ る。 最 初 の場 合 に は 両方 の 財 が上 級 財 とな って い るの に対 し,二 番 目の 場 合 で は財 ゼが下 級 財 で財sが. 上 級 財 とな る こ と に注 意 され た い。. ま ず,最 初 の 組 み 合 わ せ か ら考 え る。 効 用 関 数 が 乗 法 分 離 型 で あ る た め に財 ∫の 財 ブで 測 った 限界 代 替 率 は二 財 の効 用 の変 化 率 の比 とな る:. 一MRS幽. わ 錫)一. 一 鵜. 一. (留). ゆ(ノ 留). この式 中 の 関数 ノは 財 ブの効 用 で あ り,こ れ ま で と 同様 の表 記 の仕 方 を して い る。 この式 よ り,消 費 者 の選 好 を通 じた二 財 の相 対 的 な 関係 は そ れ ぞ れ の効 用 の変 化 率 か ら決 ま って くる こ とが分 か る。 こ こで,二. (10)こ. 財 の消 費 量 を任 意 の(η ・∬ブ)に 固 定 して,そ. こ か ら財 ゴの 消 費 量 の み を増. こ で 使 っ て い る 「交 換 比 率 」 と い う 言 葉 は 奥 野(2008,p.34)に,ま. な 評 価 を,も. た. 「消 費 水 準 の 限 界 的. う一 方 の 財 の 消 費 と 比 較 す る 形 式 で 示 す 」 と い う 解 釈 は 井 堀(2004,p.77)に. て い る。 -87(87)一. 負 っ.

(12) 第11巻. 第1号. 加 させ た場 合 の 限界 代 替 率 の変 化 と財 ブの消 費 量 の み を増 加 させ た場 合 の 限界 代 替 率 の変 化 を調 べ る。 ま ず,財. ∫の 消 費 量 の み を増 加 させ た場 合 の 限界 代 替 率 の変 化 は,こ の財 の. 効 用 の変 化 率 が逓 減 す る(条 件E)こ. 一 そ して,財. 趣. とか ら減 少 とな る:. ゆ一懲)〈. ・. ブの 消 費 量 の み を増 加 させ た場 合 の 限界 代 替 率 の変 化 は,こ の財 の効 用 の変 化. 率 が逓 減 す る(条 件E)こ. 一. 継. とか ら増 加 す る:. ゆ 一齢. ・孟(1ノ(∬ ブ)ノ( 灘 ブ))〉・. これ らの結 果 は,両 方 の 財 が 上 級 財 で あ る場 合 に は,財. ゼの 限 界 的 な 消 費 を 財 ブの消 費 と. 比 較 した 「相 対 的 な」 評 価 は そ の 財 ゼの 消 費 が 大 き くな る ほ ど低 くな り,も う一 方 の財 ブ の 消費 が大 き くな る ほ ど高 くな る こ とを意 味 して い る。 この結 果 は 消費 水 準 が大 き くな る ほ どそ の財 の追 加 的 な 消費 に対 して の評 価 が低 くな って い く とい う通 常 の結 果 と整 合 的 で あ る。 そ れ に対 して,上 級 財 と下 級 財 の組 み合 わ せ の場 合 に は これ とは全 く異 な る結 果 が得 ら れ る。 二 財 の 消 費 量 を 任 意 の(」じ3,二 じs)に固 定 して,そ. こか ら財 ゼ(下 級 財)の 消 費 量 の み. を増 加 させ た場 合 の 限 界 代 替 率 の 変 化 を 求 め る と,財. ∫の効 用 の変 化 率 は逓 減 す る(条 件. E)こ. とか ら,こ ち らの方 は先 ほ どの場 合 と同様 に減 少 とな る:. 孟(∫ ∫(灘 ノ(∬ ρ) ∂. ∂MRS ゴ 、(」じゼ,灘s)一(条 件H) ∂銑. 〈0. (3). (s'(灘 、)s(∬ 、)). しか し,財s(上. 級 財)の 消 費 量 の み を増 加 させ た場 合 の 限 界 代 替 率 の 変 化 は,こ の財 の. 効 用 の 変 化 率 が 逓 増 す る(条 件D)こ. とか ら,先 ほ ど の場 合 と は逆 に 減 少 とな るの で あ 一88(88)一.

(13) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本). る(11). 一)訟 一. 一一編. 畿)<・. これ らの結 果 を先 ほ どの結 果 と比 較 して み る。 す る と,財. (4). 乞の 限界 的 な消 費 を も う一 方. の財 の 消費 と比 較 した 「相 対 的 な」 評 価 は,組 み合 わ さ れ る も う一 方 の財 の性 質 に よ って 変 わ って く る こ と が分 か る。 も う一 方 の財 が 効 用 の変 化 率 が逓 増 す る よ うな 財sで 場 合 に は,財. ある. ゼの 「相 対 的 な」 評 価 は ど ち らの財 の消 費 が増 加 した場 合 に も低 くな って い. くの で あ る。 この こ とは,下 級 財 に対 す る相 対 的 な評 価 は上 級 財 を よ り多 く消費 して い る とき ほ ど低 くな る こ と を意 味 す る(1オ 。 これ が 命 題1の 結 果 か ら言 え る上 級 財 と下 級 財 の 関 係 で あ る。. 当然 の こ とな が ら,財 の 消費 の組 を動 か した とき の 限界 代 替 率 の変 化 の仕 方 は無 差 別 曲 線 の形 状 を決 め て い る。 こ こで は,以 上 の結 果 と無 差 別 曲線 の形 状 の 関係 を考 察 す る。 両 方 が上 級 財 で あ る財 ゼと財 ブの 組 み 合 わ せ で は,財. ゼの 消 費 量 の 増 加 に よ っ て 限界 代 替 率. は 小 さ く な り財 ブの 消 費 量 の 増 加 に よ っ て そ れ は 大 き く な っ た 。 こ こ で,消 意 の(銑,∬. ブ)に 固 定 し て そ こ か ら 両 財 の 消 費 量 を そ れ ぞ れ(d銑,砒. とを 考 え る。(条 件F)と(条 さ せ る(4銑>0と. 件G)よ. 砒 ブ<0)右. 費 量 の組 を任. ブ)だ け 変 化 さ せ る こ. り,財 ゼの 消 費 量 を増 加 させ 財 ブの 消 費 量 を減 少. 下 方 な ら ば,そ. の 範 囲 で ど の 向 き に消 費 の組 を 動 か して. も限界 代 替 率 は小 さ くな って い き,逆 に財 ゴの 消費 量 を 減少 させ 財 ブの消 費 量 を増 加 さ せ る(砒. 、<0と. 鵜>0)左. 上 方 へ 動 か す な ら ば,限. 界 代 替 率 は 大 き くな って い くこ と が. (ll)Vandermeulen(1972)は 幾 何 学 的 な考 察 か らこ の性 質 を 指摘 し,こ れ を 「下 級 財 の消 費 が効 用 を増 加 さ せ る効 果 と減 少 させ る効 果 を 同時 に持 ち有 限 の消 費 の組 で下 級 財 の 限界 効 用 が ゼ ロ と な る」 よ う な 関数 の性 質 か ら 「 効 用 の飽 和 」 と い う言 葉 を使 っ て説 明 しよ うと して い る。 そ れ に 対 して本 稿 で は,上 級 財 の効 用 の増 加 の程 度 か らこ の性 質 を得 て い る。 こ ち らの方 が スル ツ キ ー 方 程 式 か ら得 られ る結 果 「一 方 の 財 の特 性 は他 方 の財 か ら得 られ る効 用 の性 質 か ら決 ま って い る」 と整 合 的 で あ る と思 わ れ る。 ま た 効 用 の 増 加 の程 度 に つ いて は,Weber(1997)がWoldand Jureen(1953)の 効 用 関 数 に お い て 上 級 財 の 効 用 の 増 加 の程 度(限 界 効 用 の 二 階 微 分)が 大 き い こ と に は着 目 して い る。 働. 加 法 分 離 型 σ=∫(∬ 、)+S(必,)の 場 合 で も,下 級 財 の 効 用 関数 の方 が 凹,ズ(∬ 、)<0,で 上 級 財 の 効 用 関 数 の 方 が 凸,S"(∬. 。)>0,で. あ る こ と か ら,限. あり. 界 代 替 率 ル択S,。(∬ 、,∬,)=. 1(∬,)/Sノ(灘、)は同 様 の 変 化 をす る。2.2節 の 判 定 条 件(1)と(2)とこ こで の結 果 か ら,加 法 分 離 型 の 場 合 に 限界 効 用 を使 っ て調 べ られ る こ とと 同 じこ と を乗 法 分 離 型 の場 合 に調 べ る に は,効 用 の変 化 率 を使 わ な け れ ば な らな い こ と が分 か る。 一89(89)一.

(14) 第11巻. 第1号. 分 か る(13)。 固定 す る組 は ど こ にで も任 意 に取 る こ とが で き るの で,無 差 別 曲 線 は常 に原 点 に 向 か って 凸 とな って い る こ とが分 か る。 他 方 で,下 級 財 ∫と上 級 財sの と上 級 財sの. 組 み 合 わ せ で は,任 意 に 固 定 した 消 費 の組 か ら下 級 財 ∫. 消 費 量 を と もに 増 加 さ せ る右 上 方 へ と消 費 の 組 を 動 か して い く こ とで 限界. 代 替 率 は小 さ くな って い き,逆 に両 財 の 消費 量 を と もに減 少 さ せ る左 下 方 へ と消 費 の組 を 動 か して い く こ とで 限界 代 替 率 は大 き くな って い く こ とが(条 件H)と(条. 件1)か. ら言. え る。 この とき,限 界 代 替 率 の変 化 を調 べ る た め に 固定 す る点 は ど こに で も任 意 に取 れ る こ とか ら無 差 別 曲線 の傾 き は全 体 的 に右 上 方 ほ ど緩 や か で左 下 方 ほ ど急 勾 配 に な る と言 え る。 以 上 の理 由 で,下 級 財 が含 ま れ る場 合 の無 差 別 曲線 は下 級 財 の 消費 量 が増 加 す る方 向 へ と末 広 が りに な る とい う特 徴 的 な形 状 とな る もの と考 え られ る。. 2.3効. 用 の 変 化 率 の 変 化 と限 界 代 替 率 逓 減 の 条 件 の 関 係. 前 節 で は,乗 法 分 離 型 効 用 関数 の場 合 に上 級 財 と下 級 財 を 区別 す る た め に効 用 の変 化 率 の逓 増 ・逓 減 の概 念 を導 入 し,そ の必 要 十 分 条 件 と経 済 学 的 な イ ンプ リケ ー シ ョ ンを取 り 上 げ た。 本 節 で は,さ. らに そ れ ら と限界 代 替 率 逓 減 の条 件 との 関係 を示 す 。 限界 代 替 率 の. 逓 減 は,ス ル ツキ ー方 程 式 に よ る分析 の基 礎 とな る制 約条 件 付 最 大 化 問題 の一 階条 件 を使 っ た解 法 が意 味 を持 つ た め に必 要 な前 提 条 件 とな る。 ま た,そ の分 析 で の上 級 財 と下 級 財 の 区別 に も必 要 な 条 件 で もあ る(14)。 そ こで,効 用 関数 が変 化 率 の逓 増 す る関 数 と逓 減 す る 関 数 の積 で表 され る場 合 に 限界 代 替 率 逓 減 の条 件 が満 た さ れ る の か を調 べ る わ け で あ る。 い ま,財. 乞の 消 費 量 が 限 界 的 に変 化 した と きの 限 界 代 替 率 の 変 化 は. 孟 職(∬z,∬s)一 義 職(夙)+読. で あ る 。 こ の 式 に2.2節 の(3)式 と(4)式 を 代 入 す る と,乗. 義職. 卿. 一(溜. (5). 職(凧)器 法分離型の場合の変化 は. ゲ. [(s'(∬ 、 。))・ )s(∬ 孟(留)一(留)・. 孟(翻)・. 器]. (13)こ こで,「 その 範 囲 で どの 向 きに 動 か して も」 とい うの は,同 じ無 差 別 曲線 上 で 動 か す の か違 う無 差 別 曲線 上 へ と動 かす の か に 関 わ らず と い う意 味 で あ る。 (14)限 界 代 替 率 の逓 減(効 用 関数 の強 い意 味 で の準 凹性)を 示 す 行 列 式 は所 得 効 果 の項 の分 母 に で て くる。 こ の こ と につ い て は西 村(1990)の 第3章 の補 論 を参 照 され た い。 -90(90)一.

(15) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特 性 と効 用 の変 化 率(藤 本) と な る 。 こ こ で,効 S(∬,))で. 用 が 一 定 と い う条 件 の 下 で は 一 砒 、/4銑 一(1「!(」 じ ゼ)/∫(」 じ ゼ))/(S'(∬ 、)/. あ り 限 界 代 替 率 に 等 し い こ と か ら,こ. Sノ(∬ 、). 義職 卿. 一(. s(∬,). れ を上 式 に代 入 す る こ とで. プ. Sノ(∬ 、). [(. s(灘s). 場(留)+(留. 暖(細)]. と書 き換 え る こ とが で き る。 この式 に よ る と,限 界 代 替 率 の逓 減 は 負 の項(下 級 財 の効 用 の変 化 率 の逓 減)と 正 の項 (上 級 財 の効 用 の 変 化 率 の 逓 増)の. 和 が 負 と な る こ とを 要 求 す る の で,上 級 財 の 効 用 の変. 化 率 の逓 増 に上 限 を与 え る追 加 的 な制 約 とな る こ とが分 か る。 前 節 の考 察 を振 り返 って み れ ば,二 財 の うち で一 方 が下 級 財 とな る条 件 か らは 消費 の組 を右 下 方 や左 上 方 へ と動 かす とき の 限界 代 替 率 の変 化 に つ い て は確 定 しな い の で,限 界 代 替 率 の逓 減 に よ って さ らな る 追 加 的制 約 が加 わ る の は 当然 の こ とで あ る。 この結 果 は,上 級 財 に つ い て は(条 件D)か ら(条 件1)が,下. 級 財 に つ い て は(条 件E)か. (5)から分 か る と お り,(条 件H)と(条 件A)が. 件1)の. ら(条 件H)が. そ れ ぞ れ得 られ る が,式. 組 み 合 わ せ か らは 限界 代 替 率 の 逓 減(条. 必 ず し も得 られ な い の だ と整 理 で き る。 以 上 に よ り,一 方 が下 級 財 の とき を考 え. る 際 に本 質 的 な仮 定 は,(条 件A)と(条. 件H)と(条. 件1)の. 三 つ とな る こ とが 分 か る。. そ れ に対 して,前 節 の考 察 の とお り両 財 が上 級 財 で あ る とき に は 限界 代 替 率 が必 ず 逓 減 す る こ とが確 か め られ る。 この結 果 は,乗 法 分 離 型 の場 合 に は,両 財 に つ い て(条 件E) が満 た され る こ とか ら(条 件F)と(条 率 の逓 減(条 件A)が. 件G)が. 満 た さ れ,結 果 と して式(5)よ り限界 代 替. 成 立 す る の だ と整 理 で き る。 ま た,(条 件E)が. 満 た され て い る と. き に 両 財 は上 級 財 とな る。 効 用 関 数 が乗 法 分 離 型 で はな い場 合 で も,(条 件F)と(条 G)の. 符 号 を仮 定 して お け ば結 果 と して 限界 代 替 率 の逓 減(条 件A)が. 件. 満 た さ れ,な お か. つ両 財 は上 級 財 とな る。 以 上 に よ り,上 級 財 の組 み合 わ せ を考 え る 際 に本 質 的 な仮 定 は 限 界 代 替 率 の変 化 に つ い て の(条 件F)と(条. 件G)で. あ る と言 え る。. 以 上 で展 開 した 限界 代 替 率 の変 化 と財 の 区別 に つ い て の議 論 は一 般 化 で き る。 そ れ に つ い て は補 論 で展 開 す る。 さ らに効 用 の変 化 率 の変 化 の項 を計 算 して上 式 を整 理 す れ ば,限 界 代 替 率 が逓 減 す る十 分 条 件 は,基 本 的前 提 ∫'(灘 ρ>0とSノ(∬. 、)>0の. 一91(91)一. 下 で は,.

(16) 第11巻. 第1号. (条 件A'). (Sノ(∬ 。)s(∬ 、))[G;1詔)一(留)]+(留)[(ミ;1農1)一(書. 剖. く・. とな る こ とが 分 か る。 以 下 の節 で は,限 界 代 替 率 の 逓 減 を判 定 す る とき に は こ の(条 件 A')を. 用 い る。. 次 節 で は,一 方 が下 級 財 の場 合 の効 用 関数 を具 体 的 に構 成 す る た め に,関 数 の変 化 率 の 変 化 が持 つ性 質 に つ い て考 察 して み る。. 2.4変. 化 率 の 変 化 と関 数 の 性 質. 本 稿 で導 入 した効 用 の変 化 率 の逓 減 ・逓 増 は,乗 法 分 離 型 効 用 関数 の場 合 で上 級 財 と下 級 財 を 区別 す る た め に導 入 さ れ た もの で あ る。 こ こで,そ の主 な性 質 を二 つ取 り上 げ る。 第 一 に,限 界 効 用 の 逓 増 ・逓 減 との 関 係 で あ る。2.1節 の式(1)よ り分 か る よ う に,効 用 の変 化 率 が逓 増 す る場 合 に は必 ず 限界 効 用 が逓 増 す る とい え る が,逆 に 限界 効 用 が逓 増 す る か ら とい って必 ず変 化 率 が逓 増 す る わ け で は な い。 つ ま り,変 化 率 の逓 増 の方 は 限界 効 用 の逓 増 よ り も制 約 的 な条 件 で あ る。 そ の結 果,変 化 率 の逓 減 の方 は 限界 効 用 の逓 減 よ り も弱 い条 件 とな って い る。 つ ま り,限 界 効 用 が逓 減 す る よ うな場 合 に は効 用 の変 化 率 は必 ず逓 減 す る が,逆 に効 用 の変 化 率 が逓 減 す る か ら とい って必 ず し も限界 効 用 が逓 減 す る わ け で は な い 。 限 界 効 用 が 逓 増 す る場 合 もあ り う る(15)。 これ らの事 実 か ら,上 級 財 が一 般 に あ りや す く下 級 財 が あ りに くい の は,他 方 の財 を下 級 財 に す る よ うな上 級 財 の効 用 関数 が あ りに くい か らだ と考 え られ る。 言 い換 え れ ば,下 級 財 が特 殊 な存 在 とな って い る の は, そ の財 を相 対 的 に下 級 財 の位 置 に置 くよ うな も う一 方 の上 級 財 の方 が特 殊 だ か らだ と言 え よ う。 現 に2.2節 の(経 済 学 的 イ ンプ リケ ー シ ョ ン)で 見 た よ うに,あ. る財 が そ れ 自体 で. は 消費 者 に と って 同 じ もの で あ って も,も う一 方 の財 の効 用 の変 化 率 が逓 増 す れ ば そ の財 は下 級 財 とな り,も う一 方 の財 の 効 用 の変 化 率 が逓 減 す れ ば その 財 は上 級 財 とな って しま っ た。 要 す る に,そ の財 を下 級 財 に位 置 に置 くよ うな他 の財 さ え無 け れ ば,ど の財 で あ って も消費 者 に と って上 級 財 とな り得 る の だ。. (15)藤 本(2009)に お い て,「 一 方 が 下 級 財 で 他 方 が上 級 財 とい うの が あ り うる の は,上 級 財 の 限 界 効 用 が逓 増 し,下 級 財 の 限界 効 用 が逓 減 ま た は一 定 ま た は逓 増 す る と き で あ る」 と い うふ う に 両 方 に共 通 す る 「逓増 す る」 の部 分 が あい ま い な結 論 に終 わ って いた の は,判 断 に 限界 効 用 を使 っ て い た か らで あ る。 本 稿 で導 入 した効 用 の変 化 率 を使 え ば 限界 効 用 が 逓 増 す る ケ ー ス の 中 で,上 級 財 の効 用 関数 に な る もの と下 級 財 の効 用 関数 に な る もの の 間 に 明確 な線 引 き を行 うこ と が 出来 る。 -92(92)一.

(17) 下級財 を含 む場合 の乗法分離型効用 関数 の特1生と効用 の変化率(藤 本) 第 二 の性 質 は変 換 に つ い て の保 存 で あ る。 効 用 関数 の持 つ通 常 の性 質 と同 じ く正 の定 数 倍(ス. ケ ー ル変 換)に. つ い て保 存 さ れ る だ け で な く,そ れ以 外 の二 つ の変 換 に よ って も変. 化 率 の変 化 の性 質 は保 存 さ れ る。 そ の一 つ は正 の べ き乗 で あ る。 そ して も う一 つ は積 で あ る。 これ らの変 換 に よ って この性 質 が保 存 さ れ る の は以 下 の理 由 に よ る。 変 化 率 は,そ の 関数 の対 数 を と って変 数 で微 分 す る こ とに よ って求 め られ る。 こ こで微 分 演 算 の線 形 性 を 考 え る と,対 数 で の正 の実 数 倍 と和 に 当 た る正 の べ き乗 と積. 109((F(灘))η)=2Z・109(F(∬))と109(F(∬)・G(灘))=109(F(∬))十109(G(灘)). に よ って の み変 化 率 の増 減 とい う性 質 は そ の ま ま保 存 さ れ る の で あ る。 先 ず は正 の べ き乗 の場 合 の結 果 を示 す。. 命 題2.関. 数 一F:X→R(任. 意 の 灘 ∈-Xに. 対 し てF⑰)>0か. つF'(の>0)の. 変化率. が逓 増 す る とす る。. Fノ(∬)F"(∬)o< Fω. す る と,こ. 〈F・. ω. の 関 数 の 正 の べ き 乗 と な る 関 数0⑰)=(一F(∬))η(η>0)で. 増 す る:. 0ノ(灘)0"(灘)o< oω<o・. 逆 にFの 証 明. ω. 変 化 率 が 逓 減 す る と き に は θ の 変 化 率 も逓 減 す る。. 関 数Gを. 灘 ∈Xで. 微分す る と. σ(∬)η(F(∬))"-1・F!(灘)>0. と. θ ノ(∬)Fノ(∬)>0 =η. o(∬)F(灘). 一93(93)一. も変 化 率 が逓.

(18) 第11巻. 第1号. が得 られ る。 これ らの うち変 化 率 の方 を さ らに ∬ ∈Xで. 微 分 す る と以 下 の 式 を得 る:. 議(ぴ(∬)o(∬))一 η話(鵬) よ って 命 題1よ. り,η>0の. 化 率 も逓 増(逓 減)す. と き に は関 数Fの. 変 化 率 が逓 増(逓. 減)す. れ ば 関 数0の. る と言 え る。. 変. 証 明終. この よ うに,微 分 す る た び に右 肩 の べ き乗 が一 つず つ下 が り新 た に か か って くる係 数 が 一 つ ず つ小 さ くな る よ うな変 換 で は,変 化 率 の変 化 とい う性 質 は保 存 さ れ る の で あ る。. (例)単. 調 増 加 一 次 関 数F(∬)=α+β. こ こ で は 命 題2の F(∬)一. ∬(max[0,一. α/β]<∬,β>0)の. べ き乗 の例. 応 用 と し て 単 調 増 加 な 一 次 関 数 の べ き 乗 を 考 え る 。 ま ず,一. α+β ∬ に つ い て は 以 下 の 結 果 が 得 ら れ る 。 定 義 域 がmax[0,一. F(∬)>0(16),パ. ラ メ ー タ が β>0よ. り.Fノ(∬)>0と. な り,さ. 次関数. α/β]<灘. よ り. らに変 化 率 の 逓 減 が 見 られ. る:. Fノ(∬). 命 題2に. _β. 〉_色_・F"(∬) Fノ(のF(∬) α+β 灘. よ れ ば,定. β. 数 α の 符 号 に よ ら ず,一. 次 関 数 の 正 の べ き 乗 の 場 合 に は η>0が. ど. ん な に 大 き く て も変 化 率 は 逓 減 す る の で あ る 。. 後 に3.3節 で 示 す よ う に,一 一F'(の>0と. 次 関数 の べ き乗 の場 合 に は も との一次 関数 が単 調増 加. い う基 本 的前 提 を満 た さな い こ とを許 して や れ ば,負. の η<0の. と き に変. 化 率 が逓 増 す る ケ ー ス が見 つ か る。 当然 の こ とな が ら,そ の とき に べ き乗 して得 られ た 関 数 は正 か つ単 調 増 加 で あ り基 本 的前 提 を満 たす 。 続 い て は積 の場 合 の結 果 で あ る。. 命 題3.関. 数 一F:-X→R(任. θ:X→R(任. 意 の ∬ ∈Xに. (16)こ. 号max[α,δ]と. こ で,記. 意 の 灘 ∈-Xに 対 し てG⑰)>0か. 対 し てF(∬)>0か つ び ⑰)>0)の. つ 一Fノ(∬)>0)と 変 化 率 が と も に逓 増. い う の は 通 常 ど お り α と δ の う ち で 大 き い 方 を 表 し て い る。 -94(94)一.

(19) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) す る とす る。. ・<需. す る と,こ. く多紹. かつ・<器. く暑;1窒1. れ ら の 関 数 の 積 と な る 関 数 ∬(∬)-F(∬)0⑰)で. も変 化 率 が 逓 増 す る. ∬!(∬)π"(∬)o< E(の. 逆 にFと0の 証明. くH・(の. 変 化 率 が と もに逓 減 す る と き に は ∬ の変 化 率 も逓 減 す る。. 関数 π を ∬∈Xで. 微分 す ると. Hノ(灘)-Fノ(∬)0(灘)十F(灘)び(∬)>0. と. ∬!(∬)F!(∬)θ!(∬) EωFω+Gω>o. が得 られ る。 これ らの うち変 化 率 の方 を さ らに ∬ ∈Xで. 微 分 す る と以 下 の 式 を得 る. 器(瑠)一 器(需)+謀 需) よ って 命 題1よ. り,関 数Fと. 化 率 も逓 増(逓 減)す. 本 節 の命 題2と. 関 数 θ の 変 化 率 が と もに逓 増(逓. 減)す. る と言 え る。. そ の例,そ. れ ば 関 数 ∬ の変 証 明終. して命 題3の 結 果 か ら,代 数 的 な演 算 に よ って得 られ る 関数. で は こ と ご と く変 化 率 が逓 減 す る こ とが分 か る。 先 ず1次 式 が そ うで あ りそ の積 とべ き乗 に よ って得 られ る 因数 分 解 可 能 な多 項 式 もそ うで あ る。 さ らに次 の第3節. か ら分 か る よ う. に,初 等 関数 の場 合 に も変 化 率 が逓 増 す る よ うな 関数 は な か な か見 つ か らな い の で あ る。. 一95(95)一.

(20) 第11巻. 3.下. 第1号. 級財を含む場合の効用関数の例. 本 節 で は さ らに効 用 の変 化 率 が逓 増 す る 関数 と逓 減 す る 関数 を見 つ け 出 し,下 級 財 を含 む 場 合 の効 用 関 数 の例 を 示 す 。 ま た,本 節 で 関 数 を 表 す と き に は重 複 を い とわ ず 記 号F を使 って い く。. 3.1指. 数関数のケー ス. ま ず は,絶. 対 的 リ ス ク 回 避 度 一 定 の 効 用 関 数(指. F(∬)=-exp(一. こ こ で,記. 数 関 数)を. 考 え る(17)。. γ二 じ). 号 γ>0は. 一 定 の 絶 対 的 リ ス ク 回 避 度 γ 一 一 一F"⑰)/-Fノ(の. で あ る。 こ の 関数. に つ い て以 下 の結 果 が得 られ る。. F!(∬)一. γexp(一. γ∬)>0,F"(灘)一. 一 γ2exp(一. γ∬)〈0. よ っ て,. Fノ(∬)F"(∬) Fω=F・(-x)=一. こ れ よ り,絶. γ. 対 的 リス ク 回避 度 一 定 で特 徴 付 け られ る効 用 関数 が各 財 の効 用 水 準 を表 す 場. 合 に は ど ち ら の 財 も下 級 財 に は な ら な い 。 そ の 原 因 は,指 で あ る こ と で あ る 。 そ う で あ る と,式. 数 関数 の 中 に あ る の が一 次 関数. 中 に マ イ ナ ス の 項 が 含 ま れ な か っ た と し て も,そ. の 結 果 と し て 関 数 が 凸 関 数 に な っ た と し て も 最 後 の 結 果 は 同 じ に な る 。 実 際,関 一F(の 一exp(γ の. F!(∬)一. の 場 合 に は 以 下 の 結 果 が 得 ら れ る:. γexp(γ ∬)>0,F"(灘)一. γ2exp(γ ∬)>0. でも (17)リ. ス ク 回 避 度 一 定 の 効 用 関 数 に つ い て は,例 -96(96)一. え ば,Laffont(1985)等. を 参 照 の こ と。. 数.

(21) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) Fノ(∬)F"(∬) F(の. 一Fノ(X)=γ. 以 下 で は,中. に あ る 関数 が 凸 関数 で あ る とそ の変 化 率 が逓 増 す る こ とを示 す 。. 命 題4.凸. 関 数 ∫:-X→R(任. て,F(の. 一exp(∫. ⑰))で. 意 の 灘 ∈-Xに. 対 し て ∫'(の>0か. つ ∫"(の>0)に. 対 し. 定 義 で き る 関 数 の 変 化 率 は 逓 増 す る:. F!(∬)F"(∬)o< Fω<F・. ω. 逆 に ∫ が 凹 関 数 で あ る な ら ばFの 証 明. 関 数Fを. 灘 ∈-Xで. F!(灘)=exp(プ(灘))・. 変 化 率 は逓 減 す る。. 微 分 す る と,合. 成 関数 の微 分 よ り. プノ(灘)>0. と. .F!(∬) 一 ∫ノ⑰)>0 -F(∬). が 得 ら れ る 。 こ の と き 命 題1よ は 逓 増(逓. 減)す. り,関. 数 ∫ が 凸 関 数(凹. 関 数)で. あ れ ば 関 数Fの. 変化率. る と言 え る:. 議(一Fノ⑰)F(∬))一 爾. これ に よ って上 記 の結 果 が得 られ た。 以 下 で 凸 関数 の 指数 変 換 を使 った効 用 関数 の例 を示 す。. (例3.1)指. 数 関 数 を使 っ た効 用 関 数 の 例. こ こで,乗 法 分 離 型 効 用 関数:. σ 一 ∫(∬∫)s(∬ 、). 一97(97)一. 証 明終.

(22) 第11巻 ∫(∬∂ 一(α. ゴ+β 拶 ∫)鯛(β ゴ>0,㎜>0)か. を 考 え る。 さ ら に,各 で は,下. 第1号 つS(灘. 、)exp(灘. 財 の 消 費 量 の 範 囲 をmax[0,一. 級 財 の 効 用 関 数 ∫ を 命 題2の. 罫)(η>1). αノβ∫]〈 銑 と 灘、>0と. 方 法 に よ っ て 得 ら れ る 一 次 関 数(単. す る。 こ こ. 調 増 加)の. 正 の. べ き 乗 と し て お く。 こ の と き 下 級 財 の 効 用 関 数 ∫ に つ い て は. ∫"(」じ∫)∫!(銑). 留. 一畿>q. =β. が得 られ る。 そ して上 級 財 の効 用 関数Sに. つ い て は,先 の命 題3で. s'(二 じ∫). 細. ゴ<0 α歪+β 勘. ∫!(鍛)∫(鍛). 一畷 一1>q§;1謂. =>0. の議 論 に よ り,. η 一1. s(∬ 、). 灘s. が 得 ら れ る 。 限 界 代 替 率 が 逓 減 す る の は,2.3節. の(条. 件A')が. 満 た さ れ る と き な の で,. こ の 場 合 で は 条 件 式:. 畷 一1[βα ゴ ゴ+β 論]+[傷. 鴇]・[η. 云']<・. が満 た され な け れ ば な らな い。 上 級 財 と下 級 財 の消 費 量 は ∬、>0か. つ 銑>0な. の で,こ. の条 件 式 は. 耀 〉 瓢 η一1). と な る 。 こ こ で は 下 級 財 の 消 費 量 がmax[0,一. αノβ∫]〈 銑 と な っ て い る た め,パ. タ 傷 の 符 号 は 限 界 代 替 率 の 逓 減 に は 無 関 係 と な っ て い る 。 こ こ で,例 祝 一1/2と. η 一2に. す る と,限. た 上 級 財 の 消 費 量 が 灘、<0.5と. 個. こ の グ ラ フ は,パ 値 域 が0≦ exp(4)の. な る領 域 で無 差 別 曲 線 が 原 点 に向 か って 凹 と な る部 分 が. グ ラ フ で,右. 隅=1,定. 描 い て い る 。 左 奥 の 平 面 ∬、=2上 奥 の 平 面 銑=2上. あ る 。 こ れ ら の 曲 線 に2.2節. らば逓 減 す る。. 示 し て お く(ユ 紛。 グ ラ フ の 中 で は 確 か に 左 側 の 軸 に と っ. ラ メ ー タ が 偽=-0.1と. σ ≦40で. えばパ ラメータを. 界 代 替 率 は 上 級 財 の 消 費 量 が 灘、>1/2な. 以 下 で は こ の 場 合 の グ ラ フ を 図3に. ラメー. の(図. 義 域 が0.1〈. 銑 ≦2か. つ0≦. に見 られ る 曲線 が 凸 関 数 σ 一 ∼ 圧 百一exp(環)の. に よ る 説 明)の. な情 報 が読 み取 れ る。 -98(98)一. ∬、≦2で. に 見 ら れ る 曲 線 が 凹 関 数 σ=∼ 獅T. 方 法 を 適 用 す れ ば,こ. グラフで. の グ ラ フか ら よ り正 確.

(23) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特 性 と効 用 の変 化 率(藤 本) あ る こ と が 見 て 取 れ る 。 ち な み に,パ. ・<辮(η 一1)<郡. を 満 た す 領 域 に お い て 財1は. 藷. ラ メ ー タ が α、<0で. あ れ ば 条 件:. 銑 瓢 ㌃'). ギ ッ フ ェ ン財 と な る(19)。. κ3. 図3指. 3.2対. 数 関 数 を使 っ た例. 数関数のケ ース. 次 い で,相. 対 的 リ ス ク 回 避 度 一 定 の 効 用 関 数(対. 数 関 数)を. 考 え る。. F(∬)-109(灘). こ の と き に は 相 対 的 リ ス ク 回 避 度 は γ 一 一 灘一F"⑰)/-F'(の い て は以 下 の もの が得 られ る。. (19)こ. の 条 件 式 に つ い て は 補 論 の(条. 件K')を. 参 照 され た い。. 99(99). 一1と. な っ て い る。 こ れ に つ.

(24) 第11巻. F・ ω. 一 ⊥>0,F〃. ω. 二 じ. 一. 一1、. 二 じ. 第1号. 〈0. よ っ て,. -Fノ(のlF"(の1 -〉 F(灘)灘109(灘)∬-F(∬). こ れ よ り,各. 一一 一. 財 の効 用 水 準 が相 対 的 リス ク回避 度 一 定 の効 用 関数 で表 現 さ れ て い る場 合 に. も下 級 財 は あ り え な い こ と が 分 か る 。2.4節 で の 考 察 と こ の 例 か ら,一 場 合 の 効 用 関 数 が 見 つ か り に く い の は,経. 方 の財 が 下 級 財 の. 済 学 で 良 く知 ら れ た 性 質 を 持 つ 関 数 の 中 に 上 級. 財 の 効 用 関 数 と な る も の が 無 い こ と が 原 因 で あ る と考 え ら れ る 。. 3.3べ. き乗 関 数 の ケ ー ス. 次 に,以. 下 の よ うな べ き乗 関数 を考 え る。. F(灘)一(α+β. ∬)βη こ こ で η>0. これ に つ い て は以 下 の もの が得 られ る。. F'(∬)一. β27z(α+β. 灘)βη一1>0か. つF"(灘)一. β37z(β7z-1)(α+β. 灘)βη一2. よ って. 潔. 一α鵯. かつ霧. 一β警 孟). こ の と き に 容 易 に 確 か め ら れ る よ う に,α+β は 凸 関 数 で あ る 。 し か し,パ. ∬>0か. ラ メ ー タ が 正 β>0で. つ β(βη一1)>0な. ら ば,関. あ れ ば βη 〉 βη一1よ. 数F. り必 ず. F!(∬)F"(∬) Fω>F・. ω. と な っ て し ま う。 つ ま り,β2η 〈 β(βη一1)と. な る た め に は,関. 一100(100)一. 数Fが. 単 に 凸 関数 で あ る.

(25) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) だ け で は な く,パ max[0,一. ラ メ ー タ が 負 β 〈0と. α/β]<∬. で あ り,か. な ら な け れ ば な ら な い 。 以 上 に よ り,定. つ パ ラ メ ー タ が 負 β 〈0で. あ る 場 合,べ. 義域 が. き乗 関 数 一Fは上. 級 財 の効 用 関数 の条 件 を満 たす 。 と は い え,こ. の 関 数 が 上 級 財 の 効 用 関 数 と な る の は こ れ ま で の 議 論(例. と は 異 な る 理 由 に よ る 。 つ ま り,こ ∫(の>0か. つ ∫ノ(の 〈0か. の 関 数 はF⑰)一(∫. つ ∫"⑰)-0と. え ば 命 題2な. ど). ⑰))一 〃 と 書 く こ と が で き,. な る よ う な 基 本 的 前 提 を 満 た して い な い 関. 数 か ら で き て い る 。 こ こ か ら,. 留. 一 一. と な り,Fの. 留. 〉 ・よ つて み. 留)一. 一 η ゜° ∫(」 じ)一(ノ ぐ!(」 じ)(∫(灘))2)2>・. 命 題5.関. 変 化 率 が 逓 増 して い る の で あ る 。 こ の よ う な 場 合 の 結 果 を 以 下 に 示 し て お く。. 数 ∫:-X→R(任. 逓 減 す る の な ら ば,そ. 意 の ∬ ∈-Xに. 対 し て ∫(の>0か. の 負 の べ き 乗 と な る 関 数F⑰)一(∫(∬))一. つ ∫'(の. 〈0)の. η(η>0)の. 変化率 が 変 化率 は. 逓 増 す る:. Fノ(∬)F"(∬)o< F(の. 証 明. 関 数Fを. F'(灘)=一. くF・(の. 灘 ∈-Xで. 微分 する と. η(プ(灘))一 〃-1・∫'(灘)>0. と. F!(∬)∫!(∬) Fω. 一 一 η ∫ω>o. が 得 ら れ る。 こ の と き 命 題1よ. り,η>0の. と き に は 関 数 ∫ の 変 化 率 が 逓 減 す れ ば 関 数F. の 変 化 率 は 逓 増 す る と言 え る:. 議(一Fノ ⑰)F(∬))一 一引. 留). 証 明終. 一101(101)一.

(26) 第11巻 こ こ で,関. 数 ∫ の 変 化 率 を ∬ ∈Xで. ∫"ω. 議傷)一. ∫ω. 第1号. 微 分 す る と,商. の微 分 よ り. 一(∫'ω)2. (∫(∬))2. とな る。 よ って,こ. の 関 数 ∫ に つ い て ∫⑰)>0か. つ ズ ⑰)<0の. と き ∫"(の ≦0で. あ. れ ば必 ず そ の変 化 率 は逓 減 す る。 以 下 で は,命 題5の 特 殊 ケ ー ス で あ る一 次 の減 少 関数 を使 った場 合 と二 次 の減 少 関数 を 使 った場 合 の例 を示 す。. (例3.3-1)負. の べ き乗 関 数 を使 っ た効 用 関 数 の 例(1). 先 ず は,最 初 の例 を用 い た乗 法 分 離 型 効 用 関数:. σ 一 ∫(二 じ歪)s(∬ 。) ∫(∬∂ 一(α. ゴ+β 拶 ∫)鯛(β ゴ>0,㎜>0)か. つS(灘. 、)一(α. 、一 βs灘、)一η(α、>0,β. 、>0,. η>0). を 考 え る 。 さ ら に,各. 財 の 消 費 量 の 範 囲 をmax[0,一. る 。 下 級 財 の 効 用 関 数 ∫ の 方 は 命 題2の 関 数Sの. 方 は 先 ほ ど の 命 題5の. α∫/βf]〈η と0<灘. 、〈 α、/β,とす. 方 法 に よ っ て 得 ら れ る も の で あ り,上. 級 財 の効 用. 方 法 で得 られ る もの で あ る。. こ の ク ラ ス の 関 数 は 古 く か ら 良 く知 ら れ て い る も の で も あ る 。 例 え ば,Woldand Jureen(1953)に α、=-2,β. よ る 古 典 的 な 例 は パ ラ メ ー タ が そ れ ぞ れ 偽 一 一1,βf-1,辮 、=-1,η=2で,定. る ⑳。 ま た,藤 β,-1で,定. 本(2009)で. 義 域 が そ れ ぞ れ 銑>1と0〈. ∬、〈2の. 一1と, ケー スで あ. 分 析 し た の は そ れ を 修 正 し た パ ラ メ ー タ が α∫-0,β. 義 域 が そ れ ぞ れ 鍛>0と0<灘,<α,の. ケ ー ス で あ る(そ. ∫-1,. れ以 外 は こ こ と. 同 じ)(21)。. ⑳WoldandJureen(1953)の α、=-1と. 例 で は,ギ. し て い る こ と か ら,効. か ら も 確 か め ら れ る と お り,乗 β、>0と. ッフ ェ ン財 の ケ ー ス を 扱 う た め に パ ラ メ ー タ を. 用 が 負 とな る領 域 が 左 側 に存 在 して い る。 本 稿 の そ の 他 の例 法 分 離 型 の と き に ギ ッ フ ェ ン 財 を 扱 う た め に は,α. 、〈0と. し て 下 級 財 の 消 費 量 に 正 の 下 限 を 設 け な け れ ば な ら な い 。 た だ し,α 、が 正 で あ ろ う と. 負 で あ ろ う と ゼ ロ で あ ろ う と 限 界代 替 率 の逓 減 の方 に は無 関係 で あ る。 ⑳. 藤 本(2009,p.55)の 域 を そ れ ぞ れ0《. 図1で ∬、《20と0《. は,さ. ら に パ ラ メ ー タ を 挽=1,η=2,α. ∬,《20と. 、=21と,そ. 特 定 し た 場 合 の グ ラ フ を 値 域0《. で示 して い る。 本 稿 の そ の他 の場 合 の グ ラ フ と比 較 さ れ た い。 一102(102)一. して定 義. σ 《0.25の. 範 囲.

(27) 下級財 を含 む場合 の乗法分離型効用 関数 の特1生と効用 の変化率(藤 本) この とき下 級 財 の効 用 関数 ∫につ いて は. 留. 一偽鴇>q溜. 一留. が得 られ る。 そ して上 級 財 の効 用 関数Sに. 溜. 一詫. 一一謡 為銑 〈・ つ い て は 同様 に して. 鞠>q暑;1農1一溜. が 得 ら れ る 。 限 界 代 替 率 が 逓 減 す る の は,2.3節. 一一偽転. 〉・. の(条. 満 た さ れ る と き な の で,. 件A')が. こ の 場 合 で は 条 件 式:. β∫ βs(ηz一η). 〈0. (α、+β識)(α 、一βs∬s). が 満 た さ れ な け れ ば な ら な い 。 パ ラ メ ー タ の 仮 定 よ り βゼ β、>0な 限 界 代 替 率 は 逓 減 す る。 こ の と き に は,限 こ こ で は 下 級 財 の 消 費 量 がmax[0,一. の で,祝. く ηのときに. 界 代 替 率 の 逓 減 に よ って 定 義 域 は 制 限 さ れ な い 。. αノβ∫]〈 銑 と な っ て い る た め,パ. 号 は 限 界 代 替 率 の 逓 減 に は 無 関 係 と な っ て い る 。 ち な み に,パ. ラ メ ー タ 偽 の符. ラ メ ー タ が 偽 く0で. あれ. ば 条 件:. 一α ゴ. 一 αゴ. βゴ. η0<<銑 く. βゴ η一 鯛. を 満 た す 領 域 に お い て 財1は. ギ ッ フ ェ ン財 と な る(上. 記 のWoldandJureen(1953)の. 例 を 参 照 さ れ た い)。. (例3.3-2)負. の べ き乗 関 数 を使 っ た効 用 関 数 の 例(2). 次 い で,先 の命 題5の 一 例 とな る 関数 を用 い た乗 法 分 離 型 効 用 関数. σ 一 ∫(二 じ∫)s(∬ 、) ∫(∬∂=(α. 歪+β 拶 ∂ 解(β 歪>0,㎜>0)か. つS(∬. η>0). 一103(103)一. 、)=(α. 、一 βs∬ξ)一η(α 、>0,β. 、>0,.

(28) 第11巻 を 考 え る 。 さ ら に,各. 第1号. 財 の 消 費 量 の 範 囲 をmax[0,一. αノβ日 く 銑 と0<∬. す る 。 下 級 財 の 効 用 関 数 ∫ は こ れ ま で と 同 じ も の で あ る。 よ っ て,下. 、〈 ∼ 厩. と. 級 財 の 効 用 関 数 ∫に. ついては. 留. 一畿>q留. 一留. が得 られ る。 そ して上 級 財 の効 用 関数Sに. 辮. 蔑1>②. 翻. 一一謡 歳銑<・ つ い て は 同様 に して. 一総. が 得 ら れ る 。 限 界 代 替 率 が 逓 減 す る の は,(条. 去+α1β 諾 ξ〉・ 件A')が. 満 た さ れ る と き な の で,こ. の場 合. で は 条 件 式:. 識 銑・縣鵠 豊 孟磐. 〈・. が 満 た さ れ な け れ ば な ら な い 。 これ よ り,そ. れ ぞ れ の 財 の 消 費 量 の 範 囲 銑>0と. σ.

(29) 下 級 財 を含 む場 合 の乗 法 分 離 型 効 用 関数 の特1生と効 用 の変 化 率(藤 本) (α、/β 、)・(㎜/(2η 一 祝))<灘. 、〈 痂. 「で 限 界 代 替 率 が 逓 減 す る 。 ま た,こ. と な ら な い た め に は 辮 〈 η が 必 要 で あ る。 こ こ で,パ β、-1,η. 一5と. す る と,限. の 例 の グ ラ フ を 以 下 の 図4に 費 量 が0<灘. 、〈2と. の 範 囲 が空. ラ メ ー タ の 値 を 辮 一2と. 界 代 替 率 が 逓 減 す る 範 囲 は 銑>0と2<灘 示 し て お く⑳。 す る と,確. 、〈4と. α、-16, な る。 こ. か に左 側 の 軸 に と っ た上 級 財 の消. な る範 囲 で は 無 差 別 曲線 が 原 点 に対 して 凹 とな る部 分 が あ る こ と が. 見 て取 れ る。. 4.ま. と め と考 察. 本 稿 で は,乗 法 分 離 型 効 用 関数 の場 合 に一 方 が下 級 財 で他 方 が上 級 財 とな る の な らば, 効 用 関数 は どの よ うな特 性 を持 つ の か とい う こ とを分 析 した。 限界 代 替 率 の逓 減 を前 提 と す る と,命 題1の 結 果 は下 級 財 か らの効 用 の変 化 率 は逓 減 し上 級 財 か らの効 用 の変 化 率 は 逓 増 す る こ とを意 味 す る。 この と きの変 化 率 の変 化 は以 下 の式 の 符号 に よ って判 別 され る:. 議(一Fノ ⑰)-F(の)一(需)[(チ;1鍔)一(需)] この と き に,関 数 の変 化 率Fノ(の/-F⑰)が. そ の 関 数 の 対 数 を と って 変 数 ∬ で 微 分 す る. こ とで 求 め られ る こ とを念 頭 に置 く と,そ の変 化 率 の変 化 の仕 方 は あ る種 の変 換 に よ って は変 わ らな い こ とが分 か る。 ま た そ の逆 に,変 化 率 の変 化 の仕 方 が逆 に な る よ うな変 換 が 存 在 す る こ と も分 か る。 こ こか らは,本 稿 で得 られ た諸 結 果 の ま とめ と考 察 の た め に,い か に して変 化 率 が逓 増 す る よ うな 関数 を見 つ け る か とい う問題 を考 え て み る。 最 初 に,関 数 全 体 を二 つ の基 準 に よ って 四 つ に分 類 す る。 第 一 の基 準 は,増 加 関数 か減 少 関数 か で あ る。 そ して第 二 の基 準 は変 化 率 が逓 増 す る か逓 減 す る か で あ る。 まず 増 加 関 数 で あ りそ の変 化 率 が逓 増 す る よ うな場 合 を(ケ ー ス増 増)と は2.2節 の 命 題2か 関 数 五+が. ⑳. ら正 の べ き乗 を して もそ の 性 質 が保 存 され る こ とが 言 え る。 つ ま り,. 任 意 の 灘 ∈Xに. こ の グ ラ フ は,パ 域 が0《. σ 一14.44・(16一. 対 し て み+(の>0か. ラ メ ー タ が α,=0と. σ 〈0.0003で. σ=0.108237314・. 呼 ぶ。 この ケ ー ス に つ い て. 葬. β、=1,定. 描 い て い る 。 ま た,左 の グ ラ フ で,右. つ み+ノ(の>0か. 義 域 が0《. 奥 の 平 面 ∬、=3.8上. 必2s)-5の グ ラ フ で あ る 。 前 述 の よ う に,こ. つ0《. ∬,《3.8で. 値. に 見. に 見 られ る 曲 線 が 凸 関 数 ら れ る 曲 線 が 凸 関 数. れ ら の 曲 線 に2。2節 の(図. の 方 法 を 適 用 す る と こ の グ ラ フ の 特 徴 を よ り正 確 に 読 み 取 れ る 。 一105(105)一. 必,《3.8か. 奥 の 平 面 ∬,-3.8上. つd(み+ノ(の/. に よ る 説 明).

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