地 域 環 境 と地球 環 境 を結 ぶ もの
生活環境学ノート
黒
坂
裕
之
How
to Think
About
a Global
Environment
from
a Regional
Environment
: Note of Life Environmental Studies
Hiroyuki Kurosaka
生 活 環 境 とは 、 広 辞 苑 第 四版 に よ る と 「人 間 の 日常 生 活 に 影 響 す る、 自然 ・人 事 な どを含 む 周 囲 の 状 況 」 とあ る。 しか し、 生 活 環 境 学 は 未 だ 認 知 され て い な い よ うで あ る 。生 活 環 境 を研 究 す る学 問 とい う こ と に な るの で あ ろ うか 。 生 活 環 境 学 とは 、 「目に 見 え る 身近 な 事 物 ・事 象 」 か らそ の 背 後 に あ る 「目に 見 え な い 自然 ・社 会 の 仕 組 ・関 係 」 を読 み 取 って い く こ とで あ る と考 え て い る 。 目に 見 え る身 近 な 事 物 ・事象 とは 、 日常 生 活 の 中で 五 感 に 感 じ られ る具 体 的な もの で あ る。 そ の よ うな 具 体 的 な も の を通 じて 、 自然 の 仕 組 や 社 会 と の 関係 を読 み 取 って い くの で あ る 。 「地 球 環 境 問題 」 が 見 え に くい の は 、身近 な 「地 域環 境」 との関係 が非常 に見 えにくいか らで あ る 。 「地 球 環 境 問 題 」 とい って も 、 そ もそ も は 自分 た ち の 生 活 の 中 の環 境 問題 が発 端 で あ る。 そ の よ うな 問題 意 識 で 行 った 「自然 環 境 と人 間 生 活 の バ ラ ンス 」 とい う講 演 を、 生 活 環 境 学 ノ ー トの第1章 と して 、 記 して お き た い 。 1.は じめ に わ た した ち の 生 活 が 自然 か ら離 れ 、 身 近 に 自然 を 感 じ る機 会 が少 な くな っ て き た こ と が 、 「環 境 問題 」 の 起 こ っ て きた ひ とつ の 原 因 の よ うに 思 い ま す 。本 来 、 人 間生 活 と は 自然 との 調 和 の も と に あ った の で は な い で し ょ うか 。 わ た し た ち の 生 活 や 生 産 活 動 が 自然 と調 和 した 節 度 あ る もの で あ れ ば 、 自然 も 調 和 の とれ た 景 色 と して 、 そ の 姿 を 見せ て くれ ます 。 「身 近 な 自然 」 と思 って い る景色 の 中 に は 、 実 は長 い 間 の 自然 と人 間 と の付 き合 い の 結 果 が 凝 縮 して い るの で す 。人 間 と の 関 わ りの ない 「自然 」 は な い とい っ て い い か も しれ ま せ ん 。 自然 環 境 がみ せ て くれ る姿 は 、 自然 の も つ シ ス テ ム 、循 環 シ ステ ム 、 が正 常 に 機 能 して い るか らこそ 保 た れ て い ます 。 そ の こ と を知 る こ とに も っ と力 を入 れ るこ と が大 事 な こ とだ と思 い ま す 。 こ こ で は 、 「ト トロの森 」 と 「ゴキ ブ リの北 上 」 を例 と して 、 自然 環 境 と人 間生 活 の バ ラ ンス に つ い て 、 考 えて み た い と思 い ま す 。 2.自 然 の シ ス テ ム と 人 間 社 会 の シ ス テ ム 自然 の シ ステ ム で あ る生 態 系 は 、 太 陽 エ ネ ル ギ ー と土 の 中 の 栄養 分 を利 用 して 光 合 成 を行 う生 産 者 で あ る植 物 、 そ の 植 物 を食 べ る 消 費 者 の動 物 、 植 物 や 動 物 の 遺 体 や 排 泄 物 を土 に戻 す 分解 者 か らな っ て い ます 。 そ して 、 これ らの3者 の 間 を 物 質 が循 環 す る よ うに な って い ます 。 ま た 、太陽 か らのエ ネ ル ギー も赤 外 線 な どに 形 を変 えて 、 宇 宙 空 間 に 出 て 行 き ます 。 この よ うな シ ス テ ム を循 環 シス テ ム とい い ます 。 こ れ に 対 し て 、 人 間社 会 の シ ス テ ム は 、 経 済 的価 値 の 追 求 を も っぱ ら と して 、 自然 の 中か ら人 間 に と って 「有用 な 」 物 質 を取 り出 し、 自然 の 中へ 不 要 に な っ た もの を捨 て る とい う一方 通 行 の 流 れ とな って い ます 。 この よ うな シス テ ム を フ ロー シ ス テ ム とい い ま す 。 この よ うな 人 間 の シ ス テ ム も基 本 的 に は 自然 の シ ス テ ム の 一 部 で あ り、 人 間 の 活 動 はそ れ に 依 存 して い ます 。 しか し、 自然 の 中に 捨 て て い る もの は 、 自然 が分 解 で き な い も の で あ った り、 自 然 の 処 理 能 力 を上 回 る 大 量 の も の に な っ て き ま した 。 そ の 結 果 、 自然破 壊 が起 き て し ま っ た と考 え られ ます 。 自然 へ の 人 間社 会 の 働 き か け の結 果 現 れ た 風 景 とか 景 色 とか を 「景 観 」 と呼 び ます 。 風 景 を美 しい とみ るの は 、 人 間 が そ の 中 に伝 統 的 に 培 っ て き た 、 自然 と人 間 との 調 和 の 取 れ た 姿 を 見 て い るか ら と考 え られ ま す 。 3.「 ト ト ロ の 森 」 ∼ 人 間 が つ く っ た 「自 然 」 3.1「 ト トロ の 森J 映 画 「とな りの ト トロ」 の 中 で 、 ト トロが住 む とイ メ ー ジ され るの は 、 回 りを屋 根 よ りも高 く な った 木 々 が 囲 ん でい る家 の 、 北 西 の 角 の と くに こ ん も りと した揚 所 で は な か った で し ょ うか 。 小 さな 子 ども に と って は 、 どこ ま で 続 い て い るの か わ か らな い 薄 暗 い 「森 」 の 奥 に あ た っ て い た よ うに 思 い ま す 。 こ れ は 関東 平 野 部 の農 家 に 見 られ る 「屋 敷 森 」 を持 つ 家 で あ る と思 わ れ ます 。 北 西 の 冷 た い 季 節 風 を防 ぐた め に 、 北 西側 が特 に 木 々 が密 度 高 く植 え られ て い ま した 。 しか も 、 そ の 木 々 を大 事 に して い るの で 、 ほ こ らな ど が よ くあ りま した 。 そ して 、 そ の屋 敷 森 に 続 く よ うに 「雑 木 林 」 が あ りま した 。 今 で は 、 こ の よ うな 屋 敷 森 も雑 木 林 も少 な くな りま した 。 武 蔵 野 の雑 木 林 は わ ず か とな り、 埼 玉 県 の 狭 山丘 陵 の あ ち こ ちや 三 富 新 田、 国の 天 然 記 念 物 とな って い る 「平 林 寺 境 内 林 」 だ け とな っ て き ま した 。 で は 、 な ぜ こ の よ うな 屋 敷 森 や 雑 木 林 がな く な って き た の で し ょ うか 。 そ の 前 に 、 雑 木 林 とは どん な も の だ っ た の か 、 振 り返 っ て み る こ とに しま し ょ う。 3.2雑 木 林 と は 雑 木 林 とは 、ふ る くか ら人 間 に 利 用 され て き た林 で し た 。 そ れ を 「経 済 林 」 とい い ます 。 さま ざま な樹 種 か ら成 りた って い るの で 「雑 木 林 」 と呼 ば れ ます が 、 自然 に で き上 が っ た も の で は あ りま せ ん 。 人 間 が 手 を加 え 、利 用 す る こ とに よ っ て 出 現 した 林(こ れ を2次 林 とい い ます)で す 。 薪 ・炭 ・落 葉 な ど を採 る こ と を 目的 に 「仕 立 て て き た 」 落 葉 広 葉 樹 林 です 。 人 里 近 くの 林(こ れ を里 山林 とい い ます)は 肥 料 用 の 落 葉 や 薪 を採 る こ と を 目的 に利 用 され て い ま した 。 里 山 で は木 を植 え て か らの数 年 間 は2∼3年 に1回 、 下 草 刈 を しま す 。 そ の 後 は1∼2年 に1 回 、 夏 か ら秋 に か け て の 時 期 に 下 草 刈 し、 冬 に は落 葉 掻 き を します 。 さ らに20∼30年 た つ と薪 用 に根 本 近 くか ら伐 採 しま す 。 コナ ラ ・ク ヌ ギ な どは残 った 根 株 か ら芽 が 出 ます 。 そ の 萌 芽 を育 て て 再 び 林 に しま す 。 です か ら、 雑 木 林 は 管 理 す る こ とに よ っ て 、 雑 木 林 で あ り続 け た 、 保 存 され て き た とい え ます 。 管理 が 行 な わ れ て い る 林 で は林 内 が 明 る く、 シ ュ ン ラ ン ・キ ジ ム シ ロ ・ヒ ト リシ ズ カ な どが春
先 に花 を咲 か せ ます 。 ヤ マ ツ ツ ジ ・ミ ツバ ツ ツ ジな どの ツ ツ ジ科 植 物 も多 くみ られ ます 。 ま た 丈 の 低 い コナ ラ ・ク ヌ ギ な どを好 む ウ ラナ ミア カ シ ジ ミ ・ア カ シ ジ ミ ・オ オ ミ ドリシ ジ ミな どの 蝶 も生 息 して い ます 。 雑 木 林 が管 理 さ れ な くな る と、 シ イ ・カ シ 類 や ヒサ カ キ ・ア オ キ ・ヤ ブ ツ バ キな どの 常 緑 広 葉 樹 が 芽 生 え 、数 十年 か ら数 百 年 で 常 緑 広 葉 樹 林 に戻 っ て し まい ます 。 3.3雑 木 林 の 成 立 と そ の 衰 退 で は 、 武 蔵 野 の 雑 木 林 は いつ ご ろ で き 上 が って 、 な ぜ 、 少 な くな った の で し ょ うか 。 い つ ご ろ か ら雑 木 林 の 風 景 が み られ るよ うに な っ た の で し ょ うか 。 雑 木 林 に な る以 前 の 武 蔵 野 は 「武 蔵 野 は 月 の 入 るべ き嶺 も な し尾 花 が末 に か か る 白雲 」 と大 納 言 通 方 が うた った よ うな 「ス ス キ の原 」 とい われ て い ます 。 「新 編 武 蔵 国風 土記 稿 」 に よ る と、 多 摩 、 入 間 、新 座(に い く ら)、 高 麗(こ ま)に わ た る茫 々 た る荒 野 で あ った と もい わ れ て い ます 。 こ の よ うな 「ス ス キ の原 」 は 、 古代 に お い て 渡 来 人 が入 植 し、 ブナ の森 林 を焼 き 畑 に よ って 開 拓 して い っ た こ と に よ っ て で き上 が っ た と され て い ます 。 高麗 や 唐 子(東 松 山 市)と い う地 名 に 渡 来 人 の 入 植 の跡 が しの ば れ ま す 。 高 麗 とい う地名 は716年 に高 麗 郡 が 新 設 さ れ て 、 渡 来 人 が集 団 入 植 し 、高 麗(こ う らい)の 王 族 出 身 者 で あ る若 光 をそ の 指 導 者 と してい た こ とに よ りま す 。 享 保 期(1716∼36)の 新 田 開発 期 に は 、 武 蔵 野 を ほ ぼ狭 山 丘 陵 と、 こ こ か ら東 に 流 れ る 柳 瀬 川 と を結 ん だ東 西 の 線 で 、 南 武 蔵 野 と北 武 蔵 野 に わ けて い ます 。 北 武 蔵 野 は現 在 の埼 玉 県域 で あ り、 南 武 蔵 野 は東 京都 域 です 。 東 は荒 川 、 新 河 岸 川 、 西 か ら南 に か けて は多 摩 川 、 北 は 入 間川 で 限 ら れ た 、 青 梅(青 梅 市)を か な め とす る扇 状 の地 域 が、 だ い た い 武 蔵 野 の範 囲 で あ った よ うで す 。 この 地 域 は 、 狭 山丘 陵 山 麓 や 武 蔵 野 東 部 にみ られ る小 河 川 に よ って つ く られ た樹 枝 状 谷 に は 、 中 世 以 来 の 村 も形 成 され て い ま した が 、 台 地 の 上 は 広 大 な 野 原 とな っ てい ま した 。 こ の 野 原 で は 、 近 世 前 期 、 武 蔵 野 周 辺 の 村 々 の農 民 は 、 茅 を刈 り取 って 畑 の 肥 料 や 馬 の飼 料 に し、 屋 根 や 風 よ け の 材 料 に使 い 、燃 料 に も、 とき と して は根 を補 助 食 料 に も して い ま した 。 武 蔵 野 は こ れ らの 農 民 に と っ て 、 農 業 経 営 の 上 で欠 くこ との で き な い 共 同採 草 地 で した 。 こ の 武 蔵 野 も 、徳 川 氏 の 入 国 以 来 、 開発 が進 め られ て い き ます 。 新 田開 発 な どに よ って 、 武 蔵 野 は 次 第 に縮 小 して い きま した 。 享保 期 の 武 蔵 野新 田の 開発 で は 南北 武 蔵 野 新 田82か 村 がい っ き ょ に 開 か れ 、 武 蔵 野 は す べ て 、 い ず れ か の村 の 所 属 とな り、 入 会 野(い りあい の)と して の 武 蔵 野 は 消 滅 しま した 。 南 武 蔵 野 で は承 応2年(1653)に 玉 川 上 水 が 、 西 北 か ら東 南へ 開 か れ ま し た 。玉 川 上 水 は 江 戸 城 お よ び 江 戸 城 下 町 へ の飲 料 水 と して 引 か れ た も の で す が 、途 中の 村 々へ も 分水 され 、 こ の うち 野 火 止(の び どめ)用 水 、 砂 川 分 水 、 小 川 分 水 な どは 、 武 蔵 野 の 新 田場 に飲 料 水 を供 給 す る 目的 で近 世 前 期 に 開 か れ た も の で す 。 享 保 期 の 武蔵 野 新 由 開発 で は 、 そ の 開発 場 に飲 料 水 と して 、 さ らに 多 く の 分 水 が 開 か れ ま した 。 こ う した 分 水 に よ って 南 武 蔵 野 に は網 の 目の よ うに小 川 が 引 か れ る こ とに な ります 。 新 田の 開 発 に よ っ て 武 蔵 野 は 、個 々の 百 姓 に 分 割 され ま した が 、 百姓 は 土 地 を畑 に 開 くば か り で は な く、 一 部 を 野 と して 残 した り、 林 に仕 立 て ま した 。 こ こ に 、 武 蔵 野 に 雑 木 林 が人 間 の 手 に よ って 作 られ ま した 。 この 林 は 防 風 の た め に つ くっ た も の です 。 これ が家 の 回 りに あ る と屋 敷 森 に な ります 。 や がて 薪 炭 林 と して 雑 木 林 に仕 立 て られ ま した 。 炭 に す る と高 級 な コナ ラが 植 え られ る こ とに な ります 。 村 々 を流 れ る玉 川 上 水 の 分 水 と、 こ の雑 木 林 は 、 の ち に こ の地 方 の 景 観 をつ く る大 事 な 要 素 に な
りま した 。耕 地 の ほ とん どは畑 で 、 主 要 な 作 物 と して は大 麦 、小 麦 、 粟 、 蕎 麦 、 稗 〈ひ え〉、 陸 稲 〈お か ぼ 〉 な どの 穀 類 と、 大 根 、 里 芋 な どの 根 菜 類 を作 って い ま した 。 これ らは雑 木 林 を伐 っ て つ くっ た 薪 炭 と と もに 江 戸 に 売 られ て い ま した 。 落 葉 や 下 草 は 肥 料 に な り、 森 林 か らは 木 の 実 や き の こ な どの 食 料 も得 られ ま した 。 今 で も、 落 葉 の醗 酵 す る とき に で る熱 を利 用 した 、サ ツ マ イ モ の 苗 の 栽 培 が川 越 の近 く で行 わ れ て い ます 。 ほ どよ い 温 度 が得 られ るそ うです 。 しか し、 昭 和30年 こ ろか らの石 油 文 明 に よ りもた らされ た エ ネ ル ギ ー 革命 に よ っ て 、 薪 炭 の 需 要 は な くな って しま い ま し た 。 ま た 、 農 業 も衰 退 して い き ま した 。 そ の な か で 雑 木 林 の 持 つ 、経 済 的 な価 値 は 急 速 に失 わ れ て い き ま した 。 さ らに 、 高 度 成 長 経 済 に 伴 う都 市 開 発 、 住 宅 地 化 の 波 が東 京 の 近 郊 で あ る武 蔵 野 に も押 し寄 せ て き ま した 。 雑 木 林 は ま と ま っ た 土 地 と して あ り、 しか も ほ とん ど利 用 さ れ て い い ませ ん で し た 。 そ の た め 、 大 規 模 な宅 地 開 発 の 対 象 とな り急 速 に少 な くな って い き ま し た 。 3.4雑 木 林 の 現 代 的 価 値 ・ 身 近 な 自然 が 急 速 に少 な くな って い くな か で 、東 京 の 近 く に わ ず か に 残 され た 「自然 」 で あ る 、 武 蔵 野 の 雑 木 林 が 注 目さ れ て きま した 。 狭 山 丘 陵 な どに傾 斜 地 で あ るた め 、他 の 目的 に 利 用 され ず に残 って い た もの で した 。 こ れ ま で 、 雑 木 林 は 薪 炭 や 様 々な も の を産 み 出 す 林 で あ った た め に 、 人 間の 手 で 維 持 管 理 され て き た林 です 。 しか し 、そ れ らの経 済 的価 値 が な くな って しま っ たい ま 、 「雑 木 林 」 は新 た な 意 味 付 け の も とに 再 生 して い くこ とが 必 要 とさ れ て い ま す 。 そ れ は 、都 市 近 郊 の 環 境 保 全 林 と して 、 ま た 、 谷 地 田の 水 源 涵 養 林 と して 、経 済 的価 値 以 外 の 価 値 を 見 出 し て い く こ と です 。 自然 教 育 園 と して 、 学 校 教 育 の 場 や 社 会 教 育 の 場 と して い くこ と も考 え られ ま す 。 しか も、雑 木 林 は 「自然 」 そ の もの で は な く、 人 間 が 自然 に 働 きか け て きた 結 果 で き 上 が っ た 、 そ の 意 味 で は 「歴 史 的 な 景 観 」 です 。 そ の ま ま に して お くの で は な く、人 間 の 適 度 な利 用 と 管理 の も とに あ っ て 初 め て そ の 良 さ を保 っ て い く も の で あ ろ う と思 わ れ ま す 。 自然 の 法 則 に した が うな ら、 い ず れ は 大 昔 の 照葉 樹 林 へ と戻 って しま い ます 。 「雑 木 林 」 の保 存 とは 、 そ の ま ま で ほ っ て お く こ とで は な く、 適 度 な 利 用 をす る こ とだ とも 考 え られ ます 。 適 度 な 利 用 に よ って 雑 木 林 を保 全 す る試 み が 、 小 平 市 な どで 行 われ 始 め て い ます 。 4.「 ゴ キ ブ リは 北 上 す る 」 ∼ 人 間 が 作 っ た 環 境 4.1ゴ キ ブ リは 熱 帯 の 生 物 世 界 中で4000種 も知 られ て い る ゴ キ ブ リの 仲 間 は 、 そ の ほ とん どは 人 間 の生 活 と は無 縁 の 野 外 生 活者 で す 。 屋 内 で 見 られ る もの は そ の1%に も満 た な い そ うです 。 しか し、 こ の短 い 年 月 の 間 に 一 部 の 種 類 とは い え 、住 居 ・暖 房 ・交 通 機 関 の発 達 と い う ヒ トの "文 明"に 依 存 して 、 世 界 中 で 屋 内 害 虫 と して の トップ の 座 を確 立 しま した 。 と く に小 型 で 黄 褐 色 の チ ャバ ネ ゴキ ブ リな どは 、 す で に 野 外 で は どこ に も姿 が見 られ ず 、 そ の本 来 の ふ る さ と を追 跡 す る 手 が か りす ら失 われ て しま い ま した 。 日本 の屋 内 で は 主 な ゴ キ ブ リが5種 類 ほ ど見 られ ます 。 この うち ヤ マ トゴ キ ブ リを 除 い て は 、 す べ て 比較 的 近 年 に外 国か らや って きた 侵 入 者 と考 え られ て い ます 。 彼 らは も と も と熱 帯 地 方 に住 ん で い ま した の で 、 寒 さ に は 弱 い の で す 。 戦 前 ま で は 、家 屋 構 造
と暖 房 が不 備 で した か ら、 日本 の冬 を乗 り切 る こ と が で き ま せ ん で した 。 そ れ が近 年 は 、 これ ま で 冬 の 寒 さの た め全 く分 布 して い な か っ た 北 海 道 に ま で 、 ほ とん どの 種 類 が 見 られ る よ うに な っ て き ま した 。 さ らに は 、 住 宅 が建 て 込 ん で き て 道 路 の 間 隔 が狭 くな る と 、快 適 な 環 境 を 求 め て 移 動 しや す く な り、 広 が って い くよ うで す 。 ゴ キ ブ リが 多 い とい うこ とは 、 豊 か な生 活 の 証 拠 と もい え るか も しれ ませ ん 。 4.2都 市 の 高 温 化 ∼ 都 市 気 温 人 間 の 生 活 水 準 の 向 上 は 、建 築 環 境 の整 備 や 暖 房 の 完 備 な どに も 向か い 、 生 活 環 境 は よ り快 適 に な っ て き ま した 。 さ らに 、人 々 が都 市 へ 集 ま る こ とに よ って 、 「都 市 温 度 」 とい う現 象 が 出現 し ま した 。 そ の た め 、 北 海 道 の 大都 市 で あ る札 幌 で ゴ キ ブ リは 最初 に 越 冬 可能 とな り、 さ らに は 北 海 道 全 域 へ と広 が っ て い き ま した 。 で は 、 「都 市 温 度 」 とい う現 象 は 、 どの よ うな も の な の で し ょ うか 。 越 谷 市 と 日本 一 の 大 都 市 で あ る東 京 と を比 べ てみ ま し ょ う。 埼 玉 県 越 谷 市 は 郊 外 に水 田域 が広 が る典 型 的 な 日本 の住 宅 都 市 とい え ま す 。 東 京 は 、 中 ・高 層 ビル が立 ち並 び 、 多 くの 人 が集 ま り、 様 々 な 生 産 活 動 が行 わ れ て い ます 。 この よ うな 人 間 活動 の 違 い が気 温 に どの よ うに現 れ て い るの で し ょ うか 。 小 泉 さ ん とい う方 が 、東 京 とそ の 周 辺 に あ る越 谷 市 な ど と の冬 の 気 温 の 違 い を調 べ て い ま す 。 東 京 の 気 象 庁(大 手 町 に あ ります)か ら、 同 じ く らい 離 れ た 都 市5ヶ 所 の 気 温 と気 象 庁 の気 温 の 比 較 です 。 越 谷 市 の ほ か は 浦 和 市 ・所 沢 市 ・府 中市 ・我 孫 子 市 が選 ば れ ま した 。 5年 間 の 冬 の 毎 日の 平 均 で 、東 京 は 周 辺 よ り2度 高 くな って い ます 。1日 の 中 で 見 る と、 夜 は 3度 、 日 中は1度 程 度 東 京 の方 が 高 く な っ て い ます 。 最 低 気 温 の で る 日の 出少 し前 が1番 気 温 差 が 大 き くな ります 。 最 低 気 温 の 頃 の東 京 都 心 と郊 外 の 気 温 差 は 、7度 に も達 す る こ と が報 告 され て い ます 。 越 谷 市 の な か で は ど うで し ょ うか 。 蒲 生 地 区 の 南越 谷 ・新 越 谷 駅 周 辺 は 中層 ビル が あ り、 越 谷 市 の 中 で は 最 も都 市 的 な 景 観 を示 して い ま す 。 そ の 一 方 、 大 相 模 ・川 柳 地 区 は 大 規 模 な 水 田域 を 含 む 田園 地 区 です 。 榊 原 さ ん とい うか た が 、最 近 、 この 地 区 の 気 温 分 布 を調 べ て い ます 。 そ れ に よ る と、 夏 も冬 も、 蒲 生 地 区 の 南 越 谷 駅 付 近 は気 温 が高 くな って い ます 。 水 田地 域 の 見 田方 遺 跡 公 園 付 近 で は低 い 気 温 が現 れ て い ます 。 そ の 気 温 差 は 水 田 に水 が 張 られ て い る夏 季 で は 日中 に 大 き くな り、 そ れ 以 外 の季 節 に は 夜 間 に 大 き くな っ て い ま す 。特 に 夏 季 の昼 間 に は4.7℃ 程 度 に な り、 冬 季 で は5.5℃ の差 に な りま した 。 越 谷 の よ うな 都 市 の 中 に も気 温 差 が あ る こ と が分 か りま した 。 この よ うに都 市 に集 中 した 人 間 活 動 の結 果 産 み 出 さ れ た 、 都 市 部 が 高 温 に な る 現 象 を 「都 市 温 度 」 現 象 とい い ます 。 4.3エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 増 大 い ま 、都 市 だ け で は な く 、地 球 全 体 の 高 温 化 が心 配 され て い ます 。 な ぜ 、 こ の よ うな こ と が心 配 され て い る の で し ょ うか 。 も う一 度 、 私 た ち の生 活 の 変 化 か ら考 えて み ま し ょ う。 第2次 石 油危 機 の 起 こ っ た 昭 和54年 度 以 降 、 日本 の 総 エ ネ ル ギ ー 需 要 量 は 、 ほ ぼ 横 ばい で した が 、62年 度 は5.0%、63年 度 は5.4%と 大 幅 に 伸 び ま した 。 そ の後 も 同 じく らい ま た は そ れ 以 上 の 伸 び を示 し て い ま す 。 石 油 が低 価 格 で あ った こ とに よ り景 気 が 拡 大 し、 そ れ に伴 い 生 産 資 材 ・生 活 物 資 の 動 き も活 発
に な りま した 。 コ ン ビニ な どで み られ る少 量 ・多 品 目の 頻 回 注 文 配 達 が 増 加 して い る こ とも 自動 車 交 通 量 の 増 加 の 一 因 とな っ て い ま す 。 そ の た め 、運 輸 部 門 での エ ネ ル ギ ー 消 費 が 増 大 して い ま す 。 ま た 、石 油 価 格 が安 くな っ た こ とで 、 消 費者 の 省 エ ネ ル ギ ー へ の 関 心 が 少 な くな りま した 。 そ の た め 、企 業 の 省 エ ネ ル ギー 製 品 の 開 発 意 欲 も減少 し ま した 。 そ の 結 果 、 家 電 製 品 の エ ネ ル ギ ー 効 率 が近 年 あ ま り向 上 しな くな りま した 。 企 業 な ど の 業 務 部 門 にお い て も 、業 務 用床 面 積 の 増 大 や 、OA機 器 の 増加 に よ りエ ネ ル ギ ー 消 費 が 増 大 して い ま す 。 床 面 積 の 増 大 は 冷 暖房 な どの 空 調 を必 要 とす る面 積 が 増 大 す る こ と を意 味 し ます 。 ま た 、OA機 器 か ら発 生 す る熱 が 空 調 へ の負 担 を高 め るこ と に も な りま す 。 夏 季 の 事 業 所 の 設 定 温 度(暖 房 温 度)に つ い て み る と、 昭 和56年 度 ま で は28℃ 以 上 が55%強 を 占め て い ま した が 、 昭 和63年 度 で は28℃ 以 上 が14%、26∼27℃ が46%、25℃ 以 下 が40%と な って い ま す 。 こ の よ うに 、 ビル に お け る冷 暖房 の 設 定 温 度 は 、 冷 房 温 度 は よ り低 く、 暖 房 温 度 は よ り高 くな る傾 向 が あ ります 。 こ れ は 業 務 部 門 に お け るエ ネ ル ギー 消 費 の 増 加 の 一 因 と な っ て い ます 。 こ の よ うな 傾 向 は 、詳 しい 統 計 は あ りませ ん が 、 事 業 所 だ け でな く、 普 通 の 家 庭 の 冷 暖 房 の 温 度 設 定 に も見 られ る よ うです 。 さ らに 、 私 た ち の ライ フ ス タイ ル 自体 がエ ネ ル ギ ー 消 費 を 増 大 させ る方 向 に 向 か っ て い る こ と も指 摘 され て い ます 。 た とえ ば 、 家 電 製 品 に つ い て も機 器 の 大 型 化 、高 級 化 、 複 数 所 有 化 が進 む と と もに 、 新 型 機 器 が登 場 し、1家 庭 あ た りの エ ネ ル ギー 亨肖費 量 は 昭和48年 に 比 べ て 昭 和63年 に は3割 増 とな っ て い ます 。 以 上 の よ うな こ と を背 景 と して 、 近 年 エ ネ ル ギ ー 消 費 が増 大 して い ます 。 4.4温 室 効 果 と地 球 温 暖 化 様 々 なエ ネ ル ギ ー の 中 で も っ と も多 く使 わ れ て い る の は 、 電 気 です 。 電 気 を うみ だす た め に 、 化 石 燃 料 で あ る石 油や 石 炭 を燃 や す 火 力 発 電 が 行 われ て い ます 。 そ の 結 果 、 大 気 中 に 大 量 の 二 酸 化 炭 素 が放 出 され て い ま す 。 ゴ キ ブ リは 今 か ら3億 年 ほ ど前 の 時 代 か らあ ま り姿 を 変 え ず に生 き 続 け て い る生 物 です 。今 か ら3億 年 ほ ど前 の 時 代 に は 、大 気 中に 豊 富 に あ った 二 酸化 炭 素 を使 い 、 巨 大 な シ ダ植 物 が 生 存 し て い ま し た 。 動 物 で は爬 虫 類 ・昆 虫 が 出現 しま した 。 大 気 中の 二 酸 化 炭 素 で植 物 が 自分 の体 を作 り、 死 んだ あ と地 面 深 く埋 め られ て 、 長 い 時 間 を経 て 石 油 や 石 炭 に 変 化 し ま した 。 そ れ で 、 石 油 や 石 炭 の こ と を化 石 燃 料 と よ び ます 。 石 油 や 石 炭 を燃 や す と出 て く る二 酸 化 炭 素 は 、 ゴ キ ブ リの 生 まれ た 頃 の 大 気 中に 合 っ た もの だ とい え るか も知 れ ませ ん 。 二 酸化 炭 素 に は 、 太 陽 か らの 光 エネ ル ギー は 地 球 に と りこみ ます が 、地球 か らの赤外線 は透 さ な い とい う性 質 が あ ります 。 これ は ガ ラス の 持 って い る性 質 に似 て い る こ とか ら、 「温 室効 果 」 と 呼 ばれ て い ま す 。 そ して 、 二 酸 化 炭 素 の よ うに 「温 室 効 果 」 を もた らす 気 体 が 「温 室 効 果 気 体 」 で す 。 温 室 効 果 気 体 に は 二 酸 化 炭 素 の ほ か に 、 フ ロ ンガ ス や メ タ ンガ ス な どが あ ります 。 フ ロ ンガ ス は 自然 界 に は存 在 しな か った も の で 、 人 工 的 に合 成 され た もの です 。 燃 えな い し、 他 の 物 質 と反 応 しに くい の で 、 広 い 用 途 に使 われ て い ます 。 身 近 な と こ ろで は 、 冷 蔵 庫 の 冷 媒 や 、 クー ラー の ガ ス もそ うです 。 大気 中 に 出 て い く と、 壊 れ に くい の で 、10年 か ら100年 も 大気 中 に 残
り、影 響 をお よ ぼす とい われ て い ます 。 ま た 、 メ タ ンガ ス は 自然 界 か らも放 出 され ま す が 、 水 田 や 家 畜 の ふ ん尿 、埋 立 地 、 下水 処 理 場 な どか らも発 生 して い ます 。 い ま 、 わた した ち の 過 度 な 冷房 な どの電 気 の 無 駄 使 い な どで 、 大 気 中 の二 酸 化 炭 素 が増 え つ つ あ る の で は な い か と心 配 され て い ま す 。他 の 温 室 効 果 気 体 も工 業や 農 業 ・牧 畜 業 な どの 人 間 活 動 の 活 発 化 に伴 い 、 そ の 量 は増 大 して き た とい え ます 。 こ れ らの 温 室 効 果 気 体 が 大気 中に 増 え る と 、地 球 の 表 面 に余 分 に ふ と ん を か ぶせ た よ うに な り、 地 球 の 表 面 が温 ま る こ と に な りま す 。 ゴキ ブ リが地 球 上 に 生 ま れ た 時 代 は 、今 よ りも大 気 中 に 二 酸 化 炭 素 が大 量 に あ り、気 温 が か な り高 か った と推 定 され て い ま す 。 化 石 燃 料 を この ま ま使 い 続 け る と、 そ の こ ろの 気 温 に近 づ くの で し ょ うか 。 人 間 生 活 の 向 上 、 と くに エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 増 大 が地 球 の温 暖 化 を も た らそ う と して い る とい え ます 。 つ ま り、 自分 た ち が そ れ とは気 づ か ず に 、 自分 た ち の 環 境 を変 え て しま お う と して い る の で は な い で し ょ うか 。 4.4地 球 温 暖化 の 影 響 21世 紀 の 前 半 に は 、地 上 の 全 体 の 平 均 値 で 、 約2度 気 温 が 上 昇 す る と見積 も られ て い ま す 。 北 の 地 方 ほ ど大 きな 値 とな る と予 測 され て い ます 。2度 とい う値 は 、お お よ そ 、東 京 が 鹿 児 島 く ら い の気 温 に な る こ と を意 味 しま す 。 日本 付 近 で は 、3∼4度 上 昇 す る と の見 積 もあ り ます 。 で は 、 気 温 が 高 く な る と、 どの よ うな こ とが起 こ るの で し ょ うか 。 ゴ キ ブ リが す み や す くな っ て 、 い ま 日本 に い な い 熱 帯 の 大 きな ゴキ ブ リがや っ て く る の で し ょ うか 。 地 球 温 暖 化 で 一 番 心 配 され た の は 、 南極 な どの氷 が と けて 海 面 が上 昇 す る こ とで した 。 す ぐに は そ の 心 配 は な い よ うです が 、 そ れ で も海 水 が膨 張 して 、50cmく らい 海 面 は 上 昇す る とい わ れ て い ます 。 そ れ に 伴 い 、波 も高 くな り、 海岸 の 侵 食 や 高 潮 な どが 多 くな る こ とが 心 配 され て い ま す 。 日本 の 大 都 市 は 海 岸 近 くに あ るの で 、 影 響 が 出 て く るか も知 れ ま せ ん 。 オ ラ ンダ 、 バ ング ラデ ィ シ ュや 太 平 洋 の 島 国 で は 国 が 水 没 す る危 険 性 さえ あ ります 。 気 温 の 分 布 が変 わ る と、 雨 の 分 布 も変 わ っ て しま う と予 測 され て い ます 。 い ま 、雨 を利 用 して 農 業 を行 っ て い る 国 で は 、 雨 が 降 らな くな り乾 燥 地 域 が広 が る こ とが 考 え られ ます 。 そ うな る と、 食 料 が 不 足 し飢 饉 に な る こ と も考 え られ ます 。 日本 で も1994年 の 夏 の よ うな 水 不 足 が 毎年 起 こ り、 毎 日の 生 活 に 支 障 が で るだ け で は な く 、工 業 用 水 の 不 足 か ら、工 業 に も影 響 が で る こ とが 考 え ら れ ま す 。 ま た 、温 度 が上 が る と雨 の 降 り方 も変 わ り、 大 規 模 な 雷 雨 や 集 中 豪 雨 が起 こ るか も知 れ ま せ ん 。 洪 水 の 危 険 も増 加 す る可 能 性 が あ ります 。 急 激 な 温 度 の 上昇 は 自力 で移 動 で き な い 森 林 に大 き な 影 響 を与 え 、 大 規 模 な 森 林 の 破 壊 が起 こ るこ と が 危 惧 され て い ま す 。 森 林 は 、 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 を 吸収 す る役 割 も果 た して い ま す か ら、 影 響 は 大 きな も の が あ ります 。 人 間 の健 康 に 関す る直 接 的 な影 響 と して は 、 体 力 の な い 老 人 や 乳 幼 児 に は 、暑 さの た め に死 亡 率 が 上 が る こ とが 懸 念 され て い ま す 。 ま た 、 マ ラ リア な ど の熱 帯 性 の 伝 染 病 の病 原 生 物 や 、 これ を媒 介 す る昆 虫 な ど の生 息 範 囲 の拡 大 が 危 惧 され て い ます 。 こ れ ま で そ の よ うな 病 原 生 物 の い な か った 日本 に は免 疫 を持 っ た 人 は 少 な い の で 、 大流 行 す る こ と も考 え られ ます 。 5.人 間 の 生 き て 行 く道 ∼ ま と め と して 身 近 な 風 景 ・景 色 は 、 そ の 土 地 の持 つ 自然 の特 徴 と調 和 した 人 間 の生 活形 態 か ら産 み 出 され た
もの です 。 自然 と の 調和 の 取 れ た風 景 を求 め る の は 、 人 間 の 心 の 奥 に 自然 との 調 和 が な い と滅 ん で しま う とい う恐 れ が あ るか らで は な い か と考 え た くな ります 。 身 近 な 「自然 」 と思 わ れ て い る風 景 の 中 に は 、 自然 と人 間 との長 い 付 き合 い の 歴 史 が 隠 され て い ま す 。 「自然 」 は 自然 の ま ま で合 っ た の で は な く、 自然 を大 事 に して き た人 間 生 活 の 姿 で あ る と も い え ま す 。 い ま 、そ の 人 間 生 活 の 姿 が 変 わ りつ つ あ る とい え ます 。 そ の 結 果 、 自然 との 付 き合 い が ぎ く しゃ く し 、摩 擦 が 起 きて い るの が 「地 球 環 境 問題 」 で あ る とい え ます 。 身 近 な 景 色 を守 り育 て て い く こ とは 、 そ の 背 後 に あ る 自然 の シ ス テ ム を知 り、 自然 との バ ラ ン ス の 取 れ た 生 活 と は何 で あ るか を知 るこ とだ と考 え ま す 。 も う1度 、 身 の 回 りの 生 活 か ら見 直す こ とか ら始 め て は ど うで し ょ うか 。 〈参 考 に して ほ しい 図 書 〉 自然保 護 や 地 球 環 境 に 関す る様 々 な本 が 出 版 され て い ま す 。 こ こ で は 、 今 回 の 内 容 に 関連 す る 比 較 的 手 に 入 りや す い も の を 中 心 に 紹 介 します 。 ● 「自然 保 護 とい う思 想 」 沼 田 真.岩 波 新 書.1994年. 私 た ち が 目にす る 自然 は長 い 時 代 を か け て 、 自然 と人 間 の お りな して き た もの で あ る こ と を様 々 な 事 例 か ら教 えて くれ ま す 。 そ の 自然 を保 護 す る と は ど うい うこ とな の か 生 態 学 とい う科学 を背 景 に述 べ られ て い ま す 。 い まや 人 間 の側 の価 値 判 断 抜 き で は 自然 の 保 護 は あ りえ な い とい い ます 。 自然 保 護 とは 何 か を 考 え るの に は よ い 本 です 。 ● 「人 と緑 の文 化 誌 」 犬 井 正.み よ しほ た る文 庫(埼 玉 県 三 芳 町教 育 委 員 会) .1993年. 三 芳 町 に残 る武 蔵 野 の雑 木 林 は 人 と 自然 と の 関係 の 中 で生 ま れ て きま した 。 人 と緑 が長 い 間 共 生 し 、平 地 林 と結 びつ い て 「二 次林 文 化 」 と もい うべ き循 環 的 ・永 続 的 な 営 み を して き て い ま す 。 雑 木 林 は 「森 林 活 動 」 の 拠 点 と して 、地 域 学 習 や 環 境 教 育 の 実 践 の 場 と して 高 く 評価 さ れ ます 。雑 木 林 の 成 り立 ち とそ の現 代 的 価 値 が よ く わか る本 で す 。 ● 「温 暖化 す る地 球 」 田 中正 之.読 売 新 聞社.1989年 . 気 象 学 を背 景 と して 、 温 室 効 果 の 科 学 的 説 明 を提 供 して くれ る本 です 。 最 初 は 少 し読 み に くい か も 知 れ ませ ん が 、 温 室 効 果 、 温 暖 化 とそ の 影 響 が 良 くわ か る本 で す 。 ● 「地 球 温 暖化 が わ か る本 」 北 野 康 ・田 中正 之 編 著.マ ク ミ ラ ン ・リサ ー チ 研 究 所.1990年. 温 室 効 果 気 体 の 中 心 で あ る二 酸 化 炭 素 につ い て 基 礎 的 な 事 項 を教 え て くれ ます 。 温 室 効 果 、 温 暖化 と そ の影 響 、 対 策 と対 応 に つ い て も 、 わ か りや す く説 明 が な され て い ます 。332ペ ー ジ とい う大 部 な 本 の割 に 、1700円 とい う安 い 値 段 で す 。 ● 「地 球 にや さ しい ライ フス タイ ル 」(財)環 境 情 報 普 及 セ ン ター 編k法 規1991年 . 地 球 環 境 問 題 と私 た ちの 生 活 が どの よ うに 関 わ っ て い るの か を わ か りや す く書 い て い ま す 。 私 た ち の 日常 の ち ょ っ と した 行 動 が 地 球 環 境 の 破 壊 につ な が る と い うこ と を朝 起 きて か ら寝 るま で の 時 間 の 流 れ の 中 で具 体 的 に 教 えて くれ ま す 。 ● 「熱 汚 染 」 西 沢 利 栄.三 省 堂 選 書.1977年. 具体 的 な 大 気 ・水 ・土 の 観 測 を も と に 、都 市 の 高 温 化 をわ か りや す く教 えて くれ る貴 重 な 本 です 。 出 版 され た の は 少 し前 な の で 、 手 に入 りに くい か も しれ ませ ん が。 ● 「生 活 の 中 の 環 境 問題 」 黒 坂 裕 之 編 著.梓 出版 社.1990年 . 身 近 な 生 活 の 中の 環 境 問 題 と 、地 球 規 模 の環 境 問題 との 関 わ りにつ い て 述 べ て あ ります 。
今 回 は 取 り上 げ な か った ゴ ミ問 題 や 水 ・食 品 の 汚 染 に つ い て も述 べ て い ま す 。
[付 記]
本 論 は 平 成6年 度 文 教 大 学 地 域 開放 講座 「見 え な い も の を 見 て み れ ば 」 で の 講 演 原 稿 を加 筆 ・ 修 正 した も の で あ る。 テ ー マ を示 唆 して 下 さ り、 講 演 の機 会 を も うけ て 下 さ った 、講 座 企 画 委 員 会 の 諸 先 生 に感 謝 い た します 。 な お 、 内 容 の 性 格 上 、個 々 の 参 考 文 献 は 示 さな か っ た 。